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(下関口部厚みの影響について)

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(1)

上下に細長い開口部を有する水平環状すきま内に 置かれた円管の沸騰熱伝達

(下関口部厚みの影響について)

土 田 一・榎 孝本

‑ 51‑

Heat Transfer i n  B o i l i n g  from H o r i z o n t a l  Tube E n c l o s e d  by C o n c e n t r i c  Outer  Tube with 

Two H o r i z o n t a l  S l e n d e r  H o l e s  ( E f f e c t  o f  S l e n d e r  H o l e s  T h i c k n e s s )  

Hajim e  TSUCHIDA  and N  obutaka  ENOKI 

( 1 9 9 4 年 8 月 2 2 日 受理)

An e x p e r ime n t a l  i n ve s t i g a t i o n  o f  b o i l i n g  h e a t   t r a n s f e r  o f  s a t u r a t e d  HCFC‑123 has  b e e n  c o n d u c t e d   w i t h   a  h o r i z o n t a l  c y l i n d e r  which i s  2 0  m m   i n  d i a m e t e r  and  5 0  m m   i n  l e n g t h ,  and i s   e n c l o s e d  by  c o n c e n t r i c .  o u t e r   t u b e s . These ou t e r  t u b e s  have two h o l e s   w h i c h  a r e   3  m m   i n  w i d t h   and  6 0   m m   l o n g .   The  t h i c k n e s s  o f  s l i n d e r   h o l e s   ( t )   were  chan g e d  from  2 . 0  m m   t o  0 . 1  mm.  T h e   c l e a r a n c e  ( c )  b e t w e e n   t h e s e  t u b e s  r a n g e d  0 . 3 5  m m   and  0 . 7 5  mm. 

Heat t r a n s f e r   c h a r a c t e r i s t i c s   have  b e e n   demon s t r a t e d  and  d i s c u s s e d   i n  t h i s  r e p o r t .   1  .はじめに

著者らは,これまで上下に細長い開口部を有する 水平環状すきま内に置かれた円管の沸騰熱伝達特性 を検討するため, 2 円管 で構成される環状すきま寸 法を極めて狭い範囲まで変化させた場合,さらには 開 口部の形状および位置を 変化させ, 大気圧のもと にフロン系冷媒 R‑ l l に対す る飽和 沸 勝実験を行っ た 1‑3) 。狭い環状すきま内における飽和沸騰では,伝 熱面熱流束,すきま寸法および関口部の形状などに より異なるが,すきま内に形成された合体気泡によ る伝熱面近傍の過熱液層の剥奪と合体気泡放出後の 新鮮液体流入にともなう非定常熱伝導により,裸管 の場合に比較 して最大で 4 倍程度熱伝達が促 進され

る 。

本研究では, フロン系冷媒の規制にともない,代 替えフロン HCFC ‑ 1 2 3 に対 す る 沸 騰 伝 熱 特 性 を 調 べ,既存の結果との比較を行うとともに,前述の沸 騰伝熱促進に対する関口部の厚みの影響について実 験的に明らかにしようとするものである。

‑目立エンジ ニア 1 ) ングサー ビス鮒 平成 6 年 1 1 月

2.おもな使用記号

A : 伝熱管有効伝熱面積 m

a 液体の熱伝導率 m 2 / s e c  

c 伝熱管と外側円管内面 との環状すきま m 

:伝熱管直径

E  : 電圧 V 

Fo フ ー リ エ 数 = a/N 1  • c

1 電 流 A 

L  :伝熱管有効伝熱部長き m  N 1 伝熱面の温度変動周期 s e c ‑ Nu: ヌセルト数 =α ・ c / λ

Q  :供給熱 量 = E. 1 

q 伝熱面熱流束 = Q / π ・ D.L W/m T w : 伝熱管表面温度 K 

T .;被加熱流体の飽和温度 K 

~Tsat 過熱度= Tw‑T s K  α  :熱伝達率= q/~T制 W/(m

2

K)

λ  :液体の熱伝導 率 W/ ( m. K) 

3  .実験装置および方法

実験装置は既報

1)

