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JAIST Repository: 社会問題解決型研究開発の領域設計に向けた俯瞰的な検討プロセスの実践

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

社会問題解決型研究開発の領域設計に向けた俯瞰的な

検討プロセスの実践

Author(s)

川原, 武裕; 平尾, 孝憲; 三石, 祥子; 松丸, 健一;

大竹, 裕之; 大川, 晋司; 小松, 正和; 菊田, 隆

Citation

年次学術大会講演要旨集, 23: 5-9

Issue Date

2008-10-12

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/7488

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

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1A04

「社会問題解決型研究開発の領域設計に向けた俯瞰的な検討プロセスの実践」

○川原武裕(科学技術振興機構 RISTEX),平尾孝憲(同),三石祥子(同),松丸健一(同),

大竹裕之(未来工学研究所),大川晋司(同),小松正和(同),菊田隆(同)

【要旨】 (独)科学技術振興機構 社会技術研究開発センターでは、平成21年度の領域設定に向けて、問題設定の段階からの需要側 のニーズ反映の点をより強化するため、領域設定プロセスの第1フェーズにおいて、現在顕在化している社会問題の俯瞰的観点 からの調査をはじめ、多分野の有識者による問題抽出のための俯瞰ワークショップ等により、領域候補の抽出を実践した。本稿 では、その一連の実践について論じ、問題解決型研究開発に対する公的資金助成のための領域設定プロセスを、より効果的な ものにするための示唆を得る。

Aiming at strengthening reflection of social needs to a new Research and Development (R&D) Area of the next fiscal year, Research Institute of Science and Technology Agency (RISTEX), Japan Science and Technology Agency (JST), conducted comprehensive studies of social issues in the real world from panoramic view, from the beginning of the design process of R&D Area. Consequently, a specific social issue was eventually focused on after the several steps such as bibliographic survey, interviews, and workshops. In this article, the process and the result of the studies are discussed to obtain ideas to improve them to establish more effective funding system for problem-oriented R&D projects.

Key Words: 社会問題解決,研究開発,公的資金配分,Transdisciplinary Research,Funding Programme 1.序論 (独)科学技術振興機構(以下、JST) 社会技術研究開発 センター(以下、RISTEX)では、社会的・公共的価値の創出を 目指し、社会の具体的な問題の解決に寄与することを目的と した研究開発、および成果の利用・展開(「社会実装」と呼ん でいる)を推進している。そのため、研究開発においては自然 科学および人文・社会科学の研究者のみならず、問題解決に 取り組み、成果の利用・展開の担い手となる自治体や地域、 NPO などのステークホルダーとの協働を重視している。平成 20年9月現在、RISTEX では「地域に根ざした脱温暖化・環境 共生社会」「犯罪からの子どもの安全」「脳科学と社会」「情報 と社会」「科学技術と人間」の研究開発領域を設定し、研究開 発を推進している。 平成18年3月、外部評価者で構成されるセンター評価委員 会により、研究開発の事後評価報告書がとりまとめられた。 その中で、RISTEX における課題の一つとして、「社会の問題 を解決する上で優先度の高いテーマ設定がなされていたか 等、計画策定を戦略的かつ適切に行える体制または仕組み を整備することが必要である」ことや「社会技術の研究開発に おいては、社会実装は重視されるべき事項の一つである。従 って、実証実験を含む PDCA サイクルを一回以上回し、技術 の有効性やその限界を十分に確認すべきであり、実証実験 が社会実装につながる見通しが立てられるよう、研究計画を 事前に十分に検討する必要がある」ことなどが指摘された (RISTEX、2007)。この指摘を受けて、RISTEX では、新規研 究開発領域設定に際し、国の政策や JST の研究開発戦略セ ンター(以下、CRDS)の提言等を広く踏まえて候補となる領域 を抽出した後、領域構想の具体化、ネットワーク形成、当該問 題の解決におけるプレイヤーの抽出を主な目的として、当該 領域の関与者の探索やインタビュー調査、ワークショップ、公 開フォーラムなど、事前調査の充実を図った(平尾 et al. 2007)。その結果として、平成19年度には「犯罪からの子ども の安全」、平成20年度には「地域に根ざした脱温暖化・環境 共生社会」が設定され、それぞれの中で研究開発プログラム の設定、研究開発プロジェクトの採択が行なわれた。 しかしながら、研究開発領域設定の最初の段階である領 域候補の抽出については、限定的な対応だったことが課題 として残されていた(平尾 et al. 2007)。そこで、平成21年度 以降の研究開発領域設定においては、この点をより強化す るための新たな試みとして、俯瞰的な観点での社会問題の 調査・検討をはじめとする「新規研究開発領域探索調査」を 企画・実践した。 図1:新規研究開発領域の設定過程 標準モデル(案)

