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<論文>教員養成課程の学生が持つ確率の誤概念の調査および学習観と誤概念の関係

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Academic year: 2021

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(1)教員養成課程の学生が持つ確率の誤概念の調査. 教員養成課程の学生が持つ確率の誤概念の調査. および学習観と誤概念の関係 教育デザインコース 数学領域. 成田 竜也 教育学研究科. 山本 光 1. 背景. 本研究の対象を中学生ではなく教員志望の学生とした. 平成 27 年度の全国学力・学習状況調査において,中. 理由は,教員志望の学生の確率の概念理解が不十分であ. 学2年生を対象に確率の意味理解の調査が行われた.た. れば,教育実習などで誤概念を生徒に教えてしまうこと. とえば「さいころを6回投げると,そのうち1回は必ず. が考えられるからである.日常的な確率の誤概念はふと. 1の目が出る」といったことの正誤を問う調査がなされ. した判断に現れ,たとえば,コイン投げで表が 10 回連. た.この調査の正答率は 55.8%であり,この結果に対. 続で出たとき,「こんなに連続するのは今まで経験した. して国立教育政策研究所は「多数回の試行の結果から得. ことないから」といったことや「大数の法則より確率は. られる確率の意味の理解に課題がある」と指摘している.. 収束するので」という理由から「次はそろそろ裏が出現. このような確率の理解に関する問題は過去にも織田. するのではないか」と直観的に考えてしまうことがある.. (2009)により指摘されている.織田(2009)は大数 の法則の理解のみを考えるのではなく,「数学的確率と. そのため正しく確率の概念を生徒に教えるために調査の 意義があると言える.. 統計的確率の違いを理解できていないことに問題があ. さらに,確率の誤概念と学習者の特性との関係につい. る」とし,それらを相互的に扱うことに焦点を当てて生. ても合わせて調査を行った.学習者の特性としてたとえ. 徒の確率の意味理解を促す授業を行い,指導の指針を得. ば学習観や学習動機が挙げられる.例として授業で習っ. ていた.. たことに加えてその派生事項まで興味を持つ,「いろい. このように中学生の確率の概念獲得に弱点があること は,日常生活に多くの確率の誤概念が存在することが 理由の 1 つとして挙げられる.それらが大きく影響し, 生徒たちの混乱を招いているようである.. ろな知識を身に着けたい」という学習者は,「みんなが やるから」, 「成績を上げたいから」という学習者よりも, 「ギャンブラーの誤謬」そのものの概念を知っているこ とで,この問題の正答率が高くなるなどの影響が出そう. たとえば,「ギャンブラーの誤謬(gamblers-fallacy) 」. である.今回は,確率の誤概念と学習者の学習観の関係. (Tversky & Kahneman, D.(1974)) と い う 話 が あ る.. について調査することで教師としての指導の指針を得る. 具体的にギャンブルでのルーレットを行う場面を考え,. ことを新たに目標として設定する.. いま赤の出た目が 10 回連続して起こったとする.この とき,ギャンブラーは場の流れを感じ取り「次にそろそ. 2. 目的. ろ黒が出現するのではないか」と考えてしまうのが「ギャ. 以上より本研究の目的を 2 つ設定する.1 つは現在の. ンブラーの誤謬」である.一般に,ルーレットの赤と黒. 教員志望の学生が持つ確率の誤概念の調査,もう一つは. が出現する確率はそれぞれ二分の一であり,前回の出現. 学習者の持つ学習観と確率の誤概念の関係の調査であ. 率とは独立であるので上記のような考え方は確率的な考. る.. え方ではない. このギャンブラーの誤謬のような日常の確率の誤概念 が,中学生の確率の意味理解を混乱させ,不十分にして. 3. 方法 3.1. 調査項目. いると考えられる.今,中学生を例に見てきたが,その. 確率の誤概念を調査するために,本研究では「確率の. 一方で教員志望の学生の確率の意味理解はどうなってい. 誤概念の調査」および「学習者の持つ学習観」の2つの. るかを調べたのが本研究である.. 側面から調査する.. 114.

