子どもの概念変換に関する理科学習論的研究の論点と今後の課題
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(2) 小野瀬健也・森本. 250. 信也. 配列し、文字通り5速から13歳の具体的操作前期から形式的操作初期の子どもを対象にした、理科プ 1992:12-22)。また、アメリカのカリフォルニア大学で開発された. ロジェクトである(森本, SCIS(Science Curriculum. lmprovernent革tudy,1978)もピアジェ理論を踏襲しつつも,ピアジェ理論の基. 盤である構造主義的な見解に重点を置き,これを積極的を土取り入れた理科のか)キュラムを構成し ていった。. 衷1ガニュによる学習の階層化とその要素 ■古典的なパブロフ流の「不随意的な学習」を指すo幼児が親の 信号学習(SignalLeaming). 大声に対して条件反射的に苦痛の到来を感得することなどかこ の例であ■るo. オペラント条件づけに似た学習であり、基本的には特家の刺激 寿Ijti'数反応学習(stimulus. に対する反応を彰成すろことがねらいとされているoこの意味. ResponseLearning). で、形式的に妄ま同じS-R塑の学習を目指しているが、ここでの 反応は「随意的」ーであると言えるo 古典的なプログラム学習に見られるように、学習内容全体をス. 連鎖づけ(Chaining). モー)レ.ステ、ププに分け、逐次反応を確認することにより学習内 容の定着化を図る方法である.いろいろなS-Rを結びつけるこ とによりある種の内容を学習させようとするものであるo ここでの学習は子どもたちがすでに学習した言語をいろいろ. 言語連合(verbalAssociation). なパタ-ンに連合することを意味しているoこれは、1メ∴トル の100分の1が1センチメートル等の度量衡に関わる理解、ある レナは公式の想起等を意味しているo 多くの物理的刺激の中から、それぞれを健の物から区別するこ. 複合弁別(Multiple Discrimination).. とで奉るoたとえば、ある物の中の金属と非金属部分を同定し、た り、あるいは植物の棄に平衡販と網状販を見いだすことであるo 複合弁封学習では事象のいろいろな刺激を同志することが必. 概念学習(Con?eptLea血ng). 要とされたが、ここでの学習はこれらを、ことば、すなわち概念 として一つに.まとめ、ある種の意味を付与することであるo例え ば、溶解、植物、金属、気体、電流、回路、侵食、堆積等o 2つ以上の概念を結び?けて、そこに意味、すなわち概念を説 明する原理を見∨ーだす学習やあるo一つの原理が形成されると、. 原理学習(p/rincipーeLearning) さらにこれより上位の原理が形成されるoたとえば、固体、液体、 ・気体という三つめ概念を結びつけて「すべての物質は三態変化す る」とレiう原理が構成される○ これまでに学習してきた概念、原理を用いて野外や実験室で末 ■問題解決(.problemSo■1ving) 知の自然事象に対する多様な解釈、すなわち実験を試み■ることで あるo.
