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運動器の機能向上マニュアル

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平成21年3月

青森県健康福祉部高齢福祉保険課

運動器の機能向上マニュアル

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- 1 - 目 次 1.目標と事業の進め方 1)こんなことを目標にして進めましょう ・・・・・ 3 2)こんなことを頭に入れながら進めましょう ・・・・・ 3 3)こんな方を対象にしましょう ・・・・・ 3 4)行うスタッフはこんな方が良いでしょう ・・・・・ 3 5)規模と実施期間 ・・・・・ 4 6)事業を進める際の留意事項 ・・・・・ 4 7)対象者の決定(基本審査) ・・・・・ 4 8)参加除外要件(エントリー判定) ・・・・・ 5 2.リスク管理マニュアル 1)行なう前に高齢者の障害像を把握しておきましょう ・・・・・ 6 2) 運動を行なう前に体の調子を把握しておきましょう ・・・・・ 7 3) 運動を中止すべき目やす ・・・・・ 8 4)高齢者の適切な運動量を把握しましょう ・・・・・ 8 5)運動中に異変が起きたら、こんな方法で対処してください ・・・・・ 9 6)医療機関受診の場合は次のことを情報提供してください ・・・・・ 12 7)運営スタッフの留意しておくべきこと ・・・・・ 12 3.トレーニングプログラムの進め方 1)全体の進め方 ・・・・・ 13 2)トレーニングプログラムの期間と目標 ・・・・・ 14 3)1回のトレーニングの時間配分と進め方 ・・・・・ 14 4)運動の強度 ・・・・・ 15 5)トレーニング開始にあたって ・・・・・ 15 4.評価の進め方と体力測定の実際 1)専門家による評価(理学療法士等) ・・・・・ 16 2)その他の収集すべき情報と準備すべきもの ・・・・・ 16 3)体力測定の進め方(体力測定を始めるまえに) ・・・・・ 17 4)測定結果が意味するもの ・・・・・ 18 5)体力測定の実際 ・・・・・ 18 6)評価表 ・・・・・ 20 5.トレーニングプログラムの作成 1)集団プログラムと個別プログラム作成にあたって ・・・・・ 22 2)トレーニングプログラムの実際 ・・・・・ 23 3)全体のトレーニングの流れ ・・・・・ 26 4)トレーニングにおける留意事項 ・・・・・ 28 6.トレーニングプログラムの実際 1) ストレッチ ・・・・・ 31

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- 2 - 2) 筋力トレーニング ・・・・・ 38 3) クールダウン ・・・・・ 51 4) 参考:日常動作で使用する主な筋肉・柔軟性 ・・・・・ 53 5) 参考:身体の主な筋肉 ・・・・・ 55 7.アクティビティー(活動)の実際 1) はじめに ・・・・・ 56 2) 集団アクティビティーを行なう場合の4つの基本 ・・・・・ 56 3) アクティビティーの実際 ・・・・・ 58 8.事業開催参考例 1) 六ヶ所村特定高齢者運動器の機能向上の流れ(1回90分 全13回) ・・・・・ 63 2) 五戸町の「運動コツコツ道場」 ・・・・・ 65 9.各種書式 1) 基本チェックリスト ・・・・・ 67 2) 問診票 ・・・・・ 68 10.参考・引用文献等 ・・・・・ 70 11.企画と編集・校正 ・・・・・ 70

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1.目標と事業の進めかた

1)こんなことを目標にしてプログラムを進めましょう ① 高齢者の方が要介護状態になることを予防しましょう。 ② 運動器の機能を向上してもらうことで、日常生活活動の維持向上を行ってい頂きましょう。 2)こんなことを頭に入れながら進めましょう ① ただ長寿をめざすのではなく、活動的に元気に長生きをすることをめざしましょう。 ② 心臓病や脳卒中、糖尿病などの病気の予防や、悪化の予防を考えましょう。 ③ 高齢による衰弱、転倒・骨折などの老年症候群予防を考えましょう。 ④ 筋力などの体力要素にのみとらわれることなく、在宅での活動状態を良く調べ、運動習慣 や食事環境といった色々な内容なども併せて指導しましょう。生きがい作りができると、な お良いと思います。 ⑤ 一時的にサービスを提供するだけでは、自立した機能向上への取り組みにはつながりませ ん。住みなれた家庭や地域で、みんなが生活を支えるという考え方をしましょう。その方が 住む地域で新しいネットワークやコミュニティーをつくるなど、高齢者の生活を地域で支え ましょう。 3)こんな方を対象にしましょう ① 一般の高齢者の方。(一般高齢者) ② 要介護認定で非該当と判定された方や要介護状態になるおそれがあり、運動器の機能向上 が必要と思われる方を対象にしましょう。(特定高齢者) ③ 小地域、できれば小学校区内または中学校区内に住んでいる上記①②の方々を対象にする と集まりやすいと思います。 4)行うスタッフはこんな方が良いでしょう ① 高齢者を良く理解している方で、できれば運動に関する知識、安全管理に対する知識、高齢 者の障害像に関する知識、介護保険に関する知識などを持っている方でチームを組むと良い でしょう。 ② 職種は保健師、看護師、理学療法士、作業療法士、健康運動指導士、介護福祉士などが望 ましいのですが、身近にいる方でなるべく高齢者に接している経験豊富な方でも良いと思い ます。概ね3~4名程度が適切です。 ③ プログラムを進行させる上で、理学療法士や作業療法士が身近にいない場合は、下記の団体 に協力を要請してみてください。 ● 高齢者等地域リハビリテーション広域支援センター 青森地区 青森市民病院 弘前地区 弘前市民病院 八戸地区 青森労災病院 上十三地区 十和田市立中央病院 西北五地区 西北中央病院 下北地区 むつ総合病院 ● 青森県理学療法士会 事務局 TEL・FAX0173-72-5860 鰺ヶ沢町立中央病院 リハ科 澤田 ホームページ:http://www.ptaomori.org e-mail:aomori-rigakukai@ptaomori.org ● 青森県作業療法士会(有限責任中間法人青森県作業療法士会)

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- 4 - 5)規模と実施期間 ① 理想的参加人数 約20名程度(各市町村で可能な範囲の設定人数で行うことをお勧めします。) ② 指導者数 3人 その他の補助員としてスポーツボランティア ③ プログラム頻度と回数 理想的回数 1週2回程度 約3ヶ月程度の継続 ④ プログラム実施時間 1回 約90分程度 6)事業を進める際の留意事項 ① 関係機関に対する連絡調整を行いましょう。 ・かかりつけ医、理学療法士会、作業療法士会、健康運動指導士会などから協力を仰ぎま しょう。 ② 参加者の情報収集を行いましょう。 ・包括支援センターから情報の提供を受けましょう。 ・チェックリスト(9.各種書式参照)などの調査票を利用して状態を把握しましょう。 ③ 参加者への事前説明を徹底しましょう。 ・事業概要説明、トレーニングの効果説明、場所と日時等を説明しましょう。 ④ 会場の選択や会場への道のりを分かりやすく説明しましょう。 ・地図や看板を利用し分かりやすい表記をしましょう。 ・駐車場等が設置されており利用しやすい会場を選択しましょう。 ・筆記困難、難聴の方に留意して対応しましょう。 ・時間的余裕を十分にとりましょう。 7)対象者の決定 対象者 : 生活機能評価の結果を踏まえて決定された「特定高齢者」と、「一般高齢者」の中で も、なるべく次の3項目にあてはまるかたを対象にするとよいと思います。 ・ 最大歩行速度 80メートル/分 未満の方(5mを約4秒以上かかる) ・ IADL(手段的日常生活動作)に障害のある方 ・ 次の5項目で1つ以上障害があるか困難を感じる方 〇バス・電車を使って一人で外出できる 〇日用品の買い物ができる 〇自分で食事の用意ができる 〇請求書の支払いができる 〇銀行預金・郵便貯金の出し入れができる

