瀬戸内南岸平野部の水理地質について
斎 藤
実*・坂 束 祐 司**・栗 原 権四郎***
西 嶋 輝 之***・寺 田 道 直*
Ⅰま え が き 斬戸内地域は雨慮の少ない地帯で,農業上および工業上からみても,地下水の開発は急務である.地下水の開発の ためには,それの包蔵体である平野部地下の地質と地質構造即ち水理地質を明確にすることが必要である.このため には,従来よりさく井資料の多い瀬戸内南岸平野部即ち東より高松平野・丸亀平野・三豊平野および燵灘沿岸平野を 選び検討した.各平野の位置関係については図−1に示した.Nト十
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\高松平野 香川県 / ̄ ̄○●5..′ 三豊実習′・′′し′′{ /
徳 鳥 県 ■ / ̄■ ̄ ̄ く ●は叡近5年間に各平野で 実施された代表的試錐の 概略位置 柱状図は図−4に示してある 1:800,000 05101520km ′■■−一一一 岸 平野 ′・、〈へ ノ − {、′ −ノ、 ′ 松 、−■ ◎山 ′−−一 ̄− 掴県/、ノ
高知県 ( ノ 図−1瀬戸内南岸各平野の位置関係図 既往の300本近いさく井資料をもとにして資料の少ない地域については,電気探査を実施した.既往のさく井資料 だけでは実際のCOreがないのであるが,率いに4平野とも,当時地下水開発のため農林省および高松市当局がボ・− リングを実施中であり,これらの試料(core)について,粒度分析および微化石分析などを実施することができた. また費用の−・部は,著者の−・人斎藤に交付された文部省特定研究「瀬戸内地帯における水資源の開発に関する総合 的研究」(昭和43∼45年度分)によった.ここに記して御礼申し上げる. また試料の提供および調査の機会をあたえ.られた農林省および高松市当局に厚く御礼申し上げる.また花粉分析に ついて御指導小ただいた金沢大学藤 則雄博士にも厚く御礼申し上げる. この結果浅同・深層地下水の賦存状況が地下地質との関係において明瞭にをったので報告する.また瀬戸内地域と いう臨海地帯の特殊性も考慮して塩分侵入の様相についても検討した. をお各平野については,調査研究の終了するごとにそれぞれ発表してきた.即ち燵灘沿岸平野と三豊平野について *香川大学農学部 **香川大学教育学部 ***農林省は1968軋(7),(8)年に,また高松平野についてこは1969(9)年に発表報告した.今回は瀬戸内南岸平野部の全域につい てまとめたものである.. ⅠⅠ平野部周辺の地質 高松平野・丸亀平野および三豊平野の周辺ふよび後背地の地質は,斎藤・坂東・馬場(1964(5))によれば,中生代 の和泉層群(主として砂岩・泥岩互屑)からなる阿誤山地,その前山を構成する花崗岩類地帯,更にこれらの花崗岩 丘陵地間を埋めて,鮮新世の三豊層群および洪積層が発達している.三豊層群は古瀬戸内湖の堆酷物で,砂岩・シル ト岩よりなる.洪積層は,主として河川堆積物よりをり,3段の段丘地形がみられる. これらの段丘地の前縁に,扇状地並びに三角州性の高松・丸亀および三豊平野が発達し,沖積平野を形成している・ これらの沖積平野の間に軋花崗岩の上に,火山性堆積物をのせた小丘陵群が,浅丘状に発達しており,讃岐屑群と 呼ばれ,火山砕屑物・熔岩より構成されている.また島峡部,即ち小豆島・豊島には海成の土庄屑群と呼ばれる中新 統が発達している. 燵灘沿岸では,上記の地層群の外に,後背地とLて四国山地があり,これは三波川結晶片岩帯に属する黒色片岩お よび線色片岩より構成されている. 以上の地層群が,平野の周辺に山地,丘陵および段丘を浸して発達しているが,また同時に,結晶片岩・和泉屑群 ・中新世の土庄屑群および各種火山岩類を除いて,平野部の地下にも伏在している.深部基盤は主として花崗岩であ る.平野部表層(沖積層)は,上述の各地屑群の風化遇搬砕屑物からなり,特に著しい分布を示す和泉層群の砂岩お よび花崗岩の砕屑物により大部分が構成されている. 