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棚卸資産会計における選択問題:方法の選択,低価法,販売基準

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(1)Vol. 36 No. 3 (通巻99号). Murch 1990. 近畿大学「商経学叢」. 棚卸資産会計における選択問題 一方法の選択, 低価法, 販売基準――. 利. 彦. 毛. 敏. く, 原価主義に立脚する棚卸費用計算の諸方法. 1.. が. どういう考えに支えられたものか検討する. 序. ことにしたい。. FIFO, LIFO, AC ( 平均法) の選択につい. 期末の棚卸資産の評価については. 次の選択. 一. て, いままで次のことがいわれてきた。 その. 問願がある。(1)原価評価か低価評価か, その選. つは, 例えば. 棚卸費用計算の正しい方法がな. 択は強制でなく任意であるが, 問題は時価によ. いために. 便宣上, それに代わる方法とその選. る低落が生じても, 必ず計上するというのでな. 択に委ねられるということ。またことに, LIFO については, 価格変動下における時価主義に近. にまつわるこのような不明確さは何によるか。. く, しなくてもよいということである。低価法. い方法であること. さらに, 課税節約など。 FIFO にしても , LIFO, 平均法にしてもそ. ( 2)低価法を保守主義で説明するのではなく, 理. の方法の違いが指摘されてきた。 もちろん, そ. 替原価と正味実現可能価格があるがこの違いは. れぞれの方法における単価の計算結果に違いが. どういう点にあるか。. 論上どう説明するか。(3)低価法による評価に取. あれば. それは当然かもしれない。 またそうで. 棚卸資産の引渡を収益で表現するのが販売基. なければ. 各々の方法の存在意義はない。 しか. 準である。 ところが, 収益計上の基準は販売基. し, そうした方法の違いは何に由来するのか。. 準にとどまらない。 例えば, 工事進行基準があ. もともとそれらが違う考えから出発 したからだ. り販売基準の例外とされている。 しかし, 双方. ろうか。 それとも, ある条件の下で異なる方式. の関わりは十分検討されていない。 棚卸資産を. に成ったのか. こうしたことが検討される必要. 販売した時, 現金または将来収入を得るか, そ. があろう。. れはある意味で当該財を売価で評価することで. ば棚卸資産の払出, また期末棚卸に付される原. ある。 それは, もちろん, 第三者への販売であ る。 しかし, この考えを推し進めれば, 今期の. 価は, 払出される財ないし残っている財の実際. 旧経営者が次期の新経営者へ進行途上にある当. 原価である はずである。(個別法) しかし, 実. 該財を売り渡すと考えることが可能である。 こ. 際には個別法の適用は少ない。 その理由は従来. のことを考えながら工事進行基準が何をどう表. 言われるように. 実践性によるものではあるま. 現したものかを考えてみる。. 正しい(あるいは真実)という意味からすれ. い。 たとえ実践的に容易であったとしても, 個 別法が採択される可能性は小さいであろう。 実. 2.. 代替性と棚卸費用の計算方法. 際原価を用いないとすれば. 払出原価の測定の 基礎に何があるか明らかにされねばならぬであ ろう。 そこで, 実際原価に依拠する個別法でな -23. FIFO, LIFO, AC が, 会計上, 何を示そう としたかを明らかにしたい。 (217)-.

