幾何学序論1 K.Ichihara
有理数とは
有理数の集合の構成 有理数の定義 約分 有理数の演算 逆数 有理数の除法 有理数の集合の濃度
練習問題
幾何学序論1
市原一裕
2015年6月29日(月)2, 4限
幾何学序論1 K.Ichihara
有理数とは
有理数の集合の構成 有理数の定義 約分 有理数の演算 逆数 有理数の除法 有理数の集合の濃度
練習問題
小テスト
直積集合 N × N の
(a, b) ∼ (c, d) ⇔ a + d = c + b
で定義される同値関係による商集合として Z を定義したとして,以下の問いに答えなさい.
1. − 5 の定義を書きなさい.
2. 5 × − 1 = − 5 を示しなさい.
3. − 5 < 0 を示しなさい.
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練習問題
有理数の定義
定義 3.4.1【Q,有理数(rational number)】
直積集合Z×(Z− {0})を考える.
ここで,
(m, n)∼(m′, n′)⇔mn′=m′n
で定義される関係を考えると,これは同値関係になる.
そこで,商集合 Z×(Z− {0})/∼を考え,
この集合を有理数の集合 Q と定義し,
その各要素を 有理数 と定義する.
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注意
注意 3.4.1
分母に 0 が来ないようにするため,
Z×Zではなく,Z×(Z− {0})を考える.
注意 3.4.2
Qの「Q」は,Quotient (商)の頭文字.
注意 3.4.3
また公理的に定義することも可能(標数0の素体として).
ここでの構成は,一般に,環から商体を作る構成法.
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約分
注意 3.4.3【約分】
Q=Z×(Z− {0})/∼の要素で,
その代表元が(m, n)のものをmn で表す.
このとき,任意のk∈Z− {0}に対して,次が成り立つ.
m n = km
kn
つまり,(m, n)を代表元とする同値類と,
(km, kn)を代表元とする同値類は等しい.
注意 3.4.5
n∈Zに対して,(n,1)を代表元とする同値類
(つまり,Q=Z×(Z− {0})/∼の要素)をnで表し,
整数n∈Zと同一視する.
この同一視によって,Qの部分集合{n1 ∈Q|n∈Z}と整 数の集合Zとの間に全単射を作ることができる.
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有理数の演算
定義 3.4.2【有理数の演算】
(a, b)を代表元とする同値類x∈Qと,
(c, d)を代表元とする同値類y∈Qに対して,
x+y:= (ad+bc, bd)を代表元とする同値類
x×y:= (ac, bd)を代表元とする同値類 と定義する.また,x−y:=x+ (−y)と定義する.
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有理数の演算の性質
注意 3.4.6
これらの演算の定義については,整数の演算のように,
well-defined であることを示しておく必要がある.
注意 3.4.7
有理数の大小関係も,整数のときと同様に定義する.
注意 3.4.8
これらの演算について,結合法則・交換法則・分配法則など,
これまで使って来たような性質は,きちんと証明できる.
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有理数の逆数
定理 3.4.1【有理数の逆数】
a
b,cd ∈Qについて,ab ×dc = 1ならば cd = baが成り立つ.
注意 3.4.9
言い換えると,(a, b)を代表元とする同値類x∈Qと,
(c, d)を代表元とする同値類y∈Qに対して,
x×y= 1ならば,yは(b, a)を代表元としてもつ.
さらに言い換えると,
x×y= 1ならば,(c, d)∼(b, a)となる.
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有理数の除法
定義 3.4.3【有理数の除法】
x, y∈Qに対して,商x÷yを「x=y×zをみたす要素z」 として定義する.
注意 3.4.10
次の定理により,このようなx÷yは必ず存在して,ただ 一つである.
定理 3.4.2
Q=Z×(Z− {0})/∼の元 ab とdcについて,次が成立.
a b ÷ c
d = a b × d
c
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練習問題
有理数の集合の濃度
定理 3.4.3
自然数の集合Nと有理数の集合Qは対等である.
つまり,全単射N→Qが存在する.
また言い換えると,Qは可算集合である.
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練習問題
練習問題
直積集合Z×(Z− {0})の
(m, n)∼(m′, n′)⇔mn′=m′n
で定義される同値関係による商集合としてQを定義したと して,以下の問いに答えなさい.
練習問題 3.4.1 2
3 = 4
6が成り立つことを示しなさい.
練習問題 3.4.2 2
3 ×2
5 を計算しなさい.
練習問題 3.4.3 2÷3 = 2
3 を示しなさい.