わが国の経済・金融情勢と金融政策
2015年6月10日
日本銀行
佐藤 健裕
── 山梨県金融経済懇談会における挨拶 ──
目次
(図表 1)海外経済見通し
(図表 2)米国経済
(図表 3)欧州経済
(図表 4)中国経済
(図表 5)米国FOMCメンバーの金利見通しとFF金利
(図表 6)ドイツ・日本の長期金利推移
(図表 7)日本経済:実質GDPの推移
(図表 8)雇用者所得
(図表 9)国内・海外別設備投資推移
(図表10)企業の予想円レート及び採算レートの推移
(図表11)消費者物価
(図表12)消費マインドと個人消費・物価
(図表13)予想物価上昇率の試算
(図表14)SRI一橋大学消費者購買単価指数(1)売上・商品種類に占める新商品の割合
(図表15)SRI一橋大学消費者購買単価指数(2)新商品を含む単価指数と消費者物価指数の比較
(図表16)展望レポートの経済・物価見通し
(図表17)量的・質的金融緩和の効果
(図表18)生命保険会社の標準利率
(図表19)国債保有者別残高
(図表20)債券市場サーベイ調査結果
(図表21)山梨県経済
▲2 ▲1 0 1 2 3 4 5 6 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 先進国 新興国・途上国 世界計 (前年比、寄与度、%) 平均成長率(1980年~2014年):+3.5% IMF予測 年
海外経済見通し
①IMFによる世界経済見通し
②世界経済の長期推移
【2015年4月時点】
(実質GDP成長率、前年比、%、%ポイント)3
図表1
(注1)IMF公表のGDPウェイト(購買力平価基準)を用いて算出。 (注2)( )内は2015年1月時点における見通しからの修正幅。 (資料)IMF (資料)IMF 2015年 2016年 2017年 見通し 見通し 見通し 3.5 3.8 3.8 (0.0) (0.1) 2.4 2.4 2.2 (0.0) (0.0) 3.1 3.1 2.7 (-0.5) (-0.2) 1.5 1.6 1.6 (0.3) (0.2) 1.0 1.2 0.4 (0.4) (0.4) 4.3 4.7 5.0 (0.0) (0.0) 6.6 6.4 6.3 (0.2) (0.2) 6.8 6.3 6.0 (0.0) (0.0) 5.2 5.3 5.4 (0.0) (0.0) -3.8 -1.1 1.0 (-0.8) (-0.1) 0.9 2.0 2.7 (-0.4) (-0.3) 2.4 0.9 -0.1 2014年 3.4 1.8 世界 先進国 ユーロエリア 米国 4.6 6.8 7.4 1.3 ラテンアメリカ ASEAN ロシア 4.6 0.6 中国 日本 新興国・途上国 アジア米国経済(1)
図表2-1
4
(資料) BEA①実質GDP推移
②設備投資の推移
▲4 ▲2 0 2 4 6 8 11 12 13 14 15 個人消費 住宅投資 設備投資 在庫投資 純輸出 政府支出 実質GDP /1Q (前期比年率、寄与度、%) ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 20 25 11 12 13 14 15 その他 鉱業関連 実質設備投資 (前期比年率、寄与度、%) /1Q米国経済(2)
図表2-2
5
①雇用
②個人消費
(資料) BLS (資料) HAVER、BEA 9.0 9.5 10.0 10.5 11.0 11.5 0 20 40 60 80 100 120 07 08 09 10 11 12 13 14 15 消費者コンフィデンス(左目盛) 実質個人消費(右目盛) (1985年=100) 年 (兆ドル) 4 5 6 7 8 9 10 11 ▲100 ▲80 ▲60 ▲40 ▲20 0 20 40 60 07 08 09 10 11 12 13 14 15 非農業部門雇用者数(左目盛) 失業率(右目盛) (季調済前月差、万人) (%) 年 30 35 40 45 50 55 60 65 70 ▲40 ▲35 ▲30 ▲25 ▲20 ▲15 ▲10 ▲5 0 07 08 09 10 11 12 13 14 15 消費者コンフィデンス(左目盛) 製造業PMI(右目盛) サービス業PMI(右目盛) (DI、%ポイント) 年 (DI、%ポイント)欧州経済(1)
図表3-1
(資料)HAVER、欧州委員会、Markit (© and database right Markit Economics Ltd 2015. All rights reserved.)
