Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Author(s)
三辺, 正人; 青山, 典生; 玉置, 勝司
Journal
日本口腔検査学会雑誌, 10(1): 3-9
URL
http://hdl.handle.net/10130/4542
Right
Description
総 説
糖尿病・歯周病医科歯科連携における歯周医学に基づいた
検査導入の意義
三辺正人
1)2) *青山典生
1)2)玉置勝司
2)3)1)神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔統合医療学講座歯周病学分野
2)神奈川歯科大学附属病院医科歯科連携センター
3)神奈川歯科大学大学院歯学研究科全身管理学講座
*:〒 238-8580 神奈川県横須賀市稲岡町 82
TEL: 046-822-8855 FAX: 046-822-8855
E-mail: [email protected]
はじめに
糖尿病などの生活習慣病の発症・進行を遅らせ,
健康寿命を延伸させようとする「“ 未病 ” 検査→先
制医療」の概念に基づいた “Productive Aging(生産
性を維持した老化)” の考え方が注目されている
1)。
人生 100 年時代を見据えた慢性疾患合併症の 2 次
予防対策に必要な概念として従来の治療指針の根拠
となっている標準化(平均値)医療(Standardized
medicine) か ら 個 別 化 お よ び 精 密 医 療 モ デ ル
(Personalized or precision medicine)へのシフトが
挙げられる
2,3)(図1)。歯周病やう蝕など口腔保健
衛生が基盤となる口腔領域においても、過去 50 年
近くの間、プラークの染め出し検査に基づく口腔清
掃指導が標準化診療として脈々と実践されてきたが、
今後、プラークの質的検査やそれに影響を及ぼす食
栄養評価などに基づく個別化、精密診療にシフトさ
せていくことで、従来の結果治療(リハビリテーショ
ン)重視から、検査に基づく原因治療重視の医療へ
の変遷を図っていく必要がある。
歯周病と糖尿病の医科歯科連携した包括的診療モ
デルも個別化あるいは、精密な歯科モデルとして、
前者は医療モデルに基づき、また、後者は疾患の管
理と予防に対するアプローチを意図したものである
必要がある。さらに、このアプローチ法は、全人的
医療(Holistic medicine)やレギュラトリーサイエン
スの概念に基づいたものでなければならず、それに
よって包括的視点で患者を診る(検査⇒診断⇒治療、
健康支援)総合診療が可能となる
4,5)(図 2)。以上
のような背景を念頭において、2 次予防としての慢性
疾患重症化予防の見地から、歯周病と糖尿病の医科歯
科連携診療に必要な関連検査をまとめてみた(表 1)。
歯周病と糖尿病の医科歯科連携診療に関連した検査
について
ステージ1の連携開始前には、特に双方の疾患の
未治療や治療中断率を減少させるうえでスクリーニ
ング検査が有用である。歯周病は、糖尿病と双方向
性の関係にあり、糖尿病およびその関連性疾患のリ
スク因子であることが明らかにされてきた
6,7)。ま
た、歯周病検査は、糖尿病および冠動脈疾患のスク
リーニングとして有用であることが報告されており、
特に糖尿病のスクリーニングにおいては、歯周病の
既往に加えて血糖(HbA1c)検査を併用することに
より、高い感度と特異度が得られることが示されて
いる
6,8,9)。最近の糖尿病のいわゆる「未病」検査
としての歯周病スクリーニング検査の有用性に関す
る研究では、前糖尿病状態と歯周病の重症化と全身
炎症やインスリン抵抗性との関連性が報告されてい
る
10-12)。歯科での高血糖患者のスクリーニングと内
科受診推奨の効果を検証した研究においては、血糖
(HbA1c)検査に加えて、歯科施設における糖尿病リ
スク評価と患者教育(強化介入)は、患者の行動変
容を促し、糖尿病リスクを改善させることが示唆さ
れている
13)。著者らが、糖尿病と歯周病の地域連携
のために試作し、利用している医科歯科連携手帳の
糖尿病チェックリストを図 3 右に示した
14)。この他、
糖尿病リスク評価表や糖尿病リスクスクリーニング
表が、歯周病と糖尿病の医科歯科連携診療に関する
図 1 歯科領域も標準化医療から個別化・精密医療の時代へ(文献 2 より引用改変) 細菌叢分析 血液検査 アンケート調査 身体活動状態 食栄養調査 個々の血糖反応の予測 血糖改善の為の個別 化した食事メニュー 個々にあった 食栄養分別 2020年? ~ プラーク、唾液GCFの 細菌、成分分析に基 づくプラークの質検査 食栄養 調査 食栄養指導 →口腔清掃 改善指導 (医科歯科 連携) 原因療法 + → 1970年 ~ 対症療法 プラーク(染め出し) 検査 口腔清掃 指導 →