(3) 251. 子どもの概念変換に関する理科学習論的研究の論点と今後の課題. ピアジェの発達段階(学齢期). 表2. 年齢. 発達段階. 具体的操作期 (concreteoperationalstage). 7-11歳. ン′エマ. この時期の「シュマ」は「群性体」.と称される思 考構造である○そこには、A+A' -C、すなわち cという全体はその部分A及びA'からなるという こと,あるいはAはCより少ないという理解や、(A ≧B、B≧C∴A≧C)という数学的な論理が内 包されているoそのため、類包含関係や事象をその 程度により並べ換える系列化という操作を可能にし ているoまた,知覚的な見えから開放されているた め、保存や脱中心化という心的操作も可能になつて いるo. 形式的操作期. (formチ1operationalstage)I-. 11歳以降、. この時期の「シュマ」の特徴はひと言で言えばr仮 説演樺的思考」である○この背景にあるのがⅠNRC群 という、クラインの四元群から生み出された思考構 造である○. その後、ピアジェ派の予定調和的発達観に対して、. 「すべての知識は子どもたち一人ひとりが多様. な事象に働きかけ、その経験から何かを作りだそうとするときに彼ら--一一人ひとりの中に構成される」 というピアジェの構成主義(constructivism)への原点回帰と言える理論を展開したのはカミ(c.Kamii)とデブリ-ズ(R.DeVries)である(Kamii,C・,DeVries,R・,1978)。カミ-らは幼年期の学習を考 えるに際して、留意すべき問題点として知的内容に関しては、経験主義の克服、社会情緒的内容に 関しては、子どもの社会的あるいは情緒的活動の背景にある彼らの考え方の尊重をあげたoこのこ とはと、りも直さず、 「知る」ということは、子ども一人ひとりの事象に対する「意味づけ」であると いう構成主義的見解の具現化と考えることができる-(森本,1992:52-58)。 「心理学と教授学、哲学(科学哲学も含めて) 先に述べたように,この時代の理科教育学の特徴は、. の諸理論の融合」にあった。ブルーナ-(J,S.BmⅢer)は、教授学と心理学との結合により「知的飛躍 理論」として論を展開した。ブルーナ一理論の直接的な影響を受けた理科プロジェクトはないが, この理論はカリキュラム改革運動全般の理論的支柱の一つとして位置づけられるoブルーナ-の教 授論の中心は発見学習であり、後に探究学習論を輩出させる素地ともなった。そして、顕在的に、 プロセス・アプローチという教授学習論も出現させ現在でも一定規模の影響力を保持していると言 える(森本,1992:36-39)0 ホ-キンス(D.‖aw血s)は、. 「教育とは経験を絶えず再組織化または再構成することである. (Dewey,∫.,1916)」というデューイ(Dewey,J・)の教授論の影響を強く受けたoホ-キンスは、 に開発されたESS(Elementa,y About. Science. 1960年. Study,1968)の中心メンバーであったoESSの中心理論はMessing. (自由試行)であり、知識体系よりも、いわゆる「科学の方法」が理科教育の第一義的な実践. 課題として設定された(森本,1992:22-30)0. 1 -2.. 1980年代における理科学習論. 1980年代は,従来のピアジェ理論の解釈に代わり新ピアジェ派(nco-Piagetian)が台頭したo新ピア ジェ派の理論は、四つの発達段階を静的に固定化されたものととらえるのではなく,教授によって 子どもたちの中にこれを形成することにより、彼らの授業内容理解を保障しようという提案であっ.
(4) 252. 小野瀬倫也.森本. 信也. た(森本,1992:42-52)。<新ピアジェ漁による理論の基礎となったものとして、. 1974年から80年にか. けて行われた、中等学校の理科と数学のカ7)キュラム辞儀プロジェクトであるCSMS(Concept secondary. Mathematics. and. in. Science)があげられるo CSMSの結果はその中心メンバーであったシェイ. ヤー(Shayer,M.,1981)らによってまとめられた。. 新ピアジェ派の出魂と同時期に、ピアジェの予定調和的な概念の発達観に抗して、力、電気等の 特定の学習内容に関わる子どもの既有概念に関する研究が胎動したoオズボーン(Osborn,R.,1980)、 ドライバー(Driver,R.1985). 