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成分分析からみたプロポリスの多様性 その1 外国産プロポリス

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(1)

ミツバチ科学

2

2

(1):

9

-1

6

HoneybeeScience

(

2

0

0

1)

成分分析か らみたプ ロポ リスの多様性

その

1

外国産 プ ロポ リス

藤本 琢憲,中村 純,松香 光夫

1

995

年 (平成

7

年) に日本プロポ リス協議 会

(

1

9

87

年設置)が制定 した "プロポ リス''の 定義 には

,

「プロポ リスとは,ミツバチが樹木の 特定部位,主 として新芽や菅および樹皮か ら採 集 したガム質,樹液,植物色素系の物質および 香油などの集合体に, ミツバチ自身の分泌物, 蜂 ろうなどを混合 して作 られた暗緑色や褐色か ら暗褐色を呈 した粘着性のある樹脂状の固形天 然物である」 とある. プロポ リスは古代エジプ ト,古代 ローマ,古 代ギ リシャ時代か ら薬効作用が注目されて,氏 間伝承薬 として繁用 されて きた.今世紀 に入 っ てか ら東欧諸国を中心に種 々の薬理試験や臨床 への応用が行われ, さらにその有効成分に関す る化学的な解明が進め られ,プロポ リスには多 種多様 な薬理的効果が存在す ることがわか っ て,その化学成分や生理活性に世の中の注 目が 集まるようになって きた. そ してこれ らプロポ リスに関する知見が

1

978

年 に, 当時ア ピセラ ピー部会を準備中であったア ピモ ンディア (世 界養蜂会議)によ って集成 され,発行 された (Apimondia

,1

97

8

)

.

この

2

49

ページの論文 集 にはプ ロポ リスの研究 報告

77

編 が掲載 さ れ,内容 は化学 (12編),生理活性(18編),臨 蘇 (34編),各種の製法や経済効果 (13編)か らなっており,絶版 となった今で もなおプロポ リスのバイブルとしての役割を果た している. 日本では

1

9

82

年, 愛媛県産 と秋田県産のプ ロポ リスの成分比較および抗菌作用についての 報告が本誌 に掲載 された (瀧野 ・持田

,1

9

82)

.

その後

1

9

85

年 に名古屋 で開催 された第

30

回 国際養蜂会議での,東欧の研究者による,プロ ポ リスの抗菌性や抗炎症の治療例などに関する 5演題の発表が, 国内でのプロポ リス研究に火 をつけた

.1

991

年 には当時の厚生省予防衛生 研究所の松野

(

1

99

2)

により,日本癌学会でプ ロポ リス中の新規化合物の抗腫療活性 について の発表があり,本格的なプ ロポ リスブームが始 まった.そ してプロポ リスの薬理作用が注目を 集め,精製抽出成分を主体 とした健康補助食品 や飲料が市販 され,その人気は衰えるところを 知 らず,年 々市場規模 は拡大 している. プロポ リスを原料 とした製品は,チ ンヰ,鍾 刺,額粒, カプセル,練 り歯磨 き, ク リーム, 飴など,外国産や国内産の商品が市場に出てい るが,主流 はエタノール抽出のテ ンキタイプで ある. この原料のプロポ リスは中国産およびブ ラジル産の ものが主 として使われて きた.市場 の拡大にともない,参入企業が増え,競争 は激 化 し,一時は原料獲得にも困難を来 した.当時, 市販チ ンキ商品は,そのエキス濃度がさまざま であったように,各社の独 自の規格や判断によ る商材開発が進んでいた. 日本プロポ リス協議会 には,独走 している各 社の製品に, もし一品で も粗悪な ものが出て, 健康面で被害を与え,それが新聞紙上を賑わす ことになれば,折角のいい素材であるプロポ リ スが葬 られて しまうという危機感が生 じた.そ して,そのような事態を防 ぐために,何 らかの 規制や規格基準を定める必要があるということ になった.プロポ リスのメルクマールは何か ? プロポ リスであるという証明は? プロポ リス の定義 は? 毒性試験や摂取量 などの安全性 は? テ ンキを製造する場合の溶媒 は? 製品 チ ンキのエキス濃度の限度 は? 成分検索等々 の問題解決に向 って行動が開始

(2)

され,すでに-表 1 産地別プロポリスの成分含有パターン (右ページに続 く)

No.記号a) 生産地 可溶分 最大吸 比 吸

(%

) 収

(nm)光度 CFA CMA FRA NRG HSP ukl 1 A 中国 2 日本 3 日本 4 B ハ ンガ リー 5 C ブル ガ リア 6 D ウル グア イ 7 E ア ル ゼ ンチ ン 安 徽 省 57.