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2.領域探索調査のプロセス 図2:領域候補抽出モデル(イメージ) 図2は、俯瞰的な検討プロセスの実践による領域候補抽 出モデルのイメージである。社会にはいろいろなレベルの 多くの問題が存在するが、その中から社会技術研究開発 の領域候補という観点から抽出した問題に対し、社会技術 研究開発事業としての性格等を考慮しつつ、調査検討と絞 り込みを進め、最終的に次年度の領域候補となるものを1 つに絞り込むというプロセスである。次年度の領域候補に ならなかったものについては、必要に応じて、その後の領域 候補の検討に有効活用する。具体的な検討プロセスとして は、図3の様に設計した。 社会 技 術 研 究 開 発 領 域 候 補 と 考 え ら れ る 社会問 題 に つ い て 、 俯 瞰 的な観 点 か ら 検 討 H20.4.9 H20.9.4 ① 俯 瞰 WS の ため の 予 備 調 査 ② 俯 瞰 WS 第 1 ス テ ー ジ ③ 予 備 調 査 ④ H 21領 域 候 補 に 関 す る テ ー マ 別 WS × 3 RI ST E X 実 務 担 当 者検 討 ⑥ 運 営 協 議 会 ⑤ 俯 瞰 WS 第 2 ス テ ー ジ 関 与 者 、 有 識 者 の リ ス ト ア ッ プ 、 周辺 状 況 の 調 査 取 り 組 む べ き 具 体 的 問 題 、 考 え ら れ る 研 究 開 発 ア プ ロ ー チ に つ い て 検 討 H20.7.30 教育 H20.7.31 食と生活 H20.8. 5 高齢社会 H20.8.11 対 象 と す べ き 具 体 的 問 題 、 研 究 開 発 ア プ ロ ー チ 、 枠組 み な ど に つ い て 検 討 H20.6-7 各 テ ーマ に つ い て 領 域 設 計 す る 場 合の プ ラ ス 要 因 ・ 検 討課 題 の 検 討 H20.1-3 「社 会 技 術 研 究 開 発 事 業 と し て の 妥当性 」 の 観 点 か ら 検 討 白 書 ・ 書 籍 等 を調 査 に よ り 、 現 在 顕 在 化 し て い る 社 会 問 題 を 抽 出 RI ST E X 実 務 担 当 者 検 討 平 成 21年度 研 究 開 発 領 域 候 補 の 選 定 ⑦ 関 与 者 イ ン タ ビ ュ ー ⑧ 関 与 者 WS ⑨ 運 営 協 議 会 ⑪ 公 開 フ ォ ー ラ ム ⑫ 運 営 協 議 会 H20.9- H20.11 H20.12 H21.3 研究 開 発 領 域 設 定 こ れ ま で の 検 討 結 果 を 踏 ま え 、 H 21領 域 候 補 に つ い て 検 討 領 域 設 計 に 必 要 な 情 報 の 収 集 領 域 検 討 状 況 の 中 間 報 告 領 域 検 討 結 果 報 告 、 事 前 評 価 領 域 検 討 状 況 の 社 会 へ の 情 報 発 信 、 意 見 聴 取 研 究 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト 公 募 開 始 H21.4 H21.3 対 象 と す べ き 具 体 的 問 題 、 研 究 開 発 ア プ ロ ー チ 、 枠組 み など に つ い て 検 討 ⑩ 関 与 者 WS ・ WG H21.1-2 図3:新規研究開発領域探索調査フロー 3-1.フェーズ1:予備調査(俯瞰的観点からの社会問題 抽出) まず、予備調査の位置づけで、既に顕在化している(あ るいは近い将来顕在化することが予測される)社会問題を、 分野にかかわらず抽出するための調査を実施した。調査で は、政府から発行された白書を中心に、書籍や雑誌、報告 書を用いて、社会問題としてとらえられる事象に関する記述 を抽出し、問題の本質と考えられる部分でグルーピングし、 分類・マッピングした。 なお、外交問題、防衛問題等、国際的な政治レベルでの 解決を要する問題については、RISTEXの資源を考慮した 場合対象とすることが非常に難しく、今回の調査対象から 除外した。 3-2.フェーズ2:俯瞰ワークショップ第1ステージ 社会技術研究開発事業における研究開発の対象になる と考えられる社会問題の抽出をすることを目的として、俯瞰 ワークショップ第1ステージを開催した。ワークショップには、 様々な角度から社会問題について議論を行なう目的から、 マクロ経済学、行政学、科学技術政策、社会疫学、哲学、 工学、リスク論、社会システム論、環境学、科学技術ジャー ナリズムなど、様々な異なる分野の16名の方に参加頂い