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- 5 - 8)参加除外要件 なるべく下記の要件に合致する方は参加を見合わせていただくか、他の方法を検討してください。 ① 最近6ヶ月以内に心臓発作、脳卒中を発症した方 ② 急性の肝機能障害、または慢性のウイルス性肝炎活動期である方 ③ 糖尿病があり、6ヶ月以内に低血糖発作を起こしたことがある方 ④ 最高血圧が180mmHg 以上、最低血圧が110mmHg 以上の方 ⑤ 脳血管疾患や認知症がある方で参加不可能と思われる方 ⑥ 心臓病があり、かかりつけ医から運動制限を指示されている方 ⑦ 急性期の整形外科的疼痛、および神経症状がある方 ⑧ 骨粗しょう症で、かつ脊椎圧迫骨折の既往がある方

注)必要がある場合は、かかりつけ医の意見書などを参考に参加の可否

を決定してください。

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2.リスク管理マニュアル

1)行う前に高齢者の障害像を把握しておきましょう 高齢者の方々はこんな障害を持っている場合があります。図1をご欄ください。 図 1 〇微細な脳梗塞を合併している方が います 〇難聴 〇咀嚼・嚥下能力低下 〇めまい 〇視力低下 〇下肢の変形から痛 みが発生している方 がいます 〇脊椎の変形・狭窄か らくる、痛みや神経麻 痺が合併している方 がいます 〇不整脈・心房 細動・狭心症な ど心臓の病気を 合併している方 がいます 〇肺活量などが低 下しており過度の 運動ができない方 がいます 〇膀胱や直腸機能の低 下から、頻尿や失禁な どの症状がみられる方 がいます 〇糖尿病や精神疾患など多く の病気を持っている方がいま す 〇色々な症状が遅れてでてきます 〇脱水状態が起こっている方がいます 〇動脈硬化を合併して いる場合や血圧が不安 定な方がいます

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- 7 - 2)- ① 運動を行う前に体の調子を把握しておきましょう <アドバイス> これは理想的な血圧です。指標にする血圧は普段の血圧を指標にしてください。普段から最高血 圧が140mmHg 程度であれば、この値から10mmHg くらい高くても運動は可能と思われます。体調 に注意して進めてください。しかし安静時で160mmHg を超えている場合は注意が必要となります。 その日は軽い運動で済ませるか、運動を中止してください。同様に最低血圧も考慮してください。 また血圧の差は50~60mmHg 程度が望ましいと思います。高齢者の場合血圧の差は小さい傾向に あります。血管の弾力性が尐なくなっていると考えてください。 2)- ② 運動を行う前に体の調子を把握しておきましょう <アドバイス> 普段の平均的な脈拍を調べておくことをすすめます。いつもより早い脈拍や左右で脈拍に大きな 差があったり、不整脈が多く出ていたりした場合は、軽い運動を行うか運動を中止することを勧め ます。 2)- ③ 運動を行う前に体の調子を把握しておきましょう <アドバイス> 痛みは個人個人で差があります。普段から手足の様子や痛みの訴え方に注意してください。手足 が腫れていたり、赤みがあれば炎症を考えてください。また刺すような痛み、じりじりとした痛み、 動かすとがくがくするし痛い、などの訴えがあれば運動を中止するか、軽い運動や運動内容を変更 してください。できるだけ関節に負担がかからない方法で運動を行ってください。 さしえ:ナカナカタナカ 〇標準血圧 最高血圧(収縮期血圧) 120mmHg 最低血圧(拡張期血圧) 80mmHg 〇高齢者血圧の指標(65歳以上) 最高血圧(収縮期血圧) 140mmHg 最低血圧(拡張期血圧) 90mmHg (日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン改訂 2004) 〇脈拍 一般的な脈拍 → 60回~100回 /1分間 ・徐脈:1 分間に40回以下(安静時) → 心臓に障害を持っているかもしれません (スポーツ歴があるか、現在も行っている方はこの限りではありません) ・頻脈:1分間に120以上(安静時)→ 心臓や肺に障害をもっているかもしれません ・不整脈:1分間に5回以内であれば特に運動を中止する限りではないと思いますが注意 して行うことを勧めます。 〇痛みについて(肩関節、腰部、股関節、膝関節) 痛みの種類を把握しましょう。 ・じっとしていても痛い → 炎症による痛みかもしれません運動を中止してください。 ・動かすと痛い → 筋肉の痛みが考えられます。軽い運動に変更してください。 ・体重をかけると痛い → 関節の変形が考えられます。体重のかからない方法で運動し てください。また痛みの出ない範囲で運動してください。

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- 8 - 3)運動を中止すべき目やす <安静時血圧> 最高血圧 最低血圧 差 標準的目やす 140mmHg 90mmHg 50mmHg~60mmHg 中止の目やす 180mmHg 以上 40mmHg 以下 <安静時脈拍数> 運動中止 運動可能 運動中止 1分間脈拍数 40回以下 60~100回 120回以上 その他考慮すべき基準:不整脈が多い。胸痛がある。脈の左右差が大きい。 <痛み> 運動可能 運動内容の検討が必要 運動中止 症状と訴 え 尐し痛いが運動終了後5 分程度で痛みがおさまる 〇重苦しい痛み 〇医師より運動の制限を指 示されている場合 〇炎症症状がある 〇じっとしていても痛い 〇刺すような痛み、じり じりとした痛み 4)- ① 高齢者の方の適切な運動量を把握しましょう 理想的運動量 〇運動開始から慣れるまで 〇運動に慣れてきた時期(運動を開始し1ヶ月以上経過してから) 4)- ② 高齢者の方の適切な運動量を把握しましょう 運動時の症状や訴え方に注意してください。 〇適切な運動量と思われる時の症状や訴え方 〇こんなときは運動しすぎです。 脈拍数 220-年齢×0.5~0.6= 運動時理想的脈拍数 例) 75歳の方であれば 220-75歳×0.5~0.6=72~87回程度 脈拍数 220-年齢×0.7= 運動時理想的脈拍数 例) 75歳の方であれば 220-75歳×0.7=101回程度 ・すこし息がはずむ程度 ・まだまだやれそうだ ・気持ちがいい ・軽く汗がにじむ程度 ・楽しい ・顔色が白っぽくなる ・めまいがする ・息苦しい ・あちこちが痛い ・もうやれない、したくない気分になる

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- 9 - <アドバイス> 運動は楽しく行い、リズム的な運動で低負荷、酸素を多く取り入れることのできるものを選んで ください。 5)- ① 運動中に異変が起きたら、こんな方法で対処してください 〇運動中関節や筋肉を痛めた場合の応急処置 〇転倒して下肢や上肢に力が入らない場合の応急処置 注意) ・痛みがある場合とない場合があります。 ・腫れがある場合とない場合があります。 ・意識がある場合とない場合があります。 1) 安静姿勢をとらせる、関節や患部が動かないように軽く固定する。 2) 患部を冷やす、患部を尐し高い位置に保持する。 転倒 脊椎圧迫骨折

上腕骨頚部骨折

上腕骨頚部 骨折 大腿骨頚部骨折

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- 10 - 〇脊椎の圧迫骨折や上腕骨頚部骨折、大腿骨頚部骨折などが考えられます。 下記のような安静姿勢を安全な場所で保ち、医療機関に救急搬送してください。 〇上腕骨頚部骨折、などがあります。 〇脇にタオルなどを入れて、肩関節を軽度外 転位に保持してください 〇大腿骨頚部骨折が多いようです。 〇膝下に枕などを入れて、股関節が軽 度屈曲位になるように保持してく ださい 〇脊椎圧迫骨折が多いようです 〇背中を軽度伸展位にして安静を保持し てください。痛みが軽度であれば横向き でも良いと思います 〇安全な場所に寝かせ、安静にさせてください。 〇担架に移すときは3人で行い、背部、腰部、下 肢をそれぞれ持ち移してください

