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尿酸と腎傷害とICU

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Academic year: 2021

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(1)

尿酸と腎傷害と

ICU

2016.06.14 慈恵ICU勉強会

(2)

今日の内容

• 尿酸の基本事項と診療ガイドラインのおさらい

• 尿酸と

CKD

• 尿酸と

AKI

(3)

尿酸の基本事項と

(4)

プリン代謝

月刊糖尿病2012/2 Vol.4 No.2より引用 代謝の過程で スーパーオキシド (O2-発生 (ホスホリボシルピロリン酸) (イノシン酸)

(5)

①ろ過の減少

②分泌の低下

③分泌後再吸収の増加

⇒高尿酸血症

70%が腎排泄 月刊糖尿病2012/2 Vol.4 No.2より引用 腎臓における尿酸の排泄

(6)

近位尿細管の尿酸トランスポーター

月刊糖尿病2012/2 Vol.4 No.2より引用

URAT1は血管平滑筋細胞、血管内皮細胞などにも発現しており、

尿酸の細胞内取り込みに関与

(7)

<組織低酸素下でのプリン代謝>

• キサンチン・ヒポキサンチンの代謝が促進し、O2-(スーパーオキシド)、過酸化水素など活性酸素が発生

(8)

高尿酸血症の病態生理別分類

①尿酸塩過剰産生

• 骨髄・リンパ増殖性疾患、溶血、横紋筋融解、運動、肥満、

高プリン食、代謝酵素異常など

②尿酸排泄の減少

• 体液喪失、腎障害、高血圧、アシドーシス(乳酸、ケトアシ

ドーシス)、尿崩症、利尿薬、抗結核薬など

③複合的機序

• 代謝酵素異常、アルコールなど

(9)

高尿酸血症の合併症

これまでよく知られていたのは・・・

• 痛風性関節炎

• 尿路結石

• 腎障害:痛風腎(尿酸塩の間質沈着)

Crystal mechanism

最近のトピックは・・・

• 心血管疾患、メタボリックシンドロームとの関連?

CKDの増悪因子?

AKIと関連?

Non-crystal mechanism

(10)

=無症候性高尿酸血症

(11)

• Am J Kidney Dis. 2004; 44: 642-50.

48000人を対象にした沖縄の疫学調査。UA ≥ 6.0mg/dLの女性でESKD進展へのリスク上昇 • J Am Soc Nephrol. 2008; 19: 2407-13.

健康成人2万人を7年観察。新規にeGFR < 60mL/min/1.73m2となるリスクはUA:7.1-8.9mg/dLで RR:1.74, UA:9.0mg/dL以上でRR:3.12 (Ref: UA≤7.0mg/dL)

• Am J Kidney Dis. 2006; 47: 51-9.

小規模(N=54)だが数少ないRCTの1つ。CKD患者に対するアロプリノール100-300mg/日の1年投 与によりCrの上昇を抑制

(12)

・原則として無症候性高尿酸血症は治療対象としない

・「痛風患者」での目標値:

6.0mg/dL未満

CKD

AKI

に関する記載なし

高尿酸血症は、腎機能低下による「結果」という立ち位置

米国リウマチ学会のガイドライン:

management of

Gout

(13)
(14)
(15)
(16)

• 早期CKD患者に対するアロプリノールはCKD進行を抑制するか?

心血管イベントを減らすか?

• デザイン:

RCT、2年間の追跡

• 対象:

eGFR < 60mL/min/1.73m

2

の外来

CKD患者113人

• 直近3ヶ月にCrに50%以上の上昇がみられておらず、入院や心血管

イベントがない者

• 除外:アロプリノール投与中

アレルギー、肝障害既往

免疫抑制薬使用中

CKDの進行

0.2mL/min/1.73m

2

/monthと定義

(17)

-1.6mg/dL +0.3mg/dL -3.3mL/min/1.73m2 +1.3mL/min/1.73m2 GFR UA アロプリノール100mg/dayにより ・UAは有意に低下(6.0mg/dL程度) ・GFRはコントロール群に比べて悪化 を有意に抑制できた

