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21世紀型能力「キュレーション」の向上を意図した教材の開発

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Development Teaching Materials for Improving The 21st Century Skills “

Curation”

安谷 元伸

Motonobu YASUTANI

滋賀大学教育学部附属中学校 1.はじめに 小型端末の高機能化とその端末の低年齢層の所持率 上昇に伴い,生徒達を取り巻く環境に様々な変化が見 られている。教育現場においても,そのような情報社 会に対応する学習内容の模索やICTを活用した授業手 法の確立等,校種を問わず教師1人の処理能力を超え た問題や課題も生じている。このような状況において, 文部科学省は,「社会の変化に対応して求められる資 質・能力を育成する観点から教育課程を編成する必要 がある」との提言を行い,「21世紀型能力」獲得の重 要性を示した。「21世紀型能力」は,国立教育政策研 究所が以下の試案図で概要を示している(図1)(1) 。 図1 21世紀型能力の概要図 (国立教育政策研究所平成24年度研究調査研究報告書より作成) 中心に位置する基礎力の1つ「情報スキル」は,情 報の本質を理解してその扱い方を考える能力として考 えられる。また,この力は学習場面における思考,判 断,表現の基礎となる理由や根拠を明確にする重要な 資質・能力とも言える。そして,これら収集した情報 を整理,分析して多様な学習活動に関連付けていく力 は「キュレーション」と呼ばれる力として考えられる。 生徒のキュレーションの力が向上することで「情報ス キル」の成長につながり,「21世紀型能力」の獲得を 促すことが期待できる。キュレーションは,本来,図 書館や博物館といった場所で用いられてきた言葉であ る。そのため,教育的にキュレーションに着目した先 行研究や実践は少ない。 本稿の目的は,生きる力を形成する「21世紀型能 力」の基礎力たるキュレーションの力を向上させるこ とで,生徒達が活発にアクティブラーニングを成立さ せることができる教材及び学習の手法を明らかにする ことである。 2.キュレーションの定義 キュレーションとは,キュレーターという職業が勤 務する美術館や博物館を中心に用いられてきた言葉で ある。各分野で微妙な意味の違いが見られることもあ るものの,その本質的な意味には共通点を見出すこと ができる。 2.1 情報学的アプローチ 佐々木は,マスメディア主導による情報の一方向の 流れに消費者がついていく時代が終了し,インター ネットの登場でディジタルデータに一元化され,情報 コンテンツが常時入手可能となるアンビエント化と呼 ばれる現象が実現化した社会では情報の共有化が進 み,その関係性において,どのような位置と方角と価 値観によってものごとを見るのかという各人の「視座」 が重要な意味を持つようになったと論じる。この視座 こそがキュレーションであると佐々木は説明する(2) 視座は,世界観や価値観など他者が持ちえないその人 の考えを含み,人により異なる。そのため,視座を通 した情報流通が圧倒的な有用性を持つようになってイ ンターネットという世界で必要性を明確に広範に認知 されるようになっているものと指摘する。すなわち, ここでは視座を提供する人がキュレーターであり,情 報に意味を与え再構成する行動こそが視座となる。そ して,一次情報よりも,その情報が持つ意味やその情 報がもつ可能性,その情報が持つ各自の固有価値判断 といった,視座によるコンテキスト(情報)を付与で きるキュレーターの価値が今現在,高まっていると言 う。それは,キュレーションが大量の情報のノイズの 中から必要とする情報を取り出し,新しいコンテキス <キーワード> キュレーション アクティブ・ラーニング 思考ツール 教科横断型カリキュラム

