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血清抗 てんかん剤の 日内変動 -その測定の臨床上の意義- 本

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(1)

弘 前 医 学

35:465‑471,1983

血清抗 てんかん剤の 日内変動

‑その測定の臨床上の意義‑

本 間 博 彰

抄毎

入院治療 中のてんかん患者19名を対象に, 血清抗てんかん剤濃度 の 日内変動 を調べた. 血清抗 てんか ん剤 (Phenytoin (PHT),Carbamazepine (CBZ),Phenobarbital(PB))の 日内変動 のパ ターン と最 低 及び最高血清濃度 (Cmin,Cmax)を生 じる時間 と日内変動の大 きさを検討 した.ついで診療時間にお け る 外来患者の血清濃度 を入院患者の血清濃度 の 日内変動 と比較検討 した. 血清濃度 の測定には酵素免疫法 を用 いた.① 日内変動のパ ターンは PHT,PBでは変動の小 さな平坦 なパ ターンを示す.一方 CBZでは変動が 大 き く,個 々の症例で異な ったパ タ ーンを示す.(夢PHT,CBZでは血清濃度 は早朝第 1回 目服薬前にCmin を示 し, 6時間か ら8時間後 に Cmaxを示す.PBでは Cmin,Cmaxの出現時間はか な り変 動 す る.㊥

外来患者では,診療時間における血清濃度 は Cmin,Cmaxの間にあ り,PHTの場合 は変動が小 さ い た め に Cminに近い値 を示す.

弘前医学 35:465‑4

7

1,1983 EEY WORDS :diurnalvariation antiepilepticdrug

serum level

A STUDY ON DIURNALVARIATION OFSERUM LEVEL OFANTIEPILEPTICDRUGS

‑ClinicalSignijicanceofMeasurementOfDiur7ZalVariatzlon‑

HIROAKIHoMMA

Abstract Diurnalvariations ofserum levels ofan tiepileptic drugs(AED)were studied in 19 inpatientswithepilepsy. Thepattern ofdiurnalvariatoin ofAED 〔phenytoin (PHT),carbama‑ zepine (CBZ),phenobarbital(PB)〕and the appearance time ofminimum and maximum serum level(Cmin,Cmax)wereinvestigated,and thefollowingresultswereobtained.

①

Thepattern ofdiurnalvariation ofPHT andPB wasfoundtoberathersmalland 月.atwhile thatofCBZ waslargeandvariedfrom patienttopatien

t .

㊨ TheCminofPHT andCBZ wasobtainedjustbefore the morning dose and the Cmax was obtained6to8hoursafterthemorningdose. TheappearancetimeofCminandCmax ofPB variedfrom patienttopatien

t .

㊥ Theserum levelofCBZ and PB in the samplesobtained from outpatientsatabout10 am (consultation time)wasinbetween theCmin andtheCmax. Theserum levelofPHT wassimi・ lartothevalueofCmin,and thissimilaritycouldbedueto the smalldiurnalvariation ofthe drug.

HirosakiMed.∫.35:465‑4

7

1,1983 弘前大学医学部神経精神医学教室 (主任 佐藤時治

郎教授)

昭和

5

8年

5

月

28

日受付

°ept.ofNeuropsychiatry,HirosakiUniv.Sc

bl .

ofMed.(Director:Prof.T.SATO)

,

Hirosaki

,

Japan

Receivedforpublication,May28,1983

(2)

466 本 間

Ⅰ . 序

言

抗 て ん か ん 剤 ( 以 下

antiepilepticdrug:

AED と略す) の体液 内濃度の測定が比較 的 容易 になされ るよ うにな って以来,てんかん 患者 の診療 には,体液 内濃度,特 に血清濃度 の測定 は不可欠の検査 とな り,すでに これ ら に関する多数 の報告がなされてい る. さらに 最近では有効治療濃度が具体的に位置づけ ら れて きてお り, こ うした知見が,てんかん患 3 , 5 , 1 0 , 1 3 ) 者 の治療場面で も次第 に生か されつつ ある.