(18)

• その後、7年追跡 Renal eventの定義を改変 ①透析導入 ②Crが2倍or eGFRが半分以下 ⇒アロプリノールにより減少 HR:0.32 (95%CI, 0.15-0.69) P= 0.004 心血管イベントも減少 HR:0.43 (95% CI, 0.21-0.88) P= 0.02 • 0.7mg/dLの差による影響というより 飽和限界濃度6.8mg/dLを下回った ことが影響した可能性あり 平均UA: 7.2mg/dL 平均UA: 6.5mg/dL P =0.002

(19)

FebuxostatはCKDの進行を抑制できるか?

• デザイン:

single-center, double-blind, randomized,

parallel-group, placebo-controlled study

• 対象:

18-65歳のCKD stage 3

a

or 4

b

の患者

45人

• 介入群:

40mg/日のFebuxostat投与を6か月継続

Primary outcome:

eGFRのベースラインから10%を超える低下

Secondary outcome: eGFRの変化

(20)
(21)
(22)

FEATHER studyが進行中

Febuxostatvs. placebo

• 日本64施設での

prospective double-blind RCT

CKD stage 3かつUA:7.1-10.0mg/dLの患者400人

(23)
(24)
(25)

PATHOGENESIS

Vasoconstrictions and Impairs Autoregulation

Proinflammatory Effects

(26)

Vasoconstrictions and Impairs Autoregulation

• 高尿酸血症モデルの

Ratにおいて、50%程度の

腎血流低下と ネフロン単位で

GFRが40-50%低下

• 内皮細胞の増殖抑制と機能低下による

NO産生の

抑制

• 糸球体手前の細動脈の平滑筋細胞の増殖による

動脈硬化、自動調節能を低下

Am J Physiol Cell Physiol. 2008;295:C1183-90. Am J Nephrol. 2005;25:425-33.

J Physiol Renal Physiol. 2002; 283:F1105-10.

(27)

Proinflammatory Effects

• 高尿酸血症は

RAS系を賦活化させる

RAS系の賦活化によりnuclear factor-κB(NF-κB)の

活性が促進され、炎症性サイトカインが誘導

• 尿酸結晶も炎症性物質の産生を惹起する

Kidney Int. 2002; 62:1160-70. J Hypertens. 2010;28: 1234-42. Nature. 2006;440:237-41.

(28)

Mitochondrial Dysfunction

• アンギオテンシン

IIとNADPH oxidaseの賦活により

oxidants産生が促進され、ミトコンドリアが傷害される

• ミトコンドリア機能低下によりアポトーシスが惹起

• 尿酸そのものが直接のミトコンドリア傷害作用が

あるかどうかは不明

Am J Physiol Cell Physiol. 2007;293:C584-96.

(29)

• 入院時の尿酸値と

AKI発症の関連を検証

• 対象:

2011年から4年間に入院した18歳以上の全患者

• デザイン:単施設(

Mayo Clinic)後ろ向き観察研究

• 入院時の尿酸値により

6群に分類し、高頻度群(5.8-7.6mg/dL)を

referenceとして群間比較した

Primary outcome: 入院7日以内のAKI発症

Secondary outcome:院内死亡、90日死亡、入院期間、

施設への転院

(30)
(31)

Supplementary Figure 1: Study flow

(32)

すでにeGFRに差がある・・・ この研究の問題点か

(33)

RRT導入例の総計:23/1435 (1.6%)

(34)
(35)

• 18歳以上の入院患者82000例 retrospective database analysis • UA値(入院前30日以内)とAKI(KDIGO) の関連を調査 • 全体のAKI発症率:12.6% • 平均UA値:5.4±1.8 mg/dL (men) :4.3±1.6 mg/dL (women) • Reference UA:3.5-4.0mg/dL ⇒UA: 7mg/dL<の場合 OR:2.13 (1.83-2.46) men OR:3.57 (2.96-4.31) women • UAとAKIの関係は男女ともに J-shaped curveを呈した 日本からの類似研究

