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温州ミカンの越年採収に関する研究 I 被覆資材および蒸散抑制剤の影響-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第28巻第60号203”208,1977 203

温州ミカンの越年採収に関する研究

Ⅰ 被覆資材および蒸散抑制剤の影響

真 部 桂・葦 渾 正 義

STUDIES ON THE DELAYED HARVESTING OF SATSUMA MANDARIN

E駄ctsofcoverlngmateria】sandtransplrationinhibitingagents

Onthequalityoffhits

KatsuraMANABEandMasayoshiAsHIZAWA

Inordcrtoaveragethedistributionofthelabor fbr pickingSatsumamandarin,thedelayed

harvestlng aftcr maturlty WaSinvcstlgatCdThe trees usedinthis experiment were cultivar

Hayashiof8yearoldEachtrccswerccoveredwithstraw−mat,plasticfi1mtapeclothorcheese

clothinDccember befbrethefiuitreceivedcoldiI函ryrInadditiontothecoverlngS,halfof

treesweresprayedwithgreener,atranSPlrationinhibitingagent

AtthemiddleofMarchitwasfbundthatallfiuitsreducedthediameterasthepickingdelayed,

butgreenerdecreasedthelosstosomeextent‖ Thesugarcontentsinthejuiceincreasedalittle

andacidcontentsdecreasedasthepickingdelayed,buttherewerenodi鈍rencesamongthetreat−

ments

The coverlngSremarkablypreventedbirdiItiury,buttherateofhealthyfiuit decreasedas

pickingdelayedduetotransplrationandcoldinjury

AstheresultofthisexperimentthecoverlngOfcheeseclothwiththecombinationofgreener

SPrayWaSmOStPrOmislngforthedelayedharvestlng

温州ミカンの収穫作業の労力の分散化をはかるため,1975年12月中旬∼1976年3月中旬の間,8年生林温州を用い て,越年採収の実用性を検討した 樹上越年果はいずれの防寒資材(白カンレイシヤ,黒カンレイシヤ,タフロノクス,ワラコ・モ)で被覆した場合も, 採収時期の遅いほど果実が縮小したが,蒸散抑制剤(グリンナ・−)を散布して被覆した場合にはその縮小が小をかっ た.被覆した樹上越年果と触被覆の樹上越年果の果汁の糖および酸含墓には差が認められをかった 防寒資材で被覆した場合には,鳥書果はいちじるしく少をいが,採収時期の遅くなる程果面蒸散ヤ低温障害などの ために,健全果率が減少した 実用の点では,蒸散抑制剤の散布+カンレイシヤの被覆が有望であった. 緒 温州ミカンの栽培に要する労力は,近年,省力化によって次第に減少をみてはいるが,それでも成木,10よ,30人前 後の園が多い 普通温州園では,この労力の約3分の1が11月F旬∼12月中旬の約1カ月間に集中的におこをわれる採収一貯蔵な どの収穫作業で,雇用労力に依存している園が多い.近年,生産盈の急増によるミカンの価格の下落によって,経営 事情が感化したため,栽培者の中にはヤむを得ず収穫の終期を翌年の1月にまで延ばして,自家労力で実施する者が

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相当にあらわれてきた ミカンの採収を遅らせて長期間樹上においた場合には,来面蒸散により果皮に萎縮を,降霜ヤ厳寒期の低温(00C 以下)によって果皮に凍磐を,また,ムク島などによる食害を生じて,かえって大きな損失を蒙むることが多い冬 季間の樹上着生によるこれらの傷害果の発生程度は栽培地により,同一・地でも年による気象状態により,■また,着生 期間の長短をどによって,大きく相違することば当然であるが,防寒や蒸散抑制剤の散布をとの保護対策を横じて, 防善果の発生を防止することば重要であるこれらの果実の傷害を防いで,収穫期聞を2倍ないしそれ以上に延長す ることができれば,多くの園では雇用労力を必要とせず,冬季の白家労力を活用することができて経営上に益すると ころが大きいぃ をお,冬季の樹上着生でほ,翌年の花芽着生および発育の問題があるが,これらについては別に検討 する, 本研究は上述の見地より,普通温州樹へ防寒,蒸散抑制剤の散布をどの処理をして,翌年の3月まで樹上着生させ た場合に,その果実におよぼす影響について観察するとともに,樹上着生の限界的な時期について検討したものであ る“ 材料および方法 香川大学農学部付属農場果樹園の8年堕普通温州(林系)を用いた試験区は1975年12月15日に自力ンレイシヤ (#100),黒カンレイシヤ(♯100),タ・フロノクス(セキスイ化学ポリテ・−プ織布#100),ワラコモ(梱包用のコモ)で, 樹別に樹冠部を被覆(第1図)した4区と,蒸散抑制剤のグリンナー20倍液を主に果実へ散布した後に,自力ンレイ 第1図 カンレイシヤによる被覆状態 シヤおよびタフロノクスで樹冠部を被覆した2区と標準(無処理)区の計7区を設けた.1区は3反覆とし,1976年 3月15日まで3カ月間,この処理を続けた,12月15日以後の果実の縮小状態は横径を測定し,処理時の横径を100と してあらわした.この調査では前記の7区とは別に,被覆+グリンナ一区と比較するため,無被覆のグリンナ・一区を 設けた.それぞれの月15日に果実を採取して糖度(BI・ix度)と酸彙(01NNaOH摘定法)を調べ,実験終了時に果 皮と果肉の含水率(定法)および傷害の原因別にそれぞれの傷害果数と健全果数をかぞえ,比率であらわした‖ −\果 に萎縮と寒審ないして病害など二つをいしは三つの原酎こよる傷害の発生している場合には,傷智程度の重い方へい れてかぞえた.

