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ベ ンチ ャー起 業 の失敗 要 因に基づ く考 察

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ベ ンチ ャー起 業 の失敗 要 因に基づ く考 察

教 育 ・研 修 シス テ ム の改 善 へ の提 言 と今 後 の検 討 課題

溝 渕 新 蔵 出 川 淳

は じ め に

日本 に お い て も こ れ まで に何 回 か の ベ ンチ ャー ブ ー ム が 起 きて い る1)。 そ の い ず れ もが 不 況 へ の 対 応 と して 発 生 した ブ ー ム で あ るが,バ ブ ル崩 壊 後 の 平 成 大 不 況 に お い て は,第 三 次 ベ ンチ ャ ー ブ ー ム と して1994年 以 降,米 国 との 比 較 分 析 等 が行 わ れ,1995年4月 に は 中小 企 業 創 造 活 動 促 進 法 が 制 定 さ れ,中 小 企 業 事 業 団(現 在 の 中 小 企 業 総 合 事 業 団)に よ る 「ベ ンチ ャー プ ラザ 」 や 「ベ ン チ ャ ー財 団 」 が1996年 に 開 設 され る な ど,ベ ンチ ャー ブ ー ム の 機 運 は 間 違 い な く高 ま っ て い る。また,赤 字 で あ っ て も研 究 開発 型 企 業 で あ れ ば 公 開 で き る 「 頭 特 別 銘 柄 市 場 の 開 設 な ど も行 わ れ(1995年),政 策 面 で もベ ンチ ャ ー の 促 進 を促 そ う と し て い る。 こ の よ う に,1994年 か らス ター トした新 産 業 創 出 の 動 向 は 従 来 に な い 動 き を見 せ,1997年 ま で に ベ ン チ ャー 起 業 支 援 イ ン フ ラ が猛 烈 な ス ピ ー ドで 整 備 され た 。 しか し,起 業 支 援 イ ンフ ラが 飛 躍 的 に充 実 した に もか か わ らず,こ の イ ン フ ラ の活 用 に よっ て 具 体 的 に 起 業 件 数 が 増 加 した兆 し は な い2)。

平 成 大 不 況 か らな か な か抜 け 出 す こ とが で きず,財 政 的 に も疲 弊 しつ つ あ る

1)第 一 次 ベ ンチ ャ ー ブ ー ム は,第 一 次 石 油 シ ョ ッ ク 時 の1970年 初 頭 か ら1973年 。 第 二 次 ベ ン チ ャー ブ ー ム は,第 二 次 石 油 シ ョ ッ ク の 後 遺 症 が 癒 え た1982年 か ら 1986年 。

2)松 修 一 著,『 起 業 論 』,日 本 経 済 新 聞 社,1997。

〔261〕

(2)

日本 の現 状 に鑑 み た と き,こ の ベ ンチ ャー 企 業 の 創 出促 進 は,国 家 的 な 重 要 課 題 の一 つ で あ る こ と は ま ち が い な い 。 つ ま り,一 部 のベ ンチ ャー が 成 功 す れ ば よい とい う こ とで は な く,全 体 的 に ベ ンチ ャ ー起 業 の 成 功 率,成 功 件 数 を よ り 高 め な け れ ば な らな の で あ る が,実 態 と して は 満 足 の で き る状 況 とは い え な い 。 例 え ば,筆 者 は1999年 か ら北 海 道 に お け る 「ベ ンチ ャ ー プ ラ ザ 事 業 」(以 降, ベ ンチ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDO)に"プ レゼ ンテ ー シ ョ ン ア ドバ イ ザ ー"

と して 種 々 の 協 力 を し て い る が,し っ か り と した 定 量 的 な デ ー タ は な い3)も の の,成 功 率 は極 め て 低 い と考 えて い る 。

本 稿 は,ベ ンチ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDOが 開 始 され て か ら5年 後 の2000 年 度 に事 業 内 容 の 見 直 しの た め に 実 施 さ れ た ア ンケ ー ト調 査 結 果4)に 基 づ き, ベ ンチ ャ ー起 業 促 進 の た め の 政 策 的 要 件 な ど につ い て検 討 ・考 察 す る もの で あ

る 。 具 体 的 な 手 順 と して は,上 述 した2000年 度 の ア ンケ ー ト結 果 か ら抽 出 され た課 題 を 出発 点 と して,筆 者 らの 支 援 経 験 や 関 係 者 な どへ の ヒ ア リ ン グ な どに 基 づ きベ ンチ ャー 起 業 の 失 敗 要 因 に つ い て仮 説 立 案 し,こ れ を既 存 の 研 究 成 果

な どか ら裏 付 け る と と もに,具 体 的 な解 決 の た め の 要 件 や 課 題 を考 察 す る。

1.ベ ン チ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDOの 概 要 と 課 題 (1)事 業 の 概 要

そ もそ もベ ンチ ャ ー プ ラ ザ 事 業 とは,研 究 開 発 型 ベ ン チ ャ ー起 業 等 へ の ス キ ー ム と して1996年3月 に,経 済 産 業 省 と 中小 企 業 総 合 事 業 団 が 主 体 と な っ て 創 設 さ れ た 。 そ の 目的 は,図 表1の よ う に定 め られ て い る5)。

3)ベ ンチ ャ ー プ ラザinHOKKAIDO事 業 に お い て は,参 加 した 起 業 家 に 対 す る追 跡 調 査 も2000年 ま で は 行 っ て きて い な か っ た た め 。

4)筆 者 らが ア ンケ ー トを 設 計 し,分 析 し,北 海 道 経 済 産 業 局 に提 言 を提 出 。 5)平 成13年 度 版 中 小 企 業 施 策 総 覧 一 中 小 企 業 編 一』(財 団 法 人 中 小 企 業 総 合 研 究

機 構)よ り一 部 修 正 の う え抜 粋 。

(3)

ベ ンチ ャー起業 の失 敗要 因 に基づ く考 察 263 図 表1.ベ ン チ ャ ー プ ラ ザ 事 業 の 目 的

ベ ンチ ャー 起 業 家 と投 資 家 等 が 出 会 う 機 会 の 提 供 な ど を 行 い,ベ ンチ ャ ー 起 業 家 が 抱 え て い る 様 々 な 課 題 の 解 決 を 支 援 す る た め,次 の よ う な 内 容 の イ

ベ ン トを 各 経 済 産 業 局 ご と に 開 催 す る 。

(ア)プ レゼ ンテ ー シ ョ ン(ビ ジ ネ ス プ ラ ン の 発 表)

資 金 調 達 や 経 営 パ ー トナ ー を求 め る 方 々(起 業 家)が ビ ジ ネ ス プ ラ ン を 発 表 し,会 場 参 加 者(投 資 家,業 務 提 携 先 等)と の 質 疑 応 答,意 見 交 換 を行 う。

(イ)商 談 ・展 示 品 コ ー ナ ー

ビ ジ ネ ス プ ラ ン発 表 者(起 業 家)と 会 場 参 加 者 との 商 談 ブ ー ス を設 け る と と も に,商 談 を 円 滑 に行 う た め に 必 要 な 商 品 の 展 示 を行 う。

(ウ)情 報 提 供 コ ー ナ ー

創 業 や ベ ン チ ャ ー 起 業 に 対 し て 国 や 関 係 機 関 が 実 施 し て い る 施 策 な ど,各 種 の 情 報 を提 供 す る コ ー ナ ー を 設 置 す る 。

全 国 の 各 経 済 産 業 局6)で は 上 記 目的 に沿 っ た事 業 を,中 小 企 業 総 合 事 業 団 と もに 主 催 す る。 ベ ンチ ャー プ ラザinHOKKAIDOは そ の 一 環 と して 実 施 さ れ る事 業 で あ る 。

