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海外体験学習プログラム参加学生報告書の分析 : 「多文化フィールドスタディー(フィリピン)」

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海外体験学習プログラム参加学生報告書の分析:

「多文化フィールドスタディー(フィリピン)」

小張 順弘

1. はじめに

 2020 年は世界的なコロナウィルス感染症拡大により、私たちの日常生活 において様々な変化をもたらしている。大学環境への影響も例外ではなく、 「学びの場」はオンライン上の空間へと移行し、「大学での学び」に対する現 状での最適解を見出す模索が続けられている。こうした事態の長期化が懸念 されているなか、感染対策を実施した対面方式(教室授業)やハイブリッド 方式(教室・オンライン併用)などの導入も開始され、「大学での学び」の 機会と質の保証を確保する動きも始まっている。大学教育でのオンライン化 実施体制の重要性やその特徴(利点・欠点)に関する認識も共有されつつあ り、科目内容と実施形態との整合性・有効性の検討が行われている。  2020 年度の亜細亜大学国際関係学部多文化コミュニケーション学科で開 講を予定していた通年科目の「多文化フィールドスタディー」(アメリカ・ 中国・韓国・ベトナム・フィリピンへの国別訪問)は休講となった。現在、 実習・実技、フィールドワークを伴う科目は、教育内容の維持や効果的な実 施形態の模索段階にある。この状況において、フィリピンを訪問した学生自 身による振り返りの内容に着目して現地体験を通じた学びの特徴を探ること は、学習内容・過程の理解、適切な評価指標の確立、現地プログラム企画立

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案・実施運営の改善につながるのみならず、オンライン空間や国内代替地で の新たな形態での海外体験学習の実施を今後模索する場合の「学びの継続」 についての可否や、「学びの内容」の相違点を検証するための比較基準にも なると考える。

2. 本稿の目的と研究方法

2-1. 本稿の目的  本稿では、2013∼2019 年度に全 6 回実施した夏季休暇中のフィリピン訪 問プログラムに参加した学生による感想文を分析対象として、「海外体験学 習を通じた学び」(何をどのように学んだのか)の特徴を明らかにする。 2-2. 研究対象  現地プログラムに参加した 39 名の国際関係学部学生により作成された報 告書1)内収録の感想文を対象とする記述分析を行った。この報告書は現地 訪問後、後期の事後学習体験を言語化する活動の一環として、毎回学内プレ ゼンテーションとともに作成されており、現地体験の振り返りや整理を促す ものである。  実施年度により報告書の全体構成と執筆項目に若干の違いがあるため、す べてに共通する「参加後の感想」部分を対象とすることとした。感想文を分 析対象とする理由は、報告書内の他執筆項目とは異なり、各年度に参加した 学生が通時的に同様の形式(自由記述式)で作成していること、そして記載 すべき事柄(文字化するに値する振り返り)の判断が執筆者(参加学生)に より自由に、網羅的に行われていることが挙げられる。今回対象としたテキ スト文書は 39 名分の 48,359 文字であり、概要は以下の通りである(表 1)。

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2-3. 分析方法  文書テキストの分析には、(1)テキストマイニング、(2)内容分析の 2 つ の手法を用いた。テキストマイニングによる分析は、単語・語句レベルにお けるキーワード分析を行うために、User Local 社の AI テキストマイニング2) を利用し、39 名分のテキストデータの定量的・定性的な総合分析および可 視化を行った。大量のテキストデータから使用頻度の高い語彙を抽出し、分 析することができる自然言語処理機能のうち、単語出現頻度(品詞別使用単 語の頻出度)、ワードクラウド(重要語可視化)、共起キーワード(一文中に 同時に出現する単語組み合わせパターン)、係り受け解析(名詞に係る名詞、 形容詞、動詞の出現頻度・関係性)を利用した。  また、単語・語句レベルの分析では把握しきれない文・段落・全体構成レ ベルでの内容分析を行うため、川喜多(1967)の KJ 法を援用した定性調査 法(ラベル化、グループ化、図解化、文章化)を用いて記述内容の分類とグ ループごとの関連性の把握に取り組んだ。複数の手法を相互補完的に組み合 わせて用いることで、より丁寧で複眼的な分析が可能となると考える。具体 的には、以下の手順でテキスト文書の分析を行った。 (1)単語・語句レベルの分析(テキストマイニングによる分析)     ①単語出現頻度、②ワードクラウド、③共起キーワード、④係り受け 解析 (2)文・段落・構成レベルの分析(KJ 法の援用による内容分析)    ①ラベル化、②グループ化、③図解化、④文章化 表 1.「参加後の感想」テキスト文書の概要(人数と文字数) 実施年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 合計 人数 4 5 5 12 7 6 39 文字数 2,883 4,639 6,737 16,642 6,887 10,571 48,359

