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2次元減衰性乱流におけるスケーリング指数$\xi$の理論的決定(流れの非線形性と乱流の統計性質)

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(1)

2

次元減衰性乱流における

スケーリング指数

$\xi$

の理論的決定

九工大・情報工 岩山隆寛 (Takahiro Iwayama) 九大・理藤坂博– (Hirokazu Fujisaka) 高知大・理岡本壽夫(Hisao Okamoto) Abstruct 2次元 (2-D)減衰性乱流の第2 ステージでは, 渦に関係した諸量が時間と共に代数 的に発展する. 特に時刻 $t$ での渦の個数 $N(t)$ は$N\sim t^{-\xi}$ で減衰する. これらの諸 量の時間発展は指数 $\xi$ によって特徴付けることができ, 数値シミュレーションや実 験室内の実験において, このスケーリング指数は $\xi=0.7\sim 0.75$ であることが知ら

れている. 本論文では, Carnevale $et$ al. [Phys. Rev. Lett. 66, 2735 (1991)] に

よって提出されたスケーリング的考えに渦のハミルトン動力学的移流を導入し, こ

のスケーリング指数を理論的に決定し, $\xi=2/3$ を得た. $\xi$ の理論的導出を試みた

$\mathrm{M}\mathrm{c}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{a}\mathrm{m}\mathrm{S}$ [J. Fluid Mech. 219, 361 (1990)] $\mathrm{S}^{\supset}\mathrm{B}\mathrm{e}\mathrm{n}\mathrm{Z}\mathrm{i}$ et al. [J. Phys. $\mathrm{A}$: Math.

Gen. 21, 1221 (1988)$]$ の研究と本研究との比較も行った.

1

はじめに 2次元乱流は, 3次元乱流に比べて数値計算を行う上での手軽さや, 大規模な地球 流体力学的流れへの応用を期待され, 研究されてきた. 2次元乱流では3次元乱流 に比べて複雑な乱流特性を持つ. 特にエネルギーの逆カスケードに起因する秩序渦 の存在が大きな特徴となっている. この秩序渦の存在によってエネルギースペクト

ルの傾きが Kraichnan-Batchelor理論 (Kraichnan. 1967; Batchelor. 1969) からずれ

たり, 流体中に浮遊する粒子の拡散が通常の Brown 粒子的正常拡散よりも遅くなる

異常拡散現象 (Cardoso et al.. 1996) などが生じる. したがって, 2次元乱流を理解

(2)

序渦間の相互作用等) を研究することは重要なことである. 本研究で考察する2-D減

衰性乱流はextrnal forcingが無いため, 強制乱流に比べて秩序渦の個性が顕著に現

れるため, 秩序渦の集団を研究するには格好の対象であると考えられる.

近年の数値的研究によって, 2次元減衰性乱流の時間発展は3つのステージに分

類できることが明らかにされた (Benzi et al., 1988, 1992; $\mathrm{M}\mathrm{c}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{a}\mathrm{m}\mathrm{s}$, 1984, 1990;

Santangelo et a1., $1989_{J}$.Weiss and $\mathrm{M}\mathrm{c}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{a}\mathrm{m}\mathrm{s}$ , 1993).

第1 ステージでは, 流体 が秩序渦の集団に向けて自己組織化する. 第 2 ステージでは秩序渦が系の動力学を 支配する. 渦問距離が渦のサイズよりも十分に大きいときは, 渦の運動は秩序渦と 等価な点渦系のハミルトニアン動力学によって近似的に記述される相互移流を起こ す. また, それらが近づくと同符号の渦問に引力が働き, 合体してより大きな渦に なり, 異符号の渦間には斥力が働く. 最終的に異符号の渦の–組のペアが双極子構

