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エ ク ア ドル の 石 油 採 掘 一 環境破壊 とインディオ先住民族
宝 福 則 子
は じめ に
エ ク ア ドル は,ラ テ ン ア メ リカ で も,メ キ シ コお よ び ヴ ェネ ズ エ ラ に並 び, 豊 富 な石 油 鉱 脈 を持 つ 国 で あ る。す で に20年 以 上 も前 か ら,東 部,す な わ ち こ の国 の ア マ ゾ ン地 域 で 石 油 が 採 掘 さ れ て い る。 そ の 結 果,純 粋 な農 産 物 輸 出 国 か らエ ネ ル ギ ー輸 出 国 に な った 。 この 国 の経 済 は,大 幅 に石 油 生 産 と,
この 部 門 へ の 外 国 資 本 の 投 資 に依 存 し,「 経 済 発 展 」は,石 油 に よ る と こ ろが 多 い。 で は あ る が,こ の こ とが,国 民 の大 多 数 に,経 済 的 な豊 か さ を もた ら
した とい うわ け で はな い 。
特 に 問題 な の は,石 油 採 掘 が,先 住 民 の 生 活 領 域 で,し か も生 態 的 に は非 常 に敏 感 な 地 域 で行 わ れ て い る とい う こ とで あ る。熱 帯 雨 林 の破 壊 を代 償 に, 石 油 が 売 却 さ れ,ア マ ゾ ン地 域 に住 む先 住 民 族 と して の イ ンデ ィオ 住 民 は, 石 油 開発 に よ る社 会 的 ・経 済 的 ・文 化 的影 響 に直 面 した 。
目 次 は じ め に
1.エ ク ア ドル に関 す る一一ee的な デ ー タ 2.石 油 採 掘 の 歴 史
3.エ ク ア ドル の 石 油 埋 蔵 量
4.ア マ ゾ ン地 帯 に お け る石 油 開 発 の 影 響 5.国 際 合 意 とガ イ ドラ イ ン
6.国 内 法
7.石 油 多 国籍 企 業
8.政 府 の政 策
9.イ ン デ ィオ 先 住 民 族 の 抵 抗
1.エ ク ア ドル に 関 す る 一 般 的 な デ ー タ(1)
1)地 理
エ ク ア ドル は,南 ア メ リ カ の 北 西 部 に 位 置 し,北 側 の コ ロ ン ビ ア と南 西 側 の ペ ル ー に 囲 ま れ て い る 。 西 部 側 は 太 平 洋 に 面 し て お り,赤 道 上 に 位 置 し て い る 。 国 名 も,赤 道 に 由 来 し て い る 。 国 土 は,283,561km2の 面 積 で,大 き く 分 け て,気 候 ・風 土 の 異 な る 沿 岸 地 方 の 「コ ス タ 」,ア ン デ ス 山 地 「シ エ ラ 」, ア ン デ ス 山 脈 東 側 の 「オ リ エ ン テ 」 の 三 地 帯 か ら成 る 。 「オ リエ ン テ 」 は,ア マ ゾ ン 地 域 に 属 し,熱 帯 雨 林 に お お わ れ て い る 。 こ れ に,沿 岸 か ら約1,000 kmほ ど離 れ た,太 平 洋 上 に 浮 か ぶ ガ ラ パ ゴ ス 諸 島 も領 土 に 属 す 。こ の ガ ラ パ
ゴ ス と い う 名 前 が 「火 山 」 に 由 来 す る 通 り,ま だ い くつ か の 活 火 山 が あ る 。 エ ク ア ドル の 国 土 面 積 は,4つ の 地 域 別 に 見 る と,以 下 の 通 りで,ア マ ゾ ン 地 域 の オ リ エ ン テ が 最 大 の 面 積 を 占 め る 。
シ エ ラ 約73,000km2 コ ス タ 約71,000km2 ガ ラ パ ゴ ス 諸 島 約8,000km2 オ リ エ ン テ 約131,000km2
2)住 民
人 口 は,1990年 現 在 で 約9,648,189人 。人 口 増 加 率 は,1985年 か ら1994年 の 年 平 均 が2.3%で あ る 。1994年 の 平 均 寿 命 は69歳,乳 児 死 亡 率 が4.5%, 幼 児 死 亡 率 が5.7%で あ る 。 文 盲 率 は10%で あ る 。 人 口 密 度 は,1km2当 り 36人 で,1980年 か ら1990年 の 間,平 均 し て,人 口 の56%を 絶 対 貧 困 者 が 占
(1)こ こ に 挙 げ る デ ー タ は,主 にDerFischerVVeltalmαnach1970‑1997を 参 照, ま と め た も の で あ る 。
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め る。
人 種 別 人 口構 成 は,イ ンデ ィオ 先 住 民 が40%,メ ス テ ィ ソ(白 人 とイ ン デ ィ オ の 混 血)が40%,白 人 が10%,黒 人 が5%,ム ラー ト(白人 と黒 人 の混 血)
とサ ン ボ(黒 人 とイ ンデ ィオ の混 血)が 合 わせ て5%と な って い る。
公 式 言 語 は ス ペ イ ン語 で あ るが,イ ン デ ィオ先 住 民 族 の ケ チ ュ ア民 族 は, 固有 の ケ チ ュ ア 語 を話 す 。 こ の ケ チ ュア 民 族 は,最 大 の先 住 民 族 グ ル ー プ で あ り,イ ンデ ィオ人 口の 約25%が,こ の ケ チ ュア 語 を話 す 。 この 他 に も,チ ブ チ ャ語 や 他 の 言 語 を話 す 先 住 民 族 が い る。
宗 教 は,1992年 時 点 で,ロ ー マ ・カ トリ ッ ク の信 者 が 約93%,そ の他 に, プ ロ テ ス タ ン ト,ユ ダ ヤ教,先 住 民 固 有 の 土 着 信 仰 が あ る。
3)政 治
1978年 に,軍 事 政 権 か ら民 政 に移 管 さ れ た 。1979の 年 憲 法 制 定(1994年 改 正)後,エ クア ドル は大 統 領 制 を と り,知 事 を行 政 の 長 とす る20県 か ら成 る 共 和 国 で あ る。一 院 制 の 国 会 は,82人 の 議 員 か ら成 る。内11人 の 議 員 が,4 年 任 期 の 全 国 区 で 選 ば れ,71人 が2年 任 期 で各 県 か ら選 ばれ る。大 統 領 は,
4年 の 任 期 で直 接 選 挙 に よ り選 ば れ る。現 在 は,1996年8月 に就 任 した,保 守 自 由 派 政 党 のPREのAbdalaBucaramOrtizが,大 統 領 で あ る。か れ は, 選 挙 戦 中,「 貧 乏 人 のi擁護 者 」を標 榜 し,社 会 改 革 を公 約 した 。 当 時,エ ク ア ドル の 経 済 状 況 は,そ の4年 前 よ り は良 くな っ て い た が,社 会 状 況 は悪 化 す る ば か りで あ っ た 。 この選 挙 で,イ ン デ ィオ 先 住 民 組 織 のPαchαkutik新 し い 国 運 動 は,環 境 保 護 組 織,人 権 活 動 家,労 働 組 織,改 革 派 共 産 政 党 の 支 援 を得 て,テ レ ビ ・ジ ャ ー ナ リス トのFreddyEhlersを 擁 立 した 。 そ の 結 果, か れ は19.4%の 票 を獲 得 し た。