各平野とも,地形発達史から大まかにみれば,洪積世末期の古期扇状地が,沖墳世初期の海進により浅海底に沈み, その後の梅迫に伴い再び海面上に現われた海岸平野を,現河川の運搬する砂礫が被覆して,新期扇状地を形成してい るものである. ⅠⅠⅠ平野の地下を構成する地質 瀬戸内南岸平野の地下地質を解明するため各平野部で,今までに掘削されたさく井資料を収集すると共に,農林省 および高松市当局で,地下水開発のため実施されたテストボーリングの試料を,当局の厚意によりいただき花粉分析 を実施した. その結果は図−2および図−3に示す通りである.300本近い磐井資料と叔近5カ年以内にくっさくされた試料(all coIing.地質柱状図は図−4に示す)と花粉分析との結果から平野部地下の地質は次の様になる・ 即ちこの地域の深部地下基盤は,大部分花崗岩で,この花崗岩上に堆積している100∼200m前後の未固結ないしは 半固結の堆積層は,従来沖積層ないしは洪硫屑とされ,これらが瀬戸内南岸における主要な帯水層であると考えられ ていた.今回は下位より,次のように区分する. 1)花崗岩類(基盤岩) 2)鮮新∼洪積層,三豊屑群(湖沼成層) 3)洪積世最末期沈水性扇状地礫層 4)沖墳下部屑(旧扇状地) 5)沖硫上部屑(海成層) 6)沖積最上部屑(扇状地∼三角州性) この外,陸上部には洪積層に属する3段の段丘堆療屑(礫屑)が分布する. 1)基盤花崗岩類 基盤の花崗岩類は,いわゆる領家式の花崗岩であり,所により厚く真砂の発達する場合もある・これらの花崗岩潜 丘の位眉は,地上における花崗岩丘陵の方向に直接関係がある.即ち一腰に花崗岩の露出地に向かって浅く,離れる につれて深くをる傾向にあるが,断層夜どの影響のためか急に深くなる場合もある.特に高松平野の紫雲山の東側お よび丸亀平野の育の山の西側をどは好例で,直ちに−・100m前後になりかなりの急崖が予想され,断層の存在を思わ しめる. 高松平野で軋−100m∼−200m前後,三豊平野では−80m∼一140m,丸亀平野では−80m∼− 140m,坂出平
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、−− ここき Q Q ⊥∩ (エ〉 Q野では−60m∼−90m,燵灘沿岸では−80m∼−150m前後で,基盤の花崗岩に達するものと考えられる.. 高松平野南部の高松市林地区で行をったボ、−リングで,深度−120m前後で,凝灰角礫岩に着岩している・これは 讃岐屑群(中新世末期)に相当するものと思われるが,瀬戸内南岸平野部では,初めての着岩で,平野の南部の地下 では,花崗岩上に−・部凝灰角礫岩が残存するものと考えられる.他の地域では直接花崗岩のみで,他の地層群および 岩類は全然みられない. 2)三豊層群(鮮新”洪積世) 本屑は試錐・探井戸さく井資料からみると,60∼140m以上の屑膵を有し,黒灰色泥岩・砂岩!青色シルト岩■また はこれらの互屑からをり,下部には砂礫質となっている処もある.これからは,朋領“彗肌壷の植物化石の他に各種の 植物化石を産・する.また,図−2および図−3に示すような花粉化石を産■する.本層は湖沼性の堆積物であろう・この 地層は,ほとんど水平であり,僅かに北西方向に3∼5度傾斜する.、また,本屑は基盤の花崗岩潜丘にアバットして おり,瀬戸内平野全域が本屑の堆積盆地であったと推察される. 3)洪積世最末期沈水性扇状地礫屑 本層は,洪積世のウルムマキシマムの溺谷をうずめる洪積世最末期(アレレ・−・ド期)の扇状地堆積物であり,主と して砂礫屑である..下部は細礫交りの粗∼中粒砂であり,中部は灰色を呈する砂賀シルトからなり,上部は小礫ない し租砂からなる砂礫で,最大径は5uOcm程度である.本屑は瀬戸内海における−15′・・・一−20m平坦面を形成するもの で,また−40m平坦前には直接露出している.これは内陸の低位蘭堆撥屑に続くものと思われる. 