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Academic year: 2021

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全文

(1)

機械応用実験

「熱移動の可視化」実験テキスト

2017 年度版

事前に必ず読んで実験内容を理解しておいて下さい.

基本的に細かな説明は行いません.

なお,テキストの最初に実験前課題があります.第

1

週目の実験の際にレポートにして提出してください.

神奈川工科大学 機械工学科

学籍番号 氏名

(2)

「熱移動の可視化」実験

目的

われわれ人間は火を巧みに利用することにより,文明を発展させてきた.現

在われわれが利用しているエネルギーも,もともと太陽エネルギーにより作り

出されたもので,太陽からの贈り物と考えることができる.しかし,それらの

貴重なエネルギーも,残念なことに 100%われわれの生活に有効利用できている

訳ではなく,その大半を熱エネルギーとして捨ててしまっている.

その一方,近年の猛暑化,ゲリラ豪雨,砂漠化などの世界的異常気象の増加

の原因と考えられている地球温暖化を防止するためには,熱エネルギーを少し

でも有効に使う技術,すなわち熱エネルギー制御技術の確立が要望されている.

このような技術を理解,発展させるためには,熱移動の知識が重要となる.

熱移動制御というと随分難しいように感じるが,熱移動の現象はわれわれの

日常の生活の中で十分実感できることである.身近な例としては,

「打水すると

なぜ涼しいのか」,「すだれや床暖房がなぜ優れているのか」,「おいしく料理す

る方法」など多数ある.もともと人間は快適な生活を送るため,古くから生活

の知恵として熱を巧みに利用してきた歴史を持っている.

本実験は,われわれの生活に起こっている熱移動現象をテーマとして取り上

げ,熱移動の過程を可視化することにより,熱移動現象の基本的形態である

Conduction(熱伝導), Convection(対流), Radiation(ふく射)について自ら

勉強し,熱移動現象を生きた知識として理解することにある.

実験は,

「Experiment 1: 美味しいカフェオーレを作るタイミング」

集中定数系:熱伝達>>熱伝導

「Experiment 2:黒と白はどちらがホット?」

熱放射:物体の放射率

「Experiment 3: 分子と流れは熱の運送屋」

熱伝達と熱伝導

「Experiment4:流れと熱は一心同体」

熱伝達

の4つである.

(3)

実験の前に:【課題】 1. 熱流体の可視化測定として,本実験では,主にシュリーレン法とサーモグラフィ を用いて,熱移動現象を可視化測定する.シュリーレン法とサーモグラフィとは何 か,それぞれの計測法の原理を調べなさい. 2. 熱移動の基本的形態とそのメカニズム,それを評価する式を説明しなさい. 3. 実験「カフェオーレ」で近似解として用いる集中熱容量系(定数系)とはどのよ うな考え方か,説明しなさい.また,式(1)を誘導しなさい.

(4)

1 週

実験Ⅰ「より熱いカフェオーレを作るタイミング」 【実 験】 用意するもの:マグカップ2 個,デジタル温度計2本,ストップウォッチ 1 個 あらかじめメスシリンダーにお湯と水を用意し,次の①と②の作業を素早くおこなう こと. ① 2つのマグカップ A と B にカップの約1/2のお湯をそれぞれ素早く入れなさい. ② 1つのマグカップ A に①と同じ量の水(水道水)を入れ,素早く撹拌し,その時の温 度を記録しなさい.その際,もう一つのマグカップについても撹拌し,温度を計測す る. ③ ここから,ストップウォッチをスタートさせ,10 分間,それぞれのカップ A と B 内の 温度を1分毎に計測する. ④ 10 分計測後,直ちにもう一つの水を入れなかったカップ B に,あらかじめ用意してお いた②で加えた水と同量の水を入れ,A と B の温度を計測しなさい. さて,どちらのカフェオーレ A と B が熱いでしょうか? なお,簡単化のためお湯と水は同じ密度,同じ比熱であるとする. 【考察のヒント】 ① 集中熱容量モデル:「予習事項」  VC hS i

T

e

T

T

T

    

)

(

)

(

・・・(1):この式を誘導 ここで,h:熱伝達率,T:物体の温度,Ti:実験開始前の物体 の温度,T∞:周囲の温度,ρ:物体の密度,V:物体の体積, C:物体の比熱,S:表面積,τ:時間を示す.お湯の比熱 c=4.18 kJ/(kg・K),お湯の密度ρ=1000kg/m3,S=(コーヒーカップ内液 面の表面積)m2,V=(お湯の体積)m3,熱伝達率 h=20W/m2K とする. 10 分放置 10 分放置 ミルク ミルク コ ー ヒ コ ー ヒ コ ー ヒ

