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今後のワークスタイルの変化

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序章 これまでのオフィスの変貌を見ると、60 年代の高度経済成長期は、構造技術の進歩により 霞ヶ関ビルに代表されるような大型高層ビルが建設された時代であった。 70 年代になるとオイルショックの影響も手伝ってエネルギーの効率化を前面に打ち出し た省エネビルが登場したが、自然エネルギーの利用や水の再利用などにより、光熱費をい かに低減させるかに主眼が置かれ、そこに働く人にとってそれが快適な空間であるかどう かは2 の次とされていた。80 年代に入ると、情報化の影響を受けオフィスの OA 化が盛ん に行なわれ、スマートビルといった新しいビルがブームになった。しかしここでもまだオ フィスを都心に集中させようという傾向が強く、このことが 1 つの会社のステータス的意 味合いもあった。 ところが90 年代に入ると情報通信の一層の発達によって 1 つのビルに集中させるのではな く、効率よく分散させるという動きが出てきた。「サテライトオフィス」、「ホームオフィ ス」、「リゾートオフィス」の登場である。物理的に離れた者どうしが効率よく共同作業を 行なっていくという「グループウエア」という概念や「メディアコミュニケーション」の あり方に注目が集まった。 このような分散型オフィスは、バブル崩壊後一時低迷したが、最近のインターネットの急 速な普及により90 年代後半に再度 SOHO というキーワードを持って再び注目されるよう になった。 個人的な事だが私は今年の夏期休暇を利用してインターンシップ生として企業内で働け るという幸運な体験をする事ができた。そこではSOHO の small office つまり在宅で仕事 をしている人達に触れ合う機会がたくさんあったが、インターネットをうまく利用し在宅 でも十分仕事をこなしている。アメリカでは10年も前から、SOHO が注目され、1人1 台の車で会社に通勤する事によって引き起こされる環境問題や一極集中による弊害を減ら すためにSOHO が取り入れられている。 もし日本でも SOHO が今後発展すれば、現在多きな問題になっている地方と首都圏との 均等化が進むだろうし、高齢者の雇用の問題も解決されるかも知れない。アウトソーシン グで企業がスリム化してしまった場合、新しい雇用を生むかもしれない。 このように新しい可能性を持つ SOHO 事業を今年のゼミの進級論文テーマとして取り上 げたいと考えている。そこで今回、情報経済論の夏休みの論文でSOHO を取り上げ、進級 論文の足がかりにしたいと思う。 しっかりとした筋道で結論まで持っていけないと思うが、現状分析、今後の可能性を重点 的に論じていきたい。

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1章 SOHO の定義付け

SOHO とはいったいなにか?という事をよくきくが、SOHO(small office Home Office) とは、スモールオフィスやホームオフィスを基盤とするテレワークの事を言う。元々アメ リカのニューヨークにある若い芸術家が集まる街の名に由来している。そこで、自宅とオ フィスを兼ねたり、仲間同士で小さなオフィスを構えて、パソコンとインターネットを使 ってテレワークしていた事からSOHO と呼ばれるようになった。現在では、一般的に従業 員が10人前後のスモールオフィスやサテライトオフィス、また、ホームオフィスなど新 たなテレワークによるワークスタイルを総称してSOHO と呼んでいる。このワークスタイ ルは、小規模、小資本という身軽さをいかし、効率的に仕事をしようという狙いがある。 現在、インターネットの代表される情報、通信システムの急速な進歩と普及により社会 規模や、資本力にあまり影響される事がなくなった。小規模でもアイディアをしぼり大企 業と対等に渡り合える時代なのである。逆に、小さいがゆえに融通が利いて、効率的で、 アイディア次第では大きくビジネス展開できる。 今や、アウトソーシングに現れているように大きい事によるメリットよりもマイナス面 が浮き彫りになってきている。何でも事前で処理しようとする大企業は、柔軟性に欠け、 効率が鈍り、意思伝達も悪くなり、資源の無駄が目立つようになってきている。 バブルの崩壊を機に、大企業に勤めていれば一生安泰といった日本の終身雇用の概念も 通用しなくなった。企業は、これまでの高度経済成長で肥大した組織全体の見切り直しを 図り、無駄なシステム、業務、人員を整理し、余計な贅肉を削ぎ落としスリム化を目指し ている。 アメリカでも90年代はじめには、景気回復を図るために、企業の大規模なリストラが 進み、中間管理職を中心に1500万人以上が一時職を失った時期もあったが、その人た ちの多くはSOHO という新たなビジネススタイルによって仕事復帰の道を切り開いていっ た。企業サイトも内部で人を抱え、高い教育費を払うより、適時こうした人たちに仕事を 委託した方が効率的である事を意識し、積極的に仕事を提供し始めている。 <SOHO の概念>

