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ドラム缶集積体の耐震安全性について (昭和52年-第14号)

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(1)

ドラム缶集積体の耐震安全性について

1 . ま え が き

危険物貯蔵施設あるいは石油化学工場などでは,数 多くのドラム缶を取扱っているが,その管理状態を見 ると,個々の施設で,さまざまの集積方法がとられて いるのが現状である。これらの集積されたドラム缶が 地震時において安定を失い,荷崩れを起した場合.高 所からの落下によるドラム缶の破壊,人的被害.避難 の障害,さらに消防活動を遅延させる等のことが予想 される。 そこで,地震時におけるドラム缶集積体の耐震安全 性に関して安全な集積方法を検討するため Proto type, Model type (弘縮尺〉のドラム缶による強制 振動実験を実施したので報告する。

2

.

実 験 項 目 (1) ピラミッド型横積実験 (P,m) (2) ピラミッド型竪積実験 (P) (3) バレットによる横積実験 (P) (4) バレットによる竪積実験(p)

3

.

試験体及び集積方法 実験に使用した鋼製ドラム缶は図 1に示す形状B 寸 法であり,実大ドラム缶(1種, M級〉と Ih縮尺のド ラム缶モテソレを使用した。 ドラム缶の集積段数は,モデノレ実験におレて 5段棋 とした他は全て 3段積とした。また.実験項目 (3),(4) では,図2に示すような,木製横積用ノミレット (A 型),木製竪積用パレッ卜 (B型),鋼製横積用パレッ ト(C型〉を使用した。 ドラム缶の内容液は水を用い,液量をパラメータと したときの振動特性をみるため,満水時(98%充填), %充填時を想定した。 ホ第二研究室 伏 見 英* 川 田

孝*

4

.

測 定 方 法 各々のドラム缶集積体の下段,中段,上段の頂部に 加速度変換器素子を取付け固定する。センサーはブリ ジジボックスを通して電磁オシロ広接続される。 まず,計測は加速度を一定にして,周期をパラメー タにとり,周波数分析を行L、電磁オシロの波形から, 各周期での応答倍率 (a/~) を計算し,固有周期(1 次共振点)を見出す。 次に.この 1次共振周期において,一集積ドラム缶の 径方向 (x方向), 軸方向 (y方向)に強制振動を行 い, ドラム缶集積体の移動,崩壊等の掻動性状を観測 した。なお,実験には,最大荷重2tonの振動台を使 用した。

5

.

実 験 結 果 (1) ピラミッド型横積実験 実大ドラム缶を3段積,横型ドラム缶を3段積およ

θ

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図 1 婁大ドラム・モデルドラム

消防科学研究所報 14号(昭和52年)

(2)

A

B

C

図2 供試パレットの種競 (A,B, Cタイプ〉 写真 1 横積ピラミヴド型 び

5

段桜とした強制

l

振動実験結果からは,まず

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では,比較することができな

L

、 ような挙動の相異があり. この種の実験でもモテソレ実 験が大して意味をもっていないことが判った。 これ は.単体ドラム缶相互の接触状態の相異が原因である と考えられる。モデルドラム缶による実験結果を図 3, 4, 7, 8に,実大ドラム缶による実験結果を図 5, o 1 '0.

Q 3

.

150gal - - o v -一一・2/3V _.ーー・ v 4も 図3 モデル3段積 (X方向〕応答曲線 2

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1~ 0001 ーーー一一一ov -ーー一一-,¥'v -一一 v . . ..-.-一一一, ー ~ 図4 モデル3段積 (y方向〉応答曲線 6に示した。 s HZ s IIZ 実物ドラム缶のX方向の正弦波強制

l

振動実験におい て. 液量~v では1.2Hz, 140gal で集積体が動き出 すが, ドラム缶内の液体の勤倍が全体の系に大きく 影響し,復雑な応答を示す。 1.2Hz, 250gal で集積体 の巌下段が崩製した。 また, 液量

v

(満水〕では, 23Hz, ¥20gal集積体が激動し崩媛の寸前に達した。 したがって, ドラム缶の液量が増加するにしたがって 応答が増大するが,これは重量増加によってドラム缶 が変形するためで, 例えば,空ドラム缶の場合, 2.5 Hz, 150ga¥で上段が動き始めるが,安定な状態を呈 していることで説明がつく。 実物ドラム缶の