造を形成する (Matthaeus et al., $1991\mathrm{a},$ $1991\mathrm{b}$). 最後のステージでは, この双極子

構造が粘性によって減衰する. 第2 ステージでは, 秩序渦の諸量, 例えば, 渦の総数 $N$, 渦の平均半径 $R_{a}$等が時 間と共に代数的に発展することが知られている. そのような時間発展に対して Carnevale et al.. (1991) C よ, 新しいスケーリング理論を提唱した. 彼らの理論では, 渦の集団に 関係した諸量や流れの場の空間平均モーメントの時間発展のスケーリング指数は, 渦の個数のスケーリング指数 $\xi$ によって決定される. このスケーリング則は数値実

験(Carnevale et a1., 1991, 1992; Weiss and $\mathrm{M}\mathrm{c}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{a}\mathrm{m}\mathrm{s}$, 1993)

や実験室内の実験

(Tabling et al., 1991) により正しいことが示され, $\xi=0.7\sim 0.75$ が得られている.

$\xi$ を理論的に決定する試みは: コロイド粒子の凝集過程 (Chandrasekhar, 1943) との

対応から $\mathrm{L}\mathrm{I}\mathrm{c}\backslash \backslash arrow \mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{a}\mathrm{m}\mathrm{S}(1990)$ により行なわれている. 彼は渦の大きさが領域の大きさ

に比べて小さく, 渦の配置が全体的にランダムで互いに無相関であり, さらに渦が 崩壊する確率は2っの渦が互いにある臨界距離以内に存在する頻度に比例するとし て, 渦の個数に関する時間発展方程式を導き, $\xi=1$ を得た. この理論的考察と数 値実験の不一致性は, 相互移流による渦の接近がランダムな運動よる接近よりも稀 に起こるためである, と彼は指摘した. なぜならば, 相互移流の速度ベクトルは渦 の間の分離ベクトルに直角だからである. -方 Benzi et al. (1988) は渦の半径の大

(3)

きさ分布を作るメカニズムを説明するために, 渦の大きさ分布に対する運動学的方 程式をたてている. このモデルからも粒子の個数のスケーリング指数 $\xi=1$ が導か れることが Carnevale et al. (1991) により指摘されている. 即ち, スケーリング指 数$\xi$ の理論的決定は未解決の問題である. 先の論文で我々は, Carnevale et al. (1991) のスケーリング則を再考察し, 彼らの 議論における流れの場の空間平均モーメントに関するスケーリング則, 即ち全エネ ルギーと全エンストロフィーのスケーリング則は, 渦に付随した量 ($-\omega\psi/2$ や$\omega^{2}/2$ を渦の領域のみで積分したもの) のスケーリング則であることを示した. ここで$\acute{\psi}$ は 流れ関数, $\omega$ は渦度を表す. そしてこれらの量の再解釈により, 彼らの理論は, 渦 に付随した量の時間発展を記述する法則であること, 2 次元減衰性乱流の特徴のう ち, 渦のハミルトン動力学的移流のみが取り入れられていないことを指摘した (Iwayama

and Okamoto, 1996). そこで本論文では, 渦のハミルトン動力学方程式と Carnevale

$et$ al. (1991) のスケ一リング理論を同時に考慮して, 2次元減衰性乱流の現象論とし

ての Carnevale et

a1.

(1991) の理論を完全なものにすると共に, スケーリング指数$\xi$

の理論的決定を行う.

本論文の概要を以下に述べる. 2節ではCarnevale et

a1.

(1991) のスケーリング理

論を簡潔にレヴュ一する. 3節では渦のハミルトン動力学的方程式と彼らのスケーリ

ング理論を同時に考慮することにより, $\xi=2/3$ が導かれることを示す. 4 節では

渦間平均距離と渦の個数との関係から, $\mathrm{M}\mathrm{c}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{a}\mathrm{m}\mathrm{s}(1990)$ や Benzi et al. (1988)

の議論と同様に, 渦のハミルトン動力学的方程式を, 渦の個数の時間発展方程式に

書き換え, 我々の得た渦の個数に関する時間発展方程式と彼らの得たそれとを比較

する.

