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ショートステイ利用前後における要介護者の日常生活動作と介護者の介護負担の変化についての検討

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 186 43 巻第 2 号 186 ∼ 187 頁(2016 年) 理学療法学 第 43 巻第 2 号. 平成 26 年度研究助成報告書. 者の調査内容は基本属性,介護負担とした。認知機能は MiniMental State Examination(以下,MMSE),ADL に関する意. ショートステイ利用前後における要介護 者の日常生活動作と介護者の介護負担の 変化についての検討. 欲 は Vitality Index( 以 下,VI) ,ADL は Barthel Index( 以 下,BI),介護者の介護負担は Zarit 介護負担尺度短縮版(以下, J-ZBI_8)を用いて調べた。  利用前後の機能的状態に関するデータ収集は,利用前の状況 は入所 2 日前から前日の状況について,利用後の状況は退所翌. 岡前暁生 1),原田和宏 2),岡田 誠 1),和田智弘 1), 福田能啓. 3). ,道免和久. 4). 日から 2 日目の状況について,要介護者の主介護者から回答を 得た。 3.データ分析. 1).   シ ョ ー ト ス テ イ 利 用 前 後 の 変 化 を 調 べ る た め,BI,VI,. 2). J-ZBI_8 の利用前後の値について,Wilcoxon 検定を用いて比較. 3). した。. 4).  統計解析は IBM SPSS Statistics version 22 を使用した。統. 兵庫医科大学ささやま医療センター 吉備国際大学大学院保健科学研究科 兵庫医科大学地域総合医療学 兵庫医科大学リハビリテーション医学教室. 計学的有意水準は 5%とした。 キーワード:ショートステイ,日常生活動作,介護負担. 4.倫理的配慮  本研究計画は兵庫医科大学の倫理審査委員会の承認(第. はじめに. 1484 号)と吉備国際大学の倫理審査委員会の承認(13-08)を.  ショートステイは,介護をしている家族がなんらかの理由で. 得た。対象者には本研究の意義・方法・不利益等を文書と口頭. 家を空ける理由があるときや緊急時,介護疲れからのリフレッ. で説明し,文書による同意を得た。. シュをはかりたいときなどに利用され. 1). ,在宅生活継続のため. の重要な役割が期待されている。. 結  果 1.対象者の特徴.  先行研究では,記憶と行動の改善. 2). などポジティブな効果. があるとの報告がある一方で,日常生活動作(Activities of daily living:以下,ADL)などで悪化. 3).  対象者は要介護者とその主介護者各 50 名。要介護者の平均 年齢は 84.0 ± 9.8 歳,介護者の平均年齢は 63.2 ± 9.3 歳であった。. したとの報告や変化. ショートステイ期間中には,特別なケアやアクティビティプロ. ,知見は一致していな. グラムは行っていないが,対象者全員にリハビリテーション機. い。介護者の介護負担に関する先行研究では,介護負担と抑う. 能強化加算を算定し,22 名に個別リハビリテーション実施加. つが低下したとの報告があるが 5),一部の介護者にはネガティ. 算の算定を行った(表 1)。. ‒6). がみられなかったとの報告もあり 4. ブな影響が生じることが知られている. 2). 。また,これら海外で. 2.利用前後の ADL,意欲の変化. の先行研究では,入所期間が概ね 2 週間程度である。国内の介.   利 用 前 と 比 べ 利 用 後 で は,BI( 利 用 前, 利 用 後:44.7 ±. 護保険制度導入後の報告では,ショートステイの 1 回の利用日. 30.0,47.0 ± 30.4)は有意に高い値が認められた。VI(利用. 数は 3 日がもっとも多く,7 日以下の利用者が 8 割以上を占め. 前,利用後:7.3 ± 2.6,7.4 ± 2.5) ,J-ZBI_8(利用前,利用後:. ている. 7). 。ところが,海外での先行研究と比べ入所期間が短い. 10.5 ± 6.9,10.3 ± 6.8)は有意な差は認められなかった(表 2) 。. 国内のショートステイにおいて,利用前後の比較で要介護者の. また,個別リハビリテーション実施加算の算定の有無で BI,. 機能的状態と介護者の介護負担にどのような変化が生じるかに. VI の変化に有意な差は認められなかった。. ついてはほとんど検討されていない。本研究の目的は,国内の. 考  察. ショートステイ利用前後の要介護者の ADL と介護者の介護負.  入所期間が平均 4.2 日であった今回の結果では,ADL につい. 担の変化について検証することである。. て,悪化は認められずむしろ改善の傾向が示された。レスパイ. 方  法. ト期間が比較的短い平均 1 週間で調査された先行研究 4)では,. 1.対象. 多くの入所者に健康と精神機能に変化がなかったが,悪化の割.  対象は兵庫県内の一介護老人保健施設のショートステイを利. 合より改善の割合の方が多い結果となっており,今回の結果を. 用する要介護者とその主介護者とした。除外基準は,①なんら. 支持するものとなっている。介護者の介護負担は利用前後で変. かの理由で緊急利用となった者,②調査期間中に急な体調の変. 化はなかったが,維持や改善した介護者は悪化した介護者よ. 化が生じた者,③施設や病院から入所した者もしくは施設や病. りも多く,先行研究 2)5)の結果と類似した傾向となっていた。. 院へ退所した者,④要介護者の普段の生活の様子を観察できる. ただし,今回の研究は対照群を設定しておらず,今回認められ. 介護者がいない者,⑤介護者から正確な情報を得ることが困難. た変化が,relocation(転居) ,介護職員等の専門家の介入,生. な者とした。登録期間は 2013 年 7 月 1 日∼ 2014 年 6 月 30 日. 活スタイルの変化への適応といった影響の具体性は指摘できな. までの 1 年間とし,その期間に入所を開始した 50 名の要介護. いと考えられる。また,対象者が一介護老人保健施設のショー. 者と主介護者を調査した。. トステイを利用する要介護者であり,特別養護老人ホームの. 2.評価項目と方法. ショートステイなどを利用する者や要支援者の場合にも,今回.  要介護者の調査内容は基本属性,ADL,意欲とした。介護. の知見を用い一般化するには慎重に適応しなければならない。.