ところで,外来患者 は一般 に午前 中に診療 が行われ,多 くの場合,午前

9

時頃 よ り

12

時 頃の時間帯 に採血が行われてい るもの と考 え られ る. したが って, この時間帯の血清濃度 が, AED 服薬量 の指標, な らびに副作用防 止 の指標 とされ ることが多い. しか し, これ は,あ くまで も

1

日の薬物動態の一断面 にす ぎず,効果的な発作抑制や副作用防止 を考 え るな らは

,24

時間内におけ る薬物動態 を正確 に把握 してお く必要が あ る と思 わ れ る. ま た,てんかん患者が発作抑 制後 も比較的長期 にわた って規則的な服薬を続けなければな ら ない現状 を考える と,発病 ま もないてんかん 患者や,発作が未だ十分に抑制 されていない 患者 の場合 には,中枢神経 系の精査 と服薬量 の決定 のために短期入院を試み ることが望 ま しい と思 われ る. ところで,小児 と成人 とで は,薬剤 の吸収,代謝, 排 潜 に 差 が あ り, AED において も配 膚がなされ る必要性が あ り,以上 の観点か ら入院治療 を受け規則的に 服薬が なされた

13

歳以上 の患者 を対象 として AED の 日内変動 を検討 した.

ⅠⅠ.

対 象 と 方 法

弘前大学医学部神経精神科お よび関連施設 に入 院中のてんかん患者

19

名 ( 男

12

名,女

7

名) を対象 とした.平均年齢 は

26

歳

(14‑76

読) とな ってい る.なお,いずれ も肝 ・腎機 能に異常 を認めない症例であ り,採血 に協 力 の得 られた患者 を対象 としてい る.検討 した

September,1983 HirosakiMed.∫.35(3)

薬剤は

Phenytoin (PHT)

,

Carbamazepine

( CBZ)

,Phenobarbital(PB)

の

3

剤 である.

処方内容は

PHT

単独投与例

2

名, CBZ 単 独投与例

4

名,

PHT,PB

併用例

4

名,

PHT

, CBZ 併用例 3名,

PHT

,CB Z

,PB

併用例 2 名,

PHT

,CB 乙

Primidon

併用例

6名 で あ

る.服薬回数は

1

日

3

回 ( 服薬時間は午前

7

時

30

分,午前

1

1 時

30

分,午後

4

時

30

分)の症 例 に限定 した.

次 に検査方法であるが,処方変更後

2

週間 を経 て検査 を施行 した.入院中の患者ではあ るが,検査 の 目的か ら服薬 の時刻は正確を期 した.採血は早朝第 1回 目服 薬 直 前 に 開 始 し,以後は

2

時 間お きに採血 を した.

1

日の 間に

12

回採血 し

,24

時間モニタ ーが可能であ った症例は

5

例,

1

日

8

回採血 した症例は

14

例である.検体総数 は

272

検体 であった.血 清濃度 の 測 定 に は, 主 に 酵 素 免 疫 測 定 法

(Emit)

を用いた.特 に酵素免疫測定法 で は 測定で きない範囲の検体 は, あらためて兼子 4 ) の方法 に よるガスクロマ 十グラフ イー法で測 定 した.

ⅠⅠⅠ.

結 果

年齢 に よ り薬剤の吸収 と排潜 には差異の存 l l )

在す ることが知 られてい るので,本報告 では

13

歳以上 の患者 を対象に血清濃度 の 日内変動 を分析 した.

1 )

Phenytoin (PHT)

Phenytoin (PHT)

を服用 してい る患者 は 単独服用例,多剤服用例 をあわせて

13

例で あ る.表

1

は

13

例 の血清濃度の 日内変動 を示 し たが,体重,服薬量 の差異 に よ る 変 動 を 除 外す るため, 数値 はすべて, 濃 度 一用 量 比

(〝g/ml÷mg/kg/day;LDR)

を用 い て 表 示 した. したが って 2時 間 ご との 血 清 濃 度 は

LDR

に換算 して示 されている.なお

13

例 中

4

例は

12

回採血,つ ま り

24

時間モニタ

ー

した 症例で,

9

例 は

8

回採血 した症例であ り,平 均服薬量 は,

3・33mg/kg

(

1・76‑6.15nlg/

kg)

であった.