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3. 「体験を通じた学び」に関する分析結果

3-1. テキストマイニングによる分析結果 (1)単語出現頻度による分析  学生の感想文をもとに、テキストマイニングの単語出現頻度分析及びワー ドクラウド分析を用いた品詞(名詞・動詞・形容詞)頻出頻度の分析を行っ たところ、以下の結果を得た(表 2)。 表 2. 単語出現頻度の品詞別結果 名詞 スコア 出現頻度 動詞 スコア 出現頻度 形容詞 スコア 出現頻度 フィリピン 1494.21 223 思う 20.33 192 多い 3.68 36 日本 89.73 118 できる 23.96 141 強い 3.48 29 生活 64.22 77 感じる 74.86 129 楽しい 1.56 26 ホームステイ 443.25 68 行く 10.00 116 良い 0.65 22 セブ 392.12 67 くれる 9.42 90 よい 0.75 19 経験 60.78 61 考える 9.19 58 貧しい 62.67 18 現地 76.34 54 知る 7.11 54 短い 5.50 14 今回 13.39 51 いく 4.02 46 安い 2.42 14 マニラ 370.68 50 持つ 3.69 36 大きい 1.75 13 人々 100.19 42 学ぶ 33.18 30 いい 0.13 13 英語 35.54 41 しまう 1.41 30 優しい 0.94 10 授業 29.85 40 過ごす 14.29 30 面白い 0.39 10 学生 37.87 39 聞く 2.04 29 嬉しい 0.21 9 イメージ 13.96 36 言う 0.66 28 激しい 2.11 8 体験 38.32 34 違う 2.80 27 厳しい 1.37 8  品詞別出現頻度上位 15 語のスコア値3)(文書内での重要度を加味した値) に着目すると、名詞では「フィリピン」(スコア値 1494.21)、「ホームステ イ」(443.25)、「セブ」(392.12)、「マニラ」(370.68)、「人々」(100.19)、「日 本」(89.73)、「現地」(76.34)、「生活」(64.22)、「経験」(60.78)となり、

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動詞では「感じる」(74.86)、「学ぶ」(33.18)、「できる」(23.96)、「思う」 (20.33)、形容詞では「貧しい」(62.67)、「短い」(5.50)が重要特徴語とし て抽出された。  名詞では、最重要語は訪問国「フィリピン」であるが、次に「ホームス テイ」となり、訪問地である「セブ」「マニラ」よりも重要度が高い結果と なった。この結果からは、参加者にとってホームステイが、滞在中の最も印 象深い体験であったと言える。また、「人々」からは短期滞在にも関わらず 人へと意識が向いていることや、「日本」からは日本との比較や日本の生活 への振り返りの意識が伺える。「現地」「経験」「生活」については、現地の 人々の生活状況を知るという海外体験学習の特徴が反映されている。  動詞では、「感じる」が最重要語となり、次の「学ぶ」とともに、滞在 中の知覚・知識獲得行為についての記述が反映されている結果となった。 また、「できる」からは、現地で体験機会を得ることが可能となったこと (例:自分自身の目で見ることができた / 色々な経験をすることができた) や、「思う」からは体験での知覚・知識獲得をもとに洞察行為が促されてい る様子が読み取れる。また、スコア値によるこれらの動詞の重要度に加え て、「思う」(192 回)、「できる」(141 回)、「感じる」(129 回)の高頻度使 用傾向は、短期海外体験(限られた条件での貴重な機会)についての感想文 (認知行為、知覚行為)という性質に起因していると考えられる。  形容詞の「貧しい」(例:貧しい環境、貧しい暮らし)からは学生の観察 が主に経済状況や貧困格差に向けられていること、「短い」(例:短い期間、 短い滞在)は現地滞在が時間的に限られていたことを示している。しかし、 その他の「楽しい」「良い」「よい」「いい」「優しい」「面白い」「嬉しい」な どの語からは、学生にとって肯定的な体験であったことも伺える。 (2)ワードクラウドによる分析結果  単語出現頻度分析と出現頻度スコア値(文書の中の特徴的表現を示す値) をもとに、その分析結果を可視化したワードクラウドの分析図である。図

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中には、「フィリピン」「セブ」「マニラ」「フィールドスタディー」などの国 名・都市名・科目名のほか、「ホームステイ」「日本」「フィールドワーク」 「現地」「経験」「貧困」「格差」「宗教」「英語」の名詞、「訪れる」「感じる」 「思う」「学ぶ」「できる」などの動詞、「貧しい」「短い」などの形容詞が頻 出単語として描き出されている(図 1)。 図 1. ワードクラウドによる分析結果 (3)共起キーワードによる分析結果  一文内で組み合わせとなって出現する(共起する)キーワードの頻度に着 目する共起キーワード分析の結果、以下の共起ネットワーク図が示された (図 2)。  上記の共起ネットワーク図からは、「フィリピン」に関連する単語として 「日本」「フィールドワーク」「体験」「経験」などの名詞、「思う」「感じる」 「行く」「知る」「できる」などの動詞の重要度が高く、参加学生たちにとっ てフィリピンを訪問し、フィールドワークを通じて現地の状況を体験するこ とが可能となり、様々な思いを巡らせながら、学びの機会として受け止めて