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トを付与する手段となるためである。だからこそ,キュ レーションという言葉が,本来使用されていた美術館 から飛び出して,今や情報を司る存在という意味に使 われるようになってきているのだと論じる。 2.2美術館博物館学的アプローチ 一方で長谷川は,キュレーターが活躍する美術館と いう領域からキュレーションについて解説を加えてい る。キュレーターの仕事は,視覚芸術を解釈し,これ に添って,芸術を再度プレゼンテーションすることが 基本であると指摘する。また,アーティストと作品を 展示する場所,予算,時期などの状況,コンセプトを 協働してアイデアを創り彼らに関わる存在としても論 じている。作品と観客との出会いのためのインター フェースをつくり,理解を促すための情報を適切に与 える行為を通して,キュレーターは展示会や美術館か ら≪パブリック≫と明確に関係を持つのだという(3) 。 そしてキュレーターは,時には既存の価値観からは アートとみなされないものでも,アートの視点で価値 を見出し,拾い上げ,コンテテキストを与えることが しばしばあるのだとする。それ故に,キュレーターを 媒介者として定義付けている。その上で,グローバル 時代では,キュレーターが行うキュレーションに一つ の方法論はなく,絶えざる交渉と変化と葛藤に身をさ らし,意見を交換し続けることにより,キュレーター の無限の方法論,実践は生まれてくる。さらには,キュ レーションという言葉を用いた書物が,アートの文脈 とは無関係に出版されるほど,いまキュレーションと いう言葉が市民権を得つつあることにも言及してお り,佐々木同様キュレーションが本来使用されてきた 領域に収まらない言葉であるとの認識を示している。 2.3学校教育的アプローチ  スティーブン・ローゼンバウムらは,キュレーショ ンの形態と規模は千差万別であり,新しい言葉だが, 古くからある言葉でもあって,今日,キュレーション という行為はあらゆるところで行われ,キュレーショ ンとは取りまとめられ,整理されたものに,人間がそ の質を評価することを通じて付加価値を与えることで あると説明する。そして,コンピュータなどが行う単 なる情報収集(アグリケーション)と異なり,人間的 な作業であるからこそキュレーションであり,データ とアイデアを区別できず機械的な仕分けの能力しかな いコンピュータには行えない行為として論じている。 その上で,キュレーターは情報と受け取り手を結び付 ける中間者としつつも,その能力が活躍する場はウェ ブサイトや雑誌,メディアの編集関連ビジネスの現場 などであり,特にインターネットを介した商業的成功 に必要な力として語っている(4) このようにキュレーションという言葉は,本来用 いられていた領域を超えて利用され,人間の思考活 動を意味する言葉となっていることを確認することが できる。しかし,教育においてキュレーションを考え る場合,アートの意味を捉え直すものでも,新たなビ ジネスを展開を模索するためのものでも,職業として のキュレーターとなることを限定して目的とするもの ではない。学習の過程で生じる,大小様々な課題に対 して,その解決方略のための情報,手段の収集し,整 理し,再構築した上で意味づけ,価値づけを行って問 題,課題の解決を目指すための思考活動もまたキュ レーションだと言えるため,この活動こそ学校教育的 なキュレーションとして定義づけられるものと考え た。キュレーションによる結果がどのような利益を生 むかではなく,キュレーションという行為そのものに 着目することが学校教育の場では重要となるものと指 摘できる。それは教育的なキュレーションこそ,生徒 達の主体的な学びを支える力と成り得るもので,交流 や議論を活発化させる力と仮定できるからである。教 育におけるキュレーションの主体は生徒である。学習 の中で問題や課題,そして目的を達成するためにキュ レーションを幾度となく行って,交流を重ね,発表や 議論の題材としていく力こそが学校教育で重視するべ きキュレーションであり,21世紀型能力の成長に通ず るものと考えた。 3.アクティブラーニング 3.1 アクティブラーニングの定義 21世紀型能力の成長と関連付けられるキーワード としては,アクティブラーニングも挙げられる。アク ティブラーニングについては,2012年8月の中教審答 申において,高等学校や大学における教育の質的転換 に有効な学習形態として示された言葉であった。次い で,2014年11月の中教審答申諮問文において,協働 型の課題発見・解決学習を主体的とした学習形態とし て具体的な説明がなされた。そして,小学校,中学校, 高等学校の現場で充実させる必要性が示されたことに よって,それ以降,校種を問わず教育の現場で,アク ティブラーニングに関心が向けられるようになった。 一方で,文部科学省は,生徒が主体的に活動すれば アクティブラーニングが即時的に成立するものではな い点を指摘している。活動的な生徒の学習展開を意図 するにおいては,適切なねらいの設定,協働の方向性 の明確化などが学習要素として必要であり,明確な目 的が示されない学習班の話し合いなど,活動的に見え る学習が即ちアクティブラーニングではないとの理解 が求められる。また,田村は,児童生徒がアクティブ (活動的)になるべきは体でなく頭であると論じ,ア クティブラーニングの本質を説明する。これらのこと から,学習において思考活動や判断場面が多面的に設 定された学びがアクティブラーニングであり,その学