と同一 である 。 供試伝熱管は,外

径 2 0 m m ,有効伝熱部長さ 5 0 m m の銅製で,円管表

(2)

‑ 52‑

土 田 一 ・ 榎 伸 孝

面を 0 / 4 番エメリー紙にて研磨し,内部に埋め込まれ たカートリッジヒータにより間接電気加熱で伝熱面 熱流束を与えた。また,管壁には表面から 1m m の 位置にて,軸方向中央部に円周方向上下左右 4 ケ所 に銅ーコンスタンクン熱電対が埋め込まれており,

これらの平均温度より伝熱管表面温度を算出した。

図 l は,伝熱面とこれを覆う開口部を有する円管と の関係を示す図で,④は伝熱管,①は長さ 60mm , 幅 3m m の関口部③を設けたアルミニュウム製の 円管である。伝熱管とこの外側円管内面との間には c のすきまが確保されており,所定の厚みをもっ合 成樹脂製のスペーサー⑤により一定に保持できるよ

うに工夫し,すきまゲージにて所定のすきまが得ら れていることを確認した。実験は,試験液体に代替 えフロン HCFC‑123 を使用し,下関口部の厚み t を 2 . 0 ,  1 . 0 ,  0 . 1  m m と 3 種類に変化させた。また,す きま c は,既報 1) より伝熱促進が顕著に現れた 0 . 3 5 m m に限定し,伝熱管を沸騰容器底部より 60mm 上 方に設置し,大気圧下・飽和沸騰のもとで実験を行 った。また,沸騰熱伝達特性を沸騰様相との関連で 検討するために,外側円管に透明アクリル樹脂管を 使 用 し 可 視 化 実 験 も 行 っ た 。 な お , 参 考 ま で に HCFC‑123 および R‑ll それぞれの熱物性値を表 1 に示した。

① c o n c e n t  r i c   t  u  b e  

① g r o o v e  

⑤ s p a c e r  

② cap 

① h e a t i n g  t u b e  

図 1 伝熱管と溝付き円管との関係

表 1 熱物性値

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4  .実験結果 B よぴ考察

4.  1  沸騰曲線と沸騰様相

図 2 は,下開口部の各厚み t で得られた沸騰曲線 を示したもので,図中の実線は c= ∞すなわち外側 円管がない場合の結果である。なお,図中の一点鎖 線は, R‑ll を使用して得られた既報 1 ) の結果であ

, c  =∞の場合,試験液体による差異は認められ ない。また,図 2 中の破線は,沸騰域と自然対流の 境界を示しており,熱流束にして約 q =  0.4XI0 W/m 2 である。

q  <  0 . 4 XI0 W/m 2 における低熱流束域では,い ずれの t においても c= ∞に比較し同一熱流束時 の過熱度が小きくなっている 。特に, t  =  2 . 0 ,  1 .

m m では, t  =  0 . 1  m m の場合に比較して熱伝達の 市上が顕著で, R‑ll ,  t  =  2 . 0  m m の場合とほぼ同ー の沸騰曲線となっている。このような場合の沸騰様 相を t =  2 . 0 および O.lmm について図 3 ( a ) に示し

た。なお,可視化の都合上 c は 0.5mm である。 t=

2.0mm の場合,伝熱面上で発生した気泡は,下関口 部周辺に一時停留する。そして,すきま内を通過し 上開口部から小きな気泡が間欠的に放出されている 状況がみられる。また, t  =  0 . 1  m m の場合,下関口 部に停留する気泡はほとんどみられず.大半は下関

口部より放出される。

q  =  0 . 4 XI0 4 ‑2.0XIO'W/m 2 の 中 熱 流 束 域 で は, t  =  2 . 0mm の場合,他の t に比較し同一熱流束 時の過熱度が小きくなっており, R‑ll ,  t  =  2 . 0  m m   の場合と同様な沸騰挙動を示している。すなわち,

熱流束を増しでも伝熱面温度がほとんど増加しない 現象が生じ,伝熱面に周期的な温度変動が観測され ている 。また, t  =  1 . 0 および O.lmm の場合,それ ぞれの沸騰曲線はほぽ同ーとな っており, t  =  2 . 0   m m と同様にそれぞれ熱流束域は異なるも のの,温