Y

方向の振動実検では,液量

l

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v

で O.8Hz, 90ga¥,液量 Vで, 2. 1 Hz, 120galに滑り出し

(3)

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モデル5段積 (Y方向〉応答曲線 s 2 図書

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輔 実 物3段 積 (Y方向〉応答曲線

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現象が見られ,やは争液量

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としたときの液体の動 指が集積体の系に複雑な応答を示している。 Y方向の 強制振動実験をみると,全体的に低加速度で集積体が 滑り出しを起しているが,これは横積されたドラム缶 相互の接触面が加振方向に対して小さいことから,摩 書語カと水平カの関係で

.Y

方向娠動の不安定さが現れ るものと考えられる。 次に,実大ドラム缶集積体を5段積としたときの強 制緩動実験は,娠動台の最大積載荷量と振動床台の大 きさの制限から実験を中止した。そこで. 5段積モデ ノレドラム缶集積体の強制振動実験によって,集積体の 腕唆過程の検索を試みた。 ドラム缶集積体の燐綾時の 必要条件は. 1.8Hz, 300galであっt.::.o (X方向〉こ 関自 ! v 側 炉 h v AU

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HZ モデル5段 積 (X方向〉応答曲線

7

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写 真 2 竪積ピラミマド型 , ..・ I~O Qol 一一一一Ov ーーーー -21]'ソ ーーー v 省

、.

,"-.jo...,,' ー一一』ーーーーー' 実物3段積応答曲線〈竪型ピラミッド〉 s HZ の崩壊過程を見ると.実物ドラム缶集積体とは相異し て,集積体中段側面からの飛び出しによって,全体が 崩耳目した。同様に,液量を満水 (v) とした Y方向の 実験では,

2

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2

Hz.

2

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a

1

で,上段のドラム缶モデル が滑り出しを生じ,

2

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g

a

1

カソレて'振動台に落下した。 この実験から,最下段のドラム缶に歯止めをして固 定しても,完全とはし、えないわけで,この場合,モデ ル実験結果からの推定であるが,集積段数が高くなれ ば,上,中段の位置からのドラム缶の飛び出しによる ドラム缶集積体の崩駿を考慮する必要がある。したが って,図9に示すような,股下段のドラム缶に固定さ せる歯止め,あるL、は杭の適切な高さの選定ばかりで なく,集積体の系の安定に対しても対策を講じておく 必要がある。 (2) ピラ ミァド型竪積実験 実物ドラム缶を写真2のように竪積し, 娠動実験を行った。 正弦波強制j

X

方向の娠動実験においては.液量

%v

で,

1

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4Hz

1

4

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g

a

1

でドラム缶が歩き出し, また, 液量Vでは,

2

.

4Hz

2

8

0

g

a

1

で歩き出す結果を得た。ここでもドラ ム缶内の液体の動揺が集積体の系に復維に作用し系 が不安定な応答を示している。ますこ,空ドラム缶の接 触状態がなめらかでなく,ガタを生じるため,この集 積方法では不安定となり,

2

.

8Hz

1

4

0

g

a

1

で歩き出し 現象を生じた。 そこで,最も不安定な液量

%v

について,集積体の 各段に木板を入れて実験を行ったところ.歩き出し加 速度として

2

2

0

g

a

1

ガルを得たことにより, 各段を仕 切ることによっても安定性を増すことができることが 確認された。 (3) パレヅ卜による横積実験 運搬作業の効率の点から,施設内では,各種のパレ ットを使用した集積方法が多く見られるが.このパレ ットによる集積方法は,外観上,安定がよいように見 え, したがって,耐震性においても問題がないと黙過 され易いことから 2機種のパレットについて倹積実 験を行なった。 ア)

A

型タイプ A型タイプのパレットは木製であるが肉J1体に近く 単板の両端上下に歯止め(つめ〉を取付けて. ドラ ム缶3本を集積して使用するパレットである。この 実験においては 3段 積 と し て 振 動 実 験 を 行 な っ

T

こ。 まず液量満水

(v)

のX方向加娠実験におレては,

1

.