1996年5月 の 国 会 議 員 選 挙 の結 果,82議 席 の 内,キ リス ト教 社 会 党PSC が28議 席(1994年:24),PREが19議 席(同11),民 主 大 衆 党DPが12議 席(同4),左 派 民 主 党 皿)が4議 席(同8),ラ ジ カル 派 の ア ル フ ァ リス ト前 fRFRAが3議 席(同0)を 占 め て い る。 この他,マ ル ク ス主 義 政 党 のMPD,
保 守 党 のP(]E,地 方 解 放 党LIB,革 命 的 国 民 党APRE等 が 各2議 席 を 占 め る。
4)経 済
エ ク ア ドル は,元 来,農 業 国 で あ る。 カ カ オ,コ ー ヒー,ゴ ム,綿,バ ナ ナ,と う も ろ こ し の他 に,牛,馬,羊,ラ ー マ 等 の畜 産 が 行 わ れ て い る。 特 に,「 第2次 世 界 大 戦 後 に ユ ナ イ テ ッ ド ・フル ー ツ(現 ユ ナ イ テ ッ ド ・ブ ラ ン ズ)社 の 進 出 に よ り,バ ナ ナ を主 とす る熱 帯 作 物 の 大 規 模 栽 培 が 開 始 さ れ た 。 エ ク ア ドル は ご く短 い期 問 に世 界 の 主 要 バ ナ ナ 生 産 国 に加 わ っ た が,1970年 代 に 入 る とア マ ゾ ン地 帯 に大 量 の石 油 鉱 脈 が発 見 さ れ,同 国 の経 済 を大 き く 転 換 させ た。」(2)この他 に も地 下 資 源 と して は,豊 富 な 金 の 鉱 脈 もあ る。 これ
らの 地 下 資 源 鉱 脈 は,主 に南 部 とア マ ゾ ン地 域 に あ る。
2.石 油 採 掘 の 歴 史
ス ペ イ ン人 が1533年 か ら1534年 にか け て,今 日 の エ クア ドル に到 達 した 時 点 に は,ま だ イ ン カ帝 国 の名 残 が 存 在 した。ス ペ イ ン人 は,山 地 の イ ン デ ィ オ先 住 民 を労 働 の た め に,盆 地 地 帯 に強 制 移 住 させ,庖 瘡 や 麻 疹 な どの 伝 染 病 を もた ら した 。 この結 果,イ ン デ ィオ 先 住 民 の 人 口 は,著 し く減 少 した 。 そ の 後,こ の 国 は1563年,ペ ル ー 副 王 領 に属 し,1739年 に は,ヌ エ バ ・グ ラ ナ ダ 副 王 領 に属 した 。1809年 に な る と,独 立 運 動 が 始 ま り,こ れ は1820年 に 成 功 し,独 立 した 。 そ れ に もか か わ らず,エ ク ア ドル は,1822年 に グ ラ ン・
コ ロ ン ビ ア共 和 国 の一 部 分 とな っ た 。 そ の後,1830年 に独 立 し,エ ク ア ドル 共 和 国 が 成 立 した 。 今 度 は,ク レ オ ー ル(中 南 米 生 ま れ の ヨー ロ ッパ 白人)
同 士 が お 互 い に対 立 し,権 力 闘 争 が起 こ っ た。 ク レオ ー ル は,今 日で も,エ ク ア ドル の社 会 で 重 要 な地 位 を 占 め て い る。
ゴ ム ・ブ ー ム に惹 き つ け られ て,1880年 に は 冒 険 主 義 者 や 移 民 が 大 量 に
(2)『 ラ テ ン ・ア メ リ カ を 知 る 事 典 』 平 凡 社1989年,83頁
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や っ て来 た 。 特 に,ナ ポ ス川 地 域 を中 心 と し,米 耕 作 の 大 土 地 所 有 制 が 進 ん だ 。 この 際,イ ン デ ィオ 先 住 民 は,一 種 の 農奴 の よ うな 状 態 を 強 い られ た 。 1911年 に,サ ンタ ・ヘ レ ナ半 島 で,初 め て 石 油 が 発 見 され た。 両 世 界 大 戦 間 に は,チ ン ボ ラ ッ ソ と沿 岸 地 方 の 山 脈 の 間 の 盆 地 で,油 田 の発 見 を期 待 し た が,何 も見 っ か らな か った 。 この 時 期 の重 要 な輸 出産 物 は,ま ず 第 一 に カ カ オ で,そ の 次 にバ ナ ナ で あ った 。 これ に原 油 の輸 出 を期 待 し た わ け で あ る(3)。
1938年 に,シ ェル 石 油 会 社 が,「 オ リエ ンテ 」で 石 油 探 査 を始 め た 。 この会 社 は,こ こで,イ ン デ ィオ 先 住 民 の 激 し い抵 抗 に あ っ た 。 この イ ンデ ィオ 住 民 は,幾 度 も,死 人 が 出 る ほ どの激 しい 抵 抗 を繰 り返 した 。 この 闘争 で 多 く の イ ン デ ィオ 指 導 者 が死 亡 した 。
この 石 油 会 社 は,1951年 に,や っ とi撤退 した 。 地 形 上,原 油 が 海 に流 出 し て し ま うだ ろ う。 だ か ら,大 量 の石 油 採 掘 は不 可 能 で あ ろ う,と い う報 告 書 に従 っ た もの で あ っ た。 そ れ ま で に,こ の プ ロ ジ ェ ク トに は5,800万 米 ドル が 投 下 され て い た 。1958年 に,ス トル ー ス博 士 が,こ の地 域 の50%を シ ェル 社 か ら買 い 取 っ た 。 ス トル ー ス は,地 表 面 の異 常 を写 真 撮 影 で 発 見 し,石 油 鉱 脈 の 手 が か り を得 よ う と,こ の地 域 に探 査 キ ャ ン プ を置 き,調 査 した 。 こ の結 果,1967年,テ ク サ コ社 の 最 初 の ボ ー リ ン グ 櫓 が 建 っ た 。1969年 か ら 1970年 に か け て,外 国 の会 社 に30の 採 掘 認 可 が 与 え られ た 。1,000万haに の ぼ る 土 地 で の採 掘 が,認 可 され た。 これ らの土 地 の 大 部 分 は,ア マ ゾ ン地 域 で あ った(4)。
これ と併 行 して,イ ン デ ィオ 先 住 民 族 にた い す る キ リス ト教 化 が 試 み られ た 。1969年 ヌ シ ノ とチ ュ ア ラ 川 の 間 に169haの ア ウ カ 民 族 居 留 地 が 設 け ら れ た。 こ こ に は,キ リス ト教 化 され た ア ウ カ族 だ けで は な く,他 の イ ンデ ィ
(3)Schobin,A,:Studienarbeit:"DiearnazonischenGebieteEcuadors",WS 1987/88,GhKasse1,S,2
(4)Schobin:S.4ff
オ 部 族 も移 住 させ られ た 。 この た め,彼 ら は,固 有 の 生 活 基 盤 を失 った わ け で あ る。 多 くの 他 の 「野 蛮 な」 イ ンデ ィオ部 族 も移 住 させ られ た た め,部 族 間 に厳 しい 緊 張 が 起 こ った 。 ス ピー カ ー に よ る宣 伝 活 動 と飛 行 機 か ら の プ レ ゼ ン トの投 下 に よ っ て,「 野 蛮 人 」を居 留 地 にお び き寄 せ よ う と した 。 キ リス ト教 化 さ れ た ア ウ カ族 に他 の部 族 は,影 響 さ れ る こ とを拒 み,互 い に殺 しあ っ た 。医 者 もい なか っ た の で,イ ン フル エ ンザ が 流 行 した が,大 部 分 の イ ン デ ィ オ 住 民 は,幸 い に も生 き残 る こ とが で きた 。 しか し,そ の 後 に発 生 し た ポ リ オ に よ っ て,多 くの死 者 と重 度 の 障 害 者 が 出 た 。
