重 要 産 業 團 禮 の 法 律 的 構 造
ー序論的考察としての其の経濟法上の地位i
鋤
實 方 正 雄
二
一三
四 は し が き
産 業 統 制 の 諸 型 態
ω直治統制ー㈲官治(官権)統制‑ω管理統制‑1ω協働統制
重 要 産 業 團 髄 と 從 來 の 自 主 的 組 織 盟 と の 比 較
↓ 自 主 的 一組 織 髄 の 利 ハ盈 殖 會 的 構 浩 一
訓 皇 的 組 織 讐 撃 る 聚 的 契 機
訓 重 護 業 躍 の 法 律 的 欝 に 於 け る 指 護 則
ω 排 他 的 里 程 の 原 則 1 ② 義 務 協 働 態 の 原 則 レ ω 指 導 者 原 則
重 要 由産 曲業 園 四盤 の 法 律 的 嵐 ⁝造 の 概 蜘 肋
重 要 産 業 園 韻 臓 の 法 律 的 構 鴫遊 ︑( 實 山万 ) 四 九 一
四 九 二 (七)(六)(五)(四)(三)(二)(一)
概 説
統 廟削 亘曾 の 組 織 1 ① ㎝設 山昆 ・ 解 散 1 ② 會 日 具 1 ω 一統 齢刷 會 の 機 闘 剛
統 制 會 の 目 的 と 事 ㎝業
團 驚 統 制 の 保 障
統 制 會 の 財 政
統 制 會 と 國 家 と の 關 係
統 制 組 合
は し が き
改正國 家総動員法(昭和︼六・三・三︑法律第∴九號に依る改正)は甘六の筑躍十八條に就て︑産曲菜の﹃統制又ハ﹂統制
ノ爲ニスル経螢ヲ目的トスル團禮叉ハ會肚﹄の張制設立制度を認めたのであるが︑之に基いて︑既に昭和十六
"
年八月二十九日﹃重要産業團艘令﹄(勅令第八三一號)及び同年九月一日﹃重要産業團罷令施行規則(閣令第一九
號)が制定せられ︑何れも九月一日から施行せられて居る︒本令制度の趣旨が﹃公釜優先︑職域奉公の主旨に
從て國民経濟を指導するとともに︑経濟團禮の編成に依り國民経濟をして有機的一禮として國家総力を襲揮
し︑高度國防の國家目的を達成せしむるを要ず﹄と言ふ経濟新膿制確立要綱(第一︑墓本方針の(二))の具盟
的實現に在ることは言ふ迄もなく︑又本令に依る重要産業團艦の構成に就いても,﹃経濟團禮は業者の推薦に
基き政府の認可する理事者指導の下にこれを蓮螢す﹄(経濟新禮制確立要綱第三︑(一)ノ(二))と言ふ所謂指導者
原理を豊かに看取することが出來る︒併し︑此の﹃重要産業二於ケル事業ノ統制ヲ目的トスル團禮﹄が法律上
如何なる性格を有するかに就いては︑﹃経濟團愕は之を特殊法人とす﹄(経濟新盤制確立要綱第三︑(一)ノ(︑))と
か︑政府の﹃命令二依り設立セラルル團盟ハ法人トス﹄(國家総動員法一入條二項)と立書するだけで︑必すしも
明瞭てはない︒此の問題を解明する爲めには︑先づ産業統制を目的とする從來の團罷との比較を爲すことに依
つて其の法律的構造の特色を明かにし︑次いで︑國家秩序と経濟秩序との關係と言ふ観黙から,重要産業團禮
ぷの
は公法人であるか或は私法人に属するか︑叉肚團なりや官廃機關なりやと言ふ問題に論及することが特に必要
である︒が︑本稿に於ては第嘲の論黙のみに燭れ︑後者に關する考察は別︑の機會に留保して置く埼而して︑此
等の究明の爲めにゆ︑其の前提として︑産業統制に關して考へられる諸種の型態に燭れ︑重要産業團艦に依る
産業統制がその何れに属するかを見定めて置く必要がある︒併レ︑之は全く準備的な考察に過ぎないから,そ
の卒面的な叙述を以て満足し︑立磯的乃至獲展史的な反省には及ぼない︒
二産業統制の諸型態