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いた。  また、「フィリピン」という語は「日本」との関連が示されており、「日 本」と「フィリピン」との比較や両国の関係性などを意識していた。この点 は「私たち」「彼ら」という単語の関連性からも、学生たちの現地 / 現地の 人々への相対的視点が反映されている。さらに、「地域」社会との触れ合い では、「貧困」「格差」「貧しい」「人々」の語彙との結びつきがあり、訪問先 の地域社会に対する経済的視線が示されている。  一方、この分析結果には、単語出現頻度の高い「学ぶ」(スコア値 33.18) が含まれていない。この点については、学生の学びが画一的ではなく多種多 様である可能性と、一文内の単語・語句レベルでの共起性の分析範囲を超え 図 2. 共起キーワードによる分析結果

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ている可能性に起因していると思われる。 (4)係り受け解析による分析結果  ここでは、係り受け(語句の修飾−被修飾の関係)解析の結果から、「名 詞−形容詞」「名詞−動詞」「名詞−名詞」におけるスコア値をもとにした重 要度の高い関係を取り上げ、その代表的な組み合わせ事例を以下に挙げる。   ① 名詞−形容詞      名詞−形容詞の修飾関係の多くがフィリピン社会での生活状況に関 する組み合わせが示された。「生活 / 苦しい」(スコア値 2.0)、「貧富 の差 / 激しい」(1.33)、「治安 / 悪い」(1.20)、「賃金 / 安い」(0.80)、 「物価 / 安い」(0.80)などからは、学生は日本と比較におけるフィリ ピンの経済状況、生活状況、格差社会、治安状況、労働環境への視点 が明らかとなった。また、「内容 / 濃い」(0.86)は現地プログラムに 関する見解(例:2 週間の内容が濃かった / 内容の濃い貴重な体験) が示されていた。   ② 名詞−動詞      名詞−動詞の修飾関係では、「印象 / 残る」(スコア値 5.29)、「フィ リ ピ ン / 行 く 」(4.32)、「 話 せ る / 英 語 」(3.50)、「 日 本 / 比 べ る 」 (2.86)、「生活 / 送る」(2.86)、「想像 / 超える」(2.50)の組み合わせ が高い重要度を示す結果となった。      「印象 / 残る」の修飾関係のほとんどが、ホームステイ体験の文脈 で使用されていた。また、「話せる / 英語」は大学でのフィリピン人 学生の英語力の高さ(例:大学生は英語を話せた)、反対にホームス テイでのホストファミリーの英語力の低さ(英語が話せる人が少ない 環境でのコミュニケーション)へ言及する記述であった。「生活 / 送 る」は現地の生活様式に関する観察、「想像 / 超える」は学生の予想 とは異なる体験(例:想像を遥かに超える苦労 / 想像を超える状況で のホームステイ)での使用であった。

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  ③ 名詞−名詞名      名詞−名詞の修飾関係では、「現地 / 学生」(スコア値 3.30)、「授業 / 履修」(2.40)、「マニラ / セブ」(1.94)、「マニラ / 到着」(1.71)「心 / 豊」(1.71)、「フィリピン / 現状」(1.33)、「学生 / 交流」(1.18)の組 み合わせが抽出された。      「現地 / 学生」は滞在中に現地の学生と協働作業を行ったこと(「現 地 / 学生」の例:現地の学生と交流を持つ機会があった / 現地の学生 がバディーとなり一週間過ごした)、「マニラ / セブ」は 2 都市の訪問、 「マニラ / 到着」はフィリピンで初めての訪問地 / セブからの移動先 (年度によりマニラ、セブの訪問順が異なる)、「心 / 豊」は交流を通 じてのフィリピン人への観察(例:フィリピンの人々の心の豊かさ)、 「フィリピン / 現状」は現地の状況を知る機会といった体験の印象の 強さが反映されたものと推察できる。      また、「授業 / 履修」からは、授業内でのフィリピン訪問に関する 不安や迷い(例:友人の勧めでこの授業を履修することを決めた / 最 初にこの授業を履修するのかを迷っていた)を持っていた学生がいた ことも明らかとなった。 3-2. KJ 法援用による分析結果 (1)ラベル化、グループ化、図解化  テキストマイニングによる単語・語句レベルの分析結果をキーワードと し、学生の「現地体験を通じた学び」をテーマとして KJ 法を援用し、記述 内容の分類を行った。感想文には、全体の振り返り、訪問先の紹介、具体的 観察・体験エピソード、個人的感覚、感情の揺れなどの描写が含まれてお り、滞在中の時間の経過に沿う形で具体的な現地体験が整理されている構成 や、強く印象に残った体験の順番に構成されているものがあった。図解化作 業では、文中に記述された時間軸に従い、「何をどのように学んだのか」に 関する表札づくり(ラベル化)、大中小グループ分け(グループ化)を行っ

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た。それぞれの記述内容の確認とそれぞれの関連性についての検討を重ね、 一連の過程図を作成した(図 3)。

