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外来種フタモンテントウの日本における生態に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)博士学位論文. 外来種フタモンテントウの日本における生態に関する研究. 平成 1 9年 3月. 近畿大学大学院農学研究科 農学専攻. C f 旨導:棲谷保之教授). 松本宣仁.

(2) (和文題目) 外来種フタモンテントウの日本における生態に関する研究. 近畿大学大学院農学研究科 農学専攻. 松本宣仁 (指導:棲谷保之教授). (英文題目) 百l e坑u d yo fe c o l o g yo fa 1 i e ns p e c i e s , A d a l i ab伊u n c t a ωL . ,i n J a p a n. Y o s h i h i t oM a t s u m o t o. , 2 0 0 7 March. G r a d u a t eS c h o o l , K i n k iU n i v e r s i t y D i v i s i o no f A g r i c u l t u a lS c i e n c e r : E n t o m o l o g y M司o ( A d v i s o r : P r o f .Y a s U ) ' l . 北i S 北四百阻血).

(3) 目次. 第 l章緒言・・・・・. 第 2章 材 料 と し て の フ タ モ ン テ ン ト ウ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4. 第 3章. 日本におけるフタモンテントウの生活史,個体数の季節的・年次的変動 お よ び 在 来 種 と の 種 間 関 係 ・ ・8 •8. はじめに. •8. 第 l節 発 生 消 長 と 分 布 調 査. •8. 1.目的・・・・・. 2 .調査場所と調査方法・.. ・1 0. 3 .結果・・・・・・. ・1 1. 1)発生消長・・・. ・1 1. 1999年・. . 1 1. 2 0 0 0年・.. •1 2. 2 0 0 1年・・・. ・1 2. 2 ) 分布状況・.. ウ r. ti. 第 2節. ••. -. 4 .考察・・. ・1 6. フタモンテントウの越夏・越冬時の生態・・・・・・・・・・・・ 1 8. 円口. 的. 2 .調査場所と調査方法・.. •1 8. ・1 9. 3 .結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 0. 4 .考察・ 第 3節. . 2 6. フタモンテントウと在来テントウムシとの野外における種間関係・・ 2 8. 同 ロ. 的. . 2 8. 2 .調査場所と調査方法・-. ・2 8. 3 .結果・. ・29. 4 .考察・. . 3 0.

(4) 第 4章飼育実験によるフタモンテントウの生理的特性の解析・. ・3 4. はじめに・ 第 1節. .34. フタモンテントウの累代飼育・・. .34. 同ロ. 的. .3 4. 2 .実験材料と実験方法・. •3 5. -代替餌の選抜・・. •3 5. .累代飼育条件の確立・. ・3 6. 3 .結果・・. ・3 6. -代替餌の選抜・・・.. . 3 6. ・累代飼育条件の確立・.. ・3 7. 察 考. A斗. 第 2節. フタモンテントウの温度と発育の関係,増殖能力・. . 3 8. •3 9. 問 ロ. 的. ・3 9. 2 .実験材料と実験方法・-. ・3 9. 3 .結果・. .39. 4 .考察・. .44. 第 5章在来テントウムシとフタモンテントウの種間関係の室内実験による解析・ 4 8 1.目的・・. .48. 2 .実験材料と実験方法・-. .48. 3 .結果. .49. a )死亡率・. .49. b )発育日数・・. .50. 4 . 考察・. ・5 4. 第 6章 総 合 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 56.

(5) 引 用 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 63. 調括宇・・・・・・・・・・・・・・・7 2. 論 文 要 旨 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・7 3. 論 文 目 録 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・7 7. Summary.. ・. ・ 79.

(6) 第 1章 緒 言. テントウムシ科の昆虫 ( C o l e o p t e r a :C o c c i n e l l i d a e ) には数多くの種が含まれ,世界で 約5 0 0 0種,現在日本では在来および外来種合わせて 1 8 0種ほど知られている(佐々治, 1 9 9 6 ).我が国では 1 9 8 5年以降, 1 0年間で約 1 0種のテントウムシが新たに記録され. ており,その半数以上の種が国外からの外来種であると考えられている(佐々治, 1 9 9 2 ). 外来種(Al i e nS p e c i e s ) とは意図的・非意図的に関わらず人為的手段によって過去およ び現在の自然分布域外から移動してきた生存し繁殖することが可能な種のことを指す 0 0 2 ).外来種のうち,特にその導入または拡散が在来生態系およびそ (村上・鷲谷, 2. v a s i v ea l i e ns p e c i e s ) (生物多様性条 の生物多様性を脅かす種のことを侵略的外来種(In 約第 6回締約国会議, 2 0 0 2 ) といい,重要な外来種問題として注目されている. 意図的なものによる例として,農業における有効な花粉媒介昆虫として導入された セイヨウオオマルハナパチ Bombust e r r e s t r i s( L i n n e u s ) .はマルハナバチ類の中で、もとり わけ大きな競争力を持つ種で、ある.このセイヨウオオマルハナバチは在来のマノレハナ バチを衰退させ,野生植物の繁殖にも悪影響をおよぼすことが懸念されていることか ら,カナダやアメリカ合衆国では輸入が禁止されている(鷲谷・松社 2 0 0 2 ;鷲谷, 1 9 9 8 ) . 他の例としてはアゲハチョウの仲間であるホソオチョウ S e r i c i n u sm o n t e l aG r a yがあげ られる.このチョウは現在,関東・中部・関西・中国・九州に分布していることが確 認されている.しかし,本来このチョウは朝鮮半島 中国,沿海外│に生息するチョウ であり飛期力も弱く移動性もほとんど無いとことから,外国から意図的に持ち込まれ た個体が放蝶されたものと考えられている.ホソオチョウはウマノスズクサ. A r i s t o l o c h i ad e b i l i sS i e b .e tZ u c cを食草としていて,同じくウマノスズクサを食草とする 在来種のジャコウアゲ、ハ A t r o p h a n e u r aa l c i n o 郎氏l u g ) への影響が危倶されている(小路, 1 9 9 7 ;藤井 2 0 0 2 ;桜谷・菅野, 2 0 0 3 ). テントウムシ類には,農作物の大害虫であるアブラムシやカイガラムシを捕食する 天敵が多く見られるため,農林上有益な昆虫として国内外で害虫防除に利用されてお り,外国から害虫防除に有用な種を輸入して導入しているケースも少なくない.代表 的な例としてはベダリアテントウ R o d o l i ac a r d i n a l i s(M u l s a n t )があり,柑橘類の大害虫. c e りl ap u r c h a s i(M出:k e l l )の天敵として日本でも 1 9 1 1年に導入さ イセリアカイガラムシ I.

(7) れ,大きな成果をあげている(安松, 1 9 7 0 ) .ベダリアテントウは基本的に本種の導入 の目的となった外来種のイセリアカイガラムシしか捕食しないため,ベダリアテント ウの導入は定着後も在来の生態系や生物多様性にほとんど影響を与えることのなかっ た稀な例であると思われている.例えば,本種の導入によってある種の捕食性テント ウムシが駆逐されたといった報告は見られなして桐谷, 1 9 8 6 ) . 逆に害虫防除のために導入したテントウムシによって在来生態系に、深刻な影響を 与えてしまった例もある.近年,大きな問題になった例として,北米においてアブラ ムシ防除のために大規模に導入されたナミテントウ Harmoniaa x y r i d i s( P a l l 出)やナナホ シテントウ C o c c i n e l l as ψ' t e m p u n c t a t aL i n n a e u sによる在来種への影響がある.ナミテン トウは 1990年半ばに導入された後,未加司地域にも侵入・定着し 1993年から 1994 年にはオレゴン州で大発生し,樹上テントウムシ個体数の約 70%を占めるようになっ た(環境庁水質保全局, 1 9 9 9 ) .ナナホシテントウは 1 9 5 8年にアメリカに導入された後, 1 9 7 3年にはその定着が確認され,メーン ( M a i n e ) 州のある農場で 3 1年間に渡って行. われた調査によると, 1980年にはナナホシテントウ 6 . 1 %で残りは 2種の在来テン トウムシで構成されていたテントウム、ン類群集が, 2001 年にはナナホシテントウとナ ミテントウで 60 %以上を占めるまで、になっていることが報告されている.これらの 種は在来テントウムシであるフタモンテントウ Adaliab抑m c t a t a( L i n n a e u s ) やココノホ o c c i n e l l an o v e m n o t a t aH e r b s t ,C o c c i n e l l at r a n s v e r s o g u 仰的( F a l d e n n a n n )を衰 シテントウ C. 退させ,優占的な種となっていることが判明している ( S c h a e f e re ta l .,1 9 8 7 ;Marediae ta l ., 1 9 9 2 ;Wh e e l e randHoebeke ,1 9 9 5 ;E l l i o te ta , . l1 9 9 6 ;EvansandEngland ,1 9 9 6 ;Brownand. ,1 9 9 8 ;E l l i se ta ム 1999;Staineseta l .,1 9 9 0 ;Brown,2 0 0 3 ;T u r n o c ke ta , . l2 0 0 3 ; M i l l e r A l y o k l 由1a ndS e w e l l , 2 0 0 4 ; ) .. 日本で、も近年外来種問題についての関心が高まっており,外来テントウムシについ てもさまざまな研究が行われている.フタモンテントウ ( S 北 町a 加止 1994;桜谷, 1998b; S北 町a 旬凶 e ta l ., 2 0 0 0 ;MatsumotoandS a k u r a t a n i , 2 0 0 6 ;TodaandS a k u r a t a n i , 2 0 0 6 )・ノ¥イイ. l l av n i g r u m(M 叫回n t )( T o d aandS北 町a 阻n i ,2005) ・クモガタテントウ ロテントウ O P s y l l o b o r av i g i n t i m a c u l a t a( S a y ) (桜谷・松本, 2 0 0 2 ) ・ミスジキイロテントウ B rumoides y a t a k e(大橋ら, 1 9 9 5 ) など,農作物に害を与えないとされているテントウムシ o h t a iMi. についてはその分布や生態,種間関係について,マメ科植物の害虫であるインゲンテ. 2.

