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イムノアフィニティーカラム-HPLC法によるカカオ加工品中のアフラトキシンの測定-香川大学学術情報リポジトリ

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イムノアフィニティーカラム-HPLC法によるカカオ加工品中のアフラトキシンの測定

川村 理,濱田あゆみ

DETERMINATION OF AFLATOXINS IN CACAO PRODUCTS BY

IMMUNOAFFINITY COLUMN-HPLC METHODS

Osamu KAWAMURA and Ayumi HAMADA

Abstract

 In order to establish an immunoaffinity column-HPLC method for aflatoxins (AFs) in cocoa powder and cocoa, anti-AFB1 monoclonal antibody (AF.2) was bound to Affi-Gel 10 gel (16 mg/ml), and the antibody-binding gel

was packed into a mini column. Cocoa powder (10 g) spiked AFs were extracted with 50 ml of acetonitrile : water (60+40). The extact were 10-fold diluted with PBS and cleaned-up by the IAC. These recoveries of 1 and 3 ng of AFs/g were 72.3∼102.0% and RSD were 3.3∼6.6%. But when 10 ng AFs/g were added, these recoveries were 62.9 ∼70.7% and RSD were 6.7∼22.3%. Cocoa (10 g) spiked 6 ng of AFs/g were extracted with 50 ml of acetonitrile : water : methanol (60+40+20). The extact were 20-fold diluted with PBS and cleaned-up by the IAC. These recov-eries of AFB1 and B2 were 73.4 and 82.3% and RSD were 5.5 and 3.4%, respectively. But these recoveries of AFG1

and G2 were less than 45% and RSD were about 9%. Three cocoa powder and 13 cocoa samples on the market were

analyzed in this method. All cocoa powder samples were contaminated 0.40∼0.94 ng of AFs/g. One cocoa samples were 0.1 ng of AFG1/g.

Key words:Aflatoxins, Cacao, Monoclonal antibody, Immunoaffinity column, HPLC

香川大学農学部学術報告 第61号 85∼88,2009 緒   言  マイコトキシン(aflatoxin,AF)は,Aspergillus flavus などのカビによって生産されるマイコトキシンで,動物 や人に対して強い肝毒性などを有し,特に発がん性は天 然物質中で最強である(1).AF類は,ピーナッツをはじ めとするナッツ類,トウモロコシ及び香辛料などの汚染 が知られている(2).カカオは,高温多湿の熱帯地方の作 物で,収穫後水に漬け発酵させてから,ココアやチョコ レートに加工されるので,発酵工程でのカビ汚染があ り,オクラトキシンなどのマイコトキシン汚染が報告さ れている(3).また,近年,クロロホルムなど毒性の強い 有機溶媒を使用せず,簡便かつ高感度で,コーヒーなど 物理化学的クリーンナップ法では十分に夾雑物の除去が できない加工食品にも適用できる方法としてイムノア フィニティーカラム(IAC)をクリーンナップに用いる 方法が汎用されるようになってきた(4).そこで,当研究 室で既に作製済みの抗AFB1モノクローナル抗体AF.2 (5) 結合したIACで,カカオ製品,ココアパウダーと調整コ コア中のAFB1,B2,G1とG2の4つの同時検出法につ いて検討した.  競合的間接ELISAでの抗AFB1モノクローナル抗体 AF.2の各AF類との反応性は, AFB1に対する反応性を 100%とした場合,AFB2とは135%,AFG1とは14%,及 びAFG2とは15%であり,AF.2抗体は,AFB1とB2をほ ぼ同程度に認識する抗体だが,AFG1とG2と反応性は やや劣る(5).しかし,宮本ら(6)は,AF.2抗体をゲル1 ml当たり16 mg結合させた抗体結合ゲルを0.3 ml詰めた IACを用いて,ピーナッツ中のAFB1,B2,G1とG2を 85%以上の回収率で測定できることを報告した.そこ で,宮本ら(6)の方法が,マイコトキシンの汚染率が高 いカカオ加工品であるココアパウダーと調整ココア中の AF類の測定に応用可能であるか否かについて検討した. 材料および方法 材料  AFB1,B2,G1とG2は,和光純薬社製を,アフィゲ ル10はBio-Rad社 製 を,Hybridoma-SFMは イ ン ビ ト ロ ジェン社製をそれぞれ用いた.HPLCの移動相は和光純

