学校教育学研究, 20日,第25巻, pp,75-自2
重症心身障害児の表出カテゴリー表の作成
車 田
圭 (氷上特別支援学校) 石 倉 健 二 (兵庫教育大学) 重症心身障害児(以下、重症児)とのコミュニケーションにおける岡難さの一凶として、「重症児のどこを見ればいいの か分からない」というように、かかわり子に表山をとらえるための視点がないことが挙げられる。そこで本研究では、表山 をとらえるための指標として「重症児の表出カテゴリー表」を作成した。まず授業場面のV T Rから、重症児の表出を分析 し、先行研究をもとにしたカテゴリ一項目の検討を行った。その結果、「日の動きJI表情等JI交声JI手の活動JI姿勢・ 運動JI
その他j の6
つのけすカテゴリーと、 12の下位カテゴリーに整珂することができた。 今後、このカテゴリー去を旧 いることで、重症児の微細な表作Iをとらえるための視点をかかわり予に与えることができると考えられる。 キーワード:重抗心身障害児、表山、カテゴリー表、行動観察、授業場面、 V T R 蓮同 圭:兵庫県立氷上特別支援学校,干669-4274 兵庫県汁波市春H同l棚)J;(3098-1 E-mail:ml0087c⑥hyogo-u,ac,jp 石倉健二:兵庫教育大学大学院・特別支援教育専攻・准教JZ
,干673-1494 兵庫県加東市下久米942-1, E-mail:[email protected] 75C
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Kei Ashida (Hlkami Special Support Schoot) Kenji Ishikura (Hyogo University of Teacher Educationl Expressive behaviors in children with severe motor and intel1ectual disabilities are small and subtle. These are difficult for teachers and supporters to perceive their communication. Therefore, an index regarding perc巴ivingsubtle巴xpressionsis requir巴d The present study cr巴ateda “category table of expressions in children with s巴veremotor and intellectual disabilities". Two chil -dren with severe motor and intel1ectual disabilities were recorded with mu1tiple video cameras in a c1assroom setting and their expressions were analyzed in 10-s blocks from the recordings. Cat巴gorγltemswere investigat巴dbased on previous studies and another observer's evaluation was also conducted as a controL Subjects' expressions were divided into th巴followingsix overall categories: eye movement, facial expression, voice, hand movement, posture and movement, and other expression. Fur廿lennore 12 subcategories were also established. The present category table should enable perception of th巴subtleexpr巴ssionsof childr巴nwith s巴veremotor and intellectual disabilities.
Key Words: children with severe motor and intellectual disabilities, expression, categOlγtable, behavior observation, c1assroom, VTR
Kei Ashida : Coordinator.Hikami Special Support School, 3098-1 Tanahara Kasuga-Chou Tanba-City, Hyogo 669-4274 Japan E-mail:mlO087c⑥hyogo-u.acj.p
Ke吋 Ishikura: Assoc凶 巴 Professor,D巴partmentof Special Needs ed恥 ation,Hyogo Univers町 ofTeacher Education, 942-1 Shimokume, Kato-City, Hyogo 673-1494, Japan.