3

岩 手 県 40.2 東京 都 39.4 59.4 53.1 68.7 62.2 8 F ブ ラ ジル マ トグ ロ ッソ什1 47.0 9 G ミナ ス ジェ ライ ス州 42.9 H O 1 2 3 4 5 6 1 1 1 1 1 1 1 7 8 9 TJ K O 1 2 3 2 2 2 2 24 25 L ミナ ス ジェ ライ ス州 44.1 ミナ ス ジェ ライ ス州 40.5 ミナ ス ジェ ライ ス州 46.0 サ ンパ ウ ロ州 41.5 サ ン/ヾウ ロ州 25.6 サ ンパ ウ ロ州 52.6 サンパ ウ ロ州 42.3 パ ラナ州 44.1 パ ラナ州 41.0 パ ラナ)11 55.5 サ ン タカ タ リナ州 39.9 リオ グ ラ ンデ ドスール 州 80.9 リオ グ ラ ンデ ドス ール ル149.0 リオ グ ラ ンデ ドスール 州 57.3 リオ グ ラ ンデ ドス ール 州 69.8 バ イ ア州 291.2 39

2 十

† HH

十 日

-290,0 208

-

日 I tr - I+ 292.4 170

-

tr † 十 292.4 36

5 十

+

+

290.8 37

1 日

+

† -

+

291.6 291.2 290.0 3 9 0 2 8 0 3 3 1 302.8 385 298.4 298 296.8 442 311.6 418 301.6 369 288.8 300.8 289.6 298.8 292.8 272.0 296.4 + / ・ H

H

H

H

H

H

+

+

7 1

1

1

1

6

4

8 1 5 4 0 4 6 2 2 2 3 2 3 l ︼ ︼ -5 1 6 2 8 9 cO O 6 6 2 2 3 1 7 7 2 7 2 2 5 2

H

H

-⋮

f 1

-榊

-⋮ 十十

tr

+

+

+

+

+

+

+

+

tr ⋮ . J I I r

I

f

I

I

J

t I + L ; l I ⋮ ⋮ ⋮ .

-r -+ H H .

H

I H H

-I

-l 1 ( l

-a)図1,2と同じ記

,b)同定 成分 は右ペ

照,uk1-12 は未同定成分 (溶出 順),含有量 は†の数 が多い ほど濃度が高

,trは微 量 ,-は非含有 部の問題 については結果 も出ているが,それ ら の経緯 については別の機会 に譲 りたい. 藤本 (1992)は,各地産 のプ ロポ リスについ て, エタノールによる抽 出性や,抽 出液の

UV

スペク トルについて予備的 な検討結果を紹介 し た.それによると,プ ロポ リス原塊か らの溶出 量 は ブ ラ ジル産 で40-50%,中国産 は 50-60%であ った (最近の中国産 は一次加工 された 原塊 であ って90%以上溶 出す るものが多 いよ うである). また, エタノール抽出液の

U

V吸 収 スペク トルを測定 してみ ると,吸収曲線の波 形 (パ ター ン)で中国産 とブラジル産の区別が で きる ことが わか った.す なわ ち,中国産 は 290-293nm に吸収極大が あ り, しか もピー クの左右

7-8

台 目付近 に肩があ る. ブラジル 産 は肩がな く,天辺がやや平坦な舌状の波形で 極大吸収 は300-315nm 付近 にあ った. その後,サ ンプル範囲の拡大 に伴 い,南米産 で もウルグアイ産, アルゼ ンチ ン産などは中国 産 とほぼ同 じパ ター ンを示す ことや,同 じブラ ジル産 プ ロポ リスに も種 々のパ ター ンがあるこ とがわか って きた.他の分析方法 (クロマ トグ ラフィ分析)で も同様で, プロポ リスは産地 ご とに多様で, しか し一方でい くつかの類型 にあ てはまる様相がある. 本稿 は,2部構成 と し, まず今回の第 1部で は玉川大学学術研究所紀要 に掲載 され た論文 (藤本 はか,2000)の転載 とい う形で,海外産 プロポ リス,特 にEl本の市場 の状況か ら,中国 産を含む ヨーロッパ タイプのプロポ リスとブラ ジル産の ものに重点 をお き,第2部 (次号 に掲 載予定)では, 日本各地産のプ ロポ リスについ て

,U

V スペク トル,高速液体 クロマ トグラフ ィなどの分析結果か らその多様性を報告す る.