4)沖櫓下部屑 本屑は細礫交りのシルトと砂であり,沖萬世の基底礫屑と考え.られる旧扇状地堆積物である小 5)沖積上部層 本層はピー・ト交りの枯土∼シルトからなり⊥・部に砂をはさみ,上部に行くにつれて貝ガラを含む砂となる・いわゆ る海成堆積物であり,後氷期海水準上昇期(縄文海進)の堆積物であろう.本屑の下部に普遍的に存在するピート層 は,火山灰を伴うことがあり,C14の年代は7,680年r B..P∴で,縄文早期(ボレアル期)のものであろう… 6)沖積最上部層 本屑の下位は砂礫,上部は細砂からをり,いわゆる新扇状地を形成するが,海岸に近づいては貝ガラを含み沿岸性 の梅成堆頓物よりなる. 更に参考までに,海底の地質がどのようになっているか考察する.これについては,瀬戸大橋架橋のため,備讃瀬 戸海域で多数のボ・−リングが行なわれ,海底地質が次第に明瞭になりつつある.備誤瀬戸海域の海底地質について:は, 橋梁公田の高橋幸蔵氏(未発表)の研究がある. この研究によれば,下位より 1.花崗岩質岩石(海底基盤) 2..三豊屑群(湖沼性で,鮮新世後期∼早期洪療世) 3.備讃瀬戸屑群(洪積世前期より現在までの−・連の地層) 3a.大槌島屑(2枚の海成層を含む) 3b.槌ノ戸瀬戸屑(海成層,後期洪蘭世,アレレード期) 3c,.番ノ州屑(梅成層,沖積世) となる. 以上が瀬戸内南岸平野部の地下地質であるが,これを山地,丘陵地を構成する陸上部並に海底部の地質と比較して みると一層明瞭になるい この関係を模式図として図−5に示す. 小豆島および豊島に分布する海成の中新枕である土庄屑群,讃岐岩をはじめとする各種火山岩類および海底に分布 する洪積世の海成層などは,平野部地下には全くみられない.ただ今回高松平野南部の林地区において,深度−120 m付近で,凝灰角礫岩に着岩したい これは花崗岩上に−・部讃岐屑群に相当する凝灰角礫岩が残存していることを物語るもので興味深い. 平野部における梅成層としては,臨海部に発達する縄文海進相当屑のみである.この海成の沖硫屑は,臨海部にお いて,5∼10m位の厚さで発達している.これは海底部の番ノ州屑に相当するものである.. この縄文梅進は瀬戸内地域では,余り内陸深く侵入した形跡はをい。高松平野東部の新川,春日川沿いにおよび坂
十 十 ヤ 十 十
十 十B:番の州屑 R.:現世堆枝物
T:槌の戸瀬戸屑 L.T.:低位段丘堆椀物 層 : Iz.:和泉屑群 Gr.:領有花崗岩頼 図一5 模 式 断 面 図 出低地に僅かにこん跡がみられる程度である.これは河川勾配がきつく上砂の逆搬が激しく,埋立能力が旺盛であっ たためであろう. また平野部の地下−7m∼−15m前後に白色の火山灰層が発達し,ときにピ・−トを伴っていることがある.この火山灰は重鉱物組成からみて,四国西部に発達する音地火山灰と同じものであろう.(愛媛県久万町の音地火山灰のC14
年代は7,680年±140年,B.P..)(Gak・1643) 縄文海進の最盛期の海水面上昇は一腰に5m前後とされている.この時代の梅成増療物としては,本地域で,平野 部地下以外に,大川郡引田町の花崗岩丘陵の縁辺部で,高さ5m前後付近に,貝ガラを含む礫層が付着しているのが みられた.引田貝屑と呼ぶことにする.(引田貝屑3,980年±120年,B”PL.)(Gak−2207) ⅠⅤ 水 理 地 質 上述の地下地質と地下水賦存の関係から判断すると,頼戸内南岸平野部における地下水の帯水層は,大きく次のよ うに分類される. 1)沖積最上部屑(第1礫層と呼ぶ)に依存している自由水 2)各段丘面に依存している白由水 3)沿岸部で洪積世最末期沈水性扇状地磯屑(−・部沖積初期の扇状地屑を含む)(第2礫屑と呼ぶ)に依存してい る被圧水,内陸部では,本屑のものは自由水になっている. 4)三豊屑群(今後第3層と呼ぶ)中の帯水層に依存している被圧水 5)基盤花崗岩の谷部即ち埋没谷中の被圧水.