愛知工業大学研究報告 第36号A平 成 13年 131
ラグビーゲームの継続牲に関する研究
Eアンプレアブル@ターンオーバーについて四
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園 岡本昌也t,
高津浩彰tt
, 寺田泰人tt
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Masaya OKAMOTO, Hiroaki TAKATSU, Yasuto TERADA
Abstract This research is to examine about unplayable and turnover situations and about the causes ofthese situations in rugby football game. 10 high school championship games, 4 university championship games and 2 university games are selected for samples. About numbers of sort of play, there are many mck situations in high schoollevel game and are many contact situations in univ巴rsitylevel game. About unplayable si加ations,
about 50% unplayable si印刷tionsare in mck play and tackle plays cause to many unplayable situations. About turnover situations, there are many turnover plays in ruck and field situations in university level game. There arem佃yturnover plays in ruck and tackle situations in high schoollevel game. These causes are miss plays町 1.はじめに ラグビーが「見るスポーツ」として魅力あるスポーツ となるためには,観衆視聴者など試合を見ている多くの 人々に,他のスポーツとは異なったおもしろさ,楽しさ を与えることが必要である. ラグビーのプレーの特徴は2つある 1つは,ボール ゲームでありながら,身体の接触(以下「コンタクト」 と示す)が多いという格闘的要素を備えていることであ る.もう 1つは,同じような格闘的要素を備えているア メリカンフットボールやオーストラリアンフットボール と違い,ボールの争奪場面が多く,頻繁にプレーが中断 されることもなく継続的に行われることである.特に, ルールにおいて,プレーの継続を阻害するプレーに対し ては, PKの重い罰が与えられることを見ても,継続性 はラグビーの重要視すべき特徴である.また,数年前日 本代表が海外でボールをパックスへ展開するラグビーを 行った時の観衆の興奮,評判の良さ,近年では,南半球 の国々を中心にして継続性の高いゲームが行われ人気が あること,これらは,継続性の高いゲームが魅力あるラ グビーのゲームであることを物語っているといえる. コンタクト時のボールの争奪プレーの激しさは,ボール
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愛 知 工 業 大 学 基礎教育センター(豊田市) 什 豊 田 工 業 高 等 専 門 学 校 一 般 学 科 ( 豊 田 市 )t
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市 都 学 園 短 期 大 学 商 経 科 ( 犬 山 市 ) を獲得し,攻撃を継続するための争いの結果である.ま た,それを防止,ボール獲得,攻撃に転じる防御側の争 いの結果でもある.これらの争奪の結果,アンプレアブ ル(本研究では,ボールがフoレーできない状態になるこ と,プレーが中断されることに反則やターンオーバー (相手攻撃ボールを獲得すること)の起こる原因となる ことが多い,アンプレアブルは,プレーの継続を回害し, 視覚的な魅力を低減させる.松岡ら 1)は, 1試合に吹か れる笛の回数について調査を行い, 45秒に l回という 継続性の低さを提示している.これに対して,カウンタ ーアタックプレーを引き起こすターンオーバーは,攻撃 チームを応援している観衆をがっかりさせる一方で,ボ ールを獲得したチームの応援をさらに盛り上げる原因に もなる.ラグビーのゲーム分析の研究 2) 3) 4)は多々有る が,継続性について言及したものはない そこで,我々 は,現在よりも継続性のあるプレーへの改善が視覚的魅 力あるスポーツとなるために不可欠であると考え,プレ ーの継続性を阻害する原因と反則のないターンオーバー を起こす原因の調査を行い,提示し,プレーの改善を呼 び掛けることにした. そこで本研究では,継続性のあるラグビーのゲーム を多くするために,継続を阻害するまたはプレーを中断 する(本研究では両方をアンプレアブルとする)原因 について調査する.さらに,防御チームのボールの獲得 (ターンオーバー)の原因について調査し,提示する.132 愛知工業大学研究報告,第36号 Bフ平成13年ヲ.Vo1.36-BヲMar,2001 2.調査方法 2.1対象ゲーム