では実際に SOHO とはどのような業務なのだろうか?まず大きく SO(small office)、と HO(home office)との2つに分けられる。スモールオフィスとは会社から離れたところに オフィスを構え、そこに勤務する形態を指す。また、スモールオフィスは企業型と 独立型に分類する事ができる。 ○ 企業型スモールオフィス 大きな企業の部署がサテライトオフィスとして郊外などに移動したケースを指し、ヘッ ドオフィスと自宅との中間的な位置にあり、通勤時間が縮小される事、スモールオフィ

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スにいてもヘッドオフィスと変わりなく作業ができる事がポイントとなる。 また、外回りが中心になる営業マンが、わざわざ自分のオフィスに戻る事なく、出先近 くの同じ企業のスモールオフィスで報告書や連絡ができるようなスポット的に使え環 境も併せ持つと、さらに効果的だと思う。 ○ 独立型スモールオフィス 現在注目されているベンチャー企業などは皆この部類に属するが、独立している小さ なオフィスを指す。独立型スモールオフィスは外にオフィスを構える分、経費がかかる が、自宅からオフィスが独立している分、気持ちの切り替えがしやすく、生活空間と作 業空間とを独立させる事ができる。但し光熱費、通信費など維持費がかかってしまう。 ある程度の収入がないと維持は難しい。 ○ 企業型ホームオフィス 会社のオフィスを自宅にシフトしただけで、会社に勤務していると同じ作業ができる 事が基本である。そのためには企業型スモールオフィスと同様に、自宅からでも、ヘッ ドオフィスなどから必要な情報が入手でき、電子メールをはじめとするメディアコミュ ニケーションが円滑に行える環境でなければならない。この場合、プライベートと仕事 の区分がしっかりできなければならない。そうしないと、仕事とプライベートのめりは りがなくなり、作業効率は会社で作業するより低下してしまう。仕事に向いたがの形成 が大切になる。 ○ 独立型ホームオフィス 自宅の1スペースをオフィスとして利用するケースが多い。自宅であればワークスペー スが多少狭くてても、光熱費、家賃がかからない。フリーで活躍している方や、在宅で 仕事を希望する、主婦は大体この形を取っている。 このようにSOHOにもさまざまな形態がある。今回これらの形態にあまりこだわらず、 にほんのSOHOの現状を分析していきたい。進級論文でサテライトオフィス、スモー ルオフィスを中心に論文を書こうと思っているのでその足がかりになるよう次の章で は日本のSOHOの現状を分析してみたい。 2章SOHOの現状 現在アメリカの在宅勤務労働者の総数は、最近の新聞で4700万人と報道されてい る。この中で企業が採用して在宅勤務しているケースが50パーセント以上。完全に独 立した自営業者は30パーセント以上(1410万人)を収めている。 一方、日本では、企業内在宅ワーカーが約90万人(1996年日本サテライトオフ

