令和元年度 千代田学研究成果報告書
千代田ヴァーチャル時空散歩アプリ
「ちよダッシュ!」の充実と展開
目次
1. プロジェクト概要 ... 1 1.1. プロジェクトメンバー ... 1 1.2. プロジェクトの内容 ... 2 1.3. プロジェクトの活動 ... 2 2. 江戸・東京 WebGIS の増補 ... 4 3. 資料増補のための実地調査 ... 5 4. プロトタイプアプリの構築 ... 8 5. 持ち運び地図ファイルの作成 ... 11 6. 今後の課題 ... 14 7. 謝辞 ... 141 1. プロジェクト概要 本プロジェクトでは、千代田区の文化資源と日本大学文理学部の情報資源を最大限に活 用することを目指し、基盤サイトの充実とそれに基づく「千代田ヴァーチャル時空散歩」が できるプロトタイプアプリの構築に取り組んだ。 千代田区は江戸・東京の中心地であることから、区内に歴史・文化財が多数存在する。例 えば、標柱・説明板・碑といった名所・旧跡や、建造物、石碑といった千代田区に関連する 人物などである。さらに、近年ではマンガやアニメなど、サブカルチャー分野でも千代田区 が数多く表象される。このようなコンテンツをWeb 上の地図にマッピングし、それを誰で も使えるように無料で公開すれば、一般の方々にも利用しやすい形で千代田区の歴史・文化 財の価値を共有することができるという考えに基づき、本プロジェクトを推進した。 コンテンツ類をWeb 上の地図にマッピングするプラットフォームのひとつに、研究代表 者らによる「江戸・東京WebGIS」(2013 年から公開中)がある。これは、Google Map に 近世・近代期の古地図や文学テキスト・写真を配置し、近世・近代・現代を透かし見ること で江戸・東京圏を再構築することを目指したものである。2018 年度には「江戸・東京 WebGIS」 に千代田区の文化資源を示す標柱データや、麹町の文人街データを整備した。 2019 年度のプロジェクトでは、当該サイトをスマホアプリ化したプロトタイプアプリ「江 戸東京ものがたり」と、千代田区に焦点を絞りコンテンツ搭載箇所で立ち寄るとスタンプを 集めることのできる「御朱印帳」をイメージしたゲーム性をもつ「ちよダッシュ!」の完成 を目指した。 1.1. プロジェクトメンバー 本プロジェクトは、以下のメンバー・研究班で構成された。 研究代表者:田中ゆかり(日本大学文理学部国文学科教授・全体班) 研究協力者:古川隆久(日本大学文理学部史学科教授・資料班) 松重充浩(日本大学文理学部史学科教授・資料班) 谷聖一(日本大学文理学部情報科学科教授・情報班) 関根智子(日本大学文理学部地理学科教授・地理班) 竹下義人(日本大学文理学部国文学科教授・資料班) 山岸郁子(日本大学経済学部教授・資料班) 林直樹(日本大学経済学部専任講師・全体班) アプリ開発:岩田匡裕(日本大学文理学部情報科学科4 年・谷聖一研究室) 高山泰征(日本大学文理学部情報科学科4 年・谷聖一研究室) 安田貴裕(日本大学文理学部情報科学科4 年・谷聖一研究室) 事務補佐:園川直美(日本大学文理学部臨時職員)
2 1.2. プロジェクトの内容 本プロジェクトは、以下のことに取り組んだ。 1) 江戸・東京 WebGIS の増補(全体班・資料班) 2) 資料増補のための実地調査(全体班・資料班) 3) 2 種類のアプリの構築(全体班・情報班) 4) 持ち運び地図ファイルの作成(全体班・地理班) 2 章以降では、ここに掲げたプロジェクトの内容ごとに報告を行っていく。 1.3. プロジェクトの活動 本プロジェクトでは、次のスケジュールで対面打ち合わせを実施した。対面打ち合わせ と並行し、ML 等を活用し、随時打ち合わせと情報共有を行いながら、本プロジェクトを 遂行した。 5 月 9 日(木) 全体会議(全体班・資料班・情報班・地理班) 5 月 9 日(木) アプリ制作に関する打ち合わせ(全体班・情報班) 7 月 25 日(木) 全体会議(全体班・資料班・情報班・地理班) 7 月 25 日(木) アプリ制作に関する打ち合わせ(全体班・情報班) 9 月 26 日(木) アプリ制作に関する打ち合わせ(全体班・情報班) 10 月 3 日(木) 全体会議(全体班・資料班・情報班・地理班) 1 月 16 日(木) 全体会議(全体班・資料班・情報班・地理班) また、次のスケジュールで成果公開を行った。 1 月 31 日(金) ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ・バンクーバー市)での ワークショップ参加・発表(田中ゆかり・林直樹)