76 学校教育学研究, 2013,第25巻
I
問 題 と 目 的 今日、重症心身障害児(以下、重症児と表記し、重度 重複障害児とほぼ同義とする。)の療育にかかる実践研 究は、学校や福祉施設等で大きく取り上げられ、様々な 取り組みが報告されているO 中でも、重症児の自立や Q 0 L (Quality of life)向上の観点から、コミュニケー ションを促進する活動を中心に取り組まれている(高木 ら1998、元田ら2002、郷間・伊丹2005)。 重症児の多くは、身体運動の制約や知的発達の遅れな どから、言語的なやりとりだけではなく、非言語的なや りとりにも困難を抱えているO そのため、重症児は「自 発的な動きが乏しいJ
I
はたらきかけても反応が返って こないJI
表情の変化が乏しく、快なのか不快なのか分 かりにくしづ「動きはあるが、いつも決まった動きしか しない」などととらえられることが多い(松田2002)0 一方、これらのことから、かかわり手は、重症児へのは たらきかけの手がかりを得ることが難しく、「重症児の どこを見ればいいのかわからないJI
どうやって意思や 感情を読み取ったらいいのかわからない」といった不安 な気持ちになること(坂口2006a、郷間・伊丹2005)が あるO 以上のことが、重症児とのコミュニケーションの難し さに直結していると考えられるO ただし、コミュニケー ションの難しさは、重症児のコミュニケーション能力の 不備によると考えるのではなく、かかわり手側の問題と して考えることが求められる(前田・小林2000)0かか わり手が重症児の表出をとらえたり、微弱な表出から意 思や感情を推察したりする能力を持つこと(元田ら2002、 岡浮・川住2005、坂口2006b、他)や、かかわり手の力 量によらず、重症児の表出がもっと分かるようになる研 究(石川12002)が求められているO つまり、かかわり手 側の問題ではあるが、その経験や力量を問題とするので はなく、かかわり手が表出をとらえるための方法や手段 の開発が求められていると言えるO 重症児とのコミュニケーションにおける困難さの一因 として、「重症児のどこを見ればいいのか分からないj というように、かかわり手に表出をとらえるための視点 がないことが挙げられるO そのため、「重症児のどこを 観察すればよいのかj という視点をかかわり干に与える ことが必要だと考えられるO 田中ら (2000)は、重症児の表出を分類するカテコリー 去を用いて、授業過程と重症児の表出との関連ついて分 析し、授業場面における教師と重症児の相互作用の特徴 について検討しているO 用いられたカテゴリー表は、 「非学習動作J
I
学習動作jの大分類の中で、さらに「発 声JI
目の動きJ
I
微笑JI
発声応答JI
微笑応答JI
手の 活動」など細密に分類されているO また元田ら (2002) は、施設の介助者に、重症児の表出行動をとらえたかど うかを自身でチェックさせ、介助者の気づきを促してい る。用いられたチェック紙は、「注視JI
接近JI
接触j 「微笑JI
ポインテイングjなどの項目があり、カテゴリー 表として有効だと考えられる。ただし、授業分析を目的 に使用された田中ら (2000)のカテゴリー表が、個とし ての表出分析に有効であるのかについて、また介助者の 主観ではチェック可能であった元田ら (2002)のカテゴ リー表が、客観的な分類のための指標となり得るのかに ついて、検討が必要であるO これらの知見のように、重症児の微細な表出を適確に とらえるための行動指標として、表出を分類するカテゴ リー表を用いることが有効で、あると考えられる。そこで 本研究では、重症児の表出をとらえるための指標として、 「重症児の表出カテゴリー表jを作成することを目的と し、第I研究としてカテゴリー表の試作を行い、第2研 究としてその試作版の検討を行うものである。 E 研 究 カ テ ゴ リ ー 表 の 試 作 ( 1 )目的 先行研究のカテゴリー表を検討し、「重症児の表出カ テゴリー表j を試作するO ( 2 )方法 対象児:X
特別支援学校に在籍する重症児2