6Hz

2

5

0

g

a

1

で安定した状態を示している。 次にY方向加振実験においては,横積ピラミッド 型と同じく,

X

方向加振実験に比較して安定性がよ くないが,

2

.

5Hz

1

6

0

g

a

1

から集積体の系が箔れ始 めて

2

5

0

g

a

1

で最上段のドラム缶が滑り出しを始め る 。 し か し 横 桜 ピ ラ ミ ッ ド 型 よ り も 安 定 性 が よ く,数値的にも高いことから,

A

型タイプの耐震安 全性は,横積ピラミッド型よりも優れているといえ る。 イ)B型タイプ

(5)

a '0. 写 真 3 A型パレマト3段積

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H2. 図11 A型パレγ ト3段積 (X方向〕応答曲緩 B型タイプのパレットは鋼製であり, A型タイプ と同僚にドラム缶3本を横に集積して使用するパレ ットである。このパレットの特徴は, ドラム缶の湾 曲にほぼ一致するようにパレットを工夫して製作し てあるもので,パレットの上下が湾曲(図2参照〕 していることから, ドラム缶の固定方法としては堅 固である。

X

方向加援実験においては, 1.2~L

7Hz

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l

で大動揺し,

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で崩捜する。 ( 18 ) 。 '0.

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型パレγ ト 0.-100

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~.(/^ノし~-HZ 図12 A型パレット 3段積 (Y方向〕応答幽線

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方向加猿実験においては,

1

.

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2Hz

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l

で 大悟れして,それ以上の加速度では最上段のドラム缶 が落下する。 この実験結果から.厳も耐震性があるもりと予想し たB型パレットがよ〈ないとL、う結果を得た。この原 因は,まず,パレットの湾曲部がドラム缶の径に比較 して浅L‘ことが考えられる{也, ドラム缶の変形,ガタ による遊びがあげられる。また, ドラム缶同士が接触 していないため, ドラム缶相互の動きを打消すことが ないことも考えられる。この他,パレットが鋼製であ

(6)

~ o 図13

.

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2 4 s HZ 図14 B型パレγ ト3段積 (y方向〉応答幽緩 ることから, ドラム缶とパレットの摩傍が小さく,滑 り易いことがあげられる。したがって.パレットを鋼 叡とする場合,何んらかの方策によって堅固に固定し なければならなL

(4) パレットによる竪積実験 竪容

1

実験に用いた

C

型パレットは,木製すのこ状パ レットて弾力性が小さく.ほぼ剛体Bこ近L、。1枚のパ レγトにドラム缶4本を縦に積載することができる。 この実験でも3段積として強制振動実験を行った。 共娠娠動数 1.9Hz, 220gal で試験体は安定してお り,滑り出し,歩き出しは認められなかった。重心が 比較的高いにもかかわらず安定した性状を示すのは, ドラム缶の縦方向荷重に対する変形が少ないためであ ると考えられる。したがって.このC型パレットは少 1t.l 、面積に多くのドラム缶を集積する方法として有効

.

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図15 写真 5 C型パレ'1卜 t t

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. 、

H~ C型パレット3段積 (X方向〉応答幽線 であると考えられるが,やはりドラム缶同士のガタが ある場合には不安定になる。

6

.

