2008 年 9 月のリーマンショックを引き金に, わが国の雇用情勢が一段と厳しさを増している。 2002 年に過去最高の完全失業率を記録して以来, 日本経済全体の景気は回復したにも関わらず, 一 向に良好な雇用機会が増えず, 求人不足に悩んで きた地域はもちろんのこと, 輸出の増加に支えら れ, またサービス経済化の進展により, 労働力不 足の様相を呈していた地域においても, 世界的金 融危機がもたらした衝撃は地域社会に重くのしか かっている。 これまでも景気が後退するたびに地域経済の疲 弊が叫ばれ, 雇用の受け皿を作りだし, 就業を支 援する政府の経済対策や雇用対策の必要性が繰り 返し主張されてきたが, 財政難に直面している政 府にとって, 長期にわたり公共事業を続けていく 余力は小さく, ましてや地域によって求められる 支援が異なり, 多様化した今日, 国の発案による 画一的な対策の効果は薄れている。 これまでも大 企業の工場誘致に成功した地域の首長からは, 多 額の財政を費やしたにもかかわらず, 創られた雇 用は非正規雇用ばかりで, 財政収入の増加にもつ ながっていないとの批判の声があったが, 今回の 世界的危機により輸出型企業の受けたダメージは 大きく, 工場誘致の効果の限界が再認識されたと いってもよい。 政府補助や企業誘致といった外部依存型の雇用 創出に多くを期待できなくなった今日, 政府はど のようにして経済を立て直し, 社会の活力を維持 していったらよいのか。 そして, それを実現させ るための経営戦略や人材戦略はいかにあったらよ いのか。 さらには人口構造の変化にどのように対 応していったらよいのか。 いま, 地域雇用政策の パラダイム転換が求められている。 2009 年 6 月 20 日に開催された本研究会議では, このような状況を踏まえ, 報告者による研究成果 を中心に地域経済の抱える課題と解決策について 議論し, 住民と企業, そして中間組織や地方自治 体, 国の果たす役割について検討を行った。 (なお, 本特別号は 2009 年労働政策研究会議準備委 員会の責任編集によるもので, 掲載論文および要旨 は後に報告者による修正を経たものである。) 2009 年労働政策研究会議準備委員長 口 美雄 (慶應義塾大学商学部教授) 日本労働研究雑誌 1
地域雇用政策のパラダイム転換(PDF:114KB)
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