秋回高専研究紀要第 3 0 号

(3)

‑53‑

上下に細長い開口苦 ) 1 を有する水平環状すきま内に置かれた円管の沸勝熱伝達(下関口部厚みの影響について)

t : : :   2.0mm  / イ

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Ei 

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一 一 一 一 c  = α コ

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t  : : :   0 . 1  m m   q"'O ・ 35‑10 4 WI  m (a) 

可 │ 守

( 1   J :  

一 一 " 一 Tsuchidae t   al~

by R  ‑ 1 1  

q  <  0.4X 1 0 W /m2 における低熱流束域では, t  の減少にともない過熱度は緩やかに増加し,熱伝達 が低下している。下関口部にある程度の厚みがある 場 合,下関口部およびこの部分に接する伝熱面に気 泡が停留し,上関口部から比較的小きな気泡として 間欠的に放出される。このため,自然対流の場合よ り約 2 倍熱伝達が向上する。しかし, tの減少にとも ない下関口部近傍の伝熱面から発生した気泡のほと んどが下関口部より放出されることから,わずかな 伝熱促進にとどまっているものと考えられる。

q  = 0.4XI0

4

‑2.0XI0

W/m 2 の 中 熱 流 束 域 で は, t=2.0mm の場合,すきま内に形成された合体 気泡が伝熱面近傍の過熱液層の大半を排除し,上関 口部から放出されるため熱伝達が促進される。しか し , t の減少にともない,合体気泡が熱流束の増加と

t=2.0mm 

沸騰様相 ( c =日 . 5 mm)  t=O . lmm  q  ' "   2.0  • 10 W 1m

4 ι  

図 3

(  b  )  沸騰曲線

度変動が観測されている。このような場合の沸騰様 相を t=  2 . 0 および O.lmm の場合について,図 3 ( b )   に示した。 t =  2 . 0mm の場合,下関口部周辺の伝熱 面上で発生した気泡が合体し,一部は下関口部から も放出されるが,合体気泡の大半は伝熱面を覆うよ うに上昇し,上関口部より間欠的に放出される。し かし, t = O.lmm の場合,下関口部から放出される 合体気泡の割合が t =  2.0mm の場合に比較して多 くなり,伝熱管表面温度の変動幅は t = 2.0mm の 場合より小さいものとなっている。なお,これらの 温度変動の結果は,各測定において伝熱管表面近傍 に固定された熱電対からの 出力をペンレコーダに記 録し,時間積分平均値を用いて整理した。

q  <  2 . 0xI0 W/m 2 では, t によらず熱流束の増 加は抑制され過熱度が増大し,飽和に至る。

図 2

4 .   2  沸騰挙動に関する考察

先の沸騰様相および既報 1 ) の結呆をもとに,下関 口部の厚み t の変化による沸騰熱伝達の挙動につい て考察する。図 4 は,沸騰域における下開口部の厚 み t による過熱度 sT 叫の変化を伝熱面熱流束 q を パラメータにとり示したものである。

平成 6 年 1 1 月

(4)

‑ 5 4 ー

f 申孝

合体気泡の放出頻度比およびすきま c を基とした フーりエ数 F 。を用いて結果を整理した。この結果 を図 6 に示す。既報 1 ) で得られた式

Nu  =  2 0 . 0 ・ Fo ‑0 . 3 8  

に対し, : 1 : 40% の範囲で整理できる。これらの結果に 対する下関口部の厚み t の影響はあまり顕著に現れ ない。

一・緩

土問

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10

秋田高専研究紀要第 3 0 号 図 6

10

C : :   0 . 35mm  o t  =  2 . 0mm 

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1町 、 下開口部厚さによる過熱度の変化

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ロ 図 4

ともに下関口部からも排出きれるようになり,過熱 波層のはく脱が減少し,ここでは示していないが伝 熱面の温度変動幅も小さくなっている。このため,

過熱度が急激に増加し, t  =  2.0mm の場合に比較 し熱伝達が著しく低下するものと考えられる。なお,

t 孟1. Omm においては, t の減少にともなう過熱度 の変化はみられず,ほぽ同様な沸騰状況となってい るものと考えられる。

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伝熱面温度変動域におげる熱伝達

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4  図 5

2  10

10

1 0 ‑

2  10

8  6 

コ 4 

4 ・ 3 温度変動域に t 討する熱伝達

前述のようにいずれの t においても,既報

1)