(2)ベ ンチ ャー プ ラ ザinHOKKAIDOへ の ア ンケ ー ト調 査 か ら抽 出 され た課 題 2000年 に実 施 した ア ンケ ー トで は,1996年 の事 業 開始 以 降5年 間 に わ た っ て 発表 された起業家 及び ブース出展企業81社 に対 して,成 功 要因や失敗 要因 の実 態 を調査 す るために実施 された。調査 内容 は起業 家の参加 目的 とその達成度合 い,お よび,産 学 官 連 携 や ベ ンチ ャ ー プ ラザ 事 業 の あ り方 な ど比 較 的 多 岐 に わ た っ て お り,そ の 分 析 結 果 は北 海 道 経 済 産 業 局 産 業 部 新 規 事 業 課 に提 出7)さ れ,2001年 度 の事 業 内 容 の改 善 に役 立 て られ た8)。

6)北 海 道,東 北,関 東,中 部,近 畿,中 国,四 国,九 州,沖 縄 。 た だ し厳 密 に は, 沖 縄 は 経 済 産 業 局 で は な く,沖 縄 総 合 事 業 局 。

7)溝 渕 新 蔵,『 新 規 創 業 促 進 の た め の ベ ン チ ャ ー プ ラ ザ 事 業 及 び起 業 家 の 課 題 』, 2001。

8)具 体 的 に は,起 業 家 の プ レ ゼ ンテ ー シ ョ ンへ の助 言 ・支 援 強 化,起 業 家 との 面 談 支 援 の 期 間拡 大,起 業 家 の要 望 に基 づ い て継 続 支 援 へ の対 応 が 大 き な変 更 点 で あ る。

(4)

この ア ンケ ー トに基 づ く分 析 の 結 果,参 加 した 起 業 家 の 期 待 と達 成 度 合 い の 差 異 か ら抽 出 され た大 き な課 題 は 以 下 の3点 で あ り,ひ い て は こ れ らが ベ ンチ

ャー 起 業 失 敗 の 大 きな 要 因 に な っ て い る と推 察 され る。

販 路 開拓 が 進 ま な い 事

資 金 調 達 機 会 が得 られ な い事

企 業 経 営 上 のパ ー トナ ーが 見 つ か らな い 事

2.課 題 の原 因 に関 す る仮 説

本 章 で は,ベ ンチ ャ ー起 業 家 が 抱 え る3つ の 課 題 の 裏 に潜 む 原 因,つ ま り, ベ ンチ ャー 起 業 失敗 の真 の 原 因 につ い て,筆 者 の 経 験 お よび ベ ンチ ャー プ ラザ inHOKKAIDOの 関係 者 か らの ヒア リ ング な ど に基 づ い て 仮 説 を構 築 す る。

(1)ベ ン チ ャ ー プ ラザinHOKKAIDOへ の 協 力 活 動 を 通 じ て得 た所 感 お よ び そ の他 関 係 者 か らの ヒ ア リ ン グ結 果

筆 者 が1999年 以 降 実 際 に ベ ンチ ャ ー プ ラザinHOKKAIDO事 業 に プ レゼ ン テ ー シ ョ ン ア ドバ イ ザ ー と して 協 力 を 開 始 し て以 来,色 々 な ア ドバ イ ス や 支 援

を行 っ て きた 中 で,起 業 家 に 対 して強 く感 じて い る こ とが らは 図 表2の 通 りで あ る。

図表2.起 業家 に対 す る所 感

・企 業経 営 に関す る基 礎知 識が 極 めて不足 して い る。

・参 加 しさえす れば販 路 が拓 け る と考 えて い る。

・参加 しさえす れば直 ぐにで も資金 を調 達 で きる と考 え てい る。

・事 業計 画書 の記 載 内容が 不十 分 あ るいは極 め て稚 拙 で ある。

・資 金計 画が極 めてず さんで あ り,実 現 可能性 が 薄 い。

・継 続的 な事 業支援 を望 む参加 者が 少 ない。

・参加 者(投 資家 ,業 務提携先)と のネッ トワークの活用の仕方において積 極性 に欠 け る。(た だ し,一 部 の起 業家 か らは,参 加 者 の積 極 さの無 さを 指摘 す る意 見 もあ る)

(5)

ベ ンチ ャー起業 の失 敗要 因 に基づ く考 察 265 また,2000年 度 に実 施 さ れ た ア ンケ ー トに 対 す る 回答 者81名(過 去 にベ ンチ ャー プ ラ ザinHOKKAIDOに 参 加 され た起 業 家)の 内訳 は 図 表3の よ う で あ り,担 当 者 や協 力 者 に対 す る ヒ ァ リ ン グ結 果 か ら は,概 ね 全 体 の傾 向 と一 致 し て い る と の こ とで あ っ た 。 た だ し,図 表3の 分 類 にか か わ らず,す べ て の 起 業 家 に対 し て 図 表2の 課 題 は該 当 して い る。 そ して,参 加 され る起 業 家 が 抱 え る 最 大 の 課 題 は 資 金 調 達 で あ る場 合 が圧 倒 的 に多 い よ う で あ る。

な お,ベ ンチ ャー プ ラ ザinHOKKAIDOの 関係 者 が 声 をそ ろ え て言 っ て い る事 柄 の 中 で 注 目す べ き点 は,"事 業 と し て 成 功 しな い もの が 多 い に もか か わ らず,そ の 事 業 の ア イ デ ア は素 晴 ら しい と思 え る もの が 圧 倒 的 に多 い"と い う 点 で あ る。

図表3.起 業 家 の内訳

これ か ら新 規 に事 業 を開始 しよ うと してい る起業 家 9%

新 規事 業 を開業 後3年 未満 の起 業家 43%

新 規事 業 を開業 後4年 以 上 の起業 家

自社 で の新規事 業 を 目論 む起業 家 35%

自社 の既存 事 業 の拡 大 を 目論 む起業 家 12%

(2)ベ ン チ ャ ー起 業 の 失 敗 原 因 に関 す る 仮 説

(1)で述 べ た 事 柄 を整 理 す る と,ベ ンチ ャ ー起 業 の 失 敗 原 因(た だ し,政 策 な ど に よる 支 援 す る 側 の 問 題 点 を除 く)は,以 下 の3点 に要 約 され る と考 え られ る 。 こ れ ら を,本 稿 にお け る ベ ンチ ャ ー 起 業 の失 敗 原 因 に 関 す る仮 説 とす る。

企 業 経 営 や組 織 運 営,事 業 計 画 書作 成 に 関 す る知 識 や技 能 の 不 足(勉 不 足)

ベ ンチ ャー プ ラザinHOKKAIDOの よ う な支 援 事 業 に 対 す る 誤 解 あ る い は企 業 経 営 に 関 す る認 識 不 足(資 金,販 路,パ ー トナ ー を何 も しな くて も与 え て くれ る 魔 法 の よ う な救 済 政 策 で あ る との 勘 違 い や投 資 家 や 業 務 提 携 先 との ネ ッ トワー ク の 活 用 に対 す る消 極 的態 度)

事 業 ア イ デ ア が 素 晴 ら しい だ け で は起 業 化 は 成 功 しな い

な お,既 に述 べ た が 驚 くべ き点 は,こ れ らの 仮 説 は,新 規 に これ か らベ ンチ

(6)

ヤー 企 業 を立 ち上 げ よ う と して い る起 業 家 だ け で な く,既 に 企 業 経 営 を何 らか の 形 で 実践 して い る 起 業 家 に も共 通 す る とい う点 で あ る。