(8) ントウ E p i l a c h n av a r i v e s t i sM u l s a n tではその生態だけではなく発生状況や有効薬剤,天 敵について,防除の面からの研究が行われている C F u j i y a m ae ta , . l1 9 9 8 ;Abee ta , . l2 0 0 0 ). 本研究は外来テントウムシであるフタモンテントウの日本における生活史や生理 的特性,在来テントウムシに対する影響について明らかにすることを目的として行な った. 第 2章ではフタモンテントウとの,海外での分布状況や生活史,生態的特性などに ついて調べ,このテントウムシが持つ基本的な性質について検討した.第 3章では日 本国内におけるフタモンテントウの生活史や在来種との種間関係について明らかにす るために野外調査を行ない, 日本産の個体群の野外における生態にどのような鞘敷が あるかを明らかにした.第 4章ではフタモンテントウの飼育実験を行ない,その食性 や温度による発育特性などの生理的特性を解明することを目的とした.第 5章では在 来種とのギルド内捕食などの直接的な種間関係について明らかにし,在来種との種間 競争の様式について論じた.第 6章の総合考察では各章の結果をもとにフタモンテン トウの在来テントウムシに対する影響や今後日本においてフタモンテントウがどのよ うな分布や生活史などを示してゆくかについての推察を行なった.. 3.

(9) 第 2章材料としてのフタモンテントウ. 本研究において研究対象としたルイステントウ Adalia属のフタモンテントウ A b伊u n c t a ωも外来種の l種である.本種の成虫は体長 5醐前後の樹上性テントウムシで. あり,和名のとおりオレンジ色の麹鞘の地色に黒点が 2つあるタイプが多いが,欧米 では他のタイプも知られており,その多様さはナミテントウに匹敵するほどである ( L u s i s ,1 9 3 2 ) (図1). 日本では大部分は 2紋タイプであるが,黒地に 4個または 6. 個の紋があるタイプなども記録されている(図 2 ). 本種はヨーロッパ,アジア,北米に広く分布しており, 1968年にはロシア共和国の F r a z e ra n dMcGregor ,1 9 9 2 ;H a m a l a i n e n nandMarkkul , a モスクワでも確認されている ( 1 9 7 7 ;HodekandHone , k 1971, 1 9 9 6 ;HonekandKocourek ,1 9 8 8 ;O b r y c k iandT a u b e r ,1 9 8 1 ;. ,1 9 7 0 ) ( 図 3 ) . ヨーロッパで、はナナホシテントウと並ぶ普通種であり,果 Semyanov 樹園などではアブラムシ防除のための天敵として利用されており,多くの研究が行わ 9 9 6 ) . わが国ではもともとは生息生息していな れている(例えば:HodekandHonek,1. かったが(佐々治, 1 9 9 2 ),1 9 9 3年に大阪市住之江区南港中央公園(北緯 3 4 . 6 ,東経 0. 0. 1 3 5. 4 ,海抜 5m,面積 2 5 h a ) で日本で最初に発見された ( S 北四百組瓜 1 9 9 4 ) . また,文. 献から得られた地理的分布を見る限り, 日本はフタモンテントウの分布域の南限にあ ) . たることが認められる(図 3. 本種はヨーロッパで、は樹皮下などで成虫越冬することが知られており(例えば: HodekandHone , k1 9 9 6 ),船により木材などの輸入物資とともに移入された可能性が高. い.長い休眠期を持つ種にとってこの期間は活動を行わず,餌も必要ないために長期 間,長距離の移動に耐えることが可能であり,分布範囲を拡大するための機会でもあ. , k る.本種の北米やヨーロッパの個体群は基本的に多化性で、あり (HodekandHone 1 9 9 6 ),春に越冬から覚醒した成虫は,春から秋にかけて数回世代を繰り返し,晩秋に. 成虫で越冬に入る.なお,ヨーロッパの中で、も北欧で、は夏季 l化であるが (Hamalainen, 1 9 7 6 ),これは北欧の気候は夏季以外では気温が低く,平均気温が 1 5Cを超えるのは 0. eG l o b a lH i s t o r i c a lC l i m a t o l o g yN e t w o r k ), 夏季のわずかな期間だけであることから(百l. その気候に適応したためだと思われる.本種は基本的に樹上性ではあるが,豆類や ( B a n k s ,1 9 5 5 ),ジャガイモ上のような ( B i r c he ta , . l1 9 9 7 ) 草本性の作物でも生活して. 4.

(10) おり,餌であるアブラムシについてもジェネラリスト的な食性であることが知られて いる ( A g a r w a l ae ta l,1 9 8 7 ;B lackm a n , 1 9 6 5, 1 9 6 7 ;Hodeka n dHonek ,1 9 9 6 ;M i l l s ,1 9 8 1 ; S m i t h ,1 9 6 5 ) .すなわち図 3からも明らかなようにフタモンテントウは世界的に見て分. 布範囲が広く,餌条件などに関する環境適応能力はかなり高いものと思われる.. 5.

(11) . , ,. S ". s .S~. . .. S'S. Sm. ' ' '5m. s P s P. ・: , .Sa. ,,. 5 ' 's P. sms. 。,. l u S" 'S. m. 、 -. s Ps ". , . 。. S '' ' S. s. a g. S 'S. u u Sl " '. Sl. 、 s. . .. , ". S. 。. 。 . , S' MS. S" 'S. m . .. 。 、 .SE. <. < S' S. . t St. 'S. 1 , . . 1 5' 1 5 ". ,. 1.1 S'. a g z. s s. 5. 3. s. s ‘ z. a s. s '~. s. s . , $ " " ,. . .. . , . sd. d. 。 , .. d s. 。 。 ,. S-. d. SiSd. ‘ s. , ‘. ,. s ' t ‘. 。 ,. S. a. 図 1フタ モンテン トウの持つ多様な斑紋型. ( Lus i s ,1 93 2 ) (黒枠で、囲つである紋型が日本でも よく確認されているタイプ). 。a , . ,. . ,,. "s.

(12) 図 2 . 日本で観察されたフタモンテントウ成虫. (大阪府大阪市住之江区南港中央. 公園で撮影). 図 3フタモンテントウの世界分布図. (黒塗り部分) (Semyanov ,1 9 7 0 ;Hodeka n dHonek , 1 9 7 1 ;O b r y c k ia n dT a u b e r ,1 9 8 1 ;F r 位 町 組dM cGregor ,1 9 8 8 ;Honek佃 dK o c o u r e , k 1 9 8 8 :H叩 叫 叩lennandM 紅比山、 1 9 7 7 : S 北 町a t 組 i ,1 9 9 4 などによる). 7.

(13) 第 3章. 日本におけるフタモンテントウの生活史,個体数の季節的・年次的変動 および在来テントウムシとの種間関係. はじめに. h o r o d o nh u m u l i フタモンテントウはヨーロッパや北米で、は,ホップイボアブラムシ P ( S c h r a n k ) やヨーロツノ《リンゴアブpラムシ A p h i spomi(D e G e e r )のような樹木寄生性アブ ωp e r s i c a e( S 叫z e r ) やオオバコアブラムシ ラムシだけでなくモモアカアブラムシ Myz. 砂s ゅ 加p l a n t a g i n e a(P出回r i n e )のような草本植物に寄生するアブラムシまで,さまざま. な種のアブラムシを餌としている(Blackma n , 1965, 1 9 6 7 ;Wysse ta l .,1 9 9 9 ) . しかし, 日. c e rb u e l 宮e r i a n u mMiquelに寄生するイタヤニタイケ 本では幼虫・成虫ともトウカエデ、 A アブラムシ P e r 伊 ,h y l l u sv i r i d i s(Matsum 凹ヨ),シャリンパイ R a p h i o / ' ψi si n d i c a( L . )L i n d . lex. m b e l l a t a(Th u n b .e xM u r r a y )O h a s h i に寄生するナシミドリオオアブラムシ Kerv a r .u N宇 l j J o l a c h n u sp i r iMatsum 町 aなどを主に捕食しているだけである ( S a k u r a t a n ie ta , . l2000).. また,フタモンテントウが生息する北米やヨーロッパの気候,特に夏季の気温は日本 にくらべて低く,春から秋にかけて数回世代を繰り返している.しかし,北米やヨー ロッパにくらべて高温多湿な気候環境にある日本で,越夏という北米やヨーロッパの S 北田百回世 e ta l ., 2 0 0 0 ) .発見から 個体群には見られない現象を示していることが分った(. 現在まで 1 0余年程度しか経過しておらず,また分布域も限られているため,日本での 詳細な生態は十分に解明されていない. そこで,この章では野外調査を行うことによって,ブタモンテントウの日本国内で の発生消長や休眠時の生態,在来テントウムシとの種間関係について明らかにするこ とを試みた.. 第 1節発生消長およて昇分布調査. 1.目的 日本の気候条件は高温多湿であり,フタモンテントウの原産地である北米やヨーロ ッパの気候条件と比較すると夏季の気温はかなり高し、(表1) ( 百l eG l o b a lH i s t o r i c a l C l i m a t o l o g yN e t w o r k ).これまでの研究で明らか l こなっている生息地としては大阪は南. 8.