(3)

ll 同定成分および代表的な末同定成分t】)

KMPluk2 APG uk3 PNC uk4 ul(5 CHR ul(6 GLGKMPruk7 uk8 uk9 TCT uklOuklluk12 - †+++† +++ + 十 H ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ・ H ⋮ H ⋮ ⋮ . ・ H l ・ ⋮ ⋮ ⋮ H -⋮ . ⋮ . ⋮ . I 一 一 一 一 一 I 一 一 一 一 I + + 十 十 + + I . -. H . . l 一 + 一 一 I 一 一 ト + + t 一 一 一 ⊥-+ 一 十 + + r I + H 十 一 十 一 + i I I + 一 一 一 十 + † tr l tr -l l I l l l l l l tr l tr l l + l tr tr tr l ・ . 二 二 二 一 H ⋮ H tr H l . H + H . = 一 二 , I 州 州 州 州 ⋮ I ⋮ ⋮ ⋮ T T l tr H H H H . . . . . 一 l . 一 l . . -一 ・ l 一 l l . . . l l l H + l 一 一 l I I 一

CFA :caffeicacid,CMA .coumaricacid,FRA :ferullCald,MYR:myricetln,VNL:vanillin,QRC quercetin,LTL:luteolin,NRG:narlngenin,HSP:hesperetin,KMPl:kaempferol,IRM :isor ham-netin,APG :apigenin,SKR:sakuranetin,ISK :isosakuranetln,PNC:pinocembrln,CHR:chrysln,

ACC:acacetin,GLG:galangin,KMPr:kaempferide,TCT :tectochrysln

プロポ リスの原塊 と調製

プ ロポ リス原塊 は日本 プロポ リス協議会, プ ロポ リス研究者協会,全 日本プ ロポ リス協会な どによ り生産場所 の明確 な ものを供与 いただ き, あるいは収集 した. プロポ リスのエタノール溶液は次のよ うに調 製 した.すなわち,細切 した原塊1gに対 して 5mL

(

1:

5)の割合で99.5%ェクノールを加 え,密栓,時々撹拝 し,10日間室温放置後,2 号定性慮紙を用 いて 自然慮過 した.液液の量 は 初めに加えた量 より少ないので

,

癌紙上 の残虐 を適量 の99.5%ェクノールで洗 い,この洗液を 癌液 に合 して所定量 の嬉液を得 る.櫨液の濃度 (%W/v)測定 は,癌液1mLを正確 に量 り取 り,蒸発乾固,乾燥固形分を秤量 して, その質 量か ら算 出 した.

U

V スペク トルおよび

HPLC

分析 UVスペク トル測定 には, 分光光度計 (日立 U13200)を使用 した. 前述のよ うに調整 した プ ロポ リスの エ タ ノ ー ル溶 液 は濃度 が ほぼ 10%

W/

Vで, これ を さ らに5000倍 に希釈 し てUVスペク トル測定用検液 と した.得 られた 極大 吸収波長 にお ける吸光度 よ り,比 吸光度

E

壬C%mを算出 した. 高速液体 クロマ トグラフイ (HPLC)分析で は,ダイオー ドア レイ検 出器 (DAD)を用い, 検 出波長300nmで2次元 クロマ トグラフを, 220-400nmで3次元像 を得た. HPLC分析 には入手可 能 で あ った フェノー ル酸類, フラボノイ ド類 な どの標準試薬 を用

(4)

2.0.虹 」 0 200.㌃ 」 0 2.0.軒 」 0 2.00㌃ 」 。 2.00杵 」 O 2000町 」 。 - - - - _■■■■■- .lll.・...■