3.既 存 の研 究成 果 に基 づ く仮 説 の検 証

本 章 で は,ジ ェ フ リー ・A・ テ ィ モ ンズ の 著 した 『ベ ンチ ャー 創 造 の 理 論 と 戦 略 』9)に 基 づ い て,前 章 で 示 した3つ の 仮 説 の検 証 を試 み る 。

3.1起 業 家 の 企 業 経 営 や組 織 運 営,事 業 計 画 書 作 成 に 関 す る知 識 や 技 能 の 不 足

(1)成 功 す る起 業 家 の特 性

画 期 的 な新 技 術 や新 シス テ ム な ど の事 業 ア イ デ ア が あ れ ば,ベ ン チ ャー 起 業 の 可 能 性 が 開 け て い る と考 え て し ま う傾 向 が,起 業 家 だ け で な く世 間 一 般 に蔓 延 して い る よ うで あ る 。「ア イ デ アが あ るの で あ れ ば と に か くや っ て見 るべ き」

とす る考 え 方 で あ る 。 しか し,こ の 考 え 方 は 安 易 で 誤 っ て い る 。 テ ィ モ ンズ に よる と,成 功 す る起 業 家 は,独 創 性 や 革 新 性 な どの 才 能 に と ど ま らず,経 営 能 力,事 業 の ノ ウハ ウ,十 分 な 人脈 を備 え て い る と し,そ の特 性 を図 表4の よ う に整 理 して い る。つ ま り,起 業 家 は 単 な る イ ノベ ー タで もマ ネ ジ ャー で も な く, そ の 双 方 の 能力 お よ び 資 質 を備 えて い る 必 要 が あ る とい う こ とで あ る。 す な わ ち,図 表4に 示 した よ う に,経 営 管 理 能 力 や ビ ジ ネ ス ・ノ ウ ハ ウ,ネ ッ トワ ー ク(関 係 各 位,各 機 関 との 連 携 の 維 持,活 用)に 関 して,高 い ノ ウハ ウ が 必 要 とい う こ とで あ る。

9)ジ ェ フ リー ・A・ テ ィ モ ン ズ 著,千 本 倖 生+金 井 信 次 訳,『 ベ ンチ ャ ー 創 造 の 理 論 と戦 略 』,ダ イ ア モ ン ド社,1997。

(7)

高い

ベ ンチ ャー起 業の 失敗 要 因に基 づ く考察

イ ノ ベ ー タ 起 業 家

プ ロ モ ー タ マ ネ ー ジ ャ/管 理 者

低 い く トー一 一一 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一一 一1レ 高 い

経 営管 理 能 力,ビ ジネ ス ・ノ ウハ ウ,ネ ッ トワー ク 図 表4.起 業 家 の 特 性

267

(2)経 験 を通 じ た学 習(五 万 パ タ ー ンの 経 験)

テ ィモ ンズ は,起 業 家 が 備 え るべ き ノ ウ ハ ウ は,各 種 経 営 理 論 等 の 専 門 的 な 知 識 の 獲 得(学 習)だ け で な く,経 験 を通 じた 学 習 が重 要 と して い る。

起 業 家 と 自営 業 者 の 職 歴 に 関す る調 査 に よ る と,経 験 と ノ ウ ハ ウの 蓄 積 が ベ ンチ ャー の成 功 に と っ て 最 も中心 的 な存 在 で あ り,こ れ は慎 重 な 準 備 と計 画 の 策 定 に も非 常 に 密 接 に 関 連 して い るそ う で あ る。 い わ ゆ る 「五 万 パ ター ンの 経 験 」 の 必 要 性 で あ る。

ま た,ほ とん ど の起 業 家 は,経 験 を通 じた 学 習 を 自然 や 偶 然 に まか せ る の で は な く,意 図 的 に 「経 験 の 学 習 」 を行 っ て い るそ うで あ り,そ の た め に は 「自 分 が 何 を知 っ て い て,何 を知 らな い の か を知 る」 こ とが 重 要 とな る 。

(3)ビ ジ ネ ス プ ラ ンの 重 要 性

起 業 家 で あ れ ば,事 業 の 開 始 に先 立 ち 資金 調 達 等 の 目的 で,自 身 の 考 え る事 業 に 関 す る ビ ジ ネス プ ラ ン を作 成 す る必 要 が あ る こ とは 言 う ま で もな い 。 ビ ジ ネ ス プ ラ ン とは,不 確 実 性 の 極 小 化 と リ ス ク や 変 化 の 管 理 を通 じて,進 むべ き 方 向,ベ ンチ ャー 起 業 の 将 来 につ い て 考 え る 方 策 の一 つ で あ り,資 金 調 達 の 手 段 と位 置 付 け られ て い る 。 ま た,プ ラ ンニ ング は 目標 を達 成 す る た め の 方 法 を 決 定 す る プ ロ セ ス で あ る と さ れ て い る。 した が っ て,起 業 にお い て ビ ジ ネ ス プ ラ ンは不 可 欠 と な る。

(8)

ベ ン チ ャ ー プ ラ ザin且OKKAIDOで も,ビ ジ ネ ス プ ラ ン の 作 成 を 指 示 ・支 援 して い る が,多 くの起 業 家 が 十 分 な ビ ジネ ス プ ラ ン を作 成 で きて い な い の が 現 状 で あ る 。 図 表5に,ベ ン チ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDOで 示 し て い る ビ ジ ネ ス プ ラ ン(正 確 に は 戦 略 ビ ジ ネ ス プ ラ ン)の 記 載 項 目 を示 す 。 一 方,テ ィモ ンズ が 一 般 的 な ビ ジ ネ ス プ ラ ンの 記 載 項 目10)と して ま とめ た 内容 は 図 表6の とお りで あ り,一 般 的 に これ を完 成 させ る に は数 百 時 間 の 作 業 と数 ヶ月 の期 間 を要 す る と して い る。

図 表5と 図表6を 比 較 した 場 合,ビ ジ ネ ス プ ラ ンに 記 載 す る項 目の 網 羅 性 と

図 表5.ベ ン チ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDOに お け る ビ ジ ネ ス プ ラ ン の 記 載 項 目 1.経 営 理 念 ・方 針

2.事 業 内 容

3.起 業 化 へ の 熱 意,将 来 へ の 決 意,事 業 の ア ピ ー ル ポ イ ン ト 4.過 去 の 実 績,経 験 技 術 の 生 か し 方

5.事 業 所 名,所 在 地,te1 6.代 表 者 名

7.設 立 年 月 日,資 本 金 8.従 業 員 数

9.設 備 内 容

10.現 在 の 資 金 計 画 と 今 後 の 資 金 計 画 11.事 業 のSWOT分

・商 品

・サ ー ビ ス

・特 殊 技 術

・特 許

・ノ ウ ハ ウ な ど

12.事 前 の 市 場 リ サ ー チ,同 業 者 お よ び 同 種 製 品 の 競 合 13.仕 入 計 画,製 品 計 画,販 売 計 画,在 庫 計 画 14.主 た る 仕 入 先,商 品 供 給 先,決 済 方 法 な ど

15.マ ー ケ テ ィ ン グ カ,市 場 規 模 と将 来 性,市 場 の タ ー ゲ ッ ト,販 売 ル ー ト 16.中 期 計 画,利 益 計 画

17.営 業 に 反 映 さ せ る 効 果 18.財 務 計 画 に 反 映 させ る 効 果

19.支 援 を 受 け つ づ け る 体 制,財 務,販 売 他 20.ネ ッ トワ ー ク,情 報 の 収 集 力 ・分 析 力 21.今 後 の 事 業 展 開 に つ い て

10)IT業 界 の よ う に極 め て 迅 速 な 対 応 が 必 要 と さ れ る 業 界 も 存 在 し,そ の よ う な 業 界 で は か な らず し も,図 表6に 示 し たす べ て の 項 目 に つ い て ビ ジ ネ ス プ ラ ン を作 成 す る わ け で は な い との こ と で あ る 。