(14) 限であり, 日本におけるフタモンテントウの生態はヨーロッパ個体群や北米個体群の ような多化性(化性タイフ.o m :Hagen,1962) とは異なる可能性が高い.そこで本種の 生息地である大阪市南港中央公園でフタモンテントウを調査しその発生消長や休眠 時の生態について調査した.また,本種とともに在来の捕食性テントウムシについて も調査しそれらとの種間関係について検討した.. 表1.フタモンテントウの日本における生息地と海外における主な分布地の 夏季の月平均温湿度の比較. C)/ 湿度(%) 温度 C 0 4 . 7 0 北緯 3 0 (大阪)束怪 1 3 5 . 5 0. 日本. 0 .5 2 北緯 51 0 (ロンドン) 西経 N0. 10 0 カナダ 北緯 4 3 . 7 0 0 (トロント)西経 7 9. 4 0. 6月. 7月. 8月. 9月. 2 2. 2 / 7 2 . 0. 2 6 . 5 / 7 9 . 7. 2 7 . 6 / 81 .7. 2 3 . 7 / 7 4 . 7. 1 6. 2 / 6 1. 2. 1 8 . 9 / 6 6 . 0. 1 8 . 5 / 6 5 . 3. 1 6 . 0 / 6 0 . 8. 1 7 . 8 / 6 4 . 0. 2 0 . 8 / 6 9. 4. 1 9 . 9 / 6 7 . 8. 1 5 . 8 / 6 0. 4. .6 / 7 0 . 9 21. 2 4. 4 / 7 5 . 9. 2 3 . 5 / 7 4 . 3. 1 9 . 5 / 6 7. 1. イギリス. 目“““'‘+‘酔+酔. ‘“‘+‘晶目‘+‘町酔+. 目 “. 目“ “ ‘ ・ + 酔4 ・ + 酔. 酔. 酔. 0 8 . 9 5 北緯 3 0 (ワシントン D .C.)西経 7 7. 45. アメリカ 酔‘“. 晶目‘晶晶晶晶晶. 晶 晶. 晶 目 ‘ 晶 晶 目 “. ロシア. “. 酔. ・・. 酔+酔+ 晶目“園田“・・. ~l茸~34.700. 0 (モスクワ)蔦怪 1 3 5 . 5 0. 1 6 . 3 / 6 1 . 3. 1 8 . 5 / 6 5 . 3. 1 6 . 6 / 61 .9. .6 1 0 . 9 / 51. 1 4 . 0 / 5 7. 2. 1 6 . 8 / 6 2. 2. 1 5 . 5 / 5 9 . 9. 1 0 . 7 / 51 .3. 1 3 . 7 / 5 6 . 7. 1 5. 3 / 5 9 . 5. 1 3 . 9 / 5 7 . 0. 9 . 3 / 4 8 . 7. 1 3 . 6 / 5 6 . 5. 1 7. 2 / 6 3 . 0. 1 6 . 3 / 6 1 . 3. 1 3 . 5 / 3 6. 3. 曹 司 可 酔 酔. フィンランド (ヘルシンキ). 0 . 9 / 北緯 6 5 . 6 ぴ 西経 2 目““ “ “ “ “ “ ‘. 酔町酔. ‘. ・. ・. ・. ノノレウェー 北緯 6 0. 2 ぴ (オスロ). 東経 1 1 .1 ぴ. イタリア北緯4 5 . 8 / 0 (ミラノ)西経 9 . 0 0. (官官 G l o b a lH i s t o r i c a lC l i m a t o l o g yN e t w o r k ). 9.

(15) 2 .調査場所と調査方法 0. 調査は大阪市住之江区南港にある南港中央公園(北緯 3 4 . 6 ,県怪 1 3 5. 4 ,海抜 5 0. m ,面積 2 5 h a )で主に 1 9 9 9年 4月から 2 0 0 0年 6月 , 2 0 0 1年 4月から 2 0 0 1年 1 2月の. 期間に行なった.調査は本種の発生期である 3月から 5月にかけては 2 ' " ' ' 3日に 1回 , 越夏・越冬期には週に l回程度の頻度で、行なった.調査方法は「テントウムシ類の生 態調査法J ( 桜 谷 ,1 9 9 9 ) に基づいて行なった.主な調査対象樹木は発生期には日本で のフタモンテントウの主要な餌であるイタヤニタイケアブラムシが寄生しているトウ カエデの木, 3 0本の地上から約 2mまでの高さにある 1 5 0本の枝を毎回無作為に選ん だ.秋季には本種の活動が確認されているクヌギ. αJercusacutissimaC. やコナ. 創 刊 血e r s. e r r a t a百1Un b .e x .M u r r a yの木 ( S a k 町制凶e ta , . l2 0 0 0 ),1 5本の地上から約 2mま ラQ.s での高さにある 5 0本の枝を毎回無作為に選び,各ステージの個体数,アブラムシの発 生状況を調べた.なお,フタモンテントウの卵は野外では技術的にナミテントウなど の卵と判別がし難く, 1 9 9 9年と 2 0 0 0年の調査においてはその数を記録することが出 来なかった.越夏・越冬期にはトウカエデの木, 3 0本の地上から約 2mまでの高さに ある 1 5 0本の枝を毎回無作為に選んだ.そして選択した枝に存在するリーフシェルタ ー内の休眠成虫数を調査した.冬季・夏季にはそれらの樹木だけではなく,アラカシ Q .g l a u c aTh u n b .e x .M u r r a yの 3 0本の木から 9 0本の枝を,シラカシQ. m y r s i n a ゆl i a Blumeの 2 0本の木から 3 0本の枝をそれぞれ毎回無作為に選び,選択した枝に存在す るリーフ、ンェルター内を調査した.季節によって調査対象樹木を変えた理由は,餌と なるアブラムシの発生樹木が季節によって変化することと,越夏・越冬場所はフタモ ンテントウが活動する樹木(トウカエデやシャリンパイ,クヌギ,コナラ)とは異な ると考えられるからである.なお,アブラムシのようにコロニーを作って大量に発生 し,正確な個体数を数えることが非常に困難な昆虫の場合,基準を設け幾つかの段階 由∞,t e1 9 7 2 ; 田中 1 9 7 6 )・これに基づいて今回の調査にお に分けて記録されている( H e a. いてもアブラムシ密度を 5段階の密度レベルに分けて記録した(表 2 ) . なお, リーフシェルター(Le a f s h e l t e r ) とは 巻葉(アブラムシの吸汁や病害によって葉がカールしたもの) " ' ' 3枚重なった状 重なり葉(クモやノ¥マキガなどの巣で、葉がつづり合わされて 2枚'. 態のもの) E 咽E. AU.

(16) のことであり,し、くつかの研究でこういった場所がさまざまな節足動物によって微生 こなっているにa r r o l landKearby ] 9 7 8 ; 息場所として利用されていることが明らか l 句. C a r r o l le ta . l1 9 7 9 ;Akim o t o ‘1 9 8 1 ;H司ekandD a h l s t e n ,1 9 8 6 ;C a p p u c c i n o ,1 9 9 3 ;C a p p u c c i n o 句. andM 制 m 1 9 9 4 ;Kudo,1 9 9 4 ;L a r s s o ne ta , . l1 9 9 7 ;A l p e r ,1 9 9 8 ;M a r t i n s e ne ta l ., 2 0 0 0 ) . 今. 表 2 . アブラムシの密度によるレベル分けの基準 レベル l. 枝にまばらにしか寄生していない. レベル 2. 芽の先端を覆う程度に寄生している. レベル 3. 芽の上部を覆う程度に寄生している. レrミノレ 4. 枝の上部をかなり覆っている程度に寄生している. レベル 5. 枝上部全体を覆うように寄生している. ( H e a t h c o t e ,1 9 7 2 ; 田中, 1976などによる). 3 .結果 1 ) 発生消長. 1 9 9 9年(図 4 ). 4月中旬に越冬から覚めたフタモンテントウ成虫がトウカエデ上でアブラムシを捕 食しているのが観察され, 4月下旬には幼虫と踊が出現した.幼虫は 4月下旬から 5 月下旬まで確認でき,その個体数のピークは 5月下旬で、あった.踊は 5月中旬がピー クで 4月下旬から 5月下旬まで確認できた. 5月下旬から 6月初旬には大部分が新成 虫となった. 6月上旬から休眠を始め,夏季には大部分の成虫が越夏に入っているこ とが確認された .10月にはある程度の数の成虫が活動しているのが者白恋されたものの, 1 1月には全ての成虫個体が越冬に入り,翌年の 4月頃まで越冬していた.一部の個体. は夏眠に引き続き,秋も休眠した状態でそのまま越冬に入っていた.餌のアブラムシ は調査を開始した 4月中旬には既に発生しており, 5月中旬頃にピークに達した.そ の数は 5月中旬頃までほぼ維持されていたが,それ以降は急激に減少し 6月中旬頃 にはほとんど姿を消した. このように, 1999年には秋期にも活動成虫個体が確認され, 1 0月の上旬から下旬ま 1 1.

(17) で比較的多くの個体が活動し,クヌギやコナラの樹上でクヌギトゲアブラムシ. C e r v a p h i sq u e r c u sT a k a h 出 h iを捕食しているのが観察されたが,繁殖行動(卵や幼虫) は確認されなかった.. 2000年(図 5 ) 4 月上旬に越冬から覚めた成虫がトウカエデ、上で、アブラムシを捕食しているのが確. 認された.幼虫は 4月下旬に出現し,その個体数のピークは 5月上旬で,前年にくら べそのピーク時の個体数は増加していた.踊は 5月初めに出現し, 5月中旬が個体数 のピークで,前年にくらべピーク時の個体数は増加していた. 6月上旬には休眠を始 める成虫個体が確認され, 7月下旬には大部分の成虫個体が休眠に入っていた(図 5 ) . アブラムシは 4月下旬頃に個体数のピークに達し,その個体数を 5月中旬頃までほぼ 維持していたが,それ以降は急J 敷に減少し, 6月中旬頃にはほとんど姿を消していた. なお,前年と異なり秋には任意調査において本種の踊が少数観察された.. 2 0 0 1年(図 6 ). 調査を開始した 4月中旬には越冬から覚めた成虫が主にトウカエデ上でアブラムシ を捕食しているのが確認された.同時に越冬個体による産卵行動や幼虫の発生が砺忍 され, 4月の下旬には既に踊も確認できた.幼虫は 4月中旬に既に出現しているのが 確認され,個体数のピークは 4月下旬で,ピーク時の個体数は前年とほぼ同じで、あっ た.踊は 4月下旬から出現し,ピーク時の個体数は 5月上旬で前年よりも少なく, 1999 年とほぼ同じで、あった .6月中旬から休眠に入る成虫個体が確認され, 6月下旬には確 認された成虫個体全てが休眠状態で、あった. 9月から 1 1月にかけて,特に 1 0月には クヌギトゲアブラムシを捕食する活動個体がかなり確認されたが, 1999年と同じく繁 殖は確認されず, 1 1月初旬には確認されたすべての成虫個体が越冬に入っていた.ア ブラムシは 4月上旬の調査開始時にはすでに発生しており, 4月中旬頃に個体数のピ ークに達していた.その個体数は 4月下旬頃までほぼ維持されていたが,それ以降は 急激に個体数が減少し, 6月下旬頃にはほとんど姿を消していた.. 1 2.

