• 検索結果がありません。

農業経験の有無と要介護期間との関連~Y-HALE調査より~ 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "農業経験の有無と要介護期間との関連~Y-HALE調査より~ 利用統計を見る"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

学 位 論 文 内 容 の 要 約

氏名 春山 佳代

論文題目

農業経験の有無と要介護期間との関連~Y-HALE調査より~

(Life expectancy with care needs of Japanese aged adults experiencing farm work. — Y-HALE study— ) 学位論文内容の要約 ( 研 究 の目 的 ) 日 本 は 世界 有 数の 長 寿国 で あ る( Salomon、2012)。しか し 、2016年 の 調 査 を基 に した「 日常 生 活 に 制 限 の な い 期 間 の 平 均 」 ( 推 定 値 ) は 男 性 で 72.1歳 、 女 性 は 74.8歳 で 、 「 日 常 生 活 に 制 限 の ある 期 間の 平 均」 ( 推 定値 ) は男 性 で 8.8年 、 女性 で 12.3年 ( 橋 本 、 2017) に も な る。 平 均 寿 命 と 健 康 寿 命 に 関 連 す る 要 因 に つ い て 、 都 道 府 県 別 の 解 析 で は 農 林 漁 業 者 の 人 口 比 率 と 高 齢 者の 有 業率 が 重要 な 決 定要 因 であ っ たと 報 告 して い る( 田辺、2015)。山 梨 県 の平成 2 8年 の 都 道 府県 別 の平 均寿 命 で は、男 性は 全 国 1位 、女 性は 3位 で あっ た( 橋 本 、2018)。果 樹 栽 培 が 有 名 な 地 域 で 、 農 業 従 事 経 験 が 山 梨 県 の 健 康 寿 命 の 延 伸 に 影 響 し て い る 可 能 性 が あ る が 、 明 ら か に さ れ て い な い 。 そ の た め 、 本 研 究 で は Y-HALE調 査 を 用 い て 農 業 従 事 経 験 が 要 介 護 期 間 に影 響 を与 え るか ど う かに つ いて 検 討を 行 っ た。 ( 方 法 ) デ ー タ は Y-HALE調 査 を 使 用 し た 。 調 査 の 対 象 者 は 、 山 梨 県 内 に 居 住 す る 、 介 護 保 険 を 使 用 し て お ら ず、地 域在 住 の 65歳 以 上 の 男女 600人 を ラ ン ダ ムに サ ンプ リ ング し た コホ ー ト調 査 であ る( Kondo、2012)。分析 対 象 者は 、ベ ー スライ ン 時 に要 支 援・介護状 態 で はな く、追 跡期間 中 に 死 亡し た 228人 と した 。ア ウト カ ムで あ る要 介 護 期間 は 、死 亡 時の 年 齢 から 要 介護 認 定時 の 年 齢 を 引 い た 年 数 と し て 算 出 し た 。 要 介 護 認 定 を 受 け ず に 死 亡 し た 場 合 の 要 介 護 期 間 は 0 年 と し た。農 業の 従 事経 験 の 有無 で 2群 に分 け、要 介 護期 間 を目 的 変数 と し て分 散 分析 を 行っ た 。 そ の 後 、 性 別 、 年 齢 、 喫 煙 状 況 、 飲 酒 状 況 、 入 院 経 験 の 有 無 、 服 薬 の 有 無 、 世 帯 構 造 、 仕 事 に よる 収 入の 有 無を 調 整 変数 と して 共 分散 分 析 を行 い 、要 介 護期 間 の 推定 値 を求 め た。 さ ら に 、 「 健 康 で あ っ た か ら 農 業 が で き た 」 と い う 因 果 関 係 の 逆 転 の 可 能 性 を 考 慮 し 、 感 度 分 析 と して 調 査開 始 後 2年 以 内 に死 亡 した 人 を除 い て 同様 の 解析 を 行っ た 。

(2)