“Precision Medicine Initiative (PMI)”
標準(ガイドライン)医療:Standardized medicine
個別化医療 :Personalized medicine
精密医療 : Precision medicine
; 人生100年時代を見据えた長期的な慢性疾患 合併症の予防・改善に必要
Zeevi et al. 2015 Cell 163, 1079-1094
⇓
図 2 全人的(全体観的)医療、総合診療、レギュラトリーサイエンスの概念が導入されてきている 表 1 歯周病と糖尿病の医科歯科連携診療の関連検査 -二次予防としての慢性疾患重症化予防の見地から-時期(目的)
概 要
関連検査
連携開始前
(スクリーニング)
医科⇒歯科:歯周病スクリーニング
(糖尿病関連性歯周炎の疑い)
歯周病リスク問診、唾液潜血
歯科⇒医科: 糖尿病スクリーニング
(糖尿病関連性歯周炎の疑い)
糖尿病リスク問診、
随時血糖、HbA1c
連携開始時
(リスクの情報共有)
医科⇔歯科:糖尿病関連性歯周炎の診断基準の策定
(ステージ分類)
感染度、炎症度、
破壊進行度、咀嚼度
連携診療時
(リスクの共有管理)
医科⇒歯科:糖尿病の病状評価
(糖尿病治療に伴う歯周病リスク改善)
(血糖、BMI、血圧、脂質)
メタボリックマーカー
合併症リスク検査
(CKD、網膜症、神経障害、動脈硬化)
歯科⇒医科:歯周病の病状評価
(歯周治療に伴う糖尿病リスク改善)
+ 口腔清掃、自己効力感、
口腔 QOL
歯科⇔医科:ライフステージや治療反応性を考慮した
歯周病リスクコントロール目標値の設定
(cc:高齢者の血糖コントロール目標)
PRA(+ 治療抵抗性、オーラルフレイル)
PRA: Periodontal Risk Assessmemnt
歯科⇔医科:食栄養(糖質、肥満)
(保健指導)
禁煙
食栄養調査、体組成、味覚、唾液
CO 濃度、ニコチン依存症
Holistic medicine:全体観的医療 従来の医学が患部の治療だけに焦点が当てらていた(臓器別医療)のに対し、 体と心、さらには生活環境や社会環境等、患者全体を対象とした治療行為を行おう とする考え方 Comprehensive Medicine::総合診療 人間には体と心があり、あらゆる臓器が有機的に関連するという総合的な視点で 患者を診る必要性が高まった。 Regulatory science: レギュラトリーサイエンス ;科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に エビデンスに基づく予測、評価、判断を行い、 科学技術と社会と人の調和を目指す科学最新の指針に掲載されているので、参照願いたい
15)。
一方、 糖尿病患者においては、歯周病を早期に発見し、
その予防管理とともに感染、炎症の改善と咀嚼機能
回復を図ることが糖尿病の重症化予防とオーラルフ
レイル(フレイルの前ステージとしての咀嚼、嚥下、
滑舌など口腔機能の低下状態)を経た老年症候群の
予防につながる
16)(図 4)。そのためには、医科にお
いて歯周病をスクリーニングして歯科受診を促すと
ともに、重度歯周病患者やドライマウス、味覚異常、
睡眠時無呼吸症候群、オーラルフレイル等をスクリー
ニング可能な問診検査に加えて潜血を含む唾液検査
の利用等が有用である(図 5 に神奈川歯科大学附属
病院医科歯科連携センターで実施している関連検査
項目について示した。表 2 に医科歯科連携を目的と
した歯周病検査項目を示した)。医科施設での特に重
症歯周病患者をスクリーニングするために考案され
た歯周病リスクチェック表を図 3 左に示した。歯周
病重症度の予測確率に基づいた評価では、糖尿病専門
図 3 医科において歯周病スクリーニング ( 左 ) を、歯科において糖尿病スクリーニング ( 右 ) を行う(文献 14 より引用) 図 4 生活習慣病(口腔⇔全身)は老年症候群のリスク因子である(文献 16 より引用)太る(中身) → 老ける(見た目と中身) → 病む(体と心)
医施設受診患者の約 4 割は、重度歯周病患者であるこ
とが報告されている
17,18)。
ステージ 2 の連携開始時においては、双方の疾患
リスクの情報を共有することが重要である。歯周病
は、従来の歯周治療のための重症度あるいは、病態
診断分類から、医科歯科連携診療における歯周治療