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第28巻第60号(1977) 温州ミカンの越年採収Ⅰ被覆資材,蒸散抑制剤 205 実 験 結 果 1.果実の縮小状態 12月15日以後の果実横径の縮小状態は第2図のとおりである. 自力ンレイシャ区 + ./ケルナ一区 、ミニ・、、∠クリンナ【区 1ハ5 2/15 3ハ5 月 臼 第2図12∼3月の果実の縮小状態 標準区の果実は1カ月彼の1月中旬に約3%縮小したが,外見上は変化が認められず健全であった.3カ月後の3 月中旬には7∼8%縮小し,この区の果実の中には強度の予把をおこなった場合とほほ同様に,果面に萎縮の生じた ものがあった自カンレイシヤ,馬力ンレイシヤ,タフロックスの3被覆区の果実の縮小率は標準区のそれに近かっ たが,外見上は標準区の果実におけるよりも果皮の萎縮が軽度であった,白カンレイシヤ+グリンナ・一区お・よびタフ ロックス+グリンナ一区の果実の縮小はグリンナーの触散布区よりも少なく,ワラコモ区の果実の縮小率はこのグリ ンナ・一散布の両区と同程度であった 2.果実の成分 果実の糖度,酸盈の12∼3月の状態は第3図のとおりである1 標準区の糖度はいずれの月も他の6区より低いが,12月中旬の糖度が非常に低いところより,これは供試樹による 個体差と認められる“被覆およびグリンナ一散布の処理6区の糖度は,調査の月によってヤヤ増加ないしはやや減少 を示し,採収を遅らせたからとて一・定の傾向が認められない 酸蛍は2月中旬までは09%前後で高いが,その後は 急減している.糖度および酸塩の各区間差は明らかでなく,処理によるマイナ・スは全く認められなかった. 次に,実験終期の3月15日における果皮,果肉の含水率は第4図のとおりで,標準区の果皮の含水率は他の6区よ りもやや低いが,処理の6区間には差がをかった.果肉の含水率は標準区を含めた7区間に羞が認められない 3.傷 害 果 萎縮果,寒事呆,病害果の外観は第5図のとおりで,萎縮果は果皮の乾燥によって小じわを生じたもので,2月中 旬以後にみられ,寒事果は果皮細胞の凍害を受けた簡所がその後乾燥して褐変したもので,1月下旬の低温襲来後に みられ,病審呆は黒腐病,黒カビ病をとが発生したものである. これらの傷害果の発生率は第6図のとおりである

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0 9 − 0 酸量 詣区 イシ†区 黒カンレ クリンナ一区 十 グ項ンナ・区 シャ区 白カンレイ 標準区 第3図12∼3月の果実の糖度と酸量 水分 % 50

クリ・

シャ区 黒カンレイ

タフロックス区 グリン丁区 十 シャ区 自力ンレイ 標準区 第4図 果皮・果肉の含水率3月中旬 算5図 果実の外御 1:健全狐 2:萎縮果,3:兼害果 4:寒害果,5:病響果