(18) 的.守. ぱ3. 平均アブラムシ密度指数. ,.. u'). ぱ') 宅f. F. M. N. u'). N. . . . .. u'). , .. 一 一 一 一 一 一 一 了. o. o. 9l/l l l / l. 。. .守図. u'). F. CCF. cmF. N. 1 3. コ. C. 入恥入刷、h Q 肘 ∞ ∞ ∞. L l / ヤ. CCN. 的 。. ll/S 6l/S Sl/S 9/S v l / v. 附 飛 川 閉 山 脈e h L. (凶)訴誰恩Qコ必嶋田桐属. 9l/S. '. 6l/S. 爪hhH 41. O : f / O l : fl/Ol 9 l / 0 l 6/0l Sl/6 8l/6 l l / 6 6l/8 ll/8 Ol/8 v l / L v l / L v / L : fl / 9 9l/9 6/9 l : f / S. 州 四 ' 側 、 仏. 凶側、はdRhhET 固 剖設やでパ恥入刷、 い h自 い悶闘 事全入恥入刷、 h. ll/l Ll/ l l l l / l l L l / l l Ol/ll : fl /I I. ・ ・. 剖世掻叩⋮入刷、h u菰 佃⋮ hL入恥入山hmh 白 一 目 倒世廿 写. 6l/l.

(19) 調査日あたりの個体数(匹). 4 5 0. 5 lIIIlフタモンテンドフ活動休止成虫 -圃フタモン活動成虫 j -4 . 5 rZZZJフタモンテンドフ踊 E皿フタモンテンドフ幼虫 アブラムシ密度. 4 0 0 3 5 0. 3 . 5. 3 0 0. ~. . r r 、 l. 3 2 5 0. U b U l. ¥ " 2 . 5 悶 ム. 2 0 0 2. 同. E キ 肝 + 』. 安 孝. 1 5 0. 1 . 5. 1 0 0 5 0. 0 . 5. 。. 。. 4/6 4/14 4/19 4 / 2 1 4 / 2 5 4129 5 / 1. 5 /7 5 / 1 0 5 / 1 2 5 / 1 6 5 / 1 9 5 / 2 3 5 / 2 9 6 / 1. 図5 . 2 0 0 0年のフタモンテンドフの発生消長とアブラムシ密度.. 6/6 6/16.

(20) 主 的 ・ ル門﹃. 寸. ?. 一. 一. F. rιN. N. L 一. ζ. . 何. ﹄何. 凶 マ、 県 中 パ 軍 回笥 凝凶. hnU. ・ ・. l /L. E/S. 。 。. 的 。. 。 。. 守 的 。. 守 。. 何 的 。. 何 。. 凶 。. Cコ. o. FCON. ∞図. L/S. .Mmm 即 ふ4 市川hhH吋蛸現川町山肌Q ひ﹄入恥入山FhmhQ肘. 9 / 0 l. d R h n h T T. ヤl / O l. 採血直樹、川 剖宥ひ÷八恥入山 r h m h 自国 寄金入恥入刷、 い A 悶 N凶 剖世菰佃⋮ hL入恥入申h mh 剖怪廿挙掘削⋮ひでパ恥入山w h m h目白 巳国ひ丈恥入刷、. 9US 8 l / S Z l/ S. (凶)説草恩Qコ必嶋田桐臆. F. F. N. N. 1 5. L t ' ). 、 L t ' ). Uヲ. Cコ. Cコ 守ーー. r r T一 一 一 一 一 ー ァ 一 一 一. 司. L t ' ).

(21) ︿. 3. ι SLP. 1 1. 線路市 箇富市. 悶. 図 7 .1 9 9 3・2 0 0 4年までの日本のフタモンテントウ分布図. ( T o d a a n dS 北 町 制n i , 2 0 0 6な どによる) (・:2 0 0 4年までにフタモンテントウの生息が確認された場所,・:2 0 0 4 年までにフタモンテントウの生息が確認されていない場所)(1:南港中央公園, 2 :大阪ワ ールドトレードセンターラ 3 :野鳥圏, 4 :フェリーターミナル, 5 :エルシティ, 6 :平林, 7 :住. :天保山, 9 :八幡屋公園, 1 0 :北港ヨットハーバーラ 1 1 :舞州, 1 2 :長居公園, 1 3 : 鶴 之江公園, 8 見緑地, 1 4 :浜甲子園, 1 5 :六甲アイランドヲ 1 6 :ポートアイランド, 1 7 :須磨浦公園, 1 8 :浜手 公園, 1 9 :浜寺公園.). 2 ) 分布状況(図 7 ) 本種の分布調査については 1 9 9 3年のフタモンテントウ発見以降,南港中央公園の 周辺区域で、ある関西電力南港発電所エシティ周辺緑地や住之江公園,その他の港湾区 域である大阪市北港ヨットハーパー,神戸市ポートアイランドや六甲アイランドでの 調査が,本研究以前のものも含め 2 0 0 6年まで随時行われてきた.その結果, 1 9 9 4年 に南港エルシティ発電所周辺緑地で、も発生が認められたが,それ以降発生は認められ. 9 9 9年まで、はどの調査地域で、も発見で、きなかった .2000年の夏には南港エルシテ ず , 1 ィ発電所周辺緑地の近くにある大阪市営交通ニュートラムのフェリーターミナル駅の 周辺で越夏している成虫個体が数個体確認された.その後,別の調査者により 2 0 0 3 年には大阪ワールドトレードセンターと野鳥園においてフタモンテントウの生息が確. 1 6.

(22) 認され, 2 0 0 4年には平林や住之江公園だけでなく,南港から遠く離れた神戸ポートア イランドにもその分布が広がっていることが確認されている. ( S 北山ヨ胞団 e ta , . l2 0 0 0 ; T o d aa n dS a k u r a t a n i, 2 0 0 6 ).. 4 .考察 調査結果から, 1 9 9 9年から 2 0 0 0年にかけてフタモンテントウの個体数がかなり増 加したことが確認された.その理由としてはアブラムシの発生数が多かったことと, 競争種であるナミテントウの個体数の減少にあると考えられる(詳細は第 3節で述べ る).フタモンテントウの分布域は 2 0 0 0年前半の時点で南港中央公固とその周辺のご く狭い区域のみに限られていた. しかし,それ以降は別の調査者によって他の場所で、 も発見されている事から ( T o d a a n dS 北山ヨ阻止 2 0 0 6 ),分布域が拡大していることが示 された.また,本種はこれまで、越夏から覚めた一部の成虫が秋季に捕食活動を行なっ ていることが事産認されてきた. しかし,卵や幼虫など,繁殖していることを示すよう な調査結果は得られなかったため,化性[ m 1 ] [ m2]については多化性であるヨーロッパ ( H o d e ka n dHone , k1 9 9 6 ) と異なり 1イむ↑生であると思われてきたしかし, 2 0 0 0年に 秋季にも少数ではあるが幼虫および踊が確認され,このことから本種の生活史が変化 してきでいる可能性も示唆された.. a 1 a i n e , n1 9 7 6 ),北欧の気候が夏季 ヨーロッパで、も北欧で、は夏季 1化であるが (Ham 以外は気温が低く,北欧のフタモンテントウのフィンランド個体群の卵の発育零点が. a 1 a i n e n na n dMぽ は u 1 a ,1 9 7 7 ) であるのに対し,フィンランドの平均気温が 7 . 5C (Ham 0. ' " ' ' 9月だけである(Th eG l o b a 1H i s t o r i c a 1 7 . 5Cを超えるのは初夏から夏季の聞の 5 0. C l i m a t o l o g yN e t w o r k ).したがって,それ以外の季節は本種の発育に適していなし、から だと思われる. しかも発生は夏季のみで, 日本産個体群はこの時期は成虫で夏眠中で あり生活史は対照的である.また,本種のヨーロッパにおける生息場所と比較すると, ヨーロッパで、は樹上に限らず豆類や ( B a n k s ,1 9 5 5 ),ジャガイモ上 ( B i r c he ta , . l1 9 9 7 ) のような草本性の作物でも活動しているなど生息範囲が広範囲にわたっているのにく ら べ , 日本での生息範囲はトウカエデ、やシャリンパイ,クヌギやコナラなどの数種類 の樹木上のみであり,餌のアブラムシについてもイタヤニタイケアブラムシやナシミ ドリオオアブラムシ,クヌギトゲアブラムシなど限られた種類であることが分った. 1 7.

(23) このように限定された環境下にしか生息していないことが日本では分布を拡大しない 一つの理由であることが推察された.. 第 2節フタモンテントウの越夏・越冬時における生態. 1 . 目的 在来テントウムシの休眠時の生態についてはかなり解明されており,例えばナナホ シテントウは枯葉や枯れ茎による断熱効果で夏季にかなり低い温度を維持しているス スキなどの株の根元や ( S 北町制血 a n dK u b o ,1 9 8 5 ;桜谷, 1 9 9 0 ),メリケンカルカヤな. 0 0匹ほどの集団を作り成虫で越夏や どのイネ科草材直物の株の根元に数匹から最高 2 越冬をすることが知られている(桜谷, 1 9 9 8 a ) . その反面,ナミテントウの場合は冬季 における成虫の集団越冬は良く知られているが ( O b a 凪 1 9 8 6 ),越夏時にはサクラにで きたリーフシェルター内で、活動を休止している成虫個体が見つかることがあるものの, 越夏における生態には不明な点が多い(桜谷, 1 9 9 8 a ) .. 表 3 .テントウムシの生活史タイプ ( H a g e n ,1 9 6 2 ) 休眠タイプ│. 1. IA. H. I I A. 休眠内容. 初夏から秋にかけて活動と繁殖を 1世イ切子ない,冬に休眠をしているもの 春から初夏にかけて活動と繁殖を 1世代行ない,夏から翌年の春にかけて休 眠をしているもの 初夏から秋にかけて活動と繁殖を 2世代行ない,秋から翌年の初夏まで休眠 をしているもの 民正問と繁殖を行ない,夏および冬かぶ翌年のお古川眠析うもの. 戸ふ. ,可,,. のし. W. も眠 う休. 皿. 春から秋にかけて活動と繁殖を数世代行ない,冬から翌年の春まで休眠を行. テントウムシの生活史はその休眠の時期や化性によっていくつかのタイプに分類. H a g e n ,1 9 6 2 )( 表 3 ) . それによるとフタモンテントウの生活史タイプは されている ( 1 8.