のための医科臨床検査に対応した歯周病破壊進行度、
感染度、炎症度、咀嚼機能度の各検査から成る新し
いステージ診断分類を提示するともに、歯周病・糖
尿病専門医連携診療が推奨されるいわゆる「ハイリ
スク歯周病」の診断基準を設定、周知する必要があ
る
14,19)。現在考えられている医科歯科連携の共有
検査指標としては、歯周病の破壊進行度については、
エックス線学的歯槽骨吸収率あるいは骨吸収年齢比、
感染度については、歯周病原細菌検査、
P. gingivalis血漿抗体価検査、炎症度については、高感度 CRP、
歯周ポケット炎症面積(PISA)、咀嚼機能について
は、グミ咀嚼検査などが挙げられる
20 - 23)。PISA は、
HbA1c や高感度 CRP との相関性が報告されており、
著者らも歯周ポケット歯根表面積(CAPRS)が歯周
病重症度や歯周治療後の改善度を表す有用な指標と
なることを報告した
24 - 26)。これらの検査指標を用い
た、いわゆる「糖尿病関連性歯周炎」(日本歯周病学
会歯周病診断分類では、全身疾患関連歯周炎の中の
糖尿病に分類
27))の診断基準の策定が望まれる。
ステージ 3 の連携診療時においては、双方の疾
患リスクの共有管理を行うことが必要である。図
6ab に連携手帳に用いている糖尿病(治療)リスク
図 5 神奈川歯科大学附属病院医科歯科連携センターにおける実施検査項目 表 2 医科歯科連携を目的とした歯周病の検査(歯周病と糖尿病連携の場合)検査法*
連携開始前
(スクリーニング
*1)
(リスク診断
連携開始後
*2)
(リスク管理
連携継続時
*3)
歯科
医科
歯科
医科
歯科
医科
GCF 検査
(GA など)
〇
◎
〇
Pg 抗体価検査
◎
〇
◎
Pg 線毛
遺伝子型検査
◎
〇
唾液検査
(潜血など)
〇
◎
〇
* リスク診断レベル: 部位、歯、個人(患者)、網羅的解析を除外 *1 「糖尿病関連性歯周炎」の疑 *2 感染、炎症、治療抵抗性(難治性)のハイリスク(個別化)診断 *3 病状評価 + 多因子リスク診断(PRA) → リスクコントロール目標の設定全身と口腔の関連検査
・歯周ポケット内炎症面積
・唾液検査システム
・
HbA1c測定
・口腔乾燥検査
・口臭検査
・咀嚼グルコセンサー
など
オーラルフレイルの関連検査
・咀嚼困難感、むせの問診
・嚥下検査
・歯年齢評価
・握力検査
・指輪っか検査
・舌圧検査 ・咬合力検査
・咬合接触検査
など
簡
易
検
査
*フレイル検査 1.問診 2.認知機能テスト 3.うつ病検査 など食事や栄養状態の関連検査
・食事栄養調査 ・生活習慣調査 ・身体計測 ・味覚検査
など
精
密
検
査
・唾液潜血検査
・歯周病細菌検査
・血糖値測定
・滑舌検査
・グミ咀嚼検査
口腔検査指標と生活習慣病お よびオーラルフレイルの指標 の関連の検討 神奈川歯科大学 倫理委員会 2017年10月13日承認 458番としての歯周病健康度評価表と糖尿病の病状評価表
を示した
14,17)。図 6 左は、日常診療での臨床検査
指標を用いて重症度、炎症度、咀嚼力を評価するも
ので、口腔清掃状態(歯磨き習慣)は、生活食習慣
を是正するためのいわゆる「生活療法」の指標とし
て、また、歯科受診状況は、歯周病とともに糖尿病
治療中断のリスクを推測する指標として有用である
28)。医科側では、糖尿病のリスク要因としてのいわ
ゆる「ペリオマーカー」の改善状態を把握すること
ができる。図 6 右の病状評価項目の経時的合計点は、
高感度 CRP 値と相関することが示されており、歯
科側では、歯周病(治療)リスクとしての糖尿病健
康度評価表として利用できる
28)。すなわち、歯周病
のリスク要因としてのいわゆる「メタボリックマー
カー」の改善状態および糖尿病合併症リスクを把握
することができる。今後、医科から歯科へ「糖尿病
関連性歯周炎
27)」の疑い」で紹介する場合の、重症
度、感染度、炎症度、咀嚼能力に関する共通検査指
標の診断基準の策定および、歯科から医科へいわゆ
る「“ 歯周病関連性糖尿病 ” の疑い」で紹介する場合
の血糖をはじめとする「メタボリックマーカーや糖
尿病合併症リスク」に関する診断基準の策定が必要
である。また、連携診療時においては、双方の疾患
リスクの継続管理を行うことが、疾患の重症化、再
発などを抑制して良好な予後を維持することや治療
中断率を減少させるうえで重要となる。超高齢社会
にある我が国においては、医科歯科連携により糖尿
病の「未病」ステージである壮年期以前に糖尿病リ
スクとしての歯周病を発見し、先制医療としての歯
周病管理を行う必要がある
16,29)。また、糖尿病悪化
