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第2章 必修教科等の研究 09 英語科 教科書を120%活かした授業の工夫

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Academic year: 2021

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-83- 1.英語科の研究主題 コミュニケーション能力の基礎を養う指導の研究 (4年次) 2.研究主題によせて 今日では,経済,社会の様々な面でグローバル化が 進んでいる。人の流れや物の流れなど,国境を越えた 移動が活発になっている。さらに,今日のIT 革命の 進展により,様々な活動の場面で,知識や情報を入手 し,理解し,意志を伝えたり,対話したりする力が求 められている。このような状況の中で,英語は母国語 が異なる人々の間をつなぐ国際的共通語として,最も 中心的な役割を果たしており,国際共通語としての英 語コミュニケーション能力を身につけることは非常に 重要である。 このような状況の中で生徒のコミュニケーション能 力の基礎を養う指導について研究することは時代のニ ーズに合致したものであるといえよう。コミュニケー ション能力に焦点をあてた指導をすることで,英語で 話すことに意欲を持ち,国際的な視野を持った生徒の 育成に努めたいと考えている。 3.個人のテーマ 教科書を120%活かした授業の工夫 4.研究テーマについて (1)はじめに 過去3年間,言語の使用場面や働きを意識した「英 語Ⅱ」のカリキュラムについて研究してきた。また, 基礎を「英語Ⅱ」につなげる附属中ベラベラEnglish の活動についても研究してきた。どちらも試行錯誤を 繰り返しながら,ようやくカリキュラムを整理するこ とができた。以下に,これまでに整理したカリキュラ ムを簡単に示す。 英 語 Ⅰ 84 時 間 <目標>

listening, speaking, reading, writing…4 技能の基礎・基本をバランスよく身に付けさせ る

<教科書>

“New Crown English Series” 文法をもとに構成 <授業スタイル> *JTEのソロ授業 1.口頭導入 2.ドリル 3.教科書読解→音読 4.自己表現活動/コミュニケーション活動 5.書いてまとめる *附属中ベラベラ English(全 10 時間) 言語の働きを意識させる活動を中心に… <授業スタイル> 1.個人練習 2.ペア練習 3.グループ・チャレンジ 4.まとめライティング 英 語 Ⅱ 21 時 間 <目標> listening と speaking に重点をおいて,オー ラル・コミュニケーションの基礎を確かなもの にする 言語の使用場面を意識させる活動を中心に… <教科書> 1年 「基礎英語1」 (日本放送出版協会) 2・3年

“Passport to New Places”

(Oxford University Press) 本論の要旨 本研究は,教科書を使って効果的に英語学習をすすめる手立てについて,実際の授業の分 析を通して検証するものである。「教科書を 120%活かす」をキーワードにし,生徒の知的好 奇心を喚起するために,どのように工夫して授業を組み立てればよいのかという点について 言及する。 トピックの提示方法や課題の設定に,生徒の興味・関心を引き出す工夫をした。その結果, 生徒が主体的に教科書を使って学ぶようになった。 キーワード 教科書を活かす,生徒の主体性

教科書を120%活かした授業の工夫

井上真澄

(2)

-84- 会話表現中心 <授業スタイル> *ALT との T・T 1.ALT と JTE によるデモンストレーション(ス キットの提示) 2.口頭練習 3.バリエーションの提示 4.スキットの作りかえ・グループ練習 5.発表 (2)研究のねらい 本年度特に力を入れて取り組んだのは,「教科書を活 かす」ということである。その理由は,教科書が改訂 されたこと,本校で今まで使っていた教科書とは異な るものを採用したことである。 教科書には中学校の3年間で学習すべき言語材料が すべて含まれている。題材も中学生に是非知っておい てほしいものが多数ある。しかし,教科書を使用する なかで気になる点がいくつかあるのも事実である。例 えば,会話表現に不自然なところがあることや,題材 の内容を生徒にあわせもっと広めたり深めたりしてい く余地があることである。会話表現については,授業 中のコミュニケーション活動を通して,改善すること が出来ているが,題材を深めることについてはまだま だ工夫することが出来るのではないかと考えた。 また,教科書をライティングの指導教材として使用 する方法についても考えていきたい。新学習指導要領 が実施されてから,コミュニケーション・スキルの一 つとして,英語を使えること,特にオーラル・コミュ ニケーションに重きを置いた授業が行われてきた。し かし,最近の生徒の実情を考えると,書く力が乏しく なり,それに伴って英語を運用するために必要な基礎 的な事項も定着していないと感じることが多い。そこ で,コミュニケーションに活かせるライティグの指導 についても,効果的におこなう必要があると考えた。 そのためには生徒が主体的に取り組むような課題と題 材の工夫が不可欠である。例えば,教科書の発展とし て国際理解や平和,環境などにテーマを絞ったり,生 徒自身の経験や考えなどを表現したりするようなもの がふさわしいと考えられる。 教科書を効果的に使い,基礎・基本を学ばせること で100%,題材の内容や自己表現で広げ,深めるこ とで+20%以上活かせるように実践を深めていき たい。また,書く力に重点をおいた教材を開発してい きたい。 (3)研究仮説 教科書を効果的に活用し,課題設定や提示方法を工 夫することにより,生徒が主体的に書く活動に取り組 むであろう。 5.実践例 (1)題材と使用する言語材料