経濟(≦‑窪ω9魯)乃至証會(Ω8魯︒・︒冨ε或は﹁輕濟固有の生活﹂(田σq︒三︒げ窪臨吋≦ぜ房9ρ冷侍)に封し︑國家
が積極的に關與して國民経濟の統罷秩序化を計る所に維濟の統制なる現象が現はれるのであるが︑その國家的
重要産需業團需一の法律的横港(實山力)・︑四九三
四九四
關 與 の 程 度 と 言 ふ 覗 角 か ら 薦 業 統 制 型 態 を 分 類 す 沸 ば ︑ 大 艦 攻 の 様 に な る で あ ら う 漁 自 治 統 制 ﹂ .官 治 ︑( 官 椹 )
統 制 ︑ 管 理 統 制 及 び 協 働 統 制 の 四 者 が 即 ち 之 で あ る ︒ 而 し て ︑ 我 國 の 統 制 経 濟 は 斯 か る 諸 型 態 の 複 合 的 構 造 に
於 て 存 在 す る の で あ る ︒ ︑
ω , 自 治 統 制
・ 資 本 主 義 維 濟 は 最 近 に 於 け る 自 由 競 争 の 嚢 展 的 展 化 と し て の 猫 占 段 階 に 入 る と 共 に ︑ 其 の 自 然 的 志 向 の 必 然
的 結 果 と し て 自 主 的 組 織 禮 の 生 成 を 催 す に 至 つ た の で あ る が , 此 の 自 主 的 組 織 罷 を し で 自 治 的 に 螢 業 統 制 特 に
競 業 制 限 を 重 行 せ し め ︑ 國 家 は 外 部 か ら 之 に 鍔 し 監 督 指 導 を 爲 す に 止 る 場 合 を 自 治 統 制 乏 言 ふ ︒ 自 主 的 組 織 禮
と し て は カ ル テ ル と 経 濟 組 合 を 其 の 代 表 的 の も の 乏 し て 學 が 得 る が ︑ 此 の 自 主 的 組 織 艦 に 依 る 鰹 濟 の 秩 序 化
も ︑ 資 本 主 義 の 自 然 的 志 向 の み に 則 し た も め で あ る 限 り ︑ 所 謂 経 濟 の 自 己 法 則 性 の 稜 現 で あ り ︑ 未 だ 利 釜 肚 會
的 原 理 の 外 に 出 つ る も の で は な く ︑ 學 者 の 所 謂 ﹁ 自 己 統 制 経 濟 ﹂ 乃 至 は ﹁ 私 的 統 制 ﹂ で あ る ︒ 此 の 限 り ︑ 自 己
統 制 経 濟 に 關 す る 法 規 範 は 未 だ 自 治 的 経 濟 統 制 法 と は 目 し 難 い ︒ 之 に 國 家 的 契 機 が 加 へ ら れ ︑ ﹁ 國 民 経 濟 の 統
艦 的 紐 織 化 ﹂ に 意 識 的 な 關 聯 を 附 與 せ ら れ る こ と に 依 つ て ︑ 自 治 的 経 濟 統 制 法 の 封 象 た る も の と 解 す る ︒ 何 と
な れ ば ︑ 私 の 理 解 に 從 へ ば ︑ ・維 濟 法 は 自 由 主 義 経 濟 の 修 正 原 理 と し て 作 用 す る こ と を 要 す る の み な ら す ︑ 憂 に
國 民 経 濟 の 統 艦 秩 序 の 形 成 ﹃ 向 け ら れ た 手 段 た る の 性 質 を 帯 有 す る こ と を 要 す る か ら で あ る ︒ 重 要 産 業 統 制 法
に 依 る カ ル テ ル 的 統 制 や 商 業 組 合 法 ・ 工 業 組 合 法 ・ 貿 易 組 合 法 等 に 依 る 組 合 統 制 が 丁 度 之 に 該 當 す る ︒ 而 し
て︑斯くの如き自主的組織禮が利釜結合的原理の支配を受けて居る限り︑之に依る國民維濟の組織化は﹁利釜