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た。ワークショップでは、参加者から事前に「注目すべき社 会問題」を提示頂き、議論の材料とした。議論では、参加者 から挙げられた「注目すべき社会問題」と予備調査結果を 踏まえて、その上で以下の論点について議論を行なった。 <論点> 1.社会技術研究開発領域候補として注目すべき問題の抽 出 -社会的事象の背後にある本質的な要因を踏まえ、その 事象をどの様に捉えられるか、問題解決の切り口は何か 2.抽出した社会問題の解決に向けた研究開発アプローチ の可能性の検討 - 社会問題の解決に寄与するためには、社会技術研究 開発のアプローチとして、どの様な可能性が考えられるか - 他の問題への応用可能性 俯瞰ワークショップ第1ステージの結果(社会問題プロット 図)を、図4に示す。これは、当日の議論で抽出された社会 問題を、相互の関連性を考慮してプロットし、領域候補のテ ーマとして考えられる範囲で社会問題をグルーピングしたも のである。また、これらのテーマと学術界および行政関係に おける問題意識との関係についても検討するために、日本 学術会議の提言・声明・勧告など(2005~2008 年度)を前記 グループ上に整理した図、白書から抽出した問題を前記グ ループ上に再整理した図を作成した。 図4:俯瞰ワークショップ第 1 ステージ結果 3-3.フェーズ3:問題の絞り込み・テーマ別ワークショップ 俯瞰ワークショップ第1ステージで抽出した約20のテー マについて、社会技術研究開発事業の性格(自然科学と人 文・社会科学の両方を含む学際的アプローチをとりうるもの か、成果の社会実装が可能か、ステークホルダーとの協働 が可能かなど)や RISTEX の資源(資金、研究開発期間な ど)などの観点から、RISTEX 内部で検討を行ない、領域候 補としてより詳細に検討をするテーマとして、教育に関する 問題、食と生活リスクに関する問題、高齢社会の問題の3 つに絞り込んだ。 次に、上記各テーマについて領域設定する場合に取り組 むべき具体的問題や研究開発アプローチに関する情報・知 見の取得、アイデアの創出を目的とした詳細検討を行なう ために、テーマ別ワークショップを開催した。ワークショップ が密で創造的な議論の場とすることを念頭に、参加人数は 10名程度とし、事前に参加者へのインタビューに赴いた。 ワークショップ参加者としては当該テーマに携わる、産・学・ 官・NPO など多様な立場の方にご参加いただき、「問題に 携わる現場の方」と「問題の解決に対して研究アプローチを 提示する方(研究者)」の両方の観点から議論が進められ るようにした。 また、ワークショップに先だって、当該テーマ の有識者・関与者の探索や、取り組むべき具体的問題や研