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 記述内容を図解化した「現地体験を通じた学びの過程」(図 3)には、今 回の現地訪問で「フィリピンについて学んだこと」から「自分の中で感じた こと」へとつながる大きな流れ(大グループ)があり、さらに分類された中 グループの関連性から体験を起点とする様々な感情の隆起、そして自分の中 の変化や新たな行動へと続く一連の学びの関係性が見られた。また、小グ ループのラベルには、「体験」内の「事前に計画された訪問」「事前に準備さ れた出会い」「現地滞在中の観察」、「感情の起伏」内の「滞在を通じた感情」 「ホームステイでの感情」、「自己反省と新たな視点への気づき」内の「自己 省察」「新たな視点」、「今後の取り組み」内の「異文化への関心」「自文化へ の関心」「自己への関心」が用いられた。 (2) 文章化  ここでは、上記の図解化で整理された「現地体験を通じた学びの過程」に ついての考察結果を以下に示す。 【分析図にもとづく考察結果】「現地体験を通じた学び」について  限られた時間の現地滞在を通じて、学生たちは様々な場所を訪れ、現地の 人々に出会い、フィリピンについての観察を深めた。その体験を受け止める 過程には、「体験→感情の起伏→自己省察と新たな視点への気づき→今後の 取り組み」という一連の流れが存在し、さらに分類した項目の関係性を整理 すると、「フィリピンについて学んだこと」(体験)→「自分の中で感じたこ と」(感情の起伏、自己省察と新たな視点への気づき、今後の取り組み)と いう「体験から生じる感情と内なる変化」の因果関係の存在が見えた。以 下、この関係性のなかで確認された項目の特徴を明らかにしつ、「現地体験 を通じた学び」の一連の過程についての分析結果を以下に提示する。 「体験」  学生たちの「体験」には、「事前に計画された訪問」「事前に準備された出

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会い」「現地滞在中の観察」の 3 つの行為が含まれており、現地を「訪問」 し、訪問先の人々と「出会い」、フィリピン / フィリピン人への「観察」を 深めている。「事前に計画された訪問」ではフィリピン全般への観察や基本 的理解が促進され、「事前に準備された出会い」ではフィリピン / フィリピ ン人に対する具体的な観察が行われている。この視線は、主に以下の 3 点へ 向けられている。  ① フィリピン社会 / 経済的特徴  ② フィリピン文化 / 歴史的特徴  ③ フィリピン人気質  第 1 の視線は、日本の生活状況との比較を意識した途上国の貧困実態・貧 富の差・低生活水準・安い物価・低賃金労働環境などの経済的側面に向けら れており、これに伴う劣悪な住環境 / 衛生環境を含む「社会 / 経済的特徴」 への観察が行われている。  第 2 の「文化 / 歴史的特徴」への視線は、大学での特別講義(フィリピン 文化、社会、歴史、日比関係など)、史跡訪問、博物館訪問(フィリピン史 の体系的展示)、都市部の街並み(西洋風建築物)を通じて深められ、植民 地支配(スペイン・アメリカ・日本)を歴史に持つ複雑な背景が宗教(キリ スト教)や言語使用(現地語内のスペイン語語彙、大学生の高い英語力)に 影響を及ぼしている状況への気づきにつながっている。また、滞在を通じて 口にした食事からは、食文化の特徴を観察している。  第 3 の「フィリピン人気質」への視線は、「事前に準備された出会い」を 通じて出会った人々(現地大学の教職員・大学生、NGO スタッフ、ホスト ファミリー、滞在先近隣住民など)に向けられ、個別具体的なエピソードを 伴った人に対する観察の深まりが見られる。  上記のフィリピン / フィリピン人に対する観察は、以下の 2 通りの方法で 行われており、①「現地訪問」のみよりも、①+②「現地訪問」と「人との 出会い」の組み合わせのほうが、より深い観察を可能にし、強く印象に残る 観察体験(大学での授業・学生交流、フィールドワーク、ホームステイ)と

