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脳における嗅覚情報処理に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

脳における嗅覚情報処理に関する研究( 内容の要旨 )

Author(s)

平野, 好幸

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第129号

Issue Date

2003-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2183

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 平 野 好 事(新潟県) 博士(獣医) 獣医博甲第129号 平成15年3月13日 学位規則第4粂第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 岐阜大学 脳における喚覚情報処理に関する研究 主査 岐阜 大 学 教 授 副査 帯広畜産大学 教 授 副査 岩 手 大 学 教 授 副査 東京農工大学 教ごノ授 副査 岐阜大学 薮 授 副査 明 海大 学 教 授 義志 之 善均一 篤 和一 肇 脇 藤 口 谷 川 崎 武東谷・田北外 論 文 の 内 容 の 旨 視覚や聴覚とともに生命を維持する上で最も基本的な感覚の⊥っである喚覚は外 部刺激を認知し、摂食行動、種族保存・維持に大きな役割を果たしている。しかし、 喚細胞に存在する喚覚受容器からの情報が大脳皮質のどの部位に連結し、どのように 処理されているかについては解明されてレ†ない部分が多い。したがって、動物の生

命・痩族維持の根幹をなしている喚覚の果たす役割の解明は獣医学にとってはもちろ

ん、医学全般においても重要な課題である。それゆえ、本研究では、時間分解能の高 い脳波記録法と、高空間分解能を持つ機能的磁気共鳴画像法を用い、喚覚情報処理の 脳内機構を解明することを目的とした。 脳波記録法は」非侵襲的に大脳皮質錐体細胞届からのシナプス後電位の集合を記 録し、離散フーリエ変換法とスムージングフィルター法による周波数スペクトル解析 によって、におい刺激による脳波周波数スペクトルピークの分布状態を調べた。本研 究では、脳波研究に最も頻繁に利用されているラットと、晴乳類の中では最も喚覚開 値が低いと考えられているイヌを研究対象とした。一方、におい刺激による脳賦活部 位の同定に用いた機能的磁気共鳴画像法は、神経が興奮した部位の近傍に起こる還元 ヘモグロビンの低下する現象を画像化する方法で、きわめて高い空間分解能を持つ。

(3)

-152-しかし、動物では脳血流量が少なく、現状では脳機能部位の特定に必要な信号対雑音 比を得ることができないことから、動物の喚覚機構と基本的に同じであると考えられ ているヒトを対象に実験を行った。におい刺激は、酢酸アミル、リモネン、酪酸、ヘ キサン酸をプロピレングリコールでそれぞれを10倍に希釈したものを外鼻孔に送気 して行った。脳波応答を周波数解析した結果、15-30Hz付近とさらに高周波領域に多

峰性スペクトルピークが出現することが明らかとなった。さらに個体ごとの脳波スペ

クトルピークの出現パターンをクラスター分析によって求めた結果、両動物において 18-22Hzのスペクトルピナクは全供試におい物質に共通して発現することが明らか になった。この結果は、18-22Hzの脳波が、においの種類に非特異的な応答であるこ とを示している。このスペクトルピークのパワー値は、ラットでは酪酸、ヘキサン酸、 酢酸アミル、リモネンの順であり、イヌでは酪酸、リモネン、'ヘキサン酸、酢酸アミ

ルの順であったムまた、高周波領域のうち80-90Hzのスペクトルビヤクが、酪酸およ

びヘキサン酸の刺激に共通して出現することが、両動物において明らかになった。さ らに、イヌの嫌うリモネンに対して47Hz付近にスペクトルピークが認められた。以 上の結果から、本研究で用いた周波数スペクトル解析は、脳内情報処理におけるにお い物質の特性を明確にすることができることから、脳波のにおい応答の解析に適して いることが分かった。 におい刺激による脳賦活部位を、機能的磁気共鳴画像法を用いて調べた結果、左 下前頭回、右内側前頭回、。右中前頭回、右上前頭回、右中心前回、両側下頭頂小葉、 右横前部、右舌状回、左下後頭回、右中側頭回、両側帯状回、右海馬傍回、両側島皮 質、両側視床、右中脳および両側小脳が全供試におい物質によって共通して賦活され た。加えて、右下前頭回こ左中前頭回、左上前頭回、左中心前回、右中心傍′ト葉、左 横前部、右楔部、右中後頭回、両側上側頭回、左下側頭回、右海馬、両側尾状核、両 側被穀、左外側淡蒼球、両側視床下部および左中脳は、それぞれ異なるにおい物質に よって賦宿された。また、におい刺激によって視覚や聴覚などの感覚情報を集め、統 合認識を司る領域である下頭頂小葉が賦活という全く新しい知見が得られた。特に、 においの種類によって視床の賦活化に顕著な差が認められたことは、脳波記録法で求 められた80-90Hzのスペクトルピークがにおいの種類に特異的であることから推察 すると、視床がこの脳波の発生部位であるという可能性が示唆された。これらのこと から、脳波記録と機能的磁気共鳴画像法の併用は、脳におけるにおい情報処理の解明. に役立つことが示唆された.。