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習目標や活動内容については計画性が求められる学習 の枠具みであることが指摘できる(5) 。 3.2 キュレーションとの関係性 アクティブラーニングを計画的に進めるには,多様 な学習と目標の設定,段階的に学習能力を成長させて いく視点の設定が必須となる。アクティブラーニング は,学習者が求められる能力を獲得していない場合, 十分に学習の目的を達することはできない。村井はそ の理由として、アクティブラーニングの学習活動や内 容の特長が単独の学びではなく一連の学びである点を 指摘し、説明している(6) 。 例えば,1人の教師で事前準備を整えず授業展開上 で突発的に行われたアクティブラーニングでは,生徒 の学習レディネスの構築の状況に差があるため,生徒 たちの学習の展開や結果が偶然に依存する率が高ま る。これは,生徒が協働し,交流を行うことを主とし て展開するアクティブラーニングの学びを進めていく ためには,それらの学習を展開する基礎の能力が生徒 にある程度備わっていなければならないためである。 この能力の差があまりに見られると,各々学習グルー プの学び内容の予測が立ちにくく,グループによって は活動あって学び無しとなる活動主義へ陥る可能性を 内包してしまう。一斉学習と様々な面で性質が異なる アクティブラーニングには,学習する内容や教材,評 価の観点も重要であるが,中長期的な計画と生徒の学 習土台となる環境を整備することによって,生徒に能 動的学習活動を行える能力を保証する取り組みが必要 である。即ち,アクティブラーニングを充実させるた めには,生徒がその学習を進行していくための前提の 能力を獲得し,それを活用していくことができる姿勢 が必要だと指摘できる。学習活動の中で情報を収集し て,整理し,意味づけ,再構成しながら判断に帰結さ せていく能力は,アクティブラーニングの主体的な学 習を支える根幹となる。ここに,キュレーションの能 力がアクティブラーニングを活発化する前提の能力と して機能することが指摘できるものと考えた。 4. キュレーションの向上を意図した授業実践と教材 開発 以上のような仮説から,滋賀大学教育学部付属中学 校の総合学習「情報の時間」において,キュレーショ ンの向上を意図した授業実践及び,教材開発を進めた。 4.1「情報の時間」概要 「情報の時間」は2007年度より継続している中学校 段階における多様な学習を成立させるために設定した 学習の時間である。2013年度からは総合的な学習の 時間の内に位置付け,各学年で年間20時間の学習時間 をカリキュラムに設けている(図2) 図2 2013年度以降の「総合的な学習の時間」概要図 総合的な学習の時間では,「情報の時間」の他,30 年 以 上 に 渡 っ て 継 続 し て い る 総 合 学 習「BIWAKO TIME」,学級劇に関する学習を中心として多様な学 習内容から成る「COMMUNICATION TIME」を行っ ている。生徒主体の調査研究学習を異学年合同のチー ムで進める総合学習「BIWAKO TIME」の学習を充 実させるため,研究手法,調査手段,メディア操作の 知識,技術,アプローチ方法,コミュニケーションス キル,社会的経験などを得る学習時間として残る2つ を開設している形である。2015年度の「情報の時間」 は,以下の年間指導計画で進めている(表1)。 表1 平成27年度(2015年度)「情報の時間」年間指導計画 「情報の時間」は教科横断型の学習の時間として取 り組んでおり,その特徴として校内の全ての教科の教 師が関わることが挙げられる。そのため,教科を超え た教師間交流が盛んとなり,「情報の時間」を通して 授業の展開や方法,教材・教具の交流が活性化した。 その中でも,「思考ツール」の学習利用は特に浸透し たもので,「情報の時間」の様々な単元,学習場面で「思 考ツール」を用いた学習を進めるようになった。