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ィス協会調べ)。アメリカでいう完全に独立したタイプの在宅ワーカーの人数は、まだ 正確に数値が出ていないが、リクルート調べによると約50万人(推定)。SOHOと いう枠組みをなくした個人事業主は労働省の調べによると約420万人とされている。 こうしてみても、日本の在宅ワーカーの数は、アメリカに比べてまだまだ低いのが現状 である。 また、アメリカの場合、「通勤時間の縮小」という期待効果よりも「自動車通勤による 交通混雑の緩和」や、「大気汚染の減少」の期待効果が求められている。車社会のアメ リカでは、交通渋滞とそれに伴う大気汚染の問題はかなり深刻である。国土が大きいが ゆえの悩みである。この点では、電車通勤主体の日本とは大きな違いである。 アメリカの国税調査局の調査によれば、オフィスまで歩くか電車やバスを利用してい る人は、たった6パーセントしかいない。ほとんどがマイカー通勤なのである。それも 64パーセントが1人で車に乗っている。こうした状況を是正するためにもサテライト オフィスを積極的に推進し、交通渋滞や、大気汚染の緩和に役立てようという考えがあ る。 このような流れを受けアメリカのテレワーク人口は増加の一途をたどり、2000年 までにはアメリカの労働人口の3分の1が何らかの形でホームオフィスで仕事するよ うになると予想されている。 では日本の場合はどうだろうか?アメリカに遅れる事10年、日本では90年になっ てテレワークが注目され始めた。 80年代の日本の企業は代表的なOA ツールとして、パソコンよりもファクシミリが広 く普及していた。そのためパソコンで電子メールするよりも、ファックスがあれば事足 りる、という風潮があった。本格的にテレワークが注目されたのは90年代前半、イン ターネットの登場後といってもよい。 またアメリカではホームオフィスによるテレワークが多いが、日本では狭い住宅事情 や、文化の違いから、ホームオフィスよりも職住近接型のサテライトオフィスの方が適 しているといわれてきた。 事実、90年代半ばまで日本の勤労者の多くは、ホームオフィスというよりサテライ トオフィスの必要性を感じていた。日本人の場合、どちらかというとホームオフィスで 一人で作業するよりもサテライトオフィスで仲間といしょに作業したいという傾向が 強かった。 ところが、近年パソコンの高機能、低価格化に伴い、通信インフラが整備されてきた 事もあって、ホームオフィスによる個人ワークも注目されるようになった。 かつてはホームオフィスというと、“女性の内職”といったイメージがあったが、出 社する事なく自宅で仕事ができるという点で、最近では女性の新たなワークスタイルと しても注目されているようだ。

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このように、日本でもテレワークに対する関心は年々高まりつつある。(社)日本サ テライトオフィス協会の調査からも、テレワークを現在利用してない勤労者で、「テレ ワークをやってみたい」という意向は、63.2パーセントにも及ぶ。その内容を見る と管理職または50代以上の高齢者の実施意向はまだ低いものの、一般職または30代 までの若者の実施意向は非常に高く、70パーセントを超えている。 <SOHO は日本の風土に適応できるのか?> このように日本でも確実に SOHO に対する関心が高まっている事はデータによって伺 えるが、実際日本の風土に適応できるのだろうか?日本人の気質に合わせて変化させな いと1つの時代のブームとして終わってしまう可能性もあると思う。 SOHO を本格的に行うには、コンピュータや、ネットワークに対するある程度のスキ ルが必要になってくる。また特定の専門知識と能力それに合わせて積極的にビジネス展 開していこうとする旺盛なチャレンジ精神が必要になってくる。 コンピューターを覚えながら、適当にインターネットを使っていけば、ノーリスク、 ハイリターンなビジネス展開が今すぐにでもするのではないか?という安易な考えで いては成功などまずありえない。SOHO であるがゆえに、しっかりとしたビジネスプラ ンが必要になってくる。そこを勘違いしてしまい SOHO をビジネスとして軌道に乗せ られないまま早々に止めていくケースが多い。 それともう1つ、日本人がこれまで培ってきた独特のワークスタイルをいきなり SOHO のワークスタイルに移行して適応できるのかという点である。サテライトオフィ スやホームオフィスが中心になる企業型 SOHO の場合、勤務管理や評価が問題視され るが、この根本的な問題の方が重要だと思う。これをクリアしないと技術的にはいくら 実行が可能だとしても SOHO を普及させる事は難しいと思う。しっかりとした評価を できるような制度をしっかり設ける必要があると思う。 また、日本独特の集団組織型のワークスタイルに慣れ親しんできた人たちが、急に 独立型のワークスタイルに適応できるのだろうか。みんな同じ一つの大部屋に集まって、 顔を合わせながら仕事するに安堵を生み出すスキンシップ型の日本独自のワークスタ イルが、いったいどの程度、独立した分散環境に慣れ親しんでいけるのかが、今後重大 な問題になると思う。 こんご SOHO を日本に定着させていくためには乗り越えなければならない問題が点 在しているが、現在でも本格的に独立して SOHO として仕事をしている人たちも多数 存在する事も確かである。日本の文化と SOHO という今までにないスタイルだが、う まく融合させ、発展させる事は今後の日本の雇用事情を考えると重要な事になると思う。 しかしこうした文化的な問題のほかに、もっと根本的な問題もいくつか存在する。