と脳の糖尿病と称される認知症(認知機能障害を含
む)発症による歯周病発症や悪化という負のスパイ
ラルを防ぐには、医科歯科連携下での糖尿病と歯周
病の定期的管理を継続することが重要である
30)。歯
図 6 (a) 糖尿病(治療)リスクとしての歯周病健康度評価 (b) 糖尿病病状把握のための記入票 評価日 年 月 日 患者名 男・女 ( )歳 <良好> <不良> 1 2 3 点数 咀嚼力 何でも噛める 一部噛めない よく噛めない 現在歯数 20歯以上 10~19歯 9歯以下 深い歯周ポケット 3歯以下 4~7歯 8歯以上 歯周ポケット内出血 9%以下 10~24% 25%以上 口腔清掃状況 9%以下 10~24% 25%以上 歯磨き習慣 3回以上(6分以上) 2回(3~6分) 1回以下(3分以下) 歯周治療中 定期検診中 8~15点 16~19点 20~24点 □ローリスク □リスク □ハイリスク (合計) 自由筆記欄: ④歯科受診状況 定期受診(×2) 不定期受診(×2) 治療中断・初診時(×2) 健康度評価 【コントロール状況】 ①咀嚼・咬合 ②歯周病重症度 ③口腔清掃状態 【コントロール状況】 <良好> <不良> 1 2 3 4 5 点数 評価 ① HbA1c値(%) <6.2 <6.9 <7.4 <8.4 ≧8.4 ② 食後2時間血糖(mg/dl) <140 <180 <200 <220 ≧220 ③ BMI(kg/㎡) <23 <25 <27.5 <30 ≧30 ④ 血圧(mmHg) BPs<130 andBPd<80 BPs<140 orBPd<90 BPs<160 orBPd<100 BPs<180 orBPd<110 BPs≧180 orBPd≧110 LDL-C(mg/dl) <120 <140 <160 ≧160 nonHDL-C(mg/dl) <130 <150 <170 <190 ≧190 HDL-CとTG(mg/dl) and TG<150HDL-C≧40 HDL-C<40 orTG≧150 and TG≧150HDL-C<40 【合併症進行状況】 <無し> <進行> ⑥ 蛋白尿 無し 微量アルブミン 顕性蛋白尿 ⑦ GFR ≧90 ≧60 ≧45 ≧30 <30 ⑧ 網膜症 前網膜症 単純網膜症 前増殖網膜症 増殖網膜症 ⑨ 神経障害 3項目正常 1項目異常 2項目異常 3項目異常 足壊疽既往 ⑩ 動脈硬化症 無し 検査で異常 循環器検査で 明確な異常 脳・心・足の血 管障害の既往 10~14 15~19 20~24 25~29 30~50 1 2 3 4 5 ( ) 糖尿病薬 ( ) 降圧薬 ( ) 高脂血症薬 ( ) 抗血小板薬 ( ) 抗凝固薬 【治療薬の使用状況】 自由筆記欄: 【総合ランク】 合計点 病状ランク ⑤糖尿病病状把握のための記入票
(医師・患者両者が糖尿病の現在の病状を確認する目的のものです) 図 7 歯周医学に基づいた歯周治療いわゆる :“ 歯周医療 ” における歯周病の検査導入の意義(恩恵)歯周治療(従来型)
歯周病の重症化
基本治療
医科紹介
(急性疾患対応)
歯科から医科への紹介
“歯周医療”(歯科医科 連携型)
全身に影響を及すリスクの低減
リスク診断に基づく宿主修飾療法
(Host modulation therapy)
の導入
(個別化医療)
継続連携
(慢性疾患対応)
医科から歯科への紹介
周病のリスク管理法としては、糖尿病や喫煙の影響
も考慮した患者レベルの多因子リスク診断法 (Lang &
Tonetti 2003) が、歯周病リスク評価(Periodontal
Risk Assessment: PRA)に関するシステマテック
レビューにおいても推奨されており、日本歯周病学
会治療指針においても引用されている
31 - 33)。この診
断法の妥当性について日本歯周病学会において歯周
病専門医症例を基にしたデータベースを構築して検
証中である
33)。医科歯科連携での疾患管理は、チー
ム医療で行うことが、レギュラトリーサイエンスの
観点からも効率的である。特定健診と保健指導など
において、喫煙関連歯周炎
27)においては、医科歯科
連携した禁煙指導・支援連携を行うための検査体制
を整備、実施することで、現状に比較して再喫煙率は、
間違いなく抑制できるであろう。また、医師、歯科
医師と共に、保健師や管理栄養士と歯科衛生士など
が、糖尿病療養指導の一環として、食栄養指導・支
援を行う体制づくりも急務である。特に糖質、肥満
のコントロールは、医科歯科連携で行う生活習慣病
対策としてルーチンに実施すべきである
35)。うま味
感度障害は、心血管疾患、レプチン抵抗性に起因す
る肥満と関連しており、また、口腔から腸にわたる