-

-

- -

-

- -図 1 代表的なサンプルの

U

Vスペク い, それぞれ につ いて試料 分析条件 で保持時間 とスペ ク トルデー タの ライ ブ ラ リを作成 し, プ ロポ リスサ ンプルの分析 において得 られ た成分 ピー ク と相 関 分 析 を して 大 まか に あ た りをつ け,最終 的 にはスペ ク トルの視認 によ る比較 を 行 って同定 した.天然 フラボ ノイ ドの分析 にお いて は保持 時間だ けで は近 傍 に出現 す る成分 を 識別 して同定 す ることが困難 で, また この点 に 波長(nm) トル (サンプルF∼Lはブラジル各地産) つ いて分析 の不適切 を指摘 す る報告 もあ る (熊 滞 ほか,2000). 今回 の同定作業 で は, これを 配慮 して, 同定作業 で の危 険 をで きるだ け排除 す るよ うに心 が けたが,成 分 同定 には検討 の余 地 が あ る. 代表的なサ ンプルの分析結果 著者 の一人, 藤本 が これ まで に収集分析 して

(5)

A 中国 06 0

4

02 00 0.6 0.4 02 0.0 06 0.4 0.2 00 地 米

Wd

寂 Eli 06 0.4 0.2 ・Jノ叫叫 へ- ∼ - - 00 0 10 20 30 40 50 6O D ウルグアイ 信 二 0 10 2C 30 40 50 60 0.6 0.A 0.2 0.0 G ミナスジェライス 信 二 ) 10 20 30 10 50 00 Jサンタカタリーナ I 0 10 20 30 40 50 00 06 04 0.2 00 0.3 0.2 01 0.0 B ハンガリー 帖 = 0 10 20 30 40 50 60 0.15 0.10 015 0.00 『 ∵ H サンパウロ Ⅷ 『 0 10 20 30 40 50 60 「 ∵ 保持時間 06 04 02 00 03 0.2 0.1 0.0 0.3 0.2 0.1 0.0 打 〟

F マトグロツソ 信 二 0 10 20 30 40 50 60 『 。 0.15 0.10 0.05 0.00 L バイア 旧 l O 10 20 30 10 50 60 図2 代表的なサ ンプルのHPLCクロマ トグラム (サ ンプルF∼Lはブラ ジル各地産) 分析条件 : カラム InertsilC8(4.6×150mm, ジーエルサイエ ンス) 溶離 液 メタノール /水 / リン酸 (60:40:0.1) 流量 1.0mL/min, カラム温度 40℃ 液濃度 0.2%,検液注入量 20〟L 検出波長 300nm (3次元像220-400nm)

(6)

きた原塊, 商品などを含む約1200点の試料の うちか ら,原料 としてのプ ロポ リスが明 らかで ない ものは避 け,かつ今回の分析法で明 らかな 特徴 を示 して い ると思 わ れ る ものを選 びだ し て,得 られ た分析結 果 の一部 を,表1に示 し た.表 中 には同定 で きた ピークの成分 につ い て,それぞれの ピーク面積か ら得 られた多少を †印の数で示 してある.また,未同定の ピークに つ いて も含量が総面積比 で10%以上 の もの, あるいは産地 に偏 って特徴的に出現す るものに つ いては未同定 ピークuk1-12と して含めた. この うちブラジル産の ものに共通的に含 まれて い るuklOな ど は,文 献 (Bankova eta1.,

2000;Marcuccieta1.,2000) と照 らしてプ レニル化合物の一つ と思われ るが,標準化合物 が入手できなか ったので,同定 には至 らなか っ た. これ らの うち代表的なサ ンプル(A∼L)を選 び

,U

V スペク トルを図 1に,HPLCパ ター ン を図2に示 した. ヨー ロッパタイプとブラジルタイプ 伝統的なプロポ リスとい って もよいヨーロッ パ産のプロポ リスの特性 はフラボノイ ドが主な 成分 と して知 られていることで,従来の紹介 は そ れ に則 って 行 わ れ て きた (例 え ば松 田, 1995).Bankovaetal.(1982)によれば, フ ラボノイ ドはエ タノール抽 出物 の20-30%を 占めると している.それに対 し, ブラジル産の も の で は3- 7% (Woisky and Salatino, 1999) と低 い報告や,kaempferol,pi noban-ksin 以外 の フ ラボ ノイ ドは含 まれて いな い (Bankovaeta1.,1995)など,大 きな違 いが 報告 されて きた (藤本,1992,1997も参照). まず

