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2019 年度 証券ゼミナール大会 5 第 3 テーマ 今後の家計の資産形成手段としての投資信託 10 駒澤大学深見ゼミナール宮本班 15

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2019 年 度 証 券 ゼ ミ ナ ー ル 大 会 5 第 3 テ ー マ 「 今 後 の 家 計 の 資 産 形 成 手 段 と し て の 投 資 信 託 」 10 駒 澤 大 学 深 見 ゼ ミ ナ ー ル 宮 本 班 15

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目 次 は じ め に ... 3 第 1 章 資 産 形 成 の 必 要 性 と そ の 手 段 ... 4 第 1 節 資 産 形 成 の 必 要 性 ... 4 第 2 節 資 産 形 成 の 現 状 ... 7 5 第 2 章 投 資 信 託 と は ... 9 第 1 節 投 資 信 託 の し く み ... 9 第 2 節 投 資 信 託 の 種 類 ... 10 第 3 節 投 資 信 託 の 特 徴 ... 12 第 4 節 投 資 信 託 の 最 適 な 活 用 方 法 ... 14 10 第 3 章 投 資 信 託 の 歴 史 ... 17 第 1 節 欧 米 の 投 資 信 託 の 歴 史 ... 17 第 2 節 日 本 の 歴 史 ... 19 第 3 節 日 米 の 投 資 信 託 市 場 の 規 模 と 推 移 ... 21 第 4 章 金 融 機 関 の 課 題 ... 26 15 第 1 節 販 売 会 社 の 諸 問 題 ... 27 第 2 節 フ ィ デ ュ ー シ ャ リ ー ・ デ ュ ー テ ィ ー の 確 立 ... 31 第 3 節 イ ン デ ッ ク ス 運 用 と ア ク テ ィ ブ 運 用 ... 33 第 5 章 投 資 家 側 の 課 題 ... 36 第 1 節 投 資 家 の 金 融 リ テ ラ シ ー 不 足 ... 36 20 第 2 節 確 定 拠 出 年 金 制 度 の 課 題 ... 38 第 6 章 課 題 に 対 す る 提 案 ... 40 第 1 節 新 手 数 料 体 系 に よ る 残 高 フ ィ ー 型 へ の 移 行 ... 41 第 2 節 パ フ ォ ー マ ン ス 手 数 料 の 導 入 ... 44 第 3 節 企 業 型 DC の 制 度 改 革 ... 47 25 お わ り に ... 49 参 考 文 献 ... 50 30

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は じ め に 日 本 で は 、 小 泉 政 権 下 以 来 、 「 貯 蓄 か ら 投 資 へ 」 と い う ス ロ ー ガ ン を 掲 げ 、 そ の 後 、 金 融 庁 が そ れ を 「 貯 蓄 か ら 資 産 形 成 へ 」 と 変 更 し た も の の 、 一 貫 し て 投 資 に よ る 資 産 形 成 を 国 民 に 促 し て い る 。し か し 、日 本 銀 行 調 査 統 計 局 の「 2019 年 資 金 循 環 の 日 米 欧 比 較 」 に よ る と 、 現 在 で も 日 本 の 家 計 金 融 資 産 は 、 現 預 金 5 が 53.3% で あ る の に 対 し 、リ ス ク 性 資 産( 株 式 、債 券 、投 資 信 託 )は 15.2% に 過 ぎ ず 、未 だ そ れ は 現 預 金 に 偏 重 し1、投 資 信 託 が 家 計 の 資 産 形 成 手 段 と し て 十 分 に 機 能 し て い る と は 言 い 難 い 。 家 計 金 融 資 産 が 現 預 金 に 偏 重 し て い る 要 因 は 、 戦 時 期 以 来 の 貯 蓄 奨 励 運 動 に あ る 。 戦 時 期 は 戦 費 調 達 の た め 、 戦 後 は 経 済 復 興 、 経 済 発 展 に 目 的 を 変 え 、 そ 10 れ は 続 け ら れ た 。 ま た 、 高 度 経 済 成 長 期 、 バ ブ ル 経 済 期 は 、 預 貯 金 の 金 利 が 高 く 、リ ス ク 性 資 産 を 保 有 せ ず と も 、預 貯 金 の み で 資 産 形 成 が 十 分 可 能 で あ っ た 。 し か し 、 バ ブ ル 崩 壊 後 は 超 低 金 利 時 代 が 続 き 、 現 在 の 普 通 預 金 金 利 は 0.001% と な り2、普 通 預 金 で 元 本 を 2 倍 に す る に は 72,000 年 を 必 要 と し 、預 貯 金 で の 資 産 形 成 は 困 難 な 状 況 に な っ た 。 ま た 、 ① 医 療 技 術 の 進 展 に よ る 長 生 き 15 リ ス ク 、 ② 少 子 高 齢 化 に よ る 年 金 不 安 、 ③ 物 価 の 継 続 的 な 上 昇 に よ る 金 融 資 産 の 実 質 的 価 値 の 低 減 ( イ ン フ レ リ ス ク ) に 私 た ち は 直 面 し て い る 。 こ れ ら の 懸 念 か ら 、 自 助 努 力 で の 老 後 資 産 形 成 の 必 要 性 が 高 ま っ て い る 。 本 稿 が 取 り 上 げ る 投 資 信 託 は 、 本 来 投 資 初 心 者 向 け の 金 融 商 品 で あ る が 、 家 計 金 融 資 産 に 占 め る そ れ の 比 率 は 小 さ く 、 そ れ に は 投 資 信 託 が 家 計 の 資 産 形 成 手 段 と し て 利 用 さ 20 れ な い 何 ら か の 理 由 が あ る と 我 々 は 考 え て い る 。 そ こ で 、 以 下 、 第 1 章 で は 資 産 形 成 の 必 要 性 と と も に 、 日 本 の 家 計 金 融 資 産 の 現 状 を 述 べ 、 第 2 章 で は 投 資 信 託 の 仕 組 み ・ 種 類 ・ 特 徴 を 述 べ る 。 第 3 章 で は 欧 米 と 日 本 で の 投 資 信 託 誕 生 の 背 景 を 述 べ 、 日 米 の 投 資 信 託 市 場 の 規 模 を 比 較 し た い 。 第 4 章 で は 、 日 本 の 投 資 信 託 が 持 つ 構 造 的 な 問 題 と 、 そ れ が 生 み 出 25 す 日 本 の 投 資 信 託 特 有 の 課 題 を 明 ら か に し た い 。 他 方 で 、 投 資 家 自 身 に も 課 題 1 日 本 銀 行 調 査 統 計 局 (2019)「 資 金 循 環 の 日 米 欧 比 較 」、 p.2 2 日 本 銀 行 金 融 機 構 局 ( 2019)「 預 金 種 類 別 店 頭 表 示 金 利 の 平 均 年 利 率 等 に つ い て 」

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は あ る 。 こ の 点 を 第 5 章 で 述 べ 、 第 6 章 で は 、 第 4 章 、 第 5 章 で 述 べ た 課 題 に 対 す る 改 善 案 を 提 案 し た い 。 第 1 章 資 産 形 成 の 必 要 性 と そ の 手 段 金 融 庁 が「 貯 蓄 か ら 投 資 へ 」の ス ロ ー ガ ン を 掲 げ て か ら 、も う す ぐ 20 年 の 年 5 月 が 経 と う と し て い る 。 最 近 で は 「 人 生 100 年 時 代 」、「 老 後 2,000 万 円 問 題 」 な ど も 言 わ れ 、 ま す ま す 資 産 形 成 の 必 要 性 が 訴 え ら れ て い る 。 し か し 、 は じ め に で も 述 べ た よ う に 、家 計 金 融 資 産 に 占 め る リ ス ク 性 資 産 の 比 率 は 15.2%( 株 式:10% 、投 資 信 託:3.9% 、債 務 証 券:1.3% )に と ど ま り 、ア メ リ カ の 52.8% ( 株 式:34.3% 、投 資 信 託:12.0% 、債 務 証 券:6.5% )や ユ ー ロ エ リ ア の 29.9% 10 ( 株 式 : 18.8% 、 投 資 信 託 : 8.8% 、 債 務 証 券 : 2.3% ) に 比 べ て 、 圧 倒 的 に 低 い3 そ こ で 、 本 章 で は 、 そ も そ も な ぜ 資 産 形 成 の 必 要 性 が 高 ま っ て い る の か を 考 察 す る と 同 時 に 、 家 計 に と っ て 最 適 な 資 産 形 成 商 品 は 何 か を 考 察 し た い 。 15 第 1 節 資 産 形 成 の 必 要 性 日 本 人 が 資 産 形 成 を 必 要 と す る 理 由 と し て 、 超 低 金 利 政 策 の 長 期 化 、 少 子 高 齢 化 の 進 行 、 さ ら に は 医 療 技 術 の 進 歩 に よ る 長 寿 化 の 三 つ が 言 わ れ て い る 。 は じ め に 、 な ぜ こ れ ら 三 つ の 要 因 に よ っ て 、 資 産 形 成 が 必 要 と な る の か を 見 て い こ う 。 20 ( 1) 低 金 利 戦 後 の 日 本 で は 、 1946 年 か ら 1985 年 ま で の 預 貯 金 金 利 は 、 郵 便 局 の 通 常 貯 金 が 2.5% ~ 4.3% で 、 定 期 貯 金 は 5.5% ~ 8% で 推 移 し て い た4。 こ れ は 現 在 の 通 常 貯 金 金 利 の 2,500~ 4,300 倍 、 定 期 貯 金 金 利 の 550~ 800 倍 で あ っ た 。 し た 25 が っ て 、 家 計 は 複 利 で 運 用 さ れ る 定 期 貯 金 に 預 け て お け ば 、 約 9~ 13 年 で 元 金 を 倍 に す る こ と が で き 、元 本 が 保 証 さ れ な い 証 券 投 資 を す る 必 要 性 は 低 か っ た 。 3 前 掲 「 資 金 循 環 の 日 米 欧 比 較 」、 p.2 4 総 務 省 統 計 局 ( 2019)「 日 本 の 長 期 統 計 系 列 」