(これは主として三豊屑群の基底砂礫部又は真砂中の被庄水という ことになる.) 地下水利用状況からみると,浅井戸についてはほとんど1)および2)に依存し,探井戸では3),4)および5)に依存 するものが多い.特に最近では5)の地下水開発に注目されてよい. これら帯水層の年間水位変動は4),5)にくらべ,1),2),3)の三者ははるかに大きい.これは1),3)などは,旧河川敷 ないしは溺れ谷を理科した堆積物のため,地下水の滴養面積かせまく,主として現河川の河川流水故に支配されたり, 低位面段丘からの酒巻に依存するためであろう.2)は段丘面の降雨に依存しているためである.これに対して4),5) のものは,年間水位変動はほとんどなく安定しているが,しかし4)の場合,その平均水位は年と共に低下している. 滋近瀬戸内南岸地区で,注目される地下水脈として,基盤花崗岩の谷すじがある.即ち三豊平野・丸亀平野および 高松平野において,基盤花崗岩の地下等深線図(Omを基準とした)を作製してみた.(図−6,図−7および図−8参照) これにより,花崗岩の埋没地形が明瞭になりその谷部が明らかになった.この地下谷(三豊屑群の基底部)には, かなり大串の深層地下水が賦存するものと思われる.ここで興味深いことは,花崗岩の谷部の位置および発達方向が・ 現在の河川および旧河川敷と何らかの関係を持つことである.その関係とは,一・致するか,幾らかのずれをもつにし︵己︶国東壁静卜留Q謳躍轄胡瑚ゆ忠敬∪山敵陣ぜ﹂竹 ト・匿
図−8 三豊平野の地下構造図(m) ても並行的に走るということである.また,4)の三豊屑群中の被圧水の被庄水面等高線図を三豊平野のものについて 記すると,図−8に示すように,基盤花崗岩の地下等深線図に似ている.このことは,三豊屑群中の被庄水が,内陸部 では基盤構造に,沿岸部では三豊屑群の堆積盆地構造に支配されていることを示す・他の平野部についても同じこと が言えるようである. 各帯水層の単位m当り比湧出孟を,三豊平野のものについて求めると次のとおりである・(単位m8/day/m)) 即ち第1礫層および第2礫屑(280∼345),第2礫屑および第3屑(300)ならびに第3屑(50∼160)・ これによると,第2礫屑および第3屑から採水しているものは,第1礫屑および第2礫屑に依存しているものに似 ている.これは第2礫屑,第3屑の両者から採水しても,その多くは第2礫層に依存しているためであろう・ また燵灘沿岸では,臨海部の測定であるが,第3屑の比湧出鬼は330m8/day/mで,かなり大きい侶を示したい次 に丸亀平野であるが,四国通産局(1971(10))で行なった資料によれば,地下地質を四屑に区分している・即ち上から (1)A屑……主として礫からをる・刷A帯水層 (2)B鳳…主として粘土からをる
(8)C屑……主として砂からなる・…C帯水層 (4)D屑・基盤の花崗岩類 上述の地層区分を筆者らの分類に当てはめてみると,A屑は洪積世末扇状地礫屑(古期扇状地)と沖積世の新期扇 状地礫屈の両者に相当する.即ち帯水層からみれば,A帯水層は第1礫屑,第2礫屑に相当するものである.これか ら判断すると,丸亀平野では,第1および第2礫屑の比湧出鼠は100∼300m8/d/mで,各河川の上流地帯で大きく, 下流地帯で小さくなる傾向にある.第3屑の場合は150∼300m3/d/mとなっており海岸よりで大きくなる傾向にあ るが,坂出市の内陸部で10m8/d/mと小さくなっている. なお透水係数は次の通りである.第1礫層は10 ̄1cm/SeC台,第1および第2礫屑は10,1∼10 ̄8cm/sec台,第3屑 は10 ̄2∼10 ̄4cm/secで地域によりかをりの差異がある.即ら燵灘沿岸平野,三豊平野および高松平野では10 ̄2cm/sec 台で,有力な帯水層を形成している.これに反し丸亀・坂出平野地区では10 ̄8∼10 ̄4cm/sec となり,特に坂出平野 では10 ̄4cm/SeCとをり,透水性が悪くなっている. これは三豊層群の堆積環境による岩相上の差異で,丸亀・坂出地区では,微細粒子の堆療環境にあったものと思わ れる.