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特に重要になってくる事は SOHO ができる環境にするのにかかるコストと、日本の インフラ事情である。日本の情報通信インフラはアメリカなどに比べて、かなり遅れて いるし、アジア諸国と比べても進んでいるとはいえない状況である。SOHO にはネット ワークが絶対必要なツールとなってくる。次の章では日本の SOHO の足かせになって いる通信コストなど、いろいろな問題点について論じてみたい。 3章SOHO を取り巻く問題点 先ほども少し取り上げたが日本で SOHO というより独立してオフィスを構えたり、在 宅で仕事をするに当たって、さまざまな問題がある。 では実際にどのような問題があるのだろうか。 <通信コスト> 第一に挙げられる事は先ほどの話にもあがってきたが通信費が非常にかかってしまう という点である。現時点、、日本の通信コストは使えば使うほど料金が高くなっていく 従量制が主流をなしているためネットワークを無造作に作っていくと通信コストは膨 らむ一方で、SOHO のランニングコストにおける通信コストの割合が非常に大きくなっ てしまうのである。当然の事ながら SOHO の利用者からは通信コストを気にする事な く、もっと自由に使いたいというニーズが年々高まっている。しかしそれを実現してい くためには今の通信料金制度を抜本的に見直す必要がある。今後日本に SOHO を定住 させるためには NTT など電話会社の電話料金値下げ、または大幅な見直しが重要な役 割を担いそうである。 <運用コスト> 通信費の他に問題になる事がある。それは会社(オフィス)を運営していくときにか かる運営費である。会社からサテライトオフィスとして独立する場合なら会社から資金 が出てそれなりの設備を揃えられるかもしれない。しかしホームオフィスとして独立し ようと考えている人にとって結構な額がかかってしまう。簡単に考えて「コピーはコン ビニで」と思うかもしれない。確かに始めはそれでも仕事になるかもしれないが、個人 で始めるような小さな会社にとって迅速な行動、大企業より小回りがきく、といった小 さな会社の特徴を考えると、とても仕事にならない。やはりある程度のものをはじめか ら準備する必要がある。そこで下の資料を見てほしい。 個人型ホームオフィスの運用コスト 品名 単価 数量 合計 パソコン 300,000 1 300,000 ソフト代 100,000 1 100,000 机 40,000 1 40,000 椅子 20,000 1 20,000

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キャビネット 30,000 1 30,000 INSネット64設置料 72,000 1 72,000 INSネット64諸費 10,000 1 10,000 TA 30,000 1 30,000 プロバイダー加入料 10,000 1 10,000 年間使用料 25,000 1 25,000 レーザープリンタ 80,000 1 80,000 コピー機 60,000 1 60,000 FAX電話 50,000 1 50,000 MO 30,000 1 30,000 スキャナー 60,000 1 60,000 合計 917,000 ○ ランニングコスト =オフィスコスト+設備維持費+通信コスト+光熱費 = 0 + 5000 + 25000 +10000 =40000 円/月 初期導入コスト=91 万 7000 円 但しこのデータは新規にすべて揃えた場合のコストである。 (パソコンや机、椅子、電話など既存のものを使う場合その分コストは低くなる。) この個人型ホームオフィスの場合、オフィスコストがゼロなのでオフィスを借りてそこ で仕事をするよりかなりコストを押さえられる。しかし仕事とプライベートを明確に区 別できるよう注意を払って部屋をコーディネイトしない仕事の効率が落ちてしまう。日 本はアメリカの住宅事情と違い仕事部屋として広いスペースを確保する事が難しい。そ のため必要以上に注意深く仕事とプライベートを区分する必要がある。さらに、いまま で集団の中で仕事をしてきた日本人が突然自分の部屋で仕事をするのだから、しっかり 自己管理ができなければならない。会社には上司や自分の行動を監視する人がいるが、 自分の部屋にはいないため、堕落した生活になってしまう人も多いと聞いた事がある。 現在でもフリーでデザイン関係の仕事をしている人はテレ放題の時間に仕事をするの で昼と夜が逆転している、という話を聞いた事があるが、しっかりとした生活のリズム を作っていく事も大切になってくる。 独立型スモールオフィスの運用コスト 品名 単価 数量 合計 パソコン 300,000 3 900,000 ソフト代 100,000 3 300,000 机 40,000 3 120,000 椅子 20,000 3 60,000

