Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
短波長紫外線照射処理チタンインプラントの周囲支持骨
に対するマイクロCTによる骨形態計測評価
Author(s)
山崎, 真; 山田, 将博; 櫻井, 薫
Journal
歯科学報, 111(4): 426-426
URL
http://hdl.handle.net/10130/2547
Right
目的:これまでにチタン合金をアルカリ性の活性酸 素系義歯洗浄剤に浸漬すると,純チタン(TI),Ti-6Al-4V(TAV),Ti-7Nb-6Al(TNB)合 金 で は 合 金構成元素の溶出を伴って表面光沢度が減少し,変 色することを報告した。また,Ti-20Cr 合金(TCR) では変色程度は他の合金より小さく,Ti や Cr の溶 出もわずかであった。しかし,義歯洗浄剤への浸漬 による変色程度の異なるチタン合金の表面状態につ いては明らかになっていない。本研究では,アルカ リ性の活性酸素系義歯洗浄剤に浸漬した種々のチタ ン合金のX線光電子分光分析(XPS)およびオー ジ ェ 電 子 分 光 分 析(AES)に よ る 表 面 分 析 を 行 い,義歯洗浄剤に浸漬したチタン合金の表面構造に ついて検討を行った。 方法:チタン合金として,TI,TAV,TNB および TCR を選択し,鏡面まで研磨した。義歯洗浄剤に は,活性酸素系義歯洗浄剤(赤ピカ,松風)1袋を 100mL の蒸留 水 に 加 え,溶 解 さ せ て 用 い た(pH 11.3)。それぞれの合金を義歯洗浄剤に浸漬し, 37℃で7日間静置した。7日後,溶液中より試料を 取り出し,蒸留水中で超音波洗浄し,表面化学状態 を XPS で,深さ方向の元素濃度を AES で分析し た。 成績および考察:XPS 測定の結果,義歯洗浄剤に 浸漬したチタン合金表面に検出された元素はそれぞ れの合金構成元素の他に,C,O,Na,Ca および P であった。Ti2p XPS スペクトルを見ると,すべて の合金は浸漬前にはチタンの金属状態(Ti0 )と酸 化状態(Ti2+,Ti3+,Ti4+)が検出され,合金表面が 酸化被膜で覆われていた。浸漬後,変色程度の小さ かった TCR では Ti0 が認められたが,変色程度の 大きかった TI,TAV および TNB では Ti4+ のみが 検出され,表面が酸化していることが明らかになっ た。AES による深さ方向の元素分析の結果,TAV および TNB の表層では合金構成元素と酸素濃度は 一定であったが,深部では酸素濃度の減少とともに 合金構成元素濃度が増加した。一方,TCR では表 層から酸素濃度の減少と合金構成元素濃度の増加が 認められた。このことから,変色程度の大きいチタ ン合金では表面の酸化被膜の厚みが増大していた。 以上の結果より,アルカリ性の活性酸素系義歯洗浄 剤にチタン合金を浸漬すると,いずれのチタン合金 表面も酸化されるが,変色程度の大きい TI,TAV および TNB では酸化被膜が厚く,変色程度の小さ い TCR では酸化被膜が薄いことが明らかになっ た。 目的:インプラント−骨界面部のみならず,それを 裏打ちする周囲支持骨の量,質および構造はインプ ラントの骨結合強度と長期安定性とを決定する。近 年,短波長紫外線(UVC)照射前処理により,チ タン表面へのタンパク吸着や骨芽細胞接着およびそ の増殖が向上し,インプラントの骨結合強度および インプラント−骨接触率が著しく亢進することが明 らかとなった。一般的に骨芽細胞増殖活性の向上 は,生体材料周囲の骨形成量の増加をもたらすと考 えられている。しかし,インプラント周囲支持骨の 量,質および構造に関して UVC 照射処理の及ぼす 影響は未だ不明である。本研究の目的は UVC 照射 処理チタンインプラントの周囲支持骨の骨量および 骨質をマイクロ CT による骨形態計測を用いて評価 することである。 方法:試料として,酸 処 理 表 面 を 有 す る 直 径4.1 mm,骨内部5.0mm のグレードⅡ商業用純チタン 製インプラントを用いた。UVC を3mW/cm2 で48 時間照射したインプラント(UV)と,未照射イン プラント(UT)を17週齢雄ウサギ(日本白色種3 ∼3.5kg)の左右大腿骨にそれぞれ埋入した。術後 3週で屠殺し,標本採取を行った後,マイクロ CT (HMX 225 Actis 4, Tesco, Tokyo, Japan)撮影を 行った。得られたデータから三次元立体構築を行 い,骨質骨形態計測ソフト(TRI/3D-BON, Ratoc, Tokyo, Japan)にて解析を行った。インプラント埋 入部内側皮質骨より骨髄側1mm までの範囲を解析 し,インプラント表面から0∼100μm を近傍領域, 100∼500μm を遠方領域として関心領域を設定し た。計測項目は骨形成量(BV/TV:%),骨塩密度 (BMD:mg/cm3 )とした。統計解析としてマン・ ホイットニーのU検定を行った(α=0.05)。 成績および考察:近傍および遠方領域において,治 癒3週後における BMD の値に関して,UT と UV 間で差はみられなかった。一方 BV/TV に関して, 近傍領域では差はなかったが,遠方領域では,UV インプラントの値は UT インプラントの値よりも大 きかった。今後,より長期の治癒期間を設定したサ ンプルを用いた構造解析およびそれを裏付ける細胞 生物学的精査が必要である。