• 検索結果がありません。

0 5 0 5 0 5 0

3 2 2 1 1

Ab  餌十分 単独飼育

Ha  餌十分 単独飼育

1s 餌十分 単独飼育

Ab+Ha  餌十分

Ab+ルls 餌十分

q

J n u q J n U P 3 A U  

L q L 1 l ' I

Ab+1s 餌不十分

U Z J A U q J A U q J n U

3

L I l

A

命誌

Ab  餌不十分 単独飼育

Ha  餌不十分 単独飼育 夕、ン夕、ラテントウ

(F) 

Ab+Ha  餌不十分

Ha+Ab  餌不十分

Ms+Ab  餌不十分

図 28.餌条件や組み合わせ別の各テントウムシの発育日数.

(Ab:フタモンテントウ,Ha:ナミテントウ,Ms:ダンダラテントウ) ウklン伺

w m

ω 5 0

Ha+Ab  餌十分

Ms+Ab  餌十分

Ms  餌不十分 単独飼育

4 .

考察

室内実験の死亡率の結果から,餌の有無に関わらずフタモンテントウが在来捕食性 テントウムシに対して大きな影響を与えることはほとんど無いと考えられる.しかし,

餌が不足している条件下において,在来テントウムシがフタモンテントウに対して与 える影響はかなり大きいことが分った.また,過去にもイギリス個体群のフタモンテ ントウを使った同様の実験が行われており,その時にも在来テントウムシ(ナミテン トウ・ナナホシテントウ)がフタモンテントウ(ただしイギリス個体群)に対して大 きな影響をおよぼすとしづ実験結果が得られているほ司i阻eta ,.l2000).しかし,

K

司i阻

らの実験結果と異なり,本研究の実験においてはナミテントウの幼虫は餌が豊富であ るにもかかわらずフタモンテントウの幼虫を捕食したとしづ結果が得られている.原 因としては本研究において飼育に用いた容器が K司i阻らの実験に用いられた物よりも 小さく飼育密度が高いため,フタモンテントウの幼虫とナミテントウの幼虫が出会う 可能性が高かったからだ、と思われる.また,ギルド内捕食(IGP)は体の大きさ・攻 撃性・食性に強く影響されることがわかっている(Lucuset a ,.l1998).食性lこついては フタモンテントウ・ナミテントウ・ダンダラテントウともにジェネラリスト的なアブ ラムシ捕食者である(Blackman, 1965,1967;  Smi血, 1965;  H池田町laand Kamei, 1970;  Hukusima and Kouyam ,a1974;11s,1981; AgaIWa1a et a ,.l1987; Hodek and Honek, 1996). 

しかしながら,ナミテントウの方がダンダラテントウよりも体重・体長ともに大きい 大型の種であり (Kawauchi,1979),強力なギルド内捕食者としてよく知られている (Agwa1aeta ,.l2003).このことがフタモンテントウに対する直接的な影響がナミテン

トウとダンダラテントウで、異なっていた理由として推察される.

発育日数の実験結果から,餌が十分であればナミテントウとダンダラテントウの 2 種にとって,フタモンテントウの存在は発育に影響を与える要因にはなっていないこ

とが分った.餌が不足している条件においてもナミテントウに関しては餌が十分であ る場合と同様に発育日数に大きな影響を与えていない. しかしながら,ダンダラテン トウとフタモンテントウの組み合わせにおいて双方に発育日数の有意な減少という結 果が得られている.これはIGPによる栄養状態の改善,もしくはIGPによって個体数 が減り,結果的にテントウムシの個体あたりのアブラムシの割り当てが増えたためと 思われる.ナミテントウとの組み合わせで発育日数の減少が起きなかった理由として

はナミテントウの方がダンダラテントウよりも必要とする餌の量が多いため,フタモ ンテントウを捕食,あるいは共食いを行なっても栄養条件が改善されなかったためだ、

と思われる.

この室内実験の結果より,フタモンテントウ・ナミテントウ・ダンダラテントウの 3種テントウムシのうち,在来捕食性テントウムシであるナミテントウとダンダラテ ントウ,特にナミテントウは直接的な種間関係においては発育開始が一致していて,

同所的に生息している場合,外来種であるフタモンテントウよりもかなり優位である と推察された.

