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(1)

ドライビングシミュレータによる幹線小交差点

での見通しと自転車走行位置の安全性評価

王 茹剛

1

・山中 英生

2

・三谷 哲雄

3 1学生会員 徳島大学大学院 先端技術科学教育部(〒770-0814 徳島市南常三島2-1) E-mail: [email protected] 2正会員 徳島大学教授 ソシオテクノサイエンス研究部(〒770-0814 徳島市南常三島2-1) E-mail: [email protected] 3正会員 流通科学大学教授 総合政策学部(〒651-2188 神戸市西区学園西町3-1) E-mail: [email protected] 自転車関連の交通事故の割合は増加しており,自転車と自動車の出合い頭事故は自転車関連事故の5割 を占めている.特に,幹線道路小交差点における出会い頭事故では,自歩道で車道の車両とは逆方向に走 行している自転車の危険性が指摘されている.本研究では,ドライビングシミュレータを用いた仮想実験 を用いて,見通しが異なる幹線道路小交差点を対象に,細街路から幹線道路に合流する自動車と幹線道路 を通行する自転車の出会い頭状況を再現し,自転車の走行方向・草稿位置が異なる場合のドライバー挙動 を計測した.ドライバーの注視挙動,及びTTC等の安全性指標を分析した結果,自動車は左側見通しが悪 くなると注視しなくなり,歩道寄りを走行する自転車,逆走する自転車は,他の位置・方向の自転車より も危険性が高くなることが明らかになった.

Key Words : bicycle accidents,small junction,behavior of driver, driving simulator 1. はじめに 近年,自転車は環境に優しい交通機関としても,健康 促進の観点からも,利用促進への関心が高まっている. 一方で,交通事故の総件数が減尐している中で,自転車 関連の事故件数の減尐は大きくなく,全事故件数に占め る割合は増加している.多くの自治体で,自転車の安全 性の向上は焦眉の課題となっている. 日本の自転車関連事故は,自動車との出会い頭事故が 多数を占めている点が特徴とされており交通事故分析セ ンターの報告1)によると,自転車事故の5割が出会い頭事 故で占めるとしている.この出会い頭事故のうち,信号 のない幹線道路小交差点での自転車事故が注目され,車 道の車両と逆方向に走行する自転車の危険性が指摘され ている.つまり,自転車の自歩道での双方向通行を認め ていることに起因した事故形態といえる. 一方,2012年11月に,「安全で快適な自転車利用環境 創出ガイドライン」が国土交通省,警察庁によって発出 され,自転車ネットワークの計画的整備を進める方針の もとで,整備形態の選定方法が示されている.この選定 方法は自動車速度に応じた形態を示しているが,都市内 の多くを占める自動車速度が50km/h以下の道路では,自 転車レーンや自転車の走行指導帯とする方針が示されて いる.双方向型が主体となっている自転車道や自歩道で はなく,車道部を車両と同一方向に自転車を走行させる 自転車レーンや指導帯を基本とすることで,事故件数の 低減へにもつながることが期待されていると言える. 本研究では,以上の背景を踏まえて,幹線道路の小交 差点における細街路から幹線道路に合流する自動車と幹 線道路を通行する自転車の出会い頭状況に着目し,多様 な交差点の見通しとの関連において,自転車の走行位置 と方向に関する安全性をドライバーの挙動から明らかに することを目的としている.このため,ドライビングシ ミュレータを用いた仮想実験を用いて,見通しの異なる 交差点で,自転車の走行方向(順走,逆走)・走行位置 (歩道の民地寄り,自転車レーン)を変化させた場合の ドライバーの挙動を計測し,それを安全性の視点から比 較評価する.