12

回採血群

4

例 で,

1

日の

(3)

昭和 58年

9月

弘前医学 35

巻

3号 血清抗 てんかん剤 の 日内変動 467

Table 1 Diurnalvariation ofantlepilepticdrug

n

10

2 4 6 8 10 12 14

0.87

0.ll 0.89

1

.00 0.96 1.05 0.99 0.99 1.00 0.11 0.09 0.11 0.12 0.09 0.10 0.12

・2 j 3:至言 7.20

1

.72

0.74 0.76 0.85 0.85 0.84 0.84 0.77 0.11 0.11 0.10 0.10 0.11 0.11 0.10 7.55 7.88 7.24 8.47 7.28 7.37 0.53 2.18 2.26 1.86 2.62 1.96 1.95 1.89 単位 はLevelDoseRatioに換算 し,上 段は平均値,下掛 ま標準誤差 を示 した.早朝第1回 目服薬直前 を"0〝 とし2時間毎 の採血時間を各 々2, 4‑‑・14と表 わ した.

T

f

7

. 5a m l l . 5a m

0 2 4 6 8 10 12 14hr 図 1 Diurnalvariation ofphenytoin‑leve

l .

縦軸 には LevelDose Ratioを表 わ し,横軸 には早朝第1回 目服薬時か らの時 間経過 を 表 わ す. 図 中7.5

am

,ll.5

am

, 4.5pmは服薬時刻 を表 わす.

中で血清濃度が最 も低 い値 を示す時 間 (この 時 の血清濃度 を

Cmin

と表 わす) は, 早 朝 第

1

回 目服薬前 となる.血 清 濃 度 の 最 高 値 (これ を

Cmax

と表わす) は,第 1回 目服 薬後

6

時間か ら

1

0時 間を経 て出現 す る.それ 以後 の血清濃度 は徐 々に低下 して, 1

4

時 間か ら1

6

時間後 に再 び漸増す るが,Cmaxには到 らない.以上 の結果 を

8

回採血群 でみ る と,

Cmin

は

2

例 の場合, 第 1回 目服薬後

2

時 間 後 に出現 し,

7

例 で第

1

回 目服薬前 に出現 す

る.Cmax は

4

時間か ら1

2

時 間 を 経 て 出 現 してい る

.

次 に表

1

の

13

例 を採血時 間 ごとに

LDR

の

平均値 と標準誤差 を用 いて, 日内変動 をパ タ

ーン化 したのが, 図 1で ある.横車由は早朝第

1

回 目服薬直前 を

、、0′

′とし,その後 の時間

経過 を示 してある.一 方 縦 軸 に は

LDR

を

示 して ある. また

1

日

3

回の服薬時 間をそれ

ぞれ矢印で図示 した. 日内変動 のパ タ ーンは

本報告 での服薬条件下 では, 図の よ うなバ ク

(4)

468 本 間

September,1983 HirosakiMed.J.35(3) Table2 Variouspharmacokineticdataofantiepilepticdrugs

iC ‑ C n i maxmln

PHT i13 CBZ 12 pB 【4

Median Variation C 一 c c 一 c c 一 c c ‑ C max2hr max4hr 2hrmin 4hr mュn (〝g/ml) (%) (〝g/ml) (〃g/ml) (〝g/ml) (〝g/ml) 1.13 3.10 41.4 0.68 0.3 0.25 0.55 (0.512.0)(1.6‑ 5.0)(17.0‑1(泊 )(0.3‑1.4)(0 ‑1.3)(0 ‑1.1)(0 ‑2.0)