名。プロフィー ルを表 1に示す。なお、 A児・ B児の保護者には、書面 にて研究の概要を説明し、同意を得た。 表1 対象児のプロフィール KIDS乳幼児 対象児 発達スケール A児 女 B児 男 (タイプA) 小学部2年 中学部2年 運動 0:4 0: 1 操作 0:5 0: 1 言語(理解) 0:5 0:4 言語(表出) 0:3 0:2 社会性(対成人) 0:2 0: 1 食事 0:3 0: 1 総合発達年齢 0:4 0: 1 対象授業:集団授業や個別授業、給食、休憩時間等に参 与観察と記録を行った。その中から、表2に示す4授業 を分析対象とした。 表 2 研究 1の対象授業 対象授業 対象児 活動の概要 時間(分) 朝の会 A児 絵本の読み聞かせやお話遊び 30 音楽・絵本 A 児 音楽を聴くことや絵本の読み聞かせ 25 給食準備 A児 特にかかわりのない時間 16 絵本 B児 絵本の読み聞かせや語りかけ 40重症児の表出カテゴリーの作成 77 検討対象:田中ら
(
2
0
0
0
)
のカテゴリー表をもとにした 表3
田中カテゴリーにおける 「田中カテゴリ ~J および、元田ら (2002) の行動分類 表出の10分あたり平均生起数 表をもとにした「元田カテゴリー」のカテゴリ一項目と 分類基準について検討を行うO 記録方法 :VTR記録および記述記録。ビデオカメラは 授業全景記録用(固定撮影、カメラ 1)と対象児個人記 録用(移動撮影、カメラ2
)の計2
台を使用した。筆者 は参与観察し、 VTR記録を行った。カメラ 2では、対 象児の上肢の動きや視線等が分かるように、顔を中心に 上半身を撮影した。 観察者:第 l筆者 I名 結果の分析方法:カメラ l、カメラ 2を再生し、 VTR 上に見られた表出を観察者がカウントした。カウントの 方法は以下の通りであるO 全授業を 10秒ごとに区切り、 その一区切りとなった 10秒間に l回でも対象となる行動 の表出が見られた場合には Iとカウントした。なお、一 区切りとなった 10秒中に対象となる行動が繰り返された 場合も lとカウントした。また対象となる行動が1
0
秒の 区切りにまたがる場合には、その 10秒区切りでそれぞれ lとカウン卜した。 行動指標には、検討の対象とするカテゴリー表を用い て、カテゴリ一分類をした。 A児 .B児それぞれについて、対象授業ごとにカテゴ リ一分類の結果を集計し、毎分における表出の生起数を 求めた。1
0
秒をl
コマとしてカウントするため、I
分6
コマごとの合計を生起数とした。 ( 3 )結果と考察 ①「田中カテゴリ ~J の検討 表3に全授業における表出の平均生起数を示した。生 起数が多かったもの(10分に10回以上見られた表出)は、A
児の「①-3
目の動きJ
I
②-3
手の活動J
I
②-3
-イ握 る・振る・叩くJI
②-4注視・験開閉」、 B児の「①-3 日の動きJI
②-4注視・験開閉jであった。ただし B児 の場合、注視を判断することは難しかったため、険の開 閉(瞬きではないもの)のみが「② 4注視・験開閉」 にカウン卜されているO また、両児ともに「①-2発声・ 動作J
I
②-1発声応答J
I
②-2微笑応答」にはカウント 可能な行動がみられなかった。 以上の分類結果から、「田中カテゴリー」の項目に次 のような修正を加えることとするO 「①非学習動作JI
②学習動作」といった区分は、観 察者の主観によって分かれたり、区別が困難で、あるた めに、その区分を無くす。 「①3
目の動きJI
②3
手の活動(下位項目『②3
ア手が出る.1r
②-3 -イ握る・振る・叩くJ
を含む)J
「②-4注視・険開閉」は、カテゴリ一項目として有効 であると考えるO 「①-2発声・動作」や「②-1発声応答J
I
②-2微笑 平 均 生 起 数 カ テ ゴ リ ー (回/10
分) A児 B児1
発 声2
.
9
9
3
.
0
0
① 非品f主~
2
発声・動作3
目の動き1
3
.
7
7
3
8
.
0
0
作習動4
微 笑0
.
5
2
5
そ の 他2
7
.
7
9
6
.
5
0
1
発 声 応 答2
微 笑 応 答3
手 の 活 動2
5
.
1
9
ア手が出る6
.
3
6
イ握る・1
8
.
3
1
② ザ戸崎ー 振る・叩く ウ 両 手 挙 げ0
.
3
9
習 工 片 手 挙 げ0
.
1
3
動 作4
注視・験開閉2
8
.
9
6
4
0
.
5
0
5
追 視4
.
1
6
6
集中して聞く0
.
2
6
7
緊張4
.
2
5
8
表 情 の 変 化2
.
4
7
2
.
7
5
9
そ の 他1
.
1
7
0
.