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4.2 「思考ツール」の概要 「思考ツール」とは,思考過程や作業状況を可視化 して共有するために用いる図などの総称で,学習にお ける有効性を水越や黒田が明らかとしている(7) 。「情 報の時間」における生徒間交流を充実させる目的で 2008年度頃より滋賀大学教育学部付属中学校でも教 具として導入,実践と研究を進めてきた。分析を行う 課題ではベン図や四象限図,情報を整理してまとめて いく場面ではピラミッドストラクチャーやフィッシュ ボーン図,思考やアイデアを広げ深める場面では,イ メージマップ(ウェービングマップ)やロジックツリー など,様々な思考ツールを場面に応じて活用しつつ学 習における効果の検証を進めた。「思考ツール」の各 教科における利活用が広がったことで,様々な特性や 学習機能も明らかとなった(図3)。 図3 「思考ツール」の社会科の板書事例(四象限図) これら「思考ツール」の授業利用の手法は一様に定 めたものはなく,教科,授業内容,課題や題材に応じ て臨機応変に活用することが基本となる。また,思考 ツールの利用が生徒の思考や活動を固定化し,選択肢 を狭めないように留意する必要がある。しかし,抽象 的概念の具体化や演繹的思考,帰納的思考の両方にお いて可視化できる思考ツールの機能は,多様な学習場 面で有効に活用できることが各教科の実践経て把握さ れるようになった(8) 。 4.3 「思考ツール」の課題 「思考ツール」の導入を最初期に進めた「情報の時 間」での実践,検証を通して,それを用いた授業展開 の明確性,視覚情報を残せることによる生徒理解の向 上,記録と確認における利便性等が校内に浸透した。 「情報の時間」に全ての教科の教師が関わっていたこ とも,「思考ツール」の全教科での利用の一因となっ た。その結果,多角的な活用と学習効果の検証が進ん だ。他方で,「思考ツール」の課題も明らかとなった。 適切な状況で用いることの重要性,特に学習する内容 と利用場面のミスマッチによっては,授業の展開に混 乱が生じる事例も確認された。 例えば,「ベン図」の利用においては,課題を設け, それをベン図で分類する際の留意点が明らかとなっ た。ベン図は,共通点と相違点を視覚的に分かりやす く整理する思考ツールである(図4)。 図4 授業で利用している「ベン図」の事例 しかし,それぞれに配置する情報が不確定な場合, 課題や分析対象からの情報の抽出と配置の判断を同時 に求めることとなり,「ベン図」を用いた学習の難度 が高くなることが学習活動後の「思考ツール」の成果 物の分析から把握できた。新聞記事の内容比較などの 学習では,適切に「ベン図」を用いなければ,新聞の 読解と理解,そして内容を共通点と相違点に配置して いく作業が同時に求められることになり,1年生の学 習などでは短時間で終えることが難しい内容ともなっ た。これらの反省から,情報を抽出する作業と「ベン図」 の作業を分断して行い,それぞれの目的に応じて,活 動の内容を明確にする取り組み進めたことによって, 「ベン図」を効率よく利用することができるようになっ た。このように「思考ツール」の活用を適材適所的に 判断することは重要であり,キュレーションを向上さ せる学習展開を成立させるための教材開発においても 求められる視点であると考えた。 5.実践 5.1 開発教材 これらの分析から,キュレーションの能力を向上さ せるために用いる「思考ツール」は情報収集,情報の 整理,意味づけを段階的に行えることが必要との認識 に至った。そこで,以下の図を考案した。 図5 情報整理・意味づけツール(仮)