(2) 古くから言われたことは, 周知のように, 財. が同質であれば, 互いに代替可能であるから,. の払出の順序に応じた原価の表現である。 とく に, この考え方は FIFO にあてはめて よく説. どれから払出することもできる。 このことは, 払出原価にあてはめてみれば, どの受入時点の. 明されてきたのである。 しかし, この立場から. 原価であっても代替可能ということである。 こ. すれば, LIFO は説明が困難である。 というの. の代替性の立場からすれば, 個別法は当該財の. は,. 実際原価しか選択できないという意味で, 特異. 新しい 受入財は先に 払出されていくもの. の, 古い受入の財は最後まで得ることになり,. な考え方といえるであろう。 個別法が発 展しな. 払出の順序を表現しているとは言い難いからで. かったのは, 代替性にそぐわない考えのためで あり, 実際原価の識別に困難があるためではな. ある。 歴史的にみても, LIFO を支持する人に も, それが実際のフロ ー を示すとは主張しなか. い。 代替性のある財では, 払出の実際原価をそ. ったし, そのことを LIFO に期待したのでは. もそも識別する必要がないというのがその理由. ないとされる (1) 。 またこの考え方は. 平均法に ついても説明できぬであろう。. とある。 しかし, 代替性というのは, ここに受入時点. 他方. これらの方法について, 原価のフロ ー. の異なる棚卸資産があるとして, 払出の際にど. を表現するという考え方がある。とくに , LIFO. の原価を選んでもよいというわけではない。 も. は販売に最も近い受入時点の原価が付されると いう意味で. この考えに合致すると考えるので. しも, 棚卸資産費用の計上が, 払出原価の選択 ということであれば, 仮にその原価が C。 , Cぃ. ある。 けれども , FIFO の場合コストのフロ ー. C2 から成ると すれば,. を表現しているとは言えず, また価格の下落を. を選択することが できる。 その 原価の大きさ. 想定するが. それは必ずしも FIFO による会 計表現を基礎づけるものではないであろう。 ま. が C。<C1<C2 の関係にあるとすれば, 例えば C2 を選ぶことに よって 利益を小さく示そうと. た , AC は, 移動平均を含む全てにわたって,. するであろう。 けれども, 現在の棚卸費用測定. 原価のフロ ー とは直接関係はない。. は受入時点の違う原価から, 払出時にある原価. FIFO にしても , AC にしても, そこに実際. 自らに都合のよい原価. を選択すると いうのでなく,. 決算 時に方法を. 選択 することに なっている。 従って FIFO,. の財のフロ ー が想定され. それを表現すること が基礎になっている。 LIFO は財のフロ ー とは. LIFO, AC は,. 逆であるが, またそのことが, 結果的に, 原価. の大きさを表現することになる。 そのことが,. のフロ ー を表現するとされるのである。 けれど も, もともと , FIFO, AC, LIFO は. 財のフ. これらの方法の選択と関係しているのである。. ロ. の表現とは関係なく, あるいはそれから離. 期中の受入価格をもとに, どの時点に特化して. 発 展した ものであろう。 FIFO,. 払出原価とするかの方法のように思われる。 こ. AC が財のフロ ー を表現するのではないと同様. の時, 原価は払出数量 ー 単位あたりの価格であ. の意味で, LIFO が原価のフロ ー を表現すると. り, 代替の額である。 それが払出原価の大きさ. ー. れたが 故に,. はいえない。 原価のフロ. ー. が在るのではないか. ら, それを表現するという根拠はない。. 期間を通じて代替可能な原価. このようにみると , FIFO, LIFO, AC は,. を規定しよう。 FIFO, LIFO, AC は. この意 味における会計表現の仕方の違いを示す。 とす. 棚卸資産費用の測定を支えているのは, 代替 (2). 性という考え方にあると思われる 。 棚卸資産 (1) Davis, H. Z., History of Lifo. The Account­ ing Historian Journal. Spring 1982, p. 11.. (2)代替性については, 既に古く, 代替性の原則 (Fungibilitatsprinzip) として主張されたことが -24. れば.. これらは 一 つの 式に還元できるであろ. う。. ある。 Barth, K., Die Bewertung mit eisernen Bestanden. Shuttgart 1951, �- 22. (218)-.