、フェンシャム(Gilbert,J.,Osborn,R.,Fensham,P.,1982) 、ポズナ(posner,∫.et.al.,1982)らの構成主義者(constructivist)がその代表であったoここでは、ピアジェ漁に見 られるような斉-的認識論は否志され、思考o)領域国有性(表3)と相対主義的科学観の融合がは かられたoこの理論は、. 「学習者一人ひとりが構築する世界(personal eonstrtlet)の承認と、その存在. の積極的な意味ブけを行おうとする運動(Alernative. Conception. Movement略称ACM)」を巻き起こし. た。この運動は学習者の内観を重視しつつも、ピアジェとは異なる意味合いでの構成主義的 (constructivism)な理科の学習論を展開した(森本, 1992:59-65)。こうした学習論は後の社会的構成 主義に対して個人的構成主義と呼ばれ、オズボーンらにより開発、試行された初等教育段階を対象 としたLISP(The. Leaming. in Science. 教育段階を対象としたcLISP. Project,1979-1984)やドライバーらを中心として開発された中等. Learning (Children-s. in Science. Project,1983-1986)にその具体例を見るこ. とができるo. 表3 領域. 力学. 子どもたちの自然認識の領域固有悼 認識内容. 動いている物体は力を持つており、運動を維持す るのに一定の力を必要とするo. 年齢、 すべての年齢. 研究者 Watts,1983. 摩擦力は二つの動いている表面が接触したとき に生じる作用であるo. -すべての年節. 光学. 昼よりも夜の方が光は遠く-進むo. 9-15&. Osborne,1980. 物質粒子. 空気を構成している粒子閏には酸素、水蒸気、空 気が存在するo. 12-14歳. Osborne,1983. 熟と温度. 熱には、冷たい熟と温かい熱があるo熱と温度は 同じo熱は高温を作り出す素であるo. すべての年齢. Erickson,1979. 体積置換. 重い物体古壷ど置換する水の量が多いo. すべての年齢. Linrl,1983. 浮くo. 4.-8姦. Lin°,1973. 生命. 動くことのできる物が生きでいるのであるo. 10歳まで.. Carey,1985. 岩石. 岩石とはこぶし大の大きさで、つやのない、ゴツ ゴツした物であるo. 1ト17歳. Happs,1982. 地彩. 海溝は海と陸の嘩界であるo. 14歳. Freyberg,1981. 植物. 木は植物ではないo.華やタンポポ妄ま雑草であり、 植物ではない○野菜は植物ではないo種は植物で. 10-15&. Bell,1981. 13#:. Osborne,1980. 浮き沈み. 形にかか.わりなく、重い物体は沈み、軽㌧一物体は. Stead,1981. はないo イオン. 電気分解中の水溶液の中には電気は揺れていな いo.
(5) 子どもの概念変換に関する理科学習論的研究の論点と今後の課題. 1980年代の個人的構成主義研究は、. 253. 1990年代に入り社会文化的アプローチの影響のもと、教授理. 論へとその研究の視点を移し、社会的構成主義を生起させていった。 社会的構成主義の理論的起源はヴイゴツキーに求められる。ヴイゴツキーの提唱する認識論の基 本は、 「精神間機能」から「精神内機能」への斬新的な移行として説明される(ヴイゴツキー,2001/)o. その具現化が「発達の最近接領域」論である。ヴイゴツキーによる「精神間機能」と「精神内機能」 との対話的な過程による学習者の認識能力の成長を、パフチンは具体的に言語レベルでのやりとり として定式化した。また、対話を基調とする教授・学習過程の様態はレイブとウェンガ-(レイブ, ウェンガ-,. 1993)によって「共同体における学習者個々の関係性」として表されたo. 2.理科における教授・学習論構築のための現代的視点 前節において、理科学習論の変遷を概観した。この間、理科における学習論は学習の主体である 子どもを単にブラックボックスとして考える学習観から, いるのかを問うてきたと思われる。それは、. 成主義が追求してきた課題にほかならないo 有性」. 「学習の成立」とはいかなる状況を示して. 「子どもが学習をどのように位置づけるのか」という構 1990年代における構成主義は、これを「認識の領域固. 「相対主義的科学観」等の理論を導入することによって克服してきたのである。. 構成主義は、子ど.もの科学概念構築の実態について明らかにしてきた。そして、世紀変わりにお いては、社会的に個人一人ひとりが、いかに学習に関わり、認識(coldcognitiqnからhotcognitionへの. 