(36)
(37)

「重症患者」を対象とした尿酸と

AKIの研究

MEDLINE

(uric acid[ti] OR hyperuricemia[ti]) AND acute kidney injury[ti]

Limit: English

26件(2016年6月現在)

周術期:

8件(

心臓血管外科:

7、膀胱全摘後:1)

腫瘍崩壊症候群:

3件

造影剤腎症:

4件(心カテ関連)

一般入院患者:

2件 ・・・

ICU

患者が対象の研究はない。

日常的に診るのは心臓外科術後(と重症な腫瘍崩壊症候群)くらい?

(38)

• 心臓手術前の高尿酸血症は術後

AKI発症のリスクとなるか?

• デザイン:後ろ向きコホート研究

• 対象:

TAA、CABG、Valveの手術が行われ、術前24-48hrに尿酸値が

測定された患者 ⇒

4949→242人

除外基準:維持透析、臓器移植既往、術前

IABP挿入、off-pump手術、

同時に非心臓手術をおこなった症例 ⇒

242→190

AKI診断:AKIN criteria 48時間以内にCr:0.3mg/dL以上の上昇

(39)

4倍 6倍 8倍 35倍 低値(< 2.5)でもAKIリスク上がった(J-shaped curve) UA値は低すぎても抗酸化作用を期待できない? 黒:性別、ベースの腎機能、 心機能、CPB時間などで調整 実際の値により 10個の群に分類 入院中のAKI:45.1%(うち87%はstage 1) RRT導入例はなし、院内死亡:8.4%

(40)

• 心臓外科周術期の尿酸低下治療(ラスブリカーゼ)により術後AKIは

防げるか?

prospective, double-blind, placebo-controlled, randomized trial

Primary endpoint:ラスブリカーゼ投与とCr、AKIの関連の調査

AKI診断:AKIN criteria

N=484 → 26

(41)
(42)

<患者背景>

60代前半

7割が男性

Cr: 1.4~1.5mg/dL

UA: 8.5mg/dL前後

術式、既往など

両群で有意差なし

(43)

Crの変化に両群で差なし

AKIの発症を抑制できない

POD1は低血圧傾向があり、

ラスブリカーゼ群で高頻度で

ある傾向はあり。統計学的な

有意差はなし。

尿酸値の推移 Crの変化率 MAPの変化率

(44)

• 尿中

NGAL値は、

ラスブリカーゼ群で

低い傾向

UA値が高くなると、

NGAL値の差が開く

傾向が強くなる

最大の問題 ⇒ 差を検出できるほどの規模の研究ではない

潜在的に保護的な作用が 期待できる??

(45)

その他、心臓外科周術期の尿酸・

AKIの関連を検討した研究

デザイン N AKIの診断 主な結果 Joung KW et al 2014 Retrospective OS 予定心臓手術患者 術前のUA cut off :6.5mg/dL 1019 AKIN criteria AKI:44% AKI Stage 2≤: 16% OR(AKI):1.46 UA ≥ 6.5mg/dL (95%CI: 1.04-2.06, p=0.03) RRT: 72 (7%) Mortality: 27% (No AKI: 7%) Gaipov A et al 2015 Prospective OS 予定心臓手術(開心術) 術後2時間、24時間の sUA, sNGAL, uNGAL測定 AKI診断精度の比較 60 KDIGO criteria AKI 40例(67%) No-progress: 20例 stageⅠ(95%),Ⅱ(5%) Progress: 20例 stageⅡ(30%), Ⅲ(70%) ROC(2h) ROC(24h) sUA:0.73 sUA:0.86 sNGAL:0.63 sNGAL:0.75 uNGAL:0.65 uNGAL:0.77 RRT: 7 (12%)

(46)