特に坂出地区では著しい.この地域でも特に坂出地区はむしろ第2礫屑が有力校帯水層とをっているようであ る.三豊屑群の基底部砂礫が各地区で有力な帯水層となっているが,丸亀・坂出地区では,通産局で行なった資料に よれば,深度−100m以深の基盤花崗岩上の硬結砂(−・部真砂)は帯水層としては貧弱であるという結果が報告され ている. −・般に臨海部では,第2礫屑と第3屈が主要な帯水層となり,海岸から遠ざかるにつれて,第1礫層および第2礫 屑と第3屑が主要を帯水層となっている. 次に主要な帯水層の深度については,各平野で異なるが,燵灘沿岸では,第2帯水層は−10∼−40m,第3帯水層 は−30∼−140m付近,特に−80∼−140m付近で著しい.三豊平野では,大部分が第3屑中のもので,臨海部で−80 ∼−130m付近,特に−80∼−100m付近に有力を帯水層がある.内陸部では−30∼−50m前後となっている・・丸亀 平野では,第1および第2礫層帯水層は−10∼−40m前後,第3屑帯水層は−40∼−60mおよび−70∼−100m付 近で,第3帯水層では特に前者の発達が著しい.坂出平野では,第1および第2礫屑が主要な帯水層で−5∼−30m 前後,第3屑帯水層は期待できない.次に高松平野であるが,第1礫屈帯水層は−5∼−20mで全域に発達する.第 2礫層帯水層は−20∼−50m,第3屑帯水層は−60m以探で,特に−80∼−90mイ1近と深い部分で−150∼−180m 付近で著しい. Ⅴ 塩 水 侵 入 最近(昭和35年頃より)瀬戸内南岸平野部で,地下水中へ塩水の侵入が起りつつある.これについて,三豊平野の ものについて説明する.この結果は図−9に示す.第1礫屑および第2礫層と第3屑から採水しているものとに分類し セ図示した. 第1礫屑および第2礫屑から採水しているものの等塩分線は,財田川およびそ・の他の河川沿いに侵入すると共に, 洪積世末期扇状地堆療物の地下等探線の分布形状と似ている.(図−8).特に過剰揚水井の周辺では,斑状に高塩分池 度の所が現われるが,図では除外してある.その最大は21,500/∠ぴ/cmに達している.これに対し,第3屑のみから 採水しているものは,その池度も低く500/Jぴ/cm以下である. 三豊平野における塩水侵入は清水・和田(1965)(11)によれば,財田川の渇水時に,上げ潮による第1礫層中への浸 透と言われているが,このような現象に加えて,第1および第2礫屑の地質構造が塩水侵入に拍車をかけている.こ れはこれらの砂礫屑が瀬戸内海の −40∼−50m平坦面に直接露出しているため,過剰揚水が行なわれると簡単に塩 水の侵入が起こるものと考えられる.これは透水係数が大きいため,より簡単に起こると考えられる.また,これら の砂礫屑に十分な淡水が供給されると,地下水中の塩分池度は急激に低下する. ⅤⅠ結 語 1)瀬戸内南岸平野部の地下地質は花崗岩を基盤として(−・部に中新世末期の讃岐屑群の凝灰角礫岩),平野の地 下全域に,湖沼性の三豊屑群(鮮新世∼洪積世)が分布し,更に洪積世のウルムマキシマムの鴻れ谷を埋めて,洪積世 長束期の沈水性扇状地堆療屑および沖街屑が拡がる.沖積層は縄文海進を示す海成粘土層により,3層に区分される. 2)地下水の賦存形態は,沖積層および各段丘面堆砧屑における自由水,沿岸部の埋没沈水性扇状地堆潰屑,三豊