(2) はじめに,確率の誤概念を調査する質問紙の開発は, 平成 27 年度の全国学力・学習状況調査における中学2 年生を対象にした確率の意味理解の調査をもとに一部変 更して作成し,図1に示した. 変更した点は,択一方式ではなく,複数選択にしたこ とである.これは,唯一の正解を探す行動ではなく,そ れぞれの題意を吟味し検討する作業を入れるためであ 図2 学習観尺度のモデル. る.さらに前述したギャンブラーの誤謬に関する問題を (オ)として新しく入れることを検討した. この調査項目の(ア)から(カ)のうち正解は(カ). これら 8 つの学習観のタイプは,それぞれ「方略活. のみであり,(オ)はギャンブラーの誤謬,(イ),(ウ). 用志向」(勉強するときのやり方によって効果が違って. と(エ)は事象を確定的にとらえている誤概念,また(ア). くることを重視する志向),「勉強量志向」(成果はかけ. はそれら両方の側面を持つ問題となっている.. た時間やこなした問題数に比例すると考える志向),「意 味理解志向」(意味や知識の関連づけが大切であると考. 1の目が出る確率が1/6であるさいころがあり ます.このさいころを投げるとき,どのような ことが言えるでしょうか.下の(ア)から(カ) までの中から正しいと考えるものを下の解答欄 に書いてください.(解答は複数可) (ア)5回投げて,1の目が1回も出なかったと すれば,次に投げると必ず1の目が出る. (イ)6回投げるとき,そのうち1回は必ず1の 目が出る. (ウ)6回投げるとき,1から6までの目が必ず 1回ずつ出る. (エ)30 回投げるとき,そのうち1の目は必ず 5回出る. (オ)30 回投げてすべてが「1の目以外の目」だっ たとしたら,次は1の目が出る度合いが高 くなる. (カ)3000 回投げるとき,1の目はおよそ 500 回出る. 図1 確率の誤概念の調査項目 次 に, 学 習 者 の 持 つ 学 習 観 に つ い て は, 市 川 ほ か (2009)による学習観尺度のモデルを利用した.これは, 左側を,内的認知過程に注目した志向の集まりである「認 知主義的学習観」,右側を量や結果・形式などに着目し,. える志向),「丸暗記志向」(断片的な知識や解法手続き を暗記すればよいと考える志向),「思考過程重視志向」 (ただ答えが出るだけではなく解き方まできちんと理解 することが数学の勉強だと考える志向), 「結果重視志向」 (答えさえ合っていればよいと考える志向),「失敗活用 志向」(なぜ間違えたかまで考える志向),「環境重視志 向」(学習環境が学力に影響すると考える志向)という ものである.また図2のうち,上から 3 つまでの志向 はそれぞれ対比的な学習観となっている.たとえばなぜ そうなるかを考える前に,まず覚えるといった「丸暗記 志向」に対して「意味理解志向」はただ暗記するよりも, 理解して覚えることが効果的だと考え,対比的な学習観 となっている. 質問紙は清水ら (2016) の研究をもとに検討し五件法 を用いて作成した(図3参照). <方略活用志向> • 成績を上げるには,勉強のやり方を考えることが 大切だ. • 人それぞれ,自分にあった勉強法を工夫した方が 効果的だ. <意味理解志向> • ただ暗記するよりも,理解して覚えることが効果 的だ. • 習ったことどうしの関連を考えて覚えることが効 果的だ.. 認知面に対する着目は弱いグループである「非認知主義. <思考過程重視志向>. 的学習観」として,学習者を 8 つに分類するものであ. • テストでできなかった問題は,答えだけではなく. る(図2参照).. 解き方も知りたい.. 教育デザイン研究 第8号(2017年1月) 115.