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2.幹線小交差点での自転車事故特性の既存研究 幹線道路小交差点において,車道上の車両と逆方向に 走行する自転車の危険性について,近年,多くの研究が 見られる.例えば,金子ら2)は,東京都内の幹線道路の 15.2km区間の小交差点で2002年から2005年に発生した幹 線道路走行自転車と細街路自動車との出会い頭事故を自 転車の走行位置別に,自転車100万台当たりの事故発生 率を比較し,左方向)から走行(右側通行)する自転車 の事故率が高いことを示している(図-1). 小金ら3)も,福山市内の中心部を対象に,出会い頭事 故の事故率を算出し,逆走する自転車の事故率が順走に 比べて高い傾向を示すことを明らかにしている.萩田ら4) は,平成19~22年の千葉県東葛地区の自転車が第二当事 者の交差点事故を分析した結果,無信号交差点では自転 車に近い側の道路から進入する自動車との事故が多く, 左側手前から進入してくる場合(自転車が右側通行して いる)場合の事故が多く発生しているとしている.鈴木 ら5)は東京都大田区で歩道を有する道路で発生した自転 車関連事故の分析から,歩道通行する自転車の対自動車 事故では自動車の通行方向によっては視認範囲内を通行 する自転車も事故に遭う恐れが見られ,自動車から歩道 通行する自転車への見通しの悪さが一因と考えられると している.また,伊藤ら6)は細街路から自動車及び二輪 車が交差点に流入する場合の交差点の出会い頭事故につ いて,自転車が走行する車道の幅員が広くなるほど,自 転車が自動車の左側から走行してきた事故の割合が大き くなることを示している.さらに,草野ら7)は幹線道 路・細街路交差点でのヒヤリハットの内容を分析し,高 校生,高齢者とも,自動車に対して左から自転車が走行 した場合が,右側より走行した場合より多く指摘されて いるとしている. 自動車の挙動について,清田ら8)は自動車が細街路か ら路側帯のある道路に進入する際のドライバーの安全確 認に対する左右の見通しの影響を分析し,自転車の安全 確認挙動は,左右見通しを組み合わせた全てケースで左 側の安全確認が低くことを示し,右からくる自動車に気 をとられているためとしている. 図-1 自転車の走行位置別の事故発生確率2) また,Summlaら9)はフィンランドヘルシンキにおいて 視界が遮られた二つの交差点でドライバーの安全確認挙 動の分析を行い.右折(日本の左折)を行うドライバー は左を見続け,各交差点で右方向を見るドライバーの率 は3%~7%しかないことを示して,ドライバーは車が接 近してくる左方向の確認をするためと考察している.王 ら10)は兵庫県加古川市の幹線道路小交差点157箇所での 14年間の事故で,左右の見通しと事故の関係を分析した 結果,左側の見通しが右側の見通しより悪い交差点では 左側からの自転車との出会い頭の事故率が高いこと,ま た,9か所の交差点で自動車挙動の分析結果から,左側 の見通しが右側の見通しより良い交差点では自動車ドラ イバーが手前で安全確認を終える傾向を指摘している. 以上のように,交差点における自転車事故の要因とし て,自転車の走行方向や位置,交差点の見通し状況の影 響が指摘されている.しかし,こうした要因の関係につ いては必ずしも明らかになっていない.そこで,本研究 では見通しなどの環境要因,自転車の走行方向,位置と いった交通要因を自由に組み合わせて,しかも同一条件 での出会い頭状況を再現できるドライビングシミュレー タ(DS)を用いて,これらの関係を明らかにすること を目的としている. 3.ドライビングシミュレータによる実験方法 (1) 実験対象交差点の概要 ドライビングシミュレータの実験は,図-2に示す幹線 道路小交差点を対象とした.これは福山市駅前通りのあ る交差点をモデルとしたものである.細街路の幅員は 7m,幹線道路は3車線の車道,2m幅の自転車レーン, 4m幅の歩道からなる. また細街路から見通しとして,1)左右両方とも悪い, 2)左右両方とも良い,3)左が悪く右が良い,4)左が 図-2 実験対象の交差点と出会い頭状況