「WORKSHOP: RETHINKING THE CULTURAL CARTOGRAPHIES OF TOKYO IN JAPANESE MEDIA」 “‘Edo/Tokyo WebGIS’ and the Smartphone App ‘Edo/Tokyo Monogatari’”
2 月 22 日(土) ちよラボ!参加・発表(林直樹)
※新型コロナウイルス感染拡大防止策としてちよラボ!中止(2/20 通知)
2 月 27-28 日(木・金) コロンビア大学(USA・ニューヨーク市)でのワークショッ プ参加・発表(田中ゆかり)
「Columbia University-Waseda University Symposium/Workshop in Japanese Literary and Visual Studies」街歩きのお供:「江戸・東京 WebGIS」とスマホアプ
3 リ「江戸・東京ものがたり」「ちよダッシュ!」 3 月 21 日(土) 大妻女子大学さくらフェスタ参加・発表(田中ゆかり・林直樹・ア 情報班) ※新型コロナウイルス感染拡大防止策としてさくらフェスタ中止(2/25 通知) この他にも、日本大学文理学部開講科目「フィールドワーク入門3」(担当教員:竹下義 人)、日本大学経済学部開講科目「教養研究」(担当教員:山岸郁子)、「教養特別研究」 (担当教員:林直樹)において、実地調査を授業の一環として実施し、これらの履修者 は、本プロジェクトに参加し地図ファイル作成コンテンツ(資料)の提供と作成に関わっ た。
4 2. 江戸・東京WebGIS の増補 本プロジェクトでは、千代田区の歴史・文化財を一元的に地図上に表示し、区内を周る 際に活用できるWeb サイトの構築を目指した。 このWeb サイトの構築にあたっては、日本大学文理学部で開発した「江戸・東京 WebGIS」(www.chs.nihon-u.ac.jp/jp_dpt/nichigo-nichibun/web-edo-tokyo/)を用いた。 これは、Google Map に近世期・近代期の古地図や文学テキスト・写真を配置し、近世・ 近代・現代を透かし見ることで江戸・東京圏を再構築することを目指したものである。現 状、Web ブラウザやスマートフォンから使用することができる。スマートフォンを使用し た場合、GPS 機能を駆使して現在地と同期させることが可能で、閲覧者の現在地最寄りの 景物や関連の翻刻済みの文書類を読み取ることができる。 「江戸・東京WebGIS」に搭載する予定の資料として、千代田区の神保町を中心とした お散歩コース、ならびに千代田区がアニメ・マンガなどのサブカルチャーで描写される聖 地データを構築しようとした。 なお、WebGIS に搭載した標柱データは、千代田区文化振興課からデータの提供を受け た。このデータに位置情報を付与し、「江戸・東京WebGIS」に搭載するための準備を行 った。データを展開したイメージは、以下のとおりである。 図1:地図イメージ
5 3. 資料増補のための実地調査 WebGIS・アプリに搭載する資料増補のため、日本大学文理学部・経済学部開講授業に おいて実地調査を行った。文理学部国文学科・竹下義人教授担当「フィールドワーク入 門」では千代田区神田神保町界隈の調査を行い、各班独自のお散歩コースを考え出した。 図2:調査風景 1
6 図3:調査写真 2 経済学部・山岸郁子教授担当「教養研究」では、千代田区内の文学史跡や、アニメやマ ンガの舞台となったいわゆる「聖地」についての調査を行った。また、経済学部・林直樹 専任講師担当「教養特別研究」においても、アニメやマンガに出てくる千代田区内の地点 と、実際の地点調査を行い、アニメ・マンガの描写と実際の地点の相違点について検討し た。 これらの調査は、順次「江戸・東京WebGIS」に反映予定である。
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図4:調査風景 3
8 4. 2 種類のアプリの構築
2018 年度に構築したプロトタイプアプリを基に、日本大学文理学部情報科学科の谷研究 室を中心として、「江戸・東京ものがたり」アプリの作成と、スタンプ機能を追加した 「ちよダッシュ!」を開発した。