2

Carnevale

$et$

al. (1991)

のスケーリング理論の簡単なレビュー

2次元減衰性乱流の第2ステージでは, 渦の集団に関係した諸量や流れの場の空間

平均\neq一メントが時間と共に代数的に発展する. Carnevale et $a.l.(\mathit{1}\mathit{9}\mathit{9}\mathit{1})$ は, このス

テージでは秩序渦が系の動力学を支配していることから, 全運動エネルギー $E$ と全

(4)

ける渦度の値の平均値$\omega_{a}$, を用いて次元解析的に次のように表現した

:

$E\sim\Lambda^{\check{l}}\omega^{24}aR_{a:}$

(1)

$Z$. $\sim_{\mathit{1}}\backslash \prime^{\tau 2}.\omega_{aa}R^{2}$

.

(2) 渦の個数が

$N\sim t^{-\xi}$

(3)

に従って振る舞うならば, $E$ $\omega_{a}$ が高 Reynolds 数状態での系の保存量であること

を考慮すると, (1) と (3) より $R_{a}\sim t^{\xi/4}$ (4) を, 方程式(2), (3), (4) から $Z\sim t^{-\xi/2}$ (5) が得られる. さらに, 渦の問の平均距離 $l_{a}$,

$l_{a} \sim\frac{1}{\sqrt{\Lambda^{r}}}\sim t^{\xi/2}$

: (6) と 1 個の渦の平均循環$\Gamma_{a}$, $\Gamma_{a}\sim\omega_{a}R_{a}^{2}\sim t^{\xi}/2$ (7) のスケーリング則も導いた. –方, 渦の平均移流速度 $.u_{a}$. は, その近傍の渦による移 流によって決定されると考え, (6) と (7) を用いて彼らは渦の平均移流速度のスケ一 リング則 $u_{a}. \sim\frac{\Gamma_{a}}{l_{a}}\sim t^{0}$ (8) を導いた. 彼らは, 全運動エネルギー $E$ を不変量であると仮定して議論を展開した ので, (8) 式. 即ち $u_{a}^{2}\sim E\sim t^{0}$. は自己矛盾のない結論であると述べた. なお,

Carnevale et al. (1991) 自身の数値計算でも, $\iota\iota_{\mathrm{e}}^{7}\mathrm{i}_{\mathrm{S}}\mathrm{s}$

and $\mathrm{h}\mathrm{I}\mathrm{c}\backslash \backslash \cdot 7\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{a}\mathrm{m}\mathrm{s}$

(1993) によっ

て行われた数値計算によるスケーリング則の追試でも

,

(8) のスケ–リング則は確か

(5)

最近 (1) と (2) はそれぞれ全運動エネルギーと全エンストロフィ一ではなく, $-(_{\mathrm{u}i}?_{f}/J)/2$

と $(” i^{2})/2$ を秩序渦の領域, 秩序領域, で積分したものであることが, 理論的数値

的に示された. さらにこの空間平均モーメントの再解釈により, Carnevale et al. (1991)

のスケーリング則は, 渦の集団の時間発展に関する現象論であり, 2次元減衰性乱

流中の渦の特徴のうち, 渦のハミルトン動力学的移流以外の性質はすべて考慮され

ていることが指摘された (Iwayama and Okamoto 1996).

3

渦の移流速度のスケーリング則とスケーリング指数

$\xi$ の決定 我々は, 渦の平均移流速度のスケーリング (8) は次の様な3つの点から誤りである と主張する. 第 1 に, (8) の導出は秩序潮間の相互作用が最近接相互作用であること を拠り所にしているが, これは秩序渦問の相互作用は長距離相互作用であること1と 矛盾している. 第 2 に, 移流速度が時間発展において–定に保たれているという (8) の結果は, 次のような2つの事実から誤りであることが示唆される: 数値計算による と, 渦の移流速度は, 半径の大きな渦ほど遅いことが知られており (Benzi et al., 1988), 方, 渦の半径は時間と共に大きくなるので, 従って渦の移流速度は時間と共に遅 くなるはずである. さらに今考察している2次元減衰性乱流は, $\sinh$-Poisson方程式 $\omega$ oc $\sinh(\beta\psi)$ で特徴づけられる平衡状態へ向けての緩和過程であり, この状態では