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- 11 - 5)- ② 運動中に異変が起きたら、こんな方法で対処してください 〇 倒れて意識がない 低血圧とかショック状態が考えられます。心臓疾患や脳血管疾患、糖尿病による低血糖、高血 糖などの病気の症状が原因かもしれません。次の手順に従ってください。

意識、脈、呼吸あり

● 痛み、身体状況、原因などをメモ する。

事故発生(緊急事態)

安全な場所に移動させ、衣服をゆるめ、症状の程度を確認

意識、脈、呼吸なし

● 気道を確保し、心臓マッサージ 30 回を繰り返す。 蘇生しない場合は除細動器(AED)を使用する。

119番通報 「救急車おねがいします」

場所:「〇〇公民館」 「〇〇町、〇〇地区、〇〇番地 症状:「〇〇が原因で、〇〇の状態です。」

外に迎えにゆく

救急隊員に詳細を報告する(同乗しない場合は医療機関名を確認) 医師、看護師がいる場合は同乗する。 家族への連絡 「〇〇公民館で〇〇さんがけがをされました。〇〇病院へ救急搬送されました。状態は〇〇で す。」

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- 12 - 6)医療機関受診の場合は次のことを情報提供してください あらかじめ次のようなカードを作っておくことをお勧めします。 7)運営スタッフの留意しておくべきこと

情報提供カード

氏名 年齢

生年月日 性別 男性 ・ 女性

連絡する方 緊急時連絡先 TEL

包括支援センター TEL

これまでにかかったことのある病気

現在治療している病気

飲んでいる薬

かかりつけ医

普段の血圧 最高血圧 mmHg 最低血圧 mmHg

普段の脈拍 回/分

● 事故が起こらないように環境整備を行っておきましょう。 ● あらかじめ参加者の健康情報を調べておきましょう。 ● この情報はスタッフの中で共有しておきましょう。 ● 運動中止要件は必ず守りましょう。 ● 緊急事態が発生した場合、動揺が周りに広がらないように冷静に対応しましょう。 ● マニュアルをあらかじめ作っておき誰でも対処できるようにしましょう。 ● 緊急対応に関する物品等(ストレッチャー、薬品、AED)等を確認し、設置場所を把 握しておきましょう。 ● 事故発生後の補償等、傷害保険に加入しておくことをお勧めします。

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3.トレーニングプログラムの進め方

1)全体の進め方 事前アセスメント <医学的側面の評価> ● 既往歴、家族歴、服薬、転倒歴、生活習慣等 ●ニーズの把握、自覚症状、ホープ ● 脈拍測定、血圧測定 ●痛みの評価、アライメント(姿勢)評価 ● 日常生活活動能力: チェックリスト SF―36 BI FIM ADLテストなど ● 体力測定 計画作成 ● 目標設定:対象者自身に目標を決定してもらう。 ● 計画作成:事前アセスメントから体力水準を把握、集団の中で最も体力が低い方に合わせ てプログラムを作成。能力の高い方には回数や負荷強度(重りや、重垂バンド等)で調整。 それぞれ適切な運動量になるように調整。 説明と同意 参加者にわかりやすい形で、プログラムの内容、プログラムの進め方、プログラムの効果、 プログラムに伴うリスク、緊急時の対応を説明し、参加者から同意を得る。 プログラムの開始 ● プログラムの実施期間は概ね3ヶ月程度、実施回数は参加者の負担とならない程度に設定。 ● 1ヶ月ごとに達成可能な目標を定め、達成感が得られるようにする。 ● 1回のプログラムの中には参加者が自宅や地域で自主的に行えるような内容も配慮してプ ログラムを作成実施する。 ● 最初の1ヶ月はコンディショニングを中心として、運動に慣れることや親しむことを中心 行う。 ● 2ヶ月目は主に筋力を向上させるために、個々に合わせ漸増的に負荷を増強して行く。 また、バランス能力などの向上も考え、体力要素を包括的に向上させる。 ● 3ヶ月目は安定したADLが行えることを目標に、筋力の増強やバランス能力向上に加え、 レクリェーションなども取り入れることを考慮して行う。 事後アセスメント <医学的側面の評価> ● 既往歴、家族歴、服薬、転倒歴、生活習慣等 ●ニースの把握、自覚症状、ホープ ● 脈拍測定、血圧測定 ●痛みの評価、アライメント評価 ● 日常生活活動能力:チェックリスト SF―36 BI FIM ADLテストなど ● 体力測定 ● 運動継続の指導 ● 運動終了から2ヶ月目頃、手紙などで運動の継続の啓発、あるいはモニタリングを行う。

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- 14 - 2)トレーニングプログラムの期間と目標 ① 1週 2 回程度、3ヶ月の継続が望ましいと思います。 ② 運動の効果が出るまでに最低で 1 ヶ月以上必要とされています。個々の状態の差も考慮し て3ヵ月程度の期間はトレーニングを行ってみてください。 (ア)体の変化の自覚と自立を誘発する期間としても、3ヵ月程度が必要です。 (イ)個々の目標を明確にし、意欲をもって取り組めるように目標を設定してください。 (ウ)仲間づくり、励まし合う、支え合うトレーニングを目標としてください。 (エ)筋力要素のみにこだわるのではなく、体力の諸要素を包括的に向上させることが 目標です。 3)1回のトレーニングの時間配分と進め方 〇 1回60分~90分程度のトレーニング時間が理想的です。 〇 1週間に2回程度の開催回数が理想的です。 〇 1ヶ月に8回程度。 〇 3ヶ月に24回程度。 〇 実施前後に各1~2回程度、事前事後アセスメントなどをおこないます。 〇 3ヶ月全体で、26回~28回程度の開催回数が理想的です。 以下のチャートは目安としてください。 <ウォーミングアップ> 呼吸法、ストレッチング、軽い運動、血流を筋肉へ

20分程度

<機能トレーニング> 筋力強化、バランストレーニング、(マシントレーニングを含む)

60分程度

(休憩を含む)

<クールダウン> ストレッチング、筋肉で使った血流を内臓へもどす

10分程度

10~15分

程度

25~50分程度

10分程度

<オリエンテーション> 自宅での実施状況確認、運動の習慣化

5分程度

<オリエンテーション> いつ、どこで、どのように実施するのか確認、運動の習慣化

10分程度

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- 15 - 4)運動の強度 運動の強度は、プログラムの進行に合わせ変化させます。椅子などを使った座位中心の運動から 始めて、立位を使い自重による負荷へと運動を変化させましょう。徐々に運動姿勢を変化させ強度 を漸増的に増やしていきましょう。 運動強度の目安 種目数 内容(例) 第Ⅰ期 (約1ヶ月目) ・椅子を利用した座位 中心の運動 ・4種目程度 ・椅子での膝伸ばし ・立ちあがり 第Ⅱ期 (約2ヶ月目) ・立位を中心とした運 動自重負荷 ・6種目程度 ・膝の屈伸運動 ・立位での股関節外転(足 を横に開く) 第Ⅲ期 (約3ヶ月目 ・応用運動 ・6種目程度 ・階段昇降 ・前後左右のステップ 5)トレーニング開始にあたって ① カンファレンスを開催し、参加者個々の身体状況をスタッフ内で共有し対応しましょう。 ② 痛みの評価について専門化(理学療法士等)から評価を受け、リスク管理の対象と処置方法 を指導していただきましょう。 ③ 身体アライメントの評価を専門化(理学療法士等)から評価を受け、リスク管理やトレー ニングの指導を行っていただきましょう。 ④ 体力力測定の方法を知っておきましょう。 ⑤ 評価結果の内容が意味することを知っておきましょう。 ⑥ 集団プログラムと個別プログラムを計画しましょう。

