• 検索結果がありません。

宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の成 立(一)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の成 立(一)"

Copied!
27
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

佐古田 彰

一 .問 題 の所 在

1.宇 宙 条 約6条 第 一 文 前 段 に お け る 特 別 の 帰 属 の 規 則 2.本 稿 の 目 的

3.一 般 国 際 法 の 観 点 か ら見 た6条 第 一 文 前 段 に 関 す る 疑 問 二.1963年 宇 宙 法 原 則 宣 言5項 及 び1967年 宇 宙 条 約6条 の 審 議

1.宇 宙 条 約 と宇 宙 法 原 則 宣 言

2.法 原 則 宣 言5項 第 一 文 ・第 二 文 の 審 議(以 上 本 号)

一 .問 題 の所 在

1.宇 宙 条 約6条 第 一 文 前 段 に お け る特 別 の 帰 属 の 規 則

国家 は,自 国 の 国家 機 関 の 行 為 につ い て責 任 を負 うが,私 人 の行 為 につ い て は責 任 を負 わ な い とい う こ と は,国 際 慣習 法 上 確 立 した 原 則 で あ る1)。 こ の 問 つ ま り,い ず れ の者(自 然 人 また は 自然 人 の 集 団)の 行 為 に つ い て 国家 は

1)C.Eagleton,TheResponsibilityofStatesinlnternationalLaw(1928),pp.44‑45,

52‑53,76‑80,93;山 本 草 二 『国 際 法(新 版)』(有 斐 閣,1994年)635,640頁;

P.Malanczuk,Akehurst'sModernIntroductiontoInternationalLaw,7thed.

(1997),pp.257‑259.ま た,国 連 国 際 法 委 員 会(ILC)の1996年 「国 家 責 任 に 関 す る 条 文 草 案 」(YearbookoftheInternationalLawCommission(hereinaftercited

as"YblLC")1996,voLILPartTw(),pp.58‑65)(以 下 「1996年ILC草 案 」)5条 及 び11条,及 び2001年 の 改 訂 草 案(「 国 際 違 法 行 為 に つ い て の 国 家 の 責 任 に 関 す

る 条 文 草 案 」 と 改 題)(Offi'ciagRecordsOftheGeneralAssembly(hereinafter citedas"GAOR"),F鍍y厩 κ魏session,SupplementIVo.10(A/56/10),pp.43‑59)

(以 下 「2001年ILC改 訂 草 案 」)4条 参 照 。

〔221〕

(2)

責 任 を負 うか,言 い換 え る とい ず れ の者 の 行 為 が 国 家 責 任 法 上 の 国 家 の行 為 と み な さ れ るか,更 に 言 い 換 え る と,国 家 責 任 法 上 い ず れ の者 の 行 為 が 国 家 に帰 属 す る(attributable;imputable)か,と い う 問 題 を規 律 す る 国 際 法 規 則(以 下 「帰 属 の規 則 」 とす る 。)は,よ り一 般 的 に言 い 換 え る と,国 家 責 任 の発 生

とい う法 効 果 と の 関 連 で,法 人 で あ る 国 家 の 行 為 とみ な さ れ る べ き 自然 人 また は 自然 人 の 集 団 の行 為 の 基 準 を ど の よ うに 設 定 す る か の 問題 を 規 律 す る 規 則 で あ る2)。

慣 習 法 上 の 帰 属 の 規 則 に 関 す る上 述 の 原 則 を一 般 国 際 法 上 の 原 則 と して 考 え る と き(以 下 「帰 属 原 則 」 とす る。),宇 宙 法 分 野 で は これ と異 な る特 別 の 規 則 が 存 在 す る 。 こ れ を規 定 す る の が,1967年 の 「月 そ の 他 の天 体 を含 む宇 宙 空 問 の 探 査 及 び 利 用 にお け る 国 家 活 動 を律 す る 原 則 に 関 す る条 約 」3)(以 下 「宇 宙 条 約 」 とす る。)で あ る。 宇 宙 条 約6条 は,次 の よ う に規 定 す る。

条約 の 当事 国 は,月 その他 の天体を含む宇宙空間における自国の活動 について, そ れが政 府機 関 に よって行 われ るか非 政府 団体 に よっ て行 われ るか を問 わず,国 際 的責任 を有 し,自 国の 活動 が この条約 の 規定 に従 っ て行 われ る こ とを確 保 す る 国 際的責 任 を有 す る。月 そ の他 の 天体 を含 む宇 宙空 間 にお け る非 政府 団体 の活 動 は,条 約 の 関係 当事 国の 許可 及 び継続 的監 督 を必要 とす る もの とす る。 国際機 関 が 月そ の他 の天体 を含 む宇宙 空 間にお い て活動 を行 う場 合 に は,そ の国際 機 関及 び これ に参加 す る条約 の 当事 国 の双方 が この条 約 を遵守 す る責任 を有 す る。

この 第 一 文 前 段 は,国 家 は 自 国 の 活 動(nationalactivities)に つ い て 責 任 を 負 うべ き こ と を規 定 しつ つ,そ の 自 国 の 活 動 に は 政 府 機 関す な わ ち 国家 機 関 に よ っ て行 わ れ る もの だ け で は な く,非 政 府 団 体 す な わ ち私 人 に よ っ て行 わ れ る もの も含 む とす る 。 つ ま り,国 家 は,一 般 国 際 法 上 の 帰 属 原 則 と異 な り,宇 宙

2)佐 古 田 彰 「 帰 属 要 件 の 認 定 基 準 」 『早 稲 田 法 学 会 誌 』46巻(1996年)2頁 参 照 。

3)610UnitedNationsTreαtiesSeries205.1967年1月27日 署 名,同 年10月10日 発 効 。

(3)

法 分 野 で は,宇 宙 条 約 の こ の規 定 に基 づ き,私 人 の行 為 につ い て も責 任 を負 わ な け れ ば な らな い の で あ る。 この 宇 宙 条 約6条 第 一 文 前 段 の規 定 が,慣 習 法 上 の 原 則 な い し一 般 国 際 法 上 の 原 則 に対 す る 例 外 を定 め て い る とい う理 解 に つ い て は,学 説 上 異 論 が な い4)。

こ の 点 に関 し法 の 適 用 上 問題 と な る の は,一 般 国 際 法 上 の原 則 が 適 用 され る 場 合 と宇 宙 条 約 上 の特 別 の 規 則 が 適 用 さ れ る場 合 と を区 別 す る基 準 につ い て で あ る。 つ ま り,国 家 は,い か な る場 合 に 一 般 国 際 法 上 の 規 則 に従 い 私 人 の行 為 につ い て 責 任 を負 わ ず,い か な る場 合 に 宇 宙 条 約 に従 い 私 人 の行 為 につ い て 責 任 を負 うの か,と い う こ とで あ る。

これ ま で,学 説 上,こ の 宇 宙 条 約6条 第 一 文 前 段 の 定 め る特 別 の 規 則 につ い て,国 が責 任 を負 うべ き 「自国 の 活 動 」 の 範 囲 は何 か あ る い は特 定 の 宇 宙 活 動 に つ い て責 任 を負 うの は い ず れ の 国 か とい う形 で,宇 宙 条 約 成 立 の 当 初 か ら問 題 と され,ま た 今 日 い わ ゆ る 「宇 宙 商 業 化(spacecommercialization)」 との 関 連 で立 法 論 を交 えて よ り具 体 的 に様 々 に 論 じ られ て きた5)。 しか し,こ の 点 に つ い て,学 説 上 ほ とん ど一 致 す る と こ ろ は な くま た これ らの議 論 が 十 分 に 説 得 力 が あ る と も言 い難 い 。 こ の 問 題 が 十 分 な 解 決 を得 て い な い の は 学 者 の立 論 が 不 十 分 とい う こ と もあ る6)が,実 際 の と こ ろ この 規 定 の解 釈 は 確 か に大 変

4)山 本 草 二 「宇 宙 開 発 」 山 本 草 二 他 『 未 来 社 会 と 法 』(筑 摩 書 房,1974年)73‑74 頁;Malanczuk,supranotel,pp.204‑205;H.Bittlinger,"PrivateSpaceActivi‑

ties:QuestionsofInternationalResponsibility",ProceedingsoftheThirtieth ColloquiumontheLawofOuterSpaceヱ987(1988)(hereinaftercitedas"30

SpaceLawColloquiumヱ987"),191,p.191.こ の よ う に,そ の 用 語 法 の 違 い に も 関 わ ら ず,一 般 に,宇 宙 条 約6条 の 政 府 機 関 ・非 政 府 団 体 は そ れ ぞ れ 国 家 機 関 ・ 私 人 と 同 一 の 意 味 で 理 解 さ れ て い る 。 な お,後 述 「3.(4)」 参 照 。

5)例 え ば,野 口 曼 男 「宇 宙 条 約 〈ll>」 『外 務 省 調 査 月 報 』8巻8号(1967年)36‑37 頁;B.Cheng,"The1967SpaceTreaty",95∫ournaldudroitinternational