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して受け止められている。  ① 現地訪問を通じた観察(間接的 / 表面的 / 全体的観察)  ② 訪問先での人との出会いを通じた観察(直接的 / 内面的 / 具体的観察) 「感情の起伏」  滞在中での「体験」は、学生たちに様々な感情を呼び起こしている。フィ リピン訪問は毎日新たな体験をし、その体験を同級生と共有しながら楽しく 過ごした海外訪問である一方で、現地の貧富の差、厳しい経済的環境で暮ら す人々を目の当たりにした驚きや悲しみ、複雑な感情を起こし、日々の体験 を上手く受け止めるこができずにストレスを感じたり、感情や理解を言葉に できないもどかしさを感じたりしている。特に、ホームステイ体験では、劣 悪な住環境での滞在への不安から始まり、実際の滞在を通じての驚きと辛 さ、ホストファミリーとの触れ合いの楽しさ、近隣の人々との交流の嬉し さ、ホームステイ受け入れへの感謝、別れの寂しさなど、短期間(2∼3 日) に具体的な生活の中での体験を伴った感情の変化を感じ、自分と向き合い、 振り返る機会となっている。 「自己省察と新たな視点への気づき」  日々の現地体験を通じて呼び起こされる様々な感情への気づきから、個人 的な体験や背景の振り返りが行われ、フィリピンとの繋がりの再確認(母親 がフィリピン人)、限られた知識や経験に対する認識、両国の比較を通じた 自己認識(日本、日本人の特徴)という「自己省察」へとつながっている。 また、自己省察による気づきとともに、現地体験を通じての物事に対する捉 え方の変化(貧困問題、多言語使用、人との関わり方)、体験からの学びの 重要性(体験での疑問から問題意識を持ち、理解を深める学び方)、他者が 持つ多様な視点の重要性(同じ体験をした学生の異なる捉え方からの学び)、 事前準備の重要性の認識(短くとも、濃い体験を可能とするための準備)と いう「新たな視点への気づき」が生じ、その後の行為の動機として作用して

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いる。 「今後の取り組み」  新たな自己認識や異なる視点の獲得は、「異文化」「自文化」「自己」に関 連する領域での具体的行為を促す動機となっている。現地訪問の機会から生 じた「異文化への関心」は、現地の再訪問や出会った人々との関係の継続、 さらに他国へも訪問などの異文化理解のための具体的行為の継続・拡大を促 す動機となり、異文化に触れたことによる「自文化への関心」の高まりは、 日本文化・社会の更なる理解へと続いている。さらに、現地体験を通じて感 じられた物事に対するあらたな視点や個人的価値観への影響は「自己への関 心」を促し、日常における先入観 / 偏見の意識的な排除、文化を超えて人と 関わるための言語 / 専門的学習、卒業後の進路を見据えた諸準備などの行為 を動機付けている。

4. 複数の手法による総合分析結果と参加学生のその後

4-1. 総合分析結果  ここでは、研究対象とした文書テキストを複数の手法で分析した結果を踏 まえ、フィリピンでの現地体験を通じた学びについての特徴を整理したい。 まず、テキストマイニングによる分析から、主に以下の点が確認された。  ・ 短い現地滞在であったが、滞在内容は濃いものであった。(「内容 / 濃 い」「想像 / 超える」)  ・ ホームステイが、滞在中の最も印象深い体験であった(「ホームステイ」 「印象 / 残る」)。  ・ 滞在を通じて、知覚・知識獲得行為(「感じる」「学ぶ」)、洞察行為 (「思う」)、予想を超え可能となった体験行為(「できる」)が行われた。  ・ フィリピンへの視線は主に経済状況、生活状況、格差社会、治安状況、 労働環境行われていた。(「貧困」「格差」「貧しい」「生活 / 苦しい」「貧

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富の差 / 激しい」「治安 / 悪い」「賃金 / 安い」「物価 / 安い」)  ・ フィリピンでの観察の視線は人々にも向き、現地の生活実態を知ること となった(「現地「生活」「人々」「生活 / 送る」)。  ・フィリピン人の優しさに触れた。(「心 / 豊」)  ・ フィリピン人の教育背景の違いによる英語力の高さ / 低さを知った。 (「英語 / 話せる」)  ・ 「フィリピン」と密接に関連付けられた体験行為には、移動動詞(「行 く」「フィリピン / 行く」)、知覚・知識獲得動詞(「思う」「感じる」「知 る」)、動作動詞(「行う」)があった。  ・ 日本との比較や日本の生活への振り返りが行われた。(「日本」「私たち / 彼ら」「日本 / 比べる」) さらに、KJ 法の援用による内容分析から、主に以下の点が確認された。  ・ 「フィリピンについて学んだこと」(体験)から「自分の中で感じたこ と」(感情の起伏、自己省察と新たな視点への気づき、今後の取り組み) へとつながる大きな流れが存在し、さらに体験を起点とする学びの過程 「体験→感情の起伏→自己省察と新たな視点への気づき→今後の取り組 み」の関係性が見られた。しかし、フィリピン特有の事例や問題に触れ ることを通じた自己省察や新たな視点への気づきを、自分自身の今後の 取り組みに直接的に関連付けることの難しさを感じる学生も存在した。  ・ 「フィリピンについて学んだこと」は、「事前に計画された訪問」「事前 に準備された出会い」「現地滞在中の観察」の 3 つの行為を含む「体験」 を通じた学びにより行われており、「訪問先での人との出会いを通じた 観察」が「訪問を通じた観察」より、印象深い体験となっていた。  ・ 「自分の中で感じたこと」は、「感情の起伏」「自己省察と新たな視点へ の気づき」「今後の取り組み」に分類され、体験から生じる様々な感情 が、自分自身や自文化を振り返りへと導き、新しい物事の捉え方を獲得 し、将来の行動の動機へと続く認識の過程が確認された。この過程で