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年度全国高等学校選手権大会10
試合,全国 大学選手権 4試合,関東大学対抗戦 2試合をサンプリン グゲームとした.これらの試合を,ビデオに録画し分析 を行った 2.2分析方法 図1,図2の分析用紙を作成し,プレーの種類,コン タクトブ9レーについての記述を行った. プ レ ー 融 担 入 用 輯vs
醜 半 韓量半 謡言1'1
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す キ ッ ク オ フ ス ク ラ ム 鐙 量 ラ イ ン ア ウ ト 融 ペ ナ ル テ ィ ー キ ッ ク フυ
ー キ ッ ク モ- Jレ 轍 《 問 調 酎 ラ ッ ク 酷 帽 田 剛 ド 国 ツ ブ ア ウ ト 害事点 画官主幹 離 島 幹 重吉脅す ヲ二一-h.幸吉 月ヲ二一-h.宰主 図1 種類別のプレー数記入用紙 ヨシ聖書トプト串翻醐官官~ モール・ラック・その他棚田yタクトタックルミス凶 コシ"ト鰐圏(>r-aトヨ神帥剖ト"'H'爾闇醐 有 ・ 聾 卓司拘ント回目晶肋・混同神タトか+唖酔帥同国尉 良 ー 悪 ~4-~:'- ト園E島(>7-:スト,:-ø件砕キ4咽rof~::Jシ同-.11 良 目 悪 ,.-胸躍的固刑榊岡輔園調醐 味方 ・敵目 どちらでもない :1:'-"ト崎畠In-af'榊陣瞳グイ矧糊} 節 目 直田 どちらでもない 'l:'-'~ト歯切署-ø妙時邑組側ト醐輯官醐必蝿 味方 人 ・敵 人(ファーストU円 相 人 劉 欄・トプb→ー串早書巴岨排+個神仲骨帥-.1'8) 早い 目 遅い(肝より) ・ どちらでもない 鱒ートプレーヤー申盟国劇俳+制仲冊+和咽 良 ・ 悪 凶 どちらでもない 臨辞寄唾抱B髄閣帽富艇ト瑚酷創時踊寝静叫 味 方 ・ 融 置圏E到、τ &:l.J ( I 図2
コンタクトプレー分析用紙 (1)ゲームのプレーの種類について レベルによってプレーの種類と量に違いがあるかを 調査するために,ゲームのフレーの数を調査する.調査 するプレーの種類は,キックオフ,スクラム,ラインア ウト, ドロップアウト,ペナルティーキック,フリーキ ック,モール,ラック,タックル試行数(以後コンタク ト数)である.大学はプレー数を 80で除して,また高 校は60で除した値を比較に用いた.これは,試合時間 が異なるためにプレーの頻度(毎分当たりのプレ一発生 数)を用いて比較するために行った.(
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アンプレアブルプレーについて アンプレアブルの状況について,レフリーのホイッ スルがなった原因のプレーの種類を調査する.これは, アンプレアブルが多かったプレーの改善を求めるためで ある.調査するプレーは,重い反則としてモール時のペ ナルティーキック,ラック時のペナルティーキック,フ ィールドのペナルティーキック,ラインアウトのペナル ティーキック,スクラムのペナルティーキック,フリー キックその他の反則(ノックオン,スローフォワード, アクシデンタルオフサイドなど)として,フィールドの アンプレアブル,ラインアウトのアンプレアブル,ボー ルがプレーできない状態になるモールのアンプレアブル, ラックのアンプレアブルについて調査する. さらに,ボールが継続できなかった原因についても 調査する.調査する項目は,サポートプレーヤ,ボール コントロール,ボディーコントロール,タックルについ てである. (3 )ターンオーバーについて ターンオーバーの状況についてそれが起こったプレーの 種類を調査する.プレーの種類は,モール,ラック,ラ インアウト,スクラム,タックル,フィールドプレー(一 般プレー)である. さらに,その原因について調査する 調査する項目 は,アンプレアブル同様にサポートプレーヤ,ボールコ ントロール,ボデ、イーコントロール,タックルについて である. 3結果と考察 3.1プレーの種類について ゲームのプレーの種類についての結果を図3に示す. 3.5 図3 プレーの頻度数133 ラグビーゲームの継続性に演する研究 反則を減らすこと,ラックボールを立ってプレーし,早 くパスアウトしたり持ち出すなどのボールのリサイクル プレーに心掛けることが必要であることを示している. アンプレアブルの原因について図5に示す. 40判 盟 十 35% 却 時 301も が a 25'弘
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. . , O M グラフの下の数値は, 1分あたりのプレーの発生回数 である.t検定を行った結果,ラック数とトータルコン タクト数に有意傾向がみられた.ラック数に関しては, 高校ゲームの方が多く, トータルコンタクト数に関して は,大学の方が多かった.同じようなコンタクトプレー から生じるモール数には,差がなかった.大学ゲームで は, トータルコンタクト数が高校ゲームより多いにも関 わらず,ラック数が少ないということは,コンタクト後 に密集プレーを行うことが高校ゲームと比較して少ない と考えられる.また,密集プレーを行うことなく上手に ボールをパス,ボールダウンピックアップしているとも 考えられる. グラフから,セットプレー数よりもモール・ラック が多いことが読み取れる.セットプレーは,試合の支配, 安定した攻撃などに影響するプレーであるが,試合の中 での頻度のみを考えると,練習時間の配分も密集プレー を多くした方がよいといえる. アンプレアブルの原因 複合的な原因も考えられることからパーセンテージの 合計が100%