(1968),532,p.586.こ の 問 題 を 比 較 的 詳 し く論 じ る も の と し て,Bittlinger,smpra note4,pp.191‑193,ま た 現 行 宇 宙 法 の 不 適 切 さ を 指 摘 し,特 に 民 間 企 業 に よ る 宇 宙 輸 送 を 念 頭 に 置 い て 立 法 論 を 展 開 す る も の と し て,H.A.Wassenbergh,"Pub‑

1icLawAspectsofPrivateSpaceActivitiesandSpaceTransportationinthe

Future;InternationalResponsibilityandLiability",38SpaceLawColloquium

1995,246,pp.246‑249が あ る 。

(4)

な 困難 を伴 う。 そ の 理 由 と して は,こ の条 文 は意 味 不 明 な内 容 を多 く持 ち 「 語 の通 常 の 意 味 」(1969年 条 約 法 条 約31条1項)に 従 っ た解 釈 を そ の ま ま単 純 に採 用 す る こ とが 困 難 で あ る こ と7),及 び6条 第 一 文 前 段 に 基 づ き国 家 の責 任 が 問 題 と され た 事 例 が 存 在 しな い こ と,が 挙 げ られ よ う。 い ず れ に せ よ,こ の 規 定 を解 釈 し妥 当 な結 論 を導 くた め に は,様 々 な角 度 か ら,相 当 に 立 ち入 っ た 検 討 が 必 要 で あ る。

2.本 稿 の 目的

本 稿 は,そ の よ う な 問 題 認 識 か ら,宇 宙 条 約6条 第 一 文 前 段 の規 定 を解 釈 し 上 述 の 帰 属 の基 準 を 明 らか にす る た め の 作 業 の 一 つ と して,6条 第 一 文 及 び 第 二 文 の 準 備 作 業 と こ れ に 関 係 す る 当 時 の 学 会 ・シ ン ポ ジ ウ ム の 議 論 の 動 向 を 詳 し く検 討 し,当 時 の どの よ う な議 論 を背 景 と して こ の規 定 が 成 立 した の か を 明 らか にす る もの で あ る 。

これ まで 論 者 の 多 くは,6条 第 一 文 前 段 の規 定 の 解 釈 を 行 う に あ た り,準 備 作 業 及 び 当時 の 学 会 等 の 議 論 につ い て,簡 単 に触 れ る こ とは あ っ て も詳 し く言 及 す る こ とは な か っ た 。 しか し,以 下 の 理 由 で,こ の規 定 の 作 成 に 向 け て い か な る 議 論 が 行 わ れ た の か を詳 細 に検 討 す る こ とは,解 釈 を行 う上 で非 常 に重 要 で あ る と考 え る べ き で あ る 。

第 一 に,解 釈 の た め の 論 拠 と して の 有 用 性 で あ る。 条 約 の 準 備 作 業 は条 約 解

6)条 文 の 文 言 に 忠 実 に 従 っ た 解 釈 で は な い こ と,条 約 の 準 備 作 業 の 検 討 が 十 分 と は 言 え な い こ と,他 の 学 説 の 比 較 検 討 が 足 りな い こ と,一 般 国 際 法 と の 整 合 性 とい う 観 点 に 欠 け る こ と,「 宇 宙 空 間 に お け る 活 動 」 の 類 型 に 応 じ た 解 釈 を 行 っ て い な い こ と な ど で あ る 。

7)例 え ば,「 宇 宙 空 間 に お け る 活 動 」 に は 地 上 で の 活 動 を 含 め る と い う解 釈 が 一 般 で あ り(例 え ば,宇 宙 物 体 の打 ち 上 げ 行 為 は そ れ 自体 地 上 で の 活 動 で あ る が こ れ が6条 第 一 文 の対 象 で な い とい う立 場 は い な い),ま た,「 国 際 的 責 任 」 の 語 を 匡 際 法 上 の 法 的 責 任 の み に 限 定 す る 立 場 は ほ と ん どい な い 。 そ の 他,6条 の 「自 匡

の 活 動(nationalactivities)」 と 条 約 タ イ トル の 「国家 活 動(ActivitiesofStates)」

の 相 違,6条 の 「宇 宙 空 間 に お け る 活 動 」 と条 約 タ イ トル の 「宇 宙 空 間 の探 査 及 び 利 用 に お け る 活 動 」 の 関 係 な ど,解 釈 上 分 か り に く い 文 言 が 少 な くな い 。6条 の 文 理 解 釈 に つ い て は,別 稿 で 詳 論 す る予 定 で あ る 。 な お,後 述 「3.」 参 照 。

(5)

釈 の補 足 的 手 段 と して一一応 の 有 用 性 が あ る(条 約 法 条 約32条)が,宇 宙 条 約6 条 第 噌 文 前 段 に つ い て は,特 に,前 述 した よ う に用 語 の 通 常 の意 味 に従 っ た解 釈 を行 う こ とが 困 難 で あ りま た6条 に基 づ き国 家 の責 任 が 問 わ れ た 事 例 が 存 在 しな い こ とか ら,そ の準 備 作 業 は,解 釈 の論 拠 と して の 比 重 が 実 は 非 常 に重 い と考 え な け れ ば な らな い 。

第 二 に,本 稿 の 内 容 を先 取 りす る こ とに な るが,こ の 規 定 の具 体 的 な 内容 に 関 わ る 直接 の審 議 記 録 が 残 され て い な い 。 そ の た め,起 草 者 意 思 を探 る に あ た っ て は,当 時 の 審 議 記 録 を丹 念 に調 べ 関 連 性 の あ る部 分 を繋 ぎ合 わ せ 場 合 に よ り推 測 で 補 う とい う 間接 的 な方 法 を用 い ざ る を得 な い 。他 方,宇 宙 条 約 作 成 の 当 時,万 国 国 際 法 学 会(lnstitutdeDroitInternational)を 始 め とす る 様 々 な 学 会 組 織 ・シ ンポ ジ ウ ム が,新 しい 国 際 法 分 野 で あ る宇 宙 法 の あ る べ き姿 を模 索 して議 論 を行 い 具 体 的 な 宇 宙 法 規 則 を積 極 的 に提 案 した が,こ れ らの 議 論 が 宇 宙 条 約 の 成 立 に 大 き な影 響 を与 え て い る。 条 文 の 直 接 の 審 議 記 録 が 残 さ れ て い な い とい う事 情 を勘 案 す る と,こ れ らの議 論 も,条 文作 成 に 関 わ る当 時 の 議 論 を知 る 上 で 貴 重 な 参 考 資料 で あ り,条 約 の準 備 作 業 と合 わ せ て積 極 的 に取 り 上 げ るべ きで あ る 。

第 三 に,宇 宙 法 とい う新 規 で か つ 現 実 的 に重 要 な法 規 則 を作 成 す る に あ た り 当 時 の 関係 国 政 府 ・機 関 ・団 体 及 び 関 係 者 た ち が 何 を 問 題 と し ど う論 じた の か を検 証 す る こ とは,決 して お ろ そ か に され るべ きで は な い 。 こ の 点 を看 過 す る と,研 究 は 単 に新 しい 現 象 と学 説 を 追 うだ け の こ と に な りか ね な い 。

なお,宇 宙 条 約6条 第 一 文 前 段 の み で な く第 一 文 後 段 及 び 第 二 文 まで 検 討 の 対 象 を広 げ た の は,本 論 で 詳 し く見 る よ う に,こ れ らの 規 定 は 同一 の 審 議 の 中 か ら作 成 され た もの で あ る た め で あ る。 ま た,実 際 の と こ ろ,第 一文 前 段 を解 釈 す る た め に は 第 一 文 後 段 及 び第 二 文 と の 関係 の 理 解 が不 可 欠 で あ る こ と,及 び,宇 宙 商 業 化 の 問 題 を考 え る に あ た り最 も重 要 な 関連 規 定 は6条 第 一 文 と第 二 文 で あ っ て8),6条 第 一 文 前 段 の み で こ の 問 題 を論 じ る こ とは で きな い とい

8)B.Cheng,"TheCommercialDevelopmentofSpaceTheNeedforNew

(6)

う こ と も,そ の 理 由 で あ る。

本 稿 は,宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の準 備 作 業 と当 時 の学 会 等 の議 論 の 動 向 を詳 し く検 討 しこ の 規 定 の成 立 に導 い た 議 論 の 内容 を明 らか に す る こ とに よ っ て,一 般 国 際 法 上 の帰 属 の規 則 が 適 用 され る場 合 と宇 宙 条 約6条 第 一 文 前段 の 定 め る帰 属 の 規 則 が 適 用 さ れ る 場 合 を 区 別 す る基 準 を明 らか に す る た め の 一 助 とす る こ と を 目的 とす る も の で あ る。

