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企業は予想為替レートをどのように決めるのか?

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(1). 企業は予想為替レートをどのように決めるのか?. *. **. グエン ティ ゴック アイン. Pass-Through: ERPT)の程度を左右すると指摘. 1.イントロダクション. されている2).Krugman(1987)は,輸出にお.  為替レートの予想はマクロ経済学の重要な研. ける為替パススルーの程度は為替レートの変化. 究テーマの一つであるが,市場参加者による為. が一時的であるかそれとも継続的であるかとい. 替レート予想の仕組みは未だに解明されていな. う企業の見方(予想)によって影響を受けるこ. い.利用可能なデータの欠如が主な原因である. とを示した.また,Devereux and Yetman(2002). が,予想為替レートに関する実証研究はいくつ. が提唱した為替パススルーの決定モデルの中に. か発表されている.Ito(1990)と Takagi(1991)は. も予想為替レートが用いられている.データの. サーベイデータを用いて為替レート予想の性質. 制約のため実証的な解明はなされていないが,. を調べた上で,市場の予想が合理的期待仮説. 予想為替レートとパススルーの関連性は十分検. に反しており,短期と長期の為替レートの予想. 討に値すると考えられる.. に「ねじれ(twist) 」があるという性質を明ら.  実際に,輸出企業は短期・長期の為替レート. かにした.ただし,これまでの研究は市場参加. の予想に基づいて,輸出価格,輸出量や為替ヘッ. 者による為替レート予想の合理性に関する分析. ジの有無を決定する.そのため,為替パススルー. に留まっており,その予想の仕組みを分析する. に代表される企業の輸出価格設定行動を理解す. までには至っていない.. るには企業の為替レート予想の仕組みを解明す.  先行研究では,為替レートの予想が輸出入に. ることが欠かせない.図 1 は日本の全製造業の. おける為替レートのパススルー(Exchange Rate. 輸出における大企業と中小企業の予想為替レー. 1). トと実際の為替レートの乖離幅3),つまり為替 *  本 研 究 は日本 学 術 振 興 会(JSPS) 科 研 費 16J11988 の助成を受けたものである.論文執筆に際 して,佐藤清隆教授から貴重なアドバイスを頂き, また論文改訂に際して,匿名のレフェリーから非常 に有益な助言を頂いた.記して謝意を表したい. ** 横浜国立大学大学院国際社会科学府博士課 程後期, 日本学術振興会(JSPS)特別研究員(DC1) . Email: [email protected] 1)先行研究の多くは合理的期待仮説という仮定 の下で現時点の(spot)為替レートを予想為替レー トの代理変数として使用している.合理的期待仮 説とは為替レートの予想が将来の実際の為替レー トの不偏的な期待(不偏性)であり,かつ為替レ ートの予想が利用可能のあらゆる情報から形成さ れる(直交性)と定義される(Takagi, 1991).本 論文は Takagi(1991)の手法に従い,企業の予想 為替レートの不偏性を確認した結果,この予想に バイアスが存在していることを示している.. レートの予想エラーをプロットしたものであ る.この図 1 から,企業の為替予想エラーに二 つの特徴があることがわかる.一つは,2012 年末からの円安期における乖離幅が円高期の乖 離幅よりも大きく,かつ 0 に収束するまでによ 2)以下では為替レートのパススルーのことを単 にパススルーもしくは為替パススルーと呼ぶ。 3)本稿では,予想為替レートのデータとして, 日本銀行の全国企業短期経済観測調査(短観)が 公表する「想定為替レート(Predicted Exchange Rate)」を用いている。予想為替レートと実際の為 替レートの乖離幅は,実際の( t 時点の)円の対米 ドル名目為替レートの自然対数値(St )から t−1 時 点で予想した t 時点の予想為替レートの自然対数値 (Et−1st)を引いたものである。. 『エコノミア』第 69 巻第 1 号(2019 年 3 月),21-30 頁[Economia Vol. 69 No.1(March 2019),pp. 21-30].