考 察 ドラム缶集積体の耐炭安全性に関して,正佼波によ る強制阪動実験を試みたが,本実験体系は全て3段核 集積体 (modeltypeは, 一都分. 5段積集君主体系に よる実験を試みた。〉であることから, 一般的な安定 条件は一意的に判定できなレと同時に,集積体系種別 による安定性の比絞は, ドラム缶集積体系の固有振動 数がほとんど 致しないことから,単に応答加速度の

(7)

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型パレγ ト振動モード 図19 7 6 A型パレ・γト改良型 図

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5 C型パレット振動モード I 2

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図20 ( 20 ) 横積ピラミヴド型掻動モード gal数値の大小からは判定きれないわけで,本実験に おいて実施した個々の集積方法について述べる。 まず, ドラム缶最下段の両端に歯止めを設けたピラ ミッド型横積については,集積体系の方向性に問題が あり,軸方向加仮に対して不安定であるが,径方向加 振に対して水平震度(a/g,a:地動水平加速度, g:重 力加速度, 9. 8m/sec2) O. 2の耐展性があり,この集積 方法は最も経済的であるが.常に,歯止めの高さを適 切に処置しておく必要がある。 ピラミッド型竪積に関しては. 般の ~ß'l集積体と 同じように. ドラム缶の落下防止という点から注意‘を する必要があり.常識的には.空ドラム缶を竪積にし ておく施設はないと考えるが,この実験において, 3 段目上部ドラム街(98%充填)は,固有娠動数2.4Hz, 280galで歩き出し現象を呈するが, 300galの加速度 を入力として与えても, ドラム缶の落下は認められな かった。したがって,この集積体系の耐震性をどのよ 図

1

7

(8)

るが,間一周期の騒動継続 、ては, になることから,表面の甑L 曹があろう。また,こ ドラム缶が落下した場合の状現を見るため,

J

I

z

-0202-1976に定める試験方法の藷下高さの2倍 (2.4 の高度から対角落下を試みたところ, ドラム缶の 変形が罷められたが,亀裂による漏水は生じなかった ことから, ドラ tt.ければ, ドラム缶は醸壊しないといえる。この盟積 ドラム缶の捗き出し滑動防止めためには,上段ドラ ム缶相互をロープ等で閤定することにより, 増すことができる。 次K:..パレット広よる横讃では,

A

B

typeのパレ ットを龍用したが,この種のパレットは9 題があり, A typeは,国16のようt::,1枚のパレッ トに 6本むドラム告を襲載すれば,軸方向の安定性が ものと考える。また, B typeのパレットは, ドラム缶を受けるパレットの晋曲部を漂くしてドラム 告の罷に合致するように改昆する必要がある。 パレットによる襲誼では, C typeパレットを使用 したが,この集積体系の強制掻動実験においては,関 9Hz, 220galでもドラム缶め事き出

L

.

滑 り出しは認められ

7

よかった。この耳もは非鷺に安定した 性状を示していることから,水平麗監0.3以上の酎麗 しているものと考える。 近年,多量の

1

主験物を有効に貯識し ドラ 摘をかけないで積載するラック方式のものが自主用され ており, このラック方式の集理体系の耐盤実験は実施 していないが, この方式において問題となるのは, ド ラム缶の歯止めの方法9 飛び出し肪止方策ならびに基 礎の固定方策等であるが,やはり, 必要が為るものと考える。

7

.

今期の実験は, よる強制藷言動によ って耐震性を検討したものであるが,やはり,上下動 撮動に対して考!覆すべきである。実醸の地震言動に対し てドラム缶集積体がどのような応答をするかは誼雑で あり,地震動と正弦控鑑動の相関も問題があるとされ ており,また最も単純な単体の転開振動に関しても, 多量のパラメータを無規できなレから理論的にも難解 である。 レずれにしても,今回の実験は,静的援E霊法による 耐震強度の験討の域を出ていないが, おおよその騒動性状を招援することはできたわけであ り,多量のドラム缶を取扱う施設においては,地震時 して期到な配~がなされなければなら 悲し、Q 終りにも貯議容器のi前説性に関連して, 広汎に普及してし、る引火性液体容器,あるいは作業場 る必要があるがs こ れについては,まず,正確な実状を認識することが先 決であり,将来の親探課題としたい。 終 り

参照

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