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4.評価の進め方と体力測定の実際

1)専門家による評価(理学療法士等) <痛みの評価> 〇 国のマニュアルに掲載の、書式、身体機能評価票を使い、痛みに対する評価をしてください。 ① 痛みの部位 痛みのある部位を身体図に書き入れる。複数の場合は番号をつける。どんな時に痛いのか 記載する。 ② 痛みの既往と服薬 いつから痛いのか、現在の治療内容、使用している薬等を記載する。 ③ 痛みの時間 痛みが出てから治るまでの時間などを記載する。 ④ 痛みの程度をVASをつかって主観的な指標として記載する。 <アライメントの評価> 〇 国のマニュアルに記載している書式、身体機能評価票を使い、アライメント(姿勢)に対する 評価をしてください。 ① 静的アライメントの異常 変形個所をチェックし記載、(X脚・O脚・外反母趾等)。関節拘縮の有無と程度。身体の 重心位置等を記載する。 ② 動的アライメントの異常 歩行等の分析結果の記載など。 <体力の評価> 〇 別表の項目に記載している書式、体力測定評価票を使い、評価をしてください。 評価項目 2)その他の収集すべき情報と準備すべきもの ○ 次の項目を身体機能評価票と体力評価票に記載します。 ① 個人情報 評価日、氏名、年齢、性別、これまでの特記すべき疾患、 体重、身長、BMI、血圧、脈拍、ニーズ、自覚症状、日常生活活動能力等 ② 準備すべきもの 身長計、体重計、血圧計、筆記用具、休憩用の椅子、水分補給用のドリンク、カメラ、 ビデオカメラ、ストップウォッチ、握力計、ポール、色つきテープ、距離を測るための オドメーターやメジャー等、バインダー、評価用紙、スケジュール表 体力要素 測定項目 準備すべきもの 筋 力 握力 握力計 バランス 開眼片足立ち時間 ストップウォッチ 移動能力 5m間最大歩行 ポールなどの目印になるもの 色つきテープ、ストップウォッチ Timed up & go いす、ストップウォッチ、ポールなど の目印になるもの *書式は「運動器の機能向上マニュアル」(平成17年12月 主任研究者 大渕 修一)を参照(以下「国のマニュアル」という)

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- 17 - 3)体力測定の進めかた(体力測定を始める前に) バイタルサインのチェック:血圧・脈拍数測定 体力測定の内容説明 全員でストレッチング(10分程度) 体力測定 理学療法士等の評価 終了 <指導者の心得> 〇参加者の緊張を和らげるような 声がけをする。 〇参加者が気持ちの準備を十分整 えられるように、参加者自身のタ イミングで行えるように配慮す る。 <測定結果のフィードバック> 測定結果は参加者が自分のデ ータを見ることができるように 個人カルテにはさみましょう。コ メントをつけて結果を説明する ことも重要です。 <説明例> 「これから行う体力測定は、体を曲 げたり片足で立ったりなどとい ったやさしいテストです。現時点 で、皆さんがどのくらいの体力が あるのかを見るものです。他の人 と競い合うものではありません ので、ご自分でできる範囲で頑張 ってください。」

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- 18 - 4)測定結果が意味するもの ① 握力 握力は全身の筋力の状態を反映します。握力が弱くなっていれば、全身の筋力も弱くなっ ていると考えても良いと思います。 ② 開眼片足立ち時間 片足で立った際のバランス能力の程度をあらわします。バランスが崩れた際に補正する能 力が反映されます。 ③ 5m間最大歩行 横断歩道などの道路上での移動など、移動の能力の程度を反映します。 ④ Timed up & go 複合的動作能力の程度をあらわします。立ちあがる、あるく、体の向きを変える、バラン スをとるなどの複合能力が必要となります。目と体や四肢の協調性が必要となります。これ らが低下すると実用的な行動に影響を及ぼすこともあります。 測定結果の参考指標 「介護予防完全マニュアル」(財)東京都高齢者研究・福祉振興団東京都老人総合研究所の指標参考 低い 高い レベル 1 2 3 4 5 握力(kg) 男性 未満 25 29 33 37 以上 25 29 33 37 女性 未満 15 18 21 24 以上 15 18 21 24 開眼片足 立ち時間 (秒) 男性 未満 5 13 30 60 以上 5 13 30 60 女性 未満 4 10 23 60 以上 4 10 23 60 5m間最 大歩行 (秒) 男性 未満 32 28 24 22 以上 32 28 24 22 女性 未満 38 32 28 24 以上 38 32 28 24 Timed up&go (秒) 男性 未満 7.2 6.1 5.5 5.0 以上 7.2 6.1 5.5 5.0 女性 未満 8.9 7.5 6.5 5.8 以上 8.9 7.5 6.5 5.8 5)体力測定の実際 ① 握力測定 <測定方法> 〇 両足を開いて安定した基本姿勢をとる。 〇 握力計の指針を外側にして、体に触れないように肩を軽く外に開き、息を吐きながら 力いっぱい握る。

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- 19 - 〇 左右2回ずつ行う。 <注意点> 〇 反対の手で支えたり、手を振らないようにする。 〇 握りは人差し指の近位指節間関節(第2関節)がほぼ直角になるように握り幅を調整 しておく。 〇 左右の最も良い値を採用する。小数点第1位まで求めることが望ましいです。 〇 立位が不安定な方は、椅子に座って計測してもかまいません。そのときは備考に測定 姿位を記入しておいてください。 ② 開眼片足立ち時間 <測定方法> 〇 両手を腰にあてる。 〇 重心を支持足に乗せておき、上げる足をゆっくりとあげる。被験者のタイミングでス タートして、足が床から離れたときから計測する。 〇 上げる足は前方後方どちらでもよい。ただし上げた足を支持足につけないようにする。 〇 練習してから、左右2回ずつ行う。 <注意点> 〇 次の状態になるまでの時間を測定する。 ・支持足の位置がずれたとき。 ・腰にあてた手が離れたとき。 ・支持足以外の体の一部が床に触れたとき。 〇 被験者のタイミングで行ってもらうよう、験者は被験者の動きに合わせ計測する。 「ご自分の準備ができたらはじめてください。足が離れたときから計測します。」と伝 える。 〇「目を開けたまま、この状態をなるべく長く保ってください」実演し教示をする。 〇 2回測定し、ベストをとる。秒未満は切り捨てる。 〇 測定時間の上限は 60 秒。1回目に 60 秒できた場合でも2回目の測定は行う。 〇 転倒の危険があるので、必ず被験者の後ろに補助者をつけること。 〇 もちろん被験者は一人ずつを計測する。 ③ 5m間最大歩行 <測定路の準備> 〇 直線で 11mをとれるスペースを準備する。部屋で無理な場合は廊下を利用する。 〇 11mのはじとはじに目印となるポールをおく。 〇 測定区間の始まり地点(歩行開始地点から3m)と区間終了地点(歩行開始地点から 8m)にあたる床にテープを貼る。 (目印ポール) 予備路3m 測定路5m 予備路3m (目印ポール) (テープ)