第6章 総 合 考 察

外来テントウムシによって在来テントウムシが大きな影響を受けた例はいくつか あり,例えば北アメリカではアブラムシ防除のためにアジアから導入されたナミテン トウとナナホシテントウという 2種の外来テントウムシが現地での在来種フタモンテ ントウやココノホシテントウおよび仁 transversogut仰仰に対して深刻な影響をおよぼ している(Alyokhinand Sewell, 2004; Brown and Miller, 1998; Ellis et a ,.l1996, 1999; Evans,  2004; Evans and Engla n,d1996; Maredia et al., 1992; Schaefer et al., 1987; Staines et al., 1990;  Tumock et al., 2003; Wheeler and Hoebeke, 1995; Brown,2003).  しかし, 日本において海 外からの侵入害虫であるイセリアカイガラムシ防除のためにアメリカ合衆国のカリフ オルニア州から導入したベダリアテントウのように,在来種に対してほとんど影響を 与えなかった例もある(安松, 1970). この2つの例において在来種に対する影響にこ れだけの差がある理由としては,前者のナミテントウやナナホシテントウは攻撃性も 高く,ジェネラリスト的食性を持っていて,侵入先でも餌不足になることは無かった が,後者のベダリアテントウは基本的に同じ外来種であるイセリアカイガラムシとい う特定の餌しか食べないために,その個体数がイセリアカイガラムシの個体数に左右 されてしまうからである(桐谷,1986). 

フタモンテントウの日本への侵入年は不明であるが,最初の発見地である大阪府住 之江区南港中央公園では,本種が発見される前よりかなりの頻度で生物調査が行われ ており(桜谷, 1998),その際には記録されていないことから,最初に本種が発見され た1993年の 12月 (S北 町a阻止 1994)からそれほど離れてはし、ない時期に侵入,定着 したと考えられる.近年, 日本での外来種の種数の増加は著しいが (Morimotoand  Kiri凶止1993),侵入初期からの追跡調査は例が少なく,多くの種はかなり分布を拡大

してから発見されることが多い(村上・鷲谷,2002).もし,本種が侵入後のかなり初 期に発見されたものであるとするならば,外来種の侵入や拡大のプロセスについて研 究するうえでも興味深い例といえる.南港中央公園は国際的貿易港である大阪港岸壁 から数100mの距離しかなく,また東に4kmほどの所の港湾には輸入材の貯木場があ る.こうしたことから,本種はおそらく越冬中に材木とともに成虫で侵入してきた可 能性が高い.本種は発見以来調査が続けられており,いままで、不明で、あった日本にお

けるフタモンテントウの生態がかなり明らかにされた.

これまで日本におけるフタモンテントウの生息域はごく狭く,確実に繁殖している のは本種が初めて発見された大阪市南港中央公園とその周辺に限られていた.しかし,

2000年の夏に初めて他の場所で越夏している個体が確認され,さらに本種はこれまで 日本では 1化性と思われてきたが, 2000年の秋季に少数ではあるが幼虫および踊が確 認された.このことから本種の生活史が変化してきている可能性も示唆された.そし て 1999年においてはその個体数が前年にくらべてかなり増えたことが野外調査によ り明らかになっている.すなわち,本種は本来ヨーロッパや北米を中心とした,比較 的気温の低い環境に生息する種でありながら (Hodekand Honek, 1996) ,高温多湿な気 候を持つ日本のような国にも適応しつつあるとしづ可能性を示している.また,材重 は生息地域によって化性や休眠のタイフ。が異なっていることや,飼育実験によって出 された有効積算温度 (K)や発育零点 (to)がK=41.7"'483,. to=7.5'" 10.5と生息地に よってばらつきがあることから(表 14), 日本国内でも休眠性に地理的変異があるナ ナホシテントウ (Ohashiet a ,.l2003)と同様に,フタモンテントウも異なる気候条件に も適応し,定着できる能力を持っていることが推察される (Frazerand McGregor, 1992;  Hamalainenn and M訂 凶ll,a1977; Honek and Ko

∞ 町

ek,1988; Obrycki and Tauber, 1981)  (表 6.). 

しかし, 日本におけるフタモンテントウはジェネラリスト的な食性の海外の個体群 (Agarwala et a ,.l1987; Blackman, 1965,1967; Hodek and Honek, 1996; Mills, 1981; Smith, 

1965)と異なり,草材直物上にも生息している (Banks,1955; Birch et a ,.l1997)ことは 少なく, トウカエデやシャリンパイ,クヌギ,コナラなどの限られた樹木上に生息し ていることが多い.このことが日本国内におけるフタモンテントウの分布域が急速に は拡大しなかった原因の lつになっていると思われる.

日本のフタモンテントウ個体群は成虫で越夏するとし1う海外個体群ではみられな い生態を持っていることがこれまでの研究から明らかになっている (S北町ヨ阻niet  al.,2000) .日本におけるフタモンテントウ成虫の休眠時の生態は樹木の葉にできたり ーフシェルターの内部で、休眠を行うというもので,その中でも冬季でも蒸散を行ない 断熱効果が高い常緑広葉樹の葉 (Oak,1978)でできたリーフシェルターを利用してい ることがかなり多いということが野外調査により明らかになっている.こういったリ

ーフ、ンェルターを利用する生物はフタモンテントウに限ったことではなく,さまざま な節足動物が微生息場所としてリーフシェルターを利用していることがこれまでの研 究で明らかになっている(CaITOl1and Kearby, 1978: Carroll et  a ,.l1979; Akimoto, 1981;  Hajek and Dahlstel¥ 1986; Cappuccino, 1993; Cappuccino and Mtin,] 994; Kudo, 1994;  Larsson et a ,.l1997; Alper, 1998; Martinsen et a ,.l2000). 

