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母親の養育態度が青年の自己愛的人格傾向に及ぼす影響

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(1)学校教育学研究, 2002,第14巻pp.79-85. 79. 母親の養育態度が青年の自己愛的人格傾向に及ぼす影響 浅川潔司月岡万里子山田美和 (兵庫教育大学) (三幸会北山病院) 本研究は,男女学生を対象に,その自己愛的人格傾向が測定された。併せて,青年に認知された母親の養育態度が,当該青 年の自己愛的人格傾向にどのような影響を与えているのかが検討された。本研究に被調査者として参加し,分析対象者となっ たのは,兵庫県内の国立大学生149名(男性:31名,女性:118名)であった。自己愛傾向の測定には,佐方(1986)によ る自己愛人格目録が使用された。また,養育態度の測定にあたっては,動的家族画が用いられた。分析結果によれば,不特 定の混在的不安反応は,男性群より女性群で優位に多く描出されていた。また,自己愛目録得点においては,男性群が女性 群よりも優位に高い得点を示していた。これらの結果については,青年心理学的な観点から考察が加えられた。 キーワード:自己愛的人格,動的家族画,養育態度,青年期. 浅川潔司:兵庫教育大学・教育臨床講座・教授, 〒673-1494兵庫県加東郡社町下久米942-1 E-mail: [email protected] 月岡万里子:兵庫教育大学・大学院・研究生, 〒673-1494兵庫県加東郡社町下久米942-1 (兵庫教育大学・浅川研究室気付) 山田美和:医療法人三幸会北山病院・精神科・医師, 〒606-0017京都市左京区岩倉上蔵町123. A Study of Affects of Mothers Child Rearing Attitude on Narcissistic Personality in College Students Kiyoshi Asakawa, Mariko Tsukioka, and Miwa Yamada (Hyogo University of Teacher Education) (Sankokai Kitayama Hospital). The present research was designed to investigate a tendency of narcissistic personality in college students. 149 students (31 males and 118 females) took part in the study. The Sakata's Narcissistic Personality Inventory (1986, SNPI) was used for measurement of students'personality. Each student was asked to draw a picture of family when she / he was in childhood. The picture was analyzed according to analytical standards of Kinetic Family Drawing (KFD). Major findings were as follows; 1) Female students represented significantly more anxious sings than male students, 2) Mean scores of SNPI in male students was significantly higher than female students'scores, 3) Mean scores of SNPI in male students who showed the anxious avoidant signs in KFD were signifi cantly higher than the other groups. Those findings were discussed from a viewpoint of personality development in adolescence. Key Words: narcissistic personality, Kinetic Family Drawing, child rearing attitude, adolescent. Kiyoshi Asakawa is a Professor of Department of Clinical Psychology, Hyogo University of Teacher Education, 942-1 Shimokume, Yashiro, Kat0-gun, Hyogo 673-1494 Japan. E-mail: [email protected] Mariko Tsukioka is a Research Student of Graduate School, Hyogo University of Teacher Education, 942-1 Shimokume, Yashiro, Kat0-gun, Hyogo 673-1494 Japan (c/o Professor AsakawaJ Miwa Yamada is a Psychiatrist of Sankokai Kitayama Hospital, 123 Kamikura-cho, Iwakura, Sakyo-ku, Kyoto 606-0017 Japan..