(9)

ベ ンチ ャー起 業 の失敗 要 因 に基 づ く考察 269 い う面 で,明 らか に 図 表6が 優 れ て お り,こ れ を 記 述 す る た め に は前 述 した 数 百 時 間 とい う時 間 だ け で な く,各 分 野 に お け る相 当 の 知 識 が 必 要 とさ れ る こ と は 明 らか で あ る。

図 表6.ビ ジ ネ ス プ ラ ン の 内 容 1.概

A.事 業 と 事 業 コ ンセ プ ト B.起 業 機 会 と市 場 予 測 C.標 的 市 場 と市 場 予 測 D.競 争 優 位 性

E.事 業 性,収 益 性 と 収 穫 の 可 能 性 F.経 営 チ ー ム

G.資 金 調 達

ll.業 界 と 製 品 ま た は サ ー ビ ス A.業

B.会 社 と 事 業 コ ン セ プ ト C.製 品 や サ ー ビ ス D.市 場 参 入 と成 長 戦 略 皿.市 場 調 査 と分析

A.顧

B.市 場 規 模 とその 動 向 C.競 争 と競 争優 位 性 D.推 定 市 場 占 有率 と売 上 高 E.継 続 的 な 市場 分 析 評 価 IV.事 業 の 経 済 性

A.マ ー ジ ン と経 常 利 益 B.利 益 の 潜 在 性 と 持 続 性 C.固 定 費,変 動 費,準 変 動 費 D.損 益 分 岐 点 達 成 に 要 す る 期 間 E.キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 純 増 加 に 要 す る

期 間 V.マ ー ケ テ ィ ン グ

A.マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 概 要 B.価 格 政 策

C。 販 売 戦 略

D.サ ー ビ ス と製 品 保 証 政 策 E.広 告 宣 伝 と販 売 促 進 F.流 通 チ ャ ネ ル VI.研 究 開 発

A.開 発 の 進 捗 状 況 B.問 題 点 と リ ス ク C.製 品 の 改 良 と新 製 品 D.開 発 費 用

E.特 許 権 等,知 的 所 有 権 V旺.製 造 と 営 業 プ ラ ン

A.営 業 サ イ ク ル B.地 理 的 重 要 性 C.工 場,機 械 設 備 D.製 造 戦 略 と プ ラ ン E.規 制 と 法 務

皿.経 営 チ ー ム A.組

B.重 要 な マ ネ ジ メ ン ト要 員 C.経 営 者 の 報 酬 と株 式 の 所 有 権 D.そ の 他 の 投 資 家

E.雇 用 契 約 と そ の 他 の 契 約 条 項,ス ト ッ ク ・オ プ シ ョ ン,ボ ー ナ ス プ ラ

F.取 締 役 会

G.他 の 株 主,株 式 の 権 利 行 使 に 関 わ る 制 限

H.顧 問 ア ドバ イ ザ ー を 外 部 サ ー ビ ス IX.全 体 的 な ス ケ ジ ュ ー ル

X.重 要 な リ ス ク,問 題 点,前 提 条 件 XI.フ ァ イ ナ ン ス ・プ ラ ン

A.実 績 損 益 計 算 書 と貸 借 対 照 表 B.予 想 損 益 計 算 書

C.予 想 貸 借 対 照 表

D.予 想 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 分 析 E.損 益 分 岐 点 分 析

F.予 算 管 理 G.総 XII.資 金 調 達 の 詳 細

A.必 要 資 金 B.資 金 調 達 の 方 法 C.資 本 構 成 D.調 達 資 金 の 使 途 E.投 資 家 の 投 資 収 益 X皿.付

(10)

3.2ベ ンチ ャ ー支 援 事 業 ・政 策 に対 す る誤 解 あ るい は企 業 経 営 に関 す る認 識 不 足

こ の仮 説 は既 に述 べ た よ う に,ベ ン チ ャー プ ラザinHOKKAIDOな どの ベ ンチ ャ ー支 援 事 業 に つ い て,起 業 家 が 何 も しな くて も,資 金,販 路,パ ー トナ ー 等 を与 え て くれ る魔 法 の よ うな救 済 政 策 で あ る と勘 違 い して い る点 や,起 業 家 が投 資 家 や 業 務 提 携 先 との ネ ッ トワ ー ク の 活 用 に対 す る消 極 的 態 度 が,ベ ンチ ャー 起 業 の失 敗 の 大 きな 原 因 の一 つ で は な い か とす る もの で あ る 。 しか し,残 念 な が ら この よ う な起 業 家 に あ る ま じ き依 存 型 の特 質 を,ベ ンチ ャ ー起 業 の 失 敗 原 因 と して 直 接 的 に 明 示 して い る既 存 研 究 は見 当 た ら な い。

しか し,起 業 家 が 本 来 採 るべ き行 動 か ら,反 面 的 に この よ うな 誤 解 や 認 識 不 足 が,ベ ンチ ャー 起 業 を 失 敗 に導 くこ と は示 す こ とが で き る。

(1)成 功 す る起 業 家 の 行 動

ベ ンチ ャ ー創 造 の理 論 と戦 略 』 で は,成 功 す る起 業 家 に共 通 す る姿 勢 と共 通 形 態 と して以 下 の 点 が 指 摘 さ れ て い る。

◇ 強 い 責 任 感 と強 固 な忍 耐 力 が 推 進 力 と な っ て 惜 しみ な く働 き,コ ッ プ に水 が 半 分 しか な い と考 え る よ り も,ま だ半 分 あ る と考 え る。

◇ 誠 実 さ を追 求 し,競 争 心 に満 ち て 絶 対 に勝 つ こ とが で き る とい う強 い思 い に燃 え て い る 。

◇ 現 状 に満 足 せ ず,起 業 機 会 で 遭 遇 す る あ らゆ る状 況 を改 善 し よ う とす る 。

◇ 失 敗 を学 習 と して 利 用 し,完 壁 で あ る こ と よ り も効 率 を優 先 す る 。

◇ 自分 の 努 力 が ベ ンチ ャ ー や 人 生 を成 功 に導 く こ とが で き る と信 じて 疑 わ な

いo

つ ま り,要 約 す る と"責 任 感"と"忍 耐 力"が 強 く,"物 事 を前 向 きに 捉 え",

"誠 実"で あ り

,"絶 対 に勝 つ(絶 対 に成 功 す る)"と の 強 い 決 意 を も ち,"決 して 現 状 に満 足 せ ず 常 に 物 事 を改 善 し",失 敗 を恐 れ る こ と な く"失 敗 を糧"

と して"効 率 性"を 優 先 し,"自 助 努 力"に よ っ て の み"ベ ンチ ャー や 人 生 が 成 功 に導 か れ る"と 信 じて疑 わ な い 特 質 で あ る。 い う ま で もな く,こ の よ う な

(11)

ベ ンチ ャー起業 の失 敗要 因 に基づ く考 察 271 特 質 を持 っ た起 業 家 が,"お 上"や"投 資 家","起 業 提 携 先"な ど に 自 らの事 業 の 成 功 を 委 ね る依 存 的 な 特 質 を持 つ はず は な い 。