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し か し 、 通 常 貯 金 金 利 は バ ブ ル が 崩 壊 し た 1995 年 以 降 、 定 期 貯 金 も 1996 年 以 降 1% を 割 り 込 ん だ 。 こ れ ほ ど 金 利 を 引 き 下 げ た の は 、 バ ブ ル 崩 壊 に 伴 う 不 良 債 権 処 理 が 目 的 で あ っ た が 、 そ れ が 達 成 し た 後 も 、 リ ー マ ン シ ョ ッ ク に よ る 景 気 の 落 ち 込 み や 、デ フ レ 脱 却 な ど 目 的 を 変 え な が ら 、20 年 以 上 に 亘 っ て 超 低 金 利 政 策 は 続 け ら れ て い る 。そ の 結 果 、現 在 の そ れ は 定 期 貯 金 が 0.01% 、通 常 5 貯 金 は 0.001% ま で 引 き 下 げ ら れ 、 元 本 を 倍 に す る に は 定 期 貯 金 で も 約 7,200 年 、通 常 貯 金 で は 約 72,000 年 を 必 要 と す る 。そ の た め 、戦 後 か ら バ ブ ル 期 に か け て の よ う に 、 預 貯 金 で は 資 産 を 増 や す こ と は 難 し く 、 そ れ に 代 替 す る 手 段 、 す な わ ち リ ス ク 性 資 産 へ の 投 資 が 必 要 と な っ て い る 。 10 ( 2) 少 子 高 齢 化 の 進 行 と 長 寿 化 次 に 、 少 子 高 齢 化 と 長 寿 化 で あ る 。 少 子 高 齢 化 を 背 景 に 、 日 本 の 人 口 構 成 は 大 き く 変 化 し て い る 。 我 が 国 の 65 歳 以 上 の 人 口 の 割 合 は 戦 後 ま も な い 1950 年 に は 、全 人 口 の 5% に も 満 た な か っ た 。し か し 、2018 年 に は 28.1% と 超 高 齢 化 社 会 に な っ て い る 。ま た 、15~ 64 歳 の 生 産 年 齢 人 口 の 割 合 は 、ピ ー ク で あ っ た 15 1995 年 に は 69.4% で あ っ た が 、 2017 年 に は 60% ま で 落 ち 込 ん で い る5 ま た 、 1975 年 の 平 均 寿 命 は 男 性 が 71.73 歳 、 女 性 が 76.89 歳 で あ っ た が 、 2017 年 の 平 均 寿 命 は 男 性 が 81.09 歳 、女 性 が 87.26 歳 と 男 性 も 女 性 も と も に 約 10 年 伸 び て い る6。 ま た 、 現 在 60 歳 の 人 の 約 4 分 の 1 が 95 歳 ま で 生 き る と い う 試 算 も あ り 、 今 後 も 医 療 技 術 の 進 化 に よ り 、 さ ら な る 長 寿 化 が 見 込 ま れ て い 20 る7。( 図 表 1 参 照 ) 25 5 内 閣 府 ( 2019)「 令 和 元 年 版 高 齢 化 社 会 白 書 」、 p.2 6 厚 生 労 働 省 ( 2017)「 主 な 年 齢 の 平 均 余 命 」、 p.2 7 金 融 庁 ( 2019)「 高 齢 社 会 に お け る 資 産 形 成 ・ 管 理 」、 p.3

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( 図 表 1) 平 均 寿 命 の 推 移 ( 出 典 ) 厚 生 労 働 省 「 簡 易 生 命 表 」、 厚 生 労 働 省 「 完 全 生 命 表 」、 国 立 社 会 保 5 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 「 日 本 の 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 24 年 1 月 推 計 )」 よ り 筆 者 作 成 さ て 、 国 民 の 老 後 資 金 を 賄 う 主 た る 手 段 で あ る 年 金 制 度 は 、 現 役 世 代 か ら 集 め た 保 険 料 を 、 受 給 世 代 に 渡 す 修 正 賦 課 方 式 を 採 っ て い る 。 そ の た め 、 少 子 化 10 の 進 展 の 一 方 で 長 寿 化 が 進 む こ と に よ り 、 現 役 世 代 の 年 金 受 給 額 の 減 額 や 受 給 開 始 年 齢 引 き 下 げ の 懸 念 が 起 き て い る 。 こ の こ と を 背 景 に 、 自 助 努 力 で 年 金 を 補 完 す る 老 後 資 産 の 準 備 が 叫 ば れ 出 し た 。 し か し 、 預 貯 金 金 利 は 先 に 述 べ た よ う に 長 期 に 亘 っ て 超 低 金 利 が 続 き 、 国 債 発 行 残 高 を 鑑 み る と 、 今 後 も 低 金 利 政 策 は 継 続 さ れ る と 見 込 ま れ る 。 こ う い 15 う 金 利 環 境 下 で は 、 預 貯 金 で の 資 産 形 成 は 難 し い 。 つ ま り 、 現 在 の 若 年 層 が リ タ イ ア す る 頃 に は 、 現 在 と 同 水 準 の 年 金 受 給 は 不 確 実 で あ り 、 そ の 一 方 で 預 貯 金 で の 資 産 形 成 も 困 難 と な る た め 、 こ れ ま で 日 本 人 が 行 っ て き た 預 貯 金 、 年 金 に よ る 老 後 資 産 の 形 成 で は 、 十 分 な そ れ を 準 備 で き な い と 予 想 さ れ る の で あ る 。 20 こ う し た 超 低 金 利 の 長 期 化 、 少 子 高 齢 化 の 進 展 、 長 寿 化 を 背 景 に 、 投 資 に よ

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る 資 産 形 成 が 叫 ば れ る よ う に な っ た 。 そ こ で 、 金 融 庁 も 2015 年 頃 か ら 「 貯 蓄 か ら 資 産 形 成 」 と い う ス ロ ー ガ ン を 標 榜 し て 、 若 年 層 に 資 産 形 成 を 促 し 、 こ れ と 軌 を 一 に し て 証 券 税 制 改 革 を 行 い 、 つ み た て NISA や iDeCo と い っ た 投 資 優 遇 措 置 を 始 め た の で あ る8 9 次 節 で は 、 な ぜ 日 本 人 が 投 資 を し な い の か 。 そ し て 、 そ う し た 人 々 に は ど の 5 よ う な 金 融 商 品 で の 資 産 形 成 が 親 和 的 な の か を 述 べ て い き た い 。 第 2 節 資 産 形 成 の 現 状 ま ず 、 現 在 の 家 計 の 金 融 資 産 構 成 を 見 て お こ う 。 そ こ で 、 図 表 2 に 日 米 欧 の 家 計 金 融 資 産 の 構 成 比 を ま と め た 。 10 図 表 2 か ら 分 か る よ う に 、我 が 国 の 家 計 金 融 資 産 は 約 50% が 預 貯 金 で 運 用 さ れ て い る の に 対 し 、ア メ リ カ で は 有 価 証 券 投 資 が 家 計 金 融 資 産 の 約 50% を 占 め て い る 。 こ の こ と か ら 、 日 本 人 が 投 資 に 対 し て 非 常 に 消 極 的 で あ る こ と が 分 か る 。 で は 、 な ぜ 日 本 で は 家 計 金 融 資 産 が 投 資 さ れ な い の だ ろ う か 。 15 ( 図 表 2) 家 計 の 金 融 資 産 構 成 比 ( 出 典 ) 前 掲 「 資 金 循 環 の 日 米 欧 比 較 」、 p.2 よ り 引 用 20 8 つ み た て NISA の 一 層 の 普 及 に 向 け て 、 金 融 庁 は 企 業 が 支 給 す る 奨 励 金 の 一 部 を 非 課 税 化 す る よ う 、 財 務 省 に 要 求 す る こ と が 伝 え ら れ て い る 。

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金 融 庁 の ア ン ケ ー ト 調 査 に よ る と 、 投 資 未 経 験 者 の う ち 、 約 8 割 が 「 有 価 証 券 へ の 投 資 は 、 資 産 形 成 の た め に は 必 要 な い 」 と 回 答 し て い る 。 そ し て 、 そ の 理 由 と し て は 「 そ も そ も 投 資 に 興 味 が な い 」 が 約 6 割 、「 投 資 は リ ス ク が あ り 5 怖 い 」、「 投 資 の 知 識 が な い 」 が そ れ ぞ れ 3 割 で あ っ た1 0。 つ ま り 、 多 く の 人 が 投 資 に 対 し て 関 心 が 無 く 、 そ の 上 に 投 資 に 対 し て マ イ ナ ス の 印 象 を 抱 い て い る の で あ る 。 ま た 、「 有 価 証 券 投 資 は 資 産 形 成 の た め に 必 要 」と 認 識 し て い な が ら 、実 際 に 投 資 を し た こ と が な い 理 由 と し て 、「 ま と ま っ た 資 金 が な い 」( 7 割 )、「 投 資 の 10 知 識 が な い 」( 約 5 割 )、「 投 資 は リ ス ク が あ る 」( 約 4 割 ) と い う 回 答 を 挙 げ て い る1 1。 以 上 か ら 我 が 国 の 家 計 は 、 投 資 を す る た め の ま と ま っ た 資 金 が な い こ と に 加 え て 、 投 資 に 対 す る 知 識 が な い こ と な ど を 理 由 に 、 投 資 を 行 っ て い な い こ と が 分 か る 。 こ の 理 由 を 踏 ま え れ ば 、 少 額 か ら 投 資 が で き 、 投 資 の 知 識 を 必 要 と せ ず 、 さ 15 ら に は リ ス ク が 低 い 金 融 商 品 が あ れ ば 、日 本 の 家 計 も 投 資 を 始 め ら れ る だ ろ う 。 こ う し た ニ ー ズ に 適 合 的 な 商 品 が 投 資 信 託 な の で あ る 。 そ れ は 各 投 資 家 の 投 資 金 額 は 少 額 ず つ で あ っ て も 、 多 数 の 人 か ら 集 め た 資 金 を 結 合 さ せ て 、 ま と ま っ た 資 金 に し て フ ァ ン ド を 形 成 し 、 そ の 資 金 を 世 界 中 の 株 式 、 債 券 な ど に 分 散 投 資 す る た め 、 個 別 株 式 や 債 券 を 購 入 す る よ り リ ス ク を 低 減 で き る 。 さ ら に 、 資 20 産 運 用 の プ ロ が 運 用 し て く れ る た め 、 投 資 家 に は 投 資 に 関 す る 詳 細 な 知 識 は 不 要 で あ る 。 ま た 、 最 近 、 投 資 信 託 は 100 円 か ら 購 入 で き る 商 品 も 開 発 さ れ 、 ま と ま っ た 資 金 を 保 有 し て い な く て も 投 資 が 可 能 に な っ て い る 。 こ の よ う に 、 投 資 信 託 は 本 来 、 投 資 初 心 者 に と っ て プ ラ ス の 側 面 が 色 濃 い 商 品 で あ る に も か か わ ら ず 、 日 本 人 は 家 計 金 融 資 産 の 運 用 に そ れ を あ ま り 使 っ て 25 い な い 。 そ れ に は 日 本 の 投 資 信 託 が 、 海 外 の そ れ に は 見 ら れ な い 何 ら か の 日 本 固 有 の 課 題 を 持 つ か ら で あ ろ う 。 ま ず 、 課 題 を 指 摘 す る 前 に 、 投 資 信 託 の 仕 組 1 0 金 融 庁 ( 2016)「 平 成 27 年 事 務 年 度 金 融 レ ポ ー ト 」、 p.54-55 1 1 前 掲 「 平 成 27 年 事 務 年 度 金 融 レ ポ ー ト 」、 p.54-55