(24) 本種が広く分布している北米やヨーロッパなどではタイプ IやEであり,越夏は行わ ない (Hawkes,1 9 2 0 ;Semyanov ,1 9 7 0 ).しかし,発生消長の調査から本種は日本では成 虫で越夏をするとしづ外国では見られない生活史をもっていることが分った.すなわ ち Hagen ( l9 6 2 )の生活史タイプの分類によるタイプ IAであると思われた.そこで,本. 種の越夏および越冬期における生態をより詳しく明らかにするために野外調査を行な った.. 2 .調査場所と調査方法 調査場所は発生消長の調査と同じく大阪市住之江区南港にある南港中央公園で行な い,発生消長の調査と同時に行なった.ただし越冬・越夏調査においては公圏内に植 栽されている常緑樹のアラカシ,シラカシやマテバシイなどを加えそれらの樹木のリ ーフシェルターを調べた.フタモンテントウが休止している個所(葉や枝)にフェル トベンや白色の木綿糸(凧糸)でマークをして,個体数および越夏・越冬に使われた 発見樹木を記録した.また,前回マークした部位以外で新たに活動休止個体を発見し た場合は随時マークを追加していった.調査の際,本種が休止しているリーフシェル ターがどのような状態(巻葉や重なり葉)にあるかを区別し,休眠場所について選好 性があるかどうかをぷ検定にかけて調べた. 微気象測定は温湿度計(タバイエスペック. R S 1I)のセンサーをリーフシェルタ. ーなどの休止場所内部に設置し,また同時に温湿度計をもう l台使って休止場所外部 (休止場所から約 2m 高齢もた地上約1.5mの日陰)の温湿度を計測した.越夏時の温湿 度においては 1999年 1 0月 22 日の気温が上がる日中の 1 0:00から 1 0分ごとに約 2 時間の間,越冬調査においては 2000年 2月 1 0日の最も気温の下がる早朝 5時から 1 0 分おきに 2時間の聞を記録時間とした.越夏時の風速は 2000年 9月 1日の午前 1 0時 23分から 3分ごとに休止場所に風速計 ( T e s t o t e n nt e 銑04 2 5 ) のセンサーを設置して 1 0. 回測り,また同時にもう 1台風速計を使って休止場所外部(地ム約 l . 5m で、風上にセン サーを向け)で計測した.越冬時の風速も同様の方法で 2000年 1 2月 26日の午前 1 0 時 33分から 3分ごとに越夏時のときと同様の方法で風速を計測し,t 検定によって休 止場所の内外に差があるかどうかを調べた. また, 1999年 1 0月に活動している成虫個体を 30個体採集して解剖を行ない,双眼. 1 9.

(25) 実体顕微鏡下で卵巣の発達状況を 5段階のレベル(Sak 町a ie ta , . l1 9 8 6 )にわけ(表 4 ), 秋に繁殖可能であるかどうかも調査した.. .卵巣の発達レベルと発達状況 表 4. 卵巣発達レベル│ レベ川. ( S a k 凹泊 e ta , . l1 9 8 6 ). 卵発達状況. │未発達. レベル 2. 発育開始. レベル 3. 卵黄蓄積前期. レベル 4. 卵黄蓄積中期. レベル 5. 卵黄蓄積後期および卵成熟期. 3 .結果 調査結果からフタモンテントウはアラカシのような常緑広葉樹の葉にできるリー ) . 本種はひとつ フシェルターを好んで越冬・越夏場所としていることが分った(図 8. の場所に多数の個体が集まって休眠していることは少なく,最大でもリーフシェルタ ー1つにつき 12匹の集団を形成している程度で,ほとんどの場合はリーフシェルター. 1つにつき l匹から 3匹程度の集団で休眠していたもちろん越冬・越夏に使われて いないリーフシェルターの数が最も多かったが,フタモンテントウの休眠に使われて いるリーフ、ンェルターで、は 1匹だけの利用が最も多く,それ以上の数が休眠している リーフ、ンェルターの数は漸減傾向を示し,最大は 12匹で、あった(図的. また,調査の結果フタモンテントウの休眠している場所のリーフシェルターは表 5 に記したタイプに分けられたので、これに従って集計し,タイプによる選好性があるか どうか調べたところ,巻き葉と重なり葉ではフタモンテントウの休眠場所は巻き葉の =4. 9 4d .f . = lp< 0 . 0 5 ),巻き葉の中でも内巻きと外巻きでは内巻き 方が有意に多く (χ2 の方が有意に多かった (χ2=20.98d . f . = lp< 0 . 0 5 ).重なり葉の上面と下面の聞には有意 な差はなかった (χ2=0.10d工=lp >O. 0 5 )( 図 1 0 ).. 20.

(26) 問アラカシ ロトウカエデ ロコナラ 口シラカシ ・ケヤキ. O出. 4 0弘. 2 0弘. 6 0略. 1 0 0弘. 8 0拡. 図 8 . 樹手重別のフタモンテントウ成虫の休日間固体数の割合.. 300 事 訴 2 50. G. I200. 、 々. i150 点100. = ' 50. 。 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 1 0. リーフシェ l レター 1 つあたりの個体数. 図 9 . リーフ 、 ン ェ ノレター lつあたりのフタモンテントウ成虫の 越冬 ・越夏個体数. ( 0個体は除く). 2 1. 1 1. 1 2.

(27) 表 5 . リーフシェルターの形態とその内容 形態. │各形態の内容. 巻き葉. │アブラムシの吸汁や病害によって葉がカールした状態. 重なり葉. │クモなどの巣で葉がつづり合わされて葉が重なった状態のもの. 内巻き. │葉の表面を内側にして巻いている状態. 外巻き. │ 葉の裏面を内側にして巻いている状態. 2枚の葉が接して重なった葉の上側の葉. 重なり葉上部 一一一一回. 目一. 重なり葉下部. 一 一. 2枚の葉が接して重なった葉の下側の葉. 400. 川. 00 事 3 出 挙 250. -巻葉. 口重なり葉. ロ外巻き. 皿内巻き. 国重なり葉上部. 園重なり葉下部. 全 200 入. l ト. 1 5 0. 入. ト f J 1 0 0. 、 々 h. 5 0. 。 葉の形態. 巻き方. 重なり葉の上下. 図 1 0.越夏 ・越冬時におけるリーフ、ンェルタ ーの形態 ・状態別の. フタ モ ンテン トウ休眠成虫個体数.. 2 2.

(28) 越夏中の個体とその個体がし、た場所の風の強さは外部にくらべ非常に弱く(t=1O.21 d .f . = 9p< 0 . 0 5 )( 図 1 1 ),温度・湿度についても,外気温よりも越夏中個体がいたリー. フシェルター内部の温度の方が有意に低く ( t=5.52d . f . =l 1p < 0 . 0 5 )( 図 1 2 ),湿度はリ ーフ、ンェルター内部の方が有意に低かったが ( t= 1 .26d .f . = l 1p< 0 . 0 5 ),50% 前後で安定 していることが分った(図 1 3 ). 越冬中の個体とその個体がし 1たリーフシェルター内部の風の強さは外部にくらべ t=6. 3 1d工=9p< 0 . 0 5 )( 図 1 4 ). リーフ、ンェルター内部の平均温度は 非常に弱かった (. 外部より有意に高く ( t= 6 . 7 9d工= 1 1p< 0 . 0 5 ) ( 図 1 5 ),湿度についてもリーフ、ンェル ター外部よりも内部のほうが有意に低かったが. ( t=47.93d .f .=llp< 0 . 0 5 ),ほぼ 69%で. 安定していることが分った(図 1 6 ). また, 1999年の 1 0月に採集した活動中の成虫個体を解剖した結果, 30個体のうち 雌成虫は 1 6匹で,どの個体にも卵巣の発達は見られなかった(表 6 ). 3. 2 . 5. 一外部風速 ーー内部風速. 2. 、 、 師. . 51.5. 剰. 画. 0 . 5. 。. - 掴 圃. 1 0 : 2 3. 圃圃回国国国国国国. 1 0 : 2 6. 1 0 : 2 9. 1 0 : 3 2. 1 0 : 3 5. 1 0 : 3 8. 1 0 : 4 1. 1 0 : 4 4. 1 0 : 4 7. 1 0 : 5 0. 時刻. 図 1 1 . 越夏期リーフシェルター(アラカシ)内外における風速 ( 2 0 0 0 / 9 / 1 ).. 23.

(29) 26. 2 5 ﹃. Illlド4. 。λL ~. () 。. 2 3. 自22 一一外温度 ーーー肉温度. 2 1 2 0 1 9l. 1 0 :1 0 1 0 : 2 0 1 0 : 3 0 1 0 : 4 0 1 0 : 5 0 1 1: 0 0 1 1: 1 0 1 1: 2 0 1 1: 3 0 1 1: 4 0 1 1: 5 0 1 2: 0 0 時刻. 図 1 2 . 越夏期リーフシェルター(アラカシ)内外における温度の変化 ( 19 9 9 / 1 0 / 2 2 ).. 6 5. 60 一一外湿度 ーー肉湿度. 倒閣. (ま). 5 5. nu. 4 5. 4 0 1 :4 0 1 1: 5 0 1 2 : 0 0 1 0 : 1 0 1 0 : 2 0 1 0 : 3 0 1 0 : 4 0 1 0 : 5 0 1 1: 0 0 1 1: 1 0 1 1: 2 0 1 1: 3 0 1 時刻. 図 1 3 . 越夏期リーフシェルター(アラカシ)内外における湿度の変化 ( 2 0 0 0 / 1 0 / 2 2 ).. 24.

(30) 1 .2 一一外部風速 ーー内部風速 , . . 的. 0 . 8. ¥¥. E 姻 0 . 6. 匝 0. 4 0 . 2. o 1 0 : 3 3 1 0 : 3 6 1 0 : 3 9 1 0 : 4 2 1 0 : 4 5 1 0 : 4 8 1 0 : 5 1. 1 0 : 5 4 1 0 : 5 7 1 1: 0 0. 時刻. 図 1 4 . 越冬期リーフシェルター(アラカシ)内外における風速 ( 2 0 0 0 1 1 2 / 2 6 ).. 0 . 2. 。. 一一外部温度 ーー内部温度. ー. 0 . 2 a斗 a u nunu. 出岡山. (00). 一0 . 8. 1 .2 5 : 0 4 5 : 1 4 5 ・ 2 4 5 : 3 4 5 : 4 4 5 : 5 4 6 : 0 4 6 : 1 4 6 : 2 4 6 : 3 4 6 : 4 4 6 : 5 4 7 : 0 4 時刻. 図 1 5 . 越冬期リーフシェルター(アラカシ)内外の温度の変化。。∞' / 2 / 1 0 ) .. 25.