3.一 般 国 際 法 の 観 点 か ら見 た6条 第 一 文 前 段 に関 す る 疑 問

と こ ろで,6条 第 一 文 前段 の定 め る特 別 の 帰 属 の規 則 を考 察 す る に あ た り, 最 も重 要 な視 点 は,一 般 国 際 法 上 の 国 家 責 任 法 の 規 則,特 に帰 属 の 規 則 との 関 係 で あ る。 つ ま り,こ の規 定 を一 般 国 際 法 の観 点 か ら ど う理 解 す るか とい う点 で あ り,本 稿 で は 起 草 者 が こ の点 に つ い て どの よ う に 考 えた の か とい う観 点 か ら考 察 を加 え よ う と思 う。

一 般 国 際 法 上,国 家 は,国 際 法 上 の 違 法 行 為 な い し義 務 違 反 を行 う と,国 際 法 上 の 責 任(responsibility)(以 下 「違 法 行 為 責 任 」 と す る。)を 負 わ な け れ ば な ら ない9)。 そ して,上 述 の 帰 属 の 規 則 は,こ の 国 家 の違 法 行 為 責 任 が 成 立 す る た め に必 要 な 要 件 の 一 つ(帰 属 要 件)に 関 す る規 則 で あ り,こ の 規 則 に し た が っ て こ の帰 属 要 件 が 満 た さ れ た か ど うか が 判 断 さ れ る こ とに な る10)。 他 方,こ の よ う な責 任 を負 うべ き 国 は,責 任 解 除 の 義 務,す な わ ち原 状 回復,金 銭 賠 償,満 足 の 付 与 を行 う義 務 を負 う11)。 「責 任 」 は,む しろ この よ う な具 体 的 な責 任 解 除 方 法 を包 括 的 に示 す 概 念 と して理 解 し な け れ ば な らな い 。

Treaties",19∫ournalofSi)aceLaw(1991),17,p.20;H.L.vanTraa‑Engelman, CommercialUtilizationofOuterSPace(1993),p.22.

9)山 本 『 前 掲 書(国 際 法)』(注1)625,632頁;P.‑M.Dupuy,Droitinternational

pablic,5e6d.(2000),pp.433‑434,436.ま た,前 記(注1)1996年ILC草 案1条 及 び2001年ILC改 訂 草 案1条 参 照 。

10)佐 古 田 「前 掲 論 文 」(注2)2頁 参 照 。

11)山 本 『 前 掲 書(国 際 法)』(注1)656‑659頁;Dupuy,supranote9,pp.457‑460.

ま た,前 記(注1)1996年ILC草 案42‑45条 及 び2001年ILC草 案31,34‑37条 参 照 。

(7)

宇 宙 条 約6条 第 一 文(特 に そ の 前 段 部 分)は,国 際 法 上 の 違 法 行 為 な い し義 務 違 反 が あ る場 合 に 生 じる 国 際 法 上 の 責 任 を定 め て い る と一 般 に理 解 され て お り12),そ して 前 述 の よ う に そ の 第 一 文 前 段 は帰 属 の 規 則 を も規 定 して い る こ とか ら,こ の 規 定 は,少 な く と も こ の2点 に 関 して 一 般 国 際 法 上 の 国家 責 任 法 との 対 比 で 理 解 す る こ とが で き る。

こ う い っ た 一 般 国 際 法 上 の 国 家 責 任 法 との 関係 に留 意 して 改 め て6条 第 一 文 前 段 の 規 定 を読 み 直 す と,こ の 規 定 に つ い て 条 文 作 成 の仕 方 と し て い くつ か の 疑 問 が 生 じ る。これ らの 疑 問 点 を指 摘 す る こ と に よ っ て,宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・ 第 二 文 の成 立 に至 る 議 論 を見 る上 で の視 点 を提 示 して お きた い 。

(1)6条 の 位 置 づ け

第 一 の疑 問 は,6条 の 位 置 づ け で あ る 。

前 述 した よ う に,宇 宙 条 約6条ag‑一 文(特 に前 段)は,国 家 責 任(違 法 行 為 責任)に 関 す る規 定 で あ る。 そ れ に対 し,第 二 文 は非 政 府 団 体 が 宇 宙 活 動 を行 う場 合 に つ い て,第 三 文 は 国 際 組 織 が 宇 宙 活 動 を行 う場 合 に つ い て規 定 す る。

つ ま り,第 一 文 が 国家 責 任 とい う総 論 的 一 般 的 な事 項 を扱 っ て い る の に 対 し, 第 二 文 及 び 第 三 文 は 国 家 以 外 の 団 体 が 宇 宙 活 動 を行 う とい う特 殊 な場 合 を扱 っ て お り,し た が っ て,第 一 文 と第 二 文 ・第 三 文 は性 質 が 異 な る事 項 を規 律 して い る とい う こ と に な る 。

な ぜ こ の よ う な,性 質 の異 な る別 の 事 項 を扱 う規 定 が 同 一 の 条 項 に含 まれ る とい う不 自然 な規 定 振 りに な っ た の で あ ろ う か。 言 い 換 え る と,6条 は,全 体

12)山 本 「前 掲 論 文(宇 宙 開 発)」(注4)73‑74頁;J.DutheildelaRochere,"La conventionsurrinternationalisationderespace",13AnnuaireFran¢aisde1)70露

International(1967),607,p.635;M.G.Marcoff,丁 雇 彪deDroitinternational Publicdel'esPace(1973),p.533.6条 第 一 文 が 帰 属 の 規 則 を 定 め て い る と い う 理 解 そ れ 自 体 が,こ の 規 定 が 違 法 行 為 責 任 を 定 め て い る こ と を 前 提 と す る 。 な お,

6条 第 一 文 の 「責 任 」 は,違 法 行 為 責 任 以 外 の 意 味 を も 含 む と す る 見 解 は 多 い(注

7参 照)。 そ の 詳 細 は 別 稿 に 譲 る と し て,こ こ で は 少 な く と も 違 法 行 為 責 任 を 含

む と す る 理 解 に 異 論 が な い と い う 指 摘 で 十 分 で あ る 。

(8)

と して 何 を定 め よ う とす る規 定 な の で あ ろ うか 。

(2)6条 第 一 文 前 段 の 「国 際 的 責任 」 と後 段 の 「国 際 的 責 任 」 の 関 係 第 二 に,6条 第 一 文 前 段 の 「国 際 的 責 任 」 と後 段 の 「国 際 的責 任 」 の 関係 で あ る 。

こ の規 定 の 日本 語 公 定 訳 で は 「国 際 的 責任 」 の文 言 は2カ 所 に見 られ るが,正 文(宇 宙 条 約17条)の うち特 に 実 際上 重 要 な英 文,露 文 及 び仏 文 で は1カ 所 しか 用 い られ て い ない 。 つ ま り,文 の構 造 は,直 訳 す る と,「 条 約 の 当事 国 は,自 国 の 活 動 に つ い て,か つ,確 保 す る こ とにつ い て,国 際 的 責 任 を有 す る。」 で あ る。

第 一 文 前 段 の 「活 動 に つ い て の責 任 」 は,違 法 行 為 責 任 を意 味 す る と解 釈 さ れ る こ と は 先 に 指 摘 し た 通 り で あ る が,伝 統 的 に 「行 為 に つ い て の 責 任

(responsibilityforacts)」 と い う 表 現 は,一 般 国 際 法 に お い て 違 法 行 為 責 任 の 文 脈(特 に帰 属 の 規 則 に 関 して)で 普 通 に用 い られ る 表 現 で あ る13)。

他 方,後 段 の"responsibilityforassuring"(「 確 保 す る責 任 」)は,今 日特 に環 境 分 野 の 国 際 文 書 で 頻 繁 に用 い ら れ る 表 現 で あ る"responsibilitytoen‑

sure"(「 確 保 す る 責 任 」)に 類 似 した 表 現 で あ る14)。 こ の"responsibilityto ensure"に つ い て で あ る が,こ れ に 「確 保 す る義 務 」 が 含 ま れ る こ と に 異 論 は な い が,そ れ 以 外 に そ の 義 務 に違 反 し た場 合 の 責 任 な い し賠 償 が含 まれ る か ど うか は,解 釈 が 分 か れ る15)。 宇 宙 条 約6条 の 「確 保 す る責 任 」 と こ れ ら環

13)Eagletol1,smpranote1,pp.44,77‑78,93‑94;B.Cheng,GeneralPrinciplesOf LawasAPPIiedbyInternationalCourtsandTribunals(1953),pp.208‑210,213.