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み を 述 べ て お こ う 。 第 2 章 投 資 信 託 と は 第 1 節 投 資 信 託 の し く み 投 資 信 託 は 、 複 数 の 投 資 家 か ら 資 金 を 集 め て 、 大 き な 基 金 ( フ ァ ン ド ) を 作 5 り 、 投 資 の 専 門 家 が 株 式 や 債 券 な ど さ ま ざ ま な 資 産 で 運 用 し 、 そ の 収 益 を 投 資 額 に 応 じ て 投 資 家 に 分 配 す る 仕 組 み の 金 融 商 品 で あ る 。 我 が 国 で 広 く 採 用 さ れ て い る 委 託 者 指 示 型 の 投 資 信 託 の 仕 組 み は 、 図 表 3 の よ う に な る 。 ( 図 表 3) 委 託 者 指 示 型 の 投 資 信 託 の 仕 組 み 10 ( 出 典 ) 投 資 信 託 協 会 ホ ー ム ペ ー ジ 「 投 資 信 託 の 仕 組 み 」 よ り 筆 者 作 成 15 ま ず 、 投 資 家 は 証 券 会 社 、 銀 行 、 郵 便 局 と い っ た 販 売 会 社 か ら 投 資 信 託 を 購 入 す る 。 販 売 会 社 は 、 投 資 信 託 を 販 売 す る だ け な く 、 投 資 家 へ の 情 報 提 供 や 、 分 配 金 、 償 還 金 の 管 理 、 運 用 報 告 書 の 交 付 も 行 っ て い る 。 次 に 、 フ ァ ン ド の 運 用 と 投 資 銘 柄 の 調 査 、 分 析 を 行 う の が 運 用 会 社 で あ る 。 フ ァ ン ド マ ネ ー ジ ャ ー と 呼 ば れ る 資 産 運 用 の 専 門 家 た ち が 投 資 信 託 を 運 用 し 、 20 そ れ に 伴 う さ ま ざ ま な リ サ ー チ を 行 っ て い る 。 な お 、 投 資 家 の 資 産 を 預 か っ て い る の は 信 託 銀 行 で あ る た め 、 あ る 証 券 の 購 入 や 売 却 を 行 う 際 は 、 フ ァ ン ド マ

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ネ ー ジ ャ ー が 信 託 銀 行 に 対 し て 運 用 指 図 を 行 っ て 、 信 託 銀 行 が そ の 指 示 に 基 づ い て 、 実 際 の 売 買 を 行 っ て い る 。 ま た 、 信 託 銀 行 は 、 投 資 信 託 を 購 入 し た 投 資 家 か ら 拠 出 さ れ た 信 託 財 産 の 管 理 も 行 っ て い る 。 信 託 財 産 を 販 売 会 社 や 運 用 会 社 で は な く 、 信 託 銀 行 が 分 別 管 理 し て い る こ と で 、 万 が 一 販 売 会 社 や 運 用 会 社 が 倒 産 し て も 、 投 資 家 が 購 入 し 5 た フ ァ ン ド の 信 託 財 産 は 保 護 さ れ る 仕 組 み と な っ て い る 。 第 2 節 投 資 信 託 の 種 類 投 資 信 託 に は ① 販 売 対 象 の 相 違 、 ② 設 立 形 態 の 相 違 、 ③ フ ァ ン ド の 買 い 取 り や 解 約 が 可 能 か 、 ④ 追 加 購 入 が 可 能 か 、 ⑤ 運 用 手 法 の 相 違 、 ⑥ 分 配 金 の 有 無 で 10 六 つ に 分 類 で き る 。 以 下 で 少 し 詳 し く 、 こ れ ら 六 つ の 分 類 に 基 づ い て 、 投 資 信 託 の 種 類 に つ い て み て い こ う 。 ( 1) 公 募 型 と 私 募 型 ま ず 、 投 資 信 託 は 販 売 対 象 の 違 い か ら 、 公 募 投 資 信 託 と 私 募 投 資 信 託 に 区 別 15 さ れ る 。公 募 投 資 信 託 と は 、50 名 以 上 の 不 特 定 多 数 の 投 資 家 を 対 象 に 販 売 さ れ る 商 品 で あ る 。 つ ま り 、 誰 で も 購 入 す る こ と が 可 能 で あ る 。 一 方 、 私 募 投 資 信 託 と は 、 一 般 の 投 資 家 に 幅 広 く 販 売 す る の で は な く 、 機 関 投 資 家 や 特 定 の 投 資 家 と い っ た 専 門 的 な 知 識 を 持 つ 者 な ど 、 限 ら れ た 範 囲 で 販 売 が 行 わ れ る も の で あ る 。 20 ( 2) 契 約 型 と 会 社 型 次 に 、 フ ァ ン ド の 設 立 形 態 と し て 、 契 約 型 と 会 社 型 が あ る 。 契 約 型 投 資 信 託 と は 、 委 託 者 で あ る 運 用 会 社 と 受 託 者 で あ る 信 託 銀 行 が 信 託 契 約 を 結 び 、 委 託 者 の 運 用 指 図 に 従 っ て 、 受 託 者 が 実 際 の 運 用 や 資 産 の 管 理 を 行 う 。 そ の 結 果 、 25 得 た 収 益 を 受 益 者 で あ る 投 資 家 に 分 配 す る 仕 組 み で あ る 。 日 本 で 販 売 さ れ て い る 多 く の 投 資 信 託 は 、 契 約 型 投 資 信 託 で あ る 。 一 方 で 会 社 型 投 資 信 託 と は 、 投 資 信 託 及 び 投 資 法 人 に 関 す る 法 律 に 基 づ い て 設 立 さ れ た 投 資 法 人 が 発 行 し た 投 資 口 を 、 投 資 家 は 購 入 す る 。 こ の 投 資 口 と は 株 式 会 社 の 株 式 の よ う な も の で あ り 、 そ れ の 保 有 者 を 投 資 主 と い う 。 株 式 会 社 30

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で は 株 主 総 会 が 行 わ れ る が 、 投 資 法 人 で も 投 資 主 集 会 が 行 わ れ 、 投 資 主 に は 保 有 投 資 口 に 応 じ て 議 決 権 が 与 え ら れ る 。 日 本 の 会 社 型 投 資 信 託 で は J-REIT が 代 表 的 な 商 品 で あ る 。 ( 3) ク ロ ー ズ ド ・ エ ン ド 型 と オ ー プ ン ・ エ ン ド 型 ま た 、 投 資 家 が 保 有 し て い る フ ァ ン ド を 発 行 者 側 が 買 い 取 る か 否 か で 、 ク ロ 5 ー ズ ド ・ エ ン ド 型 と オ ー プ ン ・ エ ン ド 型 に 分 け ら れ る 。 ク ロ ー ズ ド ・ エ ン ド 型 の 投 資 信 託 は 、 フ ァ ン ド 組 成 後 、 投 資 期 間 の 満 期 を 迎 え る ま で 買 い 戻 し や 解 約 が 認 め ら れ な い た め 、 証 券 の 発 行 数 量 は 、 発 行 時 点 か ら 満 期 ま で 一 定 で あ る 。 そ れ に 対 し て 、 オ ー プ ン ・ エ ン ド 型 の 投 資 信 託 は 、 フ ァ ン ド 組 成 後 、 発 行 者 が い つ で も 自 由 に フ ァ ン ド の 買 い 戻 し や 解 約 に 応 じ る た め 、 資 金 が 集 ま る フ ァ ン 10 ド と 、 資 金 が 集 ま ら な い フ ァ ン ド が あ る こ と が 特 徴 と し て 挙 げ ら れ る 。 ( 4) 単 位 型 と 追 加 型 そ し て 、フ ァ ン ド の 設 定 後 に 投 資 家 が 追 加 で 受 益 証 券 を 購 入 で き る か 否 か で 、 単 位 型 と 追 加 型 に 分 け ら れ る 。 単 位 型 投 資 信 託 は 、 設 定 当 初 の 募 集 期 間 し か フ 15 ァ ン ド の 購 入 が で き な い の に 対 し 、 追 加 型 投 資 信 託 は い つ で も フ ァ ン ド を 購 入 す る こ と が で き る 点 が 相 違 点 と し て 挙 げ ら れ る 。 ( 5) ア ク テ ィ ブ 運 用 と イ ン デ ッ ク ス 運 用 さ ら に 、 運 用 手 法 の 違 い で ア ク テ ィ ブ 運 用 商 品 と イ ン デ ッ ク ス 運 用 商 品 に 分 20 け ら れ る 。 ア ク テ ィ ブ 運 用 と は 、 日 本 株 の 場 合 、 日 経 平 均 株 価 や TOPIX な ど の 指 標 を ベ ン チ マ ー ク と し 、 こ う し た ベ ン チ マ ー ク を 上 回 る パ フ ォ ー マ ン ス を 目 指 し て 運 用 が 行 わ れ る 。 例 え ば 、 日 経 平 均 株 価 や TOPIX と い っ た ベ ン チ マ ー ク の パ フ ォ ー マ ン ス が マ イ ナ ス 3% の と き 、 ア ク テ ィ ブ 運 用 の フ ァ ン ド は 、 パ フ ォ ー マ ン ス が マ イ ナ ス 25 3% を 下 回 ら な け れ ば よ い と さ れ る 。 ま た 、 ベ ン チ マ ー ク の パ フ ォ ー マ ン ス が プ ラ ス 2% の と き 、 ア ク テ ィ ブ 運 用 の そ れ は 2% 以 上 の リ タ ー ン を 挙 げ な け れ ば な ら な い 。 一 方 の イ ン デ ッ ク ス 運 用 は 、 ベ ン チ マ ー ク に 連 動 し た 運 用 成 績 を 目 指 し て 運 用 が 行 わ れ る 。 か つ て の 日 本 で は 、 ア ク テ ィ ブ 運 用 の 商 品 が 人 気 だ っ た が 、 最 近 は 、 金 融 庁 が ア ク テ ィ ブ 運 用 商 品 の 課 題 を 指 摘 し て い る こ と や 、 30

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信 託 報 酬 の 安 さ か ら イ ン デ ッ ク ス 運 用 の 商 品 も 人 気 を 集 め て い る 。 ( 6) 分 配 型 と 無 分 配 型 最 後 に 、 分 配 金 を 払 う か 否 か の 違 い で 分 配 型 と 無 分 配 型 に 分 け ら れ る 。 分 配 5 型 は 、 フ ァ ン ド の 運 用 益 か ら 定 期 的 に 分 配 金 を 支 払 う も の で あ る 。 高 齢 者 が 年 金 の 上 乗 せ と し て 分 配 金 を 得 た い と い う ニ ー ズ が あ り 、 日 本 で は 人 気 を 得 て い る 。 そ れ に 対 し て 、 無 分 配 型 は 、 分 配 金 は 支 払 わ ず 投 資 収 益 は 再 投 資 さ れ る 。 そ の た め 、 複 利 効 果 が 期 待 で き 、 長 期 で 資 産 運 用 し た い 世 代 に 向 い て い る 商 品 で あ る と い え る 。 10 第 3 節 投 資 信 託 の 特 徴 第 1 章 で 述 べ た よ う に 、 日 本 で は 少 子 高 齢 化 が 進 み 、 年 金 制 度 の 持 続 可 能 性 が 問 わ れ て い る 。 こ う し た 状 況 の 下 で 、 若 年 世 代 は 自 助 努 力 に よ る 老 後 資 産 形 成 が 求 め ら れ て い る 。 し か し 、 図 表 2 で 挙 げ た よ う に 、 家 計 金 融 資 産 は 預 貯 金 15 に 偏 重 し て い る 。そ こ で 、2015 年 に 野 村 総 合 総 研 所 が 投 資 無 関 心 層 に 対 し て 行 っ た 証 券 投 資 に 対 す る イ メ ー ジ 調 査 の 結 果 を 図 表 4 に ま と め た 。こ れ に よ れ ば 、 投 資 無 関 心 層 は 証 券 投 資 に 対 し て 、「リ ス ク が 高 い 」、「素 人 に は 難 し い 」、「知 識 が 必 要 」 、 「 お 金 に 余 裕 が あ る 人 向 け 」と い っ た イ メ ー ジ を 持 っ て い る こ と が 分 か る 。 20 ( 図 表 4) 投 資 無 関 心 層 の 投 資 に 対 す る イ メ ー ジ ( 出 典 ) 野 村 総 合 総 研 所 ( 2015)「 若 年 層 を 中 心 と し た 個 人 に よ る 投 資 の 現 状