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この図では,四方に配置している四角形と中央に配 置する四角形に要素とそこから判断し情報を意味づけ た内容を記入していくものである。要素を先に記述す ることで,そこから帰納的に思考して収集,抽出した 情報を意味づけ,再構成して表現するツールである。 これは,以前考案していたフラワーマップをキュレー ション活動に対応するように機能的に整理したもので ある(9) 。また,逆転的な情報の流れの演繹的な思考 活動にも用いることができるように設定している(図 6)。 図6 情報整理・意味づけツール(仮)の演繹的利用案 5.2 授業実践 「情報の時間」の2年生で第三単元として行われる「情 報を活用しよう」の時間において,これらの図を用い て授業を進め,キュレーションの能力を向上させる学 習の成立を目指した。「情報を活用しよう」の授業は, 以下の単元計画で進める(表2)。 表2 2015年度「情報を活用しよう」単元指導計画 単元の目標は,情報の性質の理解と有効な活用方法 の学習,データベースの性質の理解,操作技法の獲得 などである。前年度まで学習内容が難しい要素を含め ていたこともあり,その点の改善も目指した。 開発したツールは第2時で用いた。この時間の学習 はデータベースの学習へと移っていく前段階の内容に あたる。収集したデータを整理,抽出,意味づける操 作の意味と意義を学習する前に,対象のデータについ て知識の共有化を図るためにも能動的なグループ活 動が必要である。その活動の主体としてこのツールを 用いた。ツールは個人学習とグループ学習の両方で利 用し,まず各々が性質理解と利用手法に慣れるために ツールを用いて課題にあたる。ツールの機能の説明, 活用の方法の説明などはこの段階で行った(図7)。次 の段階としてグループでツールを中心とした学習を進 める。各グループに1枚のツールを配布し,情報の収集, 交流,意味づけを行うキュレーションの活動を演繹的 思考で行って交流を進めるように設定した。 図7 ツールの説明提示の事例 まずは,情報収集と整理,意味づけと再構成という キュレーションの基礎的な流れを段階的に定着させて いくために,学習内容,活動を細分化し,積み重ねて 目標を達することを目指した。これまでの実践の反省 から,ツールを用いた活動の難解化を防ぐためである。 学習展開は,①本時の目標の確認と内容説明②ワーク シートを用いた情報整理・意味づけツールの活用(昔 時 第1時 第2時 第3時 第4時 第5時 題目 データを活用 する、とは? おとぎ話を  集めよう おとぎ話のデ ータベースを 作ろう データベース を理解しよう まとめ 内容 データと情報の概念の再確認   データベースの考え方の学び おとぎ話を題材に思考ツール を用いた要素分析 (グループ学習) 集めた要素をクラウド上のスプ レッドシートにグループで役割 を決めて入力し完成させる 完成させたデータベースを操 作して概念と活用方法の理解 を深める データを活用する方法の確認 思考ツールの確認単元評価ア ンケート 図8 ツールを用いたワークシートの個人学習の事例