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- 20 - <測定方法> 〇 予備路(前後3mずつ)と区間5mの合計 11mの歩行を行う。 〇 走らないように、2回歩く。 〇 所要時間を計測する。 <注意点> 〇 測定は、測定区間始まりと区間終了地点のテープを足で踏むか、足が超えた時点の所 要時間を小数点第1位まで(第2位以下は四捨五入)求め、2回のうちベストをとる。 〇 杖や歩行器を使っている人の場合は、使用した場合と、可能であれば使用しない場合 の両方を測定するとよい(杖や歩行器を使う場合は、記録紙に明記する)。 〇「できるだけ早く歩いてください」と伝え、走らせないようにする。 ④ Timed up & go <測定方法> 〇 背中を垂直にしてイスに座る。手はふとももに置く。 〇 験者の声かけに従い、イスに座った姿勢から立ちあがり、3m先の目印まで歩いて折 り返し、再び、イスに座る。 〇 回り方は左右どちらからでもよい。 〇 1回練習し、2回行う。 <注意点> 〇 イスは肘掛のついていない安定したものにする。 〇 験者は被験者の体の一部(頭)が動き出す時からスタート地点のイスにお尻が触れ た時までを計測する。 〇 2回のうちベストをとる。尐数点第1位まで(第2位以下を四捨五入)求める。 〇 教示は「できるだけ早くまわってください」に統一する。 〇 2回目は「もう尐し頑張ってみましょう」と教示する。 〇 転倒の危険性(回るとき、イスに座ろうとするときに転倒しやすい。カーペット敶き の時には歩行時つまずきやすい)があるので、補助者が必ずつくこと。また、補助者が 歩行の邪魔をすることがないように留意する。 6)評価表 ① 理学療法評価 「運動器の機能向上マニュアル」(平成17年12月 主任研究者 大渕修一)に掲載してい る「理学療法評価」を参考にしてください。 3m イス 目印のテープ

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5.トレーニングプログラムの作成

1)集団プログラムと個別プログラムの作成にあたって 参加者全員の身体状況にあった集団プログラムと参加者一人一人にアプローチした個別プログラ ムを作成し、だれであっても諸機能が向上して行くようにプログラムを決定することが望ましいで す。 ① 集団プログラム ウォーミングアップ、(呼吸法、ストレッチ、軽運動) 筋力トレーニング、バランストレーニング、クーリングダウン ② 個別プログラム 個別プログラムは情報収集した内容や体力測定結果の内容から、日常生活動作の円滑化や安 定性の獲得など、虚弱な高齢者が自立した生活を維持することに目的を置いたものです。です から理学療法士等の専門職に依頼することが望ましいです。 〇理学療法士等による個別対応 高齢者の身体機能は低下の度合いに差があります。虚弱高齢者の場合は単独に一つの機能が 低下していることはまれで、さまざまな要因が絡んで生活の不具合を呈していることが多くな っています。 まず全体像を把握し、理学療法評価や問診などで個々の問題点を分析し、対象者の身体状況 やニーズに合わせた対応をする必要があります。この場合、カンファレンスで個々の目標を設 定しプログラムに反映して行くことが望ましいです。また設定にあたっては、事業終了後のこ とも視野に入れ、ホームエクササイズ等の方法もとるべきです。 以下、P23~P55 までは「弘前市筋力向上マニュアル」より引用または参考とさせていただき ました。 〇 楽にできるトレーニングから、徐々にレベルアップをして自己達成感をもてるようにしま しょう。 〇 グループ内に身体機能の高い人と低い人で差がある場合があることから、回数や負荷量を 個人的に検討する必要があります。 〇 レベルの低い方へは、スタッフが補助につくとか、椅子等の補助具を使う、他の運動を考 えるといった考慮が必要になる場合もあります。

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- 23 - 2)トレーニングプログラムの実際 具体的な集団トレーニングのプログラムの流れです。参考にしてください。 ①ストレッチ(準備運動) プログラム名 種目名 伸ばされる筋肉 ストレッチ ウォームアップⅠ(足踏み) 大腿直筋・大腰筋 ウォームアップⅡ(お尻歩 き) 大腰筋・腹横筋等 ① 胸のストレッチ 大胸筋 ② 背中のストレッチ 菱形筋等 ③ わき腹のストレッチ 前鋸筋 ④ 腰周りのストレッチ 腹斜筋等 ⑤ 股関節のストレッチⅠ 大臀筋下部 ⑥ 股関節のストレッチⅡ 内転筋群 ⑦ 太もも裏のストレッチ ハムストリング ⑧ 首のストレッチ 僧帽筋等 ⑨ ふくらはぎのストレッ チ ヒラメ・腓腹筋 ⑩ 太もも表のストレッチ 大腿四頭筋 <アドバイス> 伸ばす筋肉を頭の中にイメージさせながら、ゆっくりとストレッチを行わせてくださ い。筋肉は伸ばし始めてから十分ストレッチされるまで時間がかかります。 可動範囲の修正 種目の取り止め 種目の変更 体勢の変更 体力測定結果の「柔軟性」や関節の痛み等を考慮

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- 24 - ②筋力トレーニング(主運動) プログラム名 種目名 主に使用される筋肉 筋力 トレーニング (基本) ① レッグエクステンション(膝伸ばし) 大腿四頭筋 ② スクワット・ポジティブ(立ち上がり) 大臀筋・ハムストリング等 ③ トゥレイズ(つま先あげ) 前頸骨筋 ④ カーフレイズ(かかとあげ) ヒラメ筋・腓腹筋 ⑤ アダクション(膝閉じ) 内転筋群 ⑥ アブダクション(膝開き) 中臀筋 ⑦ クランチ・正面(腹筋) 腹直筋 ⑧ ラテラルレイズ(肘あげ) 三角筋 ⑨ ローイング(船こぎ) 菱形筋・肩甲下筋・前鋸筋 ⑩ キャットロール(背中曲げ伸ばし) 大腰筋・腹直筋 筋力 トレーニング (発展) ① レッグレイズ・立位(ももあげ) 大腿直筋・大腰筋 ② スクワット(しゃがみ立ち) 大臀筋・ハムストリング ③ トゥレイズ・立位(つま先あげ) 前脛骨筋・姿勢維持筋 ④ カーフレイズ・立位(かかとあげ) ヒラメ筋・腓腹筋・姿勢維持 筋 ⑤ アダクション・立位(膝閉じ) 内転筋群・大臀筋・姿勢維持 筋 ⑥ アブダクション・立位(足横あげ) 中臀筋・腰方形筋・姿勢維持 筋 ⑦ クランチ・斜め(腹筋) 腹直筋・内外腹斜筋 ⑧ プッシュアップ(壁押し) 大胸筋・上腕三頭筋・三角筋 ⑨ ローイング(船こぎ) 菱形筋・肩甲下筋・前鋸筋 ⑩ バックエクステンション(おじぎ起 き) 脊柱起立筋・大臀筋 可動範囲の修正 種目の取り止め 種目の変更 体勢の変更 体力測定結果や関節の痛み等を考慮 スタート時は原則基本種目を選択 体力測定結果が4種目以上標準を上回る場合は一部(③・④・⑥)発展種目からの スタートも検討する

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- 25 - ③クールダウン(整理運動) 腰痛等で仰臥位が無理な場合は、座位を検討する。 プログラム名 種目名 使用される筋肉 クールダウン ① 腹式呼吸(基本) **** ② 尿失禁予防運動 骨盤底筋群 ③ 股関節周辺ストレッチ(基 本) 股関節周辺の筋群 ④ 全身緊張&脱力(基本) **** ⑤ 肩回し(基本) 肩甲骨周辺の筋群 ⑥ 肩たたき・肩もみ(基本) 僧帽筋等 クールダウンでは、軽度の腹筋関連運動を併せて行う。 椅子からの立ち上がり時膝に痛みがある 立ち上がり動作の修正 膝の痛みが出ない レッグエクス(膝伸ばし)時膝に痛みがある レッグエクス 代替種目でスタート 椅子から立ち上がり 再チェック(1ヵ月後)