1971年 に 米 国 の27都 市 で,イ ン デ ィオ 先 住 民 伝 道 資 金 を 集 め る た め の シ ョー が 始 ま った 。 この シ ョー に は,4人 の ア ウ カ族 の イ ン デ ィオ も出演 し た 。 この シ ョー で は,聖 書 の話 とイ ン デ ィオ の伝 説 を結 び つ けた ス トー リー が 展 開 さ れ た 。こ れ に よ って,「 文 明 化 」の促 進 を はか ろ う と した もの で あ る。
宣 教 師 が,石 油 会 社 の 先 鋒 とな っ た わ け で あ る。 石 油 会 社 は,そ の た め に3 億 ドル を投 資 し た(5)。
キ リス ト教 会 は,「 自 由 な 生 活 を し,固 有 の ア イ デ ンテ ィ テ ィー を強 化 し よ う,と い う先 住 民 の権 利 を,決 定 的 に 阻止 し よ う とす る多 国籍 企 業 を支 援 す る方 向 へ と,意 識 を変 化 させ た 。 この よ う な意 識 の 変 化 は,教 会 が ひ とつ の 機 関 と して,イ デ オ ロ ギ ー だ けで は な く,経 済 的 に も,資 金 的 に も この 多 国 籍 企 業 シ ス テ ム の貫 徹 の た め に,い か に影 響 を与 えた か が 理 解 で き る。 これ を可 能 に した もの は,投 資 や 所 有 財 産 か ら得 た 利 益 や収 入 で あ っ た 。これ は, 教 会 が,大 企 業 の経 営 に参 加 して い る た め に起 こっ た こ とで あ り,い まだ に 起 こっ て い る こ とで も あ る 。」(6)
石 油 会 社 と と も に,武 装 した 労 働 者 や移 住 者 が人 口過 密 な 山 地 か ら流 入 し
(5)Zeitschrzft五ateinamerikanachrichten,Nr.262.April1996,S.25 (6)OkumenischeKoordinationderDienste:"ChristlicheReflexion",in;
Lateinamerika‑DokumentationsstelleGesamthochschuleKassel(Hrsg.):
EntwicklungsperspektivenO7‑DieTransnationalisientn8『 五ateinamen'leasund dieAufgとzろ θderKirchen,1983,S.39
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た 。
農 地 改 革 に よ って,イ ンデ ィオ の生 活 領 域 は,未 開 地 と見 な され,新 規 に配 分 さ れ た 。 だ か ら,部 分 的 に は,国 家 が 入 植 を主 導 し た 。 大 て い の場 合,入 植 者 集 団 は,あ る地 域 に 入 植 す る と,森 林 の伐 採 と都 市 化 を行 っ た 。 そ の後 に,農 地 改 革 ・入 植 研 究 所IERAGが 当 該 地 を測 量 し,土 地 の 所 有 権 が 合 法 化 さ れ た 。
1971年 に は,す で に28の 石 油 会 社 が,年 間 約2億2,500万 トン の石 油 を オ リエ ンテ で 採 掘 した 。1972年 に は,28年 間 続 い た ヴ ェ ラ ス コ大 統 領 か ら ロ ド リゲ ス ・ラ ラ の 政 権 へ の 交代 が あ っ た 。 新 軍 事 政 権 は,民 族 主 義 的 な 改 革 的 政 策 を打 ち 出 した 。 大 部 分 の 石 油 会 社 は,国 外 へ と追 い 出 され た 。 これ は, 短 期 的 な 石 油 探 査 の 停 滞 を もた ら した 。 しか し同 時 に,エ ス メ ラル ダ ス へ の パ イ プ ライ ンが 建 設 さ れ,国 有 石 油 会 社CEPEが 創 設 さ れ た 。政 府 は収 入 の 増 加 を期 待 した の だ が,逆 に,収 入 が 減 少 した 。とい うの も,軍 事 政 権 が1975 年 に す べ て の鉱 物 採 掘 権 を手 に し,テ クサ コや ガ ル フ,そ の 他 の石 油 会 社 の 株 式 の51%が 政 府 の持 ち株 で あ っ た に もか か わ らず,政 府 が 産 出 量 を抑 えた か らで あ る。 もち ろ ん,対 米 関 係 の悪 化 と,国 内 の農 地 改 革 の行 き詰 ま り も, そ の 要 因 の ひ とつ で あ っ た(7)。
この 結 果,1976年 に は,ラ ラ大 統 領 の 解 任 とな り,ブ ル バ ー ノ総 督 を長 と す る三 頭 政 治 が始 ま っ た 。 この 軍 事 政 権 は,以 下 の3つ の事 項 を柱 とす る政 策 を発 表 した 。 す なわ ち,(1)1972年 か ら73年 に か け て計 画 され た に もか か わ らず,そ れ ま で実 現 され て い な か っ た構 造 改 革 の 実行,(2)OPEC寄 りの 石 油 政 策 へ の復 帰,(3)1978年 まで の民 政 移 管,で あ った 。 そ の結 果,1978年 に 選 挙 が 実 施 さ れ,1979年 以 降 は,民 主 的 に選 ばれ た大 統 領 が 統 治 して い る(8)。
(7)Schobin,A.:S.6f
(8)Lateinamerika‑AnalysenzandBerichte3‑VerelendntngSPro2esseund Widerstandsf()γmen,1979,S.253
3.エ ク ア ドル の 石 油 埋 蔵 量
す で に1911年,太 平 洋 沿 岸 の サ ン タ ・エ レ ナ半 島 で 最 初 の 油 田が 開発 され た 時 に,石 油 は,エ ク ア ドル 経 済 に お け る そ の役 割 を演 じ始 め た 。 しか し,
この発 見 は大 きな 意 味 を もた ず,さ ら に調 査 さ れ た 後 も,期 待 した 結 果 は出 な か っ た 。60年 代 に な っ て は じめ て,こ の 国 の東 部 に新 しい 鉱 脈 が 発 見 され た。1967年 に,テ ク サ コ社 ・ガ ル フ社 の シ ン ジ ケ ー トが,エ ク ア ドル の 熱 帯 雨 林 地 域 の ラ ゴ ・ア グ リオ近 郊 の大 油 田 に突 き当 た り,さ ら に南 東 部 の シ ュ シ ュ フ ィ ン デ ィ,南 部 の サ チ ャ と大 油 田 の 発 見 が 続 い た。 本 格 的 な石 油 熱 が 起 こ り,さ らに他 の 国 際 的 な 石 油 企 業 が,こ の 国 に参 入 して きた 。
年 間 石 油 生 産 高 は,天 然 ガ ス と と も に1991年 時 点 で1,570万 トン で あ っ た 。 ち な み に,ヴ ェネ ズ エ ラ は1億2,870万 トン,メ キ シ コ は1億5,480万