渦は静止している (Joyce and Montgomery, 1978; Dmitruck et al., 1996). これらの

ことは渦の移流速度が時間と共に遅くなっていくと言うことをほのめかしている. 最

後に, 彼らは $u_{\alpha}.\sim t^{0}$ の結果は全運動エネルギー $E$ を–定と仮定したことと矛盾し

ないので, 速度のスケーリングが正しいと主張している. しかしながら, Iwayama

and Okamoto (1996) によって明らかにされたように, 全運動エネルギー $E$ と考え

られ, スケーリング関係の導出において時間的保存量と思われていた $\mathrm{A}j\backslash ^{\tau_{\ ^{1}}}2R^{4}aa$ は, 全

運動エネルギーではなく.: コヒーレントな渦の集団系のハミルトニアンである. そこ

で, Carnevale $et$ al. (1991) が述べた $u_{a}.\sim t^{0}$ の正当性は失われた.

1 秩序渦集団の運動を近似的に記述できる点渦モデルのハミルトニアン$H$ は. $\log r_{ij}$ の項を含んで

いる. ここで$r_{ij}$ は

(6)

我々は, 渦の移流は, 点渦系のハミルトニアン動力学(Saffman. 1992),

$\Gamma_{i^{\frac{dx_{i}}{dt}=\frac{\partial H}{y_{i}}}}..\cdot$. $\Gamma_{i^{\frac{dy_{i}}{dt}=-\frac{\partial H}{\partial x_{i}}}}$

. (9) から導かれるべきであると主張する. なぜならば, 秩序渦は互いに離れているとき には, 点渦系のハミルトニアン動力学によって近似的に記述されるような相互移流を 起こすからである. なお (9) の点渦系で合併過程を記述しようとすると, 幾何学的に 点である複数個の点渦が–点に集中するために, 解が発散する. このことは点渦の ハミルトニアンには, 自己相互作用が含まれていないこととも対応する. しかしな がら, 有限の大きさをもった秩序渦のハミルトニアンは, 自己相互作用の寄与も含 まれていて, さらに時間的に–定であることから, 秩序渦の場合は, 合併過程まで 含めて, 渦の移流がハミルトン動力学的移流 (9) によって記述できると考えられる. そこで我々は (9) を考慮して, 渦の移流速度を $u_{a} \sim\frac{H}{\Gamma_{\alpha}l_{a}}$ (10) とスケールする. $H$は時間的に不変であることと, (6), (7) を用いて速度のスケー リング則 $u_{a}\sim t^{-\xi}$ (11) を得る. (11) は期待されたように, 時間とともに渦の移流速度が遅くなることを示 している. また, ハミルトニアン $H$の保存が考慮されていることを注意しておく. 次にスケーリング指数 $\xi$ を決定する. 4 個以上の点渦を含む点渦系の運動はカオ スであることが知られている (Aref. 1986). 今考察している減衰性乱流の第2 ステー ジでは, 渦は多数個存在するので, そこで, 第2 ステージにおける秩序渦の運動は, カオス的であると仮定できる. このとき渦のカオス的運動による混合効果は. 流れの 等方性を保証するであろう. このことによって渦の平均移流速度 $u_{\alpha}$ が渦の平均相対 速度 $dl_{a}/dt$ と同じオーダーであると考えられる. したがって我々は $u_{a} \sim\frac{dl_{a}}{dt}.\sim\frac{l_{a}}{t}$ (12) とスケールする. このとき (6). (11). (12) より $\xi=\frac{2}{3}$ (13)

(7)

が導かれる. したがって, $R_{a}\sim t^{1/6}$

: $Z\sim t^{-1/3},$ $l_{a}\sim t^{1/3},$ $\Gamma_{a}\sim t^{1/3},$ $u_{a}.\sim t^{-2/3}$

得る.

