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説明的文章の読みの指導過程 : 自然科学的な説明的文章の文章構成モデルに基づいて

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説明的文章 の読 みの指 導過程

自然科学的な説明的文章の文章構成モデルに基づいて

How to Teach an Expository Text on Natural Science

Based on the Structure Strategy

Masanori Terai 1.は じめ に 現 在 の 説 明 的 文 章 の読 解 指 導 研 究 で は 、形 式 主 義 、 内容 主 義 の 読 解 指 導 を克 服 す る こ とを課 題 と し て提 案 が 行 わ れ て い る。1それ らの 提 案 で は 、共 通 して 、 読 み 手 の先 行 知 識 を活 用 す る活 動(認 識 活 動)を 保 証 し よ う とす る 。 そ して 、 そ の保 証 の た め に 種 々 の指 導 方 法 が 提 案 され る 。 しか し、 これ らの指 導 で は 、 内 容 面 、つ ま り文 章 中 の 題 材 に 関す る先 行 知 識 を活 用 させ る 活 動 は重 視 され るが 、形 式 面 の 先 行 知 識 を活 用 させ る活 動 は あ ま り重 視 され て い な い。 そ こ で 、本 稿 で は 、以 上 の 認 識(次 章 で 改 め て論 証 す る)に 基 づ き、 形 式 面 の 知 識 を、学 習 者 に 活 用 させ る指 導 方 法 を提 案 す る こ とを課 題 とす る。 現 在 ま で の研 究 で は 、認 知 心 理 学 の 文 章 理 解 研 究 の 成 果 に依 拠 しつ つ 、論 を展 開 して きた。認知 心理 学 にお け る文 章 理 解 モ デ ル は 、ス キー マ(schema)

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説 明的文章の読み の指導過程一 自然科学的 な説 明的文章の文章構成モデル に基づ いて 論 に基 づ い て い る 。 内 田伸 子 は 、 ス キー マ を次 の よ うに 規 定 す る。 1.人 間 の知 識 構 造 の 基 本 単 位 で あ る。 2.単 に 概 念 内容 そ の もの で あ るば か りで な く、そ の概 念 に 関 す る様 々 な 情 報 、即 ち概 念 の使 い 方 や 判 断 、 評 価 機 能 まで も含 む 。 3.ス キー マ 同 志 は 階 層 構 造 を な して い る 。 4.入 力 情 報 を処 理 す る の に 適 切 な ス キ ー マ が 賦 活 され る と、 そ の ス キ ー マ は あ る程 度 の 範 囲 で 適 宜 、形 態 や 構 造 、抽 象 レベ ル を変 え る こ とに よ り、 入 力 情 報 を組 み 込 ん で い くよ うな柔 軟性 を持 って い る。2 そ して 、 こ の よ うな ス キ ー マ を想 定 した 文 章 理 解 は 、 概 括 的 に 言 え ば 、 次 の よ うに な る。 読 み 手 は 、 文 章 か らの 情 報 に応 じて 関 連 す る ス キー マ を 賦 活 し、 一 方 で 情 報 を ス キ ー マ 内 に組 み 込 み なが ら、 他 方 で ス キー マ 自体 の構 造 を変 え て い く。 そ して 、 最 終 的 に 文 章 に即 し た意 味 が 構 築 され る こ とに な る。 つ ま り、.スキ ー マ 論 に基 づ く文 章 理 解 モ デ ル は 、読 み 手 の もつ 先 行 知 識 が 文 章 に 即 して 変 容 し 、構 造 化 され る こ とで 、文 章 の 意 味 が 構 築 さ れ る、 と考 え るの で あ る。 内 田は 、文 章 学 習 に お け る具 体 的 な ス キー マ モ デ ル と し て 、 目標 に関 わ る ス キー マ(「 モ ニ ター ス キ ー マ 」)、命 題 処 理 に関 わ る ス キー マ(「 ル ー ル ス キ ー マ 」)、文 章 の処 理 母 体 と な る ス キー マ(「 処 理 ス キ ー マ 」)を 想 定 し て い る 。3「処 理 ス キー マ 」に は 「内容 処 理 ス キー マ」と 「構 造 処 理 ス キー マ 」 とが 考xら れ 、 前 者 は文 章 の 内 容 面 の 、 後 者 は文 章 構 成 面(形 式 面)の 処 理 を行 う もの と され る 。 こ れ らの ス キー マ の 内 、 認 知 心 理 学 の 文 章 理 解 研 究 で は 、文 章 の 構 造 面 の知 識(内 田 の モ デ ル に お け る 「構 造 処 理 ス キー マ 」)の 活 用 に 関 す る研 究 に か な りの 関心 が 払 わ れ て き た。 こ の 文 章 の 展 開構 造 に 関 す る ス キー マ は 一 般 的 に は テ キ ス トス キ ー マ と して 捉 え られ る 。このテキス トス キー マ を、 読 み 手 は 文 章 理 解 の 心 的 用具 と して 、 読 み 取 っ た 内 容 を 内的 に構 造 化 した 一138一

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り、 文 章 の 展 開 を予 測 した りす る こ とに 用 い る。 つ ま り、 テ キ ス トス キ ー マ は 、 主 に文 章 か ら の情 報 を内 的 に再 構 造 化 す る こ とに 関 与 す る 先 行 知 識 で あ る。 テ キ ス トス キー マ の 研 究 は 、 当 初 物 語 を対 象 と して(物 語 文 法 、 物 語 ス キー マ)始 まっ た が 、後 に ソー ン ダ イ ク(Thorndyke)4に よ り、他 の ジ ャ ン ル の 文 章 に お いて も活 用 さ れ て い る こ とが 示 され たの で あ る。5そ して 、今 や 説 明 的 文 章 を対 象 と した理 解 研 究 で は 、 構 造 面 に 焦 点 を合 わせ た研 究 が 多数 行 わ れ て い る 。6 こ れ ま で の 研 究 は 、 以 上 の認 知 心 理 学 の 成 果 、 特 に ソー ン ダ イ クの 成 果 に 基 づ い て い る。 ソー ン ダ イ クの 成 果 は 、文 章 の 内容 や 構 成 の 型 に 応 じ て 適 切 な テ キ ス トス キ ー マ は 異 な り、 適切 な テ キ ス トス キー マ が 活 用 され な け れ ば 、理 解 は促 進 され な い 、 とい うも の で あ る。 こ の 成 果 か ら 、特 定 の 題 材 や ジ ャ ン ル の理 解 に は 、 そ の 文 章 に特 有 の 展 開 構 造 に 関 す る知 識 、つ ま りテ キ ス トス キ ー マ が 必 要 で あ る 、 とい う示 唆 が 得 られ る。 前稿7で は 、 こ の示 唆 を具 体 化 す る た め に 、研 究 対 象 を 自然 科 学 的 な 題 材 の説 明 的 文 章 に 限定 し た。 そ して 、 そ れ らの 文 章 に特 有 の 文 章 構 成 モ デ ル を提 案 した 。 そ して 、 さ らに そ の 文 章 構 成 モデ ル を文 章 構 成 類 型 と して 機 能 させ 、小 学 校 国語 教 科 書(昭 和60年3月 検 定)に お け る 自 然科 学 的 な説 明 的文 章 の 分 析 、 分 類 を行 っ た 。 本稿 は 、 前稿 の 成 果 に 基 づ き、 そ こで 得 ら れ た 文 章 構 成 モ デ ル を 、 自然 科 学 的 な 説 明 的 文 章 の テ キ ス トス キ ー マ 的 な存 在 と し仮 定 す る。そ の 上 で 、 読 み 手 に テ キ ス トス キー マ の 活用 を促 進 させ る よ うな 、文 章 構 成 モ デ ル を 活 用 した指 導 方 法 を提 案 す る 。 そ して 、 こ こ に お い て 、先 に 示 し た 本稿 の 課 題 は具 体 化 され る。 つ ま り、 本稿 は 、 自然科 学 的 な 説 明 的 文 章 を教 材 と し た読 解 指 導 に お い て 、文 章 の 展 開 構 造 に 関 す る先 行 知 識(テ キ ス トス キー マ)を 活 用 させ る指 導 方 法 の提 案 を課 題 とす る。 な お 、 本稿 で用 い る 「先 行知 識 」 とい う用 語 は 、読 み 手 の 既 に保 有 し、

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説明的文章 の読 みの指導過程∼ 自然科 学的な説明的文章 の文章構成 モデルに基づ いて一 ス キ ー マ 的 な 存 在 と して機 能 す る知 識 を指 す 。 また 、研 究 対 象 とな る 読 解 指 導 は 、 一 文 章 の理 解 を 目標 とす る読 解 指 導 に 限 定 す る 。 2.説 明 的 文 章 の読 解 指 導 研 究 の 現 状 本 章 で は 、 本稿 で提 案 し よ う とす る指 導 方 法 が 現 在 の 説 明 的 文 章 の読 解 指 導 研 究 の ど こ に位 置 つ くか を 、研 究 の 現 状 を示 す こ とで 、 述 べ る 。 従 来 、説 明 的 文 章 の読 解 指 導 研 究 で は 、実 践 や 理 論 を捉Zる 指 標 と し て 、 文 章 へ の着 目面 を示 す 形 式 と内容 とい う概 念 を用 い て きた 。 しか し、 この 形 式 と内容 と い う指 標 で は 、現 在 の 説 明 的文 章 の 読 解 指 導研 究 の現 状 は 捉 え られ な い 。 なぜ な ら、 現 在 の研 究 が 提 案 す る認 識 活 動 は 、思 考 の 問 題 で あ り、文 章 へ の 着 目面 を示 す 指 標 で は 促 え られ な い か らで あ る。 そ こ で 、筆 者 は 、読 み 手 の 思 考 を促 え る指 標 と して 、認 知 心 理 学 よ り、 ボ トム ア ップ(bottom-up、 下 か ら上 へ)と トップ ダ ウ ン(top-down、 上 か ら下 へ)と い う概 念 を援 用 し た。8これ らの 概 念 につ い て 、内 田伸 子 は 次 の よ うに 述 べ る 。 こ の よ う な ス キー マ を仮 定 す る こ と に よ り、 文 章 理 解 の過 程 に お い て 、 文 字 の 分 析 か ら全 体 の 意 味 を積 み 上 げ 方 式 で 構 成 す る"上 向 き (bottom-up)"の 処 理 だ け で な く、賦 活 さ れ た ス キー マ を枠 組 み に し て 仮 説 を立 て 、そ れ に 基 づ い て"下 向 き(top-down)"に 処 理 す る側 面 に つ い て光 が あ て られ た の で あ る。 文 章 が 理 解 され る た め に は 、 入 力 情 報 か らの 上 向 きの 処 理 と、 ス キ ー マ を枠 組 み に した下 向 きの 処 理 が 適 度 に相 互 交 渉 しな くて は な らな い。9 ボ トム ア ップ とは 、文 章 理 解 過 程 に お い て 、文 章 か らの 情 報 を、 一 語 一 語 、 一 文 一 文積 み 上 げ て 、 意 味 を構 築 す る思 考 活 動 の 側 面 で あ る。 トップ ダ ウ ン とは 、 ス キー マ 、 つ ま り先 行 知 識 を母 体 と して 、 こ の母 体 中 に文 章 一140一