ト ンで あ った 。今 日 で は,エ ク ア ドル 東 部 の100万haの 地 域 に あ る300の 油 田 か ら,日 産30万 バ レル の原 油 が 採 掘 さ れ て い る。
1988年 の報 告 に よ る と,採 掘 可 能 な埋 蔵 量 は1億8,500万 トン と推 定 され て い る。 これ は,採 掘 が確 実 に可 能 な 世 界 の埋 蔵 量 の約0、1%に 相 当 す る。ユ988 年 時 点 の 推 定 で は,ヴ ェ ネ ズ エ ラが79億5,800万 トン,ア ル ゼ ンチ ンが3億 900万 トン を埋 蔵 して い る。新 規 調 査 とコ ロ ン ビ ア,ペ ル ー,エ ク ア ドル の 三 国 が 国境 を交 え る地 帯 の埋 蔵 量 を考 慮 す る と,経 済 的 に採 算 の 合 う,採 掘 可 能 な石 油 の 推 定 埋 蔵 量 は5億5,000万 トン に増 加 す る(9>。
石 油 運 搬 の た め に1972年 にSOTEパ イ プ ライ ンが 敷 か れ た 。これ は,テ ク サ コ ・シ ン ジ ケ ー トに よっ て建 設 さ れ た 。 そ の建 設 費 用 は1億5,000万 米 ド ル で あ っ た 。SOTEは,ラ ゴ ・ア グ リオ の 油 田 とエ ス メ ラ ル ダ ス 近 郊 の石 油 港 の全 長498kmを 結 ぶ 。さ らに他 の パ イ プ ラ イ ン建 設 も計 画 さ れ て い る。し か し,エ ク ア ドル の 石 油 埋 蔵 量 は,膨 大 な 費 用 の か か る新 しい パ イ プ ラ イ ン
(9)BundesanstaltfttrGeowissenschaftenundRohstoffe:1〜eserven,Ressoucen
und「 レieηfagbarkeitz/onE多z6㎎ づ670ぬs次 挽 多z,Hannover1989,S.36ff
エ ク ア ドル の石 油 採 掘
へ の 投 資 を 正 当 化 で き る の か ど う か は,疑 問 視 さ れ て い る(10)。
4.ア マ ゾ ン 地 域 に お け る石 油 開 発 の 影 響
27ヱ
す で に探 査 段 階 で,深 刻 な 影 響 が 出 て い る。 イ ンデ ィ オ先 住 民 と政 府 関 係 者 か ら成 る特 別 委 員 会 は,キ チ ュ ア 族 のサ ラ ヤ ク村 近 郊 の 環 境 破 壊 を調 査 し, 20万haの 採 掘 認 可 地 域 に お い て,以 下 の こ とを確 認 した 。
1.36の 地 震 線 が 全 長1,200km,幅3mに わ た り,こ の 地 域 に走 っ て い る 。
2.0.5haの 規 模 で,1,368の ヘ リコ プ タ ー 離 着 陸 地 が 建 設 され た 。 3.1,046haの 森 林 が 伐 採 され た 。
4.9,186回 の爆 破 が 行 わ れ た 。
5.イ ン デ ィオ 先 住 民 が,未 熟 練 労 働 者 と して侮 辱 的 な労 働 条 件 で雇 用 さ れ て い る。
この 他 に も,探 査 活 動 の 副 次 的 な影 響 とし て,(1)以 前 は な か った 病 気 が 持 ち込 まれ た 。 これ に対 して は,イ ン デ ィオ 先 住 民 の伝 統 的 な 治 療 法 は助 け に な らな い,(2)他 の 異 質 な未 知 の 文 化 に,突 然 遭 遇 し,混 乱 を生 じた,(3)市 場 経 済 の メ カニ ズ ム の浸 入 等 が 挙 げ られ て い る。 また,ケ チ ュ ア 族 は,神 聖 な 場 所 に た いす る考 慮 が は らわ れ る こ とな く,道 路 路 線 図 が 引 か れ,爆 発 孔 が 作 られ た こ と を訴 えた(11)。
石 油 会 社 が イ ンデ ィ オ先 住 民 の生 活 領 域 に考 慮 を払 う こ とな く,試 験 ボー リ ング を行 う こ と に,非 難 が 集 中 して い る。1ボ ー リン グ 当 た り約15haの 森 林 が 消 え去 り,地 下 水 や 地 表 面 水 に与 え る影 響 を考 慮 す る こ と もな く,ま た 適 当 な保 護 設 備 な し に,排 水 や 排 出汚 泥 用 の 孔 や 池 が 作 られ る。 試 験 ボ ー リ
(10)ElCo〃 ¢ercio,30.8.1996
(11)Ruffing,五 」Social‑cultntralimpacts(ゾtransnationaloilco?Porations勿 environ〃zenlallysensitiveareas,DeutscheStiftungfUrinternationa王e Entwicklung,unverδffent1.Manuskript,Bonn1992,S.8ff
ン グ で 採 掘 す る原 油 は,1ボ ー リ ン グ 孔 当 た り42,000ガ ロ ン に まで の ぼ る が,こ れ は焼 却 さ れ る。
ボ ー リ ング に よ り生 じた 廃 棄 物 は,安 全 処 理 さ れ る こ と もな く,す べ て 受 水 槽 に貯 蔵 され る。1ボ ー リン グ 孔 当 た り,約4,165m3の 汚 泥 や洗 浄 水 に よ る排 水 等 が 生 じ る。 廃 棄 物 に は,ア ル ミニ ウム,砒 素,カ ド ミニ ウム,バ リ ウム,ク ロ ー ム,銅,鉛,マ グ ネ シ ウ ム,水 銀,ニ ッケ ル,亜 鉛,ベ ン ゾ ー ル,ナ フ タ リ ン,他 の 炭 化 水 素 結 合 物,ナ ト リウ ム や塩 素 の毒 性 を帯 び た混 合 物 が 存 在 す る こ とが証 明 さ れ た 。 受 水 槽 に は屋 根 もな い の で,熱 帯 の激 し
い 降 雨 後 に水 が 溢 れ 出 す 。 この こ とは,地 下 水 や 地 表 水 を汚 染 す るだ け で な く,人 間 の健 康 に も,水 中 の動 植 物 に も,深 刻 な害 を及 ぼ す(12)。
上 記 の 問題 は,石 油 採 掘 の段 階 で,さ ら に強 化 さ れ る。 現 在,エ ク ア ドル の ア マ ゾ ン地 域 で,300の ボ ー リン グ孔 か ら一 日当 た り30万 バ レル 弱 の原 油 が産 出 さ れ て い る。 そ の 際,以 下 の よ うな ず さ ん な管 理 に よ る環 境 汚 染 を起 こ して い る。
1.分 離 ス テ ー シ ョ ンで は,毎 日,4,300万 ガ ロ ンの 排 水 が,安 全 処 理 な し に,屋 根 無 し の受 水 槽 に送 られ る。 激 しい 降 雨 後 に,こ の受 水 槽 か ら水 が 溢 れ 出 す 。
2.ボ ー リ ン グ用 機 械 の 手 入 れ の 際 に,毎 年,500万 ガ ロ ン の有 毒 な 汚 水 が 排 出 さ れ る。
3.1月 当 た り34,000か ら42,000ガ ロ ンの 原 油 が,タ ン ク とパ イ プ ラ イ ン の破 損 箇 所 か ら漏 れ て い る と推 定 さ れ る。漏 れ 箇 所 は,点 検 もさ れ ず, 修 理 も され な い。