,U

V スペク トルか ら見た特性 は,前述 の通 り,ハ ンガ リー, ブルガ リア,中国産のプ ロポ リスに共通 して292nm 付近 の ピー クと 両肩を示す ものである (図1A,B,C).日本 に 輸入 されているものでは,中国の ものが このパ ター ンを示すので

,

「中国 タイプ」 と呼ばれた り,その起源植物が主 としてポプ ラであること が知 られ て い る (Greenaway etal., 1987; Bankovaeta1.,2000)ので 「ポプラタイプ」 と呼ばれることもあるが, ここでは原産地 に敬 意 を表 して 「ヨーロッパ タイプ」 と称す る. 日本産のプロポ リスにつ いては,次号 に掲載 準備中であるが,比較のため表 1に2サ ンプル の分析結果 を加えてある.

U

V スペク トルでは 典型的な ヨーロッパ タイプを示 し,HPLCパ タ ー ンでは,岩手県産の ものが独 自のパ ター ンを 示す ものの, どち らか といえば ヨーロッパ タイ プとなっている. ブラジルと同 じ南米の ウルグアイ, アルゼ ン チ ンで産す るプ ロポ リス (図 1D,E)も

U

V ス ペク トルか らは中国を含む ヨーロッパ タイプに 属 している. このよ うな ヨーロッパ タイプを特 徴づ けて い るの はい くつ かのflavanone化合 物 の含有 であ る.Hesperetinはブラ ジル タイ プの ものを含 めて多 くのサ ンプルに見 られ る が,pinocembrinは指標物質的存在で,ヨーロ ッパ タイプの ものにだけ見 られ,量 も非常 に多 い.Flavone,flavonolで は chrysinやgal an-ginが一部 の ブラジル産 プ ロポ リスに も含 まれ るものの, ヨーロッパ タイプでの含量が比較的 多 い.Chrysinの含量 は中国産の もので突出 し て多か った. またpinocembrinと並 ぶ指標的 物質 と して溶出順位 の遅 いtectocrysinが挙 げ られ, これは岩手県産のサ ンプルを除いて, ヨ ーロッパ タイプに共通 して いた. 芳香酸類では今回3種が同定で きたが, ヨー ロッパ タイプ, ブラジル タイプのいずれにも普 通 に見 られ る.ただLcaffeicacidは表 1でわ か るように,多 くのプ ロポ リスサ ンプルに含 ま れているが,特 に真正の ヨーロッパ (- ンガ リ ー, ブルガ リア)の もので含量が多 く,南米産 の ヨーロッパ タイプでは少なか った. 前述のよ うに初期 に得 られたブラジル産のプ ロポ リスサ ンプルの特徴 は, いずれ もピーク頂 が300nm 付近で平坦な,いわゆる舌状 にな っ ているものであった.これを 「ブラジルタイプ」 と呼び,図1F,G,Hが代表的な例である.こ の

U

V スペク トルに寄与 しているのは,HPLC で30分前 後 に現 れ る未 同定 の ピー ク群 (uk 10, ukll) であろう. その後 にも50分頃に

(7)

uk12が現れ, これ らの極性 の低 い化合物が ブ ラジル産プ ロポ リスの特徴 といえ る. ブラジル タイプのHPLCパ ター ン (図2G, H)の特徴 は,10分 ごろまでに現れる極性の高 い物質 による ピーク群が ヨーロッパ タイプに比 べて単純である. これはフラボノイ ド頬を含む フェノール酸化合物の含量 が低 いこととも関連 していると思われ る. ブラジル産プ ロポ リスの多様性 近年 にな って ブラジル産 の標品にあ って も先 に述べたブラジル タイプの他 に, ヨーロッパ タ イプが含 まれるだけでな く, それ以外の ものを 含めて多様度が 目立 ち始 めた. それ らの例を図 1(Fおよび Ⅰ∼L),図 2 (Fおよび Ⅰ∼L)に示 した. サ ンプル Ⅰはサ ンパ ウロ州産 のプ ロポ リスで あるが,同州産の Hが,典型的なブラジルタイ プであったのに対 して