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か らの 情 報 を取 り込 ん だ り、 この 母 体 を情 報 に 応 じて変 化 させ た りし なが ら、 意 味 を構 築 す る思 考 活 動 の 側 面 で あ る 。 そ して 、両 者 の 思 考 活 動 は 、 文 章 理 解 過 程 に お いて は 、交 互 処 理 作 用 と して 捉 え られ る。 この ボ トム ア ッ プ と トッ プ ダ ウ ン とい う指 標 に 、従 来 よ り用 い られ て きた 形 式 と内 容 とい う 指 標 を重 ね 合 わ ぜ る と、 左 の よ うな座 標 平 面 を描 くこ とが で き る。 そ して 、 文 章 の着 目面 の指 標 に 、思 考 の 指 標 を加 え た この 座 標 平 面 に よ っ て 、初 め て現 在 の 説 明 的 文 章 の読 解 指 導 の 実 践 や 理 論 の 状 況 が 捉 え られ る よ うに な る の で あ る。 以 下 、 こ の 座 標 平 面 上 に 、研 究 の現 状 と本 稿 の提 案 す る指 導 方 法 と を そ れ ぞ れ位 置 づ け て い く。 現 在 改 善 す べ き課 題 と して 捉 え られ る形 式 主 義 と内容 主 義 の読 解 指 導 は 、 それ ぞ れ② と① に位 置つ く。1° 形 式 主 義 の 読 解 指 導 は 、 あ る種 の 文 法 則(主 に 文 章 論)や 読 解 技 能 に 基 づ き、 文 と文 の 関 係 づ け 、段 落 相 互 の 関 係 づ け 、 そ して文 章 全 体 の構 造 の 把 握 とい う順 序 で 指 導 を行 う。こ れ は 、文 章 の形 式 面 の 情 報 を根 拠 と して 、 読 み 手 の 先 行 知 識 の関 わ りを排 除 しな が ら11、徹 底 して意 味 を積 み 上 げ る活 動 とな っ て い る。 この 点 で 、形 式 主義 の 読 解 指 導 は 、② に位 置 つ く。 内容 主 義 の 読 解 指 導 は 、文 章 の 形 式 面 に は 特 に注 意 す る こ とな く、 文 章 中 に 書 か れ て い る内 容 を確 認 す る指 導 や 、 文 章 に採 られ て い る題 材 に つ い て の 写 真 や 模 型 をむ や み に提 示 す るだ け の 指 導 を行 う。 これ は 、文 章 中 に 書 か れ て い る 内 容 を 、 こ とば 、 あ る い は写 真 等 に よ っ て 確 認 す るだ け の指

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説明的文 章の読みの指導過程一 自然科学的 な説明的文章 の文章構成モデ ルに基づ いて 導 とな っ て お り、読 み 手 の 先 行 知 識 を活 用 す る 活 動 が 全 く行 わ れ て い な い 。 この 点 で 、 内 容 主 義 の読 解 指 導 は 、 ① に位 置つ く。 さ て 、 形 式 主 義 、 内 容 主 義 の 読 解 指 導 を改 善 す る提 案 は 、 前 章 で 先 述 し た よ うに 、 認 識 活 動 とい う トップ ダ ウ ン な 思考 活 動 を促 す 指 導 を提 案 して い る。 以 下 で は 、説 明 的 文 章 の読 解 指 導 研 究 領域 で 、 トップ ダ ウ ンな 思 考 活動 を提 案 す る三 名 の 中 心 的 な研 究 者 の 見 解 に つ い て検 討 す る。 この10年 程 の 、説 明 的 文 章 の読 解 指 導 研 究 が 整 理 さ れ て くる な か で 、 常 に 中 心 的 な 活 動 を行 い 、 初 期 の 頃 よ り読 み 手 の 先 行 知 識 活 用 の 重 要 性 を指 摘 す る渋 谷孝 は 、 次 の よ うに 述 べ る。 説 明 的 文 章 の 読 解 の 目 的 は 生徒 も私 た ち に と っ て も、 既 有 の生 活 上 の 体 験 的 知 識 や 思 考 を基 礎 に して(文 章 の こ とば と対 応 す る事 実 や 現 象 につ い て 知 っ て い る も のが あ る こ と)、未 知 の こ と を類 推 で き、想像 で き る と こ ろに あ る 。 そ して 認 識 を深 め 、行 動 の正 しい 指 針 を得 る こ と に あ る。 国 語 科 が 技 能 教 科 だ と い うこ とは こ うい う意 味 に お い て 言 え る こ と で あ る。12 渋 谷 は 、文 章 中 の表 現 を手 が か りに して 、文 章 中 の 内容 に つ い て 、「類 推 」 「想 像 」 させ る指 導 を提 案 し て い る また 、 形 式 面 に 関 す る 活動 に つ い て は 、 次 の よ うに 述 べ る 。 な お 、 説 明 文 を読 む 意 義 は 、論 理 的 な思 考 力 をつ け る こ とに あ る と か 、論 旨展 開 の文 章 構 成 を読 み とる とこ ろに あ る とか の 考 え方 が あ る。 こ うい う論 旨展 開 の 形 式 的 な型 を重視 す る 立場 に は 私 は 否 定 的 に な ら ざ る を得 な い。13 読 み と りの 正 しさ の 吟 味 は 、体 験 的 な力 を基 礎 に し て文 章 をて いね い に 読 み な が ら推 察 し想 像 す る行 為 の 中に お い て な され る 。 そ の 正 し さの 吟 味 の 質 は 、読 み と りの 基 礎 とな る体 験 的 な 力 の 質 と文 章 の 文 脈 一142一

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をた ど る言 語事 項 につ い て の 技 能 の質 に 左 右 され る。14 全 体 的 に 言 え ば 、渋 谷 は 、 注13の 引 用 に も あ る よ うに 、 形 式 面 を重 視 す る こ とに は反 対 して い る。 そ して 、 注14に 見 られ る よ しに 、形 式 面 の 活 動 は 、「文 章 をた ど る」(ボ トム ア ップ な思 考)活 動 中 に 置 か れ 、先 の 「類 推 」 「想 像 」 活 動 の正 し さ を保 証 す る もの と して 位 置 づ け られ て い る。(な お 、 「吟 味 」 は 、 メタ認知 に関 わる活動 で あるが 、ここでは触 れない。) 以 上 の 議 論 を先 の座 標 平 面 に即 して 整理 す れ ば 、 「類 推 」 「想像 」 の活 動 は 、 ① か ら④へ の移 行 を通 して 、 ④ を強 調 す る 活動 で あ る 。 また 、 ② の活 動 は、 ④ の 活動 の正 し さ を保 証 す る もの と し て位 置 づ け ら れ る 。 渋 谷 と並 ん で 、 説 明 的 文 章 の読 解 指 導研 究 で 中 心 的 な活 動 を行 っ て い る 研 究 者 に 、 小 田 迚 夫 が い る 。小 田は 、読 み 手 の 先行 知 識 活 用 の重 要 性 を、 次 の よ うに 述べ る 。 以 上 述 べ て きた こ と を前 節 に 結 び つ け る な ら、 読 む こ との 指 導 は 、 結 局 、 書 き手 の 認 識 の 視 点 と読 み 手 学 習者 の 認 識 の素 地(先 行 経 験 、 先 行 知 識や 思 考 力 レベ ル の あ りよ う)を 両 極 と して 、教 材 を学 習者 に っ な ぐ作 業 で あ る とい え る。 情 報 を読 む こ と も、 論 理 を読 む こ と も、 レ ト リッ ク を読 む こ と も、 それ らの ため に構 成 を とら え要 点 ・要 旨 を 把 捉 す る こ と も、す べ て この 二 極 をつ な ぐ作 業 の 過 程 に 組 み 込 ま れ る べ き もの で あ る。 教 材 の 文体 と読 み 手 学 習 者 と をつ な ぐレ ト リカ ル な指 導 とい うこ と も、 そ の 文 体 を も た ら し た書 き手 の視 点 の 把 握 可 能 な場 を作 り、 そ こ に学 習 者 を立 たせ る と と も に 、 そ こ で の 思 考 ・認 識 活 動 の させ 方 を学 習 者 の状 況 す なわ ち認 識 の 素 地 の あ り よ うに 即 して工 夫 す る もの とな らな くて は な らな い 。15 小 田 は 、 上 記 の 引 用 の よ うに 、読 み 手 の 活動 を重 視 す る 。 そ して 、読 み 手 の 認 識 活動 を保 証 す る た め に 、書 き手 の 因子 を重 視 す る。

