少年院における矯正教育に関する研究-成績評価を中心として-
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(2) 60年代から送致される割合が多くなったこと. が、実際にどのように行われているか、何を評. が明らかとなった。更に、非行少年の特質とし. 価しようとしているのかをを考察した。成績評. て、現在に至るまで、常にIQの低さが論じら. 価にかける時間が、極めて限定されていること、. れてきたにも関わらず、実際には潜在的知能は、. 少年の非行の様態に応じた個人項目3つと、全. 一般と全く変わらず、見かけのIQの低さは、. 少年に共通の項目5つに対して評価が行われ、. 教育歴の中断によるものであることも明らかと. それらを総合した評定によって少年の出陳時期. なった。また、少年院における教科教育は、出. が決定されることが明らかになった。しかし、. 陳後に復学したり進学したりする者がほとんど. 成績評価が、少年院内での表面的な行動のみを. いないことから、いつの時代もわずかしか行わ. 対象としており、特に、他の少年との対人関係. れておらず、わずかな効果しか上げていないこ. の評価に偏りがちなこと、しかも「集会」の場. とも明らかとなった。少年院出院者の生涯にわ. 面を教官が観察し、少年同士の互いの評価も成. たる再犯率が、少年院、刑務所への施設再収容. 績評価に取り入れていること、少年院処遇規則. 率においては、30%を越えること、また、その. 等にも関わらず、成績評価が、在院者の学業成. 率においても、近年は上昇傾向にあることが明. 績等に基づいていないことが明らかとなった。. らかとなった。. その結果、成績評価が院内の規律違反等を防止. 第2章では、少年院の持つ機能について考察. する力を有するものの、ほぼ一律な評価しか生. した。少年院では、収容少年の行動を常に一定. み出さず、弾力性を失っていることが明らかと. の場所に制約し、常時教官が監視する意図が理. なった。. 解され、少年を少年院に送致する際にも、少年. 終章では、少年院に求められている矯正教育. 院において行われる教育内容を選定する際にも、. は、一般の少年に対して行われている教育その. 常に社会における少年の知己関係を遮断する配. ものであり、教え教えられる信頼関係の中で行. 慮がなされていることが明らかとなった。また、. われなけれぱならないことを明らかにした. 日常生活においても、在院少年同士の会話を制 限するなど、その関係を表面的なものにとどめ、. 主任指導教員 安部 崇慶. 教官の管理が主体であることが明らかとなった。. 指導教員 安部崇慶. 収容少年の将来を考えると、教育内容の選択肢 が少なく、内容も貧弱である。教科教育に対す る教官の意識も低く、職業訓練においても、教 官が少年に直接指導する関係になっていない。. 収容少年の勉学意欲にも拘らず、それに応えら れていない、少年院の教育の現状が明らかとな った。. 第3章においては、少年院において成績評価. 一21一.
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