デザイン N AKIの診断 主な結果 Lee EH et al 2015 Retrospective OS CABG 術前UA値により4群に分類 男 -4.7, 4.8-5.5, 5.6-6.4, 6.5-女 -4.1, 4.2-4.9, 5.0-5.8, 5.9-2185 AKIN criteria Mean UA:5.6±1.5mg/dL AKI:36% AKI Stage 2≤: 5% OR:1.18 (1.10-1.26,p<0.001) (男5.6≤ mg/dL, 女5.0≤mg/dL) RRT: 61 (3%) Ejazz AA et al 2012 Prospective OS 心臓外科手術後にsUA, sNGAL, uNGAL, uIL-18, sMCP-1, s-TNFα測定 AKI診断精度を比較 UA:値により3群に分類 -4.5, 4.6-5.8, 5.9- mg/dL 100 AKIN criteria Mean UA:5.3±0.1mg/dL (AKI: 6.4mg/dL Non-AKI: 4.9mg/dL P<.001) AKI: 27% 30day-mortality: 4% RRT施行:記載なし UA5.9≤群のOR for AKI: 8 (ref:≤4.5群) POD2のAKI診断 AUC:sUA 0.77 sCr 0.73 sTNFα 0.76

(47)

デザイン N AKIの診断 主な結果 Ejaz AA et al 2009 Retrospective OS 予定心臓手術患者 術前のUA cut off :6 mg/dL 58 AKIN criteria AKI:18/58 (31%) UA >6mg/dL: 46% UA ≤6mg/dL: 21% OR(AKI):3.98 (UA >6mg/dL) (95%CI: 1.10-14.33, p=0.035) RRT: 72 (7%)

おおまかに分類すると

• 術前後値と術後

AKIの関連:危険因子としての検討

• 術後

AKI進展予測:バイオマーカーとしての検討

いずれにしろ

CKD対象の研究以上にエビデンスの蓄積は十分でない

(48)

33カ国、97ICUで行われたAKIの国際観察研究

18歳以上のICU入室患者1802例

• 維持透析、

24時間以内の生存退室、再入室は除外

AKI診断:KDIGO criteria

(49)

AKI:57.3%、RRT施行:13.5%(AKI例では23.5%)

• 院内死亡:

18.4%

AKI例の院内死亡:26.9%(stageが上がるほど高い)

重症患者が対象であるが故か、前述の研究以上に

AKIの頻度や重症度が高いことがうかがえる。

(50)

高尿酸血症、高K血症、高P血症、低Ca血症 Cr 不整脈 けいれん CairoらのTLS診断基準(2004年) Laboratory TLS項目1つ+下記項目1つ 2項目以上:Laboratory TLS

(51)

沈着による尿細管の閉塞 結晶による好中球、リンパ球の活性化 各種ケモカインの誘導 血管収縮・腎血流減少と組織低酸素 続発性の虚血再灌流障害 炎症反応の賦活化

(52)

TLSによるAKIを発症しRRTを要した患者の疫学研究

[方法]Nationwide Inpatient Sample database (USA)から

ICD-9でのTLSかつAKI患者を抽出、RRTの施行を調査

[主な結果] N=22,875→RRTを要したAKI: 2919 (12.8%)

Nephrology (Carlton). 2016 Apr 27. doi: 10.1111/nep.12806. [Epub ahead of print]

Model 1: 調整なし

2: patient factor調整後

(53)

血液悪性腫瘍患者のAKI調査 Retrospective cohort study

フランス、ベルギーの大学病院 or関連病院17施設のICU

(54)
(55)

腫瘍崩壊症候群:94/1009 (9.3%) RRT: 271/1009 (26.9%)

(56)
(57)

まとめ

CKDの発症や進行に対しての関連の報告は増えてきたが、

介入研究は近年ようやく始まったところである。

CKD患者対象の研究において、本邦では痛風だけでなく

無症候性高尿酸血症の患者を含むため、症状の有無を

問わず治療対象とする根拠につながることが期待されている。

• 尿酸と

AKIについては、CKDよりもさらに研究は少ない。

ICU患者を対象にした尿酸とAKIの関連を検討した研究はない。

まずは重症患者での尿酸測定の意義を検討する段階の研究が

求められる。

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