2
5
r
-
J
はカウン卜なし 応答」は、「①-1発声J
r
①-4微笑」との区別が困難 であり、観察者の主観により評価が分かれるO そのた め、それぞ、れを「①-1発声」と「①-4微笑」に含め、 その項目を無くす。 「①-3目の動き j は、「②-5追視」とは言えないサッ ケード様の日の動きも評価できることとし、「②-5追 視j と区別された目の動きをみるための項目とする。 「②-4注視・険開閉jは、異なる二つの表出を含む ため、「注視」と「験開閉」に項目を分けるO 「②-7緊張」はその場にいないと分からなし、。ある いは対象児に触れていないと分からない。そのため 「②-9その他」などに含むこととするO 「② 6集中して聞く j については、主観的な評価に なるが、項目として残し、研究2で検討する。 ②「元田カテゴリ ~J の検証 表4に全授業における表出の平均生起数を示した。生 起数が多かったものは、 A児の「②対物 1注視JI
② 対物 ~3 接触 J I③対自己~ 1常同行動j であったO 障 害がより重度な B児を評価することは難しく、「声の方 へ目を向ける」といった目の動きが「①対人1
4
その他」 に分類された。78 学校教育学研究, 20日,第25巻 ① 対 人 ② 対 物
③
対 自 己 表4 元田カテゴリ における 表出の10分あたり平均生起数 平均生起数 カ テ ゴ リ ー (回/10
分) A 児 B 児1
注 視O
.
6
5
2
接 近3
接 触O
.
5
2
4
発声・語りかけ2
.
9
9
2
.
5
0
5
微 笑O
.
9
1
6
ポ イ ン テ イ ン グ7
リーチング8
サ イ ン9
表情(微笑以外)1
.
6
9
2
.
7
5
1
0
模 倣1
1
身 体 の 一 部 の 動 き3
.
3
8
2
.
0
0
1
2
具 体 物 提 示1
3
他 傷 行 動1
4
そ の 他O
.
1
3
4
2
.
7
5
1
注 視2
7
.
4
0
2
接 近2
.
0
8
3
接 触2
1
.
3
0
4
発声・語りかけ5
微 笑6
ポ イ ン テ イ ン グ7
リーチング5
.
1
9
8
表情(微笑以外)O
.
2
6
9
そ の 他1
7
.
5
3
1
常 同 行 動1
8
.
3
1
2
自傷行動3
その他2
.
3
4
6
.
7
5
「ー」はカウントなし この分類結果から、カテゴリ一項目には次のような検 討を加えたO 「①対人J
I
②対物J
I
③対自己」は、観察者の主観に よって評価が分かれるため、区分としてはなくす。た だし重要な感性情報であるため、記述記録として表出 の意味を解釈する際に反映させるものとするO 「①-8サインJ
I
①-10模倣J
I
①-
1
2
具体物提示」は、 今回の対象とする重症児の表出としては高次であるた め、その項目をなくす。また「①4
(②4
) 発 声 / 語りかけjの語りかけも高次であるため、項目を「発 声」のみとするO 「①-2 (②-2 )接近jは頭や上体が人や物に接近する こととする。 「①-3 (②-3 )接触j は対象児自らの動きにより手 や身体が触れることとするO たまたま触れている場合 は評価しない。 「①-1 (②-1 )注視j だけでは評価できない、 B児 のような微細な目の動きを評価するための項目を設定 する。 「①-11身体一部の動きjと「③-1常同行動」を区別 できるように分類基準を検討するO ③「重症児の表出カテゴリー表(試作版)J
の作成 上記の結果から、「田中カテゴリ-J
および「元田カ テゴリ-J
をもとにカテゴリ一項目を設定した。また、 両カテゴリーとも分類基準がなく、表出の分類が困難で あったことから、検討の上、分類基準を設けた。さらに 他の先行研究のカテゴリ一項目を参考に項目名を修正し、 「重症児の表出カテゴリー表(試作版)J を作成した(表 5) 0皿
研 究2
:第三者による試作版の試用(
,
)目的 研究lをもとに作成した「重症児の表出カテゴリー表 (試作版)J の分類項目と分類基準の信頼性を検討するた めに、第三者による試用を行い、カテゴリー表を修正す ることを目的とするO(
2
)方法 対象児:研究 lと同様 対象授業:研究1とは異なる 2授業を分析対象とした。 検討対象I
重症児の表出カテゴリー表(試作版)J