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図-3 DS実験風景とシミュレータ画像例 良く右が悪い場合の4種類の交差点モデルを作成した. なお,見通しが良い場合,隅切り長が3m,見通しが悪 い場合は隅切り長0mとしている. (2) 実験に用いたDS 自転車シミュレータはFORUM8社製の「UC-win Road Ver.7」のドライビングミュレータ機能を用いて,自動 車のハンドル操作,アクセル,ブレーキ作動をゲームコ ントローラー入力することで,高さ2400mm幅1200mmの パネルを5面組み合わせた画角170度のスクリーンに移動 時の風景が映写されるものである.自動車運転をコント ロールするハンドリングにはLogicool社制の「Driving Force GT」を使用した.自転車が現れる場合は,自動車 が一定の位置に達した時に交差道路の自転車が発生する シナリオを設定した.また,自転車および自動車の走行 情報として,刻々の座標,速度,ブレーキの有無を記録 した.また,自動車走行する被験者には,目の注視挙動 を記録できるアイマークレコーダーEMR-9を装着させた. 図-3 に DSの実験風景とドライバー視点からの再現画 像の例を示す. (3) 出会い頭状況の実験方法 実験では,ドライバーに細街路から交差点に進入し, 幹線道路の車両と左折合流させる.進入する車両の速度 は制限していない.進入すると幹線道路側を走行する自 転車が現れる.車が交差点に進入する際に,減速または 表-1 実験パターン 自転車位置 自転車方向 見通し状況 出現台数 1 歩道 逆走 左×右× 1 2 歩道 順走 左×右× 1 3 レーン 逆走 左×右× 1 4 レーン 順走 左×右× 1 5 歩道 逆走 左○右○ 1 6 歩道 順走 左○右○ 1 7 レーン 逆走 左○右○ 1 8 レーン 順走 左○右○ 1 9 歩道 逆走 左×右○ 1 10 歩道 順走 左×右○ 1 11 レーン 逆走 左×右○ 1 12 レーン 順走 左×右○ 1 13 歩道 逆走 左○右× 1 14 歩道 順走 左○右× 1 15 レーン 逆走 左○右× 1 16 レーン 順走 左○右× 1 一台目歩道 一台目順走 二台目歩道 二台目逆走 一台目レーン 一台目順走 二台目歩道 二台目逆走 一台目歩道 一台目順走 二台目歩道 二台目逆走 一台目レーン 一台目順走 二台目歩道 二台目逆走 2 17 左×右× 2 18 左×右× 2 19 左×右○ 2 20 左×右○ 一時停止をしないと自転車と衝突するタイミングで自転 車が発生する.また,2台の自転車が出現するケースで は,車両が減速また一時停止をしないと2 台目の自転車 と衝突するタイミングとしている.このときの自転車の 速度は15km/h[1]とし,減速及び進路変更はないとした. (4) 実験パターン 設定した実験パターンを表-1に示す.自転車の走行方 向は,車両と同一方向の順走,逆方向の逆走の2種類, 自転車の走行位置は歩道上(民地寄り)と車道部(自転 車レーン)の2種類とし,交差点見通しの4ケースとの組 み合わせ16ケースを設定している.さらに幹線道路側を 走行する自転車が2台の場合を追加している.2台の場合 は,交差点見通しとして危険とされる,左右両方とも悪 い,左が悪く右が良いの2ケースとして,さらには危険 な2台目の自転車が歩道を逆走する場合として,1台目は 自転車レーンを順走する自転車,歩道を順走する自転車 の2ケースを対象としている.これら合計20パターンの ケースで実験を行っている.実験順序は被験者ごとにラ ンダム化して実施している. (5) 実験対象と実験の流れ 実験は表-2に示すように免許を持つ若年層5人,高齢 者6人,計11人で行った. ただし,高齢者のうち4人はドライビングシミュレー ターによる乗り物酔いを発生したため途中で実験を中止 した.この4名は,約半数のケースのみのデータになっ