肚會的統罷秩序﹂と呼ばるべき性格を憺つて居るものと解すべきであらう︒︑㍉,
②官治統制(官椹)統制︑
︑私企業に封し︑國家が直接其のイニシヤテイヴに依つて關與し︑之に監督.制限.指導を加へる場合であ
るゆ此塵に於ては︑統制法は︑経濟固有の生活特に私企業の自律的生活に封する計書的措置の實行手段として
現はれる︒之を資本主義経濟の基礎構造である競業と言ふ観黙から見れば︑官治統制は競業艦制の慶止にある
のではなくして︑競業の國家的制限乃至は競業秩序の國家的形成と言ふことを其の目的とするものである︒此
の種に屡する典型的立法は︑石油事業法・人造石油製造事業法・自動車製造事業法その他の}聯の統制事業法
である︒何れも事業開設の許可制度・事業開始義務や事業織績義務の設定・事業計書の攣更命令等の具罷的方
策を認めて居る︒術︑此の統制事業法に合せて︑或る種類の國策會肚法(特殊會枇法)をも此の種統制型態の︑
範曉に馬せしめても差支あるまい︒即ち︑私の所謂﹁國家的事業統制會肚﹂としての特殊會肚で︑各個私企業
の解艦的統合を困難とし叉は競業の塵棄を不得策とする場合に於て︑それ等の事業を國民経濟的見地より國家
目的に向けて綜合指導する爲めの強力なる中央統制機關として設立せられる場合である︒從つて︑所謂﹁カル
テルの國家化﹂叉は﹁強制カルテル﹂の輔型態として︑特殊會砒は國家的維濟指導の憺當機關たる}種の公的
性格を有するものである︒その具盟的事例としてに︑日本通蓮株式會耽法(昭和=一年)・日本楡出農産物株式
重要産業團盟の法往的講造(實方)四九五
四 九 六 '
會杜法(曜和︑一五年)・日本肥料株式會融法(昭和日.五年)働石炭配給統制法(昭和一五年ー日本石炭橡式會祉).木材
統制法(昭和一五年‑日本木材株式會肚)・鷲系業統制法(昭和一六年ー日本懲糸統制株式會杜)9等を學示する事が出
來るであらう︒此の様な理解に從へば︑総動員法第十七條の襲動に依る張制カルテル(陸蓮統制令五條)や商
工・貿易・組合法に依る統制のみを目的とする張制設立組合に依る競業統制も亦︑官治統制と言添に相懸し
い︒弐に︑工場事業境管理令(昭和一三年)に依る私企業の管理は︑官治統制の範疇に於ける國家的關與の最も
強度のものと解すべきである︒︑'
③管理統制..
國家が自ら事業主盟として繧濟を経螢する場合である︒斯かる事態は︑從來と錐も鐵道・郵便・電信・電話
等の部門に於で見られた所であるが︑最近とみに重要性を加へて來たのは経濟統制機關としての國策會杜法の
進展である漁それは︑競孚的地位にあつた從來の私企業を解艦して一個の企業に統合し︑強椹的企業合同乃至
は公櫨的トラストを形成することに外ならない︒此の場合には︑國策會杜は當該國策的事業の猫占盟たる法的
地位を取得するのであつて︑之は﹁國家的濁占事業會肚﹂と呼んでよからう︒何れにしても︑國策會肚は國と
ド
経 螢 と の 間 に 形 成 さ れ た 法 人 な の で あ つ て ︑ 換 言 す れ ば ︑ 國 が 其 の 國 家 目 的 達 成 に 必 要 な 事 業 経 螢 に 付 き ︑ 事
業 資 金 の 獲 得 其 の 他 螢 利 企 業 に 就 い て 獲 達 し た 法 的 技 術 を 利 用 す る 爲 に ︑ 私 法 的 企 業 型 態 株 に 株 式 會 肚 型 態 を
探 り た 場 合 と 言 ふ 可 き で あ る ︒ 斯 く し て ︑ 此 の 方 法 は 適 正 な る 競 業 の 寄 與 力 を 全 然 抱 棄 す る こ と で あ る か ら ︑