(31) ﹁li--. nu nu. -. 9 5. 90. 一一外部湿度 Fhunu non6. (ぎ)幽岡山. ーー内部湿度. 7 5 7 0 6 5! 5 : 0 4 5 : 1 4 5 : 2 4 5 : 3 4 5 ・ 44 5 : 5 4 6 : 0 4 6 : 1 4 6 : 2 4 6 : 3 4 6 : 4 4 6 : 5 4 7 : 0 4 時刻. 図 1 6 . 越冬期リーフシェルター(アラカシ)内外の湿度の変化。0 0 0 / 2 1 1 0 ) .. 表 6 .秋季活動成虫個体の卵巣発達レベル ( N = 1 6 ). 卵巣発達レベル レベル l. レベル 5. 。. 1 6. 4 .考察. 雌成虫の解剖の結果,卵巣が発達していなかったことから本種は少なくとも夏 秋 S 北 町a ie ta , . l1 9 8 6 ) と同様に休眠中と考えられる.このこと にはナナホシテントウ (. H a g e n ,1 9 6 2 ) から日本のフタモンテントウ個体群は春季 l化性の生活史タイプ 1A ( ( 表 3 ) であることが確認された.. 本種の越夏・越冬の際,前回の生息場所から成虫が消失していることがあることや, 前回いなかった場所から確認、されたことから本種は 1つの場所で活動を長期間休止す るのではなく,生息場所を変えながら越夏・越冬しているものと考えられる.その原 因として,. 2 6.

(32) a ) クモやハマキガの巣などによる巻葉,重なり葉が時間の経過とともに古くなって. 聞き,生息場所としての価値が低下する. b ) 枯死による落葉 c ) 台風などの強風によるリーフシェルターやフタモンテントウに対する影響. などが挙げられる また,越冬・越夏場所として常緑広葉樹の葉聞を好む理由として a ) 常緑樹であるため夏季. 冬季には落葉しにくく,越冬・越夏場所として比較的安. 定している.. b ) 常緑広葉樹の葉は四季を通じて蒸散を行なっているため ( O a k ,1 9 7 8 ),特に夏季や 冬季の湿度の変動が小さい. c ) 葉が落葉樹にくらべ比較的肉厚で光沢があるため,断熱効果が高く. (O a k ,. 1 9 7 8 ). 越冬・越夏場所の気温の変動が外部にくらべ小さい. という理由が挙げられる. そして, 1つの場所にあまり多くの個体がし、なかったのは,休眠場所が巻き葉や葉 と葉の間であるため多数の個体が入りきらないという空間的制約と,本種は活動休止 場所を度々移動することからその数を分散させてしまうためと推測される.また,リ ーフシェルターの中で、も重なり葉よりも巻き葉の方の休眠個体数が多かった理由とし ては,重なり葉はクモやノ¥マキガの糸によって作られているものが多く,時間の経過 とともに劣化して離れてしまうことなど,巻き葉にくらべてその遮蔽性が不安定であ ることが推測される.そして,巻き葉の中でも内巻きより外巻きの方の休日民個体数が 多かった理由としては,外巻きでは光沢の強し、葉の表が外側になり気孔の多い葉の裏 面が内側になるため,葉の光沢によって直射日光による温度の上昇を防いだり活発な 蒸散作用によって湿度の安定が保たれるからで、はなし、かと推察される. また,ヨーロッパで、は樹皮の隙聞や建物の日当たりのよい壁,屋根の割れ目などに. H a w k e s ,1 9 2 0 ;S e m y a n o v ,1 9 7 0 ) . 大量に集合して越冬・越夏することが知られている ( こうした, 日本個体群とヨーロッパ個何学との越冬場所の違いはヨーロッパと日本の 樹種や生息環境,気候条件の違いが原因であり,それぞれの環境条件に適した越冬場 所を選んでいるものと思われる.. 2 7.

(33) 第3 節フタモンテントウと在来テントウムシとの野外における種間関係. 1.目的 草原性のナナホシテントウなど(桜谷, 1 9 9 8 a ) とは異なりフタモンテントウは,基 本的に樹上性のテントウムシであり,主にトウカエデの樹上でイタヤニタイケアブラ ムシを捕食して生活している.一方,同じ樹上には捕食性のナミテントウやダンダラ テントウなどの在来種が生息し,それらの種と生息域が重なっている可能性が高いと 思われた.生息域が重なっているのであれば,これらの間で、ギルド内捕食 ( I G P: I n 回 G u i l dP r e d a t i o n )( P o l i se ta l .,1 9 8 9 ) のような直接的な種間競争が生じるだけではなく,. 発生時期や発育期間が異なることによって餌資源の利用状況の変化が生じ,群集構造 や在来テントウムシの生態が変化している可能性があると推察された.そこで,こう した種間関係を明らかにするために,継続的な野外調査を行なった.. 2 .調査場所と調査方法 調査場所はフタモンテントウの発生消長の調査場所と同じ大阪市住之江区南港にあ る南港中央公園で、行なった.調査対象樹木はフタモンテントウの調査のために選択し た ,. トウカエデの木 30本の地上から約 2mまでの高さにある毎回無作為に選ばれた. 1 5 0本の枝,秋季には本種の活動が確認されているクヌギやコナラの木 ( S 北町細血 e t 0 0 0 ),1 5本の地上から約 2mまでの高さにある毎回無作為に選ばれた 50本の枝 a l .,2. で行ない,そこに生息していた在来テントウムシの個体数やアブラムシの発生状況を 調べた.さらにフタモンテントウや在来テントウムシ類の幼虫や踊の死骸を調べるこ とによって両者の聞の捕食関係の有無についての調査を行なった. 冬季・夏季にもフタモンテントウの調査のために毎回無作為に選ばれたトウカエデ の木, 30本の地上から約 2mまでの高さにある 1 5 0本の枝に存在するリーフシェルタ ー内の休眠成虫数を調査した.また,休眠時の生態は活動時の生態と異なるため(本 章第 2節),冬季・夏季にはそれらの樹木だけではなく,フタモンテントウの調査のた. めに毎回無作為に選ばれたアラカシの 30本の木から 90本の枝,シラカシの 20本の木 から 30本の枝に存在するリーフシェルター内を調査した. 1 9 9 6年から 1 9 9 8年に行われた過去の調査のデータ(岡・久保,未発表;藤井・魚谷,. 28.

(34) 未発表;寺口,未発表)を加えることでフタモンテントウやナミテントウ,アブラムシ 発生数の聞にどのような個体数変動の関係と傾向が見られるかを解析した.. 3 .結果 調査の結果,. トウカエデ樹上にはフタモンテントウの他に在来種のナミテントウ,. ダンダラテントウ,ムーアシロホシテントウ C a l v i aM u i r i( T I m b e r l a k e ),キイロテント. l l e i sk o e b e l iT i m b e r l a k e,ナナホシテントウが確認された. しかし,ナミテントウと ウI キイロテントウ以外のテントウムシの個体数は非常に少なかった.また,フタモンテ " ' 2週間早く(図 1 7 ),体も大きく捕食量 ントウはナミテントウにくらべ踊化時期が 1'. も多いナミテントウの幼虫 (HukusimaandOhw , 北i ,1 9 7 2 ) によって,動けない前踊, 踊,あるいは若令の幼虫が捕食されてしまうことがあり(図 1 8 ),直接的な種間関系 が確認された. しかし,キイロテントウとフタモンテントウとの聞には種間競争は確認できなかっ た.フタモンテントウは 1999年から 2000年にかけて急激にその数を増やしている(図 1 9 ).しかし,ダンダラテントウは個体数が非常に少ないことが確認され, 2 0 0 1 年の. トウカエデ上ではフタモンテントウが増加しているのに対してナミテントウの発生個 体数は少なかった. なお,越夏・越冬時にはフタモンテントウの休眠場所にキイロテントウが存在する 0 ),ナミテントウがフタモンテントウと同じ ことはしばしば確認、されているが(図 2. 場所で休眠している状況はほとんど確認、されなかった. 過去の調査も含めた 1996年から 2001年までの記録で検討してみると, 1997年にフ タモンテントウだけではなくナミテントウも急激に減少し, 1998年にはピーク時のブ タモンテントウの個体数が 138匹にまで減少している.しかし, 1999年にはフタモン テントウの個体数は再び増加を始め, 2000年には急激にその個体数を増やし 2001年 のピーク時の個体数は判4匹と 1996年にくらべてもそのピーク発生数は増加している. それに対し,ナミテントウは 1999年にはそのピーク発生数は増加したもののフタモン テントウほどの急激な増加は見られず, 2001年においてはやや減少していることが分 9 ). った(図 1. 29.

(35) 4 .考察 調査結果から,フタモンテントウと捕食性在来テントウムシとの聞に餌をめぐる種 間競争が生じている可能性が高いことが示された.キイロテントウとの間に餌をめぐ 9 9 8 ), る競争が観察されなかった理由は,キイロテントウが菌食性であり(佐々治, 1. フタモンテントウと餌をめぐる競争がほとんど無いためである. 9に見られるフタモンテントウとナミテントウの個体数の 1 9 9 7年における急激 図 1. な減少はアブラムシの発生量の急激な減少が原因と推察される.そして 1999年以降の フタモンテントウとナミテントウのピーク発生数の差は 1999年以降アブラムシの発 6 に示されるようにそれぞれの発生時期が 生数が年々増加し続けたことに加え,図 1. 異なっており,フタモンテントウはナミテントウよりも発生が早く,餌資源が独占で きたということの二つが大きな理由と推察される. また,越夏調査時にフタモンテントウの休眠が石信忍できた場所にキイロテントウが 複数同時に越夏しているのが確認されているが(図 2 0 ),それによって本種が越夏場 所を奪われている,といったことは無いと思われる.その理由として調査中にフタモ ンテントウが休眠していたリーフシェルターの近くに空のリーフシェルターが見つか ることがしばしばあり,まだ休眠場所が不足していることは無いと推察された.した がって,休眠場所を巡る在来テントウムシとの空間的競争はほとんど生じていないと 推察された.. 30.

(36) -・フタモンテンドフ活動成虫 [ : : : : : : .1フタモンテンドフ踊. フタモンテンドフ. 500. ~フタモンテンドフ幼虫. 4. ~フタモンテンドフ卵. 400. │ 判. s. ー炉アブラムシ密度指数. イ. 3 0 0. 3 3 ¥ J I. 卜. J. 200. ~}. 洞. 霊 剛 歯 υ」. ー. 国. r{ 什. 3. 2¥ '. 察. 1. 1 0 0. 。. 。. 簿 寺 国 井. 200. ナミテンドフ 1 0 0. 。. L?マ?? r ? で1 l. 1 5. 1 9. 2 2. 2 6. 29. 3. 7. 1 2. 1 8. I. 2 6. 1 0. 図 1 7 . フタモンテントウおよびナミテントウ ・ダンダラテントウの季節的個体数変動とその聞におけるアブラムシ密度の変動..