(表 5 )のカテゴリ一項目および分類基準 記録方法:研究lと同様 観察者:重症児と関わった経験がある協力者 Cと、経験 がない協力者 Dの 2名がカウン卜したo CとDは別々に カウントを行った。 結果の分析方法:研究1と同様。なお、研究 2において は、信頼性の検討のため、対象児別、カテゴリー別に、 CとDによる分類の一致率を求めた。そしてその分析結 果をもとに、「重症児の表出カテゴリー表」を作成するO ( 3 )結果と考察 ①カテゴリ 分類の一致率より CとDが、それぞれ「重症児の表出カテゴリー表(試 作版)J
に分類した結果から、両者の一致率を求めた (表6)0 一致率が高かったものは、A
児のI
a-1
注視J
(
7
0
%
)
、I
d
手の動きJ
(
7
5
%
)
、I
d
-3
操作J
(
8
8
%
)
、B
児のI
a-3
視線の変化J(
6
9
%
)
であった。これらについては、 有効な項目であると考え、「重症児の表出カテゴリー表」 の項目とした。また今回は表出が少ないため一致率が低 かったI
c-1発声jも、本来は一致率が高くなるものと 考え、同様の項目とした。重症児の表出カテゴリーの作成 79 表5 重症児の表出カテゴリ 表(試作版) カテゴリー 分類基準
a
目の動き1
注視 人や物を見る。(対人の場合、顔を見ること)2
追視 人や物の動きを線状に追従する目の動き。3
視線の変化 視線の転動、移動。r
a
-
2
追視」ではない点状の動き。一瞬のチラリも評価でき る。注視・追視として評価できないもの。4
瞭開閉 瞬きではないもの。瞬きとは思えないもの。反応として、閉じていた験を聞く、 あるいは聞いていた瞭を閉じる。b
表情等1
微笑 微笑だと受け取れるもの。2
表情(微笑以外) 無表情ではないもの。驚き、渋面、舌を出すなど。3
集中して聞く 絵本や音楽、話し声などに集中している様子がある。c
発声1
発声 声が出ている。d
手の動き1
ポインテイング 物に向かつて手差し、指さしをする。2
リーチング 手差しでなく、人や物に向かつて手を伸ばす。3
操作 物をt
屋る・振る・叩くなど。e
身体の動き1
接近 頭や上体(あるいは全身)を、人や物へ接近させる様子。2
接触 手や身体で人や物に触れる。たまたま触れている場合や、触れられている場合は 含まない。3
身体一部の動き 頭や首、上体の動き、上服・下服の動き(
r
d
-
1
ポインティングJ
r
d
-
2
リーチン グJ
r
d
-
3
操作」を除く)等。r
f
-
1
常同行動」と区別する。f
非コミュニケーション的行動1
常同行動 例:指吸い、手をヒラヒラ振る、ロッキングなど。(物を振るのはr
d
-
3
操作J
)
2
他傷・自傷行動 例 人を叩く、自分の指を噛むなど。かかわり手がやめさせたり、避けたりする 行動。3
その他 例:口をモグモグ、ムニャムニャするなど。半IJ別不能なもの。 一方、他の項目で一致率が低かった原因としては、① 分類基準が暖昧で客観的な判断が難しいためC.D
間で の評価にズレが生じたこと、②総表出数の少ない項目は 誤差が大きくなったことの2点が考えられたO これらは 分類基準の再検討と項目の精選により改善することとし た。 ②カテゴリ一項目および分類基準の検討 上記の結果より、分類基準の再検討や項目の精選を行っ た。ただし、分類基準をいくら細かくしても明確には分 類できない表出もあると考えられた。また、重症児と関 わった経験のないDが、表出を細密にとらえることがで きたことから、カテゴリー表は「重症児のどこを見れば いいのか」という視点を観察者に与えると考えられるO つまり、項目や分類基準を細かくして表出の分類を限定 することよりも、経験の少ない者にでも細かな表出をと らえられることを優先するべきであると考え、次のよう に検討を行った。1
a-1注視J1
a-2
追視J1
a-3
視線の変化」について: 視線方向の対象がはっきりしないためにC、D両者の 評価が一致しなかったと考えられるO そのため、1
a -I注視J
1
a-2追視」は対象が VTRに写っているこ とを条件として分類基準に明記するO また、1
a-3視 線の変化jは対象がはっきりしなくてもカウントでき るように分類基準を修正した。 「ιl常同行動」について:初めて見る子どもや VT Rでは判断が難しい。そこで事象だけをとらえ1