(3) た場合の一 単位あたりの単価の計算である。 3.. 以上を要するに , 継続記録法の下でのFIFO, LIFO, 移動平均法は, 結局, 同じ式から浮出. FIFO, LIFO, ACの関係. 棚卸資産の払出前に, 二回の受入時点があり. できることが明らかである。 このような定式化 によって, それらの方法がいずれも数量に関係. それぞれ価格を P 。と P1 とする。 継続記録法の下で個別法が採択された時. ー. し, それが払出原価決定の大きな要因になって. 単位あたりの払出原価はそれぞれの受入原価に. いることが理解できるのである。 三つの方法を. 対応する払出量 (Q ,。 Q1 ) が知られるので. 次. 同一 の 式に還元する ことに よって, われわれ は, それぞれの方法がどこに意味がおかれてい. のようになる。. 。. るかを 知ることができるであろう。 (上記につ. 杓Q +P1Q1 = P Qo+Q 1. (3.1). けれども, 現実にはそれぞれの原価と対応す る実際の払出数量はわからないのであるから, ー単位あたりの払出原価の確定は困難である。 そこで, 払出の仕方がQ。に偏り, それに限 りなく集中したと する。 そこで,. 上記の式で. Q。の極限をとると, 次のようになる。 lim. 。→. Q. 。 。. 00. 。. P Q +P1 Q1 =P Q +Q 1. 。. (3.2). いて, 坪井忠二著「数理のめ がね」p.56以下を 参考にした) 次に, 棚卸計算法に立脚する幾つかの方法を とりあげる。 この場合, 期中の全ての受入時点 の価格と受入数量を考慮し, ー単位あたりの原 価を禅くものとする。. 。 。. P Q +P心+ …… +PnQn = P Q。十 Q1 +··· … +Qn. (3.5). 期末棚卸原価の 決定が 問題であるが, FIFO, LIFOについては, 前述の継続記録法の場合に. また逆に, 払出が Ql に偏ったと考えて , Ql. 行なった 考えを 期末棚卸に 適用して いけばよ. の極限をとると. い。. 。 。. P Q +P 1Q1 =P 1 Qo+Q1 → OO Q1. lim. (3.3). となる。 前者はFIFO, 後者は LIFO の払出. FIFOの場合, 払出原価は受入時点の前半に 重きがおかれるのであるから, ー単位あたりの 期末棚卸原価は後半に求められる。 故に, P。Qn -=P。 Q。. 原価の決定ということが言えよう。 要するに. 払出数量 を受入時点のいずれかに特定化した方 法であることがわかる。. LIFOはその逆であるから,. 。 。 。. PQ = P ℃. また, それぞれの払出数蜃がわからないとす れば, 受入数量 (q 。 と q l とする) と同じ比 率でそれぞれの払出数量があったとする。 そこ で, Q。 q。,Q1 =. 。. =. となる。 総平均法は上記の式 P心o+P 1Qけ•…. . +p。 Q。 Qo+Qげ·…•• 十Q。. Q1 とすれば,. P Qo+P 1Q 1 = P Qo+Q1. (3.6). (3.4). によって導かれる一 単位あたりの受入価格を期 末棚卸原価に適用 したことになる。. となって, ー単位あたりの原価は移動平均法に. 単純平均法の場合, 各々の受入時点の受入数. よる平均原価となる。 この式から わかるよう. 蜃の比率を同じにして, ー単位あたりの原価を. に, 移動平均法とは実は, 棚卸資産の払出が異. 計算 したといえる。 上記の式において, 各時点. なる受入時点の数量と同じ比率で行われたとし. の受入数量を同じとしてみよう。. - 2 5 ( 29)1.

(4) 。 Q1= ··· … = Qn とすると Q= 恥Q+P1Q叶 … ···+P。Q゜=恥+P1+ … +Pn N Q叶Qけ... …+Qn. 。. (3. 7) となる。 総平均法と単純 平均法の違いは. 払出 数量と同比とみるか, 各時点の払出量の比率を 均等とみるかの違いであることがわかる。 FIFO にしても, LIFO も , また A Cも, 棚卸資産の実際の払出の順序とは関係がないま たそのことを想定したものでもない。 代替性が 払出原価を考える基本である。 以上の ことから.. 棚卸 資産の 払出について. (あるいは基本棚卸について), どの時期の受入 原価で代替するかが, これらの方法に表現され ているように思われる。 そして. いずれもそこ には払出される財の一 単位あたりのコストが示 されており, 強いて言えば平均値の求め方にそ の違いがあるのである。 FIFO は受入時期の前半 , LIFO は後半の時 期 , A Cは全体の平均の原価を求めているので ある。 