Lesson 5 “Places to Go, Things to Do,” Book3, New Crown English Series

(2)工夫したポイント ①題材の内容より 教科書には,登場人物がそれぞれの行ってみたい 国や地域について,これまでに学習した表現を使って 詳しく説明する文が提示されている。生徒にも同様のト ピックを与え,自身が行きたい国や地域についてのレ ポートを作成させる。生徒は未知の世界へのあこがれ, 好奇心にあふれていて,教師の海外旅行話なども, 興味を持って聞いてくることが多い。また,JICA との交流や修学旅行を経験して,いろいろな国の人 と交流することの楽しさや相手の文化などを知る重 要性を体感している。生徒が行きたい場所について 調べ,英語で表現することにより,さらに興味を増 すきっかけにしたい。また,他の人が調べた国につ いても知る機会ができればよいと考えた。 ②メディアの利用 生徒の興味をより高めるため使ったものを以下に挙 げる。 ・写真 教師が実際に行って撮影してきた写真をクイズ に使用し,プレゼンテーションのモデルとした。ク イズ形式にしたことで,生徒は熱中して取り組んで いた。 ・世界地図 黒板半分くらいの大きさの世界地図で,各地の食 べ物や動物,特徴のある建物の絵がたくさん描いて あるもの。今回のトピックにぴったりだと思い,購 入した。 ・旅行パンフレット あらかじめ生徒にもらっておくように伝え,レポ ートを書く際に,新聞のようにレイアウトして貼り 付けて使うようにさせた。旅行情報についてはweb ページ等で調べておかせた。 (3)学習計画 全7時間 第 1 次 1. Section1の本文聴解・音読 2“なるほど the World Part 1”

Jeopardy タイプのクイズ。グループご とにカテゴリーと得点を選び,答えられた ら,得点にあわせた難易度のクイズに挑戦 1 時 間

(3)

-85- する。答えられたら,その得点をもらえる。 第 2 次 1.Section2の本文聴解・音読 2.なるほど the World Part 2” Part1 と同様の活動 1 時 間 第 3 次 1.Section3 の本文読解・音読 2. Where do you want to visit?

さいころを使った自己表現活動

(さいころの面にthe place you want to visit the thing you want to see the food you want to eat the thing you want to do な どと書いておき,グループごとにさいころをふ りながら,さいころの目にあるテーマに従って, 文を作るゲーム) 1 時 間 第 4 次

1. “Can you tell me ~?” Interview ・ハンドアウトに自分が行きたい場所,食 べたいもの,見たいもの,したいことを英 語で書き込む。(前時の復習)

・できるだけたくさんの人にインタビュー して回る。(7分間)

2. “The place I want to visit is ~.” ・自分の行きたい国や地域を決定し,旅行 パンフレットの写真を用いて,写真レポー トを書く。 2 時 間 第 5 次 プレゼンテーション+掲示 ・液晶プロジェクターを用いて,写真レポート を Show and Tell

・LL 教室に掲示 1 時 間 生徒作品 (4)成果と課題 生徒の感想を読むといろいろな工夫をしたことによ って,書くことが主体化したことがわかる。これがも っとも大きな成果だと考えられる。 「自分のことを書く,書けるというのはとてもうれし いことです。大好きです。パンフレットを用意すると きからドキドキしていました。」 「作業があったので楽しく取り組めました。」 「相手に自分の行きたいところがうまく伝わるように 英文を書きました。」 「今までで学習した文法をかなり使った気持ちなので とても充実した時間になったと思う。」 今回の活動では教科書を使うことによって,モデル が示されていたため,英語があまり得意でない生徒も 活動に取り組みやすかった。これも成果だと言える。 普段assignment を出すことが出来なかった生徒も, このときは提出していた。 次年度の課題として2つ挙げる。 1つ目は情報の与え方である。例えば,今回の実践 では,生徒の想像力をかき立てるため,旅行パンフレ ットを用いた。生徒の感想にもあるように,興味・関 心を高めるのには役立ったと考えられるが,パンフレ ットには不要な情報がたくさんあり,情報を選び取る ことに時間のかかる生徒が多数いた。旅行パンフレッ トの写真のみを使用させ,その他の情報は別のリソー スから与えると提示しておけば,迷う生徒が少なくな ったかもしれない。次年度からは教科書から取り上げ る情報,その他の情報などを整理した状態で与えたり や整理させる手だてを与たりするなど,書く内容につ いて必要以上に混乱させないような工夫を考えたい。 2つ目は,書く課題に向かうまでのプロセスである。 教科書のトピックをもとに,各レッスンの最終目標と して書く課題を与えたことが多かった。もっといろい ろなスタイルで課題に迫る方法を考えることによって, もっと楽しくワクワクするライティング活動になると 考えられる。 次年度はこれらを意識しながら,コミュニカティ ブ・ライティング活動を行っていきたいと考えている。

参照

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