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Tech. Bull. Fac. Agr. Kagawa Univ., Vol. 61, 2009 薬社製のHPLC用試薬を,その他の試薬は特級又は同等 品を用いた.ココアパウダーと調整ココアは2007年に香 川県内で購入した.また,AFB1,B2,G1とG2の標準 溶液は,約10μg/mlになるようにアセトニトリルに溶解 し,極大吸収の値からモル吸光係数を用いて濃度を算出 し,希釈し,調整した(6) イムノアフィニティーカラム  AF.2抗体の大量生産と精製およびAF.2抗体とイムノア フィニティー担体との結合は,宮本ら(6)と同様にして 行った. 抽出およびIACによるクリーンナップ  ココアパウダーの場合は,宮本ら(6)のピーナッツの 場合と同様にして行った.すなわち,ココアパウダー 10gに30 mlのアセトニトリル:水(60+40 v/v)を加え, 10分間の超音波処理後,200 rpmで30分間振とう抽出し た.抽出液はろ紙(Advantec 5C)ろ過し,抽出ろ液を PBSで10倍希釈し,ガラス繊維ろ紙(Advantec GA-55) でろ過した.このろ液10 mlをIACに負荷し,宮本ら(6) の方法でクリーンナップを行った.  調整ココアでは,ココアパウダーと同様に抽出を行う と相分離を起こしたので,抽出溶媒を検討した結果,ア セトニトリル:水:メタノール(60+40+20 v/v/v)を用 いて,ココアパウダーと同様に抽出を行った.抽出ろ液 はPBSで20倍希釈し,ココアパウダーと同様にIACでク リーンナップを行った. HPLC  いずれも島津製作所製で, LC-10ADvpポンプ,SIL-10ADvpオ ー ト イ ン ジ ェ ク タ ー,CTO-10ADvpカ ラ ム オーブン,RF-10ADXL蛍光検出器を使用した.Capcell Pak C18AQ(粒子経5μm,内径4.6mm,長さ250 mm) 資生堂(株)製を用いた.カラム温度は40℃,移動相は アセトニトリル:水(25+75 v/v),蛍光波長は,励起波 長365 nm,蛍光波長450 nmで行った.なお,ガードカ ラムは使用しなかった.この条件で,AF標準品0.03∼4 ng/mlの範囲で良好な直線の検量線を得た. 添加回収実験  ココアパウダー10 gを110 mL容のガラス製スクリュー 管瓶に秤取り,これにAFB1,B2,G1とG2の濃度がそ れぞれ1,3,および10 ng/gになるように調整したアセ トニトリル溶液を各100 μlを添加した.添加後,口を キムワイプで覆い,遮光してドラフト内で一晩(12∼16 時間)静置し,アセトニトリルを蒸発させた後,抽出, クリーンナップを行った後,蛍光HPLCで定量した.調 整ココアでは,ココアパウダーと同様にAFB1,B2,G1 とG2の濃度がそれぞれ6 ng/gになるように調整したア セトニトリル溶液を各100 μlを添加し,以下同様に操 作した. 結 果 及 び 考 察 添加回収実験  ココアパウダーでの添加回収実験の結果(Table 1), AFB1,B2,G1とG2 を1および3ng/g添加した場合の回 収率は,72.3∼102.0%でRSDも7%以下で,ほぼ良好な 結果であった.しかし,10 ng/g添加した場合の回収率 は,62.9∼70.7%と低く,また, RSDも7.6∼22.3%と高 く,日本の食品中の規制値である10 ng/g付近の回収率 と分析精度に問題があることが,判明した.また,調 整ココアでの添加回収実験の結果(Table 1),AFB1と B2の回収率は,それぞれ73.4と82.3%でRSDも6%以下 で,ほぼ良好であったが,AFG1とG2の回収率は,それ ぞれ40.1と43.4%でRSDも9%台であった.以上の結果 から,AF.2結合したIACを用いて,ココアパウダーと調 整ココア中のAFB1,B2,G1とG2の検出法を行った場 合,ココアパウダーでは,3ng/g以下であれば測定可能 であるが,10 ng/g以上では,低回収率で充分な測定が できない.また,調整ココアでは,AFG1とG2の回収率 が低く,4種のアフラトキシン類の同時測定には問題が ある.すなわち,AFB1とB2に同程度に反応し, G1とG2 には14−15%交差反応するAF.2抗体を結合させたIACに は,限界があることが示された.トウモロコシとピー ナッツ(6)では,4種の主要なアフラトキシン分析には 有効であるが,カカオ加工品には,充分に適応できな かったことから,AFB1,B2,G1とG2の4種すべてに 同程度反応する抗体,または,G1とG2と同程度反応す る抗体を作製し,AF.2抗体と組合せたIACの作製が必要 であることが示唆された. 市販ココアパウダーと調整ココアのアフラトキシン分析  ココアパウダーでは,低濃度のアフラトキシン測定 が可能であること,調整ココアでは,AFB1とB2の測 定が可能であることから,市販ココアパウダー3検体 と調整ココア13検体の分析を行った.その結果(Table 2), 市販ココアパウダー3検体すべてから,0.40∼0.94 ng/gのアフラトキシン類を検出した.アフラトキシン のHPLC分析においては,AFB1とAFG4の蛍光強度が弱 いために,トリクロロ酢酸(TFA)と反応させ,AFB2a とAFG2aに化学変換して測定している.検出されたピー 86