①実質GDP推移
②消費者・企業マインド
▲4 ▲3 ▲2 ▲1 0 1 2 3 4 5 11 12 13 14 15 個人消費 政府消費 総固定資本形成 在庫投資(含むその他) 純輸出 実質GDP /1Q (前期比年率、寄与度、%)欧州経済(2)
図表3-2
7
(資料)HAVER①HICPの推移
②賃金とサービス物価
0 1 2 3 4 5 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 賃金・給与 HICPサービス (前年比、%) 相関係数 0.72(ラグ無し) 年 ▲2 ▲1 0 1 2 3 4 11 12 13 14 15 サービス 財コア 非コア 総合 (前年比、寄与度、%) 年中国経済(1)
②製造業PMIの推移
8
①実質GDP、電力消費量、鉄道輸送量
(資料)CEIC、Markit (© and database right Markit Economics Ltd 2015. All rights reserved.)
図表4-1
▲15 ▲10 ▲5 0 5 10 15 20 25 07 08 09 10 11 12 13 14 15 実質GDP 電力消費量 鉄道貨物輸送量 (前年比、%) 年 35 40 45 50 55 60 07 08 09 10 11 12 13 14 15 国家統計局 HSBC (DI、%p) 年0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10 1.15 5 7 9 11 13 15 2005/1Q~2009/4Q 2010/1Q~2015/1Q (実質GDP成長率、前年比、%) (求人倍率、倍) 2015/1Q
中国経済(2)
②GDP減速と雇用の安定
9
①「China2030」における成長見通し
(注1)(1)の「China 2030」は、国務院発展研究センターと世界銀行による共同研究レポート(2012/2月に発刊)。 (注2)(2)の実線は、05/1Q~09/4Qの回帰直線。 (資料)世銀・国務院発展研究センター、国連、CEIC図表4-2
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
81-85
91-95
01-05
11-15
21-25
実質GDP成長率
生産年齢人口(右目盛)
見通し <GDP>China2030 <人口>国連 (年率伸び率、%) (年率伸び率、%) 年 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 14/12 15/6 15/12 16/6 16/12 17/6 17/12月 Longer Run FOMC見通し(レンジ) FOMC見通し(中央値) FF金先(14/12月FOMC結 果公表日時点) (%)米国FOMCメンバーの金利見通しとFF金利
図表5
(資料)FRB、Bloomberg【2015年3月】
【2014/12月】
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 14/12 15/6 15/12 16/6 16/12 17/6 17/12月 Longer Run FOMC見通し(レンジ) FOMC見通し(中央値) FF金先(15/3月FOMC結果 公表日時点) (%)0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 13/01 13/04 13/07 13/10 14/01 14/04 14/07 14/10 15/01 15/04 (%) 月 量的・質的金融緩和導入 量的・質的金融緩和拡大 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 13/01 13/04 13/07 13/10 14/01 14/04 14/07 14/10 15/01 15/04 (%) 月 PSPP導入
ドイツ・日本の長期金利推移
11
図表6
②日本の10年国債利回り
①ドイツの10年国債利回り
(資料)Bloomberg ▲5 ▲4 ▲3 ▲2 ▲1 0 1 2 3 07 08 09 10 11 12 13 14 15 民間需要 公的需要 純輸出 実質GDP (季調済前期比、寄与度、%) 年日本経済:実質GDPの推移
図表7
12
(資料)内閣府 (季調済前期比、寄与度、%)2014
2015
2Q
3Q
4Q
1Q
実質GDP
①
▲ 1.7 ▲ 0.5
0.3
1.0
在庫
②
1.3 ▲ 0.7 ▲ 0.2
0.6
輸入
③
1.1 ▲ 0.2 ▲ 0.3 ▲ 0.6
最終需要
④=①-②-③
▲ 4.1
0.4
0.8
1.0
実質GDP
⑤
▲ 1.7 ▲ 0.5
0.3
1.0
海外からの
実質純所得
⑥
0.2
0.4
1.1 ▲ 0.8
交易利得
⑦
0.3 ▲ 0.2
0.1
1.1
実質GNI
⑧=⑤+⑥+⑦
▲ 1.3 ▲ 0.3
1.5
1.3