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説明的文章の読みの指導過程 一 自然科学的 な説明的文章の文章構成 モデル に基づ いて一 小 田 は 、 渋 谷 が 内容 面 の活 動 を重 視 して い る の に 対 して 、 形 式 面 の 活 動 を重 視 し、読 み 手 に 認 識 活 動 を行 わ せ よ う とす る。 そ れ は 、 文 章 表 現 を 、 単 な る表 現 形 式 と捉 え る こ と をせ ず 、書 き手 の 行 う、伝 達 過 程 で 生 じる表 現 と理 解 の 間 の ず れや 障 害 を見 越 し た表 現 工 夫(小 田 の用 語 で 言 え ば 「レ ト リッ ク」)と して捉 え る。 そ し て 、読 み 手 の認 識 活動 を保 証 す る ため に 、 こ の 「レ ト リッ ク」に 反 応 しや す い 状 況 を作 り出 す 指 導(「 レ トリ ッ ク感 応 力 の 増 幅 」 の 指 導)を 提 案 す る。16 こ の指 導 は 、座 標 平 面上 の ② に該 当 す る。 そ して 、 こ の指 導 の 特 徴 は 、 表 現 形 式 の 背 後 に書 き手 を意 識 し、 そ の 表 現 の 意 図 を問 うこ とで 、 ① の 活 動 か ら④ の 活 動 へ の転 換 を図 って い る こ と で あ る 。 ま た 、 小 田 は 、書 き手 の視 点 を強 調 す る。 こ れ は 、 書 き手 の視 点 か ら文 章 が 構 造 化 され て い る こ とに 着 目 して 、 読 み 手 を そ の視 点 に 立 た せ よ う と す る指 導 で あ る。 こ の視 点 に 立 つ こ とで 、「読 み の 思 考 は 、文 章 表 現 が 指 示 す る対 象 世 界 の拡 が りの 方 向 に 、 あ る秩 序 立 っ た 認 識 の 風 景 を作 りあ げ て い く」17こ とに な る。これ は 、書 き手 の 視 点 に 着 目す る こ とで 、文章 の情報 を 内 的 に 構 造 化 させ よ う とす る指 導 で あ る。 読 み 手 の 思 考 に 着 目す れ ば 、 書 き手 の 視 点 に よ り、構 造 面 に 関 わ る知 識 が 活 用 され るこ と に な る。 した が って 、 この 活 動 は 、座 標 平 面 上 の ③ に位 置 す る 活動 を保 証 す る 。 しか しな が ら 、 この 指 導 は 小 田 自身 が指 摘 す る よ うに 、 書 き手 の視 点 を 把 握 す る こ とが 難 しい180ま た 、視 点 は 思 考 に お け る 意 味 の 構 造 化 の 契 機 と な り、 構 造 化 を促 進 す るが 、文 章 の 構 成 に即 して 、 いか に文 章 か らの情 報 を構 造 化 して い くか の 方 法 が 具 体 化 され て い な い 。 以 上 の 点 で 、③ の 活動 と して補 うべ き余 地 が あ る。 説 明 的 文 章 の読 解 指 導研 究 に お い て ま とま っ た 成 果 を発 表 し、 渋 谷や 小 田 に 続 く研 究 者 に 森 田信 義 が い る 。森 田 信 義 は 、「筆 者 の 工 夫 を評 価 す る読 み 」 の 指 導 を提 案 す る 。 森 田信 義 は 次 の よ うに述 べ る。 一144一

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で は あ りの ま まの 理 解 を超 え る読 み と は どの よ うな読 み を指 す の で あ ろ うか 。 そ れ は 、 筆 者 の 工 夫 の評 価 をす る こ と で あ る。筆 者 は こ と が ら ・内容 の取 り上 げ 方 に 際 して 、 これ これ の工 夫 を して い るが 、そ の 工 夫 は なぜ な され た の か 、工 夫 は成 功 して い るの か 、 問題 は な い の か 。 筆 者 は 説 明 の論 理 の 構 築 に際 して工 夫 を して い るが 、その工 夫 に は 矛 盾 は な いか 。 そ の工 夫 の お か げ で 、 説 明 の対 象 とな っ て い る事 象 が 十 分 に 解 明 さ れ て い るの か 。 筆 者 は 、 こ とば 選 び に 際 して工 夫 して い るが 、 その 工 夫 は効 果 が あ るか 。総 じて 、筆者 の工夫 は、説 明の対 象 で あ る事 象 の本 質 の解 明 に 成 功 して い るの か ど うか を問 う読 み が 必 要 に な っ て くる。 さ らに 、工 夫 を問 う読 み の 過 程 で 生 じた疑 問 、 問 題 を解 決 す る読 み で あ る 。こ の よ うな 読 み を、「評 価 読 み 」と呼 び 、何 が 、 ど の よ うに 書 か れ て い る か を文章 に 即 して理 解 し 、確 認 す る読 み を「確 認 読 み」 と呼 ん で お き た い 。19 森 田の 「評 価 読 み 」 とは 、いわ ゆ る批 判 的 な 読 み で あ る。.批判的 な読み と は 、 読 み 手 が 自身 の 先行 知 識 や 文 章 に即 して 構 築 され つ つ あ る 意 味 に 基 づ き、文 章 の 題材 、表 現 、論 理 な ど を批 判 しな が ら読 む こ とで あ る 。した が っ て 、座 標 平 面 上 の③ 、 ④ の 活 動 が 重 視 され 、 この 活 動 に 基 づ き 、 ① 、 ② の 活 動 が促 進 され る こ とに な る。 しか しな が ら、 森 田 の 「評 価 読 み 」 の指 導 で は 、筆 者 の 因子 が 批 判 的 な 読 み を成 立 させ る とす る 。 特 定教 材 を絶 対 視 せ ず 、 また 、 散 漫 な 情 報 獲 得 に 走 ら な い よ うに す る た め に 、② の 立 場 を取 りた い。② の 立 場 の 読 み は 、「筆 者 の 説 明 の工 夫 を確 認 し、 評 価 す る」 読 み で あ る。 筆 者 を、 読 み 手 と教 材 の 中 間 に 位 置 させ る の は 、筆 者 の肩 ご しに 、 説 明 の工 夫 を読 も う とす る ため で あ る。教 材 の背 後(つ ま り、教 材 の か な た か ら、読 者 を見 つ め る位 置) に 筆 者 を置 くこ とが 常 識 的 で あ るか も し れ な い が 、肩 ご しに見 る 方 が 、

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説明的文章の読み の指導過程一 自然科学的な説明的文章 の文章構 成モデルに基づいて一 筆 者 と一 体 に な った り、筆 者 を相 対 化 した り しや す く、 感 想 も、 気 づ き も出 しや す い もの で あ る。2° 森 田 の 「評 価 読 み」 は 、批 判 的 な 読 み とい う活 動 に よ り、 ト ップ ダ ウ ン な思 考 活動 を行 わせ て い る も の の 、「筆 者 」に 関 心 が 向 い て し まい 、読 み 手 の 先 行 知 識 を いか に 活 用 させ るか 、 ま た 、 そ れ を批 判 的 な読 み に いか に 関 係 づ け る か 、の 具 体 的 な 方 法 が 提 案 され て い な い 。 したが っ て 、座 標 平 面 の③ の活 動 に 限 っ て 見 れ ば 、③ の 活動 は 行 わ れ て い るが 、具 体 的 な方 法 に お い て 、補 うべ き余 地 が あ る。 以 上 、 説 明 的 文 章 の読 解 指 導 研 究 の 中心 的 な研 究 者 三 名 の提 案 に つ い て 検 討 して きた 。 そ の結 果 、 いず れ も読 み 手 の先 行 知 識 の 活 用 を促 す 指 導 を 提 案 して い た 。しか し、指 導 の 重 点 は 座 標 平 面 の ④ に 当 た る活 動 に 置 か れ 、 ③ に 当 た る活 動 は あ ま り重 視 され て い な い 。 渋 谷 の 場 合 で は 設 定 さ れ て お らず 、 小 田 、森 田 の 場 合 で は補 わ れ るべ き余 地 を残 して い た 。 さ て 、 本稿 で 提 案 し よ う とす る指 導 方 法 は 、 前 章 で も述 べ た よ うに 、文 章 の展 開 構 造 に関 す る読 み手 の先 行 知 識 の 活 用 を促 そ う とす る もの で あ る。 これ を座 標 平 面 上 に位 置づ け れ ば 、③ に位 置 づ け る こ とが で きる 。 この 本 稿 の 提 案 が ③ に位 置 つ くこ と を、 先 の 読 解 指 導 研 究 の 現 状 の 検 討 結 果 に 結 び つ け る な らば 、 本稿 の提 案 は 次 の よ うな 意 義 を もつ 。 第一 に 、 本 稿 の 提 案 は 、 現 状 で は あ ま り指 導 さ れ て い な い ③(形 式 面 で 、 トップ ダ ウ ン)に お け る活 動 の重 要 性 を指 摘 す る 。 第 二 に 、 あ ま り具 体 化 され て い な い③ に お け る指 導 方 法 を具 体 化 す る 。 3.文 章 構 成 面 を 中心 に し た文 章 理 解 モ デ ル 本 章 で は 、 ス キ ー マ 論 に 基づ き、 文 章 の展 開 構 造 に 関す る 先 行 知 識 の 活 用 を 中心 に した 、文 章 理 解 過 程 の一 般 的 な モ デ ル を提 示 す る 。そ して 、トッ プ ダ ウ ン な 活動 を中 心 に した文 章 理 解 過 程 モ デ ル が 、 ボ トム ア ップ な 活動 一146一

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に 偏 っ た従 来 の 形 式 主 義 の 読 解 指 導 に お け る 理解 の 捉 え 方 と どの よ うに 異 な るか を示 す 。 なお 、あ らか じめ 断 って お くが 、本稿 は トップ ダ ウ ン で 形式 面 の 活 動 を、 この 活 動 が現 在 の 読 解 指 導 に お いて 行 わ れ て いな い との 認 識 に立 っ て 、 提 案 す る もの で あ る。 したが っ て 、意 図 的 に 形 式 面 に絞 っ た論 述 を行 う こ と に な る。 そ れ ゆ え、 も し形 式 主 義 で あ る との 批 判 が 行 わ れ て も、 そ れ は 的 は ず れ で あ る。 本稿 の 提 案 は 、 通 常 の 読 解 指 導 で は 、 内 容 面 の 活 動 を補 っ て 運 用 さ れ るは ず の もの で あ る。 さて 、 まず 、認知 心 理 学 研 究 の ス キー マ 論 に基 づ きな が ら21、文 章 構 成 面 に 限 定 して 、説 明 的文 章 の 読解 指 導 で想 定 す べ き文 章理 解 過 程 モデ ル を示す 。 1.読 み 手 は 、次 章 に示 す 文 章 構 成 モ デ ル に類 した 文 章 の展 開構 造 に関 す る知 識(テ キ ス トス キー マ)を 既 に 保 有 して い る。 以 後 の 活動 で は 、 こ の 知 識 は 、 い わ ば 、 仮 説 と して機 能 す る こ とに な る。 2.文 章 を処 理 して い くに 際 し て 、読 み手 は 、 文 字 の分 析 か ら始 まっ て 、 一 語 一 語 、 一 文 一 文 、一 段 落 一 段 落 の 意 味 を積 み 上 げ て い く。 この ボ ト ム ア ップ な 活 動 と と もに 、 トップ ダ ウ ン な 活 動 と して 、読 み手 は 、 文 章 の情 報 に即 して 、保 有 す る文 章 の展 開構 造 に 関 す る知 識 を賦 活 す る。 そ して 、賦 活 した文 章 の 展 開構 造 に 関 す る知 識 を、読 み の構 造 面(形 式 面) に 関 わ る認知 的 な母 体 と して 、 そ の構 造 内 に 文 章 か ら の情 報 を組 み 込 ん で い く。文 章 構 成 モ デ ル に 即 して 言 えば 、 大 枠 と して の文 章 の展 開 構 造 の 内部 に 情 報 を組 み 込 ん で い くこ とに な る。 3.そ しで 、 賦 活 さ れ た文 章 の 展 開 構 造 に 関 す る先 行 知 識 に基 づ い て 、 そ れ以 後 の文 章 の 展 開 を予 測 す る活 動 が行 わ れ る 。文 章 構 成 モ デ ル に 即 し て 言Zば 、 現 在 読 ん で い る構 成 モ デ ル 上 の 部 位 か ら次 の部 位 を予 測 す る とい う活動 で あ る 。 4.ま た 、 文 章 か ら の情 報 を先 行 知 識 内 に 組 み 込 ん で い く際 に 、 賦 活 され