(2) . 図1 日本全製造業における大企業と中小企業の為替レートの予想エラー. 円安1 0 . 2. ゜. 0 . 1. 0 . 1. --大企業 0 . 2 Q2-97. Q2-00. Q2-03. Q2-06. Q2-09. 一-中小企業 Q2-12. Q2 ー1 5. 円高 l 注:「予想エラー」は予想為替レートと実際の為替レートの乖離幅を示す.具体 的には,実際の円の対米ドル名目為替レート(自然対数値)から日本銀行が公表 する予想(想定)為替レートの自然対数値を引いたもの(ert = ln st − ln Et−1 st )である. 出所)日本銀行『全国企業短期経済観測調査(短観)』より筆者作成.. り時間を要している.すなわち,2007 年から. の修正速度は輸出比率と正の相関関係を持つ.. 2012 年までの円高局面において,日本企業は. すなわち売上高に占める輸出の割合が高いほど. 2012 年末からの円安局面よりも速やかに為替. 企業は予想為替レートを実際のレートに近づけ. レートの予想を修正し,現実のトレンドに追い. ようとする.最後に,円安期において予想為替. つこうとしている.もう一つは,大企業のグラ. レートの修正速度は企業の利益率と U 字型に. フが継続的に中小企業のグラフより高い位置に. 近い関係を持つ.この結果は為替パススルーと. ある.つまり,円安期において大企業の為替予. 企業の市場支配力の代理変数である輸出市場占. 想エラーが中小企業より大きく,また円高期に. 有率の間に U 字型の関係を見出した Devereux. おいて中小企業より小さいことが確認できる.. et al.(2017)と近い結果となる.以上の結果は,. 円高局面と円安局面のそれぞれにおいて輸出企. 企業の為替レート予想はその企業の特徴に密接. 業ごとに将来の為替レートの予想が異なる可能. に関係していることを示唆している.また,本. 性がある.. 論文の結果は為替パススルーの先行研究の結果.  本論文は輸出における日本企業の為替レート. とも一貫しており,パススルー率と予想為替. 予想の仕組みを検証する.日本銀行が公表する. レートの修正速度が高い関連性を持つことが示. 全国企業短期経済観測調査(短観)データを利. 唆される.. 用し,企業の予想為替レートの修正速度に着目.  本論文の構成は以下の通りである.第 2 節で. して分析した結果,企業の為替レート予想に関. データに関する説明を行う.予想為替レートの. して三つの特徴を明らかにした.第一に,企業. 修正速度の性質については第 3 節で詳しく論じ. の為替レート予想は為替変動の局面によって異. る.第 4 節では修正速度と企業の特徴との関係. なり,円高期においてより速く予想を修正する. をパネル推定によって詳しく検証する.最後に,. 傾向がある.ただし,円高期と円安期の間の修. 第 5 節において本論文の結果を要約し,今後の. 正速度の違い(非対称性)は企業規模によって. 課題を提示する.. 異なる.第二に,円安期でのみ予想為替レート.

(3) . 図2 短観データの調査の仕組み 2 0 1 4年3月. 2 0 1 4年 9月. :2 0 1 4年上半期 20 15年 3月. 調 査 時 点. 201 5年 6月. 実籟. 実績. 2 0 1 5年 3月. 2 0 1 5年上半期. ・実績見込み · •. 予測. 実紹凡込み. .'. 2 0 1 5年下半期. .. 実紹. 2015年 1 2月. S e p -1 4. M a r 1 5. ・ f -測. 予測. 実績比込み ... 2015年 9月. 2 01 6年 3月. 2 0 1 S年 9月. 2 01 4年下半期. S e p 1 5. 予測. .. 予鴻. M a r 1 6. 出所:日本銀行『全国企業短期経済観測調査(短観)』に基づき筆者作成.. 2.データ. 下半期(2015 年 10 月∼2016 年 3 月)の為替レー ト,売上高,輸出額,経常利益などの予測値の.  日本銀行は 1 万社を超える企業に対して 3 月,. データを収集している.そして,これらの予測. 6 月,9 月,12 月に短観調査を実施し,予想(想. 値は次の 2015 年 6 月調査で更新される.上半期,. 定)為替レートを初め,売上高,輸出額,経常. 下半期という半期のデータの予測値であるが,. 利益などの実績値と計画(Forecast)値を産業. その予測値は 3 ヶ月ごとに更新される調査と. 別かつ企業規模別(資本金に基づいて大企業,中. なっている.. 堅企業,中小企業の 3 つの規模レベル)でウェブ.  Nguyen and Sato(2018)は,日銀短観の予想. サイトに公表している. そのうち, 予想為替レー. 為替レートが半期のデータであっても四半期ご. トは輸出計画の前提となる円の対米ドル名目為. とに更新される点に着目し,企業が予想した為. 替レートと定義されており ,予想為替レート. 替レートは直近の 3 ヶ月の予想において最も有. の変更は輸出計画などに何らかの影響を及ぼす. 効であると仮定し,半期の予想為替レートから. 可能性がある.明示されていないが,輸出計画. 四半期の予想為替レートのデータを構築してい. には輸出価格や輸出額などが含まれるため,予. る.本稿も同じ手法を用いて,予想為替レート. 想為替レートと輸出価格設定行動は密接な関係. に加えて, (計画)売上高, (計画)輸出額と(計. を持つと考えられる.Devereux and Yetman. 画)経常利益を作成した.予想為替レートと異. (2002)は,輸出価格の変更の頻度が高ければ. なり,売上高,輸出額と経常利益は半期ベース. 高いほど,為替レートの輸出価格転嫁率も高く. で予測されるため,四半期データに変換するの. なることを示した.この仮説に従えば,予想為. は必ずしも適切な方法ではない。しかし,これ. 替レートの修正(更新)速度もパススルー率と. らのデータは金額ベースで使われるのではな. 正の関係を持ちうると考えられる.. く,実証分析で用いる輸出比率や売上高経常利.  図 2 は短観データの構造を簡潔にまとめてい. 益率の計算に使用されるのみであるため,四半. る. 例 え ば,2015 年 3 月 に 行 わ れ た 調 査 は. 期データとして利用することの影響は比較的軽. 2015 年の上半期(2015 年 4 月∼2015 年 9 月)と. 微であると考えられる.輸出比率や売上高経常. 4). 利益率などの詳しい計算式は表 1 にまとめて掲 4)各データの解説については日本銀行のウェブ サイト(https://perma.cc/ZKZ4-KBGM)を参照.. 載している.なお,売上高と輸出額は Census X12 を用いて季節調整を行なっているが,経常.