(37) 図 1 8 . ナミテントウ幼虫(左)に捕食されるフタモンテントウ前踊(右).. ー・ーピーク時におけるフタモンテントウの総個体数. 4 . 5. 500 r. ド ー・ーピーク時におけるナミテントウの総個体数. 450 I. 4. 司 L. 函 300 、 、 . . ; '. 司 4. 事 訴 250 制 棋 200. 4E4E. 150. 宮川昨 採血仲倒防相、M4小 ぃ hト. d 内 q d. ~ーアブラムシ密度指数. 350 r. E1vEUE1u. 400. 100 0. 5. 50. 0. 0. 1996. 1997. 1998. 1999. 2000. 2 0 0 1. 調査年 図 1 9.フタモ ンテン トウと 在来 2種テン トウムシの発生数,. アブラムシの発生量と の関係. ( 1 9 9 6 1 9 9 8のデータは岡・久保,未発表;藤井・魚谷,未発表;寺口,未発表に よる). 32.

(38) 図2 0 .同じリーフシェルターで越冬するフタモンテントウ(右 2匹)と キイロテントウ(左 2匹).. 3 3.

(39) 第 4章飼育実験によるフタモンテントウの生理的特性の解明. はじめに 北米やヨーロッパで、はフタモンテントウは普通種であり,すでにさまざまな研究が 行われ,その生、活史や生理的特性についてはかなりの部分が解明されているが(例え. n dHone , k1 9 9 6 ),日本においては侵入が確認されてからまだ 1 0余年しか経 ば Hodeka っておらず,本種の日本個体群について行われた研究はまだ少ない. しかし,本研究 の野外調査やこれまで、の研究( S 北u r a 白血 e ta l ., 2 0 0 0 )によって,フタモンテントウ分布地. Semyanov ,1 9 7 0 ;Hodeka n dHonek ,1 9 7 1 ;O b r y c k ia n dT a u b e r ,1 9 8 1 ;F r ; 包 . e ra n dMc Gr e g o r , 1 9 9 2 ;Honeka n dK o c o u r e k ,1 9 8 8 ;Hamal 出l e n na n dM紅比凶a, 1 9 7 7 ) の南限と考えられる ( ( 図 3 ) . 日本の気候下において野外では越夏としづ現象が見られるなど, 日本個体. 群独特の生活史を持っていることが明らか l こなっている.また,食性についてもヨー ロッパや北米で、は,樹木寄生性アブラムシだけでなく草本植物に寄生するアブラムシ まで,さまざまな種のアブラムシを餌としているのl a c k m a n , 1 9 6 5, 1 9 6 7 ; Wysse ta , . l. 1 9 9 9 )のに対し,日本では幼虫・成虫とも特定の数種のアブラムシを捕食しているだけ であることもわかっている ( S 北 町 団 組i e ta , . l2 0 0 0 ) . しかし,その生理的特性にどのよう な変化が起こっているかはまだ研究例が少なく,不明な点が多い.そこで,本章では 室内でフタモンテントウの日本個体群を飼育することによって本種の生理的特性を明 らかにすることを目的とした.また 本実験を行うに当たってフタモンテントウの実 験用個体の安定供給を目的として代用餌による本種の累代飼育を試みた.. 第 1節フタモンテントウの累代飼育. 1 . 目的 テントウムシ類の室内実験をするためには飼育個体は常に安定して供給されること が望ましく,そのためには人工飼育によって飼育個体を増殖させることが必要である. 捕食性テントウムシの人工飼育において最も重要な要因は餌の供給であり,その際に 使われる代替餌については海外では古くから広く研究されていて,代替昆虫や花粉な. H a u g ,1 9 3 8 ;S r 凶r n o , f f1 9 5 8 ; Smi 也 1 9 6 0 ; どが用いられ累代飼育にも成功している ( a ha n dNewsom ,1 9 6 6 ).日本でもさまざまな研究が行われ,特にナミテントウの累 A凶 l 34.

(40) 代飼育に対するミツバチの雄蜂児(生や冷凍だけでなく凍結乾燥粉末も含む)の有用 性が報告されて以来,この分野の研究は急激に進んだ(岡田ら, 1970, 1 9 7 1, 1 9 7 2 , a1 9 7 2 b ; 岡田, 1 9 71).実際の飼育法は比較的簡単で,飼育個体の入った容器に餌を置き(粉末 の場合は別にスポンジなどに含ませた水も用意する),カピが発生しない様に定期的に 9 7 7 ) . 交換してやる方法である(岡田, 1. フタモンテントウは日本国内においては基本的に年 l化性であり,継続的に室内実 験を行うにあたり,野外から卵を採取できるのは春季のみに限られ,また,採取の手 聞がかかり非効率的である.そのため累代飼育によって継続的に個体を得ることが望 ましい.しかし,本種の主な餌アブラムシであるイタヤニタイケアブラムシは樹木寄 5月頃にしか発生しないため,調封境的な供給が困難で 生性のアブラムシであり, 3月-. ある.そのための代替餌としてフタモンテントウ幼虫の飼育は可能でも累代飼育には K a r i l u o t oe ta , . l1 9 7 6 ) . 人工餌ではなく,海外では本種が野外で餌と 成功していない (. しているアブラムシや多化性のフタモンテントウの海外個体群を用いた実験で既に利 用されている種,その他野外の草本植物に寄生する穫の中でも京臨続して入手しやすい, または増殖させやすいアブラムシを数種選択し,そのなかでフタモンテントウの飼育 に最も適したアブラムシの種を選び,累代飼育を試みた.. 2 . 実験材料と実験方法 .代替餌の選抜 実験に使ったフタモンテントウは大阪市南港中央公園で,越冬後の成虫個体を採集 し,採集地のトウカエデに寄生していたイタヤニタイケアブラムシを十分に与え,恒 0. 2 0C,R . H .60%,14L:l O D) 産卵させた.そこで得られた卵を恒温室 温室でて飼育し (. で解化させ ( 2 0C,R且 60%,14L:l O D),解化後 l匹ずつ透明なフ。ラスチック容器 0. (直径 95mm ,高さ 65mm) の中に入れ,継続的な入手や飼育が比較的容易と思われ. ) を十分に与えた.アブラムシの種ごとにフタモンテン る 5種類のアブラムシ(表 7. トウ幼虫を各 50個体ずつ飼育し,その生存率や発育日数,産卵数を調べた.その中で もっとも発育の良好なアブラムシを代替餌として採用し,累代飼育条件の検討を行な った.. 35.

(41) 表 7 .代替餌として実験に用いたアブラムシとその寄主植物. │. アブラムシ. 寄主植物. エンドウヒゲナガアブラムシ. │カラスノエンドウ. AのI1't h o s i p h o np i s u m(Ha n i s ). I V i c i asψi u mLinnaeus. マメアブラムシ カラスノエンドウ. At p h i sc r a c c i v o r aKoch セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ. セイタカアワダチソウ. Ur o l e u c o nn i g r o t u b e 町 u l a t u m( O l i v e ). SoU ぬgoa l t i s s i m aLinnaeus. モモアカアブラムシ. キャベツ. J ¥ J y z u sp e r s i c a e( S u l z ぽ). Br ω ,' s i c ao l e r a c e aL .v訂~ c a p i t a t aL .. ニセダイコンアブラムシ キャベツ. 抑 〆1おeりlsimi(Kal加 lbach). L. -累千℃飼育条件の確立 実験に使うフタモンテントウは第 1節と同じ方法で得られた卵を定温室で解化させ 0. ( 2 0C,R且 60%,14L:IOD),鮮化後 1匹ずつ透明なフ。ラスチック容器(直径 95mm,. 高さ 65mm) の中にいれ,代替餌の選抜実験で選ばれたアブラムシ 1種を十分に与え. 0 伽un,幅 8 伽 1 l T I i l l , 高 さ 1 0 伽1m) 飼育し,羽化後は大き目のフ。ラスチック容署員長さ 3 に成虫をまとめて入れ,同じ餌を与え続けた.交尾個体を砺忍し次第その個体を別容 器に移して個別に飼育した.また羽化成虫が産卵しない場合を考慮し,同じ年 1化で あるカメノコテントウ A i o l o c a r i ah e x l ωi p i l o t a(Hope)の場合を参考に短日低温条件下に 置いて,一度休眠状態にして(岡田, 1 9 7 7 )その後産卵するかどうかの検討も行なった.. 3 .結果 -ft-替餌の選抜 ),幼虫の生存率が 0%で、あったセイタカアワダチソウヒゲナ 飼育実験の結果(表 8. ガアブラムシは選択肢から外された.残る 4種のアブラムシの結果についてが検定に 掛けたところ,フタモンテントウの生存率に関しては 4種のアブラムシの間では有意 な差は無かった ( %2=0. 4 5d .f .= 3p>O. 0 5 ). しかし,発育日数を多重比較検定 36.