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は、「もどかしさ」や「複雑な感情」が生じることもあったが、現地の 体験で消化できなかったことを反省点として積極的に捉える姿勢も見ら れた。  ここまでの分析により、学生たちの現地体験を通じた学びの特徴が明らか となったが、最後に一連の学びの過程(体験→感情の起伏→自己省察と新た な視点への気づき→今後の取り組み)の起点となる「体験」(「訪問」「出会 い」「観察」)の重要性を踏まえ、「体験を通じた学び方」について整理した い。現地プログラムには、まず事前に計画された場所を「訪問」する移動行 為があり、時にはその訪問先での人々との「出会い」を通じて、「観察」を 行う。この「訪問」には予め目的(学習目的・調査目的)が設定されてお り、訪問先での知覚・知識獲得行為が前提として了解されている。そして、 この目的意識を持ち「観察」を行うには「訪問→観察」と「訪問→出会い→ 観察」のどちらかの経路をたどることになるが、「場所の観察」のみよりも 「場所と人の観察」のほうが、思慮深い観察者になるように促す可能性が高 い。この 3 つの体験行為(訪問、出会い、観察)の関係性を分析すると、以 下の概念図(山モデル)のように整理することができる(図 4)。 図 4. 現地体験の観察過程(山モデル)

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 この分析図(山モデル)では左下の「訪問」を出発点として、右下の特定 の学習目的・調査目的に沿った「観察」へと向かう平地を歩む経路、中央上 の山頂にあたる「出会い」を経由して目的のある「観察」へと向かう登山経 路が矢印で示され、それぞれの行為の領域が重なりあう領域をアルファベッ トで表示している(A =訪問と観察、B =訪問と出会い、C =出会いと観察、 X =すべての領域の重複)。このモデルに照らし合わせると、学習・調査目 的を伴う観察行為には 3 つの手段があることわかる。ここでは「〇〇山とは 何か」を例にして、今回の分析結果をもとに整理してみたい4)  ①  移動を伴わない観察(ガイドブックなど資料、各種観測状況、訪問体 験談の確認など)  ② 移動することによる観察(山までの経路・麓から全体像の確認)  ③  移動をして人々に出会う観察(②+山の経路・状況、山頂からの景色 の確認など)  上記①は間接的観察であり、訪問を予定する山について知るための事前準 備として利用可能な情報収集・内容確認を行い、訪問に備える。②は全体 的(俯瞰的)観察であり、実際に山を訪問し、周辺状況や山の全体像を自分 の目に収め、その特徴や美しさを確認する。③は直接的観察(参与観察)で あり、山を訪問し、山の状況把握(経路、天候条件など)を行い、自分の体 力・体調を考慮しつつ、安全を確保しながら山頂への歩みを進める。特に登 山には危険や苦労が伴い、訪問時の諸条件の変化に対する適切な状況判断・ 柔軟な対応や平地での歩みとは異なる歩く技量が求められる。そのため普段 からバランス感覚を磨く、トレーニングが必要となる。  上記②と③はどちらも、麓から見る山の雄大な全体像から自然の美しさを 感じ取ることはできるが、③の山頂からの視界には麓からの全体像とは異な る景色が広がり、心を動かされる。楽しく辛い登山体験から様々な感情が生 じ、とりわけ山頂が近づく時の高揚感、目標を到達した達成感・幸福感は強 く感じられる。このような感情的側面(強い心理的刺激)も山の魅力の一つ でもあり、より難易度の高い山へ挑戦する動機へも続いている。登山体験か

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ら生じるこのような感情の起伏は、あまり感情を表に出す機会のない日常生 活 / 文化とは異なる体験として、深く印象に刻まれる。  私たちは毎日の生活において、特定の観察目的のための移動(領域 A)、 特定の観察目的を持たない訪問先での人との出会い(領域 B)、移動を伴わ ない観察目的を持った出会い(領域 C)を日常的に行っているが、海外体験 学習における着目点は領域 A(訪問と観察)と領域 X(すべての領域重複) 部分である。  観察の量と質においては「領域 A <領域 X」となり、領域 X ではより深 い観察が可能となる。また、領域 X の訪問先での人との出会いを通じた観 察(直接的 / 内面的 / 具体的観察)は、領域 A の現地訪問を通じた観察(間 接的 / 表面的 / 全体的観察)よりも、観察者の感情への影響が大きい。今回 の分析では、この影響が、その後の自己省察や新たな視点の獲得、さらには 将来的な行動への動機付けに続いていることが明らかになっている。   学生によっては現地体験を消化しきれず、感情の起伏にうまく対応できな い危険も存在する。しかし、体験はその後の学びの過程との密接な関連性が 確認されており、学生自身が多くの課題の存在やそれらに対する向き合い方 にも気付いているようである。この点を踏まえ、現地プログラムでの教育的 目標を再確認し、学生の学びを促進するための現地体験(訪問、出会い、観 察)の量と質のバランスについて慎重な検討を行う必要がある。 4-2. 参加学生のその後  青年期から成人期へと移行する多感な大学時代に様々な体験を重ねること は、自我意識の形成や卒業後の進路決定やその後の生き方にも影響を与える と考えられる。短期フィリピン滞在から日常の「大学での学び」に戻ったの ち、それぞれの学生生活を過ごしていったが、フィリピンを含む海外各地と つながる新たな行動を始めた学生もいた5)  今回対象とした 39 名のうち、2019 年度参加学生(現在 3∼4 年在学中) を除く 33 名の参加学生はすでに大学を卒業している。卒業後、多くの学生