それは受入時期のウェイトのおき方に起 因する。 この ような 意味に おいて, FIFO, LIFO, A Cは同一の会計事象に対する表現の 仕方に迩いを生じているのである。 こうして, 継続記録法や棚卸計算法における FIFO, LIFO, 平均法のいずれも,. 一. つの式に. 還元できるのであり, また. 条件を変えること によって. いくつかの違った方法を導くことが 了解されよう。 以上のようにみると , FIFO, LIFO, A Cは, 継続的な企業活動を考慮して選択されているこ とが推定できる。. 入原価のどこにウェイトをおくかという点にあ った。 そこで次に F , IFO,LIFOをめぐってウ ェイトのおき方をみてみよう。 棚卸資産について 期首の数量, 原価を Q。, n C。, 期中の受入数贔, 原価を :E Q;, C;, 払出 l ,J. の量, 払出原価をQ.,. Cx とすれば,. 期末棚卸CV)は次のように一 般化できる。. 。 。. n. V= Qc +�Qi, Cj-QsCx i,i一1 FIFO は, n V= Qふ+ I:: Qi, CJ- QsC i. j一1 LIFOは, ( Ciはj=l, 2, nまで一定として,. 。. 以下同様) n. 。 。十. V= Qc. Q1, Ci-Q•Ci i, i-1 :E. それ故に ,. =…= C C。= C 。 であれば, 1 =C2. FIFOもLIFOも結果は同じなのである。 払出量が受入数量よりも少なくなる傾向を想 定する。 FIFOでは,Q.<Q。の時, 次のようになる。. 。. n. Vc1J= Qふ+�Qi, C;-Q,C i, i-1. 。 。 +(Qsc2J-(Q 。 -Q.Cll))C』. n. Vc2J= V叶�Q;c2J,C;c2lー ( [ Q -Qscll)C i, i-1 故に:E v(i, → OO i-1 またLIFO では, Q.<. エ Q;の時, 次のよ Iー1. n まで一 定と うになる。( Ciはj=l , 2 …… , して). 棚卸資産の払出原価, また期末棚卸原価の決 定に際し, 重要なことはその一単位あたりの原 価がいくらかということである。 それは. この 金額が払出や期末棚卸に付されるのである。. Vcn = Q心+. n. Q;, Ciー Qふ i. i一1 :E. 克Q;c2>,Cic2> [(Q。-Q,(J))C。. Vc2>=V1十 i.. 一. 。. ー +(Qsc2) (Q-Q,(J)))C且. 4.. n. FIFOと LIFOの差異. l → OO 故にエV(l i-1. 前述において , FIFO も LIFO も結局のと ころ平均値の計算であり, 違いはただ期中の受. 払出量が受入数量も小さくなっていく状況下 ではいずれも, 期末棚卸は無限に増大する。. - 2 6 (2 2 0)-.

(5) 払出星が 受入 数量を 上廻る傾向にある時, FIFOは次のようになる。. 得原価を下廻った場合, 時価で評価できるもの. Q.>Q。であるから, = V 1 Q ふ+. :E Q .i C I, i一1. とするものである。 その差額は低価評価損とし て当期費用となる。 けれども注意を 要するの. 。. iー [ Q ふ+ ( Q .- Q C )』. それ故, 低価法の問題を考える際には, 会計測 定上この低価法をどう位置づけるかの問題とな. D. LIFOでは Q .> :E Q i. らんで, 低価法は何故, 強制ではなく, その適. 1一1. D. 。c。内翠1 Q. は, 低価法は 決して 強制されて いるのではな く, 取得原価のままであってもよいのである。. 故にエV1 = 0 i- 1. V1= Q. そのものは, 棚卸資産の期間末の時価がその取. 1,C i-[. ぶ Q 1, D. C. +(Q. 用がゆるやかであるかを明らかにしなくてはな i. るまい。. —念叫C。]. .. 故にr! V1= 0. 会計数値の継続性からして棚卸資産の期末棚 卸というのは, もちろん, 今期から次期への単 なる財の引継とみることができる。 けれども, また次のように考えることもできる。 次期が今. 1-t. 期からの財の引渡が全くなかったとすると. 経. 要するに, 棚卸数畳がゼロ であったり,. 00 に. 増加するような状況下では , FIFO,LIFO, A C の選択問題は起こらない。 それらに差異が生じ てくるのは, その中間なのである。 ウェイトは 原価の変動の大きいところにおかれることが推 定できよう。 それが方法の選択とその変更に結 びつくであろう (3) 。. 営の継続. 維持は不可能である。 とすれば, 通 常の取引と同様に次期が今期から棚卸資産を取 得したととらえることが可能であろう。 