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キャビネット 30,000 3 90,000 INSネット64設置料 72,000 1 72,000 INSネット64諸費 10,000 1 10,000 ルーター 70,000 1 70,000 TA 30,000 3 90,000 LAN構築費 150,000 1 150,000 OCNエコノミー費用 10,000 1 10,000 レーザープリンタ 80,000 1 80,000 コピー機 60,000 1 60,000 FAX電話 50,000 1 50,000 MO 30,000 3 90,000 スキャナー 60,000 1 60,000 合計 2,212,000 ○ ランニングコスト =オフィスコスト+オフィス管理費+設備維持費+通信コスト+光熱費 = 120000 + 15000 + 15000 + 60000 +20000 =230000 円/月 初期導入コスト=221 万 2000 円 (但しここも新規にすべてを揃えた場合のコストである。既存のものを使う場合その分 が差し引かれる。) このモデルのランニングコストは、都心近郊のマンションの賃貸料が 12 万円、その管 理費が1 万 5000 円設備維持費などは文具、印刷用紙、プリンターなどにつき 15000 円 で換算したものである。 このスモールオフィスの場合、オフィスの賃貸料やランニングコストはかかるが今ま でのような集団組織の要素が少し残っているため、1 人で家で仕事をするよりはかどる と思われる。しかし開業するときにかかる費用が高額になってしまうのが難点。実際に はまず1 人で仕事を始め、その仕事が軌道に乗り採算が合いある程度余裕ができたらオ フィスを持つという形式が一般的のようだ。 またコンピュータの世界では当然の事だが 1∼2 年もすれば購入当初最新モデルも使い 物にならなくなってしまうが、増設をうまくして通信機機にかかるコストをなるべく抑 えるよう努力しているようである。(最新の機種を簡単に買い揃える事ができるのは学 生か学校だけのようだ。大きな企業でも古くなったパソコンをうまく利用しているらし い。改めて専修大学の環境の素晴らしさを知った。) このように日本独特の物価、通信費の高さが SOHO の足かせになっているように思う。 最近ではホームページ上に「24 時間テレホーダイ運動」というバーナーを掲載している ページをたまに見かける。これは主婦や会社員など次の日を考えて遅くまでおきていら

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れない人たちが、一定の人しかその恩恵を受けられない今のテレホーダイではなく、す べての人が納得できるような料金制度にしてほしい、という考えの元、始まった運動ら しいが、このように一般ユーザーからも通信費の値下げの請求を受けている。 今後、電話会社の競争により通信費が下がる事を期待したい。 <コミュニケーション> そしてもう 1 つの問題としてはコミュニケーションの取り方が SOHO 事業を始めると 希薄になってしまうという事である。今まで会社などでは直接会って話し合いなどを進 めてきたと思う。メールで用件を伝えても結局は会議、ミーティングなどで直接会って 話し合いが進められてきた。しかし会社を離れ在宅で仕事をする人とのコミュニケーシ ョンはもっぱら電話、FAX、メールになってくると思う。 電話の場合、微妙なイントネーションや感情など、言葉では表せないノンバーバル情 報をある程度、伝達する事ができるが相手の都合をまったく考えずに一方的に割り込ん でしまい、電話でのコミュニケーションは時間の束縛が大きい。 それに対してファックスやメールはメッセージの蓄積、交換方式によって自分の都合 にあわせて送信されたメッセージを確認する事が可能だ。このようにコミュニケーショ ンする者同士が互いに同一時間内に行動する必要がない。しかしこれらの文章中心のツ ールではノンバーバル情報を十分に伝達する事ができない。特に、電子メールにおいて は言葉以外の情報が十分に伝わらないため、ちょっとした表現やニュアンスが伝わらな いで相手に誤解が生じる事がある。 (^_^)笑顔 (^_^)V ピース 、(_O_)ごめん (^O^) (;_;)泣き顔 そのような誤解を少しでもカバーしようと最近では上に挙げたようないくつかの記号 を組み合わせた感情を表すマークのような研究が進んでいる。しかし私もこのようなマ ークを使った事がないし、実際このようなマークを使ってメールの交換をしている人た ちは友達同士など、親しい間柄の場合が多く、とてもビジネスに使えるツールとわ思え ない。 やはりどんなに通信が発達してもある程度は人に会って、その人のしぐさ、目線、声 などに直に触れて話し合いをしないと人間関係がうまく行かないと思う。メールを多用 し、仕事を受け、納期までに完成させる事は大事だが、仕事の依頼者に直接会ってどの ようなものを作ってほしいのか話し合いをしてから制作した方が逆に効率が良いと思