通常の組み立て

YES NO

スクワットなしで

通常の組み立て

膝に痛みがある場合のフロー

仰臥位の確認

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- 26 - 3)全体のトレーニングの流れ プログラムについては、ストレッチ、筋力トレーニング(基本)、筋力トレーニング (発展)、クールダウンから構成されるプログラムを週一回、※3ヵ月間(12週間) 継続して実施します。 また、その期間を、①「フォーム習得やトレーニングに慣れるための導入期」、②「回 数・負荷の目標を設定し筋力の強化を図る維持期」、③「負荷の調整を行い、筋力やバ ランス能力及び日常生活動作の拡大を図る発展期」の1ヵ月ごと3期に分けます。 ただし、対象者個々の虚弱度(体力の状況)に応じて明確に「導入期」・「維持期」 「発展期」の3期に分ける必要はありません。 ※欠席等を考慮し最大14週まで延長可能。 3ヵ月 1ヵ月 1ヵ月 1ヵ月 導入期 維持期 発展期 1回のトレーニング時間は60分間程度とします。次に示した各期別のトレーニング に要する時間を目安として、対象者の虚弱度によっては若干の増減が必要となる場合が あります。 プログラム開始前後には十分な水分補給や休憩をとることとし、種目の合間にも必要 に応じて随時水分を補給することが重要です。 ① 導入期(1ヵ月) ストレッチ、筋力トレーニングとも、基本となるフォームを習得することが大切で す。時間や回数をこなしたとしても、間違ったフォームでは目的とする作用筋を効果 的に鍛えることはできません。 このため、筋力トレーニングでの故障を防ぐ意味からも、ストレッチの手法をしっ かりと習得するとともに、筋力トレーニングに関しては、低負荷(尐ない回数・可 動域を狭く・実施スピードの調整)により、トレーニングフォーム並びに呼吸方法 の習得に主眼をおくことが大事です。 なお、フォーム習得後の導入期の後半には、維持期からのトレーニングを念頭にお き、連続した動作で実施することが可能です。 プログラムの実施(ストレッチ・筋力トレーニング・クールダウン) 実施種目の調整 運動に慣れる フォーム・動作の習得 回数等の目標を設定し実施 トレーニング種目・強度の変更 回数等の目標を設定し実施 筋トレ(基本) 筋トレ(発展)

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- 27 - ② 維持期(1ヵ月) 維持期においては本格的にトレーニングを行っていくことになります。筋力トレ ーニングにおける負荷量(回数・可動域・実施スピードを調整)を上げ、自覚的な 運動強度によりそれぞれの適正負荷(実施後ややきつい)を定めるとともに、目標 回数を15回×1セットとし、原則基本種目の実施を目指します。ストレッチにお いても各種目の秒数やセット数を定めます。 個別の状況を判断しながら、回数・セット数の変更や発展種目への移行を検討し、 包括的な筋力トレーニングに変換していくことが必要です。 《ストレッチ強度変更パターン》 《筋力トレーニング強度変更パターン》 なお、回数やセット数の変更により生じる恐れのあるフォームの崩れや、痛みの管 理に十分に留意する必要があります。 導入期プログラム 60分の場合 ストレッチ 15分 筋力トレーニング 25分 クールダウン 10分 学習時間 10分 フォーム・動作の習得及び実施種目の調整を図る 時間・回数にこだわらず 随時説明を入れながら実施する 問題点の確認 運動効果の説明 等 ホームトレーニ ング 維持期プログラム 60分の場合 ストレッチ 10~15分 筋力トレーニン グ25~30分 クールダウン 10分 学習時間 10分 ストレッチ : 秒数やセット数を種目ごとに定め実施 立位 検討 筋力トレーニング : 目標回数を決め運動強度を調整しな がら実施 問題点の確認 日常生活での注意 ホームトレーニン グ 15 回×1 10 回×2 20 回×1 発展種目 15 回×1 への移行 10 秒×2 (導入期) 10 秒×2 (2回目強) 15 秒×2 (柔軟性が著しく低下の場合)

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- 28 - ③ 発展期(1ヵ月) 発展期では維持期で獲得された筋力の強化を、自覚的運動強度や身体状況を見な がらさらに推し進めます。筋力トレーニングにおいては、回数・セット数の増減や 発展種目への移行(日常生活動作の機能向上)を実施します。ストレッチにおいて は、持続時間やセット数の調整を、柔軟性の改善を見極めながら随時行います。 なお、発展期においても回数やセット数の変更により生じる恐れのあるフォーム の崩れや、痛みの管理に十分に留意する必要があります。 4)トレーニングにおける留意事項 ①動作に関する留意点 筋力トレーニングやストレッチを安全に行い、最大限の効果をあげるためには何より もまず、適切なフォームを習得する必要があります。誤ったフォームでトレーニングを 実施すると、効果が上がらないばかりか、関節痛などを引き起こす恐れがあります。 適切なフォームで筋力トレーニングやストレッチを行うためには、「スタートポジシ ョンの理解」、「動作とリズムの流れをつかむ」、「呼吸方法」の3段階に分けて行う と高齢者でも無理なく習得できます。 動作中には、体調の変調にも十分留意する必要があります。 ②トレーニング時のカウント方法 〇集団で一斉に行う場合、初期は指導者が声をかけながら行います。 〇筋力トレーニングでの往復時間は同じ時間とし、「イチ、ニー」で持ち上げ(の ばす、引く等)、「サン、シー」で下ろす(曲げる、戻す等)。原則 2秒・2 秒 計4秒で実施。 動作に合わせたカウント方法として、「上げて」・「戻し て」、「曲げて」・「戻して」等でも良いでしょう。 〇動作時に呼吸を止めないよう対象者にもカウントしてもらいながら行うのも良 いでしょう。 〇可動域の狭い者には、最終カウントで最終可動域に達するようゆっくりとした動 作を行うか、無理にカウントに合わせないようにしましょう。 ※原則胸が開くときに「息を吸う」 胸が狭くなるときに「息を吐く」 発展期プログラム 60分の場合 ストレッチ 10~15分 筋力トレーニン グ25~30分 クールダウン 10分 学習時間 10分 ストレッチ : 種目ごとに柔軟性を確認しながら強度を調 整 立位検討 筋力トレーニング : 進行度に合わせて種目の移行を検討 する 問題点の確認 発展種目の説明 ホ ー ム ト レ ー ニ ング

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- 29 - ③指導者の立ち位置 指導者は対象者が行う運動の見本となるよう一緒に運動を行い、対象者全体から動 きが見えやすい位置に立って(座る)行いましょう。指導者と対象者が対面する場合 は、対照的な動きで混乱を与えないよう指導者は対象者と反対方向の動きを行うよう に配慮する必要があります。 また、動作が理解しにくい対象者には、同一方向を向いて運動を示すなどの工夫も 必要に応じて行います。 対象者同士の動きが見やすいよう円型で運動を行い、指導者が適宜、動作を確認し ながら実技を行うのも良いでしょう。 ④負荷の見極め マシン以外による筋力トレーニングにおいても負荷を徐々に増加させることで筋力 増強の優れた効果が得られるため、維持期からは適正負荷で筋力トレーニングを実施 することが望ましいです。ただし、道具を用いない運動では負荷の調整は難しく、実 施テンポや回数増、交互連続動作の切り替えによって自覚的な運動強度が、「ややき つい」にあたる運動強度を目安として設定する必要があります。 ただし、高齢者は体調変動が大きいことから、負荷はその都度、変動してもかまい ません。 ⑤トレーニングの順番 基本はストレッチ、筋力トレーニング、クールダウンの順に行います。 筋力トレーニングの順番は、一般的に大筋群から小筋群、下肢から上肢の順番に行 うのが良いとされています。 実施場所の状況により、椅子や立位の運動と床上の運動に分け、筋力トレーニング の順番の変更も可能です。姿勢の変化が尐ないようプログラム内で順番を変更するな どの組み立ても良いでしょう。 ⑥使用している筋肉を意識させる トレーニング時の見回りや観察の際に、使っている筋肉に軽く触れ、「○○の筋肉 に効いている(伸びている)のが分かりますか?」などと声がけをします。 何気なく運動を繰り返すのではなく、使っている筋肉をしっかり意識しながら行う ことによって、筋活動量を上げることができ、筋力トレーニングやストレッチにとっ て非常に効果的です。 ⑦可動域の確認 トレーニング前に対象者個人ごとの可動域を把握することは、トレーニング期間を 通じ必要です。 また、極端に可動域が狭くトレーニング効果が十分発揮されないと判断した場合に は、柔軟性の確保の優先、別種目への変更等、その者に適した代替の個別のメニュー を作成します。