特 に"for"の 表 現 に つ い て,J.G.Starke,"lmputabilityinInternationalDelin‑

quencies",19BritishYearBookoflnternationalLawヱ938,104,p.112参 照 。 14)1972年 「人 間 環 境 宣 言 」 原 則21,1974年 「経 済 的 権 利i義 務 憲 章 」30条 第 四 文,1992

年 「リ オ 宣 言 」 原 則2,1992年 「 気 候 変 動 枠 組 み 条 約 」 前 文8項,1992年 「生 物 多 様 性 条 約 」3条 な ど 。 ま た,1982年 「国 連 海 洋 法 条 約 」139条 の 見 出 し に も こ の 表 現 が 用 い ら れ て い る 。

15)義 務 の み で 理 解 す る 立 場 と し て,安 藤 仁 介 「国 際 法 に お け る 国 家 の 責 任 」 『 基 本

法 学5一 責 任 』(岩 波 書 店,1984年)107頁 。 ま た,国 連 海 洋 法 条 約139条 の 見 出

し の 公 定 訳 は 「 確 保 す る 義 務 」 で あ る 。 他 方,義 務 の 他 に,確 保 で き な か っ た 場

合 の 責 任(違 法 行 為 責 任)な い し 賠 償 を も 含 む と す る 立 場 と し て,P.W.

(9)

境 分 野 等 の 「確 保 す る責 任 」 の 意 味 内容 が ど の程 度 共 通 性 を 有 す る の か は よ り 詳 細 な検 討 を 必 要 とす る16)が,少 な く と も宇 宙 条 約6条 の 「責 任 」 の語 の 意 味 そ れ 自体 の 理 解 に 関 す る 限 度 で,こ れ ら環 境 分 野 等 の 国 際 文 書 の規 定 の 解 釈 は 十 分 に参 考 に な る と言 え よ う。

そ の よ う な理 解 に 立 つ と き,前 段 の 「活 動 に つ い て の責 任 」 と後 段 の 「確 保 す る責 任 」 は,そ の 表 現 か ら考 え る な らば,当 然 に は 同一 の 意 味 と して は 理 解 で き な い こ と に な る 。 前 段 の 「責 任 」 は 「違 法 行 為 責 任 」 を含 む も の で あ る の に 対 し,後 段 の そ れ は義 務 とい う理 解 が 基 本 に あ り,違 法 行 為 責 任 を含 む とは 断 定 で きな い か らで あ る。1つ の 「国 際 的 責 任 」 の 文 言 を2つ の 異 な る 意 味 で 解 す る こ とが 果 た して 可 能 な の だ ろ うか 。 そ れ と も,両 者 を 同 一 の意 味 で 理 解 す べ きな の で あ ろ うか 。 あ る い は前 段 と後 段 を 区 別 して解 釈 す る こ と 自体,不 適 切 な の で あ ろ うか 。 条 約 の起 草 者 は,ど う い う意 図 で こ の よ う な規 定 の 仕 方 を した の で あ ろ う か 。

Birnie/A.EBoyle,InternationalLawandtheEnvironment(1992),p.92;兼 敦 子 「地 球 環 境 保 護 に お け る 損 害 予 防 の 法 理 」 『国 際 法 外 交 雑 誌 』93巻3・4号

(1994年)161,163頁 。 な お,こ れ ら の 規 定 の"responsibility"の 語 は,仏 で は"devoir"で あ り(経 済 的 権 利 義 務 憲 章 は"responsabilit6",国 連 海 洋 法 条 約 は"obligation"),仏 文 か ら は 経 済 的 権 利 義 務 憲 章 を 除 き こ れ ら の 表 現 に 違 法 行 為 責 任 を含 意 させ る こ と は 難 しい 。 更 に付 言 す る と,仏 文 の 「確 保 す る 」 は,

こ れ ら の 国 際 文 書 で は"s'assurer","veiller","faireensorte"で あ り,文 書 に よ り表 現 が 異 な る 。 宇 宙 条 約6条 第 一 文 は"veiller"で あ る 。

16)当 然 に共 通 す る と は 断 定 で きな い 理 由 と して,時 期 的 に は宇 宙 条 約6条 が 先 に 作 成 さ れ て お り,こ れ ら環 境 分 野 等 の 国 際 文 書 の 規 定 が 宇 宙 条 約6条 の 規 定 を参 考 に し た と は 言 い 切 れ な い こ と(L.B.Sohn,"TheStockholmDeclarationonthe

HumanEnvironment",14Harvard乃nternationalLawJournal(1973),423,pp.

485‑493参 照),厳 密 に は6条 と環 境 分 野 等 の 国 際 文 書 の 規 定 は 表 現 が 異 な る こ と,し か も これ らの 国 際 文 書 の 規 定 は 英 文 の 表 現 は 同 一 で あ る が 仏 文 の 表 現 は 必 ず し も同 一 で は な い こ と,宇 宙 条 約6条 ・国 連 海 洋 法 条 約139条 と 環 境 分 野 で の 関 連 規 定 は扱 う対 象 が 異 な っ て お り(前 者 は 活 動 の 法 遵 守 を 確 保 す る 責 任 で あ る の に 対 し,後 者 は 損 害 を 与 え な い よ う確 保 す る 責 任),し た が っ て そ の 「責 任 」 の 具 体 的 な 内 容 も異 な る こ とな どが 指 摘 で き よ う。た だ し,こ れ ら を 「保 証 責 任 」 と して 捉 え 共 通 し た 解 釈 を見 い だ そ う とす る立 場(山 前 掲 書(国 際 法)』(注

1)276,487頁,村 瀬 信 也 「国 際 環 境 法 に お け る 国 家 の 管 理 責 任 」 『国 際 法 外 交 雑 誌 』93巻3・4号(1994)年151‑154頁)も 有 力 で あ る 。

(10)

(3)帰 属 の規 則 を示 す た め に用 い られ る表 現

第 三 に,帰 属 の 規 則 を示 す た め に 用 い られ た6条 の 表 現 で あ る 。

宇 宙 条 約 が作 成 さ れ た 時 期 は,国 連 国 際 法 委 員 会 及 び 学 会 組 織 等 に よ り国 家 責 任 に関 す る 国 際 法 規 則 の 法 典 化 草 案 ・私 案 が作 成 さ れ た 直 後 で あ っ た。 これ らの草 案 ・私 案 で は いず れ も,帰 属 の 規 則 は 「帰 属 」 の 語 に よ り定 式 化 さ れ て お り,「 行 為 につ い て の 責 任 」 とい う表 現 は 用 い られ て い な い17)。

上 述 し た よ うに 確 か に 「行 為 に つ い て の責 任 」 と い う表 現 は帰 属 の 規 則 を示 す た め に用 い られ う る表 現 で あ る に せ よ,宇 宙 条 約6条 は なぜ,そ の 起 草 に 最 も参 考 に な り うる 時 期 に作 成 さ れ た これ ら草 案 ・私 案 で採 用 さ れ た 「帰 属 」 の 語 に よ る定 式 化 を 避 け,「 活 動 につ い て の 責 任 」 の表 現 を用 い た の で あ ろ うか 。 そ もそ も,条 約 の 起 草 者 た ち は,こ れ らの 法 典 化 作 業 に どの 程 度 注 意 を払 っ て

6条 の規 定 を作 成 した の で あ ろ う か 。

1

(4)「 政 府 機 関 」 と 「非 政 府 団 体 」 の 用 語 法

第 四 に,6条 第 一 文 前 段 の 「政 府 機 関(governmentalagencies)」 と 「非 政 府 団 体(non‑governmentalentities)」 の 用 語 法 に つ い て で あ る 。

一 般 国 際 法 上 の 帰 属 の 規 則 を 説 明 す る に あ た っ て は,宇 宙 条 約 の 作 成 当 時 そ の 用 語 法 は 必 ず し も 確 立 し て い た わ け で は な い が,一 般 に は 「国 家 機 関 (organ(agency,agent,official)ofaState;Stateorgan(agency,agent,of丘 cial))」 と 「私 人 ・個 人((private)person;(private)individual)」 の 語 が 用 い ら れ る こ と が 多 か っ た18)。

17)1961年ILCア マ ドー ル 国 家 責 任 改 訂 草 案(YblLC1961,vo1.ILpp.46ff.)第5 章(12‑17条),1961年 ハ ー バ ー ド 草 案(L.B.Sohn/R.R.Baxter,̀̀Responsibility ofStatesforInjuriestotheEconomicInterestsofAliens",55AmericanJournal

oflnternationalLaw(hereinaftercitedas"A刀IL")(1961),545)D節(特 に15,18 条),1962年 ア メ リ カ 法 律 協 会 第 ニ リ ス テ イ ト メ ン ト169‑170条(AmericanLaw Institute,Restatementofthe.Law,2nd,ForeignRelations.乙awoftheUnited

States1962(1965),pp.512‑515)。 な お,前 記(注1)1996年ILC草 案 第2章 及 び2001年ILC改 訂 草 案 第2章 で は,「 帰 属 」 と 「国 家 の 行 為 と み な す 」 の 表 現 が

用 い ら れ て い る 。 一

(11)

宇 宙 条 約 は,な ぜ こ う い っ た 一 般 に用 い られ る 語 で は な く,「 政 府 機 関」 「 政 府 団体 」 の 語 を用 い た の で あ ろ う か。