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説 明的文章 の読 みの指導過程一 自然科学 的な説明的文章の文章構成 モデルに 基づ いて一 た知 識 と して の 文 章 の展 開 構 造 と、 読 ん で い る文 章 の 構 成 とが 、一致 し な い こ とが生 じる。 こ の場 合 、賦 活 され た文 章 の展 開 構 造 に 関 す る知 識 は 、 適 宜 調 節 され て 、 そ の 構 造 を組 み替 えて い く。 文 章構 成 モ デ ル に 即 して 言 え ば 、 文 章 の 情 報 に 応 じて 、文 章 構 成 モデ ル の構 成 の 順 序 や 配 置 が 組 み替 え られ た り、余 分 な 部位 が 削 られ た り、新 た な部 位 が 補 わ れ た りす る 活 動 で あ る。 5.以 上 の よ うに して 、文 章 の展 開 構 造 に 関 す る知 識 は 、適 宜 構 造 を 変 え なが ら、 文 章 に即 した 形 で 、文 章 の 情 報 を構 造 化 、体 制 化 し 、最 終 的 に 文 章 全 体 の 、一 貫 した 意 味 の統 合 体 を作 り上 げ る。 以 上 の よ う な文 章 理 解 過 程 モデ ル は 、 従 来 の 形 式 主 義 の 読 解 指 導 の 読 解 と、次 の 点 で 異 な る 。 第 一 に 、上 記 の文 章 理 解 過 程 モ デ ル は 、読 み 手 が 、文 章 を読 む 以 前 に 、 当 該 の 文 章 に 関 連 す る構 造 面 の 知 識 を既 有 す る と考 え る。 これ に 対 して 、 形 式 主 義 の読 解 指 導 で は 、 文 章 を読 む 以 前 の読 み 手 は 、 当 該 文 章 に つ い て 白紙 の 状 態 に あ る と考 え て い る。 第二 に 、意 味 の 構 築 過 程 で は 、上 記 の 文 章 理 解 過 程 モ デ ル は 、一 語 一 語 、 一 文 一 文 の 意 味 を積 み 上 げ る ボ トム ア ップ な 活動 と とも に 、既 有 す る文 章 の 展 開 構 造 に 関 す る知 識 の枠 内 に 、 文 章 の 情 報 を組 み 込 ん で い く トップ ダ ウ ン な活 動 を想 定 す る 。こ れ に 対 して 、形 式 主 義 の 読 解 指 導 は 、一語 一語 、 一 文 一 文 の 意 味 を積 み 上 げ る ボ トム ア ップ な活 動 に終 始 す る 。 全体 的 に 言 え ば 、 上 記 の 文 章 理 解 過 程 モ デ ル は 、読 み手 の 主 体 が 関 わ る 活動 を 中心 に して 構 築 さ れ る。 これ に対 して 、形 式 主 義 の読 解 指 導 で は 、 読 み 手 の 主 体 が 関 わ る余 地 が 極 め て 少 な い 。 さて 、 上 記 の文 章 理 解 過 程 モ デ ル に基 づ い て 読 解 指 導 を行 う場 合 に 、 ど の よ うな 読 解 力 が 認 め られ る で あ ろ うか 。 井 上 尚 美 は 、 ス キー マ の 活 用 を 前 提 と して 、 次 の よ うな 読 解 力 を認 定 して い る。 .・

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こ の よ うな 観 点 か らす る と、 子 ど もの読 み の ス キル に は 、 (1)手 が か りに な る こ とが ら(cue)を はや くつ か む 。 (2)そ れ に よ っ て 、 ス キ ー マ を はや く形 成 す る。 (3)ス キー マ が 文 章 の展 開 と合 致 して い るか ど うか を絶 え ず 点 検(モ ニ ター)す る。 (4)ス キー マ が 、文 章 の 展 開 と合 致 しな くな っ た ら 、す ぐに そ れ を調 節 ・修 正 す る。 以 上 の よ うな能 力 をつ け させ る こ とが 重 要 です 。22 以 上 の井 上 の 見 解 を参 考 に して 、本稿 で は次 の よ うな 読 解 力 を想 定 す る。 (1)手が か りとな る情 報 をつ か む 能 力。(2)文章 の 情 報 に応 じて 、 文 章 の展 開 構 造 に 関 す る先 行 知 識 を賦 活 す る能 力 。(3)賦活 され た先 行 知 識 内 に 、文 章 か ら の情 報 を組 み 込 ん で い く能 力 。(4)賦活 され た 先 行 知 識 が 文 章 の展 開 に 即 して い る か ど うか を モ ニ ター す る能 力 。(5)文章 の 情 報 に 応 じて 、先 行 知 識 の 構 造 を調 整 ・修 正 す る能 力 。 以 上 の よ うな 読 解 力 が 考 え られ る。 4.自 然 科 学 的 な 説 明 的 文 章 の読 解 指 導 本 章 で は 、 前 章 の 文 章 理 解 過 程 モデ ル に 基づ い て 、 自 然科 学 的 な説 明 的 文 章 の読 解 を指 導 す る方 法 を提 示 す る 。 読 解 指 導 を提 示 す る前 に 、本 稿 が 基づ く文 章 構 成 モ デ ル を紹 介 して お く。 前 稿23で 提 案 した 、自然 科 学 的 な 説 明 的文 章 の文 章 構 成 モ デ ル は次 の よ うな も の で あ る 。 前 稿 で は 、説 明 型文 章構 成 モ デ ル と探 究 型 文 章 構 成 モ デ ル と を提 案 し た。 両 者 と も、 全体 的 な 構 成 は 、 「事 象 の 認 定一 問 い一 解 決 部 」 と捉 え られ る。 そ して 、両 者 の 差 異 は 、解 決 部 に認 め られ る。 最 初 に 、 説 明 型 文 章 構 成 モ デ ル につ い て示 す 。 説 明型 で は 、 まず 、説 明 され る事 物 、事 象(被 説 明事 象)が 認 定 され る。

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説明的文章 の読み の指導過程 自然科学的 な説明的文章の文章構成モデル に基づ いて一 つ ぎ に 、 こ の 事 物 、 事 象 に つ い て 、 問 い が 設 定 さ れ る 。 こ の 問 い は 、 次 の 三 っ か ら な る 。24厂 な ぜ 」(「な ぜ … で あ っ た か 」 「な ぜ … で あ る か 」 な ど)、 「な に 」(「… は な に で あ っ た か 」 「… は な に か 」 な ど)、 「い か に 」(「い か に … し た か 」 「… は い か に な っ て い る か 」 な ど)の 三 つ で あ る。 そ し て 、 そ れ ぞ れ の 問 い に よ っ て 説 明 の 論 理 の 構 造 が 異 な る 。 解 決 部 で は 、 そ れ ぞ れ に 異 な っ た 説 明 の 論 理 が 文 章 構 成 に 反 映 さ れ る 。 「な ぜ 」 の 問 い で は、 解 決 部 の 説 明 の 論 理 ・構 成 は 、 演 繹 的 説 明 、 統 計 的 説 明 、 目 的 論 的 説 明 、 発 生 的 説 明 の 四 つ に 分 け ら れ る 。 こ の 内 、 発 生 的 説 明 は 、あ る 事 象 の 成 立 過 程(問 い 「な ぜ そ の よ う な 事 象 が 成 立 し た か(ま た は 、 成 立 す る か)」 を 述 べ る こ と に よ っ て 説 明 が 行 わ れ る 。 そ れ ゆ え 、成 立 過 程 を 示 す 文 章 構 成 と な る 。 しか し 、 一 つ 一 つ の 説 明 は 、 演 繹 的 説 明 、 統 計 的 説 明 、 目 的 論 的 説 明 の い ず れ か で あ る 。 演 繹 的 説 明 に は 、 事 象 に つ い て の 説 明 と 法 則 に つ い て の 説 明 と が あ る 。 事 象 に つ い て の 説 明 で は 、そ の 論 理 は 、被 説 明 事 象 が 起 き る た め に 前 も っ て 成 立 し て い な け れ ば な ら な い 条 件 と な る 事 象 と 、 条 件 と な る 事 象 と 被 説 明 事 象 との 関 係 を 示 す 法 則(決 定 論 的 法 則)と の 推 論 と い う 形 で 、 構 成 さ れ る 。 こ れ に 該 当 す る 教 材 に は 、 「虫 を 食 べ る し ょ くぶ つ 」(学 校 図 書 、2 年)が あ る 。25 法 則 に つ い て の 説 明 で は 、 説 明 さ れ る 対 象 が 法 則 で あ る た め 、 そ の 説 明 の 論 理 は 、 二 つ 以 上 の 法 則 に よ る 推 論 と い う形 を と る 。 こ れ に 該 当 す る 教 材 に は 、 「天 気 の こ と わ ざ を 考 え る 」(教 育 出 版 、5年)が あ る 。 統 計 的 説 明 は 、 上 述 の 演 繹 的 説 明 に お け る 決 定 論 的 法 則 が 、 統 計 的 法 則 に な る 。統 計 的 法 則 と は 、条 件 と な る 事 象Aが 成 立 す れ ば 、あ る 確 立 を も っ て 結 論 と な る 事 象Bが 起 き る で あ ろ う 、 と い う こ と を表 す も の で あ る 。 し た が っ て 、 統 計 的 説 明 は 、 被 説 明 事 象 を蓋 然 的 に しか 説 明 し な い 。 こ れ に 該 当 す る 教 材 に は 、 例 え ば 、 「鳥 は 空 を とぶ 」(日 本 書 籍 、3年)、 「カ ブ ト 一150一