(3) 教員養成課程の学生が持つ確率の誤概念の調査. • 自分の考え方以外にも,他の人の考え方も知りた. 期間は 2016 年4月下旬の内1日で約 30 分を用いて,. い. <失敗活用志向>. 性別,数学Ⅲの履修状況および中学受験の経験などの. • 成績が悪かったときに,なぜかを考えることはい. 目を調査した.. フェイスシートと,確率の誤概念と学習動機に関する項. い経験になる. • 間違えることは,その先の学習に生かすための大 切な材料だ. <勉強量志向>. 4. 結果 4.1 各選択肢の選択率と単純集計の結果 本学の学生及び比較対象の一般の学生の確率の誤概念. • たくさんの量を勉強することがとても大切だ.. を調査する質問項目(ア)から(カ)の選択率を表1に. • 成績の良さは,勉強のやり方よりは,勉強した量. 示す.. で決まるものだ.. さらに両者を比較するために,比率の差の検定の結果. <丸暗記志向>. の p 値を示す.ここでの n.s. とは有意差が無いことを示. • なぜそうなるかを考える前に,まず覚えることが. している.. 重要だ. • きちんと暗記できていれば,その内容は分かった といえる. <結果重視志向> • なぜそうなるのかわからなくても,とにかく答え が合っていればいい. • 自分の答えがあっていれば,別の解き方は特に大 事ではない.. (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (カ). <環境重視志向> • 成績を上げるためには,わかりやすい授業をする 先生が必要だ. • みんなの成績がいいクラスに入っていれば,成績 は良くなる. 図3 学習観の質問項目 3.2. 調査対象と期間 調査対象は本学の教員養成課程の学部生 (以下本学とする),39 人を対象とした.39 人中,二 年生が 29 人,四年生が 10 人であり,すべて数学領域 に所属する学生である.ここで二年生と四年生を合わせ て調査対象としていることは問題とはならない.なぜな ら質問内容である中学生対象の学力調査の問題は,もち ろん中学校で習ったことであり,ギャンブラーの誤謬は 小中高大の中で必ず習う問題ではない.よって 4 年生 と 2 年生を合わせているが,その学年の差は解答結果 に影響がないからである. そして本学の学生との比較として県内の A 大学の文 系学部の一年生(以下一般とする)90 人についても同 様に調査を行った.. 116. (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (カ). 表1 確率の選択率 本学 一般 7.7 12.2 7.7 23.3 2.6 8.9 10.2 22.2 12.8 22.2 82.1 83.3. p値 n.s. < 0.05 n.s. n.s. n.s. n.s.. 統計量 両側 p 値 0.7597 0.4475 2.0966 0.036*0 1.2950 0.1953 1.6039 0.1087 1.2407 0.2147 0.1778 0.8589 (両側検定での検定結果) . この結果から,本学の学生は一般の学生と同じような 解答傾向にあることが読み取れる. また,各項目間の比較は複数解答できることから直接 比較することはできないが,正答となる(カ)を 80% 以上の学生が選択していることから,確率の正しい概念 については,両者ともおおむね理解できていることが確 認された. 次に各項目の選択者数の分布を図4に示す.先の表1 と図4から正答(カ)を多数の学生が選択していること が分かる. その一方で,正答以外に選択している学生が2割程度 存在することから,それぞれの確率の誤概念を持ってい る学生の割合がこのグラフから読み取れる..

(4) する傾向にあり,さらに(エ)を選択している学生は, (ア) や(イ)を選択している関係が特徴として現れている. 一方で,(オ)と(カ)には負のやや強い相関がある ことがわかる.つまり,(オ)を選択している学生は正 答の(カ)を選択していない関係が特徴として見られる ことが分かった. 上記の結果が本学の学生の固有の特徴であるか確認す るために,一般の学生についても同様に相関係数を求め, 結果を表3に示す. 一般の学生の結果では,(ア)と(イ),(ア)と(エ) にやや強い相関があった.さらに(イ)と(エ)に強い 相関があった.これらの特徴は本学の学生と同様である が,その他の相関が見られない. 図4 各項目の選択人数の分布. したがって本学の学生のみの特徴は,(ア)と(オ) のやや強い相関と,(オ)と(カ)のやや強い負の相関. 4.2 各項目選択の関係. であることが明らかとなった.. 確率の誤概念を調査する質問肢は複数選択であったた めに,表1および図4において各項目間の比較は行えない. よって,確率の誤概念を調査する項目において,選択 数による相関係数を算出し,各項目間の関係を求めた. その際,名義尺度同士の関係を見るため,ファイ係数を 用いた.各相関係数において,やや強い相関を示す相 関係数の値が 0.4 以上の数値は下線で記している.