(2) 学校教育学研究, 2002,第14巻. 80. 問題および目的. 下(1991)は,幼少期に冷淡で共感性の乏しい母親に養 育され,情緒的な面での飢餓状態に置かれた子どもたち. 近年,社会全体において自己愛的な傾向が高まり,そ の影響を受けて自己愛傾向の青年の漸増がいわれている (中西, 1981)。また,自己愛性や自己愛的良い子像を持 っ今日の子どもたちは,自己が傷っくことを恐れること, そしてこのような自己像が傷つくと暴走を始めてキレて しまうとの指摘もある(児玉, 1998)cナルシシズムは 現代社会において,若者の行動を理解するための鍵概念. が病理的な自己愛を示すことも報告している。 上述した研究の観点に立脚すれば,近年において増加 の傾向を示す自己愛について,その形成過程や特質を検 討するにあたって,その年少期における親の養育態度に 焦点化することは意義深いといえよう。そこで本研究で は,平均的な大学生を対象として,彼らが認知した年少 期の母親の養育態度と彼・彼女たちの非病理的な自己愛. の一つとなっている。. 的人格傾向との関係を検討することを主な目的とした。. 思春期や青年期の一つの課題は,親の庇護の下を離れ て自立することでもある(小此木, 1998)。彼によれば, 青年期に経験する親離れは,それまでにもっていた内的 対象の喪失を経験する悲痛の事態でもある。これは親子 の問に均衡化された状態が一時的に崩壊し,新たな他者 との関係を構築することを意味しており,いわば人格発 達上の危機とも考えられる。 小此木(1998)は,このような危機的過程において自 己愛(N.arcissism;が重要な役割を果たすという。つ まり,父母に向いていた心的なエネルギーなどが自らに 向かうようになると,それを媒介にして青年は父母から 離れて,同性の友人や意味ある他者,あるいは集団との 同一化を図り,新しい対象関係を獲得できるというので ある。 自己愛には上述したように,人格や社会性の発達を支 え,推進するような健全な側面が備わっている。しかし ながら,その一方で,特異な自己誇大感などの病理性も 指摘される。あるいは児玉(1998)が述べるように,柄 理的でなくとも自己愛が自己像を崩しにくくしていて社 会的な適応に困難を感じたり,対人関係の形成などに不 便をかこつのである。 ところで,自己愛の観点から青年の自己愛傾向につい て,病理的な自己愛ではなく,平均的な現代の青年に見 られる病理性の乏しい自己愛に着目し,青年期の自己愛 にアプローチした研究に宮下(1991)がある。 彼は平均的とみなされる大学生を対象に,個人の自己 愛傾向を測定するとともに,その父親および母親の養育 態度,家庭の雰囲気との関係について検討している。 その結果によれば,大学生の女子群では,母親の暖か く受容的な養育態度が彼女たちの自己愛傾向を抑制し, 情緒不安定な養育態度が自己愛傾向を助長していること を明らかにしている。一方,男子群においては,このよ うな一義的関係を示す結果は認められていなかった. これらの結果を受けて宮下(1991)紘,母親の養育態 度が青年期にあるその子どもの自己愛傾向に与える影響 には性差があることを示唆するとともに,女子学生の自 己愛の形成過程には幼少期における同性の養育者の養育 態度が影響する可能性を示唆したのであった。また,宮. 方法 研究参加者:近畿圏の教育大学の学生206名が本研究 に被調査者として参加した。その内訳は,男子学生57 名(範囲:18-22歳)と女子学生149名(範囲:18' 22歳)であった。そのうち,動的家族画と自己愛人格 目録の回答がともに完全であった149名(男子学生:31 名,女子学生: 118名)が本研究の分析対象者となった。 質問枇:本研究では質問紙調査法によって資料が収集 されたが,被調査者には以下に述べる二つの測定尺度の 質問紙と用紙からなる小冊子が配布され回答が求められ た。 1)動的家族画(Kinetic Family Drawing) :大 学生が認知する母親の養育態度の測定には動的家 族画が用いられた。このような測定法を採用した 理由は,動的家族画の家族の配置などから家族成 員間の心理的な関係が類推しやすいこと(大熊, 1992)や,描き手の内面にある強調,親和,葛藤, 対決,攻撃,回避などが視覚化されて捉えやすい こと(加藤, 1992)などにあった。 動的家族画を実施するにあたっては,日比 (1986)にしたがって,次のような教示がなされ た。 「次のページの用紙に,あなたを含む家族のみん なについて何かしているところを描いてください。 漫画や棒のような人ではなく,完全な人を描いて ください。あなた自身も含めて,皆が何かをして いる場面を描くということを忘れないで,いいか げんではなく丁寧に単色の鉛筆でお描き下さい。 これは絵の上手さを見るものではありません。」 この教示に続き,作成された家族画の人物の続き 柄,その人物がしている行為および描出した順番 も記すよう求められた。 2 )自己愛人格目録(SNPI: Sakata Narcissistic Personality Inventory)大学生の自己愛的人 格傾向の測定にあたっては,佐方(1986)による SNPIが用いられた。この尺度は42の質問項目か.

