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『横浜国立大学教育学会研究論集』に寄せて

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Academic year: 2021

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(1)横浜国立大学教育学会研究論集に寄せて 代表理事 高 橋 勝. 横浜国立大学教育学会研究論集第2号が刊行される運びとなった。学会活動には、個人研究や共同研究の成 果発表の場の提供、シンポジウムなどで、会員に研究成果を公開し、学会共通の問題を共有していくことなどが ある。なかでも、研究成果を紀要もしくは年報のかたちで世に問うことは、学会としては欠かせない中枢活動と 考えられる。その意味でも、まことに喜ばしい限りである。 これまで、横浜国立大学教育人間科学部学校教育課程では、各講座単位で、卒業生を含めた研究会活動がす でに行われてきた。もっと以前には、各教室、専攻単位で研究活動が活発に行われ、会報はもとより、年報が発 刊されることも稀ではなかった。教育学部から教育人間科学部に変わる時期に、戦後教員養成改革の要の一つで あった学問と教養(リベラルアーツ)による教員養成の理念がいつしか有名無実化し、大学学部の機能的分化の 大波にも晒されて、教員養成課程では、学問重視から実践重視への質的転換が急がされてきた感がある。 しかし、教職(Teaching Profession)の専門性とは何か。学問や教養重視から実践重視へというだけでは、 学校現場に適応できるだけの教員養成で終わる恐れもないとはいえない。そこでは、専門職者としての学問的見 識や地球的規模で社会のあり方を考える市民的教養が見落とされがちだからである。学問的根拠に基づく批判精 神や斬新な授業構想力は、専門職者としての教師には不可欠であろう。 教員養成には、言うまでもなく、子ども・若者の発達に関する学問的見識、諸科学や芸術、スポーツを含め た諸教科の専門的内容、そして個別の教室や子ども理解を十分踏まえた授業構想とその具体的実践の方法などが 含まれる。当然、そこには、現代科学や芸術、技術の成果がすべて盛り込まれなければならない。授業研究にし ても、最先端の生命科学や認知科学、あるいはオートポイエシス理論等に基づいて、子どもの学習活動を捉え直 し、学習の自己組織化や共同組織化を支援するような授業展開の研究なども必要である。 大学における教員養成は、本来こうした巨視的な学問的展望のもとで行われるべきものである。しかも、こ うした展望が求められるのは、実は教員や大学院生だけに限らない。さまざまな教育現場で孤軍奮闘する教師、 支援者たちにとっても、大学で探究される巨視的な教育学の研究成果は、子ども、授業、社会の問題を新しい視 点から解決する強力な糸口を与えてくれるものとして期待されている。本学会は、地域において教育に関わる幅 広い分野の職業人に向けて情報発信し、彼らのニーズに応えるべきものでもある。 その意味では、横浜国立大学教育学会の研究論集は、会員相互の教育学研究を深め、研究を活発化すること だけで終わるものではなく、横浜国立大学の卒業生や教育学研究科の修了生、及び東京学芸大学連合大学院の修 了生などの参加を期待しながら、広く教育、文化の世界に身を置く方々にとっても、斬新な刺激と喚起力に溢れ た研究成果を提供できるものでありたい。 以上は、筆者の願望であるが、研究論集の内容がそれに相応しいものであるか否かは、読者のご判断に委ね るほかはない。本学会内外の多くの方々から率直なご意見やご批判を賜わりながら、論集の内容を充実させてい きたいと考えている。. ─1─.

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