また ** は有意水準 0.01 で有意,* は有意水準 0.05 で有意を. ア イ ウ エ オ カ. 表している.本学の学生については表2に示し,比較の ための一般学生を表3に示した. ここで相関係数を出すのに本学の学生の人数 39 人が 妥当であったか,検定力分析によって示す.検定力とは 「母集団において差があるときにサンプルから有意差が あるという結果が得られる確率」のことで通常 0.8 を基 準に設定される.これに関して Cohen(1992)は「0.8 以下の検定力の場合には第二種の過誤の誤りを犯す可能 性が高くなる」と指摘している. たとえば(ア)と(イ)の相関係数に対する検定力を 調べた結果(データ数 N =39, 有意水準α =.05, 相関係 数 r=.64 のとき),検定力は 0.995 で高い検定力があっ た.同様にほかの相関の見られた選択肢間でも高い検定 力が見られ,サンプルサイズに問題はないと判断できる. 以上を踏まえてこの調査の結果,(ア)と(イ),(ア) と(オ)はやや強い相関が見られ,(ア)と(エ),(イ) と(エ)には相関係数が 0.7 以上の強い相関が見られた. つまり,(ア)を選択する学生は(イ)や(オ)を選択. ア イ ウ エ オ カ. 表2 本学の選択数による相関 イ ウ エ オ .64** ‐ .05 .85** .47** .85** .18 ‐ .05 ‐ .06 ‐ .06 .38* -. 表3 一般の選択数による相関 イ ウ エ オ .52** ‐ .36** .54** ‐ .20 .78** ‐ .30** ‐ .20 .39** ‐ .17 ‐ .22 -. カ ‐ .37* ‐ .12 .08 ‐ .28 ‐ .62** -. カ ‐ .11 ‐ .11 ‐ .07 ‐ .12 .02 -. 4.3 学習観との比較 この調査では学習者の持つ学習観と確率の誤概念の関 係について調べるために,本学と一般の学生合わせた 129 人分のデータにより分析を行った. 調査方法として,学習観尺度のモデルの 8 つの志向 それぞれが確率の誤概念を調査した項目のうちどれを選 びやすいか調査するために,判別分析を選んだ.判別分 析によって,たとえば意味理解志向の学生は選択肢のイ を選びやすいのか選びにくいのか,といったことをそれ ぞれの志向において調べた. ここで,この分析での得点化について述べる.まず誤 教育デザイン研究 第8号(2017年1月) 117.

(5) 教員養成課程の学生が持つ確率の誤概念の調査. 概念調査の各項目を選択した場合は1を,選択しなかっ た場合を0とし,それらを従属変数とした.一方の学習. 4.4 数学Ⅲ C の履修状況との比較 最後に,被験者全体に対して数学Ⅲの履修状況と各項. 観については,各質問肢を1点から5点まで得点化し,. 目(ア)から(カ)の選択との間に関係があるかを調査. 1つの因子は2問あるために,合計 10 点満点で評価し,. した.高校で数学Ⅲを履修していること,つまりいわゆ. これらを独立変数とした.. る理系の学生の傾向を確認するためである.. これらをもとに,確率の誤概念の質問項目ごとに影響の. その結果,数学Ⅲの履修と(イ)および(エ)の選択. ある学習観の係数の算出を行い,表4にまとめて示した.. に有意な関係があった.その結果を表5に示す.表中の. また各項目(ア)から(カ)において,選択するかし. 矢印は残差分析により有意であったものに付している.. ないかを判別できる判別率は,7割を超えれば十分判別. 一方でそれら以外には,履修の有無と選択には有意な関. できる.よって今回は選択肢(エ),(カ)に関しては言. 係が認められなかった.. 及できないが, それ以外は言及可能であることがわかる. ここで表の見方における注意がある.それは表4にお. 表5 クロス分析結果. いて縦方向の数値の比較には意味があるが,横方向の数. (イ)について. (エ)について. 非選択. 選択. 非選択. 選択. 履修. 36 ↑. 2. 35 ↑. 1. 未履修. 68. 22 ↑. 69. 21 ↑. 値の比較には意味がないことである.たとえば表 4 か ら意味理解志向の学生は(ア)に 0.2,(イ)に 0.5 と いう結果が見られるが,それらの数値の大きさには関係 性がないため,(イ)の選択肢のほうが(ア)よりも選. 数Ⅲ. びやすいといったことは言えないのである. 表中の下線は,数値が正の最大値の場合に付しており, 二重下線は負の最小値に付している.数値に関しては正 の値かつ絶対値が大きいほど対象の選択肢をつけやすい ことを示している.たとえば「丸暗記志向」の人は(ア) を選択しやすいことがこの表からわかる. 一方で負の値で絶対値が大きいほど対象の選択肢を選 択しにくいことを示す.たとえば「方略活用志向」の人 は(イ)を選択しにくいことが表4で示されている.ど の志向の人がどの選択肢を選択しにくいかということに 関して以下のようにまとめられた. • 方略活用,丸暗記,思考過程重視,環境重視志向は(イ) • 方略活用,丸暗記志向は(ウ) 勉強量,意味理解,丸暗記 , 失敗活用志向は(オ). 