(3) 養育態度と青年の自己愛. 81. ら構成されており, 「とてもあてはまる(5点)」. うかを検討するために, 2 (性) ×2 (サイン表出の有. から「まったくあてはまらない(1点)」の5件. 無)のx2検定をおこなったところ, Cサインのカテゴ. 法によって回答が求められた。 SNPIでは,高得. リーでは有意蛍光の性差が見出された(*2-2i. 点ほど自己愛人格傾向が強くなっていた。. DF-1, P<.10)cしかしながら, Aサインには男子群. 動的家族画のカテゴリー化 動的家族画の分析にあたっては, Fury (1996)に よる母親に養育態度についての20の個別的指標(Table l参照)に基づく3つのカテゴリーが採用され,被調 査者の描画が分類された。 Table l動的家族画における指標とカテゴリー カ テゴ リー. 指. 不安 】回避. 家族 成 員 の個 別性 が欠如. A. 腕 が下 向 きで体 に密着. サイ ン. 標. においては,男子群が女子群よりも有意に多くこれらの サインを表出していることがわかった(Aサイン: x2 -3.63, DF-1, P<.10, Non-B,Dサイン*z-4.96, DF-1, P<.05)。. また,各サインのカテゴリーで,男子学生・女子学生 群ごとに当該サインの表出・無表出者の割合に偏りがあ. 2 頭 身 よ りも大 き く頭部 を強 調 母 親 も し くは自 己の欠如. るか否かについても二項検定によって検討したが,男子 群ではどのサインカテゴリーにおいても有意な差は生じ ていなかった。一方,女子学生群ではいずれのサインカ. 家 族 成員 を 侮辱 して描 出. テゴリーでも,非表出者の割合が表出者のそれを有意に 上回っていた(Aサイン:z-3.59, Cサイン:z-3.78,. 自 己 とは なれ た母親 の描 出. Non-B,Dサイン: z-5.25,いずれもP<.05)c. 不 安 一両 価. 描 出人 物 が 寄 りか か る, 重 な るな どの極. 不安- 抵抗. 瑞 な近 接. C. 描 出人 物 が 障壁 によ って隔 た る. サイ ン. の方が女子群よりもこのサインに相当する反応は示す割 合が高いこと,そして, Non-B,Dサインのカテゴリー. 人 物像 が 大 きいあ るい は小 さい. Table 2性別の各カテゴリー描出人数 カ テ ゴ リI. 有無. 男性. 女性. 有. 16. 39. 無. 15. 79. 有. 15. 無. 16. N o n -B ,D. 有. 15. サイ ン. 無. 16. A. サイン. ペ ー ジの端 に人 物 を描 出 体 の柔 らか い部 分 を強調. C. サイ ン. 顔 の特 徴 を強 調 腕 と手 の 強調 家族 成 員以 外 に背 景 が無描 出. 30. 架 秩 序 . 混 乱 地平 線 が な く, 人 物 が地面 か ら浮 く の 混合不 安 N on -B .D サイ ン. 未完 成 な人 物 像 失 敗 して描 か れ た人物 像 の痕 跡 女 性 と して描 か れて いな い母 親 髪 や洋服 な どで個別 化 されて いな い男性 . 女性像 奇 妙 な サ イ ン, 象徴 , 状 況 の描 出. 結果 動的家族画についての分析 本研究の手続きに従って得られたデータを分析するに あたり,動的家族画の分類と評定がなされた。この作業 は,研究目的を知らない心理学系の大学院生1名と研究 者の1人とでなされたが,その評定一致率はTablelの 各カテゴリーで96%-100%であった。 次に, Tablelの各カテゴリーにおいて,それらの特 徴を描出した披調査者を性別に整理したが,その内容は Table2に示すとおりであった。この表に基づいて,カ テゴリーごとに性別の反応率に差異が生じているのかど. 自己愛人格目録についての因子分析 自己愛人格目録(SNPI)に対する被調査者の反応 に基づき因子分析(主因子解・バリマックス回転)が実 施された。因子の固有値が1.0以上であること,そこに 含まれる項目の因子負荷量が他の因子の値と少なくとも .10以上であることなどを基準として,項目と因子の取 捨が図られた。最終的には,含まれる項目の因子負荷量 が.40以上である3因子が解釈可能なものとして抽出さ れた。その内容はTable3に示すとおりであった。 各因子の命名については,自分が才能にあふれ他者を しのいで優秀であるとの内容を含むことから,第1因子 に関しては「優越性」の因子と解釈された。第2因子は, 他者の目を気にする傾向にあること,自己への評価に敏 感でそれを守ることなどから, 「自己保身」の因子と命 名された。最後に,自己を堅持し,自身の主張を押し通 す内容の項目を含む第3因子は, 「自己主張」因子とさ れた。これらは従来の自己愛に関する構成要素を反映し ているといえる。.