消化管の味覚受容器は、インクレチン分泌と密接に
関連していることから、うま味検査を医科歯科共有
の検査指標として、食栄養指導支援において活用す
べきと考える
27,36)(図 5)。
おわりに
今後、歯周病・糖尿病医科歯科連携診療指針の策
定のためには、①必要な検査システムの標準化とデー
タベース構築と管理を行う体制づくり、②歯学部附
属病院の口腔検査外来や臨床研究センターを中核施
設とした地域医療連携システムのネットワークを構
築し、医科歯科での専門医連携とかかりつけ医(総
合診療医と口腔健康管理専門医)連携の双方向の円
滑化を図る、などが必要となると考える。慢性疾患
重症化予防のための医科歯科連携診療において、以
上の歯科医科連携下における歯周医学に基づいた検
査のシステム化と臨床導入においても、日本口腔検
査学会が主導的役割を果たしていくことが望まれる
(図 7)。
参考文献
1) Kennedy BK, Berger SL, Brunet A, Campisi J, Cuervo AM, Epel ES, Franceschi C, Lithgow GJ, Morimoto RI, Pessin JE, Rando TA, Richardson A, Schadt EE, Wyss-Coray T, Sierra F: Geroscience: linking aging to chronic disease, Cell,159:709-713, 20142) Zeevi D, Korem T, Zmora N, Israeli D, Rothschild D, Weinberger A, Ben-Yacov O, Lador D, Avnit-Sagi T, Lotan-Pompan M, Suez J, Mahdi JA, Matot E, Malka G, Kosower N, Rein M, Zilberman-Schapira G, Dohnalová L, Pevsner-Fischer M, Bikovsky R, Halpern Z, Elinav E, Segal E: Personalized Nutrition by Prediction of Glycemic Responses, Cell, 163:1079-1094, 2015 3) Mark Bartold P, Van Dyke TE: Host modulation: controlling the inflammation to control the infection, Periodontol 2000, 75:317-329, 2017 4) 日経メディカル 2018/1/23:総合診療という新専門領域 の確立の意義は大きい http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/ t294/201801/554552.html?n_cid=nbpnmo_mled_html-new-arrivals 5) Slots J: Low-cost periodontal therapy, Periodontol 2000, 60:110-137, 2012 6) 日本歯周病学会編:細胞・分子レベルのメカニズム、歯周 病と全身の健康、医歯薬出版、東京、88-91、2016 7) Chiu SY, Lai H, Yen AM, Fann JC, Chen LS, Chen HH:
Temporal sequence of the bidirectional relationship between hyperglycemia and periodontal disease: a community-based study of 5,885 Taiwanese aged 35-44 years (KCIS No. 32), Acta Diabetol, 52:123-131, 2015 8) Lalla E, Kunzel C, Burkett S, Cheng B, Lamster IB:
Identification of unrecognized diabetes and pre-diabetes in a dental setting, J Dent Res, 90:855-860, 2011 9) Janket SJ, Qvarnström M, Meurman JH, Baird AE,