(4) . 表1 データ説明と計算式 データ. 記号. 計算式. 円の対米ドル名目為替レート. st. -. 円の対米ドル予想為替レート. Et−1st. -. (予測)売上高,(予測)輸出 額,(予測)経常利益 予想エラー. -. ert. 輸出比率. exp_ratio. 売上高経常利益率. profit_ratio. 修正速度(方法1). spd. 修正速度(方法2). speed. 出典 国際通貨基金 (IMF) 日本銀行 短観データ. ert = ln st = ln Et−1st = (予測)輸出額/(予測)売上 高 = (予測)経常利益/(予測)売 上高. spd t =. ln( E t st−1 ) − ln(E t−1 st ) ln( st ) − ln( E t−1 st ). speed t =. 著者計算. Et st−1 − Et−1 st st −Et−1 st. 注:為替レートはいずれも期中平均値。(予測)売上高と(予測)輸出額は季節調整済み.頑健性を確認するため, 方法 1 と 2 のそれぞれを用いて計算した修正速度を用いて(7)式と(8)式を推定した結果,どちらの修正速度を用い ても推定結果はほぼ同様であることを確認した.. 利益はマイナスの値も含んでいるため季節調整. され,企業が為替レートの変化に対してどの程. は行なっていない。. 度の速さで自らの予想為替レートを変更(調整).  このように,日銀の短観データに基づいて予. するかを示している.一方で企業は利用可能な. 想為替レート,売上高,輸出額,経常利益の四. 情報に基づいて将来の為替レートを予想しよう. 半期データを産業別かつ企業規模別に作成した.. と努めるであろう.しかし他方で,将来の為替. サンプル期間は 1999 年第 2 四半期から 2016 年. レートを正確に予測するのは不可能であり,企. 第 1 四半期までであり,以下の 10 製造業,すな. 業はむしろ保守的に予想した為替レートに基づ. わち全製造業,繊維,化学,鉄鋼,非鉄金属,. いて経営計画をたてると考えられる.どの程度. 金属製品,はん用・生産用・業務用機械,電気. 保守的に為替レートを予想するかは,個々の企. 機械,輸送用機械,そして他製造業をカバーし. 業固有の事情(製品の価格弾力性,企業の為替リ. ている.3 つの企業規模は大企業,中堅企業,. スクへの忍耐力など)によるであろう5).. 中小企業である.また, 為替レートの予想エラー.  予想為替レートの修正速度を直観的に理解で Et−1 st t きる例を挙げよう.(t−1) ( st − E t−1 st ) 期に企業は 期の為替 Monetar y fund(IMF)が公表する四半期(期 レート(自然対数値)を Et−1 st であると予想した Et st+1 ( st自然対数 − E t−1 st ) 中平均)の円の対米ドル名目為替レートを使用 と想定する.t 期の実際の為替レート( Et−1 st Et st+1 − Et−1 st Et st+ する. Et st+1 Et−1値 st )は st となり, 予想エラーは ( st − E t−1 st ) となる. st − Et−1 st 予想と実際の値の乖離幅(誤差) ,そして企業特 Et st+1 3.予想為替レートの修正速度 Et st+1 Et−1 st st. や 修 正 速 度 を 計 算 す る た め,International.  本論文の最も重要な変数である「予想為替 レートの修正速度」は前期の予想エラーに対す る今期の為替レート予想の修正幅の割合と定義. Et st+1 Et−1 st st 5)この点は伊藤・他(2008)で指摘されている。 日本の輸出企業の場合は,将来の為替レートがや や円高に動くと仮定することで「保守的な」為替 レート予想を行うことが多い。.