二=.1963年 宇 宙 法 原 則 宣 言5項 及 び1967年 宇 宙 条 約6条 の 審 議19) 1.宇 宙 条 約 と宇 宙 法 原 則 宣 言

宇 宙 条 約 は,1966年12月 の 国 連 総 会 決 議 の 付 属 書 と し て採 択 され 翌1967年1 月 に署 名 開 放 さ れ た 。 そ の6条 第 一 文 ・第 二 文 は,そ の3年 前 の1963年12月 採 択 され た 国 連 総 会 決 議1962号(XVIH)「 宇 宙 空 間 の探 査 及 び利 用 に お け る 国 家 活 動 を律 す る法 的 原 則 の 宣 言 」20)(以 下 「宇 宙 法 原 則 宣 言 」 また は 「法 原 則 宣 言 」 と略 す 。)5項 第 一 文 ・第 二 文 に起 源 を 持 ち,若 干 の 語 句 の 違 い は 見

られ る もの の ほ とん ど同 一 の 内 容 で あ る 。5項 の規 定 は,以 下 で あ る 。

国 は,宇 宙空間における自国の活動について,そ れが政府機関によって行われる か非 政府 団体 に よって行 われ るか を問 わず,国 際 的責任 を有 し,自 国の活 動が こ の宣 言 にお いて定 め られ る諸 原則 に従 っ て行 われ る こ とを確 保す る国際 的責任 を 有す る。 宇宙 空 間 にお ける非 政府 団体 の活動 は,関 係 国 による許 可及 び継 続 的監 督 を必要 とす る もの とす る。 国際機 関 が宇宙 空 問 にお いて活 動 を行 う場 合 には, そ の国 際機 関及 び これ に参 加 す る国が この宣言 にお い て定 め られ る諸 原則 を遵 守 す る責任 を有 す る。

18)Eqgleton,suφranote1,pp.44ff.,76ff;Cheng,supranote5(GeneralPrinciples

ofLaw),pp。180ff,208ff.;前 記(注17)ア マ ドー ル 改 訂 草 案7,12条,1961年 ハ ー バ ー ド草 案15‑17条,1962年 第 ニ リス テ イ トメ ン ト169条 。ま た,前 記(注1)1996 年ILC草 案 第2章 及 び2001年ILC改 訂 草 案 第2章 で も 同様 で あ る 。

19)国 連 で の 審 議 の 動 向 に つ い て,最 も 網 羅 的 か つ 正 確 に 紹 介 す る 資 料 と し て,UnitedNations,Yearbookofthe翫 漉41物 伽%∫ の 各 年 版,及 び,外 務 省 国 際 連 合 局 政 治 課 『国 際 連 合 第 ○ 回 総 会 の 事 業 』 の 各 年 版 が あ る 。

20)邦 訳 と して,外 務 省 国 際 連 合 局 政 治 課 『国 際 連 合 第18回 総 会 の 事 業(上 巻)』(1964 年)119‑121頁 参 照 。

(12)

実 際 の と こ ろ,後 に 見 る よ う に,宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 の 規 定 は,ほ と ん ど議 論 され る こ と な く宇 宙 法 原 則 宣 言5項 第 一 文 ・第 二 文 の 規 定 が そ の ま ま採 用 され た 形 に な っ て い る。 つ ま り,法 原 則 宣 言5項 の審 議 が,結 果 的 に宇 宙 条 約6条 の 内 容 を 決 定 した こ と に な っ た とい う こ とが で きる 。

と こ ろ で,宇 宙 条 約 及 び法 原 則 宣 言 が 国 連 総 会 に よ り採 択 され た こ とか ら分 か る よ うに,宇 宙 条 約 及 び法 原則 宣 言 は 国 連 の 場 で作 成 さ れ た もの で あ る。 具 体 的 に は,宇 宙 空 間 平 和 利 用 委 員 会(CommitteeonthePeacefUIUsesof

OuterSpace,以 下 「親 委 員 会 」 とす る。)の 下 部 機 関 で あ る 法 律 小 委 員 会 (LegalSub‑Committee)が 審 議 を行 い,そ の 審 議 結 果 を受 け て親 委 員 会 が 原 案 を作 成 し,そ れ を 国 連 総 会 第 一 委 員 会(軍 縮 ・安 全 保 障 担 当)が 審 議 ・採 択 し,更 に 国 連 総 会 が 決 議 と して採 択 す る とい う経 緯 を経 て い る 。 つ ま り,宇 宙 条 約 及 び法 原 則 宣 言 は,法 律 小 委 員 会,親 委 員 会,第 一 委 員 会 及 び総 会 の4つ の 国 連 機 関 が そ の 作 成 に関 わ っ て い る。

宇 宙 条 約 の 審 議 は,し たが っ て,こ れ ら4つ の 国 連 機 関 に よ っ て行 わ れ た, 法 原 則 宣 言 と宇 宙 条 約 の そ れ ぞ れ につ い て の 審 議 を指 す 。 以 下 で は,法 原 則 宣 言5項 第 一 文 ・第 二 文 と宇 宙 条 約6条 第 一 文 ・第 二 文 が こ れ ら4つ の 国 連 機 関 に お い て い か な る 審 議 を経 て作 成 さ れ た の か を,詳 し く紹 介 す る。

2.法 原 則 宣 言5項 第 一 文 ・第 二 文 の 審 議

1963年12月 に成 立 した 法 原 則 宣 言 の5項 第 一 文 ・第 二 文 は,元 々,私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 を禁 止 す べ きか ど うか とい う議 論 の 中 か ら生 み 出 され た もの で あ っ た 。 そ して,徐 々 に こ の私 企 業 活 動 の 問 題 が 責 任 の 観 念 と結 びつ け られ て論 じ られ る よ う に な り,5項 の作 成 に至 っ た 。 した が っ て,法 原 則 宣 言 の 審 議 を 吟 味 す る に あ た っ て は,特 に,こ の私 企 業 活 動 の 可 否 の 問題 と責 任 の観 念 とが ど うい う接 点 で 論 じ られ る よ う に な っ た の か に注 意 を払 わ な け れ ば な ら ない 。

(1)1958年 〜1962年3月 宇 宙 空 間 平 和 利 用 委 員会 第1会 期

国 連 で は,宇 宙 空 間 の 平 和 利 用 の 問 題 を取 り扱 うた め,1958年12月 に国 連 総

(13)

会 に よ り宇 宙 空 間平 和 利 用 特 別 委 員 会 が 設 置 され,翌1959年5〜6月 に 同特 別 委 員 会 の 会 合 が 開 か れ た 。 同 年12月 に常 設 の 宇 宙 空 間 平和 利 用 委 員 会(親 委 員 会)が 設 置 され た が,委 員 会 の構 成 国 や 表 決 方 法 な どで 米 国 とソ 連 が 対 立 し約 二 年 にわ た っ て 会 合 が 開 か れ な か った 。 第1回 会 合 が 開 か れ た の は1961年11月 で あ る。

こ の 親 委 員 会 の 第1会 期(第2回 会 合 以 下)が 開 か れ た の は,翌1962年3月 で あ る 。 こ の会 期 で,委 員 会 の各 国 代 表 が様 々 な発 言 を行 っ た が,本 稿 の 関 心 に 関係 す る の は ソ連 代 表 の 次 の発 言 で あ る 。

宇 宙 空 間 の 探 査 に お け る 国 際 協 力 を発 展 させ る た め ,宇 宙 空 間へ の進 出,探 査及 び 利 用 は,そ の 政 府 が 宇 宙 空 間 に お け る す べ て の 活 動 につ い て 完 全 な責 任 を負 う (entirelyresponsible)国 に よ っ て 行 わ れ る べ き で あ る と い う原 則 が 表 明 さ れ る べ き で あ る 。」21)

こ れ は,後 に 明 らか に され る よ う に,私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 を禁 止 す る とい う 趣 旨 で あ る。こ の ソ 連 の 発 言 に対 し,い くつ か の 東 欧 諸 国 が 支 持 を表 明 し た22)。

西 側 諸 国 か らは この 点 に 関 す る発 言 は な か っ た 。

こ の 第 ユ会 期 は,特 に何 らか の結 論 を得 る こ とは な く,科 学 技 術 小 委 員 会 と 法 律 小 委 員 会 を設 置 して 閉 会 した23)。

(2)1962年5〜6月 法 律 小 委 員会 第1会 期

上 記 親 委 員 会 第1会 期 後 に 開 か れ た 法 律 小 委 員 会 第1会 期 は,当 初 宇 宙 活 動 に 関 わ る法 律 問 題 を一 般 的 に討 議 して い た が,米 国及 び ソ連 が この 会 期 の 途 中 で そ れ ぞ れ条 文 形 式 の提 案 を2つ ず つ 提 出 して か ら,小 委 員 会 は そ の4つ の提

21)A/AC.105/PV.3,p.26.こ の 発 言 の 原 語 は,ロ シ ア 語 で あ る 。 22)チ ェ コ ス ロ バ キ ア(A/AC.105/PV.4,p.32);ハ ン ガ リ ー(lbid.,PV.6,p.32)