(4) 学校教育学研究, 2002,第14巻. 82. Table 3 SNPIの因子分析結果. 項目優越性自己保身自己主張. 私は人気者である みんなが私を友達にしたがる 私は人に対して強い影響力を持っている 私は人から一目おかれている人間である 私はリーダーにふさわしい人間である 私は機知に富み賢い 私はどんなことでも人を信用させるのがうまい 私には自然に人を引きつけるのがうまい 人は私の言うことをよく聞いてくれる 私は人を上手に動かせる 私は尊敬されて当然の人間である 私はいっもみんなから褒められる 私は魅力のある人間である 私は立派な人間に成長しつつある 私は最悪の事態でも最高の状態でいられる. O L O 蝣 ^ f. 私は人の評価に敏感である. L. 私は大げさに自己表現をする. O. 自分のために友達を利用してもかまわない. L. 私は見栄はりである. O. 私は同じ人を褒めたりけなしたり,両極端である. CX]CslCOCOCOO. 私は,人と競争して相手を負かしたい. 10. 私は権威や権力を持ちたいという気持ちが強い. L. O O O O O n U O. 私は自分の容姿に自信を持っている <Factor 2>. ∝S^Efi叫. 00. 私は自分で決断することを好む 私は人の気持ちが手にとるようにわかる. 373. 私は,自分の能力や業績に自信を持っている. COCOO] 0 0 0. LOCOC<1oi(Dw^f<y>co<x>c﹂>lo t-t-St-cCCDCDCDCDiXllOLOininiOIOLO^'t o o o o o o o o o o o o o o o o o o o. <Factor l>. I. 私は目立ちたがりである. I. 私は注目の的でいたい 00. 32. 56. 41. 17. 30. I. 私は自己主張が強い. I. 私はあらゆることを大胆に行いたい. I. 私は個性の強い人間である. 44. 65. 31. 03. 70. 4. 3. 2. 累積寄与率. 65. 二乗和. (荏)因子負荷量の.2 0未満は省略. CDCMCOOOO IOIO¥f C 3 O O O C D. <Factor 3>.

(5) 養育態度と青年の自己愛. 自己愛人格傾向に及ぼす母親の養育態度と性の影響 それぞれの養育態度についてのカテゴリーにおいて, 性別とそれらのカテゴリーの有無ごとに, SNPIの全体 得点および3つの下位尺度に関する平均得点とSDを整 理したものがTable4であった。 この表に基づき,まず全体得点について,不安一回避 型(Aサイン) ,不安一両価型・不安-抵抗型(Cサイ ン)および無秩序・混乱の混合不安型(Non-I〕,Dサイン) のそれぞれについて, 2 (性) ×2 (サインの有無)の 2要因分散分析がなされた。その結果, Aサインを示し た群は示さなかった群よりも, SNPIの全体得点が優位. 83. Table 4各サイン,性別のSNPI平均得点 全体得点 カテ ゴ リー A. C. サイ ン. サイ ン. N on -B ,D サイ ン. に低くなっていた(F-4.82, DF-1/145, P<.05)。ま た,性の主効果も有意であり(F-19.55, DF-1/145, P<.01),男子群の方が女子群よりも自己愛傾向が強い ことが示された。有意な交互作用は認められなかった。 CサインとNon-B,Dサインに関しても同様の分散分 析が行われたが,前者の場合,不安一両価型・不安一抵 抗型を表す指標の有無の主効果は有意ではないこと,そ して,男子学生群が女子学生群よりも有意に高い自己愛 傾向得点を示すことがわかった(F-5.30, DF-1/145, P<.05)。 次いでNon-B,Dサインの表出の有無と性が自己愛得 点に及ぼす効果が検討された。その結果,両要因の交互 作用が有意であることがわかった(F-5.03, DF-1. 145, P<.05)。下位分析(LSD法,以下も同様)を行っ たところ,有意な性差はNon-B,Dサインを示す群では 認められなかったが,これらのサインを示さなかった群 においては,男子学生群の自己愛合計得点が女性群より も有意に高くなっていた。 