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表-2 被験者の属性 性別 年齢 職業 視力状況 近視など 1 女性 20 代 大学生 コンタクト あり 2 男性 20 代 大学生 コンタクト あり 3 男性 20 代 大学生 コンタクト あり 4 男性 20 代 大学生 良好 なし 5 男性 20 代 大学生 良好 なし 6 男性 60 代 無職 良好 なし 7 男性 60 代 無職 眼鏡 あり 8 男性 60 代 無職 良好 なし 9 女性 60 代 無職 良好 なし 10 女性 60 代 無職 良好 なし 11 女性 70 代 無職 眼鏡 あり ている.さらに,高齢者の一人が眼鏡かけないと画面を 視認できなかったため,アイマークレコーダーの装着が できなかった. 実験では,まず,実験の目的を被験者に知らせずに, 簡単な機材の説明し,ハンドルとペダルの位置調整及び アイマークの装着を行った.そして,ハンドル及びペダ ルの加減速の反応性に慣れるため,被験者が納得するま で,直進及び左折を体験させた.体験終了後,2回の予 備実験を行った.これは,左右見通しが良い交差点でレ ーンに順走あるいは逆走する自転車が発生した2パター ンを用いており,この結果は分析から除外している.そ の後,本番の20パターンをランダムに被験者に走行させ, 最後に,意識調査を行った.全過程で実験時間は約60分 であった.すなわち,本実験では,被験者は交差点での 状況について,経験を積んだ状態での計測結果であると 見なしている. 4.ドライバー挙動の分析方法 (1) 視線および走行挙動 アイマークレコーダーから1/30秒ごとの視線方向の記 録が取得できる.アイマークデータの分析ソフトEMR-dFactoryを使い,図-4に示すように,被験者の注視物と して左,中央,右,自転車一台目,自転車二台目,回転 灯の6つの項目を定義し,1/30秒毎の視線方向の注視物 を入力した.また,DSのログ機能を用いて,自動車の 位置座標,速度,走行距離,ブレーキの有無,幹線道路 から出てくる自転車の座標,速度を取得した. (2) 評価項目 以上の走行データとアイマークデータをもとに,本研 図-4 アイマーク分析時の項目 表-3 評価に用いた指標 図-5 TTCの算定に用いた衝突判定エリアの設定 究では表-3に示す,最初確認方向,自転車確認前の左右 の確認回数と時間,最初左右確認位置,自転車確認可能 時の位置と距離,自転車確認可能時の速度およびTTCを 評価項目として算出した.各評価項目のグループ平均値 を比較するが,指標の有意差について,見通しパターン 評価項目 内容 最初確認方向 ドライバーの最初の確認方向 左右確認回数 確認開始から自転車確認可能までの左右確認回数 左右確認時間 確認開始から自転車確認可能までの左右確認時間 最初左右確認 位置 ドライバーの最初の左右確認時の交差点端までの 距離 自転車確認可 能時の位置 自動車運転者の視野に入った自転車を運転者が確 認し始めた瞬間の自動車の交差点端までの距離 自転車確認可 能時の距離 自動車運転者の視野に入った自転車を運転者が確 認し始めた瞬間の自動車と自転車の距離 自転車確認時 の速度 自転車確認時車の速度 TTC 衝突余裕時間(減速無時の衝突までの予測時間) 欠損のないアイマークデータ 欠損のない走行データ ※上から下の注視項目: ・左 ・右 ・中央 ・bicycle ・bicycle2 ・回転灯