学 位 論 文 内 容 の 要 約 ( 続 紙 ) 氏名 春山 佳代 ( 結 果 ) 2004年 か ら 研究 開 始時 の 2017年 9月 ま で 13.04年 間 追 跡 した 。解 析 の対 象 と なっ た のは 228人 で 、 調 査 時 の 平 均 年 齢 、 死 亡 時 の 平 均 年 齢 と 要 介 護 認 定 時 の 平 均 年 齢 は 両 群 間 の 差 は な か っ た が 、 要 介 護 認 定 を 受 け た 人 は 、 非 農 業 従 事 群 の 方 が 多 か っ た 。 全 て の 変 数 を 調 整 し た 全 対 象 者 の 要 介 護 期 間 の 推 定 値 は 、 非 農 業 従 事 群 が 2.1年 、 農 業 従 事 群 が 1.3年 で 農 業 従 事 者 は 非 従 事 者 に比 べ て要 介 護期 間 が 短く な って い た( p= 0.01)。男 性 の みの 解 析 では 、農 業従 事者 は 非 従 事者 に 比べ て 要介 護 期 間が 1年 近 く短 縮し て い た(非 農 業従 事群 1.3年 、農 業従 事 群 0.4 年 、p= 0.03)。女 性 では 統 計 学的 に 有意 な 差で は な かっ た もの の 、農 業 従 事者 の 方が 要 介護 期 間 は 短か っ た(非 農業 従 事 群 2.4年 、農 業従事 群 1.5年 、p= 0.16)。感 度 分 析の 結 果は 同様 に 、 全 対 象 者 で 全 て の 項 目 を 調 整 し た 解 析 で は 農 業 従 事 者 の 方 が 要 介 護 期 間 は 短 く 、 そ の 差 は 大 き くな っ た(非 農業 従 事 群 2.3年 、農 業従事 群 1.2年 、p= 0.004)。男 性 の みの 結 果で も、 同 様 に 農業 従 事者 の 方が 要 介 護期 間 は短 く 、そ の 差 は大 き くな っ た( 非 農 業 従事 群 1.4年 、農 業 従 事 群 0.3年 、 p= 0.02) 。 女 性 の み の 解 析 で は 農 業 従 事 経 験 に つ い て は 非 従 事 者 の 方 が 要 介 護 期 間 は 長 く 、 感 度 分 析 で は 差 が 大 き く な っ て い た ( 非 農 業 非 事 群 2.4年 、 農 業 従 事 群 1.4 年 、 p= 0.13) 。 (考察) 本研究では日本人の 65 歳以上の地域在住高齢者を対象とし、農業従事の有無と要介護期間に関連が あるかどうかを検討した。2016 年の 65 歳の「日常生活動作が自立していない期間の平均」は、男性の 全国平均が 1.51 年、山梨県は 1.54 年、女性の全国平均が 3.45 年、山梨県は 3.66 年である(橋本、2017)。 本研究では要介護の定義に要支援を含んでいることと、対象者のベースライン時の平均年齢が 80 歳近 いこと、推計方法が違うことにより単純な比較はできないが、本研究における農業従事者の要介護期間 は大幅に短縮していた。要介護に至る原因には脳血管疾患、転倒・骨折、関節疾患などが挙げられる(厚 生労働省、2003)が、農業従事により身体活動量が多く(Morimoto、2008)、食材摂取状況が良好で(松 森、2009)、重大な疾病が予防されている可能性がある。また、認知症の予防(Wang、2002)(竹田、2010)、 や組合活動による社会的交流の維持にもつながっている可能性がある。農業は男性にも取り組みやす く、小規模の農作業でも介護予防事業に取り入れることができれば、男性の参加者を増やすことに繋が

(3)

学 位 論 文 内 容 の 要 約 ( 続 紙 ) 氏名 春山 佳代 るかもしれない。また、定年後の帰農や市民農園への参加、農村地域への移住は介護予防の観点からも 好ましいと考える。 ( 結 論 ) 地域在住高齢者228人を13.04年間追跡調査し、農業に従事した経験の有無と要介護期間との関連につ いて検討した。男性では農業従事者の要介護期間は非従事者に比べ短くなっていた。高齢になるまで健 康に過ごし、要介護期間を短縮するために農業は有効であることが示唆された。

参照

関連したドキュメント

In the main square of Pilsen, an annual event where people can experience hands-on science and technology demonstrations is held, involving the whole region, with the University

有利な公判と正式起訴状通りの有罪評決率の低さという一見して矛盾する特徴はどのように関連するのだろうか︒公

toursofthesehandsinFig6,Fig.7(a)andFig.7(b).A changeoftangentialdirection,Tbover90゜meansaconvex

[r]

平均的な交通状況を⽰す と考えられる適切な時期 の平⽇とし、24時間連続 調査を実施する。.

★分割によりその調査手法や評価が全体を対象とした 場合と変わることがないように調査計画を立案する必要 がある。..

日本においては,付随的審査制という大きな枠組みは,審査のタイミング

これに対し,わが国における会社法規部の歴史は,社内弁護士抜きの歴史