移行)を成立させ去かに関心が向かっていった。つまり、子どもが科学概念を構築、または変換させ ていく原動力と言える情意面-の関心である。こうした視点は既に1980年代に台頭していた。例え ばオズボーンとウィットロック(Osborn,R.,Wittrock,Mリ1985)は、子どもが学習に際して受容する情報 を名辞的刺激(nominal stirnuli)と機能的刺激(仙-ctional stimuli)とに分類したo前者は文字通り意味を 自ら捉え直すことなく受容することであり、後者は学習者の視点から情報が捉え直しをされること \. である。情報が子どもにより加工され処理されるのである。80年代にこうした視点はあったものの、 その後十分に検討されずに残された課題であった。言い換えると、構成主義研究が明らかにしてき た、子どもの概念変換を具体的に動かす情意的要素の解明が取り残されてきたと言える。 実際、最近の研究では、子どもの概念変換における学習動機としての意図(intent加)の役割が強 調されている。これは、子どもが学習目標を明確に意識し、学習を自ら調整していく様を示すもの である。この学習を説明するキーワードは、自己効力感の生起,内発的な価値意識、テスト不安か ら構成される子どもにおける学習の方向付けとしての明確な学習動機の生起であるoさらには、こ れを実行に移す学習方略の調整機能を挙げる与とができる。 ピントリッチ(pintrich,良.et.al.,1993:172)らは、子どもの概念変換が成立するためには,以下の4つ の状況が必要であると指摘している。 ①子どもにとって既有概念と新たな概念との内的関係づけができるo ②子どもにとって学習目標、目白勺、意図が明確である。 -. ③概念生態系への位置づけ。 ④ (子どもにおける)学習を動機づける信念(MotivationalBelief§)が生じるo ( ()は筆者) 学習を動機づける信念とは、学習が明確な意志のもとになされることを意味するoこのことは、. 上述の「温かい認知(hotcognition)」における学習動機をより、具体的に説明するものであるo.
(6) 舘野岬車轟感心ど瞥W・>.14T.{Lロq卜鮮鯨●. 要神変繋尊co密LA.. 媒恕輔3;噛療鑑鞠出●. -てy小一エ+. 鮮転職潮境隼雷Y準●. I. ・(3J3Pu3d3PIXaluO3. ".. ・!.:I,:.1')7・fJ・;;i:・,(. 'L]. 0ト61VJVS. ・=;11Lli・d・:ll. 軸軽;jJ〓小額鯛赫. 0ト6t. SIUS. un一n3叫ヒnU写u3芯S). 和篠昏山朴鮮朴ま●. 1(り/Y-i:+. :細≠)沖中世心'i['. i+-n(ト+. (鹿野増鑑富男). (鮭新藤怠磯3;蛋蜜) 足掛豪富増補鱗蟹●. 麗恥豪富増補宮欝●. 磯叫増妊. I.. -.B・+. I_1uリーi'd(J.叫=.(,. 素性軒≠[, et]S33t13!3S. W庄&'Bd蜜雌蝶 9卜6t. 'tl[:[・止. ・!.,=,.・-;I:-I.∴t[.・・ソ、. aUu3!3SpudSU!)Y!Luatl忘芝. :;=;.. 896t. /i.:.". ごo3Ll1.】UTuSuOJteuOSlaJ -('J,+. 常州礎鍵●. I.'・/...a+. ・o1. SS3 I-. [叶.#Ef]u,lコOqV3u!ssu∑. ・3‥.1:in.Ll;(. yJ(叶-≠†. 'i;I. 二」.] Yl(Lトoi・山-〃未. 哨叫qSib. ≠. 芸・寸L6tS芸SU● 駕T.{・ト,a轟●. /JL{t八′f. (華軽顧慮轡). l+Ye4i,+. (戴機軸ギLJi -T4r<・′ヽ+. 浩6!i;墳郷富巌粕). SL6t. 帯.」、南細. ごdPuO3aSu二d3UuOU= >・:・.I,・L). .T(Tt妄′」、各. :I. 昏Y;jC,将戦跡fi'1」7鹿部世相告辞転3r. -+ト〔t4Y.4[-n十 (繋笹津増嘘W増額) 1身t..L=y..S♯. -′ヽy小;1+. 9S・芸61JSnU●. JT:エY4/I_トヘ+. 卜票]:絹針り∵ 芸6t印i:J忘.y+. ▲ヽ1鞍fセナ ヽ-),や. 干.へ磐祖唯軽j. ・L. i;'E.エ. i:・5TL7..I. 芝UV●. 蔚虐. ・‥)7:・・]・.i.h=:'・. 酎,I?5,((.i!)!]=L.・L.I. 八-私.Y七★ 寸?6卜6t dSn●. i.. )u3tLLa^0≡uOl)dauuoua去eEaltV. I(pnlS3Uu"SとE)u3LualT・]]. ・. -.. 信也 小野瀬倫也・森本 254.