(5) EEt−t−1 s1 st t. Et−1 st. Et−1 st Et−1 st. ((sst t−−EEt−t−1 s1 st )t ). ( st − E t−1 st ). . EEt st st+t+1 1 ( st − E( st−t1− st E ) t−1 st ) Et st+1 仮説が導かれる7). 有の事情に基づいて,彼らは次期の予想を EEt st st+t+1 1−−EEt−t−1 1sst t Et st+1 Et st+E1Ess は EE ss と ss に変える.通常,次の期の予想 t t t+t+ 11 t−t− 11 t t tt Et st+1 − Et−1 st sst t−−EEt−t−1 1sst t Et st+1 Et−1 st st Et st+1 E−t sEt+t−11− st Et−1 st (5) st − Et−E1t sstt+1 − E t−1 st = α (st − E t−1 st ) + vt+1 E s s E s s の間に調整されることが多く, +1 t−1 t t−1 t t t st − Est−t1− st Et−1 st と定義される修正速度は 0 と 1 の間をとる6)..  本稿では,通貨局面の非対称性を確認するた 予想為替レートの修正速度は Frankel and FrootE s − めに 式に通貨局面のダミー I を導入する. E t−(5) t t+1 1 st = I × α 1 (s t − E t−1 s t ) + (1 − I ) × α 2 (st − E t−1 st ) + v t+1 (1987)の適応型期待仮説の γ に近いものとなる. 予想エラーが正であるとき,つまり実現した為  また,予想為替レートの修正速度は為替レー. 替レートの水準が企業の予想より高い場合に I. トのランダムウォークや合理期待仮説からも理. は 1 の値を取り,t 期を円安局面として捉える. Et st+1 − E t−1 st = α (st − E t−1 st ) + vt+1 そうでない場合は I が 0 の値を取り,円高局面 Et st+1 − E t−1 st = α8)(st − E t−1 st ) + vt+1 として捉える .. 論的に得られる.合理期待仮説によると,実際 の為替レートは予想為替レートと平均 0 の予想 エラーの和から成り立つ..   E t st+1 − E t−1 st = I × α1 (st − Et−1 st ) + (1− I ) × α 2 (st − Et−1 st ) + vt+1 (6) − E E s s = I × α1 (st − Et−1 st ) + (1− I ) × α 2 (st − Et−1 st ) + vt+1 E1t − s  st+e1 t+−1 e t+1 つまり E t st+E1t s−t+s1 t+−1 s−t+e1t t+−t+1 1e(1) t+1 s= t+1E = t s t+ t+1 t−1 t st+1 = E t st+1 −set+t+11 = E t st+1 − e t+1E t st+1 − s t+1 −Eett+s1t+1 − s t+1 − et+1  また,為替レートがランダムウォークに従う と仮定すれば,(t+1) 期の実際為替レートは t ut+1 ut+1 ut+1 ut+1 の和に等しい. 期の為替レートと撹乱項. st+1 = st+s1t = + sut t++1 u t+1 st+1 = st + u t+1 st+1 = st + u t+1 (2)   (1)と(2) から,次の (3) 式が得られる..  1997 年第 2 四半期から 2016 年第 1 四半期の データを用いて,10 産業かつ 3 つの企業規模 で (6)式を推定し,通貨局面の非対称性を Wald テストで検証した.これらの結果は表 2 に示さ れている.表 2 の「非対称」の列には,円高局 面と円安局面の修正速度が等しいという帰無仮 説を Wald 検定した結果が報告されている。予. 想為替レートの修正速度の非対称性は大企業と =sstt+ +vut+t+11 + et+1=(3) s t + v t+1 中堅企業のほぼ全ての産業で確認されるが,中 Et st+1= s t + u t+1 E +test+t+11= Et st+1= s t + u t+1 + et+1= s t + v t+1 +1= s t + u t+1 + e t+1= s t + v t+1 小企業の場合は半分以下の産業しか確認できな vt+1 は平均 0 の撹乱項である. ( Et−1 st ) (3) 式の両辺から ( Eい.また,非対称性を確認できた全てのケース vt+1 t−1 st ) vt+1 ( E s ) t−1 t t 期の予想為替レート ( Et−1 st ) を引くと,次の式 が得られる.. − E t−1 st = s t − Et−1 st + v t+1. 7)ランダムウォークを仮定すると,. E s −E s. s –s. Et st+1 − Et−1st st – st−1 = =1 st − Et−1st st – st−1. E 1 svt = s − Et−t 1 st+t1+ v t+t−11 t = t t−1 = 1 が成り立つ.したがって,輸出企業が Et st+1 − E t−1 st =Es tt s−t+E 1− t−1 stt−+ t+1 t st − Et−1st st – st−1 Et st+1 − E t−1 st = s t − Et−1 st + v t+1 (4). (4)式の左辺は t 期における予想為替レートの 修正幅を示し,右辺は t 期の為替レート予想エ ラーと撹乱項の和を示す.為替レートのランダ ムウォークや合理期待仮説により,以下の (5) 回帰式の修正速度である α は 1 に等しいという 6)実際のデータを見ると,修正速度がマイナス の値をとることがある。例えば,今期の実際の為 替レートが円高に振れた場合に,企業が来期の予 想為替レートを円安方向に修正することが起こり うる。この点については以下の注 8 で再度論じる。. 「為替レートはランダムウォークに従う」ことを理 α=1 解している特殊なケースでは(5)式において α =1 が成り立つ. 8)注 6 で述べたケース,すなわち修正速度がマ イナスとなるケースは 2,246 のうちの 374(全体の 約 7 分の 1) に達する。今期に実現した為替レート (st ) が円高方向に動いたとき,企業は何らかの理由で 来期の為替レートが今期の水準よりも円安に動く と予想することが起こりうる。この場合,修正速 度はマイナスとなるが,それは必ずしも修正が遅 いことを意味しないかもしれない。しかし,本論 文ではこのマイナスの値は修正速度が遅いことを 意味するという想定の下で実証分析を行っている。 これは本論文の限界であり,マイナスの値をいか に取り扱うかについては今後の課題としたい。.