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審 査 結 果 の 要 旨

喚覚は、動物にとって外部環境の変化の受容に重要な役割を担っている。′しかし

ながらJ喚細胞で受容されたにおい情報の脳内処理過程のうち、大脳皮質に関連する

部位についてはいまだに明らかにされていない。申請者は、におい情報の脳内処理過

程を明らかにする目的で、脳波記録法および機能的磁気共鳴画像法を用いて調べた。

1) 異なるにおい刺激に対する脳の特異的な反応を調べるために、ウイスター系ラ ットおよびピーグル犬から導出した脳波に離散フーリエ変換を行うことにより、にお い刺激に対する脳波の周波数特性を解析した。その結果、両動物種において、いずれ のにおい物質に対しても10-40Hzに脳波応答が認められた。さらに周波数スペクトル

ピークの差分平滑化により、それぞれのにおい刺激に対するスペクトルピークが120

Hzまでの高周波領域に散在することが明らかなった。さらに、スペクトルピークの

出現パター■ンを求めたところ、供試した全てのにおい物質に対して、ラットでは19.5 Hzに、イヌでは20.4Hzに共通してスペクトルピークが存在することに加え、におい 物質によって異なる周波数スペクトルピークが存在することを見出した。また、両動 物において酪酸とヘキサン酸では80-90Hzに共通のスペクトルピークがみられた。こ のスペクトルピークの存在は哺乳動物がこの両者のにおいを好むことから、喚覚情報

処理過程における共通性が尭現したことを示唆している。これらの結果から、脳波の

におい応答を解析することにより、脳内情報処理におけるにおい物質の特性を見出し た。 2) 異なるにおい刺激に対して賦宿される脳部位を同定するために、ヒトを用い、

におい刺激時における赤血球の酸素化状態の変化を機能的磁気共鳴画像準により解

析した。その結果、全てのにおい物質に共通して顕著に賦活した部位は、右舌状回、 両側下頭頂小葉、右中側頭回、右帯状回、右中脳、右上前頭回、右視床、右島皮質お よび右海馬傍回であり、これらの部位はこれまでに報告されている全ての部位と一致 している。また、前頭葉に広範囲に賦活が認められたことに加え、におい刺激による 情動変動と、それに関わる帯状回の賦活が認められたことから、帯状回に入力された におい情報は情動を変動させ、さらに前頭葉に投射し、思考、判断および注意等の処 理を行っていることを示唆した。また、脳波解析から得られた80-90Hzの周波数の発 生源が視床である可能性も示唆する等、脳波記録だけでは得られなかったにおい刺激 による脳内応答を推察できた。

以上より本研究は、脳波記録法とMu法の両手埠を併用することにより、喚覚

情報処理の脳内機構を明らかにしたもので、この研究法をさらに発展させることは、

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-154-今後の脳内喚覚情報処理機構の解明に寄与するものと思われる0 審査委員軋全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論文と して十分価値のあるものと認めた。

基礎となる学術鱒文

l)題 目:脳波高周波成分の喚覚刺激に対する応答 著・者 名:平野好事,志永泰武,外崎肇一 学術雑誌名±日本味と匂学会誌 巻・号・貢・発行年:6(3):361∼364,1999

2)題 目:Electroencephalographic olfactometry(EEGO)analysis of odour responsesindogs 著 者 名:HIRANO,YoshiyukiOOSAWA,TomokoandTONOSAKI,Keiichi 学術雑誌名:ResearChinVet6rinaryScience 巻・号・頁・発行年:69(3):263∼265,2000 3)題 目‥羊オイ刺激によって賦活される脳部位:機能的磁気共鳴画像法 による解析

者 名:平野好事,丹羽政美,高橋尚弘,外崎肇-,武脇義 学術雑誌名:日本味と匂学会誌 巻・号・頁・発行年ユ ラ9(3):643∼646,2002 既発表学術論文

1) 題■ 目 Sensitivity of the olfactory sense declines withthe agingin

畠en早SCenCe-aCCeleratedmouse(SAM-Pl) 著 者

名:NAKAYASU;ChihiroKANEMURA,FukttiyuHIRANO,Yoshiyuki

SHIMIZU,YasutakeandTONOSAKI,Keiichi 学術雑誌名:Physiology&Behavior 巻・号・頁・発行年:70(Ⅰ:∼2):135∼139,2000 2)題 目:Electroencephalographicstudyofodorresponsesinthedomesticfowl 著 者 名:00SAWA,TomokoHIRmO,YoshiyukiandTONOSAKI,Keiichi 学術雑誌名:Physiology&Behavior 巻・号・頁・発行年:71(1∼2):203∼205,2000

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3)1題 目‥Mappingbrainregionactivityduringchewing:afunctionalmagnetic resonanceimaglngStudy 著 者 名:ONOZUKA,Min6ruFUJITA,MasafumiWATANABE,Kazuko HIRANO,YoshiyukiNIWA,MasamiNISHIYAMA,Katsuhiroand SAITO,Shigeru 学術雑誌名:JournalofDentalResearch 巻・号・頁・発行年:81:743∼746,2002

参照

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