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による差は一元配置分散分析による検定,走行位置,走 行方向の指標値の2群の平均値の差についてはT検定を用 いている. TTC (Time to collision)指標は,自動車と自転車の各時点 での位置,走行方向ベクトル,速度から,速度・走行方 向を維持した時の衝突までの時間を計測したもので,本 研究では自動車と自転車の衝突を図-5に示すように自動 車の周り0.5mの空間[2]に自転車が入ることで判定してい る.各ケースで各時刻のTTCを求め,その最小値をケー スのTTC指標としている.TTCの比較では,衝突を起こ さないケースを除外し,TTCが算定できたケースの平均 値を用いて比較し,グループ間の差にT検定を用いた. 5.ドライバー挙動からみた比較分析 (1) 最初確認方向 図-6はドライバーが最初に確認する方向(最初確認方 向)の比較結果を示している. 左右の見通しが悪い場合と左の見通し悪く右の見通し が良い場合には,最初に右側を確認する割合が8割強占 めている.一方,左右の見通しが良い場合と,左の見通 しが良く右の見通しが悪い場合には,最初左側を確認す る割合が右側より高い傾向が見られる.検定の結果でも 5%の有意確率で有意差が見られた.ドライバーは左が 見やすいと左から確認するという特性が見られる. (2) 左右確認回数と時間 図-7,図-8は,ドライバーが自転車を確認するまでの 左右方向の確認回数と注視時間を示している.全体とし て,左の見通しが良い交差点より,左の見通しが悪い交 差点の方が左右注視の回数が少なく,時間も短い.また, 左の見通しが良い交差点より,左の見通しが悪い交差点 の方の左注視割合が低い.さらに,若年者より,高齢者 の方が左右の注視回数が少なく,時間も少ない,左方向 図-6 見通しと最初確認方向の関係 注視の割合も低いということが分かった. 検定結果では,自転車確認可能前の左注視回数と時間 では見通しの違いによる有意差が見られたが,右注視の 回数と時間については5%の有意確率では見通しの違い による有意差は見られなかった.交差点の見通しの違い は,車両とは逆の左側への注視には影響を与えるが,右 側への注視に影響を与えていないことが推察される. (3) 最初左右確認位置 図-9に最初の確認位置の比較結果を示す.全体的に見 ると,最初の確認位置が交差点に一番近くなるのは,左 右の見通しが悪いパターンで,次に左側が悪く右側が良 図-7 左右確認回数の比較 図-8 左右確認時間の比較 図-9 最初左右確認位置の比較 有意確率 左回数:0.01 右回数:0.96 有意確率 左時間:0.01 右時間:0.92 全体有意確率:0.00

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図-10 見通しと自転車確認可能時の位置と速度 図-11 自転車確認可能時の位置と速度の比較 い場合である.ドライバーが見えないところを先に見よ うとしないという傾向が原因だと考えられる.見通しに よる差は5%の有意確率で有意差が見られた. (4) 自転車確認可能時の位置と速度 図-10に自転車が確認可能になった時の車両位置と速 度の比較結果を示す.全体的に見ると,左右の見通しが 悪い交差点で,交差点に一番近く,その時の速度も一番 速く,危険性が高くなっている.一方,左右の見通しが 良好の交差点では,確認可能位置が交差点から離れてい て,速度も一番遅い.左の見通しが悪く右良い交差点で は,確認可能時の位置が一番離れているが,速度が速く なっている.検定によると自転車確認可能時の位置と速 度両方が10%の有意確率で見通しによる有意差が見られ た. 図-11の自転車の走行位置・方向のパターン別で見る と,見通しが左側悪く右側良い交差点と左側良く右側悪 い交差点で,自転車の順走と逆走によって,自転車確認 可能位置が大きく変化している. 自転車の走行方向による差の検定結果で,順走と逆走 で有意差が見られ,見通しが良い方向から来る自転車を 確認する可能な時の位置が,順走では逆走より交差点か ら離れている.速度については,左右の見通しが良く自 転車が歩道のケース(見通しが良すぎて,自転車待ちの 現象が見られた)を除いて,他の全てのケースでは,走 行位置による有意差が見られない.自転車確認時の速度 図-12 見通しと自転車確認可能時自転車距離・速度 図-13 自転車確認可能時自転車距離・速度の比較 は,見通しの違いに影響されるが,自転車の位置と走行 方向の影響は少ないと見られる. (5) 確認可能時の自転車との距離 図-12に自転車確認可能時の自転車との距離と速度の 関係を示す.図-13に示すように,自転車の走行位置. 方向のパターン別自転車確認可能時の自転車との距離と 速度の関係を示す. 全体的には,自転車が歩道を走行する場合より,レー ンを走行する場合の方が,ドライバーは自転車と距離を 取れており,逆走より順走の自転車とも距離を取れてい る.また,左右とも見通しが悪い場合には,自転車確認 可能時の自転車との距離が近く,速度も速くなっており, 危険性が高くなっている.見通しの差については5%の 有意確率で有意差が見られる. 見通しが左悪右良の交差点に関しては,自転車確認可 能時のドライバーと自転車の距離が一番遠くなっている が,速度が速いことが指摘できる.自転車の走行方向・ 位置による差が大きくなっている.また,見通し良いと ころから来る自転車より,見通し悪いところから来る自 転車との距離が近い,速度も速いことがわかる. 順走と逆走の自転車の方向による有意差が見られ(5% 有意確率),逆走の自転車との距離が近くなる傾向が見 られる.さらに自転車逆走の場合,歩道とレーン走行の 有意差も見られ(5%有意確率)レーンに走行する自転