,U

V スペク トルパ ター ン (図 1)が異 な り,著者 らが仮 に 「森林 タイ プ」 と呼ぶ ものであ った. この タイプはパ ラナ 州産の ものに多 く,表 1に示 したパ ラナ州産の プロポ リスがほぼ このパ ター ンを示 していた. HPLCパ ター ンは,む しろブラジル タイプと酷 似 していた (ただ し,同州産のサ ンプルNo.19 はuklOが少量で, やや ヨーロッパ タイプに近 か った). この タイプの もう一 つの特徴 と して 比吸光度がいわゆるブラジル タイプに比べて, 30-50%低 いことが挙 げ られ る. この ことは, エタノール抽 出性の可溶分 は大 きな違 いがない (衰 1)のであるか ら,紫外部吸収物質の濃度が ほぼ半分 しかな く,吸収を示 さない物質が多 く 含 まれていることを示 して いる.その点 につい ての研究 はまだ見あた らず,今後 に残 された興 味深 い点である. サ ンプル

F

(マ ッ トグロ ッソ州産)の

U

V ス ペク トルは上記森林 タイプに近似 していたが, 比吸光度 は非常 に低 く,HPLCピー ク (表1, 図2)か らは独特 の ものといってよい. サ ンプルJはサ ンタカタ リナJJl・l産の もので, 典型的なブラジル タイプに近 い ものであ った. サ ンプル

K

は リオ グラ ンデ ドスール州 の も のであるが,300nm前後 に

U

V吸収の ピーク がみ られず (図1K),そのため吸収極大,比吸 光度 はともに記録で きなか った (表 1).この様 な標品であるか ら,HPLCパ ター ンもみ るべ き ピークにな らず (図2K),今回の分析では一つ として同定で きた成分がなか った.表 1に同州 産のプロポ リス 4点 を含めたが,これ らは互 い に共通点 の少ないものであ った. サ ンプル Lはバイア州の もので,抽出液の比 吸光 度 は小 さ く

,U

V スペ ク トル は不規 則, HPLCで同定 された ピー ク も他 のサ ンプル と かな り異 な っていた. Marcuccietal.(2000)は,フェノール化合 物パ ター ンを用いて主成分分析を行い, ブラジ ル産プ ロポ リスを3群 に分類 している.それに よれば, ミナス ジェライス州,サ ンパ ウロ州を 中心 とす る南東部型,パ ラナ州北部 と リオグラ ンデ ドス-ル州南部産の南部 Ⅰ型, パ ラナ州南 部か らサ ンタカク リーナ州 を含む南部 Ⅱ型 と し ている. ただ し, この時に用 いた成分要素 はあ るkaempferol誘導体を除 いては, ブラジル産 プロポ リスのみに しか知 られていないprenyl -cinnamicacidsや,benzopyransであ り,本 報 で は同定 で きなか った ブ ラジル特有 の un-known成 分 が これ らに当 た る もの と思 われ る.表 1のuklO,ukllは,HPLCで溶出時間 30分前後 に現 れ るブラジル タイプを代表す る ピークであるが,紫外線吸収特性が異 なる成分 で, さらに細分で きる可能性 もある.そ うだ と す ると著者 らが, ブラジル タイプと してまとめ た ものが さらに分 け られ ることになる. この他 にブラジル産プロポ リスに特有 な成分 成分 と して,MarcucciandBankova(1999)

が 挙 げ て い る の は,dihydrobenzofurans (Banskota et a1., 1998), caffeoylquinic acids(Tazawaetal.1998;Tatefujietal.

1996),terpenes(Bankovaetal.1996ほか) などに及び, いずれ も新 しい研究成果であると ころか ら今後 も新規成分が見つか るであろう. これ らの知見を組み合わせて, プロポ リスの起 源植物を知 ることも可能 になるはずである.今 回の報告内容 と直接対応す るものではないが,

(8)

表2 産地の異なるプロポリスに特有の成分(Bankovaeta1,,2000より) 生産地 起 源 植 物 特異的な成分

ヨーロッ/i, PoPulusspp. pinocembrln,pinobanksin,pinobanksin-3-0-acetate,chrysin,ga1

-アジア,北米 (ポプラ) angin,caffeates(benzyl,Phenylethyl,prenyl)

北部ロシア Betulaverrucosa acacetin, apigenln, ermanin, rhamnocitrin, kaempferid, a-ac