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が民間企業に就職し、現在ではそれぞれの場所で活躍を続けている。その中 には、海外に職場や進学先を求めた学生、アジア諸国との繋がりを持つ日本 企業、フィリピン企業に就職した学生もいる。散見的ではあるが、参加後の 学生生活や卒業後の進路に着目すると、フィリピン滞在の経験が何らかの形 で少なからず影響を与えているようにも思える。  しかし、「フィリピンでの短期体験学習」と「大学生活全般」や「卒業後 の進路」とに直接的関係があるとする解釈には根拠に乏しい。学生に与える 影響の理解については、大学在学期間(進路決定期間)の 4∼5 年間に限ら ず、異なる体験(訪問・出会い・観察)に含まれる要因のより丁寧な因果関 係、影響を与える領域とその影響力について、教育学・心理学分野の専門的 見地から長期的かつ多角的な考察が必要である。

5. おわりに

 本稿では海外体験型学習プログラムに参加した学生の「現地体験を通じた 学び」の分析から、学びの内容と学び方(学びの過程)の特徴について考察 した。教員・学生ともに、海外留学、国内外での体験学習、インターンシッ プなどの教育的効果に対する一定の肯定的評価を与えているものの、コロナ 感染症拡大の影響下ではその効果を最大限に活かすことができない。本稿の 計画段階での目的は、現地プログラムの今後の展開、質の向上に向けた「学 生の学び」の検証作業であった。しかし、期せずして迎えた生活環境の劇的 変化と大学教育環境のオンライン化という文脈において、今回の取り組みは 海外体験学習が担ってきた教育的効果の継続・代替可否を検討する際の参考 指標や判断基準の確認作業としても位置づけることができる。  海外体験学習の「体験」に含まれる「訪問」「出会い」「観察」の行為は、 様々な制約が存在するインターネット空間の利用を視野に入れ、今までとは 異なる形態でその教育的活動継続の可能性を模索することになる。すでに、 オンライン環境を活用した大学授業での国内フィールドワーク教育の取り

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組み事例も紹介され始めてきている6)。過去の大学生によるフィリピン訪問 の他の報告事例には、「人と人との出会いを通じたフィールド・エデュケー ションの必要性7)」や「現地体験の重要性8)」の指摘があるが、現地訪問を せずに海外の人々との出会いや現地疑似体験はどこまで可能となり、どのよ うな教育的効果をもたらすのであろうか。また、オンライン上での実施に は、海外の協力者・機関との事前調整(日程、内容、方法など)、ICT 環境 確認、学生の必要な語学力の検討なども欠かせないであろう。  先行きが不透明な状況ではあるが、今までの海外体験学習の取り組みを振 り返り、その過程で得た知見を活用しつつ、新たな発想とともに「学びの機 会の確保とその質の保証」に対応していくことが現在求められている。「ア ジアをはじめとする世界諸地域における多文化間の交流と対話を促進できる 人材の育成9)」を目的とするなか、「海外現地訪問」を欠く「出会い」によ る「観察」には教育的・技術的課題も多く存在し、学生にとっての「体験」 の意味も新たに問う必要がある。大学を取り巻く環境変化に柔軟に対応し、 これまでとは異なる形態でのフィールドワーク教育の一歩を踏み出してみる ことで、今後の可能性を模索していきたい。 1)夏季休暇中に 2 週間程度フィリピンに滞在し、事後学習期間あたる後期には フィールドワーク成果発表や報告書作成を行っている。年度により報告書の 内容構成に若干の相違があるものの、基本的な構成(「参加学生リスト」「参 加理由」「全体日程」「活動日程・記録」「フィールドワーク報告」「参加後の 感想」「コラム」「エピソード紹介」など)は共通している。報告書は編集担 当学生が中心となり、参加学生全員が協力して作成し、参加者や現地を紹介 する写真も記録の一部として掲載されている。本稿では、報告書内の自由記 述方式の「参加後の感想」文書を分析資料とした。 2)ユーザーローカル テキストマイニングツール(https://textmining.userlocal.jp/) による分析を行った。 3)ユーザーローカル社 HP(https://textmining.userlocal.jp/questions#data_q2)を参 照。ユーザーローカル社によると、特徴語を抽出する統計処理として TF-IDF 法を用い、「一般的な文書でよく出る単語は、重要ではないため、重み付けを