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と NISA の 利 用 促 進 に 向 け た 課 題 に 関 す る 調 査 」、 p.26 し か し 、 投 資 信 託 は 本 来 、 投 資 に 対 し て 図 表 4 で 挙 げ た イ メ ー ジ を 持 つ 人 ほ ど 、 利 用 に 適 し た 商 品 で あ る 。 そ の 理 由 は 先 に も 触 れ た が 、 重 要 な 点 で あ る た め 、 少 し 詳 し く 見 て お こ う 。 ま ず 、 第 一 に 、 少 額 か ら 投 資 が 可 能 で あ る 。 株 式 に 投 資 す る 場 合 、 あ る 程 度 5 ま と ま っ た 資 金 が 必 要 に な る が 、 投 資 信 託 は 複 数 の 投 資 家 か ら 資 金 を 集 め て 資 金 プ ー ル を 作 り 、 そ こ に 集 め た 資 金 を 株 式 や 債 券 で 運 用 す る 。 こ の よ う に 多 数 の 投 資 家 の 資 金 を ま と め て 大 き な 資 金 に す る た め 、 個 々 の 投 資 家 は 少 額 の 資 金 で 投 資 が 可 能 で あ る 。 一 例 を 挙 げ れ ば 、 楽 天 証 券 で は 楽 天 ス ー パ ー ポ イ ン ト 100 ポ イ ン ト か ら 投 資 10 信 託 を 購 入 す る こ と が で き 、 SBI 証 券 や カ ブ ド ッ ト コ ム 証 券 、 マ ネ ッ ク ス 証 券 で も 100 円 か ら 投 資 信 託 を 買 う こ と が で き る 。 そ の た め 、 資 金 に 余 裕 の な い 若 年 層 で も 購 入 し や す い 商 品 と い え る 。 第 二 に 、 個 々 の 投 資 家 が 拠 出 す る 資 金 は 少 額 で あ っ て も 、 複 数 の 投 資 家 が 拠 出 し た 資 金 を 結 合 し て 、 ま と ま っ た 資 金 プ ー ル を 作 っ て 運 用 す る た め 、 分 散 投 15 資 が 可 能 な 点 で あ る 。 例 え ば 、 為 替 変 動 リ ス ク を ヘ ッ ジ す る た め 、 円 安 の 恩 恵 を 受 け る ト ヨ タ 自 動 車 株 と 円 高 の 恩 恵 を 受 け る ANA ホ ー ル デ ィ ン グ ス に 投 資 す る な ら ば 、ト ヨ タ 自 動 車 株 を 買 う に は 約 70 万 円 、ANA ホ ー ル デ ィ ン グ ス に は 約 40 万 円 が 必 要 で あ り 、合 計 す れ ば 2 銘 柄 だ け で 約 110 万 円 必 要 と な る 。他 に も リ ス ク 要 因 は あ り 、 個 別 企 業 の も つ リ ス ク を 低 減 さ せ る に は さ ら に 投 資 先 を 分 20 散 さ せ る 必 要 が あ る た め 、 必 要 資 金 額 は さ ら に 膨 ら む 。 こ の よ う に 、 個 別 銘 柄 へ の 投 資 で は 少 額 資 金 で の 分 散 投 資 は 難 し い が 、 投 資 信 託 は 複 数 の 投 資 家 か ら 集 め た 資 金 を ま と め て 運 用 す る た め 、 分 散 投 資 が 容 易 と な る 。 分 散 投 資 を 行 う こ と に よ っ て 、 個 社 の 株 式 や 債 券 に 投 資 す る よ り も リ ス ク を 低 減 さ せ る こ と が で き る 。 25 第 三 に 、 資 産 運 用 の プ ロ が 運 用 し て く れ る 点 で あ る 。 資 産 運 用 の 専 門 家 で あ る フ ァ ン ド マ ネ ー ジ ャ ー が 、 内 外 の 経 済 情 勢 や 投 資 先 企 業 の 財 務 分 析 な ど を 踏 ま え て 投 資 先 を 決 定 す る た め 、 投 資 家 は 運 用 を プ ロ に 一 任 す る こ と が で き る 。 こ う し た ① 少 額 か ら 投 資 が 可 能 、 ② 分 散 投 資 が 可 能 、 ③ プ ロ に 運 用 を 委 託 で き る と い う 特 徴 を 持 つ た め 、 投 資 信 託 は 投 資 知 識 や 投 資 経 験 の な い 投 資 初 心 者 向 30

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け の 商 品 で あ る と 言 わ れ て い る 。 第 4 節 投 資 信 託 の 最 適 な 活 用 方 法 次 に 、 本 節 で は 、 こ れ ま で 述 べ て き た 投 資 信 託 を 、 具 体 的 に ど の よ う に 活 用 す る こ と が 家 計 の 資 産 形 成 に 適 し て い る か を 述 べ て い く 。 5 ( 1 ) 長 期 投 資 家 計 の 資 産 形 成 手 段 と し て 投 資 信 託 を 活 用 す る 場 合 、長 期 投 資 が 有 効 で あ る 。 そ の 理 由 と し て 2 点 挙 げ ら れ る 。 第 一 に 、 複 利 効 果 を 享 受 で き る 点 で あ る 。 複 利 効 果 と は 、 運 用 で 得 た 収 益 を 再 投 資 す る こ と で 、 収 益 が 収 益 を 生 む 効 果 の こ と で あ る1 2。単 利 で は 利 息 は 元 本 に し か 付 利 さ れ な い の に 対 し 、複 利 の 場 合 は 、 10 利 息 は 元 本 と 過 去 に 得 た 利 息 を 含 め た 合 計 額 に 対 し て 付 利 さ れ る 。図 表 5 は 100 万 円 を 年 率 5% で 、 複 利 運 用 し た 場 合 と 、 単 利 運 用 し た 場 合 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で あ る 。 最 初 の 数 年 は 、 数 万 円 し か 差 は 無 い も の の 、 時 間 の 経 過 と と も に 大 き な 差 が 生 ま れ て い る 。 15 ( 図 表 5) 複 利 効 果 の イ メ ー ジ ( 出 典 ) 筆 者 作 成 20 1 2 マ ネ ッ ク ス 証 券 ホ ー ム ペ ー ジ 「 複 利 効 果 っ て な に ? 」

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第 二 に 、 運 用 収 益 を 安 定 さ せ る こ と が で き る 点 で あ る 。 図 表 6 は 、 長 期 投 資 の 効 果 を 示 す 図 で あ る 。 こ れ に よ る と 、 保 有 期 間 が 5 年 の 場 合 の 収 益 率 は 、 − 8% 〜 14% と バ ラ ツ キ が 大 き く 、リ タ ー ン が マ イ ナ ス に な る こ と も あ る 。そ れ に 5 対 し て 、 保 有 期 間 が 20 年 に な る と 収 益 率 は 、 2〜 8% と バ ラ ツ キ は 小 さ く な り 、 安 定 的 に 利 益 を 出 せ て い る こ と が わ か る 。 こ の デ ー タ は 前 述 し た 投 資 信 託 の 分 散 投 資 の 効 果 と 後 述 す る 積 立 の 効 果 を 加 味 し た デ ー タ で は あ る も の の 、 長 期 保 有 す る こ と で 安 定 的 な 資 産 形 成 を で き る こ と が わ か る 。 10 ( 図 表 6) 長 期 投 資 の 効 果 ( 出 典 ) 金 融 庁 ( 2019)「 高 齢 社 会 に お け る 資 産 形 成 ・ 管 理 」、 p.22 よ り 引 用 15

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( 2) 積 立 投 資 投 資 信 託 を 運 用 す る 上 で 、 も う 一 つ の 有 効 な 手 段 が 積 立 投 資 に よ る ド ル ・ コ ス ト 平 均 法 の 活 用 が 挙 げ ら れ る 。 ド ル ・ コ ス ト 平 均 法 と は 、 同 じ 商 品 に 定 期 的 に 、 定 額 ず つ 投 資 を 行 う こ と で 、 時 期 に よ る 値 動 き に 応 じ て 、 価 格 が 高 い 時 期 に は 少 な く 、 価 格 が 低 い 時 期 に は 多 く 投 資 を 行 う こ と と さ れ る 。 そ も そ も 、 投 5 資 信 託 の 購 入 方 法 に は 、「 ス ポ ッ ト 買 い 」 と 「 積 立 」 の 二 つ の 方 法 が あ る1 3 ス ポ ッ ト 買 い の 場 合 は 、 購 入 す る タ イ ミ ン グ を 自 分 で 判 断 し な け れ ば な ら な い こ と に 加 え 、 値 下 が り 時 に は 損 を す る リ ス ク が 高 い 。 そ れ に 対 し て 、 積 立 投 資 は 毎 月 一 定 額 ず つ 同 じ 商 品 を 購 入 す る た め 、ド ル・コ ス ト 平 均 法 を 活 用 で き 、 損 失 を 出 す リ ス ク を 低 下 さ せ る こ と が で き る 。 そ こ で 、 図 表 7 は 、 毎 月 一 定 額 10 を 積 立 投 資 し た 場 合 と 、 毎 月 決 ま っ た 口 数 を ス ポ ッ ト で 買 っ た 場 合 で 平 均 購 入 金 額 を 比 較 し た 。 こ れ に よ れ ば 、 決 ま っ た 口 数 を 毎 月 ス ポ ッ ト で 買 う よ り 、 毎 月 一 定 額 ず つ 積 立 投 資 し た 方 が 、 平 均 購 入 金 額 が 低 い こ と が 分 か る 。 こ れ が 積 立 投 資 の 利 点 で あ る 。 15 ( 図 表 7) ド ル ・ コ ス ト 平 均 法 に よ る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 投資金額 購入口数 投資金額 購入口数 1ヶ月目 10,000円 30,000円 3 30,000円 3 2ヶ月目 8,000円 30,000円 3.75 24,000円 3 3ヶ月目 9,000円 30,000円 3.33 27,000円 3 4ヶ月目 11,000円 30,000円 2.73 33,000円 3 5ヶ月目 9,500円 30,000円 3.16 28,500円 3 150,000円 15.97 142,500円 15 平均購入金額 積立投資 スポット投資 9,500円 9,393円 基準価格 合計投資金額 ( 出 典 ) 筆 者 作 成 20 以 上 、 本 節 で は 投 資 信 託 に よ る 長 期 投 資 、 積 立 投 資 の 利 点 を 述 べ た 。 こ の よ う に 投 資 信 託 を 利 用 す れ ば 、 家 計 は 比 較 的 安 定 的 な 資 産 形 成 を 行 う こ と が 可 能 1 3 竹 川 美 奈 子 ( 2013)『 は じ め て の 投 資 信 託 入 門 』、 p.146