SNPIの下位尺度得点についての分析 SNPIの全体得点の分析に引き続いて,同様の分散分析 が3つの下位尺度の得点に基づいてなされた。まず優越 性についての分析結果からは,サインの有無(F-5.93, DF-1/145, P<.05)と性(F-7.62 DF-1/145, P<.01)の主効果が有意であることが明らかとなった。 この結果は,不安一回避的なサイン(Aサイン)を表出し た群の優越性得点がそのようなサインを表出しなかった 群よりも有意に低いことを示していた。また,女子学生 群に比べて男子群の優越性得点が有意に高くなっていた。 Cサイン(不安一両価型・不安一抵抗型)の表出の有 無と性を要因とする分散分析の結果によれば,男子学生 群の得点が女子学生群の得点を上回るという性の主効果 のみが有意(F-5.93, DF-1/145, P<.05)であり, 他の主効果と交互作用は有意ではなかった。 Non-B,D サインに関してもこれと同様の結果であった(F-5.93, DF-1/145, P-C05)。 これらの結果は,優越性という点については,男性が 女性よりも高得点を示しがちであること,そして,優越. カテ ゴ リー. 有無. 性. 平均. SD. 119 .50. 19.22. 133 .07. 22.84. 育. 男. n = 16. 無. 男. n = 15. u. 女. n= 39. 106 .8 5. 16.81. 無. 女. n = 79. 110 .6 9. 19.36. 育. 男. n = 15. 124 .53. 20.ll. 無. 男. n = 16. 127 .50. 23.75. 育. 女. n = 38. 109 .24. 16.51. 無. 女. n= 80. 109 .53. 19.56. 育. 男. n = 15. 118 .73. 19.48. 無. 男. n = 16. 132 .94. 22.23. 育. 女. n = 30. 112 .6 7. 2 2.53. 無. 女. n = 88. 108 .3 1. 16 .9. 平均. SD. 育. 男. n = 16. 46.19. 10.29. 無. 男. n = 15. 54.33. 9 .21. 育. 女. n = 39. 44.08. 8 .91. 無. 女. n = 79. 45.54. 9 .70. 育. 男. n = 15. 46.60. 9 .76. 無. 男. n = 16. 50.63. ll.30. 育. 女. n = 38. 44.76. 8 .66. 無. 女. n = 80. 45.3 1. 9 .77. N o n -B ,D. 育. 男. n = 15. 47.27. 10 .15. サイ ン. 無. 男. n = 16. 52.8 1. 10 .30. 育. 女. n = 30. 45.93. 10 .87. 無. 女. n = 88. 44.76. 8 .93. A. C. サイ ン. サイン. 有無. 性.

(6) 学校教育学研究, 2002,第14巻. 84. 性の表出に対して養育態度の影響は強くないことを示唆 しているものと思われる。 自己保身の下位尺度得点に関する同様の分析結果によ れば,いずれのサインも,その表出の有無は自己保身得 点に影響を及ぼしてはいなかった。一方,どの分析でも 有意な性差が認められ,男子学生群の自己保身得点が女 子学生群の得点よりも著しく高いことが一貫して示され た(Aサイン:F-18.22, DF-1/145, P<.01, Cサイ ン: F-17.45, DF-1/145, P<.01, Non-B,Dサイン.・. F-14.38, DF-1/145, P<.01)c 最後に,自己主張性の下位尺度得点についての2要因 分散分析が実施された。 Aサインの有無と性の要因によ る分析結果によれば,男子の得点が女子の得点よりも高 いという性差のみが有意であることがわかった (F-15.61, DF-1/145, P<.01)c cサインの有無と性に基づく分散分析もこれと同じく, 男子群の得点が女子群の得点よりも高いという結果を示 していた。 (F-14.26, DF-1/145, P<.01)c Non-B,Dサインに関しても同様の分散分析を行ったと ころ,交互作用が有意であることがわかった(F-6.17, DF-1/145, P<.05)。