e-3 身体の一部の動きjあるいはI
f
-
3その他jに分類す ることとするO1
e-1接近J
1
巴-2
接触J
1
d-3
操作」について:対象 児の「身体のどこがJ
1
何にj触れたのかを明確にす るために、1
e-2
接触jを1
d-3
操作J
1
e-1接近」の80 学校教育学研究, 20日,第25巻 表 6 重症児の表出カテゴリ 表(試作版)に ついての協力者C・Dによる分類の 致率 重症児の表出力テゴリー表 一致率 (試作版) カテゴリー A児 B児 a 目の動き 51目 32目 1注視 70目 4目 2追視 20目 O出 3視線の変化 47出 69目 4瞭開閉 O目 17目 b表情等 51弘 O出 1微笑 50% 2表情(微笑以外) O出 0出 3集中して聞く 57同 G発声 O出 1発声 0目 d手の動き 75目 O出 1ポインテイング 2リーチング 50目 3操作 88同 0目 e身体の動き 38目 25出 1接近 O出 2接触 O同 3身体一部の動き 43目 25目 f非コミュニケーション的行動 39同 0目 1常同行動 62% 2他傷・自傷行動 3その他 O目 O出
r
-
Jはカウントなし 中に含め、手に関するものを「接触・操作」、手以外 を「接近・接触」とする。1
d-2リーチングJ
1
d-1ポインテイング」について: リーチングが届かず、結果としてポインテイングにな ることがあるため。両者を合わせて「リーチング・ポ インテイングj とするO Ib-3集中して聞く j について:客観的な評価基準を 設けることができないため、項目としては削除するO ただし重要な感性情報であるため記述記録をし、他の 表出と照らし合わせるO1
-
f
2他傷・白傷行動J
I
f
-
3その他j について1
-
f
2他傷・白傷行動jも初めて見る子どもでは判別が難 しいため、「ι3その他jに含め、項目名を「半JI別不 能・その他」とするO ③「重症児の表出カテゴリー表」の作成 以上の結果に文献的検討を加え、「重症児の表出カテ ゴリー表(最終版)J (表 7)を作成した。N
今後の課題 本研究では、表出をとらえるための指標として、先行 研究をもとに「重症児の表出カテゴリー表(最終版)J
(以下、カテゴリー表)の作成を試みた。カテゴリー表 は重症児の微細な表出をとらえる視点を与えうることが 示唆された。しかし、その作成にあたって、対象とした 重症児は2名であったため、その結果が重症児一般に当 てはまるものではない。カテゴリー表には、先行研究の 知見を取り入れ、できるだけ客観性と一般性を担保しよ うとしたが、その検証は行えなかったO 今後、事例を増 やすことが課題の一つであるO また、カテゴリー表はVTR分析のための指標であり、 実際の重症児とのかかわりにおいては「呼吸J1
体 温j 「顔色J
1
筋緊張」など、より多くの情報をかかわり手は とらえていると考えられる。そのため、実際のかかわり 手から「重症児のどこを見ているか」という視点を得る ことも重要である。一方、細測 (2003)が、視覚や操作 行動の発達などについて整理したうえで指導方法の検討 を行っているように、重症児の表出がより高次なもので あるかどうかを評価するためには、発達的視点が必要だ と考えるO そのため、各カテゴリーにおける発達段階を 示すことが、表出を理解する上で有効だと考えられる。 これらのように、カテゴリー表の改訂をしていくことが 課題だと言えるO さらに、カテゴリー表を使い、重症児の表出をとらえ ていくことで、とらえた表出から、重症児の意思や感情 を推察する実践が今後望まれるO その実践を通して、重 症児とのコミュニケーションが促進されることを期待し たい。 文 献 Carrol E.Izard(1996)1
感情心理学jナカニシヤ出版 Pエクマン.W.Vフリーセン(1987)1
表情分析入門j 誠信書房 姉崎弘(1997) IVTRを用いた重度・重複障害児の授 業評価方法に関する一考察 特殊教育諸学校初任者の 研修プログラムに適用して j特殊教育学研究34 (5) 37-43 石川丹 (2002)1
重症心身障害児の象徴行動」特殊教育 学研究40(1)83-88 磯貝順子・小池敏英・佐藤進・堅固明義(1995)1