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究開発アプローチ等に関するインタビュー調査、政策動向 や関連データの調査を実施し、各テーマにおける問題意識 に関する整理を行った。 テーマ別ワークショップでは、以下の論点について議論を 行なった。 (1)(各テーマの問題の中で)具体的に何に焦点を当て るべきか。 (2)(2)(1)の問題の解決に向けて、どのような研究開 発アプローチが考えうるか(社会技術研究開発事業の性 格・資源条件を踏まえて)。 その後、ワークショップの議論の結果を踏まえ、各テーマ に関する領域構想図を作成した。なお、テーマ別ワークショ ップの結果を俯瞰ワークショップ第 1 ステージの結果に照ら し合わせると、図5のように表される。 ⑥多様化社会におけ る都市の問題 ⑥-A都市型自然災害リスク ⑥‐B都市の持続可能性 ⑤環境問 題 ②科学技術 のガバナンス ④-B 新技術の 法規制ギャップと社 会的コストの増大 ②-B 先端科学 技術のシビリアンコ ントロール ④-A生活リスクに 対する社会反応の弊 害 ④-D食糧確保に関するリスク ④-E複合的環境要因 による健康リスク ④-C原発リスク ④リスク問題 ⑧高齢化社会におけるQOL ①科学技術の発達 と子どもの成育 ③情報技術のガバナンス ⑦都市と地域の格差 産業競争力低下 ⑨科学技術人材 その他 ⑤環境問題 ⑩犯罪 ⑪労働 ⑫間接的加害者社会のマ ネジメント 犯罪からの子供の安全 脳科学と社会 科学技術と人間 情報と社会 地域に根ざした脱温暖化・環境 共生社会(⑦とも関連) ※RISTEXで運営中の領 域を追加でプロット(赤 枠) ①-A情報通信技術の発達と 子供の成育 ⑦-B地域の 健康格差問題 ⑦-A地域コミュ ニティの崩壊 ⑧-A社会保障 の持続可能性 ③-A 監視可能社会における ITガバナンス ③-B 仮想空間を利用し た犯罪の対策 発達・成育におけ る体験機会の減少 発達・成育におけ る体験機会の減少 対人関係スキル の低下(教育) 対人関係スキル の低下(教育) 教 育 教 育 社会に対する冷め た視線(学習意 欲) 社会に対する冷め た視線(学習意 欲) 発達・成育におけ る親の理解不足 発達・成育におけ る親の理解不足 社会に対する冷め た視線(否定的自 己形成児童増加) 社会に対する冷め た視線(否定的自 己形成児童増加) 母親の育児ストレ スの増大 母親の育児ストレ スの増大 発達・成育におけ る体験の場の減 少 発達・成育におけ る体験の場の減 少 教師を取り巻く教 育環境(Evidence 不足、社会的信頼 基盤が脆弱) 教師を取り巻く教 育環境(Evidence 不足、社会的信頼 基盤が脆弱) 情報デバイスの進 展影響 情報デバイスの進 展影響 実害は極めて少な い食品管理 実害は極めて少な い食品管理 風評を拠り所に必 要以上リスク回避 風評を拠り所に必 要以上リスク回避 食 品 食 品 食・生活習慣の悪 化で医療費の増 大 食・生活習慣の悪 化で医療費の増 大 異なる食文化に対 応(ベジタリアン、 鯨肉) 異なる食文化に対 応(ベジタリアン、 鯨肉) 振技術や未知のリ スクに不安が残る 振技術や未知のリ スクに不安が残る 食品廃棄物リサイ クルにおけるリス ク不安 食品廃棄物リサイ クルにおけるリス ク不安 毒入り、偽装食品 問題(犯罪) 毒入り、偽装食品 問題(犯罪) 食糧供給量(資 源)不足局面での 不安解消(消滅) 食糧供給量(資 源)不足局面での 不安解消(消滅) 食が及ぼす温暖 化への影響 食が及ぼす温暖 化への影響 不安と不信 不安と不信 前世代より身体 的・認知的機能の 若返り 前世代より身体 的・認知的機能の 若返り Productive aging世 代の職種 Productive aging世 代の職種 高齢社 会 高齢社 会 行き場(何かやる 場所)がない問題 行き場(何かやる 場所)がない問題 ソーシャルキャピ タルによる社会の 差 ソーシャルキャピ タルによる社会の 差 身体的機能を認 識した“働き方” 身体的機能を認 識した“働き方” Successful aging世 代の社会貢献 Successful aging世 代の社会貢献 グランドデザイン の策定の必要性 グランドデザイン の策定の必要性 地域成功モデルの 蓄積(介入研究) 地域成功モデルの 蓄積(介入研究) 超高齢社会シミュ レーション 超高齢社会シミュ レーション 健康長寿における 社会環境要因の インパクト 健康長寿における 社会環境要因の インパクト 生涯未婚率25% 一人生活者増大 生涯未婚率25% 一人生活者増大 0.8人で支える超 高齢化社会 0.8人で支える超 高齢化社会 「現代の社会環境に対応した、 科学的アプローチを活用した教育」 「食の生活リスク」 「超高齢社会に対応する 新しい地域社会システム」 図5:俯瞰ワークショップ第 1 ステージ⇒テーマ別ワークショップ 3-4.フェーズ4:俯瞰ワークショップ第2ステージ 3つのテーマ別ワークショップの結果について、重要性、 緊急性、領域設定の可能性や課題等について検討を行い、 平成21年度の領域候補としての優先度を検討するための 意見収集を行うことを目的として、俯瞰ワークショップ第2ス テージを開催した。本ワークショップは、俯瞰ワークショップ 第1ステージ参加メンバーによる検討を計画したが、日程の 関係から9名の参加となった。ワークショップでは、まず各 ワークショップの結果と、それに基づく領域構想案について 報告を行った後、各テーマを領域設定する場合のタイミング、 期待されるインパクト、領域設定における課題、留意点につ いて議論を行った。 3-5.平成21年度領域候補の決定 以上の検討結果を踏まえて、RISTEX の運営協議会にお ける議論を経た結果、平成21年度の領域候補を「現代の 社会環境に対応した、科学的アプローチによる教育(仮 題)」とし、領域候補としての掘り下げを進めることとなった。 一方、それ以外の領域候補案および俯瞰ワークショップで 抽出された問題についても、必要に応じてさらに検討を進 め、平成22年度以降の領域探索に活用することを計画し ている。 4.まとめ 研究開発領域候補の抽出における、社会ニーズの広範な 調査や優先度の高いテーマ設定にといった課題について、 俯瞰的視点から社会問題を調査し、社会技術研究開発事 業としての観点からワークショップやインタビュー調査など