(2)資 金 調 達 時 の 交 渉

ベ ンチ ャ ー 起 業 家 が 投 資 家 あ る い は銀 行 な どの 金 融 機 関 か ら資 金 調 達 を受 け る 際,前 述 した ビ ジ ネ ス プ ラ ンが 不 可 欠 で あ る こ とは い う ま で もな い が,成 功 す る 資 金 調 達 の 特 徴 と して,テ ィモ ンズ は,各 当 事 者 の 利 益 の 意 図 を(ビ ジ ネ ス プ ラ ン に)反 映 す る と と も に,当 事 者 間 の 意 思 疎 通 と解 釈(理 解 促 進)の め の仕 組 み(シ ス テ ム)を 構 築 す る こ と の重 要 性 を挙 げ て い る。 また,起 業 家 も金 融 機 関 を 見 極 め るべ きで あ り,そ の 際 の 金 利 以 上 に重 要 な着 眼 点 と して, 金 融 機 関 が どの よ う な付 加 価 値(情 報 や 人 的 ネ ッ トワ ー ク)を 提 供 して くれ る か,と い う 点 に 注 目 しな け れ ば な ら な い と して い る。 い ず れ にせ よ,資 金 調 達 は交 渉 事 で あ り,一 般 的 に起 業 家 が 考 え て い る よ り多 くの 事 柄 に つ い て交 渉 可 能 と して い る 。 た だ しそ の よ うな 交 渉 を成 功 させ る た め に は,資 金 が 必 要 に な る以 前 か ら,金 融 機 関 との 信 頼 関係 を醸 成 して お か な け れ ば な らな い と繰 り返 し述 べ て い る 。 さ らに,信 頼 関係 を醸 成 ・維 持 す る た め の 注 意 事 項 と して,以 下 の よ う な項 目 も指 摘 して い る。

◇ 担 当 者 は パ ー トナ ー と認 識 す る。

◇ 誠 実,率 直 な情 報 提 供 を心 が け,真 実 を 述 べ る。

◇ 業 務 の現 場 を見 学 して も ら う。

◇ 与 信 限度 枠,返 済 期 日,財 務 報 告 の提 出 に は常 に注 意 す る 。

な お,一 度 の 面 談 や 交 渉 で は,こ の よ うな信 頼 関係 に 基 づ い た ビ ジ ネ ス パ ー トナ ー を獲 得 す る こ とは で きる は ず も な く,場 合 に よっ て は数 ヶ月 以 上 あ るい は平 時 か らの"つ きあ い"や"情 報 交 換"が 必 要 とな る。 ち な み に,米 国 の ベ ンチ ャ ー 企 業 に お い て も,資 金 不 足(00C:OutOfCash)は 日本 同 様 に 大 きな現 実 的 問 題 で あ り,資 金 が 不 足 し た と き に,直 ぐに 借 り入 れ られ る こ と は 少 な い よ う で,資 金 不 足 ま で の残 り時 間 が 少 ない ほ ど,起 業 家 の 交 渉 力 は低 く な る こ とが,調 査 分 析 され て い る 。(図 表7参 照)

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最高

資金提供者 に対 する起業

家の総体的 交渉能 力

ゼ ロ

Now 十3十6十9

資 金不 足 の 到 達 所要 月数

図表7.資 金 不足 到達 時点 と起 業家 の 交渉能 力 の関係

十12

これ らの点 か ら,起 業 家 は投 資家 等 との 関係 構 築 を,積 極 的 に行 うの は必 然 で あ り,こ の積 極 性 な し に,ベ ンチ ャー 起 業 が 成 功 す る と は考 え に くい 。 た だ し,注 意 しな け れ ば な らな い の は,こ の 起 業 家 と投 資 家 あ るい は業 務 提 携 先 と の 良好 な 関 係 を 築 くた め に は,起 業 家 の 積 極 さだ けで な く,投 資 家 ・業 務 提 携 先 の事 業 機 会 発 掘 に対 す る積 極 さ も重 要 で あ り,現 状 で は ど うや ら こち ら も不 足 して い る ら しい とい う点 で あ る。 ベ ンチ ャー プ ラ ザinHOKKAIDOに 参 加 し た一 部 の 起 業 家 が ア ンケ ー トに次 の よ う に答 え て い る 点 を重 視 しな け れ ば な らな い 。(図 表8参 照)

図 表8.ベ ン チ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDO参 加 者 の 意 見 ・感 想

・発 表 が 終 わ っ た あ と,消 化 不 良 感 が 残 る 。 質 問 責 め に 会 う く らい の こ と を 期 待 して 参 加 し た が,聞 き 手 は行 儀 よ く座 っ て い る だ け で 面 白 く な い 。 し か し,無 名 の 我 々 が 実 業 界 に デ ビ ュ ー す る 場 と して 意 味 が あ る 。

・当 該 製 品 に 対 す る客 観 的 な意 見 等 や ア ドバ イ ス な ど を具 体 的 に して も ら え る と あ りが た い 。 例 え ば,類 似 他 社 製 品 と比 べ て この 辺 が よ い とか,こ 辺 を改 良 した ら よ い と か 。

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ベ ンチ ャー起業 の失 敗要 因 に基づ く考 察 273 3.3事 業 ア イデ ア だ け で は起 業 化 は成 功 しな い と い う点 につ い て

前 節 まで に 述 べ た 事 柄 も,事 業 ア イ デ ア だ け で はベ ンチ ャー 起 業 は 成 功 しな い とい う こ とを示 し て い る 。 しか し,ま だ述 べ て い な い重 要 な事 柄 と して,起 業 家 は"起 業 機 会"を 十 分 に 認 識 す べ きで あ る 。

(1)起 業機 会 と 事 業 ア イ デ ア の 違 い の認 識

テ ィモ ンズ は起 業 機 会 と事 業 ア イ デ ア の 違 い を 再 三 強 調 して い る。 事 業 ア イ デ ア は起 業 機 会 の 出 発 点 で あ り核 で は あ るが,す べ て の ア イ デ アが 起 業 機 会 に は な りえ な い と し,そ の 違 い を 理 解 す る た め に は,真 の ア ン トレ プ レナ ー シ ッ プ が マ ー ケ ッ ト志 向 の プ ロ セ ス で あ る こ と を理 解 す る必 要 が あ る と して い る。

そ して,こ の 違 い を 熟 知 す る こ とが 成 功 す る起 業 家 の 要 件 で あ り,成 功 で き な い 起 業 家 は 違 い を熟 知 して い な い と明 言 して い る 。

起 業 機 会 と は,言 い換 え る と 「高 付 加 価 値 の 商 品 を 顧 客 や エ ン ドユ ー ザ ー に 提 供 す る行 為 に基 づ く社 会 に対 す る 付 加 価 値 創 造 の プ ロセ ス 」 と も言 え る 。 し た が っ て,経 営 環 境 の 変 化,情 報 ギ ャ ップ,そ の 他 様 々 な状 況 を起 業 家 が 適切 に 認 識 した う えで,タ イ ミ ン グ を見 極 め て事 業 化 しな け れ ば,そ もそ も起 業 機 会 とは な らな い 。 さ らに そ の際,継 続 的 な高 マ ー ジ ン率 あ るい は 高 利 益 率 を確 保 で きな け れ ば 成 功 しな い とい う こ とで あ る 。

変 化 ・変 革 の 時 代 に こそ ビ ジ ネ ス チ ャ ンス が あ る と よ く言 わ れ る が,起 業 機 会 の認 識 と は ま さ に そ の こ とで あ る 。 矛 盾 し混 沌 と した市 場 の 中 に,起 業 機 会 を見 出 さ な け れ ば な らな い とい う こ とで あ る。 市 場 や 社 会 が 完 全 に整 然 と した 成 熟 状 態 で あ れ ば,起 業 機 会 は さ ほ ど生 ま れ な い 。

テ ィ モ ンズ は,次 の よ うに も述 べ て い る。 つ ま り,起 業 家 に とっ て ア イ デ ア は 道 具 で しか あ り え な い こ とで あ る 。 一 般 に,ア イ デ ア は 製 品 や サ ー ビス の 開 発,売 買 契 約 の必 要 性 に比 べ て 過 大 評 価 され る こ とが,米 国 で も多 い そ う で あ るが,単 な る ひ らめ きで 成 功 す る ベ ンチ ャー起 業 は実 際 に は稀 との こ と で あ る。