ブ ル ガ リ ア(lbid.,PV.7,pp.28‑30)。

23)同 会 期 で 採 択 さ れ た 報 告 書(A/5109andCorr.1)参 照 。

(14)

案 を審 議 す る こ と と な っ た 。

そ の う ち,ソ 連 宣 言 案 「宇 宙 空 間 の探 査 及 び利 用 に 関 す る 国 家 活 動 を律 す る 基 本 原 則 の 宣 言 」24)7項 は,次 の よ う に規 定 した 。

宇 宙空 問 の探査 及 び利用 に関す るすべ て の種 類 の すべ ての活 動 は,専 らかつ排 他 的 に 国 によ って行 われ る もの とす る。 国が 宇宙 空 間 に打 ち上 げ る物体 に対 す る当 該 国 の主権 的権 利 は,そ の 国 に よ り保 持 され る もの とす る。

この 第 一 文 は,上 記 親 委 員 会 第1会 期 で の ソ連 発 言 を定 式 化 した 内容 で あ り, これ に よ りソ連 は,私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 を禁 止 す る 旨改 め て 明 示 的 に 主 張 し た25)。ソ連 の この 宣 言 案 を き っ か け に,私 企 業 に よ る 宇 宙 活 動 の 可 否 に つ い て, 大 き な論 争 を引 き起 こす こ と に な っ た 。

法 律 小 委 員 会 で は,こ の ソ連 案 に対 し,東 欧 諸 国 が 支 持 した26)が,西 側 諸 国 は,他 国 の政 策 に干 渉 す る も の とか,多 くの 国 の 社 会 経 済 的 な考 え 方 と抵 触 す る と して,強 硬 に 反 対 した27)。 特 に,英 国が,Telstarに 言 及 して ソ 連 案 に 反 対 し て い る こ とが 注 目 さ れ る28)。 ま た,フ ラ ン ス は,一 方 で ソ連 案7項 反 対 しつ つ も,同 項 が 不 適 切 に計 画 され た 活 動 を防 止 す る た め ラ イ セ ンス を発 行 して 自国 領 域 か らの 宇 宙 船 の 打 ち上 げ を国 が 規 律 す べ き とい う趣 旨 で あ る な ら7項 は 考 慮 され う る,と い う見 方 も示 し て い る29)。 こ れ は,私 企 業 活 動 の 規 律 の必 要 を初 め て 指 摘 した も の で あ る。 な お,米 国 は 当初 ソ連 案 の この 規 定

24)A/AC.105/C.2/L.1(rep.inA/AC.105/6,pp.3‑4).

25)こ の 条 項 に 関 す る ソ 連 の 説 明(A/AC.105/C.2/SR.7,p.5)参 照 。

26)チ ェ コ ス ロ バ キ ア(lbid.,SR8,p。6);ポ ー ラ ン ド(lbid.,SR9,p.8);ブ ル ガ リ ア(lbid.,SR.9,p.11)。

27)フ ラ ン ス(lbid.,SR9,p.3);カ ナ ダ(Jbid.,SR9,pp.6,7);ス ウ ェ ー デ ン (lbid.,SR11,pp.2‑3)。

28)Ibid.,SR.10,pp.3‑4.Telstarは,米 国 のNASAが 打 ち 上 げAT&T社 が 所 有 し 運 用 を 行 っ た 実 験 用 通 信 衛 星 で あ る 。 な お,後 述 「四.1.」 参 照 。

29)Ibid.,SR.9,p.3.

(15)

を 国 際 組 織 の活 動 の 禁 止 と誤 解 して 反 発 して お り30),ソ 連 か ら こ の 規 定 は私 企 業 を排 除 す る趣 旨 で あ る との 説 明 が わ ざ わ ざ な さ れ て い る31)。 オ ー ス トラ リ ア は,こ の 意 見 対 立 を受 け,ソ 連 案7項 を含 む い くつ か の 項 につ い て,政 治 的 判 断 を 必 要 とす る た め こ の 法 律 小 委 員 会 で検 討 す べ き で な い と述 べ32),問 題 の 解 決 の 先 送 り を図 っ た 。

他 方,私 企 業 活 動 の 問 題 と は別 の論 点 で あ る賠 償 責 任 の 問 題 に つ い て,こ 会 期 で提 出 され た 米 国 案 「宇 宙 船 事 故 につ い て の 賠 償 責 任 」33)3項(a)は,次 の よ うに 規 定 した 。

「宇 宙 船 の 打 上 げ に つ い て 責 任 を 負 う(responsible)国 又 は 国 際 組 織 は ,こ れ に よ り引 き起 こ さ れ る 身 体 の 傷 害,人 の 死 亡 又 は 財 産 の 損 傷 に つ い て,そ の 傷 害, 死 亡 又 は 損 傷 が 陸 地,海 域 又 は 空 域 で 生 じ る か ど うか を 問 わ ず,国 際 的 に 賠 償 責 任 を 負 う(liable)。 」

この 「打 上 げ につ い て 責 任 を負 う」 の 意 味 に つ い て 米 国 か ら説 明 が な され て い な い が,賠 償 責 任 と は 区別 され る 「打 ち 上 げ に つ い て の責 任 」 とい う表 現 が 用 い られ て い る点 は,本 稿 の 関 心 か らや や 注 目に値 す る34)。

法 律 小 委 員 会 で は,作 成 す る文 書 に 関 す る全 体 の 方 針 そ れ 自体 に 関 して 意 見 の 一 致 が 見 られ ず,ソ 連 宣 言 案 を含 む 各 国 政 府 案 を併 記 した 報 告 書35)を 作 成 す る に と ど ま っ た。 こ こ で の 討 議 に お い て は,法 原 則 宣 言5項 で規 定 され て い る よ う な,私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 に つ い て 国 が 国 際 法 上 の 責 任 を負 う とい う考

30)Ibid.,SR7,p.9.

31)Ibid.,SR.7,p.12.

32)Ibid.,SR11,p.7.

33)A/A()105/().2/L.4(rep.inA/AC.105/6,pp.6‑7).

34)な お,賠 償 責 任 の 問 題 に つ い て は,こ の よ う に す で に こ の 時 点 で,国 家 が 賠 償 責

任 を 負 う と い う こ と で ほ ぼ 意 見 が 固 ま りつ つ あ っ た 。 つ ま り,宇 宙 条 約6条 の 国

家 責 任 の 問 題 と7条 の 国 家 の 賠 償 責 任 の 問 題 は,元 々 は 別 個 の 問 題 と し て 位 置 づ

け ら れ て お り,異 な る 起 源 を 持 っ て い た と い う こ と に 留 意 し な け れ ば な ら な い 。

35)A/AC.105/6.

(16)

え方 は,い ず れ の 政 府 代 表 か ら も明確 に示 され て い な い36)。

(3)1962年9月 宇 宙 空 間 平 和 利 用 委 員 会 第2会

1962年9月 に 開 か れ た 親 委 員 会 第2会 期 で は,私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 の可 否 の 問 題 は ま だ そ れ ほ ど大 き な争 点 と な っ て い な か っ た が,い くつ か の 国が この 問題 に 言 及 した 。

ソ 連 は,私 企 業 に よ る 宇 宙 活 動 の 禁 止 を再 度 主 張 した が,そ の 理 由 の一 つ と し て,「 諸 国 が 宇 宙 空 間 に お い て 行 う す べ て の 活 動 に つ い て 十 分 な 責 任 (responsibility)を 負 う べ き こ と を確 保 す る(ensure)た め 」 と い う こ とが 示 さ れ た37)。

こ の 主 張 に 対 し,米 国 は,ソ 連 案 はTelstarの 宇 宙 で の存 在 を禁 止 し て い る と して,ソ 連 案 に対 し簡 単 に異 議 を述 べ た に と どま っ た38)。

東 側 諸 国 は,ソ 連 案 を全 面 的 に 支 持 す る か この 点 に 関 す る米 国 の 立 場 を批 判 す る 立 場 が 一一meで あ っ た39)が,チ ェ コス ロバ キ ア は,Telstarに 言 及 しつ つ, 国家 が 自国 領 域 か ら及 び 自国 民 に よ り宇 宙 空 間 で 行 わ れ るす べ て の 活 動 に つ い て十 分 に責 任 を負 う(responsible)と す る規 定 を採 用 す べ き で あ る と述 べ40), 東 側 諸 国 と して 初 め て私 企 業 活 動 を容 認 す る 考 え を示 した 。

他 方,西 側 の フ ラ ンス は,ソ 連 宣 言 案7項 が 不 適 切 に用 意 さ れ た 活 動 を 回 避 す る た め 自 国領 域 か らの 宇 宙 船 の打 ち上 げ を許 可 証 を発 行 して 国 が 規 律 す べ き とい う こ とで あ る な ら同 項 は検 討 可 能 で あ る が,7項 が す べ て の 非 政 府 的 活 動 を禁 止 す る こ と を絶 対 的 な 目的 と し て い る の で あ る な ら こ れ は 国 内 事 項 へ の 干 渉 で あ り全 く受 け 入 れ られ な い と述 べ41),ソ 連 の 考 え を 質 した 。 こ の フ ラ ン

36)ス ウ ェ ー デ ン は,賠 償 責 任 の 文 脈 に お い て,私 企 業 活 動 の 問 題 と 国 家 責 任 と を 結 び つ け て い る と 思 わ れ う る よ う な 発 言 を 行 っ て い る(A/AC.105/C.2/SR.11,p.3)

が,こ れ は 私 企 業 の 活 動 に つ い て 国 家 が 責 任 を 負 う と い う 趣 旨 で は な い 。 37)A/AC.105/PV.10,p.43.こ の 発 言 の 原 語 は,ロ シ ア 語 で あ る 。

38)lbid.,PV.12,p.30.