4.発 生 した 天 然 ガ ス の12%か ら15%の み が,首 都 の キ トー に送 られ,残 りは,そ の 場 で 焼 却 され る 。 しか も,こ れ に よ り発 生 す る熱 も,大 気 汚 染 も野 放 しの 状 態 で あ る。毎 日,推 定175万m3の 天 然 ガ スが オ リエ ン テ
(12)Ruffing1992:S.10
エ クア ドル の 石 油採 掘 273
で 焼 却 され,NO2二 酸 化 窒 素,SO2二 酸 化 硫 黄,CO2二 酸 化 炭 素,重 金 属 類,炭 化 水 素,煤 等 が 大 気 中 に放 出 さ れ て い る。
6.1987年 に起 こ った 地 震 の 際 に は,パ イ プ ラ イ ンが,部 分 的 に破 損 し, 膨 大 な量 の 原 油 が,キ ホ ス川,コ カ川,ア グ ア リコ川,ナ ポ 川 に流 出 し, 環 境 を汚 染 し た。1989年 に は,地 滑 りの た め,パ パ リ ャ ク タで,パ イ プ ラ イ ンが 破 損 し,21万 ガ ロ ンの 重 油 が パ パ リャ ク タ に流 出 した 。支 線 の 配 管 の漏 れ は,地 方 次 元 で の汚 染 を拡 大 した(13)。
石 油 産 業 は,エ ク ア ドル の ア マ ゾ ン地 域 で新 規 に 石 油 採 掘 用 の 道 路 を500 km以 上 も建 設 した 。そ の結 果,ア ク セ ス が 容 易 に な り,50万haの 熱 帯 雨 林 が,入 植 者,大 地 主,土 地 ブ ロー カ ー,木 材 会 社 等 に よ っ て伐i採さ れ,丸 坊 主 に され て し ま った(14)。
道 路 と同 様 に,ほ とん どの ボ ー リン グ施 設 が,イ ン デ ィ オ 先 住 民 の生 活 領 域 に建 設 され る。 これ は,自 給 自足 経 済 の た め に利 用 さ れ て い る土 地 を破 壊 し,動 物 もま た追 い 出 し,天 然 資 源 を破 壊 す る。 森 林 伐 採 の 結 果 は,し ば し ば,薄 い 腐 植 土 層 の 浸 食 とな っ て表 れ た 。
石 油 ブ ー ム は,ア マ ゾ ン地 域 を工 業 化 され た 世 界 へ 結 び付 け,文 化 の破 壊 を促 進 して い る。 石 油 生 産 の 影 響 に よ っ て,イ ンデ ィオ 先 住 民 の 経 済 的伝 統 や 領 域 権 が 徐 々 に 弱 め られ て い る。 か れ ら 自身 が 天 然 資 源 や生 活 領 域 を管 理 す る こ とが で きな けれ ば,か れ ら は変 化 す る世 界 に順 応 す る状 況 に は な い 。 水 の汚 染 は,飲 料 水 や,部 分 的 な栄 養 基 盤 とな っ て い る魚 な ど をか れ らか ら奪 う こ とに な る。 石 油 コ ンツ ェル ン は,「 分 断 と支 配 」の原 則 の も とに行 動 す る。 宣 教 師 と と も に,例 え ば 言 語 サ マ ー ス ク ー ル に よ っ て,イ ン デ ィオ住 民 の抵 抗 を平 定 化 し よ う とす る。 イ ン デ ィオ 先 住 民 組 織 は,石 油 企 業 の侵 入
(13)Ruffing=S.15
(14)HeidiFeldt:"Erdδlexplorationund‑f6rderunginEcuador",in;Gesamt‑
hochschuleKassel,ELNI(Hrsg.):Entwicklungsperspefetiven八 玩59/60.
曜 漉6勿 競o忽so2ialezandkulturelleRechteindigenerレ 微 θ飢PM'vention derAzeswirbungendesRessourcenanbaus,Kasse11996,S.193ff
を強 力 に防 衛 して い るが,分 断 され る 。 プ レゼ ン トや 労 働 契 約 等 に よ っ て, イ ン デ ィオ 先 住 民 の 村 落 を石 油産 業 側 に 引 きつ け よ う と し,し か も部 分 的 に は,そ れ が 成 功 して い る。 この よ う な戦 略 が,今 日 まで 残 っ て い る(15)。
5.国 際 合 意 と ガ イ ドラ イ ン
今 の と こ ろ,金 属 お よ び非 鉄 金 属 資 源 採 掘 の際 の 環 境 規 格 を取 り決 め る国 際 協 定 は,ま だ結 ば れ て い な い 。 そ れ に代 わ る もの とし て,ア マ ゾ ン地 域 を 抱 え る 国 々 に よ っ て 結 ば れ た 「ア マ ゾ ン協 同 協 定 」,こ れ に基 づ く1989年 の
「キ トー 宣 言 」が あ る。ラ テ ン ア メ リカ の ア マ ゾ ン地 域 先 住 民 族 組 織 連 合 体 は, 前 者 に つ い て は,「 環 境 保 全 の重 要 な 道 具 」で あ るが,こ の地 域 の 未 来 と先 住 民 族 の 未 来 の た め の 提 案 を,明 確 に示 す こ とを要 求 し て い る。 後 者 に つ い て は,「ア マ ゾ ンの 敏 感 な森 林 や,環 境 シ ス テ ム を発 展 させ な けれ ば な らな い 必 然 性 を認 め て い る」 と して,一 定 の評 価 を下 して はい る。 た だ し,こ の 中 に
「油 ヤ シ ・プ ラ ンテ ー シ ョ ン を拡 大 す る 」 とい う文 号 が 含 まれ て い る こ と に対 し,エ ク ア ドル の 生 態 系 に た い す る著 しい 影 響 や,社 会 的摩 擦 を無 視 して い る,と して 批 判 して い る(16)。
この 他,資 源 の採 掘 の 際 の,熱 帯 雨 林 の 保 全 に 関 連 す る もの とし て,「世 界 遺 産 条 約 」 や 「生 物 多 様 性 保 全 条 約 」 が あ る。
また,国 際 労 働 機i関ILOの 第169号 条 約 「独 立 国 に お け る先 住 民 族 及 び 種 族 的民 族 に関 す る条 約 」は,熱 帯 雨 林 の保 全 の た め に,間 接 的 な意 味 を もつ 。
この 条 約 は,イ ンデ ィ オ先 住 民 族 の 自決 権 とか れ ら の生 活 領 域 を 自 ら決 定 す
(15)Grefa,V.,;茸bersetztvonN.Rehrmann:"DieHauptproblemederama‑
zonensischenRegionausderSichtderCONFENIAE":Entw∫clelungSpers‑
pektiven58,Kassel1996,S.39f
(16)COORDINADORADELASORGANIZACIONESINDIGENASDELA CUENCAAMAZONICA:COICA:"ANDIEINTERNATIONALEGEMEIN‑
SCHAFT‑DIECOICA.FURDIEzUKUNFTAMAzONIENS",Juli1989, Lima,Peru,in;EntwiclelzangSperSpektiven38,Kassel1989,S.21
エ ク ア ドル の石 油 採 掘 275
る権 利 を擁 護 す るた め の,ひ とつ の手 段 で は あ る 。