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- 30 - ⑧学習時間 プログラムを提供する時間も重要ですが、むしろ家にいる時間等生活場面に、いか に運動を取り入れるかが重要です。学習時間はこのような行動を定着させ、習慣化す るための時間として位置づけられます。 ⑨ホームトレーニング 本サービスは、週1回のボリュームであるため、種目の一部を家庭で行うよう指導 し、本サービスと合わせてトレーニング頻度を週2回以上とすることが必要です。 ホームトレーニングを実施する場合には、対象者本人にホームトレーニング用紙(別 添)を記入してもらうことで実施状況を確認できるとともにトレーニング継続の意欲 を保つことができるような工夫をすることが大切です。 最初はストレッチのみのプログラムから開始し、種目ごとに正しいフォームを確実 に習得できるように指導することが大切です。 1ヵ月目 2ヵ月目 3ヵ月目 ストレッチ ストレッチ 筋力トレーニング(基本) 10回・2セット ストレッチ 筋力トレーニング(発展) 10~20回・2セット ⑩事後アセスメント 実施計画をもとに、目標の達成状況や日常生活活動能力等を含めた以下のような事 後アセスメントを行う必要があります。目標の達成と客観的な運動器の機能向上の状 態を評価します。

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6.トレーニングプログラムの実際

1)ストレッチ

①ストレッチの必要性

ストレッチとは、関節可動域(range of motion : ROM)を広げる目的で、筋肉などの 組織を伸ばす運動のことをいいます。関節可動域とは、対象となる関節が動く範囲のこ とです。 加齢とともに、筋肉や腱、靱帯などの柔軟性は低下し、関節の動きの範囲が狭くなり ます。これにより、スムーズな日常動作が困難となり転倒等の危険性も高くなります。 このため、ストレッチを行い身体の柔軟性を高めることにより、けがや故障を予防し、 筋力トレーニングへのスムーズな移行を図ります。また、筋力トレーニング後のクール ダウンにも取り入れます。 ②ストレッチの効果 ① 関節可動域を大きくし、柔軟性を高める ← 無駄のない動き ② 筋力トレーニングへのスムーズな移行 ③ 筋肉の緊張の緩和によるリラックス効果 ← 痛みの緩和 ④ けがを予防する ⑤ 関節等の血液循環を高める ← 痛みの緩和 ③ストレッチの注意事項 実施の際は次の事項に留意しなければなりません。 注意するポイント 詳細 ■ 無理をさせない けがや故障の原因となるので無理はしない ■ 息を止めさせない 血圧が過度に上昇するとともに、筋肉も十分に伸びない ■ 弾みをつけさせない けがをする可能性がある。ゆっくりと伸ばしていくこと が基本 ■ 伸ばす位置の基準はない 柔軟性は個人差が大きいので、伸びを感じる程度まで伸 ばす ■ 関節部が痛むときは中止 や種目の変更等を考える ひどくない場合は、関節の可動域による痛みの状況をチ ェックしながらゆっくりと行う ■ 伸ばす筋肉を意識させる 漫然と行っていても効果は半減してしまう。作用筋を意 識して行うことにより、その効果を十分に得ることがで きる

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- 32 - ④ストレッチの実践 ◇ ウォーミングアップ 《足踏み》 ◇ ウォーミングアップ 《お尻歩き》 【ポイント】 ・ 椅子に浅く座り背筋を伸ばして足踏み する ・ 手足一緒でもかまわない(不安定な時 になりやすい) ・ 体幹の筋力が弱い場合、背もたれを利 用してもよい 【ボリューム】 ・ 8回×3 程度 ・ 膝の高さ・スピード等で負荷が変化 【ポイント】 ・ 椅子に深く座り前に4歩進み、後ろ に4歩戻る ・ 肩も一緒に動かしながら重心の移動 をしっかりと ・ 足よりお尻(骨盤)を動かすイメー ジで 【ボリューム】 ・8回×3回 ・一回に移動する距離で負荷が変化 ウォーミングアップ 椅子に座って足踏み ウォーミングアップ 椅子に座ってお尻歩き

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- 33 - ◇ 胸のストレッチ ◇ 背中のストレッチ 【ポイント】 ・ 椅子に楽に座り後ろの部分を軽くつ かむ(立位の場合は背中側で手をつな いで) ・ 肩の動きに注意し肩が後方に動くの を確認 ・上半身が後ろに倒れていないかを確 認 【ポイント】 ・首から尐しずつ曲げ背中の上の部分ま で曲げる ・肩及び首が痛い場合は無理をしない ・腰から前に倒れないように注意する 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如している部分 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如してい る部分 胸のストレッチング 悪い例

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- 34 - ◇ わき腹のストレッチ 【ポイント】 ・椅子に浅く座り足を広めに開く ・無理のない範囲で片腕を挙げる ・肩を必ず引き上げた状態で斜め 前に倒す 【ポイント】 ・背筋を伸ばして椅子に浅く座る ・胸の前で手を合わせ上半身と一 緒に捻る ◇ 腰周りのストレッチ 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如している部 分 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如している部分

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- 35 - ◇ 股関節のストレッチ① 屈曲 ◇ 股関節のストレッチ② 外転 【ポイント】 ・背筋を伸ばして椅子の真中に座る ・ 背中を後ろに倒さないように胸に 膝を引き寄せる ・膝に痛みがあるときは太ももの裏 をつかむ 【ポイント】 ・椅子にできるだけ浅く座り足を開く ・足の付く位置はやや前方 膝:90° ・手で膝を外側に押しながらお腹から 前に倒す 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如している部分 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如している部分 痛みがある場合 痛みがある場合

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- 36 - ◇ 太もも裏のストレッチ ◇ 首のストレッチ 【ポイント】 ・椅子に浅く座り両足を前に伸ばし軽く膝を 曲げる ・両手を太ももに置き必ずお腹から前に倒す ・無理に前に倒すと背中が丸くなるので注意 【ポイント】 ・ 首に痛みがある場合は無理をしない (後方) ・いろいろな方向に動かす ・上半身が一緒に動かないように 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如している部分 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如している部分 頭と体が一緒 に動くと首のス トレッチになり ません

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- 37 - ◇ ふくらはぎのストレッチ ◇ 太もも前ストレッチ 【ポイント】 ・つま先の方向が正面を向くように ・踵を浮かせない ・膝を伸ばした状態でお尻を前に移動 ・転倒に注意する(手の付く箇所が安 定) 【ポイント】 ・膝に痛みがある場合は無理をしない ・足がつかめない場合は横臥位で実施 ・横臥位で無理な場合は実施しない ・転倒に注意する 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如している部分 【ボリューム】 ・10秒×2 (導入期後半・維持期) ・10秒×2 2回目強め (維持期・発展期) ・15秒×2 柔軟性が欠如している部分 立位で不安定ならば横向きで行ってもよい