39)ハ ン ガ リ ー(lbid.,PV.12,p.27);モ ン ゴ ル(lbid.,PV.13,p.32)。

40)Ibid.,PVM,p.32.

(17)

ス代 表 の 発 言 に対 し,ソ 連 は,国 が 科 学 的 調 査 の 方 法 と形 態 に つ い て責 任 を負 う(responsible)の で あ る な ら,こ こ で の 不 同 意 の 程 度 は 思 わ れ る ほ ど大 き くな い と述 べ42),若 干 態 度 を軟 化 させ た が,私 企 業 の 商 業 的 活 動 に つ い て は 依 然 と して否 定 的 な ま まで あ る。 ベ ル ギ ー は,こ うい った 政 治 的 な問 題 は他 の 機 関 で 解 決 され るべ き こ と を提 案 し た43)。

東 西 の い ず れ の 陣 営 に も属 さ な い 国 は概 し て こ の 問 題 に 関 し沈 黙 を 保 っ た が,そ の 中 で,ア ラ ブ 連 合 は,こ の 会 期 中 に 宇 宙 活 動 を行 う非 政 府 団 体 の 施 設 及 び 経 験 を十 分 に 利 用 す べ き こ とを 規 定 す る規 則 案44)を 提 出 し,西 側 の 立 場 を擁 護 す る考 え を示 した 。

結 局 の とこ ろ,私 企 業 活 動 の 問 題 も含 め 委 員 会 で は な ん ら具 体 的 な規 則 につ い て合 意 で きず,各 国 案 を併 記 した 報 告 書45)を 採 択 した に と どま っ た 。

こ の 会 期 で 注 目 し う る こ と は,「 活 動 に つ い て の 責 任 」 とい う,宇 宙 条 約6 条 と同 一 の 表 現 が 審 議 で 明 確 に示 され た こ とで あ る(ソ 連 代 表 及 び チ ェ コス ロ バ キ ア代 表 の発 言)。 ま た,後 に 見 る よ う に,こ れ は前 月 の8月 にJenksの 成 した 予 備 報 告 書46)が 万 国 国 際 法 学 会 に提 出 さ れ た 直 後 で あ る こ と も,注 意 が 必 要 で あ る。

(4)1962年12月 第 一 委 員 会 第17会 期 及 び 国 連 総 会 第17会 期

国連 総 会 第 一 委 員 会 は,宇 宙 活 動 の 問題 一 般 につ い て1962年12月 か ら実 質 審 議 を 開 始 した 。 も と よ り私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 の可 否 の 問 題 は まだ 重 要 な 争 点 で は な か っ た が,い くつ か の 代 表 が こ の 問 題 を取 り上 げ た 。

41)Ibid.,PV.13,p.17.こ れ は,先 の 法 律 小 委 員 会 第1会 期 で の フ ラ ン ス の 発 言 と ほ ぼ 同 じ 内 容 で あ る 。 な お,こ の 発 言 の 原 語 は フ ラ ン ス 語 で あ る 。

42)Ibid.,PV.15,p.9.こ の 発 言 の 原 語 は,ロ シ ア 語 で あ る 。 43)Ibid.,PV.16,p.16.

44)「 宇 宙 空 間 の 平 和 利 用 に お け る 国 際 協 力 の た め の 規 則 案 」(A/A()105/L.6(rep.in A/5181,AnnexI[1,E))7項 。 ま た,こ の 規 定 に 関 す る 同 国 の 説 明(A/AC.105/

PV.16,P.4)参 照 。 45)A/5181.

46)後 述 「三.2.(1)」 参 照 。

(18)

ソ連 は こ こ で も また 宇 宙 活 動 は 国 に よ っ て の み 行 わ れ る べ き とす る 主 張 を繰 り返 した が,そ の 理 由 の一 つ と して,宇 宙 空 問 の 結 果 に つ い て の 国家 の 真 の責 任(trueresponsibility)を 確 保 す る(ensure)こ と を挙 げ た47)。 い くつ か の 東 欧 諸 国 が ソ連 を 支 持 した48)。

米 国 は,米 国 の 民 間 の通 信 衛 星 会 社 が 政 府 規 制 に服 す る こ と及 び 米 国 が こ の 会 社 の 政 策 の 監 督 につ い て 責 任 を負 う(responsible)こ と を 指 摘 し た49)。 フ ラ ンス は,ソ 連 の 主 張 に 明 確 に反 対 した50)。 英 国 は,こ の 会 期 中 に,自 国 民 に よ る宇 宙 活 動 を 国 の 権 利 と し て 明 示 的 に規 定 す る宣 言 案 を提 出 した51)。 ま た,東 西 両 陣 営 に属 さ な い い くつ か の 国 が,ソ 連 案 に異 論 を唱 え た52)。

こ の 会 期 の 最 終 日直 前 に な っ て,米 国 は,「 宇 宙 空 間 の 探 査 及 び 利 用 に 関す る原 則 宣 言 案 」53)を提 出 した 。 そ の6項 は,次 の よ うに 規 定 す る 。

そ の領域 か ら又 は その援 助若 し くは許 可 を得 て宇 宙船 が打 ち上 げ られ る国又 は 国 際 組 織 は,そ の 打 上 げ に つ い て 国 際 的 責 任(internationalresponsibility)を 負 い, そ の 宇 宙 船 に よ り地 上 又 は 空 域 に お い て 引 き起 こ され る 身 体 の 傷 害,人 の 死 亡 又

は財 産 の 損 傷 に つ い て 国 際 的 に賠 償 責 任 を 負 う(liable)。 」

これ は,先 の法律小 委員会 第1会 期 で米国が提 出 した賠償 責任 に関す る案3項

47)A/C.1/PV.1289,pp.52‑55.こ の 発 言 の 原 語 は,ロ シ ア 語 で あ る 。 48)ポ ー ラ ン ド(lbid.,PV.1290,p.6);チ ェ コ ス ロ バ キ ア(lbid.,PV.1294,p.22)。

チ ェ コ ス ロ バ キ ア は,先 の 法 律 小 委 員 会 第1会 期 で の 立 場 を 変 更 し て い る 。 49)Ibid.,PV.1289,pp.23‑25.こ の 通 信 衛 星 会 社 と は,コ ム サ ッ ト(COMSAT)を 指

す 。 コ ム サ ッ ト は,1962年8月 の 米 国 通 信 衛 星 法 に よ り 設 立 さ れ た 民 間 会 社 で あ り,営 利 を 目 的 と す る 会 社 で あ る 。 な お,後 述 「四.1.」 参 照 。

50)Ibid.,PV.1293,p.51.

51)「 宇 宙 空 間 の 探 査 及 び 利 用 に 関 す る 国 家 活 動 を 律 す る 基 本 原 則 の 宣 言 案 」(A/C.