石 油 の 探 査 と採 掘 に関 して は,国 際 的 に拘 束 力 の あ る環 境 規 格 の ガ イ ドラ イ ンは 存 在 しな い 。で は あ るが,国 際 自然 保 護 連 合IUCNの よ うな,い くつ か の 国 際 組 織 が,熱 帯 雨 林 地 域 の 環 境 保 護 の た め に,石 油 採 掘 の た め の ガ イ
ドラ イ ン を策 定 した 。 石 油 採 掘 産 業 の 氾xplorationandProductionForum (E&PForum)"も,独 自 の ガ イ ドラ イ ン を策 定 した 。
これ らの ガ イ ドライ ン は,石 油 の探 査 と生 産 の各 段 階 に お け る,環 境 を配 慮 した 石 油 採 掘 の 措 置 を,詳 細 にわ た り指 示 して い る。 これ ら は,可 能 な 限 り最 高 の テ ク ノ ロ ジー を駆 使 す る方 向 を と り,技 術 的 な指 示 にお い て は 基 本 的 な違 い は な い 。 しか し,技 術 的 な指 示 の 詳 細 さ に対 して,イ ン デ ィオ 先 住 民 関 連 の 指 示 は,一 般 的 で,量 的 に も著 し く短 い 記 述 に驚 く。 ま た,当 該 者 の 参 加 無 し に策 定 され た よ う に も思 わ れ る。
これ らの ガ イ ドライ ン は,ど の 石 油 生 産 企 業 に対 し て も,拘 束 力 は な い 。 だ か ら,現 在 の と こ ろ,石 油 生 産 中 の環 境 保 護 措 置 は,法 律 や認 可 契 約 に従 っ て い る(17)。
6.国 内 法
1)石 油 に関 す る法 律
石 油 法(炭 化 水 素 の た め の法 律)は,1932年 に公 布 され た 法 律 を基 盤 と し, そ の後,幾 度 も改 変 さ れ た 。 この法 律 は,地 下 資 源 は国 有 財 産 で あ る と表 明 し,採 掘 認 可 供 与 の シ ス テ ム を定 め て い る。 政 府 が 石 油 政 策 を決 定 し,ま た 埋 蔵 分 の 使 用 規 範 や 保 全 に 関 し て も決 定 す る。 政 府 を代 表 して,国 有 企 業 の
(17)IUCN:"OilExplorationintheTropics.GuidelinesforEnVironmental Protection",Gland,SwizerlandandCambridge,UK1991;E&PForum:"Oil Industyoperatingguidelinefortropicalrainforest,Report249/170",London
1991の ガ イ ド ラ イ ン を 参 照 さ れ た い 。尚,石 油 の 生 産 各 段 階 の 作 業 手 順 に つ い て は,付 録 を 参 照 さ れ た い
ペ トロエ ク ア ドル が,外 国 の コ ン ツ ェル ン と共 同 事 業 契 約,ま た は リス ク ・ サ ー ビ ス契 約 を結 ぶ 。
1994年 の第7回 目 の採 掘 認 可 供 与 以 来,資 本 参 加 契 約 も行 わ れ て い る。ペ トロ エ ク ア ドル と契 約 す る会 社 は,当 該 地 域 の ア クセ ス権,収 益 配 当 を保 障 し,公 教 育 部 門 へ の 助 成 金,パ イ プ ラ イ ン使 用 料,公 共 施 設 へ の負 担 金 を支 払 わ な けれ ぼ な らな い。
1992年 以 来,試 験 ボ ー リ ン グ の前 に 環 境 影 響 評 価 を行 わ せ,環 境 管 理 計 画 を立 て る こ とが義 務 づ け られ て い る。 しか し,そ れ まで は,認 可 供 与 契 約 に は,拘 束 力 の あ る点 検 可 能 な環 境 付 帯 条 項 は,定 め られ て い な か っ た(18)。
2)環 境 法
エ ク ア ドル 憲 法 は,「 汚 染 の な い環 境 で の生 活 権 」を保 障 して お り,こ の権 利 が 他 の権 利 や 自 由 の 制 限 を意 味 し よ う と も,こ の権 利 を監 視 す る こ とを,
政 府 に委 任 し て い る。
1990年 の 「森 林 ・自然 保 護 地 域 法 」 は,い か な る 目的 で あ ろ う と も,自 然 保 護 地 域 にお け る,い か な る環 境 汚 染 も禁 じて い る。
1990年 に,エ ネ ル ギ ー ・鉱 脈 省 の再 編 成 に よ り・,環境 局 が 設 置 さ れ,1984年 設 置 の 「環 境 統 合 本 部 」 が,こ れ に編 入 され た 。 同環 境 局 は,石 油 ・天 然 ガ
ス 採 掘 活 動 に関 す る環 境 規 則 を公 布 した 。 これ に よ り,石 油 企 業 は,活 動 が 始 ま る前 に,環 境 影 響 評 価 と環 境 計 画 を,環 境 局 に 提 出 しな けれ ぼ な らな い 。
で は あ るが,環 境 局 に は,違 反 措 置 にた い して,損 害 賠 償 の 請 求 訴 訟 を起 こ す 法 的 な手 段 は な い。 また 当 事 者 また は広 範 な 公 衆 の動 員 も想 定 され て い な
いo
この 規 制 の 中 で,は じ めて,貯 蔵 され る液 体 状 廃 棄 物 の 限 界 値 が 規 定 さ れ た が,非 常 に高 い値 で あ り,各 々 の 水 質 の こ と を考 慮 して はい な い 。 固 形 廃 棄 物 に関 して は,化 学 物 質 の 組 成 を事 前 に特 定 す る こ とな し に は埋 立 て て は
(18)Feldt1996,S.197
エ ク ア ドル の石 油 採 掘 277
な ら な い,と い う規 定 が あ るの み で あ る。
ボ ー リン グ の 際 に生 じ る廃 棄 物 処 理 につ い て は,三 水 槽 か ら成 る シ ス テ ム に つ い て 言 及 して い る の み で あ る。毒 性 を帯 び た 物 質 の 処 理 方 法 につ い て は, 何 等 の規 則 もな い 。 ガ ス成 分 の 焼 却 に つ い て は容 認 され た ま まで あ り,た だ 硫 化 水 素 の み を 測 定 す る だ けで 良 い。
当事 者 お よび 公 衆 は,環 境 汚 染 の ケ ー ス を届 け 出 る よ う に と,一 般 的 に要 請 され て い る。 で は あ る が,ど の よ うな 手 段 を と るべ きか は,明 らか で は な
い(19)Q
7.石 油 多 国 籍 企 業
多 国籍 企 業 が,エ ク ア ドル 石 油 の 主 要 な 生 産 者 で あ る。 多 国 籍 企 業 どの 石 油 探 査 お よ び採 掘 契 約 は,エ クア ドル 政 府 が,炭 化 水 素 法 に従 っ て結 ぶ が,
こ の法 律 は さ ま ざ まな 契 約 形 態 を想 定 して い る。テ ク サ コ社 とシ テ ィー 社 は, 共 同 事 業 契 約 を結 び,遅 れ て 参 入 し た企 業 は,い わ ゆ るサ ー ビス ・リス ク契 約 を結 ん で い る。後 者 の 契 約 方 法 を と る場 合,コ ンツ ェル ン また は シ ン ジ ケ ー トが,開 発 の 費 用 を負 担 しな けれ ば な らな い 。 鉱 脈 を発 見 した場 合 は,油 田 か ら採 掘 し,開 発 に 用 し た費 用 を回 収 し,取 り決 め られ た 所 定 の 金 額 を手 に 入 れ る こ とが で き る(20)。