2.70 6.65 44.0 1.76 1.49 0.87 1.0 (0.6‑6.0)(2.8‑13.6)(18,8‑66.7)(0.4‑5.3)(0 ‑4.2)(0 ‑1.7)(0 ‑2.3)

3.80 15.18 22.3 2.5 1.6 1.33 2.23 (0.9‑7.7)(8.9‑23.5)(10.1‑32.8)(0.3‑6.3)(0 ‑4.2)(0.7‑2.5)(0.7‑3.5) PHT,CBZ,PB

の

3

剤につき各 々

Cmax‑Cmin,Median,Variation,Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hr

,

C2hr一cmin

,

C4hr‑Cmin

の項 目について,上段には血中濃度

(FLg/ml)

の平均値を示 し,下風 ・ よそ の変動域を示 した.

‑ンを とる.表

2

は表

1

に示 した

13

例 を各 々

Cmax‑Cmin Median[(Cmax+Cmin)/2]

,

Variatin [100×(Cmax‑Cmin)/Median]

Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hr

,

C2hr

一

cmin

,

C4hr‑Cmin

の項 目につ いて示 し た も の で ある.

Cmax‑Cmin

は 日内変動差 で あ り,

Median

は

Cmax,Cmin

の 中間値 で ある.

Variation

は 日内変動差 を 中 間 値 で 除 し, 百分率 で表 わ し, 日内変 動 の 指 標 と な る.

C2hr,C4hr

は,第

1

回 目服薬後

2

時 間 後 ,

4

時 間後 の 血 清 濃 度 を あ ら わ し,

Cmax‑

C2hr

は 日内変動 の最 高 値 と服 薬 後

2

時 間 ( 本報 告 の場合 で は午前

9

時

30

分 に あた る) の血清 濃度 との差 で あ り,

C2hr‑Cmin

は, 服 薬後

2

時 間の血清濃度 と最 低 値 の 差 で あ る.

C4hr

の場合 は

1

1時

30

分 に あた り, 上 記 と同 じ趣 旨で ある

.PHT

服 薬 の場 合

,Cmax

‑Cmin

は平均 で

1.13〝g′/ml(0.5‑2.0〝g/

ml)

,

Median

は平 均 で

3.l〟g/ml

(

1.6‑5.0 FLg/ml)

で あ った. また

Ⅴariation

は

41%(10

‑100%),Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hr

は各 々

0.68〝g/ml(0.3

‑

1.4〝g/ml),0.3〝g/ml (0

‑

1.3〝g/m

l ) で あ っ た.

C2hr‑Cmin

,

C4hr

一

cmin

は各 々

0.25FLg/ml(0‑1.1FLg/

m

l )

,0.55FLg/ml(0‑2.OFLg/ml)

で あ った.

2)Carbamazepine (CBZ)

Carbamazepine (CBZ)

を服用 してい る患 者 は

12

例 で,単独服用例 5 例, 多剤併用例 7

例 で ある.

24

時 間モ ニタ ーした症 例 は

3

例 で ある

.PHT

と同様 に

LDH

に換算 し,表

2

に表 わ した.

3

例 の 日内変動 か ら,

Cmin

は 早朝第

1

回 目服薬前 に出現 し,

Cmax

は

12

時 間か ら

14

時 間後 に出現 してい る. それ以後 は 漸減 して ゆ くのがわか る. これ を

8

回採血群 でみ る と,

Cmin

は早朝第

1

回 目服薬前 に出 現 し,

Cmax

は

6

時 間か ら

12

時 間 後 に 出 現 してい る. また

12

例 の 平 均 服 薬 量 は,

10.4 mg/kg (2.1‑16.0mg/kg)

で あ った.次 に

12

例 の 日内変動 を

PHT

と同様 に パ タ ー ン に表 わ したのが, 図

2

で あ る.

次 に

PHT

の場合 と同様 ,表

1

の

12

例 を 各 々蓑 に示 され た項 目につ い て 結 果 を し る す.