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(3)

川村理他:IAC-HPLC法によるカカオ中のアフラトキシン測定

クがアフラトキシンのピークであることを確認するた めに,TFA処理した場合と未処理の場合で,AFB2aと

AFG2aのピークの出現の有無で確認を行った(Fig.1).

AFB1とAFB2をそれぞれ0.81と0.13 ng/g検出したサンプ

ルPC07001では,TFA処理した場合AFB1由来のAFB2aの

ピークが10分付近にAFB2のピークが20分付近に確認さ

れたら,TFA未処理の場合10分付近のAFB1由来のAFB2a

のピークが消失し,20分付近のAFB2のピークのみが確 認された.よって,これらのピークは,アフラトキシ ン由来であることを確認した.また,他の2検体でも同 様にして確認を行った.調整ココアの場合は,1検体 で1.00 ng/gのAFG1の汚染があり,上記と同様に,TFA 処理した場合と未処理でクロマトグラムを比較して, AFG1由来のピークであることを確認したが,調整ココ アでのAFG1の回収率のバラツキが大きいことから,数 値的議論はできない.以上のことから,サンプル数は少 ないが,市販ココアパウダーは,低濃度ながら高頻度で アフラトキシン汚染があることが明らかになったので, 今後,簡便かつ高感度で汎用性のある分析法の確立とお Table1 ココアパウダーおよび調整ココアへのアフラトキシン類の添加回収実験( n =3) アフラトキシン類の添加量

AFB1 AFB2 AFG1 AFG2

回収率 ± SD(%)RSD(%)回収率 ± SD(%)RSD(%)回収率 ± SD(%)RSD(%)回収率 ± SD(%)RSD(%) ココアパウダー 1.0 ng/g 72.3 ± 2.7 3.7 82.2 ± 2.3 2.8 102.0 ± 6.6 6.5 88.5 ± 5.2 5.9 3.0 ng/g 75.3 ± 3.2 4.3 81.2 ± 2.7 3.3 84.2 ± 5.7 6.8 81.1 ± 4.0 4.9 10.0 ng/g 67.9 ± 6.1 9.0 70.7 ± 5.4 7.6 63.5 ± 14.2 22.3 62.9 ± 7.9 12.6 調整ココア 6.0 ng/g 73.4 ± 4.0 5.5 82.3 ± 3.4 4.1 40.1 ± 3.8 9.5 43.4 ± 4.1 9.4 *ゲル1mlに抗体16 mg結合させたイムノアフィニティーカラムを使用 Table2 市販ココアパウダー及び調整ココア中のアフ ラトキシン汚染量 検体 番号 アフラトキシン検出量(ng/g) AFB1 AFB2 AFG1 AFG2 合計