4

考察 スケーリング指数$\xi$ を決定するための方法として, $\mathrm{M}\mathrm{c}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{a}\mathrm{m}\mathrm{s}$ (1984) や Benzi $et$ al. (1988) によって展開されたような , 渦の個数に関する時間発展方程式 (渦の運 動論的方程式

)

からの議論の展開も考えられる. Benzi et al. (1988) は, 数値シミュ レーションによって示された半径$R$ を持った渦の個数の分布幅$\eta(R)$ のスケ– リング

則, $\eta(R)\sim R^{-\alpha},$ $(a’\sim 1.9)$, のスケ–リング指数$a$. の選択機構を明らかにするため

に, 半径 $R_{i},$ $(R_{0}\leq R_{1}\leq R_{2}\leq\wedge\cdot. \cdot\cdot\leq R_{i})$

の渦の集団を考えた. 同じ大きさ, 同じ 符号の

2

つの渦の合併が支配的動力学であり

,

特に半径 $R_{i}$ の2つの渦が合併して半 径$R_{i+1}$ の 1 個の渦が出来ると仮定し, 半径$R_{i}$ の渦の個数$n_{i}$ の時間発展方程式を導 いた

:

$\frac{dn_{i}}{dt}=\frac{1}{2}\frac{n_{i-1}}{\tau_{i-1}}-\frac{n_{i}}{\tau_{i}}$

.

(14) $-$ ここで$\tau_{i}$は半径 $R_{i}$ の渦の合併率の逆数である. 渦がランダムな運動をする粒子と考 えると, 古典力学の標準的議論により $-1$ $\tau_{i}$ $=n_{i}\sigma_{i}u_{i}$ (15) が得られる. ここで $\sigma_{i}$ は渦の合併の断面積, $u_{i}$ は半径 $R_{i}$ の渦の移流速度である. 荒い見積もりとして, $\sigma_{i}\sim R_{i}$

.

(16) また,

数値計算によると小さな渦は大きな渦よりも速く動くことから

$u_{i}.\sim R_{i}^{-1}$ (17) と見積もり, $n_{i}$ の時間発展方程式(14) を閉じることができる ; $\frac{dn_{i}}{dt}=\frac{1}{2}Cn_{i1^{2}}-\cdot-Cn_{i^{2}}$. (18)

(8)

平早場近似的取り扱いにより, (18) から渦の個数 $\Lambda^{r}=\sum_{i}$ 殉に関する時間発展方程 式, $\frac{d\mathit{1}\backslash T}{dt}.=-\frac{1}{2}\tilde{C}N^{2}$ (19) が得られる. $\tilde{C}$ は$C$ のオーダーの量である. この方程式からは $\xi=1$ が導かれる. $\mathrm{M}_{\mathrm{C}}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{m}\mathrm{a}\mathrm{s}$ (1990) もコロイド粒子の凝集過程 (Chandrasekhar, 1943) との対応から

(19) と同じ方程式を導き, $\xi=1$ を得た. Benzi $et$ al. (1988) $\mathrm{M}_{\mathrm{C}}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{m}\mathrm{a}\mathrm{s}(1990)$

の議論において注目すべき点は, 速度のスケーリング, 即ち (17) 式に, Carnevale

$et$ al. (1991) のスケーリング則からの結論(8) を用いていない点である. しかしな

がら既に指摘したとおり移流速度のスケーリング(8) は誤りであり, また修正された

スケーリング則 (11) を用いたとしても, 導かれるスケーリング指数は $\xi--4/7$ であ

り, この値はシミュレーションや実験による結果よりも小さい.