さ ら に,ア イ デ ア は そ れ 自体 無 価 値 で あ り,き わ め て現 象 的 で あ る と さ え述 べ て い る。 一 方,発 明 家 は特 に ア イ デ ア の 虜 に な っ て そ れ を妄 信 して し ま う傾 向

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が あ る と,警 鐘 を鳴 ら して い る。

事 業 ア イ デ ア は,単 に事 業 の 一 視 点 で しか な く,事 業 の 成 功 お よび 育 成 自体 に焦 点 を 当 て な け れ ば な らず,た と え最 良 の ア イ デ ア で あ っ て も,ア イ デ ア そ れ 自体 が 成 功 を もた らす の で は な い と して い る 。

(2)起 業 機 会 の 評価

ベ ンチ ャ ー創 造 の理 論 と戦 略 』 で は,起 業 機 会 の認 識 や 評 価 に つ い て 詳 し く述 べ られ て い る。 起 業 機 会 の 認 識 や 評 価 は,起 業 家(潜 在 的 な 起 業 家 も含 め る)が 広 く認 識 し な け れ ば な らな い もの で あ り,3.1節 で 示 した 仮 説(起 家 の勉 強 不 足)に 対 応 す る 内 容 と考 え ら れ る が,重 要 性 は極 め て 高 い と考 え ら れ る の で そ の一 部 を記 す 。

起 業 機 会 の リ ア ル タ イ ム 性 〕

起 業 機 会 は状 況 と時 間 の 産 物 で あ り,リ ア ル タ イ ム に 変 化 す る 。した が っ て, 起 業 機 会 を適 切 に 認 識 す る た め に は,個 々 の事 業 ア イ デ ア に対 して,市 場 との 関 係 を 評 価 しな け れ ば な らな い 。

一 般 に

,市 場 と起 業 機 会 の 関 係 は 図 表9に 示 す よ うに 変 化 す る 。 ベ ン チ ャー 起 業 家 に とっ て,起 業 機 会 は,市 場 が 全 く存 在 して い な い 段 階 と市 場 が 成 熟 し つ つ あ る段 階 で は,

大 きい と は言 い が た い。 つ ま り,市 場 の 形 成 あ るい は急 成 長 の予 兆 が 存 在 して い る か,す くな く と も 急 成 長 段 階 に お い て,起 業 機 会 が 大 き く広 が っ て い るの で あ る 。

市場 規模

時間の経過 図 表9.起 業 機 会 の 変 化

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ベ ンチ ャー起業 の失 敗要 因 に基づ く考 察 275

起 業機会 の評価基準 〕

起 業機会 の評価基準 は多様 であ る。 図表10に 示す ような項 目が起業機会 に該 当 し う る候 補 と し て テ ィモ ン ズ は示 し て い るが,こ の 中 で3〜4件 の 項 目に つ い て 高 い 優 位 性 ・潜 在 性 を確 保 して い れ ば,成 功 す る可 能 性 が高 い との こ とで あ る 。

図 表10.起 業機 会 の評価 基準 基準

業界 と市場 市場

顧 客 顧 客の利益 付 加価値 製品寿命 市場構 造 市場 規模 成 長率

市場 への供給能力 達 成可能 シェア(5年 目)

原価構 成 経 済的要件

損益 分岐点到達/キ ャ ッシュ ・フローフロー の黒字転換時期

潜 在的投資収益率(ROD達 成 度 必要投 下資本

潜在 的内部収益率

フ リーキ ャッシュ ・フロー特性 売上成長率

資産依存度 必要運転資金 R&D/設 備投 資 粗 利益率 税 引後利益率 損 益分岐点到達時 ベ ンチ ャーの収穫

潜 在的付加価値

企業価値の評価 に用 いる指標 出口の メカニ ズムと戦 略 資本市場の影響 競 争 の優 位 性

固 定 費 と変 動 費

コ ス ト ・価 格 ・流 通 チ ャ ネル の 支 配 力 参 入 へ の 障 壁

占 有 権 利 に よ る保 護

レス ポ ン ス タ イ ム/リ ー ドタ イ ム 法 律 ・契 約 上 の優 位

コ ン タ ク ト ・ネ ッ トワー ク 主 要 な経 営 メ ンバ ー

経営チ ーム 起業家チ ーム 業界 と技術 の経験 誠実性

知識 に関す る実直性 致命的欠 陥(無 いこ とが必要) 起業家 の個 人的指標

起業家 の 目標 と事業の適合性 アップサ イ ド/ダ ウ ンサ イ ド 機会原価

個人 的願望

許容度ス トレスに対 する許容度 戦略的差別化

推進要件 の適 合度 経営チ ーム サー ビス業務 の管理

タイ ミング 革新的技術 柔軟性

継続 的な起業 機会の発掘 価格政策流通チ ャネル

試行錯誤 の許 容度 経営チ ーム サー ビス業務 の管理

タイ ミング 革新的技術 柔軟性

継続的 な起業 機会の発掘 価格政策

流通 チャネル 試行錯誤 の許 容度

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4.支 援 方 策 に関 す る考 察

前 章 で示 した 内 容 よ り,本 稿 で 示 した ベ ンチ ャ ー 起 業 の3つ の 失 敗 要 因 に 関 す る仮 説 は検 証 さ れ た と考 え る 。 本 章 で は,具 体 的 な 支 援 方 策 につ い て 考 察 す る 。そ の 際 支 援 対 象 は,実 際 にベ ンチ ャ ー起 業 を試 み て い る起 業 家 だ け で な く, 潜 在 的 な起 業 家 を も含 め る。 ま た,支 援 方 策 の 実 施 主 体 は,ベ ンチ ャ ー プ ラザ in且OKKAIDOの 実 施 主 体 で あ る 北 海 道 産 業 局 や 中 小 企 業 庁 だ け で な く,中 小 企 業 を支 援 す べ き立 場 に い る公 的 機 関(商 工 会 議 所,商 工 会,中 小 企 業 支援 セ ン ター 等)お よび 教 育 研 修 の充 実 とい う観 点 か ら各 種 大 学 校 や 大 学 を視 野 に 入 れ る こ と とす る 。

4.1支 援 課 題

(1)ベ ン チ ャ ー起 業 家 の 備 え るべ き 資 質

本 稿 で はベ ンチ ャー 起 業 失敗 の原 因 に つ い て3つ の仮 説 を設 定 し既 存 理 論 か ら検 証 した が,そ の 過 程 で 明 らか と な っ た 支 援 課 題 は"起 業 家 と起 業 家 に協 力 す べ き投 資家 や 業 務 提 携 先 が 備 え るべ き資 質 お よび技 能 ・知 識 の 向上"に 集 約 され る。

起 業 家 や 投 資 家,業 務 提 携 先 が 備 え るべ き資 質 と呼 ん だ部 分 は,属 人 的 な特 質(態 度 や 基 本 的 考 え 方 な ど)を 意 味 して お り,通 常,こ れ らの 事 柄(い わ ゆ る"や る 気")は 一 般 的 な教 育 や 研 修 で は修 得 は 難 し い と考 え られ が ち で あ る 。 しか し,テ ィモ ンズ に よ る と起 業 家 が 備 え る べ き"ビ ジ ネス 実 務 上 の 倫 理 観"

の教 育 の 有 効 性 は既 に検 証 さ れ て い る こ と示 され て お り,ハ ー バ ー ド ・ビ ジ ネ ス ス クー ル な どで は1988年 秋 「経 営 意 思 決 定 と倫 理 的価 値 」 な る コー ス が 成 績 評 価 な しの 必 修 科 目 と して 設 置 さ れ て い る よ うで あ る 。 し たが っ て,資 質 に つ い て の 教 育 ・研 修 内 容 や 方 法 に は研 究 ・工 夫 の 余 地 が 多 く残 さ れ て い る と考 え られ る が,実 施 可 能 とい う こ とに な る。