と同 様合体気抱の放出にともなう比較的周期性のある温 度変動が観測されている。そこで,伝熱面の温度変 動を 3 0 0 s e c 測定し,温度変化の平均周期すなわち合 体気泡の放出頻度 N 1 を求め,qとの関係をそれぞ れの t について整理したものを図 5 に示した。いず れの t においても N 1 は qの増加に対し比例関係に あり,次式で整理できる。

N1c

q n ここで,

t  =  2.0mm の場合・

H

H

・ . . . . . ・

H

・ . . … n=  1 . 6 5   t  =  1 . 0mm の場合…... ・

H

・ . . . . . ・

H

・ " 0 =  0 . 8 5   t  =  O.lmm の場合...・

H

・ . . … . . ・ .

H

・ " 0 =  0 . 8 5   特に, t =  2.0mm の場合,作動流体が異なるもの の既報

1)

の結果とほとんど一致している。また,他の t に比較して同一熱流束時の放出頻度が多く,熱伝 達が促進されることと一致している。なお, t 壬1. 0 m m で n の値が小きくなっているが,この場合,前 述のように合体気泡が下関口部からも放出されるた め,過熱液層のはく脱が十分に行われないためと考

えられる。

また,それぞれの t について得られた熱伝達率を

(5)

上下に細長い間口部を有する水平環状すきま内に置かれた円管のがr, n 港熱伝達(下関口部厚みの彩轡について)

5  . ま と め

フロン系冷媒の規制にともない,代替えフロン

HCFC‑123 に対する沸騰伝熱特性を調べ,既存の結 果との比較を行うとともに,沸騰伝熱促進に対する 開口部の厚みの影響について実験的研究を行った。

本実験範囲内で得られた主な結果を以下に示す。

( 1 ) 代替えフロン HCFC‑123 に 対 す る水 平 単独 円管の郡勝熱伝達は,既存の R‑ll の伝熱特性とほぼ 一致する。また,狭い環状すきま内における沸勝伝 熱においても,環状すきま c =  0 . 3 5  r n r n ,関口部の 厚み t =  2.0mm の場合ではあるが,既存の結果と ほとんど一致する。

( 2 ) 伝 熱 面 熱 流 束 が 約 0 . 4 X  1 0 4  W  1m 2 以 下 の 低 熱流束域において,下関口部の厚み t が 1 . 0mm 以 上では,下関口部に停留する気泡の影響により熱伝 達の促進が比較的顕著であるカヘ t =  O.lmm の場

平成 6 年 1 1 月

合はわずかである。

( 3 ) 伝熱面熱流束が約 0 . 4 X1 0 4 ‑ 2 . 0 X  1 0 4  W  1m

の中熱流束域においては,下関口部の厚み t 1 . 0 mm 以下では,合体気抱の放出が一関口部からも行 われるため,伝熱面近傍の過熱波層の排除が十分に 行われず,合体気泡の放出頻度も t =  2.0mm の場 合に比較し少なく,わずかな伝熱促進にとどまる。

参考文献

1 ) 土田,相場, 日本機械学会論文集 (B 編 ) , 5 9 ‑ 5 6 8  ( 1 9 9 3 ‑ 1 2 ) ,  3 8 9 9  ‑3 9 0 5 .  

2 ) 土田,ほか 3 名,第 3 1 回日本伝熱シンポジュウ ム講演論文集, A 3 2 4  ( 1 9 9 4 ‑ 5 ) ,  7 9 9 ‑ 8 0 1 .   3 ) 土田,ほか 2 名,秋田高専研究紀要, No .  2 6  

( 1 9 9 1 ‑ 2 ) ,  1 1 ‑ 1 5 .  

参照

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