エ ネ ル ギ ー 大 臣 のAlfredAdumの 発 言 に よ る と,マ クサ ス社 は,1986年 以 来,エ クア ドル で 活 動 し て い るが,こ れ まで 一 滴 の 石 油 分 も国 家 に納 め て い な い。 人 的 費 用 も機 械 費 用 も含 めた 投 資費 用 が,過 大 に 申告 され て い た た め,政 府 が 契 約 破 棄 した 。 マ ク サ ス 社 は,こ れ か ら新 規 に交 渉 して 契 約 条 件 を取 り決 め な け れ ば な ら な い。この マ クサ ス社 の ス キ ャ ンダ ル を き っ か け に, エ ル フ社 と ト リペ トロー ル 社 との 契 約 で は,さ らに有 利 な条 件 が与 え られ て
(19)Feldt1996,S.198 (20)Ruffing1992,S.23
い た,と い う こ と が 判 明 し た(21)。
8.政 府 の 政 策
政 府 は,経 済 ・財 政 政 策,環 境 政 策,社 会 政 策 の 各 分 野 で,石 油 部 門 の 活 動 に影 響 を与 えて い る。 経 済 政 策 分 野 にお い て は,政 府 は,輸 出促 進 を さ ら に強 化 し,可 能 な 限 り最 大 限 の,天 然 資 源 採 掘 に よ る収 入 を得 よ う と した 。 エ ク ア ドル は,他 の 多 くの 国 々 同 様 に石 油 産 業 を 国 有 化 し,国 有 企 業 ペ トロ エ ク ア ドル 社 を設 立 し た 。関連 企 業 と して,「 石 油 生 産 公 社 」「石 油 化 学 公 社 」
「石 油 工 業 公 社 」も同 時 に設 立 した。 企 業 に た い す る課 税 や そ の 採 掘 権 認 可 等 を手 段 に,政 府 は財 政 的 影 響 力 も行 使 す る。
政 府 が 国 民 の利 益 の代 表 か つ 保 護 者 と し て の 役 割 りを果 た す 分 野 は,環 境 保 護,労 働 条 件 の 保 護,労 働 者 の保 護,健 康 の保 護,生 活 条 件 全 体 の保 護 等 の分 野 で あ る。
政 府 は,憲 法 に よ っ て,国 民 の 健 康 が 危 険 に さ ら され ぬ よ う に,環 境 を保 護 す る こ とが 義 務 づ け られ て い る。 だ か ら,環 境 リス ク を 防 ぐた め に,石 油 企 業 の監 督 義 務 を負 っ て い る。 さ らに 国 家 は,環 境 破 壊 の犠 牲 者 とな りそ う な 人 々 にた い し,か れ らの権 利 の擁 護 の た め の,法 的 な助 言 と必 要 な す べ て の 情 報 を提 供 す る義 務 が あ る。
ハ ー ヴ ァー ド大 学 の委 員 会 は,エ クア ドル政 府 は,環 境 ・社 会 政 策 にお い て,ま た 国 民 の 権 利 の法 的 な 代 理 人 と し て の義 務 を果 た して い な い,と 明 確 に言 明 し た(22)。
(21)元 テ ク サ コ ・エ ク ア ド ル 社 支 配 人ReneBucaramの 証 言:Elcomercio,21.8.
1996
(22)Feld.H.:Projektarbeit:FolgenderErd61explorationimecuadorianischen Amazonas,Kasse11994,S.25
エ ク ア ドル の石 油 採 掘 279
9.イ ン デ ィ オ 先 住 民 族 の 抵 抗
70年 代 に す で に,ア マ ゾ ン地 域 の イ ン デ ィ オ先 住 民 は,環 境 の 破 壊 に 反 対 して,抵 抗 運 動 を始 め た。 しか し,石 油 コ ン ツ ェ ル ンの 侵 入 に反 対 す る個 々 の闘 争 活 動 は,言 う に足 る ほ どの 成 功 を お さ め な か っ た 。そ の結 果,1980年, ア マ ゾ ン地 域 の さ ま ざ ま な イ ンデ ィ オ先 住 民 族 組 織 が,エ ク ア ドル の全 イ ン デ ィオ先 住 民 組 織 の 連 合 体 で あ るCONAIE(:CONFENAIEの 前 身 組 織) を創 設 した 。
1990年6月,エ ク ア ドル で先 住 民 が 蜂 起 した 。 か れ ら は共 同行 動 し,政 府 を危 機 に追 い込 ん だ 。 蜂 起 は,首 都 キ トー へ の行 進 で 最 高 潮 を迎 え た。 そ こ で,か れ ら の土 地 にた い す る正 当 な権 利,政 治 的 な 共 同 参 加,特 に熱 帯 雨 林 保 護 措 置 を政 府 に 要 求 し た 。1991年9月,政 府 は先 住 民 組 織 との 対 話 を開 始 した 。ヨ ー ロ ッパ 議 会 も,エ ク ア ドル の,特 にパ ス タ ツ ァ県 の チ リア,ア チ ュ ア,オ ラニ の先 住 民 族 の た め に,明 快 な 決 議 文 を採 択 した 。 そ の 内容 は,(1) 世 界 銀 行 は,エ ク ア ドル 政 府 にた い す る融 資 を再 点検 す る,(2)ア ル コ社 は, 石 油 採 掘 の 前 に先 住 民 と交 渉 す る,(3)エ ク ア ドル政 府 は,広 範 な範 囲 の 基 準
を論 議 す るた め に,先 住 民 族 と話 し合 い をす る,と い う もの で あ っ た 。 さ ら に,1992年4月,キ トー へ の 第2回 目の 行 進 が行 わ れ た 。首 都 に集 ま っ た1万 人 の イ ン デ ィオ 住 民 が,エ ク ア ドル 共 和 国 は 多 文 化 国家 で あ る と宣 言 し,国 民 間 の文 化 的 相 違 を 「認 め,保 護 し,尊 重 す る」 よ う に,エ ク ア ドル 憲 法 を改 正 す る こ と を要 求 した 。 政 府 や 当 局 との論 争 の主 な争 点 は,か れ ら が 先 祖 伝 来 暮 ら して い る生 活 領 域 の認 知 と い う点 で あ っ た。 イ ン デ ィ オ 先 住 民 の生 活 領 域 権 は,イ ン デ ィオ 住 民 が 生 き延 び る た め,か れ らの 自然 生 活 空 間 の保 全,と く にア マ ゾ ン地 帯 の熱 帯 雨 林 の保 全 の た め に必 然 で あ っ た 。 ア マ ゾ ンの 熱 帯 雨 林 は,国 内 ・国 際 石 油 企 業 の容 赦 の な い採 掘 方 法 に よ っ て, 深 刻 な被 害 を受 け,広 範 囲 に わ た り,破 壊 され て い る。アル コ社 とパ ス タ ツ ァ
の イ ンデ ィ オ先 住 民 組 織OPIP間 の交 渉 に お い て,は じめ て,・fン デ ィオ 村 落 共 同体 の参 加 を を可 能 に す る合 意 が で きた 。 そ の 合 意 の 内容 は,共 同 の,