(7) 子どもの概念変換に関する理科学習論的研究の論点と今後の課題. 255. ピントリッチらがこうした「明確な学習動格」を子どもの概念変換が起きる主要因と捉える背景 には、上述した子どもの自己効力感の生起、内発的な価値意識、テスト不安といった学習への動機 が、科学概念の獲得に不可欠であると考えられるからである。すなわち、ピントリッチは子ども固 有の「学習を動機づける信念」を具体的に実現するものとして「学習方略の調整(self-Regulated LeamingStrategies)」を位置づける。そして、子どもの「学習を動機づける信念」と「学習方略の調 整」が相互に関連し合いながら,科学概念が構築されることを示唆する。それは図2のように表せる。. 学習を動機づける信念と自己制御的学習のストラティジーの関係. 図2. 「学習を動機づける信念」と「自己制御的学習のストラティジー」の具体的な内容は表4の要素と して示すことができる。これは,ピントリッチ(pintrich,良.et.al.,1990)の指摘するもののうち、理科学 習と関連の深い要素を抽出したものである。表4から子どもが科学概念を構築する契機として機能す る要因は、自己効力感や学習成果-の期待といった「学習遂行への期待感」が一種の動機として機 能していることが推察できる。また、期待感に基づく学習を実現するために、学習内容の言い換え・ 概括等の認知的方略、あるいは学習内容の自問自答、情報の吟味等の「自己制御的学習のストラテ ィジー」が働いていることも併せて捉えられる。. 表4. 「学習を動機づける信念」と 「自己制御的学習のストラティジー」の要素. 学習を動機づける信念(Motivational A. : Self-Efficacy. B. : IntrinsicValue. c. : TestAnxiety. Beliefs). (自己効力感). ・学習をうまく進められるという確信 (内発的な価値意識). ・学習に対する価値意識の保持 (テスト不安) ・意味ある成果をもたらせようとする意識. 自己制御的学習のストラティジー Leaming (self-Regulated D. : Cognitive ∴Dl. Strategy. Strategies) Use. (認知的方略の使用). :自分の言葉に言い換える。. ・D2:情報を結合しようとする。 ・D3:記憶しやすくするように学習したことを復唱する。 ・D4 :学習を概括する。 (学習の進捗状況の調整) :学習課題を自問自答する。 :学習課題を遂行するために受容すべき情報の質について考えるo :学習課題を遂行するために必要な情報を吟味するo. E :-Self-Regulation ・El ・. E2. ・1E3.