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により、繰り返し検討を行ったことで、問題解決のニーズ把 握の点を強化することができた。今後具体的な領域設定の プロセスに移行するが、これまでの検討で抽出した論点を 元に、従来よりも早い段階でさらなる問題の絞込みが可能 であると期待できる。 また、俯瞰ワークショップ(第 1 ステージ)というプロセスを 踏んだ結果、平成21年度の領域候補のみならず、今後社 会技術研究開発の観点から問題の深堀や、研究開発アプ ローチの検討に資するテーマを複数抽出することができた。 社会技術研究開発では、様々な学問横断的なアプローチを とり、さらに成果を社会実装していくことが重要である。俯瞰 ワークショップ第 1 ステージで、多様な分野、関与者に議論 に参加頂き、異なる知見が持ち寄られ、社会技術研究開発 という枠組みの中で創造的に議論が行われたことが、テー マ抽出のための新たな視点が提供される上で重要なポイン トだったと考えられる。 一方、今回、俯瞰的視点から社会における問題を検討し、 そこから研究開発候補を抽出するというプロセスを実施した が、テーマによっては、問題の性格上一部関与者の協力が 得られにくいものもあるといった点や、将来顕在化してくる であろう問題を抽出するためには別の手法を組み合わせる 必要があるのではないかという点など、今後、さらに改良す べき点も明らかになった。 5.今後に向けて 平成21年度の領域候補として掘り下げを進めることとな った「現代の社会環境に対応した、科学的アプローチによる 教育(仮題)」については、今後、図3に示したプロセスで検 討を進めてゆくが、今年度は、新たに、より広い範囲の方か ら意見を聴取するための方法として、Web を活用したオープ ンな意見収集を行うことで、可能な限り重要なニーズを把握 し、研究開発領域設定に反映させていくこととしている。 今後も、社会ニーズを反映させた研究開発領域設計の 最適化のために、国内外の事例の調査も含め、更に検討を 深めていきたいと考えている。 <参考文献> 平尾 et al.(2007)「社会の具体的問題解決に最適化さ れた研究開発プログラムの開発」 社会技術研究開発センター(2007)「平成 18 年度新規研究 開発領域探索に関する報告書-犯罪からの子どもの安全」 研究開発領域設定経緯-」

参照

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