︑
競業饅制を基本原理とする産業経濟に野する最も深烈な國家的干渉と言ふ可く︑競業の制限乃適正化を本來の
意昧に於ける統制経濟と言ふならば︑此の場合は寧ろ國家に依る管理経濟と稽するのが恐らくは適當であら
う︒之に属するものとしては︑電力國家管理法昭和一三年︑改正昭和+六年)に依る日本嚢途電株式會肚︑大日
本航室株式會肚法(昭和﹂四年)︑米穀配給統制法(昭和一四年)︑に依る日本米穀株式會肚︑配電統制令(昭和一
六年),に依る配電株式會肚等を数へる事が出來る︒此等の國策會肚は其の國家的性格に於ては私企業の主膿と
明確に匪別せらる可き特異性を有するが︑其の内部構造に於ては︑株主総會その他利釜肚會的構成原理の支配
をそのま﹂保持して居る︒然るに︑此の黙との樹比に於て注目に値するのは所謂﹁螢團﹂の登場である︒住宅
螢團法(昭和一六年)・帝都高速度交通螢團法(昭和一六年)及び農地開嚢法(昭和一六年)に依る螢團が之であ
つて︑企業所有者たる出資者が株式會敢に於けるが如く総會を構成して経螢に参與すると言ふ事がない鮎に本
質的な特徴がある︒之ぱ國家的性格が企業主膿の内部構成に浸透して利釜肚會的原理の支配を克搬し︑量の肚
團性を後退せしめたものと理解せねばならぬ︒此の螢團法も亦管理統制の範聴に属せしむ可きであつて︑國策
會杜法に比すれば國家的要請への一歩前進である︒.
尚︑その機能から見れば︑國家的な統制機關としてでもなく︑叉統制の爲にする維螢を目的とする團膿の場
合にも該當しないが︑その法律的形式から言へば矢張り此虞に屡せしむ可きものに︑國家総動員法に基く工場
事業場使用牧用令(昭和一四年)に依る私企業の使用・牧用がある︒私企業の所謂﹁使肘﹂は民有國螢を意味
重 要産一業國凹禮の法出伴的概⁝出氾(管ハ山力4四九七
四 九 八
し︑﹁牧用﹂は國有國螢を結果するのであるが︑國家が自ら経螢を爲す黙に於ては異る所がない︒
・︑へ以上の中︑私の所謂官治統制と管理統制とは一段に國家的統制として一括せられ︑自治統制に封立せしめら
れるのが普通である︒然るに︑私が敢て國家的統制と自治統制とを封立せしめなかつたのは次の理由に基くも
のである︒即ち↓近代國家と自由主義経濟とはその現象型態に於ては封立する存在としで複合的構成をとつて
來たのであるが︑経濟統制法なるものは自律的な経濟に甥して何等かの國家的契機を加へる所に成生の端緒を
見出すのである︒從つて︑維濟統制法と言ふ限りに於ては︑必す國家的契機の存在を要するのであつて︑此の
ことは自治統制法に就いても全く同檬であるから︑此の黙の理解を明瞭ならしめるために︑特に官椹統制と管
理統制との場合に就いてのみ﹁國家的﹂なる語を冠することを躊躇したのである︒
㈲協働統制
上述の諸統制型態は︑國家と経濟との剛鷹の封立即ち其の複合的存在を前提としつΣ︑國家が経濟の外在者
として外から之に指導統制を加へるか(自治統制と官治統制との場合)︑或は國家が輕濟を吸牧する場合であ
る(管理統制)︒然るに︑協働統制とは,國家と経濟との有機的綜合としての協働的統艘秩序の設定に依る経
濟の統制である︒國家は自律的な経濟を外から調整するのではなくして︑経濟生活の内面に沈潜して其の統櫨
秩序を形成する︒其虜に於ては︑國家と経濟との封立乃至複合的構成は減退し︑更には止揚されるゆ重要産業
團艦令は︑正に國家と経濟との斯かる有機的綜合の法律型態である︒重要産業團盤に於ける協働的統罷秩序を