対 等 な人 数 か ら成 る委 員 会 が,ア ル コ社 の ブ ロ ッ ク10油 田 に つ い て,そ の 環 境 に与 え る影 響 を調 査 す る とい う もの で あ る。 これ まで,パ ス タ ツ ァ県 の ム ア オ ラニ 民 族 と,コ ロ ン ビア 国 境 の ア ワ民 族 の3つ の村 落 共 同 体 が,111万 5,000haの 土 地 を正 式 に委 譲 さ れ た 。 これ は,か れ らが 要 求 した 領 域 の 半 分 の面 積 で は あ る。 しか し,こ の 成 果 は,重 要 で あ った(23)。
当初,イ ン デ ィオ 先 住 民 に は,あ ま りに も情 報 が 不 足 し,そ の結 果,い く つ か の 村 落 が会 社 と個 々 に 契 約 を結 ん だ 。 ま た,山 地 地 帯 か ら移 住 して きた 他 民 族 との 摩 擦 等 も結 束 を弱 め た 。 そ の 経 験 を も と に,各 組 織 は,CON‑
FENAIEを 調 整 組 織 と して 連 合 し,石 油 生 産 に関 し,以 下 の 統 一 要 求 を出 し て い る。
1.新 規 石 油 採 掘 用 地 を提 供 す る まで,10年 間 の猶 予 期 間 をお く。また は, 破 壊 的 な石 油 産 業 の活 動 を管 理 す るた め の,効 果 的 な シス テ ム が構 築 さ れ る ま で,猶 予 期 間 を お く。
2.自 然 保 護 地 域 に手 を触 れ て は な らな い。
3.イ ン デ ィオ 先 住 民 族 の 生 活 領 域 にお い て は,当 該 者 の 同 意 を得 て の み, また,そ の直 接 参 加 が保 障 され て の み,石 油 探 査 が 許 され る。 そ の 際, 正 式 に イ ン デ ィオ 先 住 民 の 生 活 領 域 に関 す る権 利 が 保 障 され な け れ ば な
らな い。
4.石 油 生 産 に関 わ る全 て の 企 業 は,破 壊 さ れ た 地 域 の再 生 の た め の 基 金 を創 設 しな けれ ば な らな い 。
5.少 な く と も今 日 の認 識 で は,エ ク ア ドル の石 油 埋 蔵 量 に限 界 が あ る。
だ か ら,政 府 は,す で に存 在 す る油 田 の 効 果 的 な 利 用 の た め に,投 資 し な けれ ぼ な らな い(24)。
(23)"KampfumdenRegenwald.DerWiderstandderIndigenasEcuadorsgegen dieVernichtungihresLebensraum",in;QuetsαlNr.2/April1993,S.14ff (24)Grefa1996,S.43
エ クア ドルの 石油 採 掘 28ヱ
イ ン デ ィオ 先 住 民 組 織 は,こ れ らの 要 求 の 実 現 の た め に,エ ク ア ドル 国 内 お よび 国 際 的 な環 境 ・人 権 組 織 と と も に活 動 して い る 。 テ クサ コ社 の ケ ー ス で は,当 該 先 住 民 は,米 国 に お い て,損 害 賠 償 を求 め る訴 訟 を起 こ した 。 か れ ら は,欠 陥 の 多 い,油 田 で の事 前 安 全 措 置 を怠 っ た た め に罹 っ た病 気 の補 償 を要 求 した 。ハ ー ヴ ァ ー ド大 学 の コ ンサ ル テ ィ ング 事 務 所 が鑑 定 を快 諾 し, 米 国 の 弁 護 士 の 支 援 に よ っ て,ニ ュ ー ヨー ク の 裁 判 所 で提 訴 した。
付 録 石 油 生 産 の プ ロセ ス
1.地 質 学 上 の 知 識 お よび 赤 外 線 撮 影 に よ る油 田 探 査 地 帯 の 選 択 。 2.当 該 地 域 の 航 空 撮 影 写 真 に よ る測 定 。
3.地 震 学 上 の 測 定 に よ る地 球 物 理 学 的 調 査:こ れ に よっ て,地 質 学 上 の 詳 細 な情 報 を入 手 し,鉱 脈 の 大 き さ を推 定 す る。この 段 階 で,5mか ら10m間 隔 で,浅 い ボ ー リ ン グ孔 を 掘 る。 この 孔 の 中 で,少 量 の爆 薬 を爆 発 さ せ,地 震 波 を起 こす 。 地 震 波 は,各 層 ご とに 異 な る。 この地 震 波 の測 定 に よ っ て,石 油 鉱 脈 層 を示 す,様 々 な層 が認 識 され る。
4.分 析 結 果 を も とに,鉱 脈 が 発 見 され る まで,様 々 な地 点 の 試 験 ボ ー リ ン グ:こ の ボ ー リ ング 孔 の深 さ は,平 均150mで あ る。 この ボ ー リ ング に よ っ て標 本 が 採 取 され る。この標 本 を も とに 各 岩 層 が分 析 され, 抽 出 可 能 な石 油 とガ ス の組 成 お よび 含 有 量,原 油 の質 が 特 定 さ れ る。
5.鉱 床 が,経 済 的 に十 分 な 収 益 性 が あ る と判 明 す れ ば,本 格 的 な石 油 生 産 の 開 始:500mか ら2,000mの 間 隔 で採 掘 孔 が 掘 られ る。 鉱 脈 に よっ て は,石 油 は,天 然 ガ ス の圧 力 に よ っ て,自 然 に地 表 に 吹 き出 す 。 そ うで な い場 合 は,水 蒸 気 また は化 学 物 質 や ガ ス を中 に圧 縮 して 入 れ, この 圧 力 に よ って,石 油 を採 掘 す る。 これ も,場 合 に よ って は,石 油 を化 学 物 質 に よ っ て溶 解 させ,そ の 後,ポ ンプ 採 掘 しな けれ ぼ な ら な い場 合 もあ る 。 これ らの 方 法 の どれ を採 用 す るか は,状 況 に よ っ て 異 な る。
6.こ の 原 油 自体 は,ま だ使 用 不 可 能 で あ る。 石 油 精 製 所 に送 る前 に, 精 選 し な け れ ば な らな い 。沈 積 方 法 と熱 処 理 に よ って,石 油 を 生 成 水,
ガ ス,沈 積 物 に 分 離 す る。 まず,水 や,例 えぼ 沈 積 物 の よ う な混 入 物 を 分 離 し な け れ ば な らな い か らだ 。 これ に 引 き続 き,こ の 原 油 の硫 黄 含 有 量 を最 小 限 に減 少 す る。 そ の後 に は じめ て,原 油 は,石 油 精 製 所 の化 学 装 置 内 で の 分 別 蒸 溜 に よ っ て,各 成 分 に分 離 さ れ る。 つ ま り, ガ ス状 態 の成 分,軽 ・重 揮 発 性 の炭 化 水 素,ア ス フ ァル トや タ ー ル の よ うな 残 留 物 に分 離 す る。
石 油 の 探 索 と生 産 の プ ロ セ ス の す べ て の 段 階 を通 し て,も し,厳 格 な 事 前 安 全 措 置 が と られ ず,衛 生 上 も安 全 な技 術 が 取 り入 れ られ な けれ ぼ, 環 境 は,大 き な 負 担 を受 け る。 そ の 際,直 接 的 な 影 響 と,例 え ば,イ ン フ ラ ス トラ ク チ ャー の建 設 に よ っ て起 こ る間 接 的 な 影 響 が,区 別 さ れ な け れ ば な らな い 。
出 典:Feldt1996,S.194