(6) . 表2 円高,円安局面における予想為替レートの修正速度 円安. 大企業 円高. 非対称. 円安. 中堅企業 円高. 非対称. 円安. 中小企業 円高. 全製造業. 0.351*** (0.026). 0.632*** (0.052). 0.000***. 0.357*** (0.023). 0.542*** (0.037). 0.000***. 0.397*** (0.030). 0.480*** (0.041). 0.104. 繊維. 0.431*** (0.038). 0.573*** (0.527). 0.031**. 0.442*** (0.031). 0.578*** (0.042). 0.011**. 0.509*** (0.046). 0.611*** (0.062). 0.187. 化学. 0.381*** (0.030). 0.573*** (0.049). 0.001***. 0.386*** (0.034). 0.565*** (0.053). 0.006***. 0.345*** (0.032). 0.510*** (0.058). 0.015**. 鉄鋼. 0.478*** (0.045). 0.621*** (0.063). 0.014**. 0.354*** (0.040). 0.543*** (0.066). 0.017**. 0.480*** (0.053). 0.532*** (0.065). 0.539. 非鉄金属. 0.377*** (0.041). 0.590*** (0.071). 0.011**. 0.419*** (0.032). 0.613*** (0.049). 0.001***. 0.500*** (0.047). 0.586*** (0.056). 0.241. 金属製品. 0.370*** (0.039). 0.523*** (0.060). 0.036**. 0.278*** (0.031). 0.673*** (0.077). 0.000***. 0.256*** (0.047). 0.771*** (0.109). 0.000***. 一般機械. 0.335*** (0.032). 0.656*** (0.069). 0.000***. 0.345*** (0.025). 0.573*** (0.046). 0.000***. 0.380*** (0.034). 0.628*** (0.063). 0.001***. 電気機械. 0.251*** (0.049). 0.651*** (0.137). 0.007***. 0.312*** (0.027). 0.623*** (0.054). 0.000***. 0.396*** (0.031). 0.513*** (0.047). 0.041**. 輸送用機械. 0.326*** (0.034). 0.699*** (0.076). 0.000***. 0.256*** (0.025). 0.536*** (0.051). 0.000***. 0.373*** (0.054). 0.352*** (0.052). 0.784. 他製造業. 0.367*** (0.034). 0.534*** (0.057). 0.014**. 0.410*** (0.041). 0.370*** (0.045). 0.518. 0.328*** (0.058). 0.275*** (0.060). 0.527. 産業. 企業規模. 非対称. 注:(a)「円安」は円安局面,「円高」は円高局面を意味する.(b)「非対称」は円高局面と円安局面の修正速度が等 しいという帰無仮説を Wald 検定した結果(p-value)を示す.(c)*/**/*** はそれぞれ 10%,5%,1% の有意水準を示す. (d)「一般機械」は「はん用・生産用・業務用機械」を意味する.. において,修正速度は円高期の方がより高い推.  本稿は輸出比率を「企業の売上高に占める輸. 定値となっている.つまり,大企業と中堅企業. 出額の比率」と定義しているが,この輸出比率. は円高の進行とともに,より速く予想為替レー. は二つの意味を持つ変数として扱われる.一つ. トを修正し,実際の為替レートの変化に追いつ. は企業の為替エクスポージャーを測る指標とし. こうとするが,円安期ではゆっくりと予想を変. ての変数である.輸出比率が高ければ高いほど,. えていくという結果が得られた.しかし,この. 企 業 が 直 面 す る 為 替 リ ス ク も 大 き く な る.. ような非対称的な修正行動は中小企業において. Floden et al.(2008)が指摘したように,エクス. はあまり観察されない.. ポージャーの高い企業は貿易相手に対するパス.  以上の分析結果が示すように,円安期におけ. スルー率を高めて,為替リスクを回避しようと. る予想為替レートの緩やかな修正は為替レート. する.これは予想為替レートの修正を促進する. のパススルー率の低下に繋がる可能性がある.. と考えられる.これを「エクスポージャー効果」. もしこの関係が実際に成り立つならば,2012. と呼び,予想為替レートの修正速度と輸出比率. 年末からの円安期において日本の輸出パスス. との間に正の関係が存在するという仮説が示唆. ルーの低下を見出した Shimizu and Sato(2015). される.もう一つは海外市場への依存度を測る. の結論を別の観点から支持することになる.. 指標としての変数である.輸出比率が高い企業. 4.修正速度の決定要因―パネル分析―. は海外での販売に大きく依存しており,海外市 場での販売シェアを維持( 拡大 )するために,.  予想為替レートの修正速度が通貨局面毎に異. 円高(円安)局面において為替レートのパスス. なることから,修正速度と企業固有の事情(輸. ルー率を低める(高める)行動をとると考えら. 出比率,売上高経常利益率 )の関係を本節でよ. れる9).これを「市場シェア効果」と呼び,修. り詳しく検証していく.. 正速度と輸出比率との関係が為替変動の局面に.