Cmax

一

cmin

は平均 で

2.7FLg/ml(0.6

‑6.0〝g/ml),Median

は

6.7〝g′′ノml(2.8‑

13.6FLg/ml,Variation

は

44.0%(18.8‑66.7

, 0 / o ' ) で あ った.

Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hr

は各 々

1.76.ug/ml(0

.

4‑5.3FLg/ml)

,

1.49FLg/

ml(0‑4.2FLg/m

l )で あ り

C2hr‑Cmin,C4hr

‑Cmin

は各 々

0.87/唱/ml(0

‑

1.7〃g/ml)

,

1.1FLg/ml(0‑2.3FLg/ml)

で あ った.

3)Phenobarbital(PB)

Phenobarbital(PB)

を服 薬 してい る 患 者

は 4例 で,いずれ も多剤併用 例 で ある. 3例

が

24

時 間 モニタ ーした症例 で ある.

Cmin

は

各 々,早朝第

1

回 目服 薬前 や,

2

時 間後 や,

あ るい は

20

時 間後 とさま ざまな時 間帯 に出現

(5)

昭和 58年9月

弘前医学 35巻 3号 血清 抗 てんかん剤 の 日内変動 469

+ 4

7.5am

l

l.Sam

0 2 4 6 8 10 12 14 hr 図 2 Diurnalvariationofcarbamazepine‑leve

l .

図 1を参照,

していた.

Cma

x は,

Cmin

と同様でかな り バ ラつ き,

2

時間後,

6

時間後

,14

時間後 に 出現 していた. 次 に

PHT

,

CBZ

と同 様, 表

1

の

4

症例 を各 々前述 の項 目について分析 してみる と,表

4

に示 した よ うに,

Cmax

‑

Cmin

は

3.8Flg/ml(0.9‑7.7Flg/ml)

とや や パラつ きが あ るが,

Median

が

15.18,ug/

ml(8.9‑23.5,,jg/ml)

で,結局

Variation

が

22.3% (10.1‑32.8%)

と比較的小 さな数値 を示 して い る.

Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hr

は各 々

,2.50Flg/ml(0.3‑6.3Flg/ml)

,

1.60

〃g/ml(0‑4.2〃g/ml)

で,

C2hr‑Cmin

,

C4hr‑Cmin

は各 々

,1.33Flg/ml(0.7‑2,5 Flg/ml),2.23jLg/ml(0.7‑3,5。Leg′/ml)

とな

っ た .

ⅠⅤ.

考 察

これ までに

AED

の 日内変 動 を 扱 った 論 2 . 6 ‑9 . 1 4 . 1 5 )

文は少な く, 日内変動の採血時間やその間隔 につ いての見解 も報告者 に よって種 々異な っ ている.臨床的 には

Cmax,Cmin

が出現す

る時間が問題で あるが,

Cmax

つ ま りピーク の出現す るまでの時 間は,服薬後短時間で変 動す るので,著者 は第

1

回 目服薬直前か ら

2

時間の間隔で採血 を行 い 日内変動 を詳 し く調 べ た.

Cmax,Cmin

の出現す る 時 間 帯 は, 本報告の ごとき服薬時間

(7:30am

,

ll:30 am,4:30pm)

の方法では,

PHT,CBZ

の 二剤に関 しては

,12

回採 血 した 症 例 か ら,

Cmin

は第

1

回 目服薬の前後に,

Cmax

はそ れか ら遅 くとも

14

時間後 までに出現す ること が 明 らかにな った. この事実か ら 日内変動は

8

回採血 に よって も十分 に把握で きる といえ る.なお

PB

に関 しては今回の報告では

4

例 のみの検討を したが,

Cmax,Cmin

の出現す る時間帯 にかな りの差違 が あ り

,PHT,CBZ

でみ られた結果はあてはま ら な い よ うで あ る.

次 に各

AED

の 日内変動 につ い て 検 討 す る

.

PHT

では,

Cmin

の出現す る時間は, 第

1

回 目服薬前後 に,

Cmax

は

8

時間前後にそ

(6)

470 本 間

れ ぞれ 出現す る.