ではない.原因は,高校,大学ともにタ ックル,ボディーコントロール,サポート,ボールコン トロールの順になった. タックルについては,タックルが原因で反則が起きた り,ボールがプレーできなくなった状態であり,全アン プレアブル数の30%
前後を占めている タックルを受 ける体勢などのファーストコンタクトの善し悪しは,そ の後のプレーの継続に影響するプレーである.相手のい いタックル,ボール保持者の良くない(この場合はボー ルを継続できないようなこと)コンタクトが反則やプレ ーできない状態を招いていると考えられる. ボテゃイーコントロールについては,ファーストコン タクトプレーヤのボディーコントロールの善し悪しがア ンプレアブルの原因になった場合である 全アンプレア ブル数の約 2 5 %を占めている.ファーストコンタクト プレーヤーのボディーコントロールが悪いと,アンプレ アブルになることを示しており,コンタクト前後の姿勢 とそのコントロールが大切なことを示している. サポートプレーについては,サポートプレーヤーの 早さとサポートプレーヤーの質がアンプレアブルの原因 になった場合である.全アンプレアブル数の約 2 0 %を 占めている サポートプレーヤのコースは,予測をして 決めることが効率良くサポートすることに影響する.高 津ら5)はプレーの予測力について競技経験の影響を示 ゲームの経験をすることによりプレーを理解 図5 しており, 3.2アンプレアブルについて アンプレアブルになった状況について図 4に示す. グラフの下の数値は, トータルのアンプレアブル数を100%
とした場合のパーセンテージである 図 4 アンプレアブルの状況 アンプレアブルになる状況として,高校と大学とも に多かったのは,ラック時のペナルティーキック,フィ ールドの反則,ラックでボールが出せなくなるアンプレ アブルであった.特に,ラック状況でのアンプレアブル が多く,大学では43. 3 %,高校では46. 4 %と約50%
の割合を占めている つまり,継続性を回害する プレーはラック時に起こることが多いと考えられる.ま この結果は,継続性を高めるためには, ラックでの 35% 330%、
q j" 25% 守F 帆 !220% 議 且15% a fち 旨10% 且 亡 コ 偲 似 D H た134 愛知工業大学研究報告,第36号B,平成13年,Vo1.36-B,Mar,2001 し,サポートプレーも改善され継続プレーにつながると いえる. 3.3ターンオーバーについて ターンオーバーになった状況について図 6に示す. 図6 ターンオーバーの状況 グラフの下の数値は, トータルのアンプレアブル数 を100%とした場合のパーセンテージである.ターン オーバーが起こる状況として,大学では,ラック,フィ ールドプレーで多く,高校では,ラック,タックルの状 況で起こっていることが多い,タックルとフィールドプ レーにおいて大学と高校に差が出たことは,ターンオー バーの起こりやすい状況が違うことを示している目ラッ クについては,高校よりも大学の方がターンオーバーの 確率が高かった. ターンオーバーの原因について図7に示す 図 7ターンオーバーの原因 複合的な原因も考えられることからパーセンテージ の合計が100%ではない.原因は,高校,大学ともに ミス,サポート,ボデ、イーコントロール,ボールコント ロールの順になった.大学は高校と比較してミスによる ターンオーバーが多く,高校は大学と比較してボデ、イコ ントロール,ボールコントロールによるターンオーバー が多かった目 特に,ミスが原因によるターンオーバーが大学と高校 ともに多かったーボールを保持することは,試合に勝つ ための大原則であり,ミスを少なくする必要がある.ま た,ミスを起こさせるようなフレッシャーを相手に与え, ボールをターンオーバーすることも防御側チームにとっ ては重要なことである. 4.まとめ 本研究の結果から以下のことが示唆された. ( 1 ) レベルの違う高校大学でプレーの頻度を比 較したところ,ラック数で高校の方が多く, トータルコンタクト数で大学の方が多かっ た. ( 2) アンプレアブルの状況として,ラックの状 況におけるアンプレアブルが多いことが示 唆された また,原因として,タックルの 状況におけるアンプレアブリレが多かった. ( 3) ターンオーバーの状況として,大学では, ラックとフィールドプレーで多く,高校で は,ラックとタックルの状況で多いことが わかった また,原因として,ミスによる ターンオーバーが多かった.攻撃側はミス をなくすこと,防御側はプレッシャーを与 えミスを誘発することがボール保持にとっ て大切であると考えられる. (参考引用文献) 1)松岡敏男,福地和夫,寺田泰人,岡本昌也,野々 村博:ラグビーフットボールのゲーム分析一全国教 員大会を中心としてー,岐阜大学教養部研究報告, VoI.33179-190,1996. 2)橋本修:ラグビーフットボールの分析,新潟大学 教養部研究報告, Vo1.556-65,1975 3)橋 本 修 : ラ グ ビ ー ゲ ー ム の 分 析 (II)ーボール獲 得と攻撃法についてー,新潟大学教養部研究報告, Vo1.763-77,1977.
ラグビーゲームの継続性に関する研究 4)佐々木康:ラグビーのゲーム分析に関する一考察, 鹿屋体育大学研究紀要, VoL267-72,1987, 5)高津浩彰,岡本昌也,寺田泰人:ラグビー選手の 心理的競技能力について,スポーツ方法学研究, Vo1.13-1 101-106,2000 (受理平成 13年3月19