(7) spd ijt , exp_ ratioijt , profit _ ratioijt γij. spd ijt , exp_ ratioijt , profit _ ratioijt ηt. よって非対称的であるという仮説が示唆され る.つまり,円高局面では輸出比率の高さが修. . γij の産業・規模固定効果と時間固定効果である.. 正速度の低下を招くという負の関係,そして円. 通貨局面の非対称性の検証のために,閾値回帰 を使用する. st − E t−1 st ≥ 0 のときは実現された. 安局面では輸出比率の高さが修正速度を速める st − E t−1 st < 0 という正の関係が予想される。以上の二つの効. 為替レートが企業の予想より高いため,t 期を 円安局面に含める。 st − E t−1 st < 0 のときは t 期. 果から,修正速度に対する輸出比率の係数は円. を円高局面に含めて推定する.. 安の場合に正であると予想されるが,円高の場.   (7)式の推定結果は表 3 の (1)列∼ (3)列に掲. 合には明確ではない.もし「エクスポージャー. 載されている.通貨局面を分けない場合,輸出. 効果」が「市場シェア効果」を有意に上回るな. 比率は有意に予想為替レートの修正速度に影響. らば輸出比率の係数の符号が正であり,有意に. を与え,輸出比率の 1%の増加に伴い修正速度. 下回るならば負であると予想される.. が 5.5%速くなるという結果が得られた.また,.  本稿は,企業業績を測る変数として売上高経. 通貨局面に分けた場合,円安局面では輸出比率. 常利益率(売上高に対する経常利益の比率,以下. の 1%の増加に伴い修正速度が有意に 9.5%増. では「利益率」と呼ぶ)も用いる。企業業績(利. 加する.円高局面では輸出比率の有意な影響を. 益率)が高いほど,企業は為替パススルー率を. 確認できなかった.利益率の場合は円高と円安. 裁量的に決定できる.円高局面でもパススルー. の両方の局面で修正速度に対して有意な影響は. 率を低めて, つまり市場別価格設定行動(Pricing-. 与えないという結果となった.. to-Market: PTM)をとって現地通貨建て輸出価.  上記の結果は輸出比率が非対称的に企業の為. 格を安定させようと行動するかもしれない.逆. 替レート予想に影響を与えることを示唆してい. に,高い利益率の背後にある輸出競争力の高さ. る.円高局面において輸出比率と修正速度の間. や差別化された財の特徴を活かして,円高局面. に有意な関係がないことは「エクスポージャー. でパススルー率を高めようとする可能性もあ. 効果」と「市場シェア効果」が相殺し合った結. る.したがって, 「市場シェア効果」と同様に,. 果であるとも解釈できる.また,円安局面では,. 利益率の係数の符号は企業の競争力や輸出価格. 輸出比率が高ければ修正速度も有意に高くな. 弾力性に依存する可能性があると考えられる.. る.つまり企業にとって海外市場の役割が重要.  予想為替レートの修正速度と輸出比率,利益. であればあるほど企業は予想為替レートを速く. 率の関係を検証するため,1999 年第 2 四半期. 修正し,為替差益をある程度パススルーするこ. から 2016 年第 1 四半期までの 10 産業かつ 3 種. とで市場シェアの維持・拡大につなげようとす. 類の企業規模のパネルデータを設定する.内生. るのである.もちろん,エクスポージャー効果. 性を考慮するため,一期前の輸出比率と利益率. も一定の役割を果たし,高いリスクを負う企業. を説明変数として用いる.. にとって通貨局面に関係なくできる限り為替リ. スクを回避したいのかもしれない. η t + ε ijt    spd ijt = c + α� exp_ ratioijt−1 + β� profit _ ratioijt−1 + γ ij + また,企業規模の違いによる影響の有無を確 (7) pd ijt = c + α� exp_ ratioijt−1 + β� profit _ ratioijt−1 + γ ij + η t + ε ijt 認するために,企業規模のダミー S i と各説明 変数との交差項を導入する.. spdratio ratioijt__,ratio profit _ ratioijt はそれぞ spd spdijtijt,,exp_ exp_ ratio profit ratio ここで ijt , exp_ ijtijt,, profit ijtijt れ t 期における j 産業の i 規模の企業の修正速度, γij ηt 輸出比率と利益率を示す. γγijijとηηt t 観測不可能 9)Krugman(1987),Knetter(1993),Nguyen and Sato(2018)などは市場シェアと為替パススル ーの関係を詳しく論じている.. −00E t−1 st < 0 sst t−−EEt−t−11ssst tt<<. spd ijt = c + ∑ S i + α� exp_ ratioijt−1 + i. ∑ αi � S i × exp_ ratioijt−1 + i. β� profit _ ratioijt−1 +∑ βi � Si × i. −ratio st 1≥+0γ ij + η t + ε ijt sst t−−profit EEt−t−11ssst t_t≥≥ 00E t−1 ijt−. (8). ηt.