次に Benzi et al. (1988) や $\mathrm{M}_{\mathrm{C}}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{m}\mathrm{a}\mathrm{s}$ (1990)

の導いた方程式と我々がスケーリ ング指数の導出で用いた方程式を比較する. スケーリング指数の決定に用いた渦間 平均距離の時間発展方程式 (12) は, 渦間平均距離と渦の個数の関係 $l_{a} \sim\frac{1}{\sqrt{N}}$ (20) を用いると, 次のような形の渦の個数に関する時間発展方程式に書き直すことが出 来る

:

$\frac{dN}{dt}\sim-,u_{a}\wedge\gamma 3/2=-\frac{u_{a}}{\Lambda^{\Gamma 1/2}}N^{2}$

.

(21) ここで, Benzi et $a.l.(1\mathit{9}88)$ の様なランダムな粒子の衝突の描像を適用すると, 渦の 衝突断面積として $\sigma_{a}\sim l_{a}$ (22) が得られる. 即ち, ランダムな運動をする粒子の衝突に比べて, 秩序渦の衝突断面 積は長い, という結果が得られる. コヒーレント渦の, ::異符号の循環を持つもの は互いに反発し, 同符号の循環の渦は引き合い, 合併する $\wedge$ ’という性質は, 電荷を持っ た粒子の散乱に類似している. 荷電粒子では, 異符号の電荷を持つ粒子が衝突併合

(9)

し, 同符号の電荷の粒子が反発しあう. 荷電粒子は, 自分自身の周りに長距離のクー ロンポテンシャルを持っていて, 衝突 (散乱) 断面積は, 古典的粒子の半径よりもはる かに長い. この様な荷電粒子の散乱との類推により, 秩序渦の衝突断面積が渦の半 径よりも長くなるという結論が理解できる. スケーリング指数における理論的予測と数値計算による結果の間の僅かの違いの 理由は, 理論では揺らぎの効果を無視しているからであると考えられる. Carnevale et al. (1991) や本論文では, 物理量をすべて渦に関係した諸量の平均値で表現して いる. 即ち, これらの理論は渦の集団に関する平均場理論であり, 揺らぎの効果を 無視している. 熱平衡系の臨界現象等でよく知られているように, 平均場理論は現 象を定性的に説明できるが, 数値的に異なる臨界指数を与える (例えば, Ma, 1976; Goldenfeld, 1992)

.

このような臨界現象との対応から, 揺らぎの効果の無視が理論 的予測と数値実験結果の違いであると考えられるだろう. 揺らぎの効果を正しく見 積もることにより, 実験にあう数値が得られると考えられる. 最後に有限 Reynolds数状態に対する理論の補正について言及しておく. 有限 Reynolds

数状態に対する Carnevale et

a1.

(1991) のスケーリング則の補正が, Weiss and$\mathrm{M}\mathrm{c}\mathrm{W}\mathrm{i}\mathrm{l}\mathrm{l}\mathrm{i}\mathrm{a}\mathrm{m}\mathrm{s}$

(1993) によって議論されている. これは, 有限 Reynolds数状態では, 渦の中心にお

ける四度の値$\omega_{a}$ が時間と共に僅かに減少する $(\omega_{a}\sim t^{-\eta}, \eta=0.1)$. ハミルトニアン

$H$が保存することと, 粒子の個数のスケーリングを束縛条件として, スケーリング 指数の補正が導かれる. このとき半径$R_{a}$ と渦度の尖度 $I\mathrm{f}_{a}$ のスケーリング指数は補 正されるが, その他の量, 例えば渦の個数 $N$ や循環$\Gamma_{a}$ は補正されない. そこで, 本論文で導いた渦の移流速度 (11) も補正されない. 謝辞 本研究を進めるにあたり, 九州大学理学部の宮原三郎教授, 廣岡俊彦助教授. 中島 健介, 三好勉信, 両博士から有益な助言をいただきました. ここに記して感謝いた します.

(10)

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