下位分析の結果によれば,無秩 序・混乱の混合不安を示すNon-B,Dサインを表出した 群においては有意な性差は生じていなかった。しかしな がら,そのようなサインを表出していなかった群におい ては,男子群の自己主張得点が女子群の得点を著しく上. 混乱した母子関係を示すのがNon-B,Dサインとされる。 男子学生では養育上の各種の不安が動的家族画に描出 される割合を男女ごとに見た結果では,男性では不安サ インの描出者と非描出者の比率が同程度であったが,女 性では非描出者の割合が著しく高くなっていることも明 らかとなった。 間宮(1979)は,一般に思春期のころから男子に比べ て女子の不安反応が増加すること,ひいては青年期を通 して,この差がやがてさらに拡大していくと報告してい る。また,不特定の不安に対しては,女性が男性よりも 強く反応するとの指摘もある。 このような報告内容と本結果を照合すると,各種の不 安反応の表出は女性に比べて男性で多いという点で,本 結果は間宮(1979)の見解とは異なるようにも見える。 この点に関して,本研究で扱われた不安反応は,一般的 あるいは不特定の不安というよりも,不安の生じる状況 が明確に養育上の母子関係という枠組みに限定されてい たことが影響している可能性もある。たとえば,エディ プス葛藤的な文脈から考えることも必要であろう。 特に不安を抱く対象を母に限定したことで,男性の対 母親不安は敏感に抽出できたかもしれない。しかし女性 の場合,母親にまつわる不安は男性の場合ほど明徴に出 現しない可能性もあろう。従って,今後の研究において は,より拡大された家族関係の中での不安に突いても検 討する必要がある。. 回っていた。また,女子学生群では, Non-B,Dサインが 表出されたか否かによって,自己主張得点に顕著な差は 認められなかった。しかし男子群では,このようなサイ ンを描出しなかった群に比べて, Non-B,Dサインを表出 した群の自己主張得点が有意に低くなっていた。 考察 動的家族画に描出された養育態度の性差について 本研究では,被調査者の描いた動的家族画はFury (1996)の基準に従って3種類の養育態度カテゴリーに 分類された。この3種類のカテゴリーに属するサインを 表出したものの割合をまず検討したが,その分析結果に よれば不安-回避型のAサインと不安一両価型あるいは 不安一抵抗型を示すCサインにおいては,その表出者の 比率に有意傾向の性差が認められた。さらに,無秩序・ 混乱の混合不安型であるNon-B,Dサインにおいては, 表出者の比率において,男性が女性を有意に上回ること が明らかとなった。 Fury (1996)によれば, Aサインは具体的には子ども が感じる孤独を表すとされる。そしてCサインは母親から 傷っけられる不安や保護的な親としての認知や信頼が困難 であることや,母親の両価的な感情の指標である。そして,. 青年が認知した母親の養育態度と青年の自己愛人格傾向 不安にまつわる各種のサインの表出と自己愛傾向の関 係について検討するために行った分析の結果によれば, 不安サインの効果が認められたのは全体尺度得点と下位 尺度の一部(自己主張性)におけるNon-B,Dサインで あった。 Non-B,Dサインは混乱型の不特定の不安の兆 表であるが,このタイプの不安を示さない男子群はより 高い自己愛得点を示していた。 大平(1988)は自己愛的人格傾向と不安の間には逆相 関的な関係があるという。本結果はこの見解を指示する ものであった。 母親から理由もなく避けられることからくる不安を感 じることなく育ってきた男子青年は安定した母子関係を 築いているであろう。その場合,たとえ主張的であって も,母親に見捨てられるという不安が強くなるとは考え にくい。このような親子間の関係性を背景として,病理 的ではない水準では,自己愛得点が高くなると思われる。 女性の場合,養育上の不安の表出と自己愛得点の有意 な関係性は認められなかった。宮下(1991)は,情緒不 安定な母親の養育態度は男子学生の自己愛得点に影響を 及ぼすことはないが,女子学生の自己愛的人格傾向を増 長させると報告している。また,女子学生の場合では暖.