(8) . 表3 修正速度の決定要因:パネル分析 非説明変数:修正速度 (spd) 輸出比率 (exp_ratio) 利益比率 (profit_ratio) 大 * 輸出比率. レジームなし (1). 円安 (2). 円高 (3). レジームなし (4). 円安 (5). 円高 (6). 5.462** (2.543) -8.624 (5.589). 9.532*** (2.982) -7.355 (6.503). -2.788 (4.187) -1.378 (9.297). -0.590 (0.841). -1.482* (0.899). 2.378 (3.378). 6.955** (3.472) -17.628** (8.252) -1.592 (5.098) -2.079 (6.858) 10.383 (9.694) 25.820** (12.122) 0.073 (0.840) -0.681 (1.066) -1.099 (1.031). 11.152*** (4.145) -25.715** (10.183) -1.325 (5.937) 0.390 (9.024) 19.538 (12.063) 59.719*** (16.058) -0.504 (0.878) -0.889 (1.211) -1.440 (1.294). -1.590 (5.657) -6.280 (12.942) -3.406 (8.463) 1.427 (10.011) 7.562 (15.004) 8.647 (17.962) 4.025 (3.417) -1.430 (1.823) -3.061* (1.585). あり あり 1908 0.067 2006. あり あり 1074 0.232 1159. あり あり 771 0.128 847. あり あり 1904 0.069 2006. あり あり 1070 0.242 1159. あり あり 767 0.129 847. 小 * 輸出比率 大 * 利益比率 小 * 利益比率 定数 大企業 中小企業 時間固定効果 クロスセクション固定効果 自由度 決定係数 (R-squared) Observation数. 注:(a) 「円安」は円安局面,「円高」は円高局面,「レジームなし」は円高・円安局面を区別しない全サンプルを意味 する.(b)*/**/*** はそれぞれ 10%,5%,1% の有意水準を示す.. ここでは中堅企業をベンチマークとしており, Si は大規模または中小企業のダミーである. (8). 正速度は 25.7%低くなる.大企業の交差項は大. の結果は表 3 の(4)列∼ (6)列に掲載されてい. 方で中小企業の場合,交差項は有意に大きな正. る.企業規模の違いを考慮した結果,輸出比率. の値(59.7)であるため,利益率の係数(25.7). も利益率も「レジームなし( 円高・円安局面を. との合計は有意に 34.0 となる.つまり,中小. 区別しないケース) 」と円安局面の両方で予想為. 企業の利益率が 1%増加すると,予想為替レー. 替レートの修正速度に有意な影響を与えること. トの修正速度を 34%高める結果となる.この. が確認できる.円高局面においてのみ,輸出比. ような U 字型に近い関係,すなわち中堅企業. 率と利益率は修正速度に対して有意な影響を与. より大幅に高い修正速度の中小企業と,有意で. えない.  ここで円安局面における推定結果に着目しよ. はないが修正速度は中堅企業よりやや高い大企 業という「J 字型」の関係は,Devereux et al. う.まず, 輸出比率の係数は有意に正であるが,. (2017)が見つけた為替パススルーと輸出企業. 企業規模ダミーは有意ではない.つまりすべて. の市場シェアとの間の U 字型の関係と類似す. の企業で輸出比率は修正速度に有意に正の影響. るものである.また,この結果も Nguyen and. きな正の値(19.5)をとるが有意ではない。他. を与えており,企業規模によってその影響の強. Sato(2018)の結果と整合的であり,同論文は. さが異なることはない.一方,利益率は企業規. パススルー率が円高局面では産業間で同一であ. 模の違いを考慮すると修正速度に有意に負の影. るが,円安局面では産業の競争力(商品差別化). 響を与える.さらに企業規模によって利益率が. に応じてばらつきがみなれることを明らかにし. 修正速度に及ぼす影響には違いがあり,大企業. ている.つまり,競争力のある産業は円安局面. と中堅企業の場合は利益率が 1%増加すると修. でパススルー率を低下させて(PTM 行動をとっ.