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と な る と 考 え る 。 し か し 、 日 本 の 家 計 で は 投 資 信 託 の 保 有 は 少 な い 。 そ の 原 因 を 明 ら か に す る た め 、 投 資 信 託 誕 生 の 背 景 と そ の 歴 史 に つ い て 、 イ ギ リ ス や ア メ リ カ の そ れ と 比 較 し な が ら 述 べ て い き た い 。 第 3 章 投 資 信 託 の 歴 史 5 本 章 で は 、 な ぜ 投 資 信 託 が 誕 生 し た の か 、 そ の 背 景 を 述 べ た 後 、 ア メ リ カ で は 金 融 資 産 形 成 の た め に 、 家 計 が 一 般 的 に 利 用 し て い る 投 資 信 託 が 、 な ぜ 日 本 で は 普 及 し て い な い の か 。 そ れ に は 経 路 依 存 性 が あ る と 考 え ら れ る た め 、 イ ギ リ ス や ア メ リ カ の 投 資 信 託 の 歴 史 を 振 り 返 り な が ら 、 発 展 に 差 が 生 じ た 理 由 を 検 討 し た い 。 10 第 1 節 欧 米 の 投 資 信 託 の 歴 史 世 界 で 最 初 の 投 資 信 託 は 、1868 年 に イ ギ リ ス で 設 定 さ れ た「 フ ォ ー リ ン・ア ン ド・コ ロ ニ ア ル・ガ バ メ ン ト・ト ラ ス ト 」と 言 わ れ て い る1 4。こ の フ ァ ン ド は 現 在 も 運 用 さ れ て お り 、 151 年 も の 歴 史 を 誇 る 。 15 イ ギ リ ス で 投 資 信 託 が 誕 生 し た 背 景 は 、 当 時 、 欧 米 で は 産 業 革 命 や イ ン フ ラ 整 備 の た め の 資 本 が 必 要 で あ っ た こ と に 由 来 す る 。 イ ギ リ ス の 投 資 家 に と っ て 国 内 へ の 投 資 よ り 、 海 外 投 資 の 方 が 高 い 投 資 利 回 り が 期 待 で き た が 、 当 時 、 ア メ リ カ な ど へ の 海 外 投 資 は リ ス ク が 高 く 、 資 産 に 余 裕 の あ る 大 資 本 家 し か そ れ を で き な か っ た 。 そ の た め 調 査 能 力 が 乏 し く 、 資 産 に 余 裕 も な い 中 流 投 資 家 に 20 と っ て 、 大 資 本 家 に 劣 ら な い 資 金 プ ー ル を 作 っ て 、 経 済 的 な 才 覚 の あ る 人 に 運 用 を 委 託 し 、 海 外 投 資 の リ ス ク を 低 減 さ せ る こ と が 考 え 出 さ れ た 。 そ れ が 投 資 信 託 で あ る 。 1879 年 以 降 、イ ギ リ ス の 投 資 信 託 は 会 社 法 に 従 っ た 株 式 会 社 に な り 、会 社 型 投 資 信 託 と し て 組 成 さ れ る よ う に な る 。 会 社 型 に し た た め 、 投 資 証 券 の 発 行 だ 25 け で な く 、 社 債 や 借 り 入 れ に よ る 資 金 調 達 も 可 能 と な り 、 投 資 証 券 の 販 売 以 外 の 資 金 調 達 も で き る よ う に な っ た 。 ま た 、 当 時 は イ ギ リ ス 経 済 が 好 調 で あ っ た こ と や 、 低 金 利 政 策 に よ っ て 投 資 家 の 重 要 な 投 資 対 象 で あ っ た コ ン ソ ル 債 の 利 1 4 田 村 威 (2017)『 十 四 訂 投 資 信 託 基 礎 と 実 務 』 経 済 法 令 研 究 会 、 p.34

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回 り が 低 下 し て い た た め 、 投 資 信 託 へ の 資 金 流 入 が 起 こ っ た 。 当 時 、 証 券 投 資 は 約 10% の リ タ ー ン を 得 ら れ て い た こ と に 加 え 、投 資 信 託 会 社 は 低 金 利 政 策 を 背 景 に 低 利 資 金 を 調 達 で き た た め 、 容 易 に 利 益 を 獲 得 す る こ と が で き た 。 投 資 信 託 が 誕 生 し た 当 時 、 イ ギ リ ス を 初 め と す る ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 が 資 本 余 剰 国 で あ っ た の に 対 し 、 ア メ リ カ は 第 一 次 世 界 大 戦 後 ま で 債 務 国 で あ っ た 。 そ の 5 た め 産 業 発 展 や イ ン フ ラ 整 備 の 資 金 は 、 イ ギ リ ス な ど の ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 に 依 存 し て お り 、 そ れ ら の 資 金 供 給 に 投 資 信 託 が 利 用 さ れ た の で あ る 。 ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 か ら の 資 金 提 供 を 受 け た ア メ リ カ は 、生 産 能 力 を 向 上 さ せ た 。 加 え て 、 第 一 次 世 界 大 戦 の 戦 場 に な ら な か っ た た め 資 本 輸 出 国 に 転 じ 、 ア メ リ カ 国 内 で も 株 式 所 有 の 民 主 化 が 進 ん だ 。そ し て 、1921 年 に は イ ギ リ ス の 投 資 信 10 託 を 模 倣 し て 、 対 外 投 資 を 行 お う と す る 機 運 が 高 ま り 、 投 資 信 託 の 組 成 が 始 ま っ た 。 こ う し て ア メ リ カ で も 投 資 信 託 が 利 用 さ れ る よ う に な っ た の で あ る 。 こ の よ う に 、 イ ギ リ ス や ア メ リ カ で は 、 合 同 運 用 に 対 す る ニ ー ズ が 高 ま っ た こ と を 受 け て 、 自 生 的 に 投 資 信 託 が 誕 生 し た の で あ る 。 イ ギ リ ス で 誕 生 し た 投 資 信 託 は 、 ア メ リ カ で も そ の 仕 組 み を 取 り 入 れ て 利 用 15 さ れ る よ う に な っ た わ け だ が 、誕 生 当 時 は ク ロ ー ズ ド・エ ン ド 型 が 主 流 で あ り 、 借 り 入 れ な ど に よ る レ バ レ ッ ジ を 利 用 し て 、 収 益 拡 大 を 目 指 す 運 用 が 行 わ れ て い た1 5。 し か し 、 1929 年 の 世 界 恐 慌 で は 、 投 資 信 託 も 大 打 撃 を 受 け た た め 、 投 資 家 保 護 の 必 要 性 が 高 ま っ た 。そ こ で 、1940 年 に 投 資 会 社 法 が 制 定 さ れ て 、投 資 家 保 護 が 図 ら れ た 。 そ し て 、 そ れ ま で 主 流 だ っ た ク ロ ー ズ ド ・ エ ン ド 型 に 代 20 わ っ て 、 い つ で も 自 由 に 追 加 資 金 の 受 け 入 れ 、 保 有 者 か ら の 買 い 戻 し 、 解 約 に 応 じ る オ ー プ ン ・ エ ン ド 型 が 主 流 に な っ た1 6 第 二 次 世 界 大 戦 後 は 経 済 成 長 に 伴 い 、 株 式 フ ァ ン ド を 中 心 に 組 成 さ れ た が 、 1970 年 代 に は 株 価 が 低 迷 し 、株 式 フ ァ ン ド が 伸 び 悩 ん だ 。そ の 一 方 で 、1971 年 に MMF が 開 発 さ れ た 。 MMF は 証 券 総 合 口 座 に 組 み 込 ま れ る こ と で 、 預 金 以 上 の 25 利 便 性 を も た ら し 、 日 々 の 生 活 資 金 の 運 用 手 段 と な り 、 投 資 初 心 者 を も 証 券 市 場 に 呼 び 込 む き っ か け と な っ た1 7 1 5 日 本 証 券 経 済 研 究 所 (2019)『 図 説 ・ ア メ リ カ の 証 券 市 場 』、 p.282 1 6 前 掲 『 図 説 ・ ア メ リ カ の 証 券 市 場 』、 p.282 1 7 野 村 資 本 市 場 (2008)『 総 解 説 ア メ リ カ の 投 資 信 託 』 日 本 経 済 新 聞 出 版

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当 時 、 ア メ リ カ で は 「 双 子 の 赤 字 対 策 」 と し て 、 歳 出 削 減 、 規 制 緩 和 、 通 貨 供 給 量 の 抑 制 な ど を 柱 と す る レ ー ガ ノ ミ ク ス が 行 わ れ て い た 。 と こ ろ が 、 一 方 で は 軍 事 費 の 拡 大 に よ っ て 歳 出 が 拡 大 し 、 他 方 で は 通 貨 供 給 量 が 抑 制 さ れ た た め 、 金 利 が 高 騰 し た 。 た だ 、 預 金 に は レ ギ ュ レ ー シ ョ ン Q に よ っ て 金 利 に 上 限 が 設 定 さ れ て い た の に 対 し 、 短 期 国 債 や CP な ど で 運 用 さ れ て い た MMF に は そ 5 の よ う な 制 限 が な か っ た 。 そ の た め 、 MMF の 利 回 り が 預 金 金 利 を 上 回 り 、 預 金 か ら MMF へ の 資 金 流 入 が 起 こ っ た1 8 さ ら に 、1970 年 代 後 半 に は ラ ッ プ 口 座 も 始 ま り 、投 資 信 託 へ の 資 金 流 入 に 寄 与 し た と 言 わ れ て い る1 9。 ラ ッ プ 口 座 と は 、 金 融 機 関 が 顧 客 と 投 資 一 任 契 約 を 結 び 、投 資 ア ド バ イ ス や 資 産 の 運 用 、管 理 を 一 括 し て 行 う も の で あ る 。そ し て 、 10 1980 年 代 以 降 に は 、401( k)プ ラ ン と 呼 ば れ る 確 定 拠 出 型 年 金 や 、IRA( 個 人 年 金 制 度 ) と い っ た 制 度 が 発 足 し 、 投 資 信 託 が そ れ ら の 投 資 対 象 と し て 活 用 さ れ た 。 そ の 結 果 、 投 資 信 託 の 市 場 規 模 は 拡 大 し て い っ た 。 第 2 節 日 本 の 歴 史 15 欧 米 で は 自 生 的 に 合 同 運 用 に 対 す る ニ ー ズ が 生 ま れ 、 投 資 信 託 が 始 ま っ た 。 一 方 、日 本 の 投 資 信 託 の 歴 史 は そ う で は な か っ た 。日 本 で の 投 資 信 託 の 嚆 矢 は 、 1937 年 に 藤 本 ビ ル ブ ロ ー カ ー が 設 立 し た 証 券 投 資 組 合 に 求 め ら れ る 。こ の 組 合 は 10,000 人 を 超 え る 投 資 家 を 集 め 、 127 の 組 合 を 作 り 、 1,270 万 円 を 動 員 し た 2 0 20 当 時 は 日 中 戦 争 が 勃 発 し 、 国 債 消 化 資 金 や 軍 需 企 業 へ の 資 金 供 給 が 必 要 で あ る た め 、 国 民 貯 蓄 奨 励 運 動 が 行 わ れ て お り 、 そ の 一 環 と し て 藤 本 有 価 証 券 投 資 組 合 で も 国 債 や こ れ ら の 株 式 に 投 資 し て い た 。 し か し 、 信 託 会 社 か ら こ の 仕 組 み が 信 託 類 似 行 為 に 該 当 す る と の 批 判 に 遭 い 、 大 蔵 省 の 指 示 で 1940 年 に 解 散 し た 。 つ ま り 、 戦 争 中 に 大 量 発 行 さ れ た 国 債 や 軍 事 関 連 企 業 株 の 消 化 が そ の 目 25 社 、 p.24 1 8 ア ナ ト ・ ア ド マ テ ィ 、 マ ル テ ィ ン ・ ヘ ル ビ ッ ヒ 著 、 土 方 奈 美 訳 (2014)『 銀 行 は 裸 の 王 様 で あ る 』 東 洋 経 済 新 報 社 、 p.58 1 9 シ ド ニ ー ・ ル ブ ラ ン 著 、 日 興 コ ー デ ィ ア ル ・ ア ド バ イ ザ ー 訳 (2005)『 SMA-ア メ リ カ 発 資 産 運 用 の 新 潮 流 』 社 団 法 人 金 融 財 政 事 情 研 究 会 、 p.63 2 0 大 和 証 券 (1963)『 大 和 証 券 60 年 史 』、 p.142