凡 拶u 三豊息群がら凍水しこt)う帥?噂導産 土として沖確層∼渓超世泉嗣如拙 地積物中から鰍していうもり9電導度 ∴二∴・、ご二∩、 「囲碁盤.岩娼 一一 t叫r ;、◆ ゝ・∠ こ乍 図一9 三豊平野の塩分侵入状況 層群および花崗岩の谷部または真砂中における被庄水に別けられる・ 3)三豊屑群および基盤の地下谷以外に依存する地7■水水位は不安定であるが,三豊屑群の地下水水位・も年々低下 しつつある. 4)自由水および埋没沈水性扇状地堆積屑の被圧水中には塩水侵入が起っている・三豊屑群中の被庄水には,現在 の所塩水侵入は起っていない. 文 (1)経済企画庁:土地分類基本調査(九鬼),140(19 69). (2)建設省計画局,愛媛倶:愛媛県束予地区の地盤, 173(1965). (3)西嶋卿之,栗原権四郎,斎藤 実,坂東祐司:日 本地質学会関西支部,西日本支部合同大会要旨, 11(1967). (4)西嶋輝之,栗原樅四郎,高橋幸栽,坂東祐司,斎 藤 実:第4紀(海岸平野特集号),(15),20−25 (1970)。 (5)斎藤 突,坂東祐司,馬場宰秋:1/10万香川県 地質囲および説明書,75(1964). 献 (6)斎藤 英,坂東祐司:日本地質学会関西支部,西 日本支部合同大会要旨,8(1967)い (7)斎藤 突,栗原権四郎,西鴫輝之,坂束祐司:香 川大学農工教室報告,(2),ト9(1968)い (8)斎藤 実,栗原権四郎,藤 則雄,西鴫輝之,坂束 祐司:香川大学農工教室報告,(2),9−19(1968). (9)斎藤 英,坂束祐司,西鴫輝之:高松市水資源調 査報告暫,53−112(1969). (10)四国通産局:地下水利用適正化調査報告書(香川 県誤岐地区),38(1971)け (11)清水欣−・,和田温之:日本地下水学会詰,(9)(19 65).
Onthehydrogeologyinthesouthernal1uvialplainoftheSetouchiarea
MinoruSAITO,YttjiBANDO,GonshiroKuRIHARA,TeruyukiNISHUIMAandMitinaoTERADA
S11mmary
BymeansofthehvdrogeologlCalsurveyandpollenqdiatomanalysisonthetestboringcorein
thesouthernalluvialplainoftheSetouchiarea(province oflnland ScaofSeto),ithas been
definitelyrecognizedthattherearethreegroundwaterlayerCSandsixstratainsubsurfhlCeOf.the
alluvialplain
(l)Thegeologicalsuccessioninthisareaisgivenbelow,inupwardscquence,
(a)Uppermostalluvium(fanor deltadeposits,firstaquifbr)
(b)Upperalluvium(shallowseadeposits)
(c)Loweral】uvium(fandeposits)
(d)Buriedfandeposits(Lastpleistocene〉SeCOndaquifbr)
(c)Mitoyogroup(Plio−pleistocene,lakedeposits,thirdaquif毎)
(f’)Basementrocks(Ryokegraniticrocks)
(2)ThestratabearinggrOundwateraresubdividedintotwotypeswhicharecharacterizedby
l)Fr・eeWaterinthealluvialdepositsandexposedterracedeposits,and2)Confinedwaterinthesubsur亀ceterracedeposits(buriedfandeposits)andtheMitoyogroup
(3)ThegrOundwaterintheMitoyogroupandsubsurfaccdrownedva11eyonthegraniticbase−
mentrocks are considerablystable hor・izoninlevelbutothersshowlngunStable horizon