(2) ショートステイ利用前後における日常生活動作と介護負担の変化. 187. 表 1 対象者の基本属性 要介護者(n=50) 年齢(歳). 84.0 ± 9.8(61 ∼ 98). 性別(男/女)(人). 23 / 27. MMSE(点). 13.0 ± 7.8(0 ∼ 27). 要介護度(人)  要介護 1. 11.  要介護 2. 6.  要介護 3. 13.  要介護 4. 13.  要介護 5. 7. 主たる疾患(複数回答)(人)  脳血管疾患. 25.  関節疾患. 6.  骨折. 15.  心疾患. 11.  糖尿病. 10.  認知症. 16.  その他. 23. 介護者(n=50) 年齢(歳). 63.2 ± 9.3(39 ∼ 85). 性別(男/女)(人). 4 / 46. ショートステイ利用日数(日). 4.2 ± 2.0(2 ∼ 11). リハビリテーション機能強化加算の算定(人). 50. 個別リハビリテーション実施加算の算定(人). 22. MMSE:Mini-Mental State Examination. 表 2 ショートステイ利用前後の変化 利用前. 利用後. p値. BI. 44.7 ± 30.0. 47.0 ± 30.4. 0.011. VI. 7.3 ± 2.6. 7.4 ± 2.5. 0.337. J-ZBI_8. 10.5 ± 6.9. 10.3 ± 6.8. 0.534. BI:Barthel Index,VI:Vitality Index,J-ZBI_8 :Zarit 介護負担尺度短縮版. 今回,神経心理症状についても調査を行った。今後,神経心理 症状の評価指標の信頼性・妥当性を検証するとともに,それら の変化についても検証していく予定である。 文  献 1)立松麻衣子,齋藤功子,他:在宅介護者の介護負担感と ショートステイ利用効果.日本家政学会誌.2001; 52(7): 617‒626. 2)Burdz MP, Eaton WO, et al.: Effect of respite care on dementia and nondementia patients and their caregivers. Psychol Aging. 1988; 3(1): 38‒42. 3)Hirsch CH, Davies HD, et al.: Effects of a Nursing-home respite admission on veterans with advanced dementia.. Gerontologist. 1993; 33(4): 523‒528. 4)Scharlach A, Frenzel C: An evaluation of institutionbased respite care. Gerontologist. 1986; 26(1): 77‒82. 5)Adler G, Ott L, et al.: Institutional respite care: Benefits and risk for dementia patients and caregivers. Int Psychogeriatr. 1993; 5(1): 67‒77. 6)Watkins M, Redfern SJ: Evaluation of a new night nursing service for elderly people suffering from dementia. J Clin Nurs. 1997; 6: 485‒494. 7)瀧澤雄三,鈴木 誠:老人短期入所施設の利用者の属性と 地域分布状況.小山工業高等専門学校研究紀要.2008; 40: 105‒112..

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参照

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