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第28巻第60号(1977) 温州ミカンの越年採収Ⅰ被覆資材,蒸散抑制剤 207 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 6 4 2 8 6 4 2 8 6 4 2 8 6 4 2 罪カンレイン†区 タフロンク.ス区 自力ンレイソ†区 %. 鳥害果 病害果 寒害果 萎縮果 健全黒 鳥害果 病害果 寒害果 萎縮果 健全果 第6図 果実の傷零状態3月ql旬 標準区はムク鳥などの食脅による鳥薯釆が約70%に達したため,健全果は10%以下に過ぎ夜かった.なお,標準区 の萎縮果,寒害果,病普果の意外に少ないことば,鳥薯果が余りにも多かったためである.被覆処理をおこなった6 区はい・ずれも健全果が最も多く,萎縮果が15∼30%でこれに次いだ.カンレイシヤおよびタフロックスを被覆した5 区では,鳥審呆がわずかであったに対し,ワラコモ区では鳥薯果がヤや多かった.これは他の区に比べて比較的果実 水分の減少(萎縮)が遅いために良質でしかも前期には外部より果実が見え.にくいために他果実が少をくをるので後 期に入り集中的にムク鳥が被覆内に強引に侵入して多くの被害が出た結果となった事と思われる. 考 察 温州ミカンの冬季樹上着生果の形質について,重里,加藤,西尾ら(4),(5)は採収時期の遅くなるほど果径,藍屋が 減少し,浮皮果の多くなる傾向をみている.また三軋 野呂,白井ら軋(8)は樹上果の容墳は2月までは変わらない, むしろ大とをるが,それ以後は急激に減少することを観察している… 本実験では,果実の縮小は重里らと同傾向を示 したが,蒸散抑制剤で果面蒸散を抑制すれば縮小が減少したい つまり,この果実の縮小は果肉→果皮への水の移行よ りも果面からの蒸散の方が大きいことが認められた¶ なお,時期の遅くなるほど浮皮果の多くをることば,果肉→果 皮へ・の水の移行によって,果肉部の縮小することが主因と思われる. 樹上着生果の糖・酸盈について,重垂らく4)は年による差異が大きいが,時期の遅く在る程可溶性固形物および糠 星は増加し,酸盈は減少する.しかし,この酸盈の減少は12月に採収の換気貯蔵果より少ないことを述べている.三 田ら(き)も可溶性固形物の増加をみておりその原因として濃縮の外に,果実へ・の糖の転流をあげている.富田(6)はハ ッサクについて,5月採収束は1月および3月の採収貯蔵果に較べて,果実の二次生長がみられるため,果肉歩合が 低く,可溶性固形物,糖孟には差がないが,酸盈の低いことを認めている.本実験では,酸盈はこれらの実験と同様 に,時期の遅くなる程減少しているが,糖度は重里および三田の結果とは異なり,むしろ富田の結果と−・致して,増 加していない.この原因としては実験地の自然環境とくに蒸散を促進する気象要因が大きく関与しているように思わ れるが,今後の研究によって明らかにしたい. 次に,防寒,防鳥資材(カンレイシヤ,かすみ綱など)の被覆では,重里ら軋(5〉はカンレイシヤが落果,障書果 が少なく効果の高いことを観察し,小中原(1)も同様のことを認めているが,それでも3月下旬になると障智果が多

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じるしい影響のみられないことを報告している、三田ら(2)は樹上貯蔵は果実の晶野面の向上は大きいが,落果,障 零果の発生の増大よりして1月中旬ごろまでが限度ではをいかと思われるとしている・・本実験でもカンレイシヤ,タ フロックス,ワラコモの被覆は障薯果を少なくしたが,3月中旬における健全果は50∼60%ルと少なく,長期の樹上貯 蔵は実用的には困難と思われた.. 結論として,温州ミカンの越年採取樹上貯蔵には蒸散抑制剤(グリンナ・−・)の散布+防寒資材(カンレイシヤ など)の被覆は効果が大きい巾 しかし,3月中∼下旬までの長期の樹_ヒ貯蔵は障害果の発生の増大のために,実用上 は困難であるい 障害果のうちでも寒害果の発生時期は栽培地や年によって相当に異なるので,採収期の延長の限界的 を時期を明らかにすることば容易ではないが,当地方では1月中旬ないし下付■まで延長しても,それ程の降審は生じ ないものと思われる.. 本研究を進めるに当って,本学部付属農場果樹部技官多田幸雄,寒川朝治,赤松キクノ,白井博文氏らおよび農学 部果樹研究室の橘清美研究補佐員に種々ご協力をいただいたい ここに厚く謝意を表する… 引 用 文 献 (1)小中原実:静岡柑試研究報告,9,39∼52(1971) (2)三田豊久,野呂徳男,白井敏男:園芸学会,昭47 (5) 秋季大会発表要旨,26∼27(1972). センター研究報告,12,49∼57(1975)= +一 :園芸学会昭50 秋季大会発表要旨,114′−115(1975). (6)富田栄一・:ハッサク果実の樹上越冬に関する調 査,農及軋 50(4),567∼568(1975). (1976年9月30日 受理) (3)三田豊久:果実日本,28(3),46∼51(1973)ル (4)重里 保,加藤彰宏,西尾陸曹:大阪府農林技術

参照

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