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ガ ニ 」(光 村 図 書 、4年)な ど が あ る 。 目 的 論 的 説 明 に は 、 主 に 生 物 体(特 に 人 間 お よ び 動 物)の 行 為 に つ い て の 説 明 に 用 い ら れ 、 意 図 に よ る 説 明 と機 能 に よ る 説 明 と が あ る 。 意 図 に よ る 説 明 は 、 被 説 明 事 象 で あ る 生 物 体 に お け る 行 為 を 、 そ の 同 じ 生 物 体 に お け る 意 図 に よ っ て 、 演 繹 的 に 推 論 し て 、 説 明 す る 。 こ れ に 該 当 す る 教 材 に は 、 「動 物 の 色 と も よ う 」(学 校 図 書 、4年)が あ る 。 な お 、 こ の 教 材 で は 、 次 の 機 能 に よ る 説 明 も用 い ら れ て い る 。 機 能 に よ る 説 明 は 、 あ る 被 説 明 事 象 に つ い て 、 そ の 被 説 明 事 象 の 機 能 、 な い し機 能 の 効 果 を 提 示 す る こ と で 、説 明 す る 。 こ れ に 該 当 す る 教 材 に は 、 「魚 の 色 と も よ う 」(東 京 書 籍、3年)な ど が あ る 。 つ ぎ に 、「な に 」の 問 い で は 、被 説 明 事 象 を 、十 分 明 確 な 既 知 の概 念 に よ っ て 分 類 す る こ と で 、 説 明 が 行 わ れ る 。 一 般 に は 、 詳 し い 分 類 ほ ど 説 明 と し て の 性 格 が 強 くな る 。 分 類 に よ る 説 明 は 、 定 義 に よ る 説 明 と も い え る 。 こ れ に 該 当 す る 教 材 に は 、「む し の は な し」 厂や さ い の は な 」(い ず れ も 教 育 出 版 、1年)な ど が あ る 。 最 後 に 、 「い か に 」 の 問 い で は 、 二 つ の 説 明 の 論 理 が 見 出 さ れ る 。 一 つ は 、過 程 に つ い て の 説 明 で あ る 。例 え ば 、 「そ れ は 、 い か に 行 わ れ た か 」 と い う 問 い が 設 定 さ れ た な ら ば 、 そ の 説 明 は 、「そ れ 」 が 行 わ れ た 過 程 を 時 間 の 順 序 に 従 っ て 、 既 知 の 概 念 で 記 述 す る こ と に な る 。 こ れ に 該 当 す る 教 材 に は 、 「た ね の ふ し ぎ」(学 校 図 書 、1年)「 あ りの 生 活 」(学 校 図 書 、 2年)な ど 、 多数 認 め ら れ る 。 も う一 つ は 、構 造 に つ い て の 説 明 で あ る 。例 え ば 、 「そ れ は い か な る 構 造 に な っ て い る か 」 と い う 問 い が 設 定 さ れ た な ら ば 、 そ の 説 明 は 、 「そ れ 」 の 構 造 を 、 す な わ ち 構 成 要 素 の 配 置 を 、 既 知 の 概 念 に よ っ て 記 述 す る こ と に な る 。 こ れ に 該 当 す る教 材 に は 、 「い ぬ と ね こ 」(日 本 書 籍 、1年)「 動 物 の 体 」(東 京 書 籍 、5年)な ど が あ る 。

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説明的文章 の読み の指 導過程一 自然科学的 な説 明的文章の文章構成モデル に基 づいて一 説 明 型 の 文 章 で は 、書 き手 は 被 説 明事 象 を あ る体 系 的 な論 理 に よ っ て 既 に捉 え て い て 、 そ の 論 理 の 中 に 被 説 明事 象 を位 置づ け る こ とに よ っ て 説 明 す る 。最 も体 系 的 な 説 明 は 、 説 明 に 法 則 を伴 う 「なぜ 」 の 説 明 で あ る。 し か し、「な に」の 説 明 に お いて も 、被 説 明事 象 が 既 知 の概 念 に よ っ て分 類 さ れ る こ と に よ り、そ の事 象 は 関 係 す る概 念 間(論 理)内 に位 置 づ け られ る。 また 、「いか に」 の説 明 に お いて も、被 説 明 事 象 は そ れ が 有 す る過 程 あ る い は構 造 の体 系(論 理)を 明示 す る こ とに よ って 説 明 さ れ る。 説 明 型 に該 当 す る教 科 書 教 材 は 、「いか に 」の 問 い に つ い て 説 明 され た も のが 圧 倒 的 に 多 い 。 「なぜ 」 「な に 」 の 問 い に つ い て の 説 明 は 、 そ れ ぞれ 数 教 材 に 認 め られ た だ け で あ る。 つ い で 、 探 究 型 文 章 構 成 モデ ル に つ い て 示 す 。 探 究 型 で も 、 ま ず 、 探 究 され るべ き事 物 ・事 象 が 認 定 さ れ る。 つ ぎに 、 この 認 定 さ れ た事 物 ・事 象 につ い て 問 いが 設 定 され る。 こ の 問 い は 、 説 明 型 の よ うに は 類 型 化 され な い。 この 問 い を受 け て 、 解 決 部 で は 、 問 わ れ た 事 物 ・事 象 に つ い て の 探 究 が 行 わ れ る。 こ の 探 究 は 、視 点 を変 えれ ば 、 問 わ れ て い る事 象 を 説 明 す る 論 理 体 系(説 明 原 理)を 発 見 す る こ とで もあ る。 そ して 、 こ の 探 究 は 、 常 に探 究 の 過 程 と して 、自然 科 学 的 な 説 明 的 文 章 で は 、「情 報 の 収 集 一 仮 説 の 設 定一 実 験 ・観 察一 デ ー タ解 釈 一 モ デ ル 形 成 一 結 論 の 整理 」26の論 理 、構 成 で捉 え られ る。(ち な み に 、この よ うな解 決 部 の構 成 は 、実 践 に お い て か な り使 用 さ れ て い る 。 た だ し、 それ は 、 本 稿 の よ う な文 章 構 成 モ デ ル と して は 捉 え られ て い な い 。)こ の探 究 型 に 該 当 す る教 材 は 、 「花 を 見 つ け る手 が か り」(教 育 出 版 、4年)「 チ ュー リ ップ の 花 」(東 京 書籍 、4年)「 魚 の感 覚 」(学 校 図書 、5年)な どが あ る。 以 上 の 説 明 型 、探 究 型 の 文 章 構 成 モ デ ル の特 性 は 、 第 一 に 、 文 章 全 体 を 「事 象 の 認 定 一 問 い一 解 決 部 」 の 枠 組 み で 捉 え よ う とす る点 で あ る。第二 に 、問 い との 関 わ りで解 決 部 の 構 成 を類 型 的 に 捉 えて い る点 で あ る。 一152一

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現 在 出 され て い る い くつ か の 提 案 で も、 第 一 の 点 に つ い て 着 目 され て お り、 こ の レベ ル での トップ ダ ウ ン な 活動 は 構 想 さ れ て い る。 しか し、第二 の 点 に お い て 十 分 で な く、それゆ え、解決部 にお ける トップダ ウンな活動 を展 開 で きな い で い る。 例 え ば 、 森 田信 義 は 、精 読 段 階 に おけ る段 落 分 け の 方 法 と して 、 「問 い一 解 決 部 」 に着 目 させ る こ と を主 張 す る 。 今 日の 小学 校 、中 学校 の 国 語 教 科 書 に 収 め られ た 説 明 的文 章 教 材 は 、 大 筋 の 論 理 構 造 と して 、 問題提 示 検証過程 結論 と い う過 程 を と る もの が 多 い 。 この よ うな構 造 の 文 章 の場 合 は 、 形 式 ママ 段 落 の 積 あ げ 方 式 に よ ら な い 段 落 分 け の た め の 、い く つ か の 手 が か り を提 供 して く れ る 。 た と え ば 、 つ ぎ の よ う で あ る 。 ・こ の 文 章 は、 何 を 明 ら か に し よ う と し て 書 か れ た も の か 。 ・提 示 さ れ た 問 題 と は 何 か 。 号 ・そ れ ぞ れ の 問 題 は、 ど こ か ら ど こ ま で に 書 か れ て い る か 。 ・そ の 問 題 の 解 明 す る 過 程 は 、 ど こ か ら ど こ ま で か 。 亭 ・結 果 と して ど う い う こ と が わ か っ た か 。 ・ど こ に 結 論 が 書 い て あ る か 。 こ の よ うな順 序 を た どれ ば 、大 ま か な 段 落 分 け が で きる 。ここで 「大 まか な」 とい うの は 、大 筋 と して 間違 い が な い とは い う もの の 、 この よ うな段 落 分 け の 適 否 の確 認 の た め に は 、 なお 、 各 部 分 の精 読 に よ る 検 証 が 必 要 に な るか らで あ る 。27 この 方 法 は 、確 か に 文 章 構 成 面 につ い て の積 み上 げ 方 式 に よ ら な い 、トッ