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的 で あ っ た 。 そ の 後 、日 本 で は 終 戦 後 一 旦 募 集 が 打 ち 切 ら れ て い た が 、1951 年 に 証 券 投 資 信 託 法 の 施 行 に よ り 再 開 し た 。 こ の 時 も 投 資 家 の ニ ー ズ に よ っ て 自 生 的 に 投 資 信 託 が 再 開 さ れ た わ け で は な か っ た 。 当 時 の 日 本 は 、 戦 後 の 財 閥 解 体 に よ り 株 式 が 供 給 過 多 で あ っ た こ と に 加 え 、 戦 後 復 興 の た め の 資 金 需 要 も 激 し く 、 企 業 5 の 相 次 ぐ 増 資 に よ っ て さ ら に 株 式 が 供 給 さ れ て い く の で あ っ た 。 つ ま り 、 戦 後 復 興 を 急 ぐ 政 府 は 、 企 業 の 資 金 需 要 に 応 じ る 必 要 と 、 過 剰 に 供 給 さ れ た 株 式 を 消 化 す る た め 、 投 資 信 託 を 再 開 し た の で あ る 。 こ の よ う に 日 本 の 投 資 信 託 は 、 戦 前 も 戦 後 も 国 策 的 に 開 始 さ れ た 点 が 欧 米 と は 異 な る 。 特 に 、 戦 後 の 投 資 信 託 は 過 剰 供 給 さ れ た 株 式 を 吸 収 す る た め 、 広 く 10 大 衆 か ら 資 金 を 集 め る 必 要 が あ り 、 投 資 信 託 に 預 金 と 似 た 貯 蓄 性 を 持 た せ る こ と が 考 案 さ れ た 。 そ の 結 果 、 短 い 運 用 期 間 で 償 還 す る 単 位 型 が 採 用 さ れ 、 さ ら に 元 本 割 れ が 起 き た 際 に は 、 償 還 延 長 措 置 も 採 ら れ た の で あ る2 1 さ ら に 、 投 資 信 託 業 務 は 証 券 会 社 が 兼 業 し た 。 証 券 会 社 は 他 に も デ ィ ー リ ン グ 業 務 や ア ン ダ ー ラ イ テ ィ ン グ 業 務 な ど を 行 っ て お り 、 こ れ ら と 投 資 信 託 の 運 15 用 が 混 然 と な る こ と は 、 投 資 家 と の 利 益 相 反 の 可 能 性 も 存 在 し た2 2。 一 例 を 挙 げ れ ば 、 本 来 、 投 資 信 託 で 集 め た 資 金 は 、 運 用 パ フ ォ ー マ ン ス を 高 め る 投 資 先 に 投 資 す べ き で あ る が 、 ア ン ダ ー ラ イ テ ィ ン グ 業 務 で の 案 件 獲 得 の た め に 、 投 資 信 託 で 集 め た 資 金 を 使 っ て 価 格 形 成 力 を 増 強 す る こ と や 、 売 れ 残 っ た 株 式 を 引 き 取 る こ と も 可 能 で あ る 。 こ う し た 利 益 相 反 が 考 え ら れ る た め 、 GHQ は 投 資 20 信 託 業 務 の 証 券 会 社 に よ る 兼 業 に は 反 対 し て い た と さ れ る2 3 こ う し た 証 券 会 社 に よ る 投 資 信 託 業 務 兼 業 は 、 再 開 当 時 か ら 問 題 視 さ れ て い た が 、 一 定 の 信 託 財 産 が な け れ ば 、 採 算 が 取 れ な い こ と を 理 由 に 認 め ら れ た の で あ る2 4。 戦 後 の 投 資 信 託 の 再 開 は 、 こ う し た 利 益 相 反 問 題 を 内 抱 し て い た た め 、信 託 財 産 が 一 定 規 模 を 超 え た 1960 年 以 降 、投 資 信 託 業 務 は 証 券 会 社 か ら 分 25 離 さ れ 始 め る 。 し か し 、 再 開 当 時 、 投 資 信 託 業 務 を 証 券 会 社 に 兼 業 さ せ た こ と 2 1 田 村 威 (2011)『 八 訂 投 資 信 託 基 礎 と 実 務 』 経 済 法 令 研 究 会 、 p.40 2 2 瀬 川 美 能 留 (1986)『 私 の 証 券 昭 和 史 』 東 洋 経 済 新 報 社 、 p.88-91 2 3 前 掲 『 私 の 証 券 昭 和 史 』、 p.88-89 2 4 前 掲 『 私 の 証 券 昭 和 史 』、 p.89

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が 、 第 4 章 で 述 べ る 日 本 の 投 資 信 託 が 抱 え る 構 造 的 な 問 題 の 起 源 と な る の で あ る 。 第 3 節 日 米 の 投 資 信 託 市 場 の 規 模 と 推 移 イ ギ リ ス や ア メ リ カ と 日 本 で は 、 投 資 信 託 の 誕 生 に 大 き な 違 い が 見 ら れ た 。 5 そ れ は 、 前 者 で は 自 生 的 な 誕 生 を 見 た の に 対 し 、 後 者 は 国 策 と し て 誕 生 し た の で あ っ た 。 で は 、 そ の 後 、 ア メ リ カ と 日 本 の 投 資 信 託 市 場 の 成 長 は 、 ど の よ う な 軌 跡 を 遂 げ た の で あ ろ う 。 次 に 、 ア メ リ カ 、 日 本 の 投 資 信 託 市 場 の 規 模 と そ の 推 移 を 見 て い こ う 。 10 ( 1) ア メ リ カ の 投 資 信 託 市 場 1940 年 投 資 会 社 法 が 制 定 さ れ て か ら 、 ア メ リ カ の 投 資 信 託 残 高 は 大 き く 成 長 し 、 2019 年 3 月 末 の 純 資 産 残 高 は 約 23 兆 ド ル で あ る2 5。 ア メ リ カ は 投 信 大 国 と さ れ る が 、 こ れ ほ ど の 成 長 を 見 た 要 因 を 、 杉 田 浩 司 は ① 株 価 の 長 期 的 上 昇 、 ② 商 品 ラ イ ン ナ ッ プ ・ 販 売 チ ャ ネ ル の 多 様 化 、 ③ 確 定 拠 出 年 金 の 普 及 で 説 15 明 し て い る2 6。 以 下 で は 、 杉 田 説 に し た が っ て 、 ア メ リ カ で 投 資 信 託 が 普 及 し て い っ た 要 因 を 見 て お こ う 。 1) 株 価 の 長 期 的 上 昇 ア メ リ カ の ダ ウ 平 均 株 価 は 1940 年 の 131 ド ル か ら 、2019 年 8 月 末 に は 26,403 20 ド ル と な り 、 こ の 80 年 間 で 約 202 倍 の 株 価 成 長 を 見 た 。 ま た 、 1945 年 の 家 計 金 融 資 産 残 高 は 6,080 億 ド ル で あ っ た が 、 2018 年 3 月 末 に は 81.7 兆 ド ル と な り 、 こ れ も 約 134 倍 の 増 加 を 見 た 。 こ の こ と を 踏 ま え た 上 で 、 家 計 金 融 資 産 に 占 め る 投 資 信 託 の 割 合 を 調 べ る と 、1945 年 に は 0.2% で あ っ た が 、2019 年 8 月 末 に は 12.9% へ と 約 60 倍 拡 大 し た2 7。で は 、そ の 要 因 は ど こ に あ っ た の で あ ろ 25 う か 。 2 5 投 資 信 託 協 会 ( 2019)「 投 資 信 託 の 世 界 統 計 2019 年 第 1 四 半 期 (1 月 〜 3 月 ) 」 2 6 杉 田 浩 治 ( 2015)「 米 国 投 信 4 分 の 3 世 紀 の 歴 史 か ら 何 を 学 ぶ か 」、 p.17 2 7 日 本 銀 行 調 査 統 計 局 (2019)「 資 金 循 環 の 日 米 欧 比 較 」、 p.2

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株 式 投 資 の 収 益 率 と 投 資 信 託 の 残 高 を 比 較 し た 図 表 8 に よ れ ば 、 前 者 の 上 昇 に 比 例 し て そ れ も 増 加 し て い る 。ま た 、株 価 が 長 期 低 迷 し た 1970 年 代 や 、IT バ ブ ル 崩 壊 や リ ー マ ン シ ョ ッ ク が 起 き た 2000 年 代 は 、 投 資 信 託 残 高 も 下 落 し て い る 。 こ の こ と か ら 、 ア メ リ カ の 投 資 信 託 の 成 長 は 、 株 式 収 益 率 と 密 接 な 関 係 が あ っ た と 言 え る 。 5 ( 図 表 8) 「 長 期 投 信 残 高 成 長 倍 率 と S& P 500・ 年 平 均 収 益 率 」 10 ( 出 典 ) 杉 田 浩 治 ( 2015)「 米 国 投 信 4 分 の 3 世 紀 の 歴 史 か ら 何 を 学 ぶ か 」、 p.3 よ り 筆 者 作 成 2) 商 品 ラ イ ン ナ ッ プ ・ 販 売 チ ャ ネ ル の 多 様 化 次 に 、商 品 の 多 様 化 を 見 て い こ う 。ア メ リ カ の 投 資 信 託 は 、1960 年 代 ま で は 15 ア ク テ ィ ブ 運 用 の 株 式 フ ァ ン ド と 債 券 フ ァ ン ド に 限 ら れ て い た2 8。 1971 年 に は MMF が 開 発 さ れ 、 1990 年 代 初 頭 か ら 資 金 量 を 増 加 さ せ た2 9。 ま た 、 1976 年 に は 地 方 債 フ ァ ン ド も 誕 生 し た3 0。特 に 、地 方 債 フ ァ ン ド は 家 計 に 支 持 さ れ 、地 方 債 は 家 計 が フ ァ ン ド や 直 接 的 な 買 い 付 け を 通 じ て 、 そ の 7 割 を 保 有 し て い た と さ 2 8 前 掲 「 米 国 投 信 4 分 の 3 世 紀 の 歴 史 か ら 何 を 学 ぶ か 」、 p.8 2 9 前 掲 『 総 解 説 米 国 の 投 資 信 託 』、 p.95 3 0 前 掲 「 米 国 投 信 4 分 の 3 世 紀 の 歴 史 か ら 何 を 学 ぶ か 」、 p.8