もちろ ん, それは支出すぺくして, 支出しなくて済ん だ額, つまり節約された原価額である。 期末棚 卸資産をめぐる今期と次期の関係はそこで次の ようになる。 今期の 旧経営者の 観点 からすれ ば, 次期の新経営者に棚卸資産を売り渡すこと. 5.. 低. 価. 法. になり, 他方, 次期の新経営者の観点からする と今期の旧経営者から棚卸資産を購入すること. 次に低価法を取り上げることにする。 低価法 (3) 本稿では選択の仕方そのものには言及しなかっ たが,近年そうした研究は次第に増えている。 Dopuch , N. and Morton Pincus. Evidence on the choice of inventory Methods: LIFO Ver­ SUS FIFO. JoAR 1988, pp. 42-52 . Herbert G. Hunt Ill. Potential Determi­ nants of Corporate Inventory Accounting Decisions. JoAR 1985, pp. 451-464 . Robert M. Halperin and William N. Lanen. The Effect of the Thor Power Toul Decision on the Lifo/Firo. AR 1987, p. 383 . Lec , C. J., and D. Hsieh. Choice of Inven­ tory Accounting Methods : Comparatine Anal­ yses of Alternative Hyperthesis. JoAR 1985, pp. 474-475 . 高須教夫稿「棚卸資産原価配分方法の 選択基準 に関する一考察」p. 197. 以下中野勲組「会計 情報システムと人間行動」所収1989年。 -27. になる (4) 。 この場合, もしも次期の新経営者が当該棚卸 資産を市場で調達したとしたならば. 時価に相 当する額だけ支出を要したであろう。 しかし, 新経営者は旧経営者からこれを引き継ぐことに よって, 実際には支出をしなくてもよかったの である。 それ故に, 新経営者にとり. この棚卸 資産の評価額は節約された原価で評価されるこ (4) 新, 旧期間に対するこうした考え方について, 小林哲夫「期末棚卸資産評価と業績の測定」国民 経済雑誌第129巻第 1号,p. 59. Albach , H. , Zur Bewertung von Wirtschaftsgutern mit dem Teilwert. Wpg 1963, s. 624ff. を参照した。 古くは, Schmalenbach , E. , Grundlagen dynam­ ischer Bilinzlehre. ZfhF 1919, s. 90. で示さ れた。 (221)-.

(6) とができる。 この節約された原価の大きさがい. 次期の新経営者が今期の旧経営者から期末棚. くらかといえば, 期末の取得原価または売価と. 卯を引継ぐことを, ある種の購入と考えた時,. 考えてよいであろう。 これに対し, 今期の旧経営者にとっては, 期. その評価額を規定するのは支出しないでよいの だから節約される原価である。 問題はこの節約. 末棚卸資産を次期の新経営者に引渡すことによ. される原価が何によって決まるかということで. る犠牲分はあくまで, 実際の取得原価である。. ある。 というのはそのことが, 上限から下限の. FIFO, LIFO, A Cのいずれの棚卸資産費用の 計算方法によるのであれ, 取得原価こそ期末棚. 間でどのコストを選択するかに作用すると考え られるからである。 期末に棚卸資産の取替原価が取得原価を越え. 卸資産の評価である。 さて, この期末の棚卸資産をめぐって, 今期. ても. 未実現利益の計上は許されないので. 今. の旧経営者から次期の新経営者との間に, 売手. 期の旧経営者にとり取得原価は均衡点の上限で. 一. ある。. 人と買手一 人の双方独占に近い状態が成立す. 他方, 下限は次のように考えられる。 次期の. ると考えられる。 そこで, 棚卸資産の価格は, ある種の独占価格である。 しかし, その価格の. 新経営者は, 原則として. 支出すべくして支出. 均衡点は確定的でなく, 双方の力関係で決まる. なしに済んだ価額.. であろう。 その幅は, 今期の旧経営者のもつ棚. 取替原価が 棚卸 資産の交渉 価額となる。 しか. 卸資産の実際取得原価情報と期末の取替原価情. し, もしも売価がそれ以下であるならば, 取替. 報, また売価情報の間のいずれかの間にある。. 原価ではなく売価を設定するであろう。 