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説 明的 文章の読みの指導過程一 自然科 学的な説明的文章 の文章構 成モデル に基づ いて一 プ ダ ウ ン な 活 動 を促 す 指 導 で あ る。 しか し、 「検 証 過 程 」 の具 体 的 な構 成 が モ デ ル と して 捉 え られ て い な い 。 そ の た め 、「検 証 過 程 」 を読 み 進 め る段 階 で 、読 み手 に 活 用 させ る文 章 の展 開 構 造 に 関 す る知 識(テ キ ス トス キー マ)と い う もの が 、明 らか に な っ て こ な い 。 し たが っ て 、 叙 述 に応 じて 、先 行 知 識 内 に情 報 を組 み 込 ん だ り、 先 行 知 識 の 構 造 を組 み 替 え た りす る活 動 を保 証 しえ な い。 例 え ば 、説 明型 と探 究 型 と で は 、 そ の 知 識 の 活 用 の仕 方 が 全 く異 な るの で あ る。 以上 の 説 明型 、 探 究 型 の文 に 基 づ い て 、 以 下 で は 自然 科 学 的 な説 明 的 文 章 の読 解 指 導 の 方 法 を提 案 す る。 前章 の 文 章 理 解 過程 モ デ ル を前 提 と して 、上 述 の よ うな文 章 構 成 モ デ ル が テ キ ス トス キ ー マ 的 な存 在 と し て 活 用 され る読 解 指 導 過 程 で は 、順 次 以 下 の よ う な活 動 、 指 導 が 設定 され な け れ ば な らな い 。 (1)教材 研 究 の段 階 で 、 先 に 示 し た文 章 構 成 モ デ ル を文 章 構 成 類 型 と して 用 い る こ とで 、教 材 とな る文 章 の 文 章 構 成 を分 析 し、 類 型 化 して お く。 この 作 業 は 次 の よ うな 意 味 を もつ 。 第 一 に 、文 章 構 成 を分 析 し、類 型 化 す る こ とに よっ て 、 そ の文 章 を読 む場 合 に どの よ うな 文 章 構 成 モデ ル(テ キス トス キー マ と見 れ ば 、文 章 の展 開 構 造 に 関す る知 識)が 必 要 とさ れ る か が 予 想 で き る。 第 二 に 、 逆 に 、文 章 構 成 モ デ ル と分 析 結 果 と を対 照 させ る こ とで 、教 材 の 文 章 の特 殊 性 が 理 解 され る 。 これ に よ っ て 、 指 導 の 際 、 文 章 構 成 に 応 じて 展 開 構 造 に 関 わ る知 識 を引 き出 し、 活 用 させ る 箇所 が 明 らか と な り、 そ れ に応 じた 指 導 上 の工 夫 が 可 能 とな る。 第一 、第 二 の 意 味 を よ り抽 象 化 す れ ば 、第 一 は 文 章構 成 モ デ ル(テ キス ト ス キー マ 的 な 存 在)と 教 材 の 文 章 構 成 の類 似 性 を、 第二 は両 者 の差 異性 を、 それ ぞ れ 見 出す とい う こ とで あ る。こ の類 似 性 と差 異性 の認 定 は 、学 習 者 の 文 章 の 展 開構 造 に 関 す る知 識 を活 用 させ よ う とす る指 導 では 、必 要 な 作 業 で 一154一

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あ る。換 言す れ ば 、 この 作業 は 、先行知 識 を引 き出す た めに 手 がか りとな る文 章 側 の情報 を あ らか じめ認 定す るのに 必 要 なの で あ る。仮 に 、文 章構 成 類 型 で 捉 え られ な くとも28、文 章 の構 成分 析 を して お くこ とで 、その 文章 を読解 す る場 合 に 必要 とな る文 章 の展 開 構 造 に関 す る知 識 を、仮 定 す る こ とが 可能 とな る。 (2)学習 者 に 、現 在 読 ん で い る部 分 が 文 章 構 成 モデ ル の どの 部 位 に位 置 つ く か を常 に意 識 化 させ る 。 こ れ に よ って 、 既 に 読 ん だ部 分 の 構 造 化 、 以 後 の 展 開 構 造 の予 測 を行 うこ とが 可 能 とな る 。 以 下 で は 、 文 章 構 成 モ デ ル の 各 部 位 で 、 ど の よ うな 読 解 活動 が 必 要 か を 提 示 す る。 1)事 象 の 認 定 多 くの事 象 中か らあ る事 象 が 認 定 され る とい う こ とは 、 認 定 者 が そ こに 何 らか の 問 題 を見 出 し たか ら で あ る。 した が って 、認 定 され た事 象 は 、問 い を生 む 場 で あ る。 そ こで 、 こ の部 位 で の学 習 者 の 活動 は 、事 象 に 関 す る 種 々 の 先 行 知 識 を想 起 す る こ とが 必要 とな って くる。 例 え ば 、「虫 を 食べ る し ょ くぶ つ 」(学 校 図 書 、2年)な らば 、冒 頭 の 「虫 を と らえ て 食べ る し ょ くぶ つ が あ る の を知 っ て い ます か 。」の 「虫 を と ら え て 食べ る し ょ くぶ つ が あ る」 が 事 象 の 認 定 箇所 で あ る。 こ こ で は 、 通 常 虫 を捕 らえ る 生 物 は 何 か 、 なぜ 、 例 え ば 、 鳥 は 虫 を捕 ら え る か 、植 物 の栄 養 とす る もの は 何 か 、 な どに 関 す る知 識 を引 き出 す べ き で あ る。 先 行 知 識 が 引 き出 す だ け 引 き出 され た な ら、問 い に着 目す る。引 き出 され た 知 識 は 、問 い との 関 連 で選 択 を受 け 、文 章 理 解 に有 効 に機 能 す る で あ ろ う。 2)問 い 本 稿 の 提 案 す る指 導 方 法 で は 、 問 い を 非 常 に重 要 視 す る。 こ れ は 、 問 い が 以 後 の 文 章 の論 理 展 開 に一 貫性 を与 え 、 結 論 も問 い と対 応 す る 形 で 提 示 され るか らで あ る。 特 に 、 説 明 型 の 文 章 構 成 を備 え た 文 章 で は 、 問 い が 文

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説 明的文章 の読 みの指導過程一 自然科 学的な説明的文章の文章構 成モデルに基づ いて一 章 の 展 開 構 造 を 明 らか に規 定 す る 。 例 えば 、 「さ けが 大 き くな る まで 」(教 育 出版 、2年)で は 、 冒 頭 の 第二 文 で 、「あ の七 十 セ ン チ メー トル ほ ど も あ る魚 は 、 どこ で 生 ま れ 、 どの よ う に して 大 き くな った の で し ょ う。」 と い う問 い が 設 定 さ れ て い る。この 問 い に着 目す れ ば 、こ の文 章 の 構 成 は 、サ ケ の 成 長 過 程 と い う時 間 の 順 序 に従 っ た構 成 に な る は ず で あ る。 そ う で な け れ ば 、サ ケ の 成 長 過 程 は 説 明 しえ な い の で あ る 。 しか し 、 説 明 型 と探 究 型 との 区別 は 、 単 に 問 い だ け で は 判 断 され な い。 しか し、 仮 に 「さけ が 大 き くな る ま で」 が 探 究 型 の文 章 だ とす れ ば 、 上 記 の 問 い に よ って 生 まれ る構 成 は 、サ ケ の 成 長 過 程 を実 験や 調 査 に よ って 探 究 す る と い う形 式 に な る で あ ろ う。 つ ま り、 問 い が 説 明 型 か 探 究型 か を決 定 しな い が 、 そ の 問 い に よ っ て 、 探 究 型 、 説 明 型 い ず れ の 構 成 も予 測 が で きる の で あ る。 問 い の 部 位 で の指 導 は 、 まず 、 問 い につ い て 、学 習者 に 十 分 理 解 させ る べ きで あ る。 そ の 問 い が 一 体 何 を問 うて い るか を 明確 に理 解 させ るべ きで あ る。 つ ぎに 、 そ の 問 いに 基 づ き、 そ の後 の 文 章 展 開 を予 測 させ るべ きで あ る。 この 問 い に 基づ い た予 測 活 動 が 、学 習 者 か ら文 章 の展 開 構 造 に 関 す る先 行 知 識 を引 き出 す 重 要 な契 機 と な る と見 な され る。 前章 で提 示 した読 解 力 に結 び つ け れ ば 、 問 い に着 目 し 、 そ こ か ら予 測 を行 う能 力 は 、手 が か りをつ か む 能 力 、先 行 知 識 を賦 活 す る能 力 に 関 わ っ て くる で あ ろ う。 とこ ろ で 、 森 田信 義 は 、 問 い を、 筆 者 が 読 者 に 対 して行 う表 現 上 の工 夫 (サ ー ビス)と 捉 え て い る。 文 章 の 冒 頭 に 問 題 が 提 起 さ れ る教 材 が 多 いの は 、読 み 手 が 、教 材 文 の 全 体 構 造 を予 測 で き るか らで あ る。 い わ ば 読 者 に対 す るサ ー ビ ス で あ る 。 この よ うな サ ー ビ ス は 、 類 型 化 さ れ て 、 子 ど もの 読 み の 方 法 を 規 定 して し ま う とい う危 険 性 を孕 み なが ら も 、筆 者 と して は 、 文 字 量 =156一

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の 限 ら れ た簡 潔 な 説 明文 を要 求 さ れ 、子 ど もの 読 者 を念 頭 に 置 い た 場 合 、最 も考 え つ きや す い方 法 で あ る 。29 この 発 言 は 、 「ど うぶ つ の赤 ち ゃ ん 」(光 村 図 書 、1年)に 関 わ っ て の も の で あ るが 、他 に 「み つ ば ち の ダ ン ス」(光 村 図 書 、3年)の 問 い に 関 して も同様 の 発 言 を して い る 。30 森 田は 、 問 いが 文 章 の 展 開 構 造 を予 測 す る 手 が か りに な る と指 摘 しな が ら も(森 田 は これ を指 導 方 法 と して は 具 体 化 して い な い)、 問 い の 本 質 的 な 機 能 を見 誤 っ て い る。 筆 者 は 、読 者 へ の便 を図 る た め だ け に 、問 い を設 定 す るの で は な い 。 第 一 に 、 本 来 問 い が な け れ ば 、文 章 以 前 の 題 材 分 野 に お け る探 究 自体 が 成 立 しな い 。 問 いが あ るか ら こ そ 、動 物 の赤 ち ゃ ん の 生 態 が 記 述 され た の で あ り、 ミツバ チ の行 動 が追 及 され た の で あ る。 第 二 に 、 す べ て の 題 材 、論 理 、 結 論 が わ か っ て い る場 合 で も、筆 者 は 問 い を設 定 す る。 これ は 、 問 い に よ り、 論 が 一 貫 し、 整合 して い るか ど うか 、 余 分 な情 報 を含 まな いか ど うか が 、 常 に 検 証 さ れ るか ら で あ る。 つ ま り、 筆 者 が 問 い を設 定 す る の は 、 これ か ら書 こ う とす る こ とに一 貫性 、整 合 性 を与 え る た め で もあ る。 以 上 の 二 点 か ら 、森 田 の よ うに 、 問 い を単 な る表 現 上 の 工 夫 、 読者 へ の サ ー ビ ス と捉 え る こ とは 、批 判 され るべ き で あ る。 な お 、 問 い が 「子 ど もの 読 み の 方 法 を規 定 す る」危 険 性 が あ る と森 田 は 指 摘 す る が 、 そ の 根 拠 が 不 分 明 な の で 、 こ こ で は触 れ な い 。 3)解 決 部 解 決 部 は 、説 明 型 と探 究 型 の二 種 類 が あ り、 さ らに 説 明型 は 問 い に よ っ て三 類 型 に 分 か れ る。 まず 、 説 明 型 と探 究 型 と を 区別 す る に は 、 問 いが 設 定 され た後 、解 決 部 の最 初 の 部 分 か らの 情 報 が 活 用 さ れ る 。 そ れ は 、主 に 探 究 型 の構 成 が 、 仮 説 、観 察 、 実 験 とい う部 位 を含 ん で お り、 こ れ らの部 位 が あ れ ば 探 究 型 だ と容 易 に判 断 さ れ る。 した が っ て 、指 導 で は 、 問 い の 後 の情 報 に 注 目 させ