起 業 家 や 投 資 家,業 務 提 携 先 が 備 え るべ き資 質 や技 能 ・知 識 の 向 上 が,教 育 ・ 研 修 を 通 じて可 能 で あ る とす る な らば,残 さ れ る課 題 は,端 的 に言 えば 次 の2

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ベ ンチ ャー起 業 の失敗 要 因 に基 づ く考察 277 点 と な る 。

・教 育 ・研 修 内 容 や 方 法 の研 究 ・改 善

・教 育 ・研 修 機 会 の 確 保

(2)ベ ン チ ャ ー起 業 の た め の教 育 ・研 修 内 容 の研 究 ・改 善

日本 で も各 大 学 で ビ ジ ネ ス ス ク ー ル の 設 置 が は じ ま りつ つ あ り,ビ ジネ ス マ ンや 起 業 家 を対 象 と した,実 践 的 な大 学 にお け る教 育 が 模 索 され は じめ て い る が,米 国 のMBA等 に 比 べ る と相 当 に遅 れ て い る の は 事 実 で あ ろ う。 米 国 にお け るMBA教 育 も,ま だ 発 展 途 上 で あ り,決 して完 成 の 域 に 近 づ きつ つ あ る も の で は な い と考 え られ るが,そ れ で も 日本 は相 当 に遅 れ て い る。

そ の 大 きな 原 因 は,"象 牙 の 塔"と い う言 葉 に 象 徴 され る よ う に,現 実 の ビ ジ ネ ス や社 会 と大 学 にお け る研 究 内容 の 乖 離 で あ る。 た だ し,こ の点 に つ い て も,徐 々 に 認 識 さ れ つ つ あ る よ う で,筆 者 が そ うで あ っ た よ う に社 会 人 を大 学 院 生 と して 向 か え る 大 学 も増 え てお り,ま た,国 立 大 学 に お い て は"独 立 行 政 法 人 化"な ど を きっ か け と して 改 善 の ス ピー ドが 速 ま る可 能性 が あ る 。

な お,ベ ンチ ャー 起 業 家 へ の研 修 内 容 につ い て 見 る と,図 表6に 示 した ビ ジ ネ ス プ ラ ン の 記 載 項 目や 図 表10の 起 業 機 会 の 評 価 基 準 な どか ら明 らか な と お り,極 め て 多 岐 に わ た っ て い る。 もち ろ ん,日 本 の 起 業 家 が 身 に付 け るべ き 資 質 や 技 能 ・知 識 とい った 観 点 か ら,内 容 自身 の精 査 は必 要 で あ るが,そ れ だ け で な く,現 在 の 起 業 家 が 効 率 的 に資 質 や技 能 ・知 識 を身 に付 け る た め に は,教 育 ・研 修 内 容 を整 理 し,カ リキ ュ ラ ム化 す る事 が 急務 で あ る 。 なお,教 育 ・研 修 内 容 の 精 査 の 際 に は,既 に 述 べ た よ う に現 実 社 会 との 乖 離 を最 小 化 す る事 が 不 可 欠 とな る の で,現 実 社 会 の 問 題 点 を起 業 家 だ け で な く,い ろい ろ な 関 連 機 関 を通 じて,効 率 的 か つ タイ ム リー に 大 学 が 入 手 す る た め の シス テ ム整 備 も必 要 と な る 。

(3)教 育 ・研 修 機 会 の 確 保

仮 に大 学 が 現 実 社 会 を認 識 し,優 れ た教 育 ・研 修 内容 を準 備 で きた と して も,

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通 常 の大 学 の 講 義 を 通 じて しか 提 供 で き な い とす る と,"宝 の持 ち腐 れ"に りか ね な い。 した が っ て,学 部 や大 学 院生 に 対 す る通 常 の 講 義 だ け で は あ き ら か に 不 十 分 で あ る。

こ の 点 につ い て も,既 に 文 部 科 学 省 な どの 指 導 に よっ て"公 開 講座"や"リ フ レ ッ シ ュ教 育"な ど,社 会 人 を対 象 と した 講 座 が 始 まっ て い る が こ ち ら もい ま だ不 十 分 で あ る。 最 近 で は,個 人 的 な勉 強 会 と して経 営 者 等 を集 め た"勉 会"を 開 催 して い る教 官 も増 え て きて い る よ うで あ る が,ま だ ま だ 大 き く広 が

っ て は い ない 。

教 育 ・研 修 機 会 を十 分 に確 保 して い くた め に は,既 存 の教 育 ・研 修 主 体 と し て 機 能 して い る機 関(商 工 会 議 所,商 工 会,各 種 大 学 校 等)と 大 学 が 密 な連 携

を実 現 す る必 要 が あ る。 ま た 場 合 に よっ て は,個 別 企 業 が行 う社 内研 修 にお け る連 携 も視 野 に入 れ る必 要 が あ る。 この よ う な 連 携 は,大 学 に と っ て も現 実 社 会 の 実 状 を把 握 す る た め の有 効 なチ ャネ ル/ア ンテ ナ と して 機 能 す る は ず で あ り,単 に 大 学 が 教 育 コ ン テ ン ツ を提 供 す る だ け とい う一 方 通行 で は な い はず で あ る。

なお,大 学 同 士 の連 携 も不 十 分 と考 え られ る。 よ り正 確 な言 い 方 をす る と, 異 な る大 学 の 教 官 同士 が,専 門 分 野 の枠 を越 え て協 力 す る こ と に よ っ て,よ 優 れ た研 究 を可 能 と し,そ れ に よ っ て よ り優 れ た教 育 ・研 修 コ ン テ ンッ を提 供 で き る よ うに な る と考 え られ る 。 少 子 化 に と も な い,現 代 は,各 大 学 が 生 き残 りの 方 策 を模 索 して い る時 代 か も しれ な い が,競 合 他 社 との事 業 協 力 は 現 実 の ビ ジ ネ ス の 世 界 で は,も は や あ た りま え の 戦 略 の1つ に な りつ つ あ る こ とか ら も,大 学 間 の 協 力 は推 進 さ れ る べ きで あ る 。

教 育 ・研 修 の た め の ッ ー ル あ る い は メ デ ィ ア と して,イ ン タ ー ネ ッ ト技 術 (Web等)を 可 能 な 限 り有 効 活 用 す る こ と も重 要 で あ る。 イ ン ター ネ ッ ト技 術 の 活 用 に つ い て は,現 在E一 ラー ニ ング と し て注 目 を集 め 始 め て い る が,プ ロ ー ドバ ン ド回 線 の普 及 等 に あ わ せ て,内 容 や シス テ ム を充 実 させ な け れ ば な

らな い 。 こ れ らの コ ン ピ ュ ー タ通信 技 術 を活 用 した教 育 ・研 修 機 会 の 確 保 ・拡 大 は,普 段 か ら多 忙 で あ ま り時 間 の とれ な い起 業 家 等 に は有 効 な は ず で あ る 。

(19)

ベ ンチ ャー起業 の失 敗 要因 に基づ く考 察 279 また,自 宅 等 で 落 ち着 い て パ ソ コ ン の前 に 座 る時 間 も なか な か とれ な い とい う 人 達 の た め に は,1モ ー ドな どの携 帯 電 話 を端 末 と して イ ン ター ネ ッ ト技 術 を 活 用 す る必 然 性 が あ る と考 え られ る 。