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う。また、クライアントとそのような形で会って話をする事によってしっかりとした信 頼関係が生まれ、次ぎまた仕事が来るようになると思う。考え方によっては、会社にい た時以上に人と人とのコミュニケーションが大切になってくるのではないだろうか?そ の事を忘れ1 人で気楽に仕事ができる、という考えを持って在宅で仕事をすることはと ても危険で仕事が成り立たない可能性もある。 テレビ会議システムという新しい企画があるが、光ファイバーなど大容量の情報を送 れる施設でないと映像がぎこちなくなってしまい、現段階ではあまりリアリティーのあ る映像を送る事ができない状態である。 このように SOHO 事業を成功させ、安定した生活を維持するためには乗り越えなけれ ばならない大きな壁がいくつもある。しかしアメリカを見ても分かるように今後アウト ソーシングが進み企業のスリム化とともに雇用形態が変わり、「餅は餅屋」という言葉 があるが1つの専門分野を追求しアウトソーシングによって企業から仕事をもらう会 社、リストラによって会社を退社した人が今までの経験を生かし開業する人、企業から 独立し専門分野で勝負する人など多種多様になってくると思う。このような時代のニー ズに対応するために SOHO というよりスモールオフィス、ホームオフィスは今後確実 に増えていくと予想される。 3 章では SOHO 事業に対する現状の問題点をいくつか挙げてみたが、4 章ではこの問題 を踏まえて今後どのように普及していくか検討してみたい。 4 章 SOHO の可能性 <ホームオフィスの場合> 在宅勤務(ホームオフィス)が普及してくると今までにない雇用が生まれてくると思 う。通勤に何時間もかかっていたサラリーマンはいままで使っていた通勤時間分時間に ゆとりが生まれるし、通勤ラッシュで体力を消耗する事もない。また、先ほど通信コス トの話が出たが今は専用線を引くのに結構なコストがかかるが近い将来安い値段でみ んなが専用線を引ける環境になるかもしれない。携帯電話が数年の間に値段がどんどん 下がり今では誰もが持っている事を考えるとまんざら夢物語ではないように思う。そう なれば仕事ははかどるしさらに大容量のデータを送れるため今までのように画像はMO で郵送というような事がなくなり、さまざまな仕事ができるようになると思う。 ダイヤルアップ接続 メリット デメリット

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既存の電話回線を使える 専用線より速度が遅い 初期投資がかからない 接続に時間がかかる 専用知識を必要としない 料金体制がよくない アクセス頻度が低いと経済 的 専用線接続 メリット デメリット すぐ接続できる 初期投資がかかる 繋ぎっぱなしで使える。 専門知識が必要 固定制なので安心 設定や維持が大変 よく使うときは経済的 また、今まで家庭に入った専業主婦は家事、育児などにそのほとんどの時間を費やし てきたが、少しの時間を利用した効率の良いパートのような事が在宅でできると思う。 今後少子化が進み労働力不足になっていくと思われるがこのような形で主婦の労働力 を吸い上げることも可能になるのではないか。(私が現在お世話になっている会社の SOHO スタッフは結構主婦の方が多い。やはり在宅で仕事ができるという事に魅力を感 じ、近い将来在宅勤務になる事を見越して今のうちからコンピューターに対するスキル を高めている方もたくさんいる。) 主婦だけでなく、退職した老人の雇用にもおおきな役割を果たすのではないだろうか? 高齢者にとって満員電車に何時間も揺られて会社に通勤する事はかなりのストレスと 労力を消耗すると思う。在宅で仕事ができればゆとりを持って仕事ができると思う。し かし高齢者がコンピューターを使いこなせるのか?という考え方もある。一番の問題にな ってくる事はパソコンの操作問題ではなく老眼などによりディスプレイを1 日見つめる 事が逆に高齢者にとって負担になってしまう可能性がある。 IBM では音声識別ソフトに力を入れていて、現在かなり精度の高いソフトが市場で売 られているそうだが、さらに性能が上がり信頼できるようなソフトに仕上がれば高齢者 にとって大きな武器になると思われる。 また、ベンチャー企業で老眼にあわせて画面の解像度を変えるという考え方も出てい るようです。つまり一般の人がその画面を見ると何が書いてあるか識別できないが老眼 の方には私たちがいつも見ている画面に見える、という商品らしいが、このように高齢 者が在宅で仕事ができる環境は着々と整ってきているのである。 現在、在宅勤務を希望する人は、独立したてのフリーの方か、外に出て働けない一般 の専業主婦が主だったが、今後は高齢者の在宅勤務の数も増えてくる可能性もある。 <スモールオフィスの場合>