A

B

V,T,ρ,C S T∞ Start から 10 分まで 1 分間隔で温度計測 10 分後直ちに水を加え, A と B の温度を比較

(5)

4 【実験結果のまとめおよび考察】 ① A と B の実験結果を図に示しなさい.A と B はどちらが熱かったですか?その理由を 考えなさい. ② A と B それぞれの温度の推移を,本実験条件を式(1)に代入して計算しなさい.計算 値結果を①の図にラインで記入し,実験結果と比較しなさい.:ここでは線で記入. ③ 式(1)は,コーヒーカップ内のお湯の温度が指数関数的に降下して行くことを示している. 測定値と計算値を比較し,本実験結果は果たして指数関数的現象になっているか,それ について検討しなさい.それを検討するためのヒントとして,指数関数的現象を評価す るための最適なグラフを考え,本実験結果は指数関数的現象であるかを答えなさい. ④ それを踏まえて,式(1)は本実験の近似解となるかを検討しなさい. 近似解になると考えた人は,実験結果を式(1)に近づけるためには,実験装置および実 験方法をどのように改善すればよいかを数値を用いて具体的に提案しなさい. 近似解にならないと考えた人は,なぜこの式が理論式にならないのか,その理由を論理 的に答えなさい. ⑤ 式(1)の指数部は伝熱でよく用いられる2つの無次元数から構成されている.指数部を変 形して,2つの無次元数を見つけ,それぞれの無次元数の物理的な意味を説明しなさい. つぎに,必要な場合は,得られた無次元数を用いて,④と⑤を再考しなさい. 【問題】 熱電対は工業的に温度センサー【ゼーベック効果(異なる2種類の金属導線を接合させ 2 箇所の接合部の温度差により生じる起電力を利用)】として最も用いられている.図の熱電 対では,2線の接合部(ここで温度をセンシングする,以後ビード)を直径 1mm の球と見 做し,熱伝導率は 35.3W/m・K,密度は 11340kg/m3,比熱は 129J/kg・K とする.また空気中に 置いた場合のビードの熱伝達率は 10W/m2・K とする.次の問に答えよ. (1)この熱電対(ビード)に対して集中熱容量近似解析を用いることができるか. (2)初期温度 20℃から 200℃の空気中にビードを挿入した場合,空気の温度の 99.9%に達 する時間を計算せよ. Thermocouple bead

(6)

5 実験Ⅱ「黒と白はどちらがホット?」 【実 験】 用意するもの:デジタル温度計各2 本、ストップウォッチ 1 個、アルミホイルと黒く塗装 したアルミホイル、水の入った容器 ① デジタル温度計のプローブにアルミホイルと黒いアルミホイルを巻き、オーバーヘッド プロジェクター(OHP)のランプで暖めなさい. ② 1 分毎に温度を測定しなさい.5 分後にライトを消し、同様に 1 分毎に温度を 5 分間計 測しなさい. ③ つぎに、ランプとプローブの間に水(高さ約 2cm)を入れた容器を入れ、②と同様な実 験を行い、温度測定をしてください. 【実験結果および考察】 ① 実験結果をプロットしなさい.黒と白どちらの方が高い温度になりましたか? また、ライトを消した場合、どちらが早く温度が下がりましたか. ② それはなぜですか?考察して下さい. ③ 水を介した場合と介さない場合との結果の違いを説明しなさい. 【考察のヒント】 ① 黒(カーボン、グラファイト・・・)と白(研磨金属面、金属箔・・・)の放射率を 調べなさい. ② 灰色体、放射率と吸収率の関係を説明しなさい? ③ 波長に対する水の吸収特性を調べなさい. Black アルミホイル OHP water probe

(7)

6 【問 題】 ①室内(20℃)に一人の人間(36℃)が立っている.人間から失われる放射エネルギーは どのぐらいか.人間の表面積および放射率を As=1.5m2、ε=0.95 とする. ③ 夏、自動車を外に駐車しておくと、ハンドルに触れなくなるほど車の中が熱くなるのは どうしてでしょうか.そのメカニズムを温室効果の観点から説明しなさい. 注意: 1 週目のレポートは、必ず月曜日 17 時までに、C2 号館 1 階掲示板前の 17 番ポストに提出 すること.提出されていない場合は、2 週目の実験は履修できない.やむを得ない事情で提 出できない場合は、必ず事前に連絡すること.