4.2教 育 ・研 修 内容 の 充 実 に つ い て (1)修 得 レベ ル に対 す る 基 準 設 定

前 述 し た よ う にベ ンチ ャー 起 業 を支 援 す る た め の教 育 ・研 修 内容 は,起 業 家 個 人 の 資 質 に か か わ る 部 分 も含 め ざ る を え な い 。 さ らに,そ れ 以 外 の 部 分 も図 表6,10に 見 られ る よ うに 広 範 で多 様 で あ る が,こ れ ら を起 業 家 等 が 効 率 的 に 身 に つ け る た め の,カ リキ ュ ラ ム の体 系 を確 立 しな け れ ば な らな い 。

た だ し,そ れ ぞ れ の分 野(マ ー ケ テ ィ ング や フ ァイ ナ ンス とい っ た 分 野)1 つ を取 り上 げ て も,奥 は 非 常 に深 い 。研 究 者 や 学 者 に な るた め に は,深 い 部 分 ま で修 得 す る必 然 性 は高 い と思 わ れ るが,起 業 家 と して 必 要 と され る レベ ル は, そ こ まで 深 くな い はず で あ る。 した が っ て,教 育 ・研 修 内 容 のす べ て の 分 野 ・ 項 目間 にお け る カ リ キ ュ ラム 上 の優 先 順 位 な ど も重 要 とな るが,同 時 に個 々 の 分 野 ・項 目 に つ い て も,目 的 に応 じて ど の程 度 を理 解 す れ ば,成 功 確 率 が 高 ま る の か,明 らか に す る必 要 性 が あ る 。 基 準 の 設 定 で あ る 。 こ の よ うな 基 準 を 明 らか にす る こ とが で きれ ば,(基 準 は経 常 的 に 見 直 す 必 要 は あ る も の の)効 率 的 な技 能 や 知 識 の 修 得 が 可 能 と な る は ず で あ る 。

こ の よ う な基 準 を設 定 して い くた め に は,教 授 した 教 育 ・研 修 内容 が,現 実 世 界 に お い て どの 程 度,そ れ ぞ れ の 問 題 解 決 等 に 役 立 っ た か を計 測 して い か な けれ ば な ら な い 。 これ を 実 現 す る た め に は,大 学 だ け で は 実 現 で きず,再 三 述 べ て い る よ う に,各 種 関係 機 関 や 企 業 との 連 携 が 不 可 欠 とな る。

(2)内 容 に 応 じた教 授 方 法 の研 究 の 必 要 性

教 育 ・研 修 は,情 報 的 な 観 点 か らみ る と,情 報 あ る い は知 識(教 育 ・研 修 コ ン テ ン ツ)を 提 供 者(例 え ば 大 学)が 被 提 供 者(例 え ば起 業 家)に 提 供 し,十 分 に理 解 し て も ら う プ ロ セ ス で あ る 。 これ を実 際 に 実 現 す るた め に は,一 方 通

(20)

行 的 な情 報 提 供(教 育 ・研 修 コ ンテ ン ツ の提 供)だ け で は ダ メ で,双 方 向性 が 当 然 の ご と く要 求 さ れ る 。

さ らに,そ れ だ け で は な く,提 供 内 容 と被 提 供 者 に応 じた,提 供 方 法(教 授 方 法)に つ い て も研 究 し,効 率 的 な 方 法 を 開発 しな くて は な らな い 。 細 か な こ

と をい う と,情 報 を提 供 す る際 の"喋 り方"な ど も関係 し て くる が,注 目す べ きは,イ ン ター ネ ッ ト技 術 の 双 方 向 性 を前 提 と した メ デ ィ ァ活 用 技 術 と考 え ら れ る 。

4.3い くつ かの 具 体 的 な政 策 や 事 業 の あ り方 につ い て

教 育 ・研 修 の 問 題 は,あ る意 味 で 人 間 に とっ て 究 極 的 な 課 題 と も言 え,研 究 対 象 や 範 囲,残 され て い る課 題 は,膨 大 で あ る 。 しか し,こ れ ま で の 筆 者 らの 経 験 を通 じて,具 体 的 な ベ ンチ ャー起 業 家 支 援 事 業 や 政 策 の あ り方 につ い て気

の付 くと こ ろ を 以 下 に示 す 。

(1)ベ ン チ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDOに お け る 起 業 家 支 援

ベ ン チ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDOの 最 大 の イ ベ ン トは 図 表1に 示 し た と お り,プ レゼ ン テ ー シ ョ ン(ビ ジ ネ ス プ ラ ン の 発 表)で あ る 。 現 在,ベ ン チ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDOの プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン ま で の 流 れ は 図 表11の よ う に な

参加希 望 者 の 参加 申 し込み (ビジ ネス プ

ラ ンの応 募)

ビジ ネス プラ ン の審 査

審 査 通 過 者 に よ る プ レゼ ン ア ー ン ヨ ン

ビジネス プ ラ ン(最 終版)に 対 す る(修 正)支 援

図 表11.現 在 の ベ ン チ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDOに お け る ビ ジ ネ ス プ ラ ン 支 援 の タ イ ミ ン グ

(21)

ベ ンチ ャー起業 の失 敗要 因 に基づ く考 察 28ヱ っ て い る 。

つ ま り,ビ ジネ ス プ ラ ンの 事 務 審 査 に(一 応)合 格 した 起 業 家 に 対 して の み, 支援 が 行 わ れ て い る。 しか し,ベ ンチ ャ ー起 業 の 成 功 確 率 を高 め る た め に は, 図 表12に 示 す よ う に,審 査 以 前 の タ イ ミ ン グで 実 施 す べ き との 強 い 意 見 が多 い 。 こ れ に よ っ て,起 業 家 の底 上 げ を 図 るだ け で な く,よ り優 れ た 事 業 ア イ デ ア(起 業 機 会 に マ ッチ した 事 業 ア イ デ ア)を 埋 没 させ る危 険性 も低 減 す る と考 え られ

る 。

参加 希望 者 の 参加 申 し込 み (ビジ ネス プ

ラ ンの応 募)

ビジ ネス プラ ンに対 す る(修 正)支 援

ビ ジ ネ ス プ ラ ン の 審 査

審 査 通 過 者 に よ る プ レ ゼ ン テ ー ン ヨ ン

図 表12.あ る べ きベ ン チ ャ ー プ ラ ザinHOKKAIDOに お け る ビ ジ ネ ス プ ラ ン 支 援 の タ イ ミ ン グ

(2)大 学 と商 工 会 議 所 お よ び 商 工 会 との 教 育 ・研 修 に お け る 連 携 と官 の 役 割 商工 会 議 所 あ る い は商 工 会 に は,そ れ ぞ れ の 会 員 企 業 の 経 営 指 導 にあ た る"経 営 指 導 員"と 呼 ば れ る方 々 が い る。 商 工 会 議 所 に は大 企 業 が 多 く参 加 して い る 場 合 もあ るが,全 体 的 に み る と,商 工 会 議 所 お よ び商 工 会 の 会 員 は 中小 企 業 で あ り,ベ ンチ ャー とい う言 葉 が 広 く普 及 以 前 か ら,創 業 支援 を実 施 して き て い る。 しか し,昨 今 の 不 況 や 地 方 の高 齢 化,過 疎 化 な どが 進 行 して い る現 状 に お い て は,創 業 件 数 も減 少 しつ つ あ る 。

筆 者 が,か つ て"経 営 指 導 員"と して 活 躍 さ れ た 方 か ら ヒア リ ング した 話 に よ る と,昔 の経 営 指 導 員 は,当 該 地 域 の 起 業 家 の創 業 を成 功 に導 くた め,あ ゆ る面 で の 助 言 ・支 援 を実 際 に実 施 さ れ て い た よ うで あ る 。 と こ ろが 現 在 は,

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