Title セルラーゼのラクトシル配糖化反応を用いた有用物質の生産( 内容の要旨 ) Author(s) 安武, 望 Report No.(Doctoral Degree) 博士(農学) 甲第333号 Issue Date 2004-03-15 Type 博士論文 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/2674 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 安 武 望 (茨城県) 博士(農学). 農博甲第333号 平成16年3月15日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 静岡大学 セルラーゼのラクトシル配糖化反応を用いた有用物質 の生産 主査 静岡大学 副査 静岡大学 副査 岐阜大学 副査 信州大学 授 授 授 授 教 教 教 教 氷 岸 曽 畑 碓 河 木 北 泰 市 洋 和 、眞 寿美雄 論 文 の 内 容 の 要 旨 ラクトースやルアセチルラクトサミン(bcNAc)■は生体内では複合糖質の糖脂 質や糖タンパク質の糖鎖中に存在し、普遍的なコア単位となっている。、本研究で はセルラーゼの縮合活性の能力を利用し、ラクトース及びbcNAcニ糖単位の汎 用性に富む実践的な配糖化法の開発を目的とするとともに、その反応機作を解析 し生産物の機能性を探索した内容で、次のように3部に要約される。 1.縮合反応による二糖配糖体の合成 市販セルラーゼ酵素製剤から選抜した升fcゐ0ゐr〝‡α柁郎ef由来セルラーゼを触媒 素子とし、グリコシ基質としてラクトース、アグリコン基質として各種アルカノ ール(C2-C10)およびグリセロールから高基質濃度下で縮合反応を行うと、直接実 に簡単にワンポットでラクトース配糖体を合成できることを見出した。これらの 生成物は基本的に1∼2段階のクロマト操作で単離可能であった。本反応はアグリ コン基質のアルキル鎖の伸長に従いその反応性は徐々に低下しCl。の1-デカノー ルでは生成物は検出できなかった。本反応においてラクトースとグリセロールと の配糖化反応の効率は高く、その生成物は二種存在し、グリセロールの一級水酸 基に配糖化した1-0-β-ラクトシルー(凡均一グリセロールが主生成物であった。さらに、
様な反応を行ったところ、配糖化は進行した。しかしその効率は1/4程度に低下し た。 2.配糖化反応における酵素触媒分子の特定 上記ラクトースおよびLacNAc単位の縮合反応による配糖化において、同一酵 素がその触媒反応を任うのかどうか特定するために、セルラーゼ粗酵素から各種
クロマト操作により精製を進めた。最終的にポリアクリルアミド及び等電点によ
る電気泳動的に単一のバンドを示す標晶を得た。本精製酵素標晶を用い、配糖化 を行ったところ、ラクトースとLacNAcを結合させる縮合反応は同一酵素分子が 任っていることを実証した。 次に本酵素の各基質に対する水解特性を解析した結果、セルラーゼの作用機作 に基づいてエンドーβ-(1-4)-グルカナーゼの一種であると結論づけた。また、粗酵素から予め侠雑するβ-ガラク・トシダーゼを除去した後に縮合反応を行わせると、革
質であるラクトースやLacNAcの分解が抑制されて配糖体の収率は2倍以上に向 上することも明らかにした。 3.グリセロイルβニラクトシドの特性評価 量産したグリセロイルβ-ラクトシドを用い、物性ならびに消化性の評価試験を 実施した。 本化合物は、高湿度環境下において、対照とするグリセロールと比較しラクト ースを導入することで吸湿性が著しく低くなるという特徴を見出した。また、各 消化部位を模した加γ加試験では、本二糖配糖体は殆ど分解されず難消化性であ ることを明らかにした。これらの特徴は本化合物が化粧品用途での保湿素材とし て、また食品における難消化性素材としての可能性を示す結果でもある。 以上の結果、セルラーゼの縮合反応を利用し実に簡単にラクトースならびに LacNAc配糖体を酵素合成できる新奇の方法を開発した。このような配糖体は複 合糖質のリード化合物として、また、バイオ関連の機能性素材として応用面への 展開が期待できる。 