118. いわゆる理系の学生は,確率の誤概念(イ)および(エ) は選択しない(間違わない)ことが示された. 5. 考察 本研究の目的は 2 つあった.1 つは現在の教員志望の 学生が持つ確率の誤概念の調査,もう一つは学習者の持 つ学習観と確率の誤概念の関係の調査であった. 本研究の結果を以下にまとめると, • 本学の学生の解答の特徴は,(ア)と(オ)のやや強. • 思考過程重視,結果重視志向は(ア). 表4 判別分析結果 ア イ ウ エ 方略活用 0.6 -0.8 -0.4 0.9 勉強量 0.4 0.3 0.0 0.2 意味理解 0.2 0.5 0.1 -0.3 0.6 -0.4 -0.8 -0.0 丸暗記 思考過程重視 -0.1 -0.1 0.0 -0.5 1.1 -0.3 結果重視 -0.1 0.6 失敗活用 0.1 0.4 0.6 -0.2 環境重視 0.1 -0.3 0.0 0.5 判別率 72.7 68 71.1 60.9. この結果,高校で数学Ⅲを履修していること,つまり. い相関と, (オ)と(カ)のやや強い負の相関があった. • 学習観の影響に関しては,思考過程重視,結果重視志 向の学生は(ア),方略活用,丸暗記,思考過程重視, 環境重視志向は(イ)の選択肢を間違えない傾向にあ ることなどが示された.. オ 0.1 -0.2 -0.6 -0.4 0.3 0.4 -0.0 0.9 69.5. カ -0.0 -0.3 0.1 -0.2 0.8 -0.4 -0.6 0.6 64.1. • 数学Ⅲ C の履修状況との比較では,数学Ⅲの履修と (イ)および(エ)の選択に有意な関係があったが, それら以外の選択肢に関しては有意な関係が認められ なかったことがわかった. 以上のことを踏まえて,本学の学生のみの特徴として (ア)と(オ)にやや強い相関が出たことは, (ア)と(オ) がギャンブラーの誤謬と言われる類の問題であり,その ような問題の類型を本学の学生は自然と把握する能力が 一般学生よりも高いということがわかる.また,ギャン.

(6) ブラーの誤謬の問題である(ア),(オ)にやや強い正の. 参考文献. 相関,(オ)と正解の(カ)にやや強い負の相関がある. Tversky,A.&Kahneman,D.(1974)Judgment under. ことから,本学の学生はギャンブラーの誤謬の理解に. uncertainty: Heuristics and biases. Science, 185, 1124-1131.. よって正答率が高まることが考えられる.つまり,確率. 織田 勇一(2009)「中学校数学科における確率指導の. の誤概念をなくすための指針として,ギャンブラーの誤. 改善 : 数学的確率と統計的確率の相互作用に着目し. 謬を指導に入れることが効果的であることも示されたと. て」数学教育論文発表会論文集 42, 397-402, 2009-. 言える.. 11-07. また(イ)の選択に理系と文系で有意な差があり, (イ). 市川伸一・南風原朝和・杉澤武俊・瀬尾美紀子・清河幸子・. の選択において文系と理系の違いによる誤答の差を無く. 犬塚美和・村山航・植阪友理・小林寛子・篠ケ谷圭太. すためには,方略活用志向の学習観を文系の学生が持つ. (2009)「数学の学力・学習力診断テスト COMPASS. ように指導を行うことが挙げられる.つまり,教員は文 系の生徒には,勉強のやり方を考えさせることや,自分 にあった勉強法を工夫させようと促すことが正答率を挙 げる一つの手立てであることが示された。 最後に今後の課題を 2 つ述べる.1 つはギャンブラー. の開発」Cognitive Studies, 16(3), 333-347 清水 優菜(2016) 「グラフ理論の能力の素養に関する研 究」教育デザイン研究(7), 103-112, 2016-01 Cohen J.(1992)A power primer.: Psychol Bull. 1992 Jul;112(1):155-159.. の誤謬に関する指導方法の提案および指導したときの結. ダニエル・カーネマン(2014) 「ファスト & スロー(上). 果やその考察を行うこと,もう 1 つはほかの確率の誤. あなたの意思はどのように決まるか ?」ハヤカワ・ノ. 概念を合わせて調査,分析を行うことである.特に後者. ンフィクション文庫. に関して,今回は確率を確定的に捉える誤概念とギャン. 平成 27 年度 全国学力・学習状況調査中学校報告書. ブラーの誤謬のみを調査したが,たとえば 3 囚人問題. 市川 伸一(2001) 「学ぶ意欲の心理学」PHP 新書. といった確率の誤概念も合わせて調査し,新たな知見を. 中学校学習指導要領解説 数学編 平成 20 年7月 文. 得たい.. 部科学省. 教育デザイン研究 第8号(2017年1月) 119.

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