(7) 養育態度と青年の自己愛. かな母親の養育態度はその娘の自己愛傾向を抑制すると もいう。本研究では女子学生群において,このような傾 向は見出されておらず,この点で宮下(1991)の見解と は異なっている。養育態度と自己愛的人格形成に関する 先行研究も少ないことから,この理由については,さら に今後も検討する必要がある。 自己愛得点に見られる性差について 本研究の結果によれば,自己愛得点については全体 尺度得点と3つの下位尺度得点のそれぞれにおいて,一 貫して有意な性差が認められ,いずれも男子学生群の得 点が女子学生群の自己愛得点を上回っていた。 自己愛に関する先行研究では,有意な性差を報告して いる研究結果(たとえば,福田・大石・篠置:1987,佐 方: 1986)もあるが,他方,有意な性差が見出されなかっ た研究もある(たとえば,大石, 1989)c本研究の場合, 性差が報告されている佐方(1986)で用いられた尺度が 自己愛傾向の測定具として採用された。このことが性差 に関して類似の結果が生じた一因と考えられる。 自己愛傾向に関する性差については,病理的ではない 自己愛的傾向は,社会的に容認されやすく,社会適応的 であるとの見解がある(大石, 1987)。 この点に関しては性役割の観点からの説明もある。た とえば,藤森・藤森(1992)は,青年期の男性は意志の 強固さや自信,積極性などが社会的に求められ,女子青 年に対しては,気持ちの細やかさや,暖かさ,従順など が期待されるというのである。 SNPIの内容がどちらか といえば男性役割と関連する内容であることを考えると, 男子学生群が相対的に高得点を示した理由には,男性に 期待される性役割の影響もあったと思われる。 最後に,本研究は現代の学校教育場面にあってしばし ば問題となる,青年の「キレる,ムカつく」といった行 動に対する理解を進める一つの方途として,自己愛的人 格傾向に焦点をあてて母親の養育態度との関係を明らか にした。ここに現れた結果は,青年期の人格理解に資す るものであり,また青年の人格形成に与える母親の養育 態度の重要性も示している。. 85. 引用文献 藤森立男・藤森和美1992青年期における両親の養育態度の 認知とフラストレーション反応との関連について-その1, 女子青年におけるアグレッションの方向・型・反応について北海道大学紀要(第1部C)第43巻第1号397-407. 福田美由紀・大石史博・篠置昭男1987ナルシシズム的人格 の基礎的研究(2) -ナルシシズム的人格目録とPFスタディ との関係について 日本教育心理学会第29回総会発表論文集536-537. Fury. G, E. 1996 the relation between infant attachment history and representations of relationships in schooレ aged family drawings. Unpublished doctoral dissertation, University of Minnesota. 日比祐泰1986動的家族画法ナカニシャ出版 児玉隆治1998ムカつく心理・キレる心理職業能力開発大学 保健管理センター 間宮武1979性差心理学金子書房 宮下一博1991青年におけるナルシシズム(自己愛)傾向と親 の養育態度・家庭の関係教育心理学研究第39巻第4号 455 -460.. 中西信男1987ナルシズムー天才と狂気の心理学講談社 和状ff-1 ‡ 大平英樹1988自己愛人格における怒りの感情と攻撃的行動 一生理的喚起の促進作用に着目して一日本心理学会第53 回大会発表論文集154. 大石史博1987ナルシシズム的人格に関する研究(2) -YG性格検査との関係について-日本心理学会第51回 大全発表論文集535. 小此木啓吾1981自己愛人間朝日出版社 小此木啓吾・平島奈津子1998対象喪失とモーニング小此木・ 深津・大野(編著)心の臨床家のための精神医学ハンドプッ A'釧Lア 佐方哲彦1986自己愛人格の心理測定一自己愛人格目録 (NPI)の開発一和歌山県立医科大学進学課程紀要第 16巻77-86. (2001.7.31受稿, 2001.9.17受理).

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Table 3 SNPIの因子分析結果 項目優越性自己保身自己主張 &lt;Factor l&gt; 私は人気者である みんなが私を友達にしたがる 私は人に対して強い影響力を持っている 私は人から一目おかれている人間である 私はリーダーにふさわしい人間である 私は機知に富み賢い 私はどんなことでも人を信用させるのがうまい 私には自然に人を引きつけるのがうまい 人は私の言うことをよく聞いてくれる 私は人を上手に動かせる 私は,自分の能力や業績に自信を持っている 私は尊敬されて当然の人間である 私はいっもみんな

参照

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