重度 精神遅滞児の要求表出行動と療育者の判断に関する研 究j特殊教育学研究33 (1)17-24 岡i
宰慎一・川住隆一 (2005)1
自発的な身体の動きがまっ たく見いだされなかった超重症児に対する教育的対応 の展開過程」特殊教育学研究43 (3) 203-214 郷間英世・伊丹直美 (2005)1
微笑行動を手がかりとし た重症心身障害児のQOL
評価に関する検討j奈良教重症児の表出カテゴリーの作成 表7 重症児の表出カテゴリ 表(最終版) カテゴリー 分類基準 .目の動き 注視 画面内に写っている人や物を見る。 追 視 人や物の動きを追う目の動き。画面内に写っている人や物の動きを線状 に追従する目の動き。 対象から別対象への視線の移り変わり。 「追視」ではない点状の動き。 視線の変化 画面に写っていないものに対する目の動きも含め、対象が分からない場 合も評価できる。一瞬のチラリとした目の動きも評価できる。 除開閉 何らかの刺激に対して、閉じていた除を聞く、あるいは聞いていた除を 閉じる。瞬きではないもの。 .表情等 微笑 微笑や笑顔。 表情(微笑以外) 無表情ではないもの。驚き、苦痛、舌を出すなど。 .発声 発声 声が出ている。 .手の活動 リーチンゲ・ 人や物に向かつて手を伸ばす。あるいは、人や物に向かつて手差し、指 ポインティング さしをする。 接触・操作 人や物を触る・握る・振る・叩くなど。 .姿勢・運動 接近・接触 手以外の部分(頭や上体、あるいは全身)を、人や物へ接近させる。ま たは、手以外の部分が人や物に触れる。 身 体 の 一 部 の 動
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。表情等」 「。手の活動」を除く)頭や上体の動き、上服や下肢の き 動き、手指の微細な動き、筋緊張など。 .その他 判別不能・その他 判別不能なもの。自傷・他傷行動、常同行動も含む。 ※画面で観察可能な表出のみカウン卜する。 ※記述記録するもの -表出の対象(
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対人J
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対物J
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-授業内容やはたらきかけ、外的刺激について ・「集中して聞く(絵本や音楽、話し声などに集中している様子がある)Jについて ・表出の質的評価 明らかに「対人的J
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応答的J
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自発的」なものについて 81 育大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要14, 29-35 坂口しおり (2006a)I
コミュニケーション意欲を育てる 教育実践j発達障害研究28 (4) 256-263 坂口しおり (2006b)I
障害の重い子どものコミュニケー ション評価と目標設定jジアース教育新社 (1998)I
超重度障害児における応答の特徴とその表出 を促す指導についてj特殊教育学研究、 36(1)、 21-27 橘庚 (2009)I
乳児の手の活動における機能的左右非対 称性:出生から l歳までの縦断研究j発達心理学研究 20(1)55-65 鈴木由美子・藤田和弘(1997)I
表出手段に制限のある 脳性まひ幼児のeyepomtmgを用いた選択行動の形成」 特殊教育学研究34 (4) 1-10 高木尚・岡本圭子・森屋品代・阪田あゆみ・小池敏英 田中道治・乾初枝・久米精一・前川千代・柳川千尋 (2000)I
重症心身障害児の授業過程の分析行動カテ ゴリーと心拍変動との関係に着目して 」特殊教育学 研究、 38(1)、 1-12 常国美穂 (2007)I
乳児期の共同注意の発達における母82 学校教育学研究, 2013,第25巻 親の支持的行動の役割」発達心理学研究18(2) 97-108 別府悦子(1997)