Android, iOS どちらでも使用できるようになることを目指し、Android 版・iOS 版とも に「江戸・東京ものがたり」のテストリリースを行い、Android 版については、「ちよダッ シュ!」と共にヨーロッパ以外の地域で一般公開されている。 また、アプリ公開にあたり必要とされる規約作成と、ユーザー登録の為のプライバシー ポリシー作成を入念に行い、専門家による確認・修正を行った。さらに、海外での公開や 外国人観光客が観光で来日した際に使用できるよう、海外版の公開も見据え、規約の英語 化も行った。 以下、プロトタイプ版「ちよダッシュ!」の追加機能の概要を簡単に説明する。 図6:「ちよダッシュ!」スプラッシュ画面 上記が「ちよダッシュ!」スプラッシュ画面(スタート画面)である。デザインについ ては有限会社エフ・ディ・エスに依頼した。
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図7:メニューバーの表示 図 8:ピン選択
10 図11:資料情報 図 12:ステータス表示 成功するとスタンプマークが表示される機能を追加し、スタンプを獲得したピンとして いないピンの見分けがつくよう、スタンプ獲得後にピン表示が変更されるような機能を実 装した。また、ステータス表示機能の画面では、資料ごとにどの程度スタンプを押したか 一目でわかる機能を追加した。 資料情報や画像の閲覧は、「江戸・東京WebGIS」と同様に行えるため、自身が訪れた 地域の歴史資料について調べることもできる。 「江戸・東京ものがたり」と「ちよダッシュ!」アプリは、Android に対応している。 以下のQR コードからダウンロードできる。いずれも無料である。 図13:江戸・東京ものがたり 図14:ちよダッシュ!
11 5. 持ち運び地図ファイルの作成 2018 年度、千代田区の現在の地図と名所を重ね合わせる地図を作成したところ、関係各 所から大変な好評を得た。そこで2019 年度も、同様の地図ファイル作成を作成した。今 回は千代田区神保町~秋葉原界隈の文学関連の名所と、アニメ・マンガの舞台となった地 点を地図上に記載した。 地図ファイルの作成にあたっては、前年度に引き続きゼンリン(株)の「mati mati」 シリーズを基にし、千代田区界隈の名所をプロットしたファイルを作成した。 ファイル作成にあたっては、「江戸・東京WebGIS」に搭載されている資料を選定し、 地図上にプロットすることとした。プロットした資料は以下のとおりである。 タイプ:聖地 神田明神 秋葉原UDX ラジオ会館 昌平橋 竹むら 秋葉原ゲーマーズ 柳森神社 メイリッシュ さぼうる タイプ:神保町お散歩 古書店街 お茶の水小学校 山の上ホテル 万世橋 ニコライ堂 松栄亭 東京古書会館 大田蜀山人終焉の地 斎藤月岑居宅跡 天麩羅 はちまき
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図16:持ち運び地図ファイルの中紙面(表)
14 上記のファイルは、前年度同様に、希望があれば、部数の限り千代田区役所・関係各所に 配布可能である。また、街歩きイベントでもこのファイルを活用していくことを予定してい る。 6. 今後の課題 最後に、今後の課題を簡潔に述べる。 まずは、アプリ「江戸・東京ものがたり」「ちよダッシュ!」の公開の準備と共に、利用 を促進していく必要がある。前年度からの課題であるが「江戸・東京WebGIS」や「ちよダ ッシュ!」、持ち運び地図ファイルを用いた街歩きイベントの実施、ならびに授業での活用 を目標とする。これにより、作成したサイト・アプリが有益であることを国内外に広めてい きたい。 7. 謝辞 この報告書は、2018 年度・2019 年度「千代田学」成果公開の一環である。 本プロジェクトの推進にあたっては、千代田区役所コミュニティ総務課の皆さま、また 地図ファイル掲載をご許可くださった各機関の皆さまに多大なるご協力をいただいた。記 して感謝申し上げる。
令和元年度 千代田学研究成果報告書 千代田ヴァーチャル時空散歩アプリ「ちよダッシュ!」の充実と展開 田中ゆかり編 〒156-8550 世田谷区桜上水 3-25-40 日本大学文理学部国文学科 03-5317-9706 https://dep.chs.nihon-u.ac.jp/japanese_lang/nichigo-nichibun/web-edo-tokyo/ 2020 年 3 月発行