ココアパウダー PC07001 0.81 0.13 ND ND 0.94 PC07003 0.15 ND 0.20 0.15 0.50 PC07004 0.40 ND ND ND 0.40 調整ココア PC07101 ND ND ND ND PC07102 ND ND ND ND PC07103 ND ND ND ND PC07104 ND ND ND ND PC07105 ND ND ND ND PC07106 ND ND ND ND PC07107 ND ND ND ND PC07108 ND ND ND ND PC07109 ND ND ND ND PC07110 ND ND 0.10 ND 0.10 PC07111 ND ND ND ND PC07112 ND ND ND ND PC07113 ND ND ND ND ND; <0.09 ng/g Fig.1 ココアパウダー試料のトリクロロ酢酸処理と未処理でのクロマトグラム. ココアパウダー試料PC07001(Table 2)で(A)トリクロロ酢酸処理,(B)トリクロロ酢酸未処理 87

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Tech. Bull. Fac. Agr. Kagawa Univ., Vol. 61, 2009

引 用 文 献

⑴ MISHRA, H. N. and DAS, C : A Review on Biological

Control and Metabolism of Aflatoxin. Critical Reviews in

Food Science and Nutrition, 43, 245−264(2003). ⑵ RUSTOM, I. Y. S. : Aflatoxin in food and feed: occurrence,

legislation and inactivation by physical methods. Food

Chemistry, 59, 57−67(1977).

⑶ 田端節子,飯田憲司,木村圭介,岩崎由美子,中里 光男,鎌田国広,広門雅子:各種市販食品中のオク ラトキシンA,Bおよびシトリニンの汚染実態調 査.食品衛生学雑誌, 49, 111−115(2008). ⑷ HAGE, D. S. : Survey of recent advances in analytical

ap-plications of immunoaffinity chromatography. Journal of

Chromatography B, 715, 3−28(1988).

⑸ KAWAMURA, O., NAGAYAMA, S., SATO, S., OHTANI, K.,

UENO, I. and UENO, Y.: A monoclonal antibody-based

enzyme-linked immunosorbent assay of aflatoxin B1 in peanut products, Mycotoxin Research, 4, 75−88(1988). ⑹ 宮本邦雄,濱田あゆみ,川村 理:モノクローナル 抗体(AF.2)結合イムノアフィニティーカラム -HPLC法によるトウモロコシおよびビーナッツ中の アフラトキシン類の測定.香川大学農学部学術報 告,60,75−81(2008). (2008年10月31日受理) もに,カカオ加工品の監視を行う必要性が示された. 要   約  抗アフラトキシンB1(AFB1)モノクローナル抗体 (AF.2)を結合したイムノアフィニティーカラム(IAC) を作製し,カカオ加工品(ココアパウダーと調整ココ ア)のAF類の測定法を検討した.諸条件を検討した結 果,ココアパウダーでは,試料10gに30 mlのアセトニ トリル:水(60+40 v/v)を加え抽出し,ろ液をPBSで 10倍希釈しIACでクリーンナップを行い,蛍光HPLCで 定量した.添加回収実験の結果,1と3ng/gのAF類添 加での回収率は,72.3∼102.0%で,RSDは7%以下で ほぼ良好であったが,10 ng/gのAF類添加での回収率は, 62.9∼70.7%で,RSDは7.6∼22.3%で,低回収率であり, バラツキも大きかった.調整ココアでは,試料10gに2 gのNaC1を加と50 mlのアセトニトリル:水:メタノー ル(60+40+20 v/v/v)を加え,抽出し,ろ液をPBSで10 倍希釈しIACでクリーンナップを行い,蛍光HPLCで定 量した.添加回収実験の結果,6 ng/gのAF類添加で, AFB1とB2の回収率は,73.4と82.3%でRSDも6%以下 で,ほぼ良好であったが,AFG1とG2の回収率は,40.1 と43.4%でRSDも9%台であった.本法を用いて,市販 ココアパウダー3検体と調整ココア13検体を分析した結 果,ココアパウダー3検体すべてから,0.40∼0.94 ng/g のアフラトキシン類を検出し,調整ココアでは,0.10 ng/gのAFG1を検出した. 88

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参照

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