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説明的文 章の読みの指導過程一 自然科学 的な説明的文章 の文章構 成モデルに基づい て一 る 指 導 が 重 要 で あ る 。 つ ぎに 、類 型 ご とに 、解 決 部 の どの よ うな情 報 に注 目す べ きか を 示 す 。 説 明型 の 「なぜ 」 の 説 明 で は 、構 成 要 素 は 、 被 説 明 事 象 が 起 こ る の に 前 提 とな る 条 件 事 象 と、被 説 明 事 象 と条件 事 象 との 論 理 関 係 を示 す 法 則 とで あ る。例 え ば 、前 掲 の 「虫 を 食べ る し ょ くぶ つ 」(演 繹 的 説 明)で は 、まず 、 植 物 は土 か ら水 や 養 分 を吸 い上 げ 、 そ の 養 分 に よ っ て大 き くな っ た り、 花 を咲 か せ た り、実 を結 ん だ りす る と い う法 則 が 提 示 され る。 つ い で 、 条 件 事 象 と して 、 水 は あ るが 養 分 の 少 な い所 が あ り、 そ こ で も植 物 が 生 え 、 そ の 植 物 の 中 に 虫 を食 べ る植 物 が あ る こ とが 提 示 さ れ る 。 こ の 両 方 か ら、植 物 が 虫 を 食 べ る こ とが 説 明 さ れ る 。 こ こ で重 要 と な る指 導 は 、 虫 を 食べ る と い う行 為 を 、法 則 中に 位 置 づ け る活 動 で あ る。 そ の ため に は 、 虫 を食 べ る植 物 の 条 件 事 象 が 、 先行 知 識 に 基づ い て理 解 され な け れ ば な ら な い 。 つ ま り、条 件 事 象 、法 則 に つ い て 、 どれ だ け読 み 手 の先 行 知 識 を 引 き出せ る か 、 そ して ど れ だ け それ ら を 関係 づ け ら れ るか が 、重 要 とな る。 「な に 」 の 説 明型 は、 教 科 書 教 材 中 、 三 例 認 め られ た が 、 本 格 的 な 説 明 に な っ て い な い 。 いず れ も写 真 を提 示 して 、 それ は何 か 、 何 を して い るか を 問 うて い る にす ぎ な い。本 来 な らば 、「な に 」 の 説 明 は 、未 知 の事 象 を既 知 の こ とが らで定 義 し よ う とす る もの で あ る。 そ れ ゆ え 、 い か に既 知 の 知 識 を読 み 手 か ら引 き 出す か が 重 要 な 指 導 とな る。 この考 え を教 科 書 教 材 に 準 用 す る な らば 、 写 真 の事 物 ・事 象 に つ い て 読 み 手 の 先行 知 識 をい か に 引 き出 し得 るか が重 要 な指 導 とな るで あ ろ う。 「い か に」 の 説 明 は、過 程 な い し構 造(生 物 な らば 生 態)の 記述 とい う 構 成 を とる 。過 程 の 説 明 で は 、過 程 の 経 過 に 関 わ る文 章 情 報 が 重 要 に な る。 そ の た め 、 時 間 、移 動 、 変 化 に 関 わ る表 現 につ い て の 指 導 が 重 要 に な る。 例 えば 、 前掲 の 「さ け が 大 き くな る まで 」 で は 、 季 節 を表 す 語 句 、 川 の位 置 、サ ケ の体 長 の変 化 な どに 関 わ る情 報 が 重 要 に な っ て くる 。 一158一

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構 造 の説 明 で は 、 構 造 の 各 部 分 の 記 述 、 各部 分 間 の関 係 、 全体 像 、様 子 を明 らか に す る表 現 が 重 要 な情 報 と な る。 例 え ば 、 「ど うぶ つ の赤 ち ゃん 」 (光 村 図 書 、1年)で は 、「ど うぶつ の 赤 ち ゃ ん は 、生 まれ たば か りの と き は 、 どん な よ うす を して い るで し ょ う。」 とい う問 い が提 示 され る。 こ れ に 対 して 、 ラ イ オ ン、 し ま うま 、 カ ン ガル ー の赤 ち ゃん の 生 後 間 もな い時 の 生 態 が そ れ ぞれ 記 述 され る。 こ こ で 重 要 な活 動 は 、 生 態 の 記述 を、 先 行 知 識 を活 用 し て 、学 習 者 が 具 体 的 に 想 像 で きる こ とで あ る。 探 究 型 に つ い て は 、 先 の 説 明型 と探 究 型 の 区別 で述 べ た とお り、 探 究 型 の構 成 は 、情 報 の 収 集 、仮 説 の 設 定 、実 験 、観 察 、調 査 な どの 部 位 を含 む 。 そ して 、 常 に あ る課 題 が 追 求 され て い く。 した が って 、 こ の 類 型 の 文 章 で は 、各 部 位 ご とに 、何 が 実 験 され て い るか 、そ の実 験 で 何 が 解 明 さ れ たか 、 残 る問 題 は 何 か 、 そ の 後 に ど うい う実 験 が 必 要 か 、 な どの 文 章 情 報 が 重 要 で あ り、そ の 情報 に 基 づ く展 開 の 予 測 活 動 が 重 要 に な っ て くる。例 えば 、「花 を 見つ け る手 が か り」(教 育 出 版 、4年)で は 、冒 頭 に提 示 さ れ た 仮 説 と し て の 条 件(色 ・形 ・に お い)が 、 に お い→ 形 → 色 の 順 序 で一 つ 一 つ 実 験 さ れ 、 限 定 され て い く。 現 在 読 ん で い る部 分 は 、 どの 条 件 に 関す る実 験 か 、 ど の よ うな 実 験 を行 うか 、 そ して結 果 は ど うか 、 次 の どの よ うな 実 験 が 必 要 か 、 な どに 関 す る 情 報 の 読 解 が 重 要 に な っ て くる。 な お 、 読 解 過 程 で 、 現 在 読 ん で い る部 分 ま で の 意 味 に基 づ き、 次 の 展 開 部 分 の構 造 を予 測 させ る活 動 に 、児 童 言 語 研 究 会 の一 読 総 合 法 に お け る「プ ラ ンづ く り」 とい う活 動 が あ る 。 「プ ラ ンづ く り」 は 、 「読 み進 め な が ら 、 しだ い に頭 の 中 に文 章 の 形 を整 理 して い く。 また 、 前 か ら の文 章 構 成 をお さ え 、読 み 進 め よ う とす る先 の 部 分 に 対 して の 必 然 的 な発 展 を 見定 め 文 章 プ ラ ン を 作 る作 業 」31であ る。この 活 動 は 、読 み 手 が 文 章 の 構 造 を内 的 に構 築 す る過 程 に お い て 、 ボ トム ア ップ な 側 面 を 強調 す る。 しか し、 そ れ ま で の 読 み で 既 に で きあ が っ た構 造 に基 づ いて 次 の展 開 を予 測 す る とい う活 動

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説明的文章の読み の指 導過程一 自然科学的な説明的文章 の文章構 成モデルに基づ いて一 は 、 トップ ダ ウ ン な 活 動 で あ る。 こ の 点 で 、 一 読 総 合 法 に お け る 「プ ラ ン づ く り」は文 章 の 展 開構 造 に 関す る先 行 知 識 を 活 用 す る実 践 と認 め られ る 。 (3)文章 構 成 モ デ ル は プ ロ トタ イ プ32(典 型)で あ るか ら、教 材 の文 章 構 成 と は 自 と 異 な る 。 そ こ で 、 テ キ ス トス キ ー マ 的 な存 在 で あ る文 章 構 成 モ デ ル に対 照 して 、文 章 にお け る不 足 部 位 を補 って 文 章 内 容 を構 造 化 しや す くす る 指 導 や 、 文章 の 構 成 に 応 じ て学 習 者 の テ キ ス トス キー マ の 組 み替 え を促 す 指 導 を行 う。 前 者 の 、 文 章 構 成 モ デ ル と対 照 して 、 文 章 に不 足 す る部 位 を補 う とい う 指 導 は 、文 章 構 成 モ デ ル(つ ま り 「事 象 の認 定一 問 い一 解 決 部 」)を プ ロ ト タイ プ の知 識 と して 、学 習 者 に 定 着 させ る とい う意 味 を もつ 。「事 象 の 認 定一 問 い一 解 決 部 」 を プ ロ トタ イプ と して保 有 す る こ とに な れ ば 、学 習 者 は 、 こ の構 成 を認 知 的 な枠 組 み と して 、 自然科 学 的 な説 明 的 文章 を理 解 す る こ とに な る。 そ して 、例 え ば 、 問 い の 明示 され な い文 章 に お い て も、学 習 者 が 自身 で問 い を設 定 し、 そ の 問 い との 関連 で 、解 決 部 の 情 報 を 内 的 に構 造 化 し 、 あ るい は 解 決 部 の 論 理 の不 整 合性 を批 判 す る こ とが 可 能 に な る は ず で あ る。 不 足 部 位 を補 う指 導 で 中 心 に な るの は 、 問 い を補 う指 導 で あ る 。 そ の 実 際 的 な指 導 は 、 主 に 発 問 や 指 示 に よ るで あ ろ うが 、 文 章 の どの部 分 の 情 報 に 注 目 して 発 問 や 指 示 をす れば よい の だ ろ うか 。 文 章 構 成 モデ ル に 照 らせ ば 、 まず 、事 象 の 認定 され る部 分 、 つ ま り冒頭 部 分 の 情報 が 重 要 とな る。 例 え ば 、 「道 具 を使 う動 物 た ち」(東 京 書 籍 、3 年)で は 、 冒頭 の三 段 落 で道 具 を使 う動 物 が い る こ とが 提 示 され る。 そ こ で 、 「こ の部 分 か ら考 え る と 、 こ の文 章 で は どん な こ とが 書 か れ て い るか 」 と発 問 す る 。 こ れ に 対 して 、 学 習 者 か ら 「道具 を使 う動 物 の 紹 介 」 や 「道 具 を使 っ て い る よ うす 」 な どの 答 えが あ っ た とす る。 これ に 対 して 、指 導 一160一