▲ 3 ▲ 2 ▲ 1 0 1 2 3 4 11 12 13 14 15 常用雇用者数 名目賃金 雇用者所得 (前年比、寄与度、%) 年
雇用者所得
図表8
13
(注)雇用者所得は常用雇用者数×名目賃金で計算。事業所規模5人以上が対象。 (資料)厚生労働省国内・海外別設備投資推移
図表9
(資料)日本政策投資銀行 ▲50 ▲40 ▲30 ▲20 ▲10 0 10 20 30 40 50 2002 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 国内 海外 (前年比、%)年度
70 80 90 100 110 120 130 140 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 1年後の予想円レート 採算円レート 調査直前月の円レート (円/ドル) 年度
企業の予想円レート及び採算レートの推移
図表10
15
(資料)内閣府 ▲2.0 ▲1.5 ▲1.0 ▲0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 11 12 13 14 15 総合 総合除く生鮮食品 総合除く食料・エネ ルギー (前年比、%) 年 ▲2.0 ▲1.5 ▲1.0 ▲0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 11 12 13 14 15 総合 総合除く生鮮食品 総合除く食料・エネ ルギー (前年比、%) 年消費者物価
①全国
②東京都区部
16
図表11
(注)2014/4月以降は、消費税率引き上げの直接的な影響を調整した試算値。 (資料)総務省20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 90 92 94 96 98 100 102 104 106 108 110 11 12 13 14 15 実質家計消費支出(除く住居等)(左目盛) 景気ウォッチャー調査・家計動向関連(右目盛) (DI) (季調値、2010年=100) 年
消費マインドと個人消費・物価
17
図表12
(資料)総務省、内閣府②消費マインドと物価
①消費マインドと個人消費
(注)消費者物価は、2014/4月以降、消費税率引き上げの 直接的な影響を調整した試算値。 (資料)総務省、内閣府 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 ▲2.0 ▲1.5 ▲1.0 ▲0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 11 12 13 14 15 消費者物価総合除く生鮮食品(左目盛) 消費者物価総合除く食料・エネルギー(左目盛) 消費者態度指数(右目盛) (前年比、%) 年 (DI) ▲2 ▲1 0 1 2 3 4 5 07 08 09 10 11 12 13 14 15 年 実質ターム・プレミアム 予想インフレ率 予想実質短期金利 インフレ・リスク・プレミアム 名目金利 (%)予想物価上昇率の試算(1)
図表13-1
18
【米国】
【日本】
・名目金利から抽出した予想インフレ率
(注)詳細は、今久保圭、中島上智「潜在金利モデルを用いたインフレ・リスク・プレミアムの計測」(日本銀行ワーキングペーパーシ リーズ No.15-E-1)参照。 ▲2 ▲1 0 1 2 3 4 5 07 08 09 10 11 12 13 14 15 年 実質ターム・プレミアム 予想インフレ率 予想実質短期金利 インフレ・リスク・プレミアム 名目金利 (%)実質ターム・プレミアム
名目金利
予想名目短期金利
名目ターム・プレミアム
実質金利
予想実質短期金利
インフレスワップ金利
予想インフレ率
インフレ・リスク・プレミアム
=
=
=
=
=
=
+
+
+
+
+
+
▲ 2 0 2 4 6 8 10 12 85 90 95 00 05 10 ショック 失業率ギャップ トレンドインフレ率 インフレ率 (%) 年 ▲3 ▲2 ▲1 0 1 2 3 4 85 90 95 00 05 10 ショック 需給ギャップ トレンドインフレ率 インフレ率 (%) 年
予想物価上昇率の試算(2)
図表13-2
19
・スイッチングモデルから試算したトレンドインフレ率
【日本】
【米国】
(注)詳細は、開発壮平・中島上智「トレンドインフレ率は変化したか?─ レジームスイッチング・モデルを用いた実証分析 ─」(日本銀行ワーキ ングペーパーシリーズ No.15-J-3)参照。 (資料)日本銀行 20 25 30 35 40 45 50 55 13/9 13/12 14/2 14/4 14/6 14/8 14/10 14/12 売上に占める割合 商品種類に占める割合 (%) 月SRI一橋大学消費者購買単価指数(1)
(売上・商品種類に占める新商品の割合)
図表14
20
