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機械工学とインフォマティクスの出会い

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Academic year: 2021

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機械工学とインフォマティクスの出会い

著者

大林 茂

雑誌名

日本機械学會誌 = Journal of the Society of

Mechanical Engineers

122

1210

ページ

4-5

発行年

2019-09-05

URL

http://hdl.handle.net/10097/00130895

doi: 10.1299/jsmemag.122.1210_4 (C) 2019 一般社団法人 日本機械学会

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機械工学とインフォマティクスの出会い

はじめに

近年、機械工学の分野では、コンピュータの発展

により、シミュレーション技術を活用して製品の設

計 ・ 製 造 の 支 援 を 行 う CAE ( computer aided

engineering)が実用化されている。CAE により、さ まざまな使用条件、あるいは製品仕様の変更に対し て、性能評価を行うことができる。それらは、製品 設計に対する仮想的なデータベースとなり、さまざ まな情報を提供することになるので、情報の管理、 処理、知識の抽出に関わるインフォマティクスが重 要となる。機械工学とインフォマティクスの出会い は、極めて今日的なテーマである。本特集では、計 算力学の発展形としての側面から、このテーマに切 り込んでみたい。 その出会いの源流は 機械工学とインフォマティクスの出会いの一つの 源流は、流体情報学(フルードインフォマティクス) の誕生である。東北大学流体科学研究所では、流体 情報学の構築を目的に、2003 年 4 月より附属流体融 合研究センターを設置し、実験と計算を一体化した 次世代融合研究手法の基礎研究と、流体科学を応用 した異分野融合研究を両輪に、10 年間研究活動を行 った。次世代融合研究手法では、流体科学研究所が 推進する独創的実験装置による実験研究とスーパー コンピュータシステムによる大規模計算研究を一体 化した研究を行うことが特徴である。これまでの実 験や計算だけでは解決が困難だった複雑・多様化し た流体科学の諸問題を解決するとともに、人類社会 の永続的発展のため、環境・エネルギー、ライフサ イエンス、情報通信技術、ナノテクノロジー、航空 宇宙などの重点分野の異分野融合研究を推進した。 次世代融合研究手法の流れ 次世代融合研究手法の研究については、独立行政法 人宇宙航空研究開発機構 JAXA との連携により、2008 年から2016年までEFD/CFD融合ワークショップを開 催し、さらに日本航空宇宙学会流体力学講演会/航空 宇宙数値シミュレーション技術シンポジウムにおい て特別企画セッション「EFD/CFD 融合技術」が開催 されるようになって、2018 年からは特別企画セッシ

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ョン「航空宇宙流体データ科学の新展開」に発展し

ている。2012 年には国際会議 5th Symposium on

Integrating CFD and Experiments in Aerodynamics

(“Integration 2012”)を JAXA と東北大学が共催で 日本に招致し、我が国における先進的な取組を国際 的にアピールすることができた。また、基礎研究の 面においても、計測融合シミュレーション法からデ ータ同化手法へと対象が広がり、大学共同利用機関 法人情報・システム研究機構統計数理研究所と連携 し、2010 年より毎年合同ワークショップを開催して いる。 異分野融合研究の流れ 異分野融合研究については、航空宇宙、エネルギー、 ナノ・マイクロ、ライフサイエンス、情報科学の各 分野で成果を上げてきた。これらの成果は、日本機 械学会での流体情報学の企画セッションや、2010 年 4 月に出版された日本機械学会編「フルードインフ ォマティクス」(技報堂出版)に示されている。2013 年 3 月には、附属流体融合研究センターの各研究分 野 の 成 果 を も と に 英 語 版 の eBook 「 Fluid Informatics」を研究所のホームページで公開した。 機械学会における研究会活動の流れ こうした組織的な取組みの中で、流体科学とインフ ォマティクスの融合が醸成され、計算力学部門に 2011 年 10 月より設計情報学研究会、2016 年 10 月よ り設計情報駆動研究会が設置されて、現在も独自の 研究会活動を行っている。また 2015 年 4 月からは同 部門に設計に活かすデータ同化研究会が設置され、 独自の研究会活動の他、計算力学講演会でデータ同 化のオーガナイズドセッションが組まれ、現在は逆 問題解析手法研究会と合同のオーガナイズドセッシ ョン「逆問題とデータ同化の最新展開」として継続 している。 設計情報学の流れ シミュレーション技術の発展形として最適化技術 がある。この技術が設計の役に立つためには、設計 者のアブダクションに役立つべきと考えられる。ア ブダクションとは哲学者パースによって導入された 概念で、説明的な仮説を形成する過程(創造的洞察) であり、演繹や帰納に先立つ最も基礎的な推論の型 である。設計という行為の核心部分で、アブダクシ

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ョンが重要な役割を果たすと考えられている。この アブダクションに役立つには、さまざまな仮説を思 いつくような「仕掛け」が必要である。仮説とは、 たとえばさまざまな観察結果にある「パターン」を 見出すことである。このことはアブダクションの「仕 掛け」として、「パターン」を理解するための「可視 化」の重要性を示唆している。生物の進化を模倣し た最適化アルゴリズムの一つである進化型多目的最 適化では、複数の最適設計目標について、そのバラ ンスを指定せず、あらゆるバランスを与える多数の 最適設計解(パレート解)を探索することができる。 さらに、自己組織化マップ(SOM)、ラフ集合などのデ ータマイニングツールを適用し、設計空間の構造化 と可視化を実施し、最適化の経過から設計知識を導 く技術が、多目的設計探査と呼ばれている。この考 え方をさらに一歩進めると、設計学とインフォマテ ィクスの出会いの場、設計情報学へ至る。 データ同化の流れ 一方、シミュレーションが高精度化し、詳細な結果 を目にするにつれて、現実との詰め切れない差が明 らかとなりつつある。この原因としては、初期条件、 境界条件がすべて明らかではないことに加え、乱流 モデル等のモデル化が完璧でないことも寄与してい ると考えられる。気象学や海洋学の分野では、この ようなシミュレーション技術の限界を、観測データ をもとに乗り越えるデータ同化という技術が発展し てきた。データ同化技術は、一つのシミュレーショ ンに対して繰り返しシミュレーションを実行する必 要があることから大規模計算となりやすく、気象シ ミュレーションのように国家規模で取り組むシミュ レーションにのみ適用可能と思われてきたが、近年、 のコンピュータの発展により、工学問題にも適用可 能であることが示されるようになってきた。 おわりに 本特集では、計算力学シミュレーションの枠を越え て、インフォマティクスと出会った機械工学の今を、 お伝えしたい。さまざまな展開がある中で限られた トピックとはなるが、設計情報学、データ同化や不 確定性定量化、流体実験との出会い、材料科学への 応用、可視化の新展開など、機械工学とインフォマ ティクスの最前線を紹介する。

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執筆者プロフィール <会員> 大林 茂 ◎東北大学 流体科学研究所 教授 (〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平 2-1-1/ E-mail: obayashi@ifs。tohoku。ac。jp) ◎専門:多目的設計探査、数値流体力学、データ同化 顔写真は高解 像度のデータ を別ファイル でお送り下さ い。トリミン グは事務局で 対応します。

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