(9) . て)為替差益を享受し,競争力の低い産業は為. ると解釈される.第三に,企業の為替レート予. 替差益よりも輸出価格そのものを下げるために. 想の仕組みを理解する上で,企業の利益率も有. パススルー率を高める選択をしている.予想為. 効な情報であることを明らかにした.円安局面. 替レートの修正速度と為替パススルー率の間に. において,大企業と中堅企業の場合は利益率が. 正の関係が存在するという仮定の下で,本論文. 修正速度に負の影響を与えるが,中小企業の場. の結果も Nguyen and Sato(2018)の結果と一貫. 合は正の影響を与える.この違いは市場シェア. 性を持つ.競争力の高い大企業と中堅企業は利. あるいは企業の競争力(製品差別化)により説. 益を獲得するとき修正速度を減らし,為替差益. 明することができる.. を享受することを選択する.それに対して,競.  輸出における予想為替レート,そしてその予. 争力が低い中小企業は為替差益が見込まれる円. 想為替レートの修正速度は企業の輸出行動(特. 安局面で予想為替レートの修正を加速し,パス. に輸出価格や輸出額の設定,ヘッジの有無など ). スルー率を高めるのである.. を理解するための重要な情報を提供すると考え. 5.結論. られる.本論文の結果と為替パススルーの先行 研究の結果には一貫性があり,具体的にはパス.  本論文は,日本銀行の短観データを用いて,. スルーと予想為替レートの修正速度との間に正. 予想為替レートの修正速度の決定要因を実証的. の関係があることが示唆される.これは今後さ. に分析した.企業の予想為替レートの変化は,. らに分析するに値する有望な研究テーマであ. 輸出入価格や数量の変化を通じて実体経済およ. り,さらなる研究の発展が期待される.. び金融市場に少なからぬ影響を及ぼしうる.し. 参考文献. かし,企業の予想為替レートがどのような要因 で変化するかに関する研究はまだ十分に行われ. 伊藤隆敏・鯉渕賢・佐々木百合・佐藤清隆・清水. ていない.本論文は企業の予想為替レートの円. 順子・早川和伸・吉見太洋 , 2008.「貿易取引. 高・円安局面での非対称性や,輸出比率,利益. 通 貨 の 選 択 と 為 替 戦 略 」RIETI Discussion. 率との関係に着目して実証分析を行った結果,. Paper Series, 08-J-009.. 以下の 3 点を明らかにした.  第一に,為替レートの予想は通貨局面に大き. Devereux, Michael B., Wei Dong and Ben Tomlin, 2017.“Impor ters and expor ters in exchange. く依存する.円高局面において,日本企業は為. rate pass-through and currency invoicing.”. 替レートの予想をできる限り修正し,実際の為. Journal of International Economics, 105, pp.187. 替レートの動きに追いつこうとするが,円安局 面では予想をゆるやかに修正していく. ただし,. 204 Devereux, Michael B., James Yetman, 2002.“Pricing. このような予想為替レートの調整は主に大企業. setting and exchange rate pass-through: theory. と中堅企業で確認され,中小企業の場合は半分. and evidence.”HKIMR Working Paper No.22/. 以下の産業でしか確認できない.第二に,円安. 2002.. 局面において予想為替レートの修正速度は企業. Floden, Martin, Witness Simbanegavi and Fredrik. の輸出比率と正の関係を持つ.これは為替エク. Wilander, 2008.“When is a lower exchange. スポージャーの代理変数である海外輸出比率の. pass-through associated with greater exchange. 高い企業ほど為替リスクを転嫁しようとする. rate exposure?”Journal of International Money. 「エクスポージャー効果」と,海外での売上げ に依存するほど円安局面で為替パススルーを高. and Finance, 27(1),pp.124 139. Ito, Takatoshi, 1990.“Foreign exchange rate. めて市場シェアの維持・拡大を目指そうとする. e x p e c t a t i o n s : m i c r o s u r v e y d a t a .”T h e. 「市場シェア効果」の二つが作用した結果であ. American Economic Review, 80(3),pp.434.

(10) . 449.. Series 18-E-071.. K n e t t e r, M i c h a e l M . , 1993. “I n t e r n a t i o n a l. S h i m i z u , J u n k o a n d K i y o t a k a S a t o , 2015.. comparisons of price-to-market behavior.”The. “Abenomics, yen depreciation, trade deficit and. American Economic Review, 83(3),pp.473. expor t competitiveness.”RIETI Discussion. 486. Krugman, Paul, 1987.“Pricing to market when the. Paper Series 15-E-020. Takagi, Shinji, 1991.“Exchange rate expectations: A. exchange rate changes.”In Real-financial. sur vey of sur vey studies.”IMF Economic. linkages among open economies , edited by. Review Staff Papers , 38(1),pp.156 183.. S.W.Arndt and J.D.Richardson. Cambridge: (査読付論文 2018 年3月受理). MIT Press. Nguyen, Anh T.N. and Kiyotaka Sato, 2018.“Firms’.  (横浜国立大学大学院国際社会科学府博士課. predicted exchange rates and nonlinearities in. 程後期,日本学術振興会(JSPS)特別研究. pricing-to-market.”RIETI Discussion Paper. 員(DCI) ).

(11)

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