(8) 小野瀬倫也.・森本. 256. 信也. そして、これら諸機能や咽き、構築される科学概念は、ホワイト(White,R・,1998)の指摘するよう. に、単純なことばラベルの記憶ではなく、表5に示すよテな多様な記憶要素に基づき表現されてい く。. 表5. ホワイトによる7つの記憶要素 簡単な定義. 箪素 ストリング. 命題. iつひとつが分離されず、食体とし七まとま巧を持つた形 で記憶されているひとつながりのことば、あるいは記号. 概念にとば)の性質あるいぼ概念圃の関連性についての 記述. イメージ. 感覚についての心的表象. エピソード. 経験あるいは目撃した事象につい七の記憶. 知的技能. 心的な課題遂行能力. 運動技能. 肉体的な課題遂行能力. 認知的方略. 思考をコントロ-ルする際の概括的一般的技能. 3.子どもの概念変換と関連する動機づけ研究の動向と今後の課題 最近、心理学の分野でも動粍づけ研究が盛んになってきた。近年の動機づけ研究は「認知論的ア ブr3-チ」が主流であるoこれは、. 「信念」 (be一ief)が動機づけを規定する立場だと言えるoその代. 表的な理論ほ「期待×価値理論」である。期待×価値理論とは、動橋づけを期待(成功可能性に関 する主観的認識)と価債(行動遂行にかかわる価値)とのイ積」によってとらえようとする理論の 総称を指すしと淵,2004:6-7)0 ここで言う、期待と価値を学習に関連することとして考えるならば、次のように例えられるだろ /). ・成功する見込みがあるから取り組むo A取り巌むに儀する儀値があると思うから頑張るo 上述した「学習を動機づける信念」とは、まさに学習に対する価値意識であり期待感の要素とし て捉えることができる。そして、こうした学習動機に裏付けられて、子どもは自己制御的学習のス トラティジーを駆使しながら学習を進めていると考えられる。 ポズナ-. (Strike,K.A.&Posner,J.,1985)らは、子どもが概念変換を起こすための要件として以下の4. つのキーワードを示した。. ①dissatisfaction (所有する概念に不満である) ②intelli由ble (新たな概念に対して最小限の理解をしている) ③plausible(新しい概念はとりあえずもっともらしい) ④軌Iitihl(新しい概念は説明力、予測力に優れている). 上述した点を踏まえて、科学概念の変換に動機づけ論を組み込むときJ教授論的視点として次の 諸点に還元される。.
(9) 257. 子どもの概念変換に関する理科学習論的研究の論点と今後の課題. (1)子どもは考えを自ら構築できるo周知のように、ただ教えたからといって子どもは簡単に概 念変換しない。子どもが自分の表現方法により科学概念を構築するo (2)子どもは自分の考えを適切に表現できるo表現するためには、その方法(ストラティジー) を育てることも大切であ′る。同時に、子どもが自由に表現できる場の設定が配慮されなければ ならない。. (3)子ども自身の考えを使った説明可能性を高めるoこのことが子どもにとっての科学概念の意 味についての認識を成長させる。 (4)子どもが今行っている学習が「科学」に近づいているという実感をもたせる。. 以上の点を配慮した教授論に基づく授業実践が,. 「学習を動機づける信念」を高め、. 「自己制御的. 学習のストラティジー」を駆使する子どもの育成につながるのであるo 表6は「理科で実感させたい価値」と「学習動機」との関係を示したものである。表では縦軸に 「理科で実感させたい価値」として上述の4点を配し、横軸にピントリッチらが示した「学習を動 機づける信念」を配した。 表6. 「理科で実感させたい価値」と「学習動機」との関係 動機づけ. 哩 料. 学 習 で. 実 感 さ せ た しヽ. 価. 値. 自己効力感. 内発的. 価値意識. テスト不安 (目的.目標). 考えを構築 できる. 適切に表現 できる 説明可能性 が高まる. 科学に近づ いている実 感がもてる. このマトリックスは,教師が子どもの学習状況を見とる視点となると同時に、教師は授業進行の 調整を行なうことで、子どもの学びに即した授業デザイン構築ができると考えるo試案として提示 したい。. 4.おわりに 1990年代前半「科学的リテラシー」についての激しい議論がなされたoそして、 はTIMSSによ.って「科学的リテラシー不足」が明らかにされたo. 1990年代後半に. pISA2000の調査によって子どもの. 学力不足が明らかにされて以来、子どもの学力をめぐって激しい議論が巻き起こされているoTIMSS の知識量視の学力評価からpISAの思考重視に子どもの学力についての考え方にシフトしてき′たこ 「学力低下」論に象徴されるTIMSS型の学力重視への根強い主張もあ とは歓迎される点ではあるが, る。これからめ議論の中で、学習に取り組む学びの主体者である子どもの情意面を中心とした議論 が展開されることに期待したい。.