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車との距離が遠くなる傾向が見られる. さらに,左右両方見通しが悪い場合,逆走自転車の歩 道走行とレーン走行間の有意差が見られた(5%有意確 率).両交差点タイプで,確認時自転車との距離につい て歩道逆走の場合が一番近く,歩道と逆走の危険性を示 唆している. (6) TTC 図-14に見通し別のTTC平均値を示す.左右の見通しが 悪い交差点でのTTC値が一番小さく危険側になっている. ただし,見通しによる有意差は見られない. 図-15に自転車の走行位置と方向のパターン別TTCを 示す.左の見通しが悪い交差点で,歩道逆走の自転車に 対するTTC値が同じ交差点タイプ内で一番小さい,自転 車の歩道で逆走する危険性を示唆している. 自転車走行方向と位置による差の検定では,左の見通 しが悪い交差点で,歩道で逆走する自転車とのTTC値よ り,レーン走行自転車とのTTC値が大きく有意差が見ら れる.さらに,見通しが左悪く右良い交差点で,歩道を 順走する自転車が歩道を逆走する自転車よりTTC値が大 きく有意差も見られた. (7) 自転車が2台の時の危険性について 図-16,図-17に自転車確認可能時位置,速度および自 転車との距離を示す.見通しの違う2つのケースとも, 図-14 見通し別のTTC値の平均 図-15 TTCの比較 一台目より2台目の確認可能時位置が交差点近くになり, 自転車との距離も近くなっている.1台目の自転車が過 ぎた後に,ドライバーは加速する傾向が見られ,この挙 動が危険性を高める可能性があると考えられる. 検定結果で見ると,見通しが左右悪い交差点ではドラ イバーが自転車1台目を確認時と2台目確認時の速度に有 意差が見られ,加速傾向が確認できる. さらに,左見通しが悪く右良い交差点のケースでは, 若年者がやや減速傾向が生じていたが,高齢者では明ら かな加速傾向が見られた. 図-16 左右とも見通し悪い交差点での自転車確認可能時の 位置・速度・距離 図-17 左悪く右良い交差点での自転車確認可能時の位置・ 速度・距離 図-18 左右見通し悪い交差点でのTTC (秒) 有意確率:0.79 (秒)