フタモンテントウ休眠場所における微気象の調査結果は風の影響をほとんど受け ず , 温 湿 度 に つ い て は 外 気 に く ら べ 安 定 し て い る こ と が 判 明 し て い る ( 図 10,11,12,13,14,15) .こういった環境は昆虫類の休眠場所として適しており,ナナホシ テントウが休眠場所として利用することが知られているススキの株の根元も,枯葉や 枯れ茎による断熱効果で夏季にかなり低い温度を維持していることが明らかlこなって いる (S北町a回 世 間dKubo, 1985;桜谷, 1990).今回の調査ではリーフ、ンェルターを休 眠場所として利用している在来テントウムシはそのほとんどがフタモンテントウと直 接的な種間関係を持たない菌食性のキイロテントウ(佐々治,1998)であり,直接的な 種間関係を持つナミテントウやダンダラテントウはほとんど確認されなかった.また,

利用されていないリーフシェルターがかなりの数見つかっていることから,フタモン テントウと在来種の聞に休眠場所をめぐる空間的な競争はほとんど無し吃思われる.

なお,海外の個体群はナミテントウの集団越冬のように日当たりのよい壁,屋根の割 れ目などに大量に集合して越冬・越夏することが知られている (Hawkes,1920;  Semyanov, 1970) .しかし,日本ではこのように大量に集合して休眠している様子は確 認されたことが無く,これはヨーロッパと日本の樹木の種類や気候条件などの違いに 原因があり,それぞれの環境条件に適した越冬場所を選んでいるものと思われる.

フタモンテントウの活動期における在来テントウムシとの種間関係にはナミテン トウとの聞にギルド内捕食による直接的な関係が存在することが野外調査によって明 らかになっている(図 17). しかし,その関係はナミテントウの幼虫がフタモンテン トウの前踊や踊を捕食するだけ, とし、う非対称的なもので、あった.ブタモンテントウ とナミテントウの2種がこのような関係にある理由として,

a) ナミテントウが 4令幼虫になるころに餌であるアブラムシが減少を始め,餌不 足により飢主我に陥るナミテントウの幼虫個体が増えること.

b) フタモンテントウとナミテントウの発育開始時期のずれにより,ナミテントウ

が4令幼虫になるころにフタモンテントウは身動きが取れない前踊や踊の状態 にある.

という 2つの理由にあると推察される.そしてギルド内捕食は体の大きさや攻撃性,

食性によって

5

齢、影響がおよぶ(Lucuset a ,.l1998)ということが推察される.なぜなら ナミテントウは体長4.78.2mm(黒津,1985)で,体長5mm前後のフタモンテントウにく らべると大型の種である.食性もさまざまなアブラムシを餌とするジェネラリスト的 な食性であり(Hodekand Honek, 1996),攻撃性の高い強力なギルド内捕食者であること が知られているからである(Agarwalaet a ,.l2003). 

フタモンテントウの室内実験をするあたり,フタモンテントウのサンフ。ル個体は常 に安定して供給されることが望ましく,そのためには人工飼育によってサンフ。ル個体 を増殖させることが必要である.そしてフタモンテントウは捕食性テントウムシであ るため,人工飼育するために最も重要なものは餌のアブラムシなどの確保である.最 適なの本種が野外で主要な餌となっているイタヤニタイケアブラムシを用いることで あるが,このアブラムシは春季の限られた期間にしか発生しない.このアブラムシを 飼育に必要なだけの量を安定して供給し続けることは餌生物の発生消長に左右されて しまうことから非常に困難である.テントウムシの代替餌による人工飼育の研究は古 くから行われてきており,種によっては代替昆虫や花粉を用いた人工飼育によって累 代 飼 育 に も 成 功 し て い る (Allah and  Newsom, 1966;  Haug, 1938;岡田ら,

1970,1971,1972,a1972b;岡田, 1971; Smirnoι1958; Smith, 1960)ことから,飼育・増殖 が容易であると思われる数種のアブラムシを代用餌として用いて累代飼育をした.し かし,どのアブラムシもフタモンテントウの餌としては完全に適していないのか,世 代を重ねるごとに産卵数が減り,

3

世代目には飼育個体数を維持できないまで、になっ てしまった.ただ,野外から採取してきた成虫を低温短日条件下に2週間置くことで 産卵させることには成功したため,実験に必要なフタモンテントウの個体数を随時得 ることは可能になった.

飼育実験の結果から判明した,フタモンテントウの日本個体群の発育零点(表 11) を在来テントウムシと比較したところ,フタモンテントウの発育零点は在来種よりも 低かった.すなわち本種は在来種よりも低い温度で発育が可能であり,在来種よりも 早く発生し,餌資源の利用について在来種よりも優位であることが分った.有効積算

関連したドキュメント