審 査 結 果 の 要 旨 本論文は、セルラーゼの極限状態で発現する縮合反応を利用し、ラクトースと アルカノール類を直接ワンポットで配糖化し、ラクトシル配糖体となす画期的な 新奇結合手法を開拓したものである。その内容は次のように要約される。ー96-序章に続き第2章では、市販セルラーゼ酵素標晶の中から縮合活性の強力な 升わ力0ゐr椚α属由来のセルラーゼを選択した。これを用いて、ラクトースと各種 1-アルカノール(C2-C10)類およびグリセロールを基質として縮合反応を行ない、 対応するラクトース配糖体を得ている。アルカノールとの場合そのアルキル鎖の 伸長により、反応効率は徐々に低下した。グリセロールではその配糖化は著しく 進行し、主生成物l-0サラクトシルー(凡均一グリセロールを得た。同様な方法でラ クトースの代わりに〝-アセチルラクトサミン(LacNAc)を用いても配糖化反応 が進行することを見出した。このように本来ラクトースやbcNA¢二糖単位は糖 脂質や糖タンパクのコア糖鎖単位であるので、構築した配糖体はこれら人工複合 糖質のリード化合物として利用が期待できる。 第3章では、上記結合反応におけるラクトースとL誠NAcからのそれぞれの配 糖化を触媒する活性が同一酵素分子に由来するかを実証するために、rJ判汀d由 来甲粗酵素から各種クロマト換作により精製を進めた結果、ポリアクリルアミド 及び等電点による電気泳動的に単一のバンドを示す標晶を得ている。本酵素標晶 の縮合反応より、ラクトース及びL如NA¢単位での配糖化を同一酵素分子が任う 予想を実証している。また、粗酵素から予め侠雑するβ-ガラクトシダーゼを除去 した部分精製酵素標晶を用いることで基質であるラクトースやL拡NA¢の分解が 抑制されてその収率を2倍以上に向上させることができることも示している。 第4章たおいては、上記縮合反応により量産したグリセロイルβ-ラクトシドの 物性ならびに機能性の評価試験を行っている。基本物性ではグリセロールやソル ビトールに比べ、吸湿性が極めて低くなるという特徴を示し、化粧品素材として の用途に期待がもたれる結果を得ている。また、各消化部位を模したゎγf伽試 験を行ったところ、本配糖体は殆ど分解されず、難消化性の物質であることを確 認している。 このように本論文は実に簡単にラクトースならびにLa¢NA¢配糖体を酵素合成 できる新奇の方法を開拓するばかりか、複合糖質のリード化合物として、また、 バイオ関連の機能性素材として応用面への展開も含めた用途開発の可能性を論じ ておりその内容は高く評価できる。 以上本論文審査会は浸出論文並びi羊基本となる学術論文等について慎重に審 議し、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文と して十分価値のあるものと判断した。
[基礎となる学術論文] l・塾迦!垂らK・Tbtami,YHarada,S.Haragu血i,T.Murataand T Usui:E餓cient 町nthesisofglyceroylβ-1actosideand-itsderivativesthroqghacondensationreactionby ¢e11血se・βわぐ鋸玖βf甲′叩・Jcね,1彪○,お2-258(2003) 2・塑・伽take,K・Tbtami,YHarada,S・Haraguchi,TMtwataandTUsui:Synthesisof glyccmylβルacetyIlactosamimidea11ditsderivadvesthrough&COndensadonre&Cdonby ∝11山a鍾・βf郎ぐf・風加加血相L飢α血糊・,石7,1530-1536(2003) [参考資料] (Review) 1・蜘K・Tbtani,Y打arada,S.Haraguchi,TMurataandTUsui:Novel Synthesisoflactosylβ一gb,COSidesandanalogs血rovghcelhlase-mediatcd traASglycosylationorcondensationreaction.J4FPLGb,COSCi.,(itlpreSS) (Red¢W) 2・安武望:人工高分子を用いた合成反応.卓効ヱ貿7$,136(2001)