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巻頭言

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Academic year: 2021

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院長 的 場 直 欠

 自治体病院の使命として,地域医療とともに高度医療,不採算医療,救急医療,僻地医療,教育 研修などが挙げられている。最近ではこれに加えて研究活動も取り上げられるようになってきた。  一体,われわれのような第一線病院での研究とは,何を指すのだろうか。この話になるとすぐに アメリカの著名な病院とがひき合いに出され,そこでは高度の診療とともに優れた研究業績がどし どし出されているなどといわれる。何時になったら日本の病院でも動物実験や研究用の測定が行わ れるようになるのだろうかと嘆く人もいる。しかしアメリカの大病院は,経営母体はいろいろでも 大学や研究所の付属病院的な性格を持つものが多い。日本の多くの病院は,決して営利事業ではな いが,そうはいっても保険診療の枠組みの中で医療を行っているので必然的に制約があり,本当に 高度の研究を志向する人は大学や研究所に行くべきであろう。  市立病院の使命は,何をおいても市民への医療サービスであり,昨今ではとくに患者中心の診療 を求める声が高い。しかし患者が病院に求める最大点はその病院のもつ質の良い医療技術であろう。 そして,これを受ける場合でも恐怖心を抱かないですむ,心のこもったやさしい対応が期待されて いる。  われわれの病院では研究室を持って,高度の技術を駆使した化学実験や動物実験を行っている訳 ではない。しかしOslerの言った“Our study is man, as the subject of accident or disease”とい う言葉が,われわれを勇気づけてくれる。William Osler(1845−1919)は著名な内科医,研究者,教 育者であったが,彼は「病室の中で医学を教えた」といわれている。Oslerの言葉を「医師にとって 最大の恩師は患者である」という言葉とを背中合せにして考えれぽ,われわれが実験室を持たない 事も嘆くには当るまい。患者は決してマテリアルではなく,掛け替えのない生命と人格を持った個 人である事を踏まえて,われわれが患者を通して学んだ事を記録し,考察し,反省して行く積み重 ねが,すなわち研究といえる。  この度仙台市立病院医学雑誌第11号が発行される事になったが,この雑誌は医局だけのものでは なく,病院で働くすべてのColleagueのものである。病院医誌の刊行は,外部の社会に対する活動 の一つでもあるが,また日頃専門分野により共通する話題やカンファランスを持ちにくい各部門の 仲間たちが,どんな事に興味を持ち,研鑑を重ねているかを知る事も功徳の一つである。今後とも 病院の当部門から,より多くのレポートが寄せられる事を期待したい。 Presented by Medical*Online

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