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- 38 - 2)筋力トレーニング ①筋力トレーニングの必要性 高齢者は加齢とともに、歩行や、階段の昇り降り、椅子からの立ち上がり等の動作 が難しくなってきます。これは、大腿四頭筋をはじめとする下半身の筋力の衰えが大 きな要因です。 筋力トレーニングでは、下半身の筋力アップに主眼をおくとともに、身体全体のバ ランスを考慮し、上半身、特に日常動作に関わりの多い部分ついてトレーニングを行 います。 ②筋力トレーニングの注意事項 実施の際は次の事項に留意しなければなりません。 注意するポイント 詳細 ■ 適切なフォームで実施さ せる 目的の部分が動かずトレーニング効果があがりにくい ■ ゆっくりとした動作で実 施させる 往復4カウント(2秒・2秒)使用している部分をし っかりと意識する ■ 動作の切り替え 動作の切り替え時一瞬止めることにより筋肉の最大収 縮を促す ■ 使用部位の筋肉を意識さ せる 動かしている筋肉に手を置く ■ 息を止めさせない 過度の血圧の上昇を防ぐためにも一緒に数を数える等 の工夫で息を止めた状態で実施しない ■ 関節部が痛むときは中止 や種目の変更等を考える ひどくない場合は、関節の可動域による痛みの状況を チェックしながらゆっくりと行う(その日によって状 態が変わる) ■ 交互・連続での実施を指示 左右の実施をともなう種目では交互・連続で負荷が変 化するので注意する

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- 39 - ③ 筋力トレーニングの実践 【手順】 ・足を尐し開いて背中を伸ばして椅子に浅く座り、太ももの上に手を置く。 ・太ももに力が入るのを確認しながら、片足ずつゆっくりと足を伸ばし、つま先が 天井を向くようにする。一度静止しゆっくりと元の位置に戻す。 【確認ポイント】 「つま先の向き」 「椅子の高さ→タオル等の利用」 「伸展時の膝の痛み→別種目の検討」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント 左右15回×1から開始(交互連続負荷変化) 【手順】 ・足を尐し開いて立ち、上半身が後ろに倒れないように留意しながらゆっくり太も もを上げた状態で一度静止し、ゆっくりと元に戻す。 【確認ポイント】 「太もも高さ→任意」 「上半身の安定」 「不安定な場合→支え・二人組」 「転倒への配慮」 【カウント・ボリューム】 ・4カウントまたは2カウント(1秒⇔1秒) 15回×1から開始(交互連続負荷変化) ◇ 膝伸ばし (基本) 太もも前 ◇ ももあげ (発展) 太もも前 付け根

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- 40 - 【手順】 ・片膝を立てた状態で仰向けになり、伸ばした足の足首をしっかりと曲げる。 ・太ももに力が入るのを確認しながらゆっくりと足を持ち上げ、つま先が天井を向 くようにする。一度静止しゆっくりと元の位置に戻す。 【確認ポイント】 「各自の最大伸展(膝)」 「上げる位置→膝より下」 「腰の状態→力ませない(反らない)」 「片側連続実施」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント 15回×1から開始 【手順】 ・椅子に深く腰掛け両手で椅子をつかみ上体を安定させる。 ・膝が外側を向かない程度ゆっくりと足を持ち上げた状態で一度静止し、ゆっくり と元の位置に戻す。 【確認ポイント】 「股関節の外旋→真っ直ぐに」 「背中(腰)の状態→骨盤立てる」 【カウント・ボリューム】 ・4カウントまたは2カウント(1秒⇔1秒) 15回×1から開始(交互連続負荷変化) ◇ 膝痛時の代替種目 (仰向け可能) 太もも前 ◇ 膝痛時の代替種目 (仰向け無理な場合) 太もも前 付け根

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- 41 - 【手順】 ・足を肩幅に開いて椅子のやや前方に座り、膝の真下につま先がくるように足の位 置を調整する。 ・太もも上に手を置き上半身を前に倒しながら(意識はお腹から前)ゆっくりと立ち 上がる。 ・椅子に座る際は手をつきながらゆっくりでよい。 【確認ポイント】 「上半身の前方への移動」 「正しい膝の位置」 「補助の検討→二人組」 「膝等の痛みへの配慮」 「転倒への配慮」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント 15回×1から開始 ◇ 立ちあがり (基本) 足全体+腸腰筋

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- 42 - 【手順】 ・椅子の背もたれ等を軽く手でつかみ、足を肩幅ぐらいに開いて立つ。(二人組で手 を持ってもよい) ・つま先の方向に膝を出しながら(ただし膝よりは前に出ない)ゆっくりとしゃがみ 一度静止する。 ・腕の力に頼らないようにしながらゆっくりと立ち上がる。 【確認ポイント】 「膝の曲げ具合→任意」 「正しい膝の位置」 「不安定な場合→二人組」 「膝等の痛みへの配慮」 「転倒への配慮」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント(2秒⇔2秒) 15回×1から開始 ◇ しゃがみ立ち (発展) 足全体+腸腰筋

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- 43 - 【手順】 ・足を尐し開いて(つま先は真っ直ぐ)椅子の中央付近に座り、手を太ももの上に 置く。足の位置はやや前方。 ・かかとを床に着けたままつま先をゆっくりと持ち上げた状態で一度静止し、ゆっ くりと元の位置に戻す。 【確認ポイント・ボリューム】 「左右足関節可動域」 「内反・外反」 「強度の充足→早期に発展へ」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント(2秒⇔2秒) 15回×1から開始 【手順】 ・足を尐し開いて(つま先はほんの尐し開いた状態)椅子の後ろ、または、壁の前 等に立つ。 ・身体が後方へ移動しないように注意しながら、ゆっくりとつま先を上げた状態で 一度静止し、ゆっくりと元に戻す。 【確認ポイント】 「左右足関節可動域」 「内反・外反」 「バランス取り方(腹筋・背筋の意識)」 「転倒への配慮」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント(2秒⇔2秒) 15回×1から開始 ◇ つま先あげ (基本) 向こう脛 ◇ つま先あげ (発展) 向こう脛

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- 44 - 【手順】 ・足を尐し開いて(つま先は真っ直ぐ)椅子の中央付近に座り、手を太ももの上に 置く。足の位置はやや手前。 ・つま先を床に着けたままかかとをゆっくりと持ち上げた状態で一度静止し、ゆっ くりと元の位置に戻す。 【確認ポイント】 「左右足関節可動域」 「足首→完全伸展しない」 「強度の充足→早期に発展へ」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント(2秒⇔2秒) 15回×1から開始 【手順】 ・足を尐し開いて(つま先はほんの尐し開いた状態)椅子の後ろ、または、壁の前 等に立つ。 ・つま先を床に着けたまま、かかとをゆっくりと持ち上げた状態で一度静止し、ゆ っくりと元の位置に戻す。 【確認ポイント】 「左右足関節可動域」 「上体が前(左右)に流れない」 「足首→完全伸展」 「転倒への配慮」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント(2秒⇔2秒) 15回×1から開始 ◇ かかとあげ (基本) ふくらはぎ ◇ かかとあげ (発展) ふくらはぎ+腹筋・背筋

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- 45 - 【手順】 ・足の間に小ボールまたはタオル等を挟み、背筋を伸ばして椅子に浅く座わり、椅 子の横の部分をつかむ。 ・ボール等をつぶすように膝を閉じ(2秒間)、その後膝の力抜く(2秒間)。 【確認ポイント】 「息こらえ(呼吸)→血圧↑」 「弛緩状態(力が抜けている)→メリハリを」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント(2秒⇔2秒) 15回×1から開始 【手順】 ・膝の間に小ボールまたはタオル等を挟み、椅子の横や後ろ、または、壁の前等に 立つ。つま先は開く。 ・お尻を後ろに引くようにしながら軽く膝を曲げた状態で一度静止し、ボールをつ ぶすようにしながら立ち上がる。 【確認ポイント・ボリューム】 「息こらえ(呼吸)→血圧↑」 「膝を曲げたときの位置→つま先の上」 「膝の伸展時お尻→締める」 「転倒への配慮」 【カウント・ボリューム】 ・4カウント(2秒⇔2秒) 15回×1から開始 ◇ 膝閉じ (基本) 太もも内側 ◇ 膝閉じ (発展) 太もも内側+お尻+腹筋・背筋

参照

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