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れ る3 1。さ ら に 、1976 年 に は 個 人 向 け の イ ン デ ッ ク ス フ ァ ン ド が 設 定 さ れ 、1993 年 に は ETF( 上 場 投 資 信 託 ) が 誕 生 し た 。 さ ら に 2000 年 代 に 入 る と 、 国 内 株 式 フ ァ ン ド か ら 国 際 株 式 フ ァ ン ド へ 資 金 流 入 先 が 移 っ て い っ た 。 国 際 株 式 フ ァ ン ド に 人 気 が 集 ま っ た 背 景 は 、 海 外 株 式 の 運 用 パ フ ォ ー マ ン ス が 米 国 株 の そ れ に 比 べ て 高 か っ た た め3 2だ と 言 わ れ て い 5 る 。 こ の よ う に 、 投 資 信 託 の 商 品 ラ イ ン ナ ッ プ は 1970 年 代 か ら 多 様 化 を 始 め 、 投 資 家 の 多 様 な ニ ー ズ に 応 え ら れ る 商 品 の 広 が り を 見 せ た 。 次 に 、販 売 チ ャ ネ ル が 多 様 化 し た 背 景 を 見 て い く 。1970 年 以 前 、ア メ リ カ の 投 資 信 託 は 、 証 券 会 社 に よ っ て 販 売 さ れ て い た が 、 以 後 、 投 資 信 託 の 運 用 会 社 に よ る 直 接 販 売 が 増 加 し て い っ た 。さ ら に 1980 年 代 に は 、銀 行 も 投 資 信 託 の 販 10 売 を 開 始 し た 。そ し て 、1990 年 代 に な る と 、証 券 会 社 の ビ ジ ネ ス モ デ ル が「 コ ミ ッ シ ョ ン 型 か ら フ ィ ー 型 」 へ の 転 換 を 始 め3 3、 販 売 手 数 料 で は な く 信 託 報 酬 で 主 と し て 収 益 を 得 る よ う に な り 、 投 資 信 託 の 販 売 方 法 は 大 き く 変 化 す る 。 ま た 、 一 部 の 証 券 外 務 員 が 独 立 し て IFA3 4と い う チ ャ ネ ル も 誕 生 し 、 1970 年 代 以 降 、 商 品 ラ イ ン ナ ッ プ の 多 様 化 と と も に 、 販 売 チ ャ ネ ル も 多 様 化 し て い っ た の 15 で あ る 。 3) 確 定 拠 出 年 金 の 普 及 さ て 、 こ う し た 株 価 上 昇 や 商 品 、 販 売 チ ャ ネ ル の 多 様 化 も 重 要 だ が 、 も う 一 つ 忘 れ て は な ら な い も の が あ る 。 そ れ が 確 定 拠 出 年 金 で あ る 。 ア メ リ カ で は 確 20 定 拠 出 年 金 制 度 ( 以 下 、 DC) が 、 投 資 信 託 の 普 及 に 大 き く 貢 献 し た と さ れ る 。 DC は 1974 年 の エ リ サ 法3 5制 定 と と も に 発 足 し た IRA( 個 人 退 職 口 座 )か ら 始 ま 3 1 前 掲 『 総 解 説 米 国 の 投 資 信 託 』、 p.60 3 2 前 掲 『 総 解 説 米 国 の 投 資 信 託 』、 p.56 3 3 前 掲 「 米 国 投 信 4 分 の 3 世 紀 の 歴 史 か ら 何 を 学 ぶ か 」、 p.11

3 4 IFA と は Independent Financial Adviser の 略 で 、 ど の 金 融 機 関 に も 属 さ ず 「 独 立 し た 中 立 の 立 場 で お 客 様 に 対 し て 投 資 の ア ド バ イ ス や 金 融 商 品 、 保 険 商 品 を 販 売 し て い る 金 融 の ス ペ シ ャ リ ス ト の こ と を 言 う 。

3 5 ア メ リ カ に お い て 1974 年 に 制 定 さ れ た 企 業 年 金 制 度 や 福 利 厚 生 制 度 の 設 計 や 運 営 を 統 一 的 に 規 定 す る 連 邦 法 。 Employee Retirement Income Security Act( 従 業 員 退 職 所 得 保 障 法 ) の 頭 文 字 を と っ て ERISA( エ リ サ ) と 呼 ば れ て い る 。

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っ た 。 IRA は 個 人 で 加 入 し 、 拠 出 額 や 運 用 対 象 を 決 め る 仕 組 み に な っ て い る3 6 IRA の 導 入 に 関 し て は 二 つ の 目 的 が あ っ た と さ れ て い る 。 第 一 に 、 企 業 年 金 制 度 の な い 会 社 の 従 業 員 に 対 す る 退 職 資 産 形 成 手 段 の 提 供 で あ り 、 第 二 に 、 従 業 員 が 離 転 職 す る 際 、 職 場 の 年 金 で 積 み 立 て た 資 産 を IRA に 移 す こ と を 可 能 に す る た め で あ っ た と さ れ る 。 5 そ し て 、 1981 年 に は 401(k)プ ラ ン が 発 足 し た 。 そ れ 以 前 は 確 定 給 付 型 年 金 ( 以 下 、DB)が 中 心 だ っ た が 、DB の 制 度 改 正 に よ っ て 、企 業 の 負 担 が 増 し た こ と か ら 、DC に 移 行 す る 企 業 が 増 え た の で あ る 。401( k)プ ラ ン へ の 加 入 は 従 業 員 自 ら が 決 定 で き 、 マ ッ チ ン グ 拠 出3 7を 行 う 加 入 者 も 多 い 。 そ の 掛 金 は 給 料 天 引 き で 各 加 入 者 の 個 人 口 座 に 入 れ ら れ 、 企 業 が 選 ん だ リ ス ク 、 リ タ ー ン の 特 性 10 が 異 な る 商 品 か ら 、 加 入 者 が 自 分 の リ ス ク 選 好 度 に 応 じ た 商 品 を 選 択 し て 運 用 す る3 8 そ の 後 、2006 年 に は 年 金 保 護 法 が 制 定 さ れ 、従 業 員 が 加 入 し な い と い う 意 思 を 示 さ な い 限 り 、 401( k) プ ラ ン に 自 動 加 入 さ せ て い る 。 そ し て 、 加 入 者 が 運 用 商 品 を 選 択 し な か っ た 場 合 は 、 企 業 が 「 タ ー ゲ ッ ト イ ヤ ー フ ァ ン ド 」、「 バ ラ 15 ン ス フ ァ ン ド 」、「 SMA3 9」の 三 つ の 中 か ら デ フ ォ ル ト フ ァ ン ド を 選 び 、そ の 商 品 で 運 用 さ れ る こ と と な っ た 。 こ の 結 果 、DC を 通 じ た 投 資 信 託 へ の 資 金 流 入 が 増 加 し 、2014 年 6 月 末 に は IRA の 純 資 産 額 は 7 兆 1,710 億 ド ル 、 401( k) な ど の DC の そ れ も 6 兆 5,860 億 ド ル と な り 、 合 計 で は 13 兆 7,570 億 ド ル に 達 し 、 こ れ は 全 投 資 信 託 の 純 資 産 の 20 44% 、 株 式 投 資 信 託 の 61% を 占 め る 規 模 で あ る4 0 こ れ ら 三 つ の 要 因 に よ り 、ア メ リ カ で は 投 資 信 託 へ の 資 金 流 入 が 拡 大 し 、世 界 の 投 資 信 託 残 高 の 約 半 分 を 有 す る 投 信 大 国 に な っ た の で あ る 。 で は 、 日 本 は ど う だ ろ う 。 次 に 、 日 本 の 投 資 信 託 市 場 を 見 て い こ う 。 25 3 6 前 掲 『 総 解 説 米 国 の 投 資 信 託 』、 p.32 3 7 企 業 型 確 定 年 金 ( 企 業 型 DC) の 加 入 者 が 、 自 身 の 給 与 か ら 掛 金 を 上 乗 せ し て 拠 出 で き る 制 度 。 3 8 前 掲 『 総 解 説 米 国 の 投 資 信 託 』、 p.30 3 9 1970 年 に ア メ リ カ で 始 ま っ た ラ ッ プ 口 座 サ ー ビ ス の 一 つ 。 4 0 前 掲 「 米 国 投 信 4 分 の 3 世 紀 の 歴 史 か ら 何 を 学 ぶ か 」、 p.12-13

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( 2) 日 本 の 投 資 信 託 市 場 日 本 の 公 募 投 資 信 託 の 残 高 は 、 1960 年 代 に は 1 兆 円 前 後 の 規 模 だ っ た が 、 2018 年 に は 105.2 兆 円 と な り 大 幅 な 増 加 を み た 。し か し 、1990 年 以 降 、日 本 の 投 資 信 託 の 資 産 規 模 が 伸 び 悩 ん だ の は 、 バ ブ ル 崩 壊 後 の 株 価 下 落 、 デ フ レ の 長 期 化 に よ る 株 価 の 低 迷 が 挙 げ ら れ る 。 バ ブ ル 期 ま で は 経 済 成 長 を 背 景 に 、 日 本 5 株 の 株 価 が 上 昇 し て お り 、日 本 株 を 組 み 入 れ た 単 位 型 商 品 が 数 多 く 組 成 さ れ た 。 と こ ろ が 、 こ の こ と が 災 禍 を 招 い た 。 す な わ ち 、 バ ブ ル 期 ま で に 販 売 さ れ た 単 位 型 商 品 は 信 託 期 間 が 5 年 に 設 定 さ れ 、 そ の 上 に 資 金 流 出 の 抑 制 と 運 用 の 安 定 性 を 高 め る こ と を 目 的 に 、 ク ロ ー ズ ド 期 間 を 2 年 設 け て い た 。 し か し 、 ク ロ ー ズ ド 期 間 が 明 け た 途 端 に 中 途 解 約 さ せ て 、 別 の フ ァ ン ド へ の 乗 り 換 え が 頻 繁 10 に 行 わ れ て い た 。 そ れ で も 運 用 成 績 が よ か っ た の は 、 運 用 担 当 者 の 手 腕 で は な く 、 単 に 日 本 経 済 が 成 長 し て い た か ら に 過 ぎ な か っ た 。 そ の た め 、 バ ブ ル が 崩 壊 す る と 、 バ ブ ル 期 に 大 量 設 定 さ れ た 単 位 型 商 品 の ほ と ん ど が 、 元 本 割 れ を 起 こ し た の で あ っ た 。 そ し て 、 先 に 述 べ た よ う に 、 当 時 の 単 位 型 商 品 の 多 く は ク ロ ー ズ ド 期 間 が 設 け ら れ 、 中 途 解 約 し よ う に も ク ロ ー 15 ズ ド 期 間 中 は 解 約 で き ず 、基 準 価 額 の 下 落 に よ っ て 損 失 が 膨 ら ん だ 人 も 現 れ た 。 こ の 結 果 、 投 資 信 託 に 対 す る 信 用 は 失 墜 し 、 投 資 信 託 へ の マ イ ナ ス イ メ ー ジ が 植 え 付 け ら れ た 。 ま た 、 そ の 後 の デ フ レ 下 で は 名 目 金 利 が プ ラ ス で あ れ ば 実 質 的 な 購 買 力 は 増 す た め 、 元 本 が 保 証 さ れ た 預 貯 金 で の 運 用 の 方 が 賢 明 な 投 資 行 動 で あ っ た 。 こ 20 う し て 家 計 金 融 資 産 は 預 貯 金 へ と 回 帰 し 、 家 計 金 融 資 産 に 占 め る リ ス ク 性 資 産 の 比 率 が 低 下 し た の で あ る 。 こ う し た 株 価 低 迷 に 加 え て 、 日 本 の 投 資 信 託 の 利 回 り を 低 下 さ せ た の が 、 毎 月 分 配 型 に 代 表 さ れ る 分 配 政 策 の あ り 方 で あ る 。 2010 年 以 降 の 分 配 金 に よ る 流 出 額 は 39.1 兆 円 に 上 る 。投 資 信 託 の 利 点 に は 、 複 利 効 果 に よ る パ フ ォ ー マ ン ス の 向 上 が 挙 げ ら れ る が 、 分 配 を 繰 り 返 す と 複 利 25 効 果 が 減 殺 さ れ 、 パ フ ォ ー マ ン ス を 低 下 さ せ る 。 こ う し た 分 配 型 商 品 の 多 さ も 日 本 の 投 資 信 託 の パ フ ォ ー マ ン ス を 押 し 下 げ る 一 因 と な っ た の で あ る 。 で は 、 ア メ リ カ で 投 資 信 託 市 場 拡 大 の 牽 引 役 と な っ た DC は 、 な ぜ 日 本 で は 牽 引 役 と な ら な か っ た の だ ろ う か 。 日 本 で も DC が 2001 年 か ら 開 始 さ れ た