という. この場合, 売り手(旧経営者)と買い手(新 経営者)の取引には次の特徴がある。. のは, 売価を下限としないと, 次期に販売する. 一. (1) 棚卸資産の引受, 引継は 対一の双方独. 際に, 棚卸資産価額を回収しえぬおそれがある からである。 故に, 下限は取替原価ないし売価 がそれ以下に下がった時は売価となる。. 占に近い状況である。 ( 2) 双方に未知の情報はなく, 原価情報につ. こうして, 期末の棚卸資産価額は. 旧経営者 と新経営者の交渉の過程の中で. 取得原価, 取. いては, 全て既知である。 (3) この取引には, 実際には収入, 支出は生. 替原価, 売価のいずれかの点で決められていく であろう。 低価法に対する以上の考え方は, 固. じない。. 定資産の減価償却とほとんど変わりはない。 固. 次期の新経営者. 図5-1. 定資産の場合も. 新期間の経営者は旧期間の経 営者からそれを引継ぐのである。 この時, 新期. ……•• •三. 間の経営者は市場であれば支出によって手に入 れねばならぬ当該設備を支出なくして引き継ぐ. :. HCt····················, ................. , RCl---------. つ まり原価節約額として の. のであるから, その評価額は節約された原価で ある。 ここで旧期間の固定資産価額と新期間の 経営者の評価額に差が生じる。 これが本来の減. svt···················-; ................. .. !. i :。 : : :. t. 価償却額である。 しかし, 固定資産の場合. 棚. : i :. 卸資産と違って, 長期間使用され続けていく財. : :. である。 このような場合. 同一 経営における旧. :. 期間と新期間の経営者の評価額を決定すること. t I. 今期の旧経営者 taは最終仕入時点, t1は決算日である。 HC (取得原 価), RC (取替原価), S V (売却原価). はあまり意味がない。 そこで. 便宜的な耐用年 数を基準とする原価配分としての減価償却に成 ると考えられる。 そして, とくに, 生産高やキ. -28 ( 222 )-.

(7) ャシュフロ ー でなく, 耐用年数が基準になるの. 経営者が今期の旧経営者から工事原価を購入す. は, それがどの固定資産に対しても給付能力の. るのである。. 共通の尺度となりうるからであろう。 そういう. 長期工事の場合, 期間の経過とともに. 進行. 意味で, 耐用年数はそれらに対する代替性を有. 度は大きいのであるから, 新経営者は旧経営者. していたのである。. からより高い工事原価を引き継ぐはずである。. 動的論以来, 会計数値の継続性ということが. 企業活動の継続性を考慮すれば. それは, 旧経. 力説されてきた。 それはこれまで, 今期から次. 営者が新経営者に工事原価を売渡すこととして. 期へ会計数値が引き継がれることと解され, か. 理解できる。 つまり. 今期の旧経営者の立場で. つその役割を担うものとして貸借対照表が位齢. は. 今期の工事原価を付加して次期の新経営者. づけられた。 しかし, 前述の立場に立てば, 貸. に売り渡すという結果になる。 この時. 実際に. 借対照表価額は今期の旧経営者と次期の新経営. は次期の新経営者に引き渡されただけで収入は. 者の間の交渉によって成立するのである。 従っ. ないのであるが, 旧経営者には未実現利益から. て,. 利益が実現する。 これが工事進行基準による収. この会計 数値の 継続性の意味は, もとも. と, 旧経営者と新経営者の間で断絶した価額を. 益計上の意味である。 新経営者にとっては, 引. 結びつける(つまり均衡させる) という意味に. 受ける工事原価は実際には支出されない。 従っ. 理解しなければならないのではあるまいか。. て原価節約額である。 この長期工事における特徴は, 期末棚卸資産. 6.. におけると同様に. (1)新経営者は旧経営者から. 販売基準と工事進行基準. 工事原価を購入することが強制され, 旧経営者. 棚卸資産の販売については. 次のようなこと. は新経営者に売り渡すことが強制される, ( 2)こ. が言える。 商品の販売活動のように短期の取引 の場合, それが引き渡されることによって利益. 者は支出をしないし. 旧経営者は収入を得ない. が実現する。(実現主義) 期末棚卸資産は今期. の工事の引渡. 引受によって, それぞれ新経営 ことである。. の旧経営者から次期の新経営者へ引き継がれる. しかし, 期末棚卸資産と比較してみると, 工. ことは前述の通りである。 この期末棚卸もそれ. 