-(カバノキ) etoxybetulenol

ブラジル Baccharisspp. prenylatedrp-coumaricacid

Araucariaspp. prenylatedacetophenones,diterpenicacids

カナリー諸島 不明 furoruranlignans 以下 に少 し述べてお く. ミツバ チか どの様 に して起源植物 を選ぶか は 不明であ るが, い くつかの起源植物 か らの採集 物 を混ぜて いることは想像 に難 くない. それで こそ,各種成分 の存在比 にば らつ きが出 るので あろ うし, サ ンプル Ⅰやパ ラナ州産 の標品 に見 られたよ うな ヨー ロッパ ・ブラジル混合 タイプ がで きることになる. さ らに,同 じ環境下 で も 蜂 群 に よ って異 な る例 は,Nakamura etal. (1997)も観察 してお り,今回のサ ンプル13, 14はサ ンパ ウロ州立大学 (リオクラロ校)の学 内蜂場 で5m はど離 れ た 2群 か ら得 たので あ るが, 比吸光度 も違 い

,U

V スペ ク トル もかな り異 な るものであ った. プ ロポ リスの構成成分 の差 は,起源植物 によ る 差 で あ ろ う.Marcucci and Bankova (1999)は有力 な起源植物 と目され る3種 の植 物, す なわちBaccharis dracunculifolia,Ar -aucaria angustifolia,Eucalyptus citriodora

につ いて分析 し, サ ンパ ウロ州産 プ ロポ リスの 主 な起 源植 物 はBaccharisdracunculifoliaで あろ うと して いる. この属の植物の フラボノイ ド組成 について はWollenweberetal.(1986, 1989)が発表 してお り,参考 にな る. ブラジルでは,起源植物 と してア レク リンの 名が挙 げ られ ることが多 い. ア レク リンと呼ば れて代表的な起源植物 と考 え られて きたのは ヨ ー ロッパか ら持 ち込 まれ た シソ科 の ローズマ リ ー (Rosmarinusofficinalis)である.上記 の Baccharisもア レク リンと呼 ばれ る植物 の 1つ で, キク科 の植物 であ り,一部 の養蜂家 は植樹 しているほどである.実際,行動的 に (加藤 は か,2000), ま た爽 雑 物 か ら (Bastosほか, 2000), この植物 が起源植物 の一つであること は確認 されているが, ブラジル産Baccharis属 に も数種が知 られてお り, これ らの比較検討 は 残 された問題であ る. さ らに最近 で は, ヨー ロッパ タイプ, ブラジ ル タイプのプ ロポ リス以外 に も,地域 によ って 異 な るタイプが知 られ るよ うにな り,Bankova etal.(2000)は各地域 のプ ロポ リスの特性 を 表2のよ うにまとめて いるのが参考 にな る. 一方で,Parketal.(2000)はブラジルのプ ロポ リス タイプを ,生理 活性 を含 めて12タイ プに分類 した.生理活性 につ いての評価 は今後 に待っ ところが大 きいが, ます ます重要度 を増 して来 るであろ う. (〒194-8610 町田市玉川学園6-1-1 玉川大学 ミツバチ科学研究施設) 編集委員会から :本稿の一部は玉川大学学術研究所 紀要に掲載された下記の記事を版権者の許諾を得て 加筆転載 したものである.なお,次号には続編 (その 2 日本産プロポリス)となる記事を掲載予定で,引 用文献はそちらを参照されたい. 出典 藤本琢憲 ・中村純 ・松香光夫.

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V スペクトル およびクロマ トグラフィー分析からみたプロポ リス の多様性.玉川大学学術研究所紀要6:7-22. TAKUNORI FuJIMOTO,JuN NAKAMURA.MITSUO MATSUKA.Diversityofpropolis.Part1.Propolis from theworld.HoneybeeScience(2001)22(1): 9-16.HoneybeeScienceResearchCenter ,Tam-agawa University,Machida,Tokyo,194-8610 Japan.

Diversityofthecompositionofpropolisfrom differentpartsoftheworldaredesciribed.Full summary willbe on the Part2 in the next issue.

表 1 産地別プロポリスの成分含有パターン ( 右ページに続 く) No . 記号 a) 生産地 可 溶分 最 大吸 比 吸
表 2 産地の異なるプロポリスに特有の成分 ( Bankovaeta 1 , ,2000 より)

参照

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