Nuutinen P, Jones JA: Asymptotic dental score and prevalent coronary heart disease, Circulation, 109:1095-1100, 2004 10) Demmer RT, Jacobs DR Jr, Singh R, Zuk A, Rosenbaum M, Papapanou PN, Desvarieux M: Periodontal Bacteria and Prediabetes Prevalence in ORIGINS: The Oral Infections, Glucose Intolerance, and Insulin Resistance Study, J Dent Res, 94(9 Suppl):201S-211S, 2015 11) Teeuw WJ, Kosho MX, Poland DC, Gerdes VE, Loos BG: Periodontitis as a possible early sign of diabetes mellitus, BMJ Open Diabetes Res Care, 5:e000326, 2017 12) 髙瀬雅大、青山典生、加藤浩一、三辺正人:医科歯科連携 における前糖尿病と歯周病の関連、日本歯周病学会誌、in press 13) Lalla E, Cheng B, Kunzel C, Burkett S, Ferraro A, Lamster IB: Six-month outcomes in dental patients identified with hyperglycaemia: a randomized clinical trial, J Clin Periodontol, 42:228-235, 2015 14) 三辺正人、栗林伸一:糖尿病と歯周病の医科歯科連携促進 への対応策―千葉県保険医協会発:糖尿病と歯周病の医科 歯科連携手帳の紹介―、Practice、医歯薬出版、30:777-782、2013 15) Sanz M, Ceriello A, Buysschaert M, Chapple I, Demmer RT, Graziani F, Herrera D, Jepsen S, Lione L, Madianos P, Mathur M, Montanya E, Shapira L, Tonetti M, Vegh D: Scientific evidence on the links between periodontal diseases and diabetes: Consensus report and guidelines of
the joint workshop on periodontal diseases and diabetes by the International Diabetes Federation and the European Federation of Periodontology, J Clin Periodontol, 45:138-149, 2018 16) 三辺正人、青山典生、玉置勝司、栗林伸一:医科歯科連携 の重要性と実際、月刊糖尿病、9:79-89, 2017 17) 三辺正人、吉巻友裕、山本裕子、宮内里美:医科歯科連携 の現状 歯科大学附属病院での取り組み、歯科発アクティ ブライフプロモーション 21、デンタルダイヤモンド社、 東京、138-145, 2017 18) 三辺正人、高野聡美、原井一雄、漆原譲治、栗林伸一:歯 周病リスク診断法の考案と糖尿病患者の歯周病スクリーニ ングへの応用、日本口腔検査学会雑誌、5:3-11, 2013 19) Tonetti MS, Jepsen S, Jin L, Otomo-Corgel J: Impact of the global burden of periodontal diseases on health, nutrition and wellbeing of mankind: A call for global action, J Clin Periodontol, 44:456-462, 2017 20) 西村英紀、山崎和久、野村慶雄、三辺正人、宮田隆、森田 学:歯周病の重症度別分類策定 WG 最終報告書、日本歯 周病学会会誌、53:197-200、2011