事進行基準による長期工事の処理は, 未成工事. が在庫とされているという意味で. 今期の活動. についても今期の収益への貢献と考えて, 収益 を計上することに特徴がある。先にみたように. に貢献しているはずだが. 販売でないので収益 計上は認められない。 そこには. 未実現利益が. 期末棚卸資産は在庫として今期の収益に貢献し. それは おそら. ているにも拘らず, 収益として認められなかっ. く, 商品のような取引が短期の活動であるため. たのである。 それはおそら<. 短期的性格をも. 生じる余地はない。 けれども. と考えられる。. ところが, 長期工事については. 販売基準と ともに. 工事進行基準を収益計上に用いること ができる。 いずれを適用するかそれは選択であ る. (5). 。. この時. 販売基準はその工事の引渡をもって. つ商品売買と長期工事という, 取引の性格によ るところが大であろう。 こうして, 工事進行基準は, 未実現収益のう ち. 今期の旧経営者が当期に実現した利益部分 を計上するプロ セスと考えることができる。 エ 事開始期には全て未実現利益で. 実現利益はゼ. ムとするといってよいであろう。 これ. ロ であるが. 期間経過とともに実現する。 そし. に対し, 工事進行基準は独立した期間の継続性. て. 完成時には未実現利益はゼロ となるのであ. を考えているといってよい。 つまり, 次期の新. る。 また, 完成基準(販売基準) をとれば. 完. ワンタ. ー. (5) Watts, R., and J. Zimmerman, Positive Ac­ counting Theory 1986, p. 360. -29. 成時が 利益の実現で あることは言うまでもな しヽ。 C 223)-.

(8) 要するに, 次期の新経営者が今期の旧経営者. この場合. 発生原価(c) は, 期間始めの未. から, 買い取るのは未成工事原価である。 それ. 発生原価の総額(C1-1)と期間末の未発生原価. は, 決して外部者への引渡ではないが. 新経営. の総額( Ct)の差額と考えてよい。 そこで.. 者と 旧経営 者の交渉によって 成立するのであ. 。 c。. ← -C 1 1 RC. る。 棚卸資産費用の測定に共通していることは, 個々の期間でなく, 長期的な活動を前提に成立 していることをみた。 販売基準がこの払出原価 をチ ャ ー ジするとはいえ, 会計利益は長期的な ものである。 このことは, 販売基準とともにエ 事進行基準が存在することによってもわかる。 工事進行 基準は 販売 基準の 例外とも言われる が. しかしそれは. 販売基準とただ収益の表現 形式に迩いがあるだけで, 異質なものではない. となる。 期間の経過によって未実現利益が実現してい くCR曰 —恥)プロ セスと. 契約額に総原価に 対する 期間毀用の 割合を生じた額の大きさと は.. ほぼ同じになると推定できる。 評価でな. く, 契約 価額ら 配分という 方法が選ばれるの は. それが. 評価にとって代わるものとしての 暗然の合意があるからであろう。. と考える。. 7.. 工事の契約額をR。とする。 これは同時に未 実現利益の大きさである。 工事の進行につれて, この未実現利益は期間 ごとに利益として実現する。 つまり, 未実現利 益は期間の 経過とともに紹小し, 完成時(n) にはゼロ (Rn )となる。 Rn>Rや.. …·>Rn R-R= 1 G1. む. す. び. 棚卸資産会計における選択問頴では. 当該期 間活動だけでなく, 次期以後の活動の継続性が 考慮されるように思われる。(1) FIFO,LIFO , 平均法は.. 受入 原価の トレントを 考慰しなが. ら, 期中のどの時点に(前半か, 後半か, 全体 か)重きをおいて払出原価とするかによる, 一. 。. 単位あたりのコスト(平均原価)の求め方に差. R1-R2=G2. 異があると考えられる。 ( 2 期 ) 末棚卸に原価を適 用するか, 低 価法かは, 今期の旧経営者と次期. R正己Rn = Gn. の新経営者との間の交渉により決まると考えら. 。. G戸G叶… ···+Gn =R. れる。(3)工事辿行基準は販売基準の例外ではな. 他方, 契約額とコストの関係をみると, 総殷 用(C。)に対する期間の発生原価(c) の割合 を契約額 (R。) に乗ずる ことによって示され る。. <. 工事契約額(未実現収益)からの利益実現 のプロ セスである。 迩いは, 後者が経営 外に財 を引渡した時にのみ. 収益を計上すると考える 点にある。. 。 c。. R一 C. -30 C. 224)-.

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