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軽く」し、「一般的な文書ではあまり出現しないけれど、調査対象の文書だけ によく出現する単語は重視する」との説明がある。 4)ここで提示する「山モデル」は、今回対象とした大学での学部教育の授業科 目という限定的な条件のもとで実施した海外体験学習における学生の主観的 見地についての分析結果を背景とする概念モデルであり、細部については更 なる教育学的・心理学的見地からの検討が必要となる。例えば、「登山への恐 怖心はなぜ生じるのか」「登る山は誰がどのように決めるのか」、「山頂とは 何か」、「山頂を目指さなくてはならないのか(山頂を目指さない山歩き・ト レッキングでもいいのではないか)」、「集団登山の途中で離脱者が出る場合は どうするのか」などの観点からの考察も、海外体験を通じた学生の学びの実 態把握のために必要と考える。 5)これらの学生のなかには、帰国後に長期休暇を利用したフィリピンへの再訪 者、NGO インターンシップやイベント参加者、トビタテ ! 留学 JAPAN プログ ラム参加者、大学間交換留学(1 年間)参加者、進路を見定めて準備を始めた 者(警察官・教員などの公務員、在外派遣員)がいた。 6)オンラインでのフィールドワーク事例として、コロナ感染症拡大以前より 「オンラインを活用したフィールドワーク型の研究・教育」に取り組んでい る長野大学の「地域調査演習」(相川研究室)、清泉女子大学地球市民学科 の「陸前高田フィールドワーク」、東海大学健康学部健康マネジメント学科の 「フィールドワーク A 報告会」、明治大学国際日本学部岸ゼミの亀有の図書館 VR 訪問などが 2020 年 10 月末時点で確認された。上記事例の出所については、 文末の「インターネット資料」に記載。 7)西村(1996)の報告では、立教大学のチャペル主催による教職員・学生が参 加する 3 週間のフィリピンのルソン島北部でのホームステイ滞在について、 その意味を日比関係(戦争の歴史)、南北問題(経済格差)、近代化の問題 (開発と発展)に触れることとしている。また、単なる異文化交流プログラム でもなく、観察・実習・調査でもない、教室での学びとは異なる人と人の出 会いを通じた新しい教育の可能性をフィールド・エデュケーションに見出し ている。 8)大野(2014)、57 ページ参照。参加学生たちの大半が研究職ではなく、卒業後 の日本で過ごす状況(一般企業就職)を踏まえ、訪問時には学生の貧困など の途上国の問題への関心に応え、問題の本質をよく理解して実践に結び付け るために、学部生時代のフィールドワークは細かなデータ収集などの学術調 査よりも、物事の見方を変えるようなインパクトのある体験の方が大事では ないかとの見解が示されている。 9)亜細亜大学 HP「研究教育上の目的」内の国際関係学部多文化コミュニケー ション学科ディプロマポシリーより抜粋。

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参考文献 川喜田二郎(1967)『発想法 創造性開発のために』中公論新社 小張順弘(2020)「海外体験学習プログラム企画立案、実施運営の分析:『多文化 フィールドスタディー(フィリピン)』」『国際関係紀要』第 29 巻・第 2 号、亜 細亜大学国際関係研究所、165-215 ページ 西村直(1996)「フィリピンキャンプは『教育』か :『出会い』のためのフィール ド・エデュケーション」『大学教育研究フォーラム』第 1 巻、立教大学全学共通 カリキュラム運営センター、158-164 ページ 大野俊(2014)「スタディ・ツアーの『メッカ』で調査・交流をどう設計するか ─フィリピンでの経験から」清泉女子大学文学部地球市民学科(編著)『清泉 女子大学における地球市民学科の挑戦─ 21 世紀の学びをフィールドワーク に求めて』、35-60 ページ インターネット資料 亜細亜大学 HP「教育研究上の目的」(https://www.asia-u.ac.jp/academics/international/ purpose/)2020 年 10 月 28 日確認 公立大学法人長野大学 HP「オンラインを活用したフィールドワーク型の研究・教 育 」<https://www.nagano.ac.jp/education_research/t_/Tchiiki_5f274f95f0cd9/> 2020 年 10 月 28 日確認 清泉女子大学インスタグラム「地球市民学科による『陸前高田フィールドワーク』 の授業紹介」<https://www.instagram.com/p/CA9a7H9lRRO/> (2020 年 6 月 3 日投稿) 2020 年 10 月 28 日確認 東海大学 HP「『フィールドワーク A 報告会』を開催しました(健康学部健康マネ ジメント学科)」<https://www.u-tokai.ac.jp/academics/undergraduate/health_studies/ news/detail/post_48.html>(2020 年 8 月 5 日掲載)2020 年 10 月 28 日確認 明治大学 HP(中野教室事務室)「岸ゼミが VR(バーチャルリアリティ)を活用 したオンラインフィールドワークを実施しました(明治大学国際日本学部)」 (2020 年 10 月 22 日掲載)2020 年 10 月 28 日確認 ユーザーローカル社 HP「AI テキストマイニング」(https://textmining.userlocal.jp/) 2020 年 10 月 28 日確認

図 3. 現地体験を通じた学びの過程

参照

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