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者 は 、「で は 、今 言 っ た こ とが 答 え と して 出 る よ うな 問 い を作 っ て み ま し ょ う」 と い う指 示 を与 え る。 す る と、例 えば 、 「動 物 は どの よ うに(い か に) 道具 を使 うで し ょ うか 」 とい っ た 問 い が 設 定 され る で あ ろ う。 そ し て 、 以 後 の 読 解 は 、 こ の 問 い との 関連 で行 えば よ い の で あ る。 事 象 の 認定 に 当 た る部 分 が な い場 合 は 、題 名 に 注 目す る。例 えば 、「ビー バ ー の す 作 り」(東 京 書 籍 、2年)で は 、題 名 か ら容 易 に 「ビー バ ー は どの よ うに(い か に)巣 を作 る か」 と い う問 い が 設 定 され る で あ ろ う。 事 象 の 認 定 部 もな く、題 名 か ら も構 成 が仮 定 で きな い場 合 、具 体 的 に 言 え ば 、解 決部 に 当 た る構 成 が 冒 頭 か ら展 開 され て い る場 合 に は 、文 章 全 体 を一 読 させ た 上 で 、構 成 に 注 目 させ なが ら、 問 い を 設定 させ る発 問 ・指 示 を行 え ば よい 。 例 え ば 、 「た ん ぽ ぽ の ち え」(光 村 図書 、2年)で は 、 題 名 か ら も、 本 文 の 冒頭 か ら も、 構 成 に 関 わ る有 効 な情 報 は 得 られ な い 。 そ れ ゆ え 、 文 章 全 体 を一 読 させ た後 で 、 問 い を設 定 す る 活動 を行 う。 花 が 咲 い て 、種 子 が 風 に 飛 ぶ ま で の構 成 に 注 目す れ ば 、「た ん ぽ ぽ は どの よ うに(い か に)種 子 を作 り、飛 ばす か」 と い うよ うな 問 いが 設 定 され る。33 つ ぎに 、後 者 の 指 導 、つ ま り文 章 の構 成 に 応 じて学 習 者 の テ キ ス トス キー マ の 組 み 替 え を促 す 指 導 は 、読 解 力 の 、 文 章 の情 報 に応 じて 、 先 行 知 識 の 構 造 、 修 正 をす る能 力 の 育 成 に 関 わ る。 例 えば 、「空 気 の重 さ を計 るに は 」(学 校 図書 、5年)は 探 究 型 の 文 章 で あ るが 、 この文 章 で は 、対 立 す る仮 説 が 古 代 ギ リシ ア の 逸 話 とい う形 で提 示 され る 。こ こ で は 、この 仮 説 提 示 が 通常 の探 究 型 の 文 章 とは 異 な る こ と、 しか し、 そ れ で い て 、仮 説 と して 文 章 構 成 上 機 能 して い る点 に注 目 させ る べ きで あ る。 また 、例 え ば 、前 掲 の 「さ け が 大 き くな る まで 」(教 育 出版 、2年)で は 、 解 決 部 は 、親 ザ ケ が 川 を遡 上 す る 場 面 か ら 記 述 され て い る。これ は 、「どの よ うに して 大 き くな っ た の で し ょ う」 との 問 い と関連 づ け れ ば 、構 成上 合

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説明的文章 の読みの指導過程一 自然科学的 な説明的文章 の文章構 成モデルに基づいて一 致 しな い 。 本 来 な ら、 卵 な い し稚 魚 の 様 子 か ら記 述 され る は ず で あ る 。 こ こ で 、学 習 者 は 、展 開構 造 に 関 わ る知 識 の組 み 替 え を要 求 され る。そ こで 、 「ど こ で 生 まれ 」 た か との 問 い に 注 目 しな が ら、展開構造 の起 点 を、卵 が 生 まれ る 以 前 に 設定 す る指 導 が 重 要 に な る 。一 般 的 に は 、 ま ず 問 い と解 決 部 冒頭 の 不 一 致 に 注 目 させ る指 導 が 行 わ れ な け れ ば な らな い 。 な お 、 この 調 整 、 修 正 の 活 動 に対 し て 、 そ の よ うな仮 定 をす る な らば 、 学 習 者 は 文 章 上 の 欠 陥 もつ じつ ま を合 わせ て 、理 解 して しま うの で は な い か 、 との 疑 問 が 出 るか も しれ な い 。 確 か に 、 認知 心 理 学 に お いて も 、 人 間 が 文 章 上 の 欠 落 を補 って 読 も う とす る こ と、 そ して そ れ が ス キー マ に 基 づ く活 動 で あ ろ うこ とが 指 摘 さ れ て い る。34 しか し、 他 方 で 、 欠 陥 を批 判 す る と い う行 為 も、 読 み 手 の 先 行 知 識 に 基 づ い て い る こ とは疑 うべ く もな い 。 あ る文 章 の構 成 が 欠 陥 で あ る と い うこ とを 、読 み 手 が 自身 の もつ プ ロ トタ イプ の 文 章 の展 開 構 造 に照 ら して 指 摘 す る こ とは 行 わ れ る こ と で あ る。 例 えば 、 「ま た とな い天 敵 」(光 村 図 書 、 6年)で は 、 ヒ キ ガ エ ル が いか に 人 間 に 役 立 つ か を論 証 しよ う と して い る に もか か わ らず 、 そ の 論 証 は 、 ヒキ ガ エ ル の害 虫 の捕 ら え方 を探 究 す る過 程 しか 示 され て い な い 。 これ で は 、 ヒ キ ガ エ ル が い か に 役 立 つ か は 論 証 さ れ な い。こ れ は 、問 い一 解 決 部 の 構 造 に 照 らせ ば 、一 目了 解 され るの で あ る。 批 判 的 な 読 み につ い て は 、 先 に 引 用 した井 上 尚 美 の 「モニ ター 」 に 関 わ る能 力35と 関 連 して 、今 後 の研 究 課 題 とな る 。お そ ら く、先 行 知 識 の 活 用 は 、 批 判 的 な読 み を成 立 させ る上 で重 要 な 活 動 とな るで あ ろ う。 以 上 述 べ て き た活 動 、指 導 が 、文 章 の 展 開 構 造 に か か わ る知 識 を活 用 さ せ る ため に 、 読 解 指 導 過 程 で 設 定 され なけ れ ば な らな い。 5.お わ りに 本 稿 で は 、 まず 、前 稿 で提 案 した 自然科 学 的 な説 明 的 文 章 に特 有 の 文 章 構 成 モデ ル を、 テ キ ス トス キー マ 的 な 存 在 と して仮 定 した 。 つ い で 、 こ の 一162一

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仮 定 に 基 づ き、文 章 構 成 モ デ ル を手 が か りに 、 読 み手 の 文 章 の展 開構 造 に 関 す る先 行 知 識 の 活 用 を促 す 、 自然科 学 的 な 説 明 的 文 章 の読 解 指 導 の 方 法 を提 案 した 。 そ して 、 この 提 案 は 、 現 在 の 説 明 的 文 章 の 読 解 指 導 研 究 に お い て 、あ ま り重 視 され て い な い 、形 式 面 の 先 行 知 識 を強調 し た こ と に な る 。 ま た 、提 案 した 指 導 方 法 は 、従 来 よ り少 な い な が ら も提 案 され て い た 形 式 面 の 先 行 知 識 を活 用 す る指 導 を 、 よ り具 体 化 す る 。 今 後 の 課 題 と して 、次 の よ うな もの が 挙 げ られ る。第一 に 、実 践 的 研 究 を 行 うこ とに よ り、本稿 で提 案 した読 解 指 導 の 方法 につ い て 、検 証 され な け れ ば な ら な い。 第二 に 、本稿 の提 案 は 、形 式 の 内 、文 章構 成 レベ ル の もの で あ る。レベ ル を文 や 段 落 に合 わせ た場 合 、文 や 段 落 に 関 わ る知 識 が 本稿 の 文 章 理 解 過 程 モ デ ル の どこ に位 置つ くか 、 こ れ の探 究 が 必 要 で あ ろ う。 こ れ は 、 ボ トム ア ップ な 活動 に 関す る議 論 とも関 連 す る と見 な され る。第三 に 、形 式 面 の 先 行 知 識 の 活 用 を 、自然科 学 的 な 説 明 的 文章 以 外 の文 章(自 然科 学 的 な 説 明 的 文 章 に お い て も、「問 い一 解 決 部 」が 設定 され な い文 章 もあ っ た)に お いて ど の よ うに 保証 す る かが 、探 究 さ れ な け れ ば な ら な い。 こ の た め に は 、 別 の 文 章 構 成 モ デ ル を 設定 す る こ とが 必 要 とな ろ う。第 四 に、本稿 で は 、批 判 的 な 読 み に 関 わ る活 動 を 、正 式 に 文 章理 解 過程 や 読解 指 導過 程 に は 位 置づ け て い な い 。今 後 、批 判 的 な読 み に関 す る探 究 が 行 わ れ な け れ ば な らな い 。 〔注 〕 1)現 在 の 説 明 的 文 章 の読 解 指 導研 究 に お け る問 題 意 識 や 改 善 の方 向性 に 関 す る議 論 は 、次 の論 文 に基 づ い て い る。 拙稿 「説 明 的文 章 の 読 解 指 導 論 認知 的側 面 か らみ た形 式 主 義 ・内 容 主義 の検 討 」、 『日本 語 と 日 本 文 学 』 第8号 、1988年1月 、pp.9-17。 2)内 田伸 子 「文 章 理 解 と知 識 の 獲 得 に お け る 目標 構 造 の役 割 」、 『お茶 の 水 女 子 大 学 人 文 科 学 紀 要 』第33巻 、1981年3月 、PP.53-85。 引 用 は53ペ ー

参照

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