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話「桃太郎」を題材とした情報抽出,整理,意味づけ) の作業(図8)③グ―プ学習④グループでツールを作 り上げる,という一連の学習展開で進めた。 6.成果と課題 本実践研究においては,グループの意見交流,議論 と成果物の完成(思考ツール)というアクティブラー ニングの流れに開発したツールを導入したことで活動 の活性化が見られた(図9)。 図9 ツールを用いたグループ学習の様子 開発したツールは,視覚的に情報を整理する機能に 特化させている。そのため,発想した情報や収集した 情報を意見の交流を行いながら,どこに配置するのか 活発に議論することができるようになったことが確認 された。それは各グループの成果物である思考ツール の記述量からも見て取ることができた。このツールを 用いることで,個人作業の成果をグループ活動に反映 させやすい状況を実現することができた。その結果, グループで作成するツールの情報量も増加したものと 考えられる(図10)。 図10 グループ活動によって完成したツールの事例 一方で,生徒達の客観的なキュレーションの向上を 確認するための具体的な指標,調査の手法の確立は今 後の課題である。今回のツールの利用事例では,収集, 抽出した情報を意味づけて再構築する「視座」の部分 において,第2時はツール利用の試作授業ということ もあって弱い面が指摘できる。単元後半のデータベー スの学習で,データ群から情報を抽出,そこに意味を 与える学習においてもツールを利用した学習を進める が,ツール利用の初期段階でも明確なキュレーション を行う展開を視野に入れ,単元構成を見直すことは今 後の課題と言える。 7.おわりに 本研究では,アクティブラーニングにおけるキュ レーションの重要性を指摘し,その力を向上させるた めに利用できる新しい思考ツールを開発し,総合学習 「情報の時間」の2年生の単元の授業で用いた。ツール を用いた「データを活用しよう」の単元では,データ ベースの操作,機能理解の学習の前に収集されたデー タの意味づけや再構築,そこから新たに情報を抽出す ることなどを説明や資料を通して学習する内容として 設定していた。多様な内容を学ぶ単元であるが,内容 の中には中学生が学ぶには難しい情報のエントロピー 概念や論理も含むものであった。そこで,学習をキュ レーションに関わる内容主体に再構成することで,生 徒たちは活発なアクティブラーニングが行えるように なった。難しい学習内容についても,教え込み型の学 習展開から交流や協働作業による知識共有化を進める 授業へ改善することにもなり,その点においても一定 の成果を確認できたと言える。 今後は,授業に対するツールの適応化をさらにすす め,成果の数値化や開発した思考ツールの成果物のテ キストマイニング的分析,比較などを行い,キュレー ション能力の向上について客観的な効果の把握に努め たい。 参考・引用文献 1) 勝野頼彦他(2013):『平成24年度プロジェクト研 究調査研究報告書初等中等教育-020 教育課程の 編成に関する基礎的研究報告書5』「社会の変化に 対応する資質や能力を育成する教育課程編成の基 本 原理」(改訂版),国立教育研究製作所. 2) 佐々木俊尚(2011):『キュレーションの時代―「つ ながり」の情報革命が始まる』,筑摩書房. 3) 長谷川祐子(2013):『キュレーション知と感性を 揺さぶる力』,集英社. 4) スティーブン・ローゼンバウム,訳・野田牧人(2011) 『キュレーション』,株式会社プレジデント社. 5) 田村学(2015):『アクィブラーニングって,な に?どんな学び?』,教育ジャーナル2015年5月号, pp.38‐41. 6) 村井万寿夫(2015):確かな学力を高める「学習・ 指導方法」,『学校とICT』2015年8月号,pp.2-6. 7) 黒上晴夫,岸磨貴子(2008):状況論的アプローチ

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からみたシンキング・ツールの活用実践日. 8) 田村学,黒上晴夫他(2014):『こうすれば考える 力がつく!中学校思考ツール』,小学館. 9) 安谷元伸,菊谷愛(2013):中学校1年生からキュレー ションの力を育成する情報教育の実践の報告,滋 賀大学附属教育実践総合センター紀要パイデイア 第21巻pp.31-37. 謝辞 長期にわたって教科横断型カリキュラム「情報の時 間」に取り組み,共に研究を深め,様々なご助力を頂 いた滋賀大学教育学部附属中学校理科の多田尚平教 諭,そして関係者の先生の皆様にこの場を借りて心よ り御礼申し上げます。 謝辞 本研究における思考ツールおよびキュレーション能 力に関する研究は,JSPS科研費15H00075の助成を 受け進めたものである。

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