1/879(rep.inGAOR,Seventeenthsession,Annexes,Agendaitem27,pp.9‑10))

4項 。 ま た,こ の 規 定 に 関 す る 英 国 代 表 の 発 言(A/C.1/PV.1291,p.26)参 照 。 52)ペ ル ー(lbid.,PV.1290,p.56);ア ラ ブ 連 合(lbid.,PV.1293,pp.33‑35,37)。

53)A/C.1/881(rep.inGAOR,smpranote51,p.13).米 国 は,元 々 こ の よ う な 一 般 原

則 の 作 成 に 消 極 的 な 立 場 で あ っ た 。

(19)

(a)をよ り明 確 に し,「 打 ち 上 げ につ い て の 責 任 」 を負 う た め の具 体 的 な 条 件 を 特 定 し て い る が,こ の 責 任 の 内容 は示 さ れ て い な い 。 この 宣 言 案 の 提 出 が 会 期 終 了 間 際 で あ っ た た め,そ の検 討 は 次 に 開 か れ る法 律 小 委 員 会 で行 わ れ る こ と

とな った 。

結 局 第 一 委 員 会 で は,私 企 業 活 動 の 問題 を含 め具 体 的 な結 論 に つ い て合 意 で きず,加 盟 国 に 対 し宇 宙 法 の発 展 に関 す る 国 際 協 力 を 求 め,親 委 員 会 に対 し基 本 的 法 原 則 な どの 作 成 を継 続 す る よ う要 請 す る こ とな ど を定 め る 総 会 決 議 案 を 含 む 報 告 書54)を 採 択 した に と ど ま っ た 。 国連 総 会 は こ の決 議 案 を ほ と ん ど審 議 す る こ とな く採 択 し55),決 議1802号(XV■)が 成 立 した 。

(5)1963年2〜3月 宇 宙 空 間 平和 利 用 委 員 会 第3会

翌 年1963年2月 か ら3月 にか け て,親 委 員 会 第3会 期 の会 合 が3回 ほ ど開 か れ た。 こ こで の 審議 は手 続 事 項 の み で あ り,本 稿 の 関心 か ら見 るべ き進 展 は ない 。

(6)1963年4〜5月 法 律 小 委 員 会 第2会

私 企 業 に よる 宇 宙 活 動 の 可 否 の 問 題 は,1963年4〜5月 に 開 か れ た法 律 小 委 員 会 第2会 期 で 最 も激 し く議 論 され た。 こ こ で の論 議 が 法 原 則 宣 言5項 の 成 立 に 至 る 事 情 を 明 らか に す る と し て,こ の会 期 を 重 視 す る見 方 も あ る56)。 長 く な る が そ の 審 議 内 容 を こ こ で詳 細 に取 り上 げ た い。

ソ連 は,1962年 案 を 部 分 的 に修 正 し た宣 言 案57)を 提 出 し,旧 宣 言 案 と同 様 に 私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 を禁 止 す る 旨 の規 定 を置 い た 。 新7項 は,以 下 の 規 定 で あ る。

54)A/5341(rep.inGAOR,smpranote51,p.15).

55)A/PV.1192,pp.6‑7(rep.inGAOR,Seventeenthsession,1192ndPlenaryMeet‑

ing,pp.1103‑1104).

56)山 本 草 二 『 宇 宙 通 信 の 国 際 法 』(有 信 堂,1966年)312‑313頁 。

57)A/ACユ05/C.2/L.6(rep.inA/AC.105/12,AnnexI,A).

(20)

宇 宙 空 問 の 探 査 及 び 利 用 に 関 す る す べ て の 種 類 の す べ て の活 動 は ,専 ら国 に よっ て 行 わ れ る も の と す る 。 国 が 宇 宙 空 間 に お い て 国 際 組 織 を通 じて 又 は そ の 他 の 方 法 に よ り集 団 で 活 動 を行 う場 合 は,そ の 活 動 に 参 加 す る 国 が,こ の 宣 言 に お い て 定 め られ る 諸 原 則 に 従 う責 任(responsibility)を 負 う 。」

新7項 第 一 文 は,旧7項 第 一 文 とほ ぼ 同 文 で あ る。 新7項 第 二 文 は,旧 案 に な か っ た 国 際 組 織 が 宇 宙 活 動 を行 う場 合 の規 定 で あ る。な お,旧7項 第 二 文 は, 新 案 で は8項 に移 され た。 この よ うに,ソ 連 新 宣 言 案 は,私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 の禁 止 とい う点 で は 旧宣 言 案 と変 わ って い な い が,7項 そ れ 自体 は,全 体 と し て,国 家 以 外 の 団体 に よ る 宇 宙 活 動 に関 す る規 定 と して位 置 づ け られ て い る こ とが 伺 え る。

こ の会 期 の 一 般 討 議 に お い て,ソ 連 は新7項 に つ い て次 の よ う に述 べ,私 業 に よ る 宇 宙 活 動 の 禁 止 の 主 張 を繰 り返 し た。 す な わ ち,こ の 規 定 を置 い た の は,無 責 任 な行 為 が個 人 ま た は 団 体 に よ り行 わ れ な い よ う確 保 す る(ensure) た め で あ り,私 企 業 に よ り宇 宙 空 間 で行 われ る活 動 の 増 加 は,私 的 な 資 本 主 義 的 競 争 そ の 他 国 際 協 力 の観 点 か ら望 ま し くな い現 象 を導 きか ね な い,と い う理 由 の た め で あ る58)。

こ の ソ連 の 立 場 を,東 側 諸 国 は支 持 した59)。特 に,チ ェ コス ロバ キ ア は,「宇 宙 法 の い か な る基 本 原 則 も,国 の み及 び 国 の権 利 と義 務 に の み,言 及 す べ きで あ る。 とい うの は,国 の み が 宇 宙 活 動 を行 うべ きで あ り,宇 宙 活 動 に つ い て責 任(responsibility)を 負 うべ きで あ る か らで あ る。」 と述 べ て60),ソ 連 の 立 場

を積 極 的 に 支 持 した 。

こ れ に対 し,米 国 は,次 の よ う に述 べ,私 企 業 に よ る宇 宙 活 動 の可 能 性 を確 保 す る よ う強 く主 張 した 。

58)A/AC.105/C.2/SR17,p.7.

59)ハ ン ガ リ ー(lbid.,SR.21,pp.3‑4) (lbid.,SR.23,P.9)。

60)Ibid.,SR.20,p.9.

ブ ル ガ リ ア(lbid.,SR.23,p.8)モ ン ゴ ル

(21)

「[1962年12月 の]米 国 宣 言 案 第6原 則 は ,国 際責 任(internationalresponsibility) を扱 っ て い る。 い くつ か の 例 にお い て,政 府 機 関(governmentalauthority)が 私 企 業 に対 し宇 宙 に お け る 活 動 を行 う ラ イ セ ン ス を与 え る と い う選 択 を す る こ と が あ る こ とが,認 め られ て い る 。 こ う い っ た 民 間 団 体 は,政 府 か らの 許 可 と政 府 に よ る 継 続 的 監 督 な し に,宇 宙 計 画 に従 事 す る 自由 は な い 。 自国 の 宇 宙 活 動 に つ い て の 国 の 責 任(nationalresponsibility)の 原 則 は,米 国 の1962年 通 信 衛 星 法 に 具 現 化 さ れ て い る 。 米 国 案 の 原 則 の 最 初 の 部 分 は,そ の 領 域 か ら ま た は そ の 援 助 な い し許 可 を 受 け て 宇 宙 計 画 が 行 わ れ る 場 合 の,政 府 の 国 際 責 任 を 明 確 にす る こ と を 目的 と して い る 。」61)

こ れ ら 米 ソ 間 の 対 立 す る 主 張 に 対 し て,カ ナ ダ は,ソ 連 修 正 案 が 国 際 組 織 の 活 動 に つ い て の 責 任 に つ い て 規 定 す べ き と し つ つ,自 国 の 団 体(national organization)の 活 動 は 国 家 責 任(Stateresponsibility)の 問 題 の 別 の 側 面 を 構 成 す る と 指 摘 し た 上 で,次 の よ う に,妥 協 案 を 提 示 し た 。

「無 責 任 な 活 動 を 防 止 す る た め に ,民 間 の個 人,会 社 また は団体 によ る宇 宙船 の運 用 は,国 籍 国 か ら の ラ イ セ ンス に 基 づ く場 合 を 除 き,明 示 的 に 禁 止 さ れ るべ き で あ る 。 こ の こ と は,ソ 連 の 正 当 な 関 心,つ ま り 国 が 自 国 の 団 体 と 国 際 組 織 の 宇 宙 活 動 に つ い て 最 終 的 な 責 任(finalresponsibility)を 負 うべ きで あ る とい う 関 心 を 満 足 さ せ る で あ ろ う し,ま た,[東 西]双 方 の 社 会 構 造 に 適 用 可 能 な 価 値 あ る 原 則 を起 草 す る こ とが で き よ う。」62)

,し か し,こ の カ ナ ダ の提 案 後 も,ソ 連 は,民 間 団 体 の宇 宙 活 動 の 問 題 点 と し て 破 産 の 可 能 性 を指 摘 す る と共 に,「 こ う い っ た 団体 は,国 が 自 国 の 行 動 につ い て の 責 任(responsibility)を 回 避 した い 場 合,国 に よ り行 わ れ る 活 動 の た

61)乃id.,SR20,p.12.

62)Zゐ ゴ4.,SR.21,p。6.

参照

関連したドキュメント

(大防法第 18 条の 15、大防法施行規則第 16 条の 8、条例第 6 条の 2、条例規則第 6 条の

平 成十年 度(第二 十一回 ) ・剣舞の部幼年の部 深谷俊文(愛知)少年の部 天野由希子(愛知)青年の部 林 季永子(茨城) ○

条第三項第二号の改正規定中 「

[r]

[r]

イ 障害者自立支援法(平成 17 年法律第 123 号)第 5 条第 19 項及び第 76 条第

変更条文 変更概要 関連する法令/上流文書 等 説明事項抽出結果

3.3.2.1.3.1 設置許可基準規則第 43 条第 1 項への適合方針 (1) 環境条件及び荷重条件(設置許可基準規則第 43 条第 1 項一).