(42) ( T u k e y Kr amer法)に掛けたところ,エンドウヒゲナガアブラムシで飼育した場合のみ,. 他のアブラムシで宮司育した時にくらべ有意に長いということが判明した ( p<0.05). 従 ってエンドウヒゲナガアブラムシとセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシを除い た 3種のうち,どの種を用いても発育日数や死亡率に差が無いことから過去の研究. ( K 司i 阻e ta , . l2000) でも用いられたことのある飼育の容易なマメアブラムシを用いる ことが適当であると今回の実験から判断された.. 表 8 . 各種アブラムシでの飼育による卵から羽化までのフタモンテントウの生存率と. 総発育日数 フタモンテントウ アブラムシ 生存率. 総発育日数. マメアブラムシ. 44%a. .0 a 26.0+1. エンドウヒゲナガアブラムシ. 44%a. 28.5+1 .5b. 42%a. 27.2+1 .6a. 40%a. a 25.7+2.0. 酔 目 ‘ 可. 曹司・. 酔. モモアカアブラムシ 町 酔 晶. 目 ‘ + 町 酔 晶 酔4 ・. ・. 可. ・曹司曹司. 酔+曹司曹司.. ・曹司圃司圃圃曹司曹司.. ニセダイコンアブラムシ ・ ー ・4. 曹司曹司・4 ・. 咽. "圃曹司曹司・・・. ・ 圃 圃 曹 司 ・4 可・ 曹 司 曹 司 曹 司 可 .. セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ. 町酔+咽町酔町酔町酔+町酔咽 町 酔 曙 目 ‘ 町 酔 町 酔 晶 目 ‘ 町 酔 目 ‘ 町 酔 町酔目“園田“・晶 晶. 0%. 目 “. 町 酔 町 酔 咽. 計測不能. (閉じアルファベット聞には有意差無し). -累代飼育条件の確立 0 日前後より 20C環境下で、あっても餌の摂取量が減り,飼育容器 成虫は羽化から 1 0. の隅に数匹単位で集団を作り休止していることが多くなり,活動が鈍くなった.そこ 0. 0C,1 O L 14Dの短日条件下に 2週間ほど置き,その後再び 200C, でこれらの成虫を 1 14Ll O D の条件下に戻したところ,産卵を確認することができた.しかし,世代を重. ねるごとに産卵数が減っていき,野外から採取してきて産卵させた雌成虫個体の総産 5個(鮮化率 77.2%)を超えていたのに対し,代替餌 卵数が 1個体あたり平均 160+1. で飼育した次世代では総産卵数は平均 30+5個(鮮化率 76.0%) と激減し,次々世代 では平均 1 0士2個前後(鮮化率 79.0%) と飼育個体数を維持できないまでに減少した. 37.

(43) ( 表 9 ) .. 表 9 . 累代飼育に代替餌を用いた場合の世代別総産卵数と瞬化率 総産卵数(個) (1雌あたり) 解化率(%) 野外採集個体. 160+15. 2 77.. 代替餌での飼育第 1世代. 30+5. 7 6 . 0. 代替餌での飼育第 2世代. 10+2. 7 9 . 0 L. 4 .考察 以上の結果からフタモンテントウの累代飼育において上記の餌や方法では十分では ないということが判明した. 原因としては a ) 餌の不適合 b ) 飼育装置の不適. c ) 生活サイクルを乱すことによる生理的変化 d ) 近親交配による個体群の弱体化. などがあげられる.現に上記の問題は人工飼料ではあるが,他のテントウムシ類の人 工飼育においても生じている(岡田, 1 9 7 7 ) . フタモンテントウにおいても人工飼料に よる幼虫の飼育に成功したとしづ報告がされているが ( K a r i l u o t oe ta l .,1976),累代飼 育はできていない.今回の場合では a )については発育日数や死亡率に影響は無いが, 卵の発育に必要な栄養素が不足していた可能性がある. b )については一般的な飼育法 を用いたので,これが影響しているとは考えにくい. c )については温度や日長を変え たことで産卵前期なと生理的なサイクルを乱してしまい,今回の結果のようになっ た可能性がある. d )についてはナミテントウのように数世代飼育してもほとんど影響 9 7 7 ),ココノホシテントウやカメノコテントウのように の出ない種もあるが(岡田, 1 2 ' " ' ' 3世代で繁殖が止まってしまう例あり(岡田, 1 9 7 7 ),これも可能性としては十分に. ありうると思われる.従って今回の結果の要因としては a ) ι ) d )のどれか,あるいはそ 0. 1 5Cの低温で1OL14Dの短 れらの複合的な要因だと考えられる.しかし,産卵条件 (. 38.

(44) 日条件でに約 2週間)が判明したことから,いつ野外で成虫を採取しても産卵させる ことが可能になったため(本種の成虫は野外ではほぼ 1年中見られる(第 3章第 l節), 室内実験に必要なフタモンテントウの個体を随時得るというこの実験の本来の目的は ある程度達成されたといえる.. 第 2節. フタモンテントウの温度と発育の関係,増殖能力. 1.目的 フタモンテントウは,北米やヨーロッパを主な分布域とする種で、あり ( H o d e ka n d. , k1 9 71),これらの地域は日本の温暖湿潤の気候とはかなり異なっている(表1). H o n e そのため日本における本種の生理的特性がヨーロッパ産のものとくらべ異なっている 可能性があると考えられる.そこで飼育実験を行ない,発育零点( t o ) や有効積算温度(め を求め海外のデータと比較し,本種の生理的特性を調べた.. 2 .実験材料と実験方法 ブタモンテントウは大阪市南港中央公園で,越冬後の成虫個体を採集し,採集地の トウカエデ、に寄生していたイタヤニタイケアブラムシを十分に与え,定温室でて飼育し. ( 2 0C,R.H.60%,1 4 L :1 O D )産卵させた.産卵された卵は約5 0 個ずつ 1 5, 2 0 , 2 5, 3 0 , 3 5C 0. 0. の各温度区におき,解化後l 匹ずつ透明なフ ラスチック容器(直径95mm ,高さ 6 5mm) O. の中に入れ,卵 羽化までにかかる日数をステージごとに調べ,温度と発育速度の関. ωと有効積算温度(めを求めた.また,卵,幼虫,踊の各ステ. 係や生存率,発育零点. ージ別の有効積算温度と発育零点についても同様に求めた.餌はトウカエデに寄生し ていたイタヤニタイケアブラムシを十分に与えた. さらに野外から採取したフタモンテントウのうち, 1ベアを 2 0Cの温度下で宮司育し 0. 産卵させ,その卵から僻化したフタモンテントウ幼虫にイタヤニタイケアブラムシを 十分に与え飼育し,その生存率や日当たり産卵数,内的自然増加率を調べた.. 3 .結果 実験の結果,フタモンテントウは 3 5C区では高温障害が生じ,卵の段階で正常な発 0. 3 9.

(45) 育が行われず,全く癖化しないで死亡した.また, 3 0C区においても 2令幼虫の死亡 0. . 4%と最も低く, 高温障害 率が他の温度区にくらべかなり 高く,最終的な生存率も 21 が発生していると思われた.各温度区の最終的な生存率は 1 5C 区が 60%と最も高く, 0. 飼育温度が高くなるにつれて生存率は低下した(図 21 ). ・ ・-. 1 0 0. 0. -15C 0. -20C. 80. 一合一. 250C. → ← 30C 0. (ま)時祉制. 一栄一. 350C. 60. 40. 20. 。 1令. ij~. 3令. 2令. L一一一一. 幼虫. 4令. 踊. 成虫. 一一一」. ステージ 図 21.フタモンテントウの各ステージ別,温度区ごとの生存率.. 表 1 0.温度区ごとの発育日数(平均士SD ) 1 5C 0. 20C 0. 2 5" C. 卵. . 4 0 6 . 2 5士0. 4 . 5 4 + 0 . 5 0. 3.42+0 . 4 9. 2 .. 幼虫. 2 0 . 6 1+1 .6 5. . 9 0 1 6 . 7 9士 0. 9.76+0 . 5 7. 8.83+0 . 72. 踊. 5 7 1 2 . +0.. 4 6+1 .0 3 7.. 5. 08+0.73. 5 . 3 3 + 0 . 4 4. 卵→羽化. 3 8 . 8 6 + 2 . 1 1. 2 8 . 7 9 + 1 . 3 7. 1 8 . 2 6 + 0 . 8 1. 1 6 . 1 7土 0 . 9 8. ∞. 40. 3 0" C. ∞ 士 O.∞.

(46) ~~ 0 . 6. 9 y=0 . 0 2 1 8 x-0 . 1 9 8. 、 ‘. 守. 〉 、. 0 . 4i. 色可. 制. ‘. 剤. 句. •. 0 . 2~m:. @ 、. 、. d. •. 口 ¥¥. Q. 斗司. ‘. ‘ 一. 。. 島司. ‘. 、. ‘. -. ( O ) (田)額田拠出帆. IFOE-V8. •. 2 r =0 . 9 0 1 8. Q. ‘ ‘ ‘. 8. 棋. ‘. 崎. 、. 2. o. o. 1 _. 1 0. 2 0. 1 5. 3 0. 2 5. 3 5. 温度 ( O C )( x ). 図2 2 . 温度と卵の発育日数発育速度との関係.. 幼虫. 田. 3・崎‘. 制 s [ 10 獄 5 0 10. nu. ‘ ‘. •. 尋問. =0.9308. 、. 田. 2. r. ム. 1 5. 2 0 2 5 温度 ( O c )( x ). ‘ ・0 . .‘. 」. 30. 図 2 3 .温度と幼虫の発育日数,発育速度との関係.. 41. 0. 3 5. (﹀)(・)(口¥戸)幽刷用相棋. •. =. y 0 . 0 0 4 4 x-0 . 0 1 9. 0‘ ‘ ‘. ' "20. 。. O. 0 . 2. ‘ 、 、 、. 2 5. ‘ 、 ‘ 、 ‘. 30.

図 3 フタモンテントウの世界分布図. (黒塗り部分) (Semyanov ,  1 9 7 0 ;  Hodek a n d  Honek ,  1 9 7 1 ;  O b r y c k i  a n d  T a u b e r ,  1 9 8 1 ;  F r 位 町 組 dMcGregor ,  1 9 8 8 ;  Honek 佃 dK o c o u r e  , k 1 9 8 8 :  H 叩 叫 叩 lennandM 紅比山、 1 9 7 7 : S 北 町 a t 組 i , 1
表 5 . リーフシェルターの形態とその内容 形態 │ 各形態の内容 巻き葉 │ アブラムシの吸汁や病害によって葉がカールした状態 重なり葉 │ クモなどの巣で葉がつづり合わされて葉が重なった状態のもの 内巻き │ 葉の表面を内側にして巻いている状態 外巻き │ 葉の裏面を内側にして巻いている状態 重なり葉上部 2 枚の葉が接して重なった葉の上側の葉 一 一 一 一 回 目 一 一 一 重なり葉下部 2 枚の葉が接して重なった葉の下側の葉 400  川 ‑巻葉 ロ外巻き 皿 口重なり葉内巻き事300出国重な
図 1 8 . ナミテントウ幼虫(左)に捕食されるフタモンテントウ前踊(右) .  ー・ーピーク時におけるフタモンテントウの総個体数 500  r  ド ー・ーピーク時におけるナミテントウの総個体数 450  I  400  ~ーアブラムシ密度指数 350  r‑ 函 300 、 、
図 2 0 .同じリーフシェルターで越冬するフタモンテントウ(右 2 匹)と キイロテントウ(左 2 匹). 
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