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が 、 2019 年 7 月 末 時 点 で の 加 入 者 は 721 万 人 で あ り 、 こ れ は 就 業 者 数 の 約 11% に 過 ぎ な い 。 ま た 、 個 人 型 確 定 拠 出 年 金 ( iDeCo) も 2017 年 1 月 か ら ス タ ー ト し た が 、 2019 年 7 月 末 時 点 で の 加 入 者 は 120 万 人 に 過 ぎ な い 。 そ し て 、 ア メ リ カ の 投 資 信 託 の 純 資 産 残 高 の 55% は 、確 定 拠 出 年 金 口 座 な ど の 税 制 優 遇 制 口 座 で 保 有 さ れ て 5 い る の に 対 し 、日 本 は DC で の 保 有 分 は そ れ の 約 5% 、税 制 優 遇 制 口 座 を 含 め て も 11% に 過 ぎ ず4 1、 ア メ リ カ と 比 べ て DC の 寄 与 度 は 大 き く な い 。 日 本 で DC の 寄 与 度 が 高 く な い 要 因 と し て は 、 ① DC 制 度 が 導 入 さ れ て か ら の 期 間 が ア メ リ カ と 比 較 し て 短 い こ と 、② 拠 出 限 度 額 が 小 さ い こ と 、③ DC に お け る 元 本 確 保 商 品 で の 運 用 比 率( 約 60% )が 高 い こ と が 挙 げ ら れ る 。そ の 理 由 と 10 し て 、ア メ リ カ の 401( k)で は 、運 用 商 品 に 預 金 は な い が 、日 本 で は 預 金 が 運 用 商 品 に 含 ま れ 、 そ れ を デ フ ォ ル ト 商 品 に し て い る 企 業 が 多 い か ら で あ る 。 2013 年 時 点 で は 、 預 金 を デ フ ォ ル ト 商 品 と す る 企 業 は 約 70% 、 保 険 商 品 は 26% に 達 し 、合 計 す る と 96% が 元 本 確 保 商 品 を デ フ ォ ル ト 商 品 に し て い る 。最 近 は 少 し 変 化 も 見 ら れ る が 、2018 年 度 末 で 投 資 信 託 を デ フ ォ ル ト 商 品 に 設 定 し 15 て い る 企 業 は 約 10% に 過 ぎ な い4 2。こ の こ と が ア メ リ カ と は 異 な り 、DC が 投 資 信 託 市 場 の 規 模 拡 大 に 寄 与 し な か っ た 要 因 と 考 え ら れ る 。 本 章 で は 投 資 信 託 が ア メ リ カ で 普 及 し た 背 景 と 日 本 で 普 及 し な か っ た 要 因 を 考 察 し 、 そ こ に は バ ブ ル 崩 壊 に よ る マ イ ナ ス イ メ ー ジ の 定 着 と 株 価 低 迷 、 さ ら に DC な ど が 大 き く 関 わ っ て い る こ と が 分 か っ た 。し か し 、日 本 で 投 資 信 託 が 普 20 及 し な い の は 、 そ れ だ け が 原 因 で は な く 、 他 の 要 因 も あ る と 考 え る 。 そ こ で 、 次 章 で は 投 資 信 託 を 扱 っ て い る 金 融 機 関 の 構 造 的 な 課 題 に つ い て 述 べ た い 。 第 4 章 金 融 機 関 の 課 題 第 3 章 で は 、 ア メ リ カ で 投 資 信 託 市 場 拡 大 の 牽 引 役 と な っ た DC が 、 日 本 で 25 は 牽 引 役 と な ら ず 、 投 資 信 託 市 場 の 規 模 拡 大 に 寄 与 し な か っ た こ と な ど を 述 べ た 。し か し 、日 本 の 投 資 信 託 に 資 金 が 流 入 し な い 要 因 は 、上 記 の み に 留 ま ら ず 、 4 1 杉 田 浩 治 ( 2019)『 投 資 信 託 の 世 界 』 き ん ざ い 、 p.236 4 2 「 日 本 経 済 新 聞 」 2019 年 8 月 18 日 朝 刊

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も う 一 つ の 大 き な 要 因 と し て 、 投 資 信 託 に 関 わ る 金 融 機 関 に 存 在 す る 構 造 的 な 問 題 が あ る と 考 え る 。 そ こ で 、 以 下 で は そ れ に つ い て 述 べ た い 。 第 1 節 販 売 会 社 の 諸 問 題 先 に も 述 べ た よ う に 、 バ ブ ル 崩 壊 後 、 日 本 銀 行 の 「 ゼ ロ 金 利 政 策 」 に よ り 、 5 超 低 金 利 が 長 ら く 続 く 一 方 で 、 平 均 寿 命 の 延 び と 少 子 高 齢 化 の 一 層 の 進 展 に 伴 い 、 今 後 、 年 金 支 給 額 の 減 額 や 支 給 開 始 年 齢 の 引 き 上 げ も 予 想 さ れ て い る 。 ま た 、 老 後 資 産 が 2,000 万 円 不 足 す る と し た 金 融 審 議 会 の ワ ー キ ン グ グ ル ー プ 報 告 も あ っ て 、 公 的 年 金 を 補 完 す る 自 助 努 力 で の 資 産 形 成 の 必 要 性 は 認 識 さ れ 始 め て い る 。 し か し 、 日 本 の 家 計 の 金 融 資 産 に 占 め る 投 資 信 託 の 割 合 は 3.9% に 10 過 ぎ な い4 3。 ま た 、 図 表 9 に よ れ ば 、 日 本 の 投 資 信 託 の 平 均 保 有 期 間 は 3.1 年 で あ り 、 ア メ リ カ の 4.6 年 、 イ ギ リ ス の 4.5 年 と 比 べ る と 短 く 、 日 本 で は 短 期 保 有 志 向 に 陥 っ て い る こ と が 分 か る 。 ( 図 表 9) 金 融 機 関 別 平 均 保 有 期 間 の 推 移 15 ( 出 典 ) 金 融 庁 ( 2019)「 顧 客 本 位 の 業 務 運 営 の 取 組 状 況 」 p.9 よ り 筆 者 作 成 20 4 3 前 掲 「 資 金 循 環 の 日 米 欧 比 較 」、 p.2

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こ の 原 因 は 、 販 売 会 社 に よ る 乗 換 販 売 、 つ ま り 、 回 転 売 買 が 行 わ れ て い る た め で あ る と 考 え ら れ る 。 回 転 売 買 が 行 わ れ て い る 要 因 と し て 、 第 一 に 手 数 料 問 題 が 挙 げ ら れ る 。 顧 客 が 支 払 う 投 資 信 託 の 手 数 料 は 、 販 売 手 数 料 と 信 託 報 酬 の 二 つ が あ る 。 販 売 手 数 料 は 、 投 資 家 が 投 資 信 託 を 購 入 す る 際 、 販 売 会 社 に 対 し て 支 払 う 手 数 料 で あ る 。 こ れ に 対 し て 、 信 託 報 酬 は 顧 客 が 投 資 信 託 を 保 有 し て 5 い る 間 、 投 資 信 託 の 管 理 、 運 用 の た め の 経 費 と し て 信 託 財 産 の 中 か ら 毎 日 徴 収 さ れ る 手 数 料 で あ る4 4 信 託 報 酬 は 図 表 10 に 示 し た と お り 、販 売 会 社 と 運 用 会 社 、信 託 銀 行 の 三 者 で 折 半 さ れ る の に 対 し 、 販 売 手 数 料 は 全 額 、 販 売 会 社 の 収 入 と な る た め 、 必 然 的 に 販 売 会 社 は 販 売 手 数 料 の 獲 得 に 重 き を 置 く 構 造 に な っ て い る 。 販 売 手 数 料 を 10 主 要 行 等 、 地 域 銀 行 、 証 券 会 社 で 比 較 す る と 、 主 要 行 等 は 2.07% ( 図 表 11 参 照 ) 、 地 域 銀 行 は 2.09% ( 図 表 12 参 照 ) で 低 下 傾 向 に あ る も の の 、 証 券 会 社 に お い て は 2.96% ( 図 表 13 参 照 ) と 高 水 準 で 推 移 し て い る4 5 ( 図 表 10) 投 資 信 託 の 手 数 料 の 内 訳 15 ( 出 典 ) 前 掲 『 ア セ ッ ト マ ネ ジ メ ン ト の 世 界 』、 p.69 図 表 3-3 よ り 筆 者 作 成 20 4 4 宇 野 淳 (2010)『 ア セ ッ ト マ ネ ジ メ ン ト の 世 界 』 東 洋 経 済 新 報 社 、 p.69 4 5 金 融 庁 (2019)「 顧 客 本 位 の 業 務 運 営 の 取 組 状 況 」、 p.15

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(図 表 11)主 要 行 等 の 販 売 手 数 料 率 ( 出 典 ) 前 掲 「 顧 客 本 位 の 業 務 運 営 の 取 組 状 況 」、 p.15 よ り 筆 者 作 成 5 (図 表 12)地 域 銀 行 の 販 売 手 数 料 率 ( 出 典 ) 前 掲 「 顧 客 本 位 の 業 務 運 営 の 取 組 状 況 」、 p.15 よ り 筆 者 作 成 10

参照

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