(注)詳細は、阿部修人「最近の価格指数の動向と新商品の影響について」(一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構ニューズ レターNo.3)、Naohito Abe, Toshiki Enda, Noriko Inakura, Akiyuki Tonogi, "Effects of New Goods and Product Turnover on Price Indexes", RCESR Discussion Paper Series No. DP15-2”参照。▲4 ▲3 ▲2 ▲1 0 1 2 3 4 5 6 07 08 09 10 11 12 13 14 15 SRI一橋大学消費者購買単価指数(新商品含む単価指数) 消費者物価指数 (前年比、%) 年
SRI一橋大学消費者購買単価指数(2)
(新商品を含む単価指数と消費者物価指数の比較)
図表15
21
(注1)対象はスーパーマーケット。消費者物価指数はSRI一橋大学消費者購買単価指数の対象商品に合わせて計算したもの。詳細は、 阿部修人「最近の価格指数の動向と新商品の影響について」(一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構ニューズレター No.3)、Naohito Abe, Toshiki Enda, Noriko Inakura, Akiyuki Tonogi, "Effects of New Goods and Product Turnover on Price Indexes", RCESR Discussion Paper Series No. DP15-2”参照。(資料)一橋大学、新日本スーパーマーケット協会、インテージ ―対前年度比、%。なお、<>内は政策委員見通しの中央値。 消費税率引き上げの 影響を除くケース -1.0~-0.8 <-0.9> -0.6~-0.4 +2.9~+3.2 +0.9~+1.2 <-0.5> <+2.9> <+0.9> +1.5~+2.1 <+2.0> +1.8~+2.3 <+2.1> +1.4~+1.8 <+1.5> +1.5~+1.7 <+1.6> +0.1~+0.5 +2.7~+3.4 +1.4~+2.1 <+0.2> <+3.2> <+1.9> <+2.0> +1.5~+2.3 <+2.2> 消費者物価指数 (除く生鮮食品) 2015年度 1月時点の見通し 実質GDP 2014年度 +0.2~+1.2 <+0.8> 1月時点の見通し +2.8 +0.8 +0.4~+1.3 2017年度 <+1.0> 1月時点の見通し 2016年度 +1.2~+2.2
展望レポートの経済・物価見通し
(2015/4月)
•
2014~2017年度の政策委員の大勢見通し
22
図表16
量的・質的金融緩和の効果
図表17
23
- = = + 現実の 物価上昇率 人々の 予想物価上昇率 人々の 予想物価上昇率 大規模な 長期国債買入れ 2%の「物価安定の目標」への 強く明確なコミットメント 需給ギャップ の改善 実質金利 名目金利 「量的・質的金融緩和」 ① ② ③ ④ ⑥ ⑤ (%、%ポイント) 2013/1Q(A) 2014/4Q(B) 差(B-A) 0.7 0.4 ▲ 0.3 (%、%ポイント) 2013/1Q (A) 2014/4Q (B) 差 (B-A) ESPフォーキャスト (1年度先) 0.2 1.1 +1.0 (2~6年度先) 0.7 1.4 +0.7 (7~11年度先) 1.0 1.5 +0.5 QUICK調査 (今後1年間) 0.1 1.9 +1.7 (今後2年間) 0.6 1.7 +1.1 (今後10年間) 1.1 1.5 +0.4 物価連動国債のBEI(10年) ― 1.1 ― インフレーション・スワップ・レート(10年) 0.8 1.1 +0.2 短観(物価全般の見通し) (1年後) ― 1.4 ― (3年後) ― 1.6 ― (5年後) ― 1.7 ― 消費動向調査(1年後) 1.9 3.0 +1.2 生活意識に関するアンケート調査 (過去1年間) 0.2 5.0 +4.8 (今後1年間) 3.0 3.0 +0.0 (今後5年間) 2.0 2.0 +0.0 2013/3月末から2014/12月末までの変化 日本銀行の長期国債 保有残高の増加額 日本銀行の国債 保有割合の上昇幅 長期金利の 押し下げ効果 +110兆円 +19.3%ポイント ▲0.8%ポイント①量的・質的金融緩和のメカニズム
③長期金利の押し下げ効果
②名目金利と予想物価上昇率指標
【名目金利】
【予想物価上昇率】
(資料)日本銀行 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 00 02 04 06 08 10 12 14 15 (%) 2015/4月:引下げ 一時払年金保険・養老保険等 1.0%→0.5% 2015/7月(予定):引下げ 一時払終身保険 1.0%→0.75% 2015/7月~ 予定 一時払年金・養老等 一時払終身 その他 年 国債10年物利回り 標準利率生命保険会社の標準利率
図表18
24
(資料)各種報道等、Bloomberg0 50 100 150 200 250 10 11 12 13 14 (兆円) 年