(10) 小野瀬健也・森本. 258. 信也. 引用・参考文献 本文中での文献の引用・参考は著者名、発行年を()内に記載した。また、同一著書・論文から の複数箇所の引用は年号の次に(:)を付しページ数を示したo (欧文) Bell,B.F.. 1981 What. carey,s・. 1985. Anntlal. Dewey,∫.. : some. plant. modular. of the Arnerican. Conference. Frill Report. and. idea・N・ZSc・ience. Research. Teacher,Vol・31. ,. pp・ 10-・14. University■ Press learning. to. approach. to. applied. 1. Association,April,pp.. Report・Univ・ersity. and Summary. Democracy. 1916. children's. in childhood・Harvard. change. ‖Minitheories=A. 1983-1986. CLISP. a. Conceptual. 1987. claxton,a. is. -1. scienceH,paper. the. at. presented. 0. of Leeds i964. p・ 79. Education・Macmi1lan,p・89く軌足理一郎訳『民主主義と教割v. 春秋社) Driver,R.. 1985. Appearances:The. Beyond Children's. Transfbrmations.. to. Approaches. Matter. Physica一. under. Press, pp・145-169. University. Chemical. and. ・ in. Teaching・Constructivism. Science. Education,Lawrence. S・,et・al・ 1981 Who. the ctlrriculurn:teacher. structures. Fensham,P・. Gilbert,).K.,Osborn,A.∫.,and. Educ・aiion,Vol・63,No・2, pp. of heat and temperature.ScienL・e. 1979 Childre去.s conceptions. Erickson,GL.. Open. of. 385-400. EarbaumAssociates.pp.. Freyberg,P・. Ideas ln Science・. Constructivist. Driver,R.1995. Conservation. Children's. I982. or. learner?・N. Science. and. ・. 22 1. -230. ・Z・C・E・R・,set,2・ fわr teaching・Science. its implications. Educatf'on,66, pp. 625-633 Some. 1982. =apps,J・C・. aspects. of. student. understanding. of. New. two. landform・N・ZScienc・e. Zealand. Teac・hers,Vol,32, pp. 4-12 Towards. 1986. Hashweh,M.Z.. explanation. of. Journal. change・Europlan. conceptual. of. Science. No.3, pp. 243-246. Education,Vol.8,. 1978 Physical. Kamii,C.,DeVries,R.. 1973. Lino,M.C.,Peterson,R.W. diverse,and. an. vidually. impaired. in preschool. knowledge. The. effect. yotlrlg. of. direct. education・Prentice-Hall. experience. Children.Journal. of. with. on. objects. ResearL・h. middle. i汚Science. class,culturally. Teaching,Vol・10,. lsstle. -. 1,pp.83-90 1983. Linn,M.C.,Pulos,S.. 1979-1984. osborn,R.. 1980 Some. osborn,R.,et,al Teaching. Working. Children-s. Education,Vol.. conceptions. 1985 The generative. ofEducatt'onPsychology,VQl・75 SELU,University. usage,aptitude. volume:Strategy ,. pp. ・. 86-96. ofWaikato. of the world・Researclh. in Science. Education,Vol・10,. of water・Journal. pp・ 1ト18 in S'',.fence. of the changes. of states. learning. arid its implicatiorl for seierlCe edtlCation・StudieiHb. QrResearch. model. 1 2 pp. 59-87. pintrich,P.A,Marx,R.W.,and M。tivational. view. displaced. lssue9, pp・ 825-838. osborn,R"Wittrock,M.C・ science. No.1-132,. aspects ofstudents・. I983. ,Vol・20,. Paper. in predicting. ditrerences. innuences.Journal. experience. relationship,and Lisp. Male-female. BeliefTs and. ,. Boyle,R.A.1993(Summer) Classroom. Contextual. Beyond. Factors. inthe. Co一d Process. Conceptua一. Change:The. of Conceptual. Role. Change・Review. ・of. of.
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