21) Liljestrand JM, Gursoy UK, Hyvärinen K, Sorsa T, Suominen AL, Könönen E, Pussinen PJ: Combining salivary pathogen and serum antibody levels improves their diagnostic ability in detection of periodontitis, J Periodontol, 85:123-131, 2014 22) 永井淳:歯周病細菌に対する抗体価検査、日本口腔検査学 会雑誌、2:22-36, 2010 23) 河野寛二、工藤値英子、原井一雄、三辺正人:重度歯周炎 患者のスクリーニングを目的とした喫煙歴の有無を加味し た歯周病原細菌関連検査の有用性に関する検討、日本口腔 検査学会雑誌、9:3-9, 2017 24) Nesse W, Linde A, Abbas F, Spijkervet FK, Dijkstra PU, de Brabander EC, Gerstenbluth I, Vissink A: Dose-response relationship between periodontal inflamed surface area and HbA1c in type 2 diabetics, J Clin Periodontol, 36:295-300, 2009 25) Susanto H, Nesse W, Dijkstra PU, Hoedemaker E, van Reenen YH, Agustina D, Vissink A, Abbas F: Periodontal inflamed surface area and C-reactive protein as predictors of HbA1c: a study in Indonesia. Clin Oral Invest. 16:1237-1242, 2012 26) 三辺正人、長岐祐子、秋葉順子、滝沢秀彦、漆原譲治、野 村義明:歯周病の全身疾患関連検査マーカーとしての歯周 ポケット面積評価法の臨床的意義、日本口腔検査学会雑誌、 1:7-12、2009 27) 日本歯周病学会編:歯周病とは、歯周治療の指針 2015、 医歯薬出版、東京、8-17、 2016 28) 岩岡秀明、栗林伸一:歯科との連携、知らなかったでは済 まされない ! 糖尿病コンサルトの掟 歯科との連携、金原 出版、東京、101-111、 2016 29) 栗原英見:専門家集団としての学会がとるべき戦略、歯界 展望、医歯薬出版、127:864-869、2016 30) 工藤値英子、三辺正人:口腔フレイル対策,歯科受診・ 治療の重要性(歯科の立場から)、ここが知りたい ! 高齢 者糖尿病診療ハンドブック、中外医学社、東京、65-72、 2017 31) Lang NP, Tonetti MS: Periodontal risk assessment (PRA) for patients in supportive periodontal therapy (SPT), Oral Health Prev Dent, 1:7-16, 2003 32) Lang NP, Suvan JE, Tonetti MS: Risk factor assessment tools for the prevention of periodontitis progression a systematic review, J Clin Periodontol, 42 Suppl 16:S59-70, 2015 33) 日本歯周病学会編:サポーティブペリオドンタルセラピー (SPT)とメインテナンス、歯周治療の指針 2015、医歯薬 出版、東京、71-75、2016 34) 稲垣幸司:重度歯周病患者の歯周治療の効果に影響を及ぼ す因子に関する後ろ向き多施設研究、日本歯周病学会 企画調査研究報告書(2012 年度) http://www.perio.jp/ member/assist/
35) Genco RJ, Genco FD: Common risk factors in the management of periodontal and associated systemic diseases: the dental setting and interprofessional collaboration, J Evid Based Dent Pract, 14 Suppl:4-16, 2014
36) Mizuta E, Kokubo Y, Yamanaka I, Miyamoto Y, Okayama A, Yoshimasa Y, Tomoike H, Morisaki H, Morisaki T: Leptin gene and leptin receptor gene polymorphisms are associated with sweet preference and obesity, Hypertens Res, 31:1069-1077, 2008