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先ほどの話でも出てきたが、日本人は集団組織の中で長い事働いてきた。そのため、1 人で独立するという事に対する意識が低いといわれてきた。だから初期投資が結構かか ってしまうが、オフィスを借りてそこで仕事をする人が今後増えてくると思う。本格的 にビジネスを始めるなら来客が来たときに洗濯物の干してある自宅の一室だったらク ライアントも少し不信感を持つだろう。また、ビジネスを始めるにはそれなりの機器が 必要になるが狭い1 ルームではだいぶ窮屈になってしまい。生活空間がなくなってしま うかもしれない。 だが今後もネックになってくるのは高い管理費、維持費だと思う。 やはり迅速に仕事をしたいなら都内にオフィスを構えそこを基点に縦横無尽に動きま われる体制が必要になってくる。そうなると多少高いオフィスでも借りざるを得ず、今 後、この問題は当分解決されないと思う。 しかし、当初にかかる設備投資に関しては実際先ほど挙げたグラフと少し違うのが事 実である。実際オフィスを構えている人の話を聞くと、倒産してしまった会社のパソコ ンを安く譲ってもらったり、中古パソコンをうまく活用してコストを下げているようで ある。 今後アウトソーシングにより組織がスリム化するならば今まで使っていたパソコン など中古品として市場に出回ると思われる。実際秋葉原のソフマップでもそのような、 今でも十分使えるようなパソコンが安値で販売されている。使い方次第ではこれらの物 でも十分に使えるので、活用していくべきだと思う。 また、新品のパソコンでも 15 万円程度で購入する事ができる。(私がパソコンを買 ったときには考えられなかった事だが) このように運営にかかる費用も段々下がってきているし、また、リストラなどで職を なくした人が今後増加していくと思うが、その人が何か特化した技術を持っていればオ フィスを持って開業する事は無理な事でないと思われる。しかしここで重要になってく る事は、先ほども言ったが人と人とのコミュニケーションだと思う。いくら仕事が豊富 な都心にオフィスを構えて、十分に使えるマシンを揃えたって、仕事がこなければ会社 を維持していく事はできない。電子メール、ファックスなどを利用し先方に連絡を取り、 直接会って仕事の依頼を受ける。そして納期までにしっかり仕上げる、という事を確実 にこなしていき信用を築いていかないと成功はありえない。 せっかく開業、開業する環境が整ってきたのだから、その後の是非は本人次第だと 思う。 このように今回は 2 つのタイプの独立開業 SOHO を見てきたが今後更にいろいろな形

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の独立型のSOHOが出てくると思う。今回テーマとして扱わなかったが企業型の独立 SOHOもコスト削減のため更に進んでくると思われる。アウトソーシングという新し い形態の浸透に伴い日本の企業のスリム化は、今までにないスピードで進むだろう。そ こでリストラされた社員は再雇用されるか自分の力で開業しなければならない時代が いつか来ると思う。 だが、どんなに情報通信技術が発展し強力なネットワークが生まれたとしても最終的 にはやはり人と人のつながりは絶対欠かせないものになると思う。今回SOHOという 情報通信技術の発展によって可能になり、注目され始めて分野をに注目して実体験を加 え論文を書いてみたが、どんなに技術が発展しても人間関係の大切さは変わらないとい う事を痛感した。 序章 今回の論文は参考文献が少なかった分、生の声をふんだんに盛り込んだ論文になったと 思う。しかし、その分自分の偏見も少し入ってしまったような気がする。 年度末に発表する進級論文では今回テーマとして扱わなかった企業型のSOHOをテ ーマにしたいと思う。できればメールなどで実態調査をし、そのデータを基に結論を導 き出せればいいな、と考えている。 私は今年の夏インターンとしてベンチャー企業で働き、そこで社長からいろいろな話 を聞く事ができた。毎日のように通い大変だったが本当に良い経験ができたと思う。そ こで社長が行っていた事は「どんなに文明が発達しても、人と人とのコミュニケーショ ンはなくならない」という事であった。こんかいSOHOという切り口で今後のワーク スタイルを検討してきたがやはり人間関係の重要性を痛感した。この事は私の今後の生 活のキーワードになるだろうと思う。 1998 年 9 月 18 日

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