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図-19 左悪く右良い交差点でのTTC TTCについては,図-18,図-19に示すように,全ケー スで2台目の値が1台目の値の1/2になっており,検定で も多くのケースで有意差が見られた.歩道逆走の二台目 の自転車は危険性が明らかであると言える. 6. まとめ 本実験は自転車の走行位置,方向を組み合わせ,ドラ イビングシミュレータを用い,細街路から幹線道路に合 流する自動車側の挙動を観察した. 実験の結果,まず,ドライバーは交差点に接近すると, 最初に見えやすい方向を確認するという傾向がある.ま た,左右の見通しの違いがドライバーの左側の注視の回 数,注視の持続時間及び割合に影響を与えており,特に, 左の見通しが悪くなったら,幹線道路に合流するため, 左側を見ようとしない傾向が生じていた.しかし,右側 への注視は見通しにかかわらず,ほぼ同じ回数と注視時 間を維持していた.高齢者は左側の注視回数,時間,割 合がすべて若年者に下回っていた.ドライバーの運転挙 動に関しては,左の見通しが悪くなると,最初左右確認 しようとする位置が交差点に近くなる.左の見通しが悪 くなると自転車確認可能時の速度も速くなる. 見通しが悪くなると,ドライバーは幹線道路合流時に 左側を見ようとしない傾向があるため,左側見通しが悪 く,さらに歩道で逆走自転車が出てくる時に小さなTTC 値が見られた.特に,順走の自転車が先に現れて,後に 歩道を逆走で自転車が出現した場合が危険であった. なお,DSについては現実と距離感や速度感が異なる ことが報告されている11).距離感について比較分析した 研究では,DSでは現実より距離感が小さく,遠くにあ る物が近くに感じる傾向がみられ,また速度も低速に感 じやすいとされている.このことから,出会い頭状況で も自動車の速度が高くなりがちで,しかも対象の自転車 が遠くに見える時点から行動を起こす傾向が生じると考 えられる.ただし,TTC指標については速度と距離が相 殺するため,偏った傾向は生じない可能性がある.本研 究ではこうしたDSの特性についての考慮は十分できて いないことから,あくまでDS実験ケース間の相対比較か らの考察とそのまとめであることに留意すべきと言える. 今後は実環境での模擬実験との比較を行う必要がある と考えている.また,カラー化や警告装置などの安全施 策の効果についても検討を進めたいと考えている. 補注 [1] 一般に自転車速度は運転者や走行空間によって異な るが,ここでは代表値として自転車道等の設計基準 (道路協会,昭和49年)で示された設計速度15km/hを 用いた. [2]「0.5m以内の空間」を付加したのは,ニアミスで衝突 しない場合にTTC値が算定できないケースを少なく するため,ニアミス状態を含めて衝突状態として考 慮するためである. 参考文献 1) 藤田健二:四輪車と自転車の無信号交差点・出会い 頭事故の人的要因分析,交通事故総合分析センター 第15 回交通事故調査・分析研究発表会,2012. 2) 金子正洋,松本幸司,蓑島治:自転車事故発生状況 の分析,土木技術資料,Vol.51, No.4, pp.10-13, 2009 3) 小金知史,小川雅博,荒木勲,高橋治,本田肇,金 子正洋:市街地における自転車関連事故分析,土木 計画学研究・講演集,No.41, 2010. 4) 萩田賢司,森健二,横関俊也,矢野伸裕,牧下寛:通 行方向に着目した自転車事故の分析,土木学会論文集 D3 (土木計画学),Vol.69, No.5, pp.I-781~I-788, 2013. 5) 鈴木美緒,岡田紫恵奈,屋井鉄雄:都市部の歩道を有

する道路における自転車事故分析,土木学会論文集 D3 (土木計画学),Vol.69, No.5, pp.I-715~I-724, 2013. 6) 伊藤克広,本田薫,大脇鉄也,木村泰:交差点で発 生する自転車関連交通事故の分析,土木計画学研究 発表会・講演集,No.43, 2011. 7) 草野優太,亀谷友紀,山中英生:高齢者・高校生の 自転車による交差点ヒヤリハットの比較分析,土木 学会論文集,Vol.67, No.5, pp.1251-1257, 2011. 8) 清田勝,斎藤健治,渡辺義則:右側通行する自転車 利用者の危険度評価,土木計画学研究・講演集, No.25, 2002.