(8)

2 週

実験Ⅲ「分子と流れは熱の運送屋」 【実 験①】 ① 約45~50℃のお湯をビーカーに入れなさい(熱湯を入れないこと!). ② ビーカーに静かに手を入れてみてください.次に、手を動かしてください. ③ 手を静止したときと動かしたときではどちらが熱いでしょうか? 【実験結果および考察】 ① A と B はどちらが熱かったですか? ② それはなぜですか?考察して下さい. 【実 験②】 【以下の英文を読んで実験を行いなさい】

Prepare a immersion heater, a beaker, a thermometer, a thermometer holder and a test tube stand. (A) Place an immersion heater near the bottom of the cup filled with water. Then, place the thermometer just below the water surface. Record the temperature as a function of time. (B) Then place the immersion heater just below the water surface. Then, place the thermometer near the bottom of the cup. Record the temperature as a function of time.

Time (min) 0 1 2 3 4 5 (A) Heater at the bottom, Temp 1 (oC)

(B) Heater near the surface, Temp 2 (oC)

【実験結果および考察】

① (A)と(B)の実験結果を図にし、その結果を熱移動の観点から説明しなさい. お湯 お湯

(9)

8 実験Ⅳ「流れと熱は一心同体」 【実 験】 ①ヒーターにスライダックと電流計、電圧計を繋ぎ、円柱を加熱する. ②円柱周りの流れをシュリーレン画像から観察しなさい. ③供給電力を I x V から求め、円柱表面温度から局所および平均熱伝達率を算出する. ④流速を 0~10m/s と変化させ、①~③を行う. 【実験結果および考察】 ① それぞれの流速に対しての平均熱伝達率を求めなさい. ② ①を用いて平均ヌセルト数を求め、Re に対する関係をプロットしなさい(図 7.33 参照). つぎに、その図に下の表1の水平円柱周りの平均熱伝達の式(空気の場合)を書き加え、 実験結果と比較しなさい. 【課題】 1. 熱伝達の基本的なメカニズムは熱伝導と言われている、その理由を説明しなさい.ま た、そうであるならば熱伝達と熱伝導はどこが違うのか説明しなさい. 2. レイノルズ数の増加とともに、円柱周りの流れがどのように 推移して行くのか、説明 しなさい. 3.剥離のメカニズムを説明しなさい. 4.円柱周りの局所熱伝達特性と流れとの対応を説明しなさい. 5.抗力係数と平均ヌセルと数の関係を示しなさい. 6.(F コース)宇宙服を熱移動の観点から説明しなさい. (J コース)身の周りの興味のある伝熱現象を示し、その現象を熱移動の観点から説明 しなさい. 風速計 V 熱電対 A

(10)

9 【考察のヒント】I:電流,V:電圧,As:円柱表面積,d:円柱直径,T:温度,添字 θ:中心角 θでの円柱表面上の局所的位置,m:平均 ①

h

I

V

/(

A

s

(

T

T

))

Nu

h

d

/

,

 

d

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h

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2 0

2

1

平均ヌセルト数 ② 流れ:よどみ点,はく離点,後流 ・・・> 熱伝達特性は?

,

/

,

m

h

m

d

d

Nu

(11)

10 表1 水平円柱周りの平均熱伝達の式(空気の場合) n d m d

C

C

Nu

,

0

1

(Re

)

Co≒0.40(0.36~0.43) Red C1 n 1 ~ 4x103 0.48 0.5 4x103~4x104 0.174 0.618 4x104~4x100.0239 0.805 水平円柱周りの自然対流熱伝達 4 / 1 4 / 1 ,

)

(Pr

)

5

.

0

Pr

Pr

Pr

(

517

.

0

d m d

Gr

Nu

参考文献

[1]James Cunningham, Norman Herr, Hands-On Physics Activities With Real-Life Applications: Easy-To-Use Labs and Demonstrations for Grades 8-12 (Physical Science Curriculum Library, V) , Jossey-Bass Inc Pub, 1994. [2]Robert Ehrlich, Why Toast Lands Jelly-Side Down: Zen and the Art of Physics Demonstrations, Princeton Univ Pr, 1997.

(12)

参照

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