9) Summala, H., Pasanen, E., Räsänen, M. and Sievänen J. : Bicycle accidents and drivers visual search at left and right turns, Accident Analysis & Prevenesion, Vol. 28, No. 2, pp. 147-153, 1996. 10) 王茹剛,山中英生,三谷哲雄:幹線道路小交差点にお ける見通しと自転車事故,車両挙動の分析,第 32 回 交通工学研究発表会,CD-ROM, 2012. 11) 五島洋一,栗谷川幸代,景山一郎:ドライビングシミ ュレータの走行感覚向上について,振動と運動の制 御シンポジウム講演論文集,No.8, pp.503-506, 2003. (2014. 2. 28 受付)

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EVALUATION ON THE SAFETY OF SMALL JUNCTIONS ALONG THE

ARTERIAL STREETS FROM THE VISIBILITY OF CONERS, CYCLING

DIRECTION AND POSITIONS USING DRIVING SIMULATOR

Rugang WANG, Hideo YAMANAKA and Tetsuo MITANI

Bicycle accidents increased in recent years in the ratio of the total number of traffic accidents. 50% of the accidents are crossing collision between bicycles and vehicles at unsignalized small junctions. Espe-cialy, danger at small junctions along the arterial street has been focused where cyclings of both direc-tions are permitted on the sidewalks in Japan. It is said that bicycles traveling in opposite direction to cars along the sidewalks near the buildings are dangerous.

This study aims at analysis on behavior of the car drivers who goes out from side roads into a arterial streets. we used virtual experiments by driving simulator and measured indecis such as position of driv-er’s attention, TTC etc to evaluate the safety from the visibility of coners, cycling direction and positions. It was found that car drivers have tendency to pay attention only to the right side where car comes from, but not to the left side when the visibility of left side is bad,. Bicycles which cycling on sidewalk, and cy-cling on opposite direction to cars are more dangerours than cycy-cling on other positions or directions.

図 -3  DS実験風景とシミュレータ画像例  良く右が悪い場合の4種類の交差点モデルを作成した. なお,見通しが良い場合,隅切り長が3m,見通しが悪 い場合は隅切り長0mとしている.  (2)  実験に用いたDS  自転車シミュレータはFORUM8社製の「UC-win Road  Ver.7」のドライビングミュレータ機能を用いて,自動 車のハンドル操作,アクセル,ブレーキ作動をゲームコ ントローラー入力することで,高さ2400mm幅1200mmの パネルを5面組み合わせた画角170度のスクリーンに移動 時
表 -2  被験者の属性  性別 年齢 職業 視力状況 近視など 1 女性 20 代 大学生 コンタクト あり 2 男性 20 代 大学生 コンタクト あり 3 男性 20 代 大学生 コンタクト あり 4 男性 20 代 大学生 良好 なし 5 男性 20 代 大学生 良好 なし 6 男性 60 代 無職 良好 なし 7 男性 60 代 無職 眼鏡 あり 8 男性 60 代 無職 良好 なし 9 女性 60 代 無職 良好 なし 10 女性 60 代 無職 良好 なし 11 女性 70 代 無職 眼鏡 あ
図 -19  左悪く右良い交差点でのTTC  TTCについては,図-18,図-19に示すように,全ケー スで2台目の値が1台目の値の1/2になっており,検定で も多くのケースで有意差が見られた.歩道逆走の二台目 の自転車は危険性が明らかであると言える.  6

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手話の世界 手話のイメージ、必要性などを始めに学生に質問した。

1987例目 京都府 50代 男性. 1988例目 京都府

1392例目 大阪府 30代 女性. 1393例目 京都府

定性分析のみ 1 検体あたり約 3~6 万円 定性及び定量分析 1 検体あたり約 4~10 万円

①中学 1 年生 ②中学 2 年生 ③中学 3 年生 ④高校 1 年生 ⑤高校 2 年生 ⑥高校 3 年生

2015 年度子ども代表委員: 笹野 千枝里 ( 高校 3 年生 ) 川島 悠 ( 高校 2 年生

 2018年度の実利用者92名 (昨年比+ 7 名) ,男性46%,女 性54%の比率で,年齢は40歳代から100歳代までで,中央 値は79.9歳 (昨年比-2.1歳)

No.2 損傷なし 表面浮きあり(かぶり内) 最大1.8mm 計1本. No.3 損傷なし 表面浮きあり(かぶり内)