Cmax

と

Cmin

の 差, つ ま り日内変動差 は平均で

1.1FLg/ml

と小 さな 値 を示 したが,

Variation

か ら見 る と

41%

の 変動 を示 してい る

,Variation

は

10%

か ら

100

06

/ まで,幅広 いバ ラつ きを有す るが,高値 を 示す ものは血清濃度 の低い症例 で あ った.個 々の症例 を各 々,比較検討 してみ る と,全体 に平坦 なパ タ ーンを示 す の が

PHT

の 特 徴 である と思 われ る.本論文 の対象患者 は一般 に

PHT

の服薬が 少ないので, か くの ごと く 日内変動が小 さ くな ったのか もしれ ない. こ 9 ) の点 につ い て 酒 井 ら は

Dyphenylhydantoin (phenytoin)

の血清濃度 は 日内変動差が′ J \さ

く,ほほ一定 の値 を とるが,通常 の治療量 で は半数以上が有効血清濃度 に達 していない と 報告 してい るが,著者 と同様 の見解 と考 え ら

1 壬 ) れ る.外 国においては, STRANDJORD らは

PHT

の

1

日

1

回服 薬 法 に 触 れ, そ の 中 で

PHT

の変動が最 も少 ない と指摘 して い る.

1 )

他 の報告者 も

PHT

に関 して同 様 の 報 告 を してい る.

Cma

x,

Cmin

に関 して は , STR‑

1

4

)

ANDJORD は

1

日

1

回投与例 と

2

回投与例 を 試みて,

1

回投 与 例 で は

Peak (Cmax)

は 服薬後

4

時 間後 に出現 し,

2

回 投 与 例 で は

Lowestlevel(Cmin)

は

19

例 中

13

例 に 早 朝 8時 に出現 し, 6例 に夕方 5時に出現 した と 述べ てい る.著者 の観察 した症例 では

,Peak

は

2

つ あ り,最初 の

Peak

は第

1

回 目服 薬 後

4

時 間 後 に 出 現 し て い る. 図 の 最 初 の

Peak

は,おそ ら く第

1

回 目服薬 に よる

Peak

であ り,

Cmax

は

2

回 目の服薬 に よる効果が 加 わ って出現 した もの と思 われ る.

7 . 8 , 1 5 )

CBZ

につ いての 日内変動の報告 は 現 在 の 所

2

,

3

の 報 告 に 限 られ て い る.

CBZ

も

PHT

と同様

Cmin

の出現時 間は第

1

回 目服 薬前後 にみ られ,

Cmax

は

6

時 間か ら

12

時 間 後 にかけて比較的異 な った 時 間 帯 に 出 現 す る. 日内変動 差 は 平 均 で

2.7FLg/ml(0.6‑ 6.0一〃g/ml)

とな り,

CB

Zの有効治療 濃 度 か らみ る と変動 も大 き く,かつ バ ラつ き も大 き い.個 々の症例 につ いて検討 してみ る と症例

September,1983 HirosakiMed.∫.35(3)

に よっては,その変動パ タ ーンに差 が認 め ら れ,かつ

Cmax

の出現時 間に差が あ り, こ の傾向は

PHT

とは異 な る所 で あ る.

CBZ

7 )

の 日内変動 に関 して,小倉 の報告 では,

1

日

4

回採血 して 日内変動 を調べ, 日内変動 はほ とん ど認 めなか った としてい るが,著者 と結

8 )

果 を異 にす る. また久郷 らは,早朝空腹時血 清濃度

(Cs)

と服薬後

3

時 間 後 の 血 清 濃 度

(Cr)

を比較 し,

Cr/CsRatio

が

CBZ

では

159.3%

とな り,他 の

AED

と比べ て,

3

時 間後 の血清濃度が変動す る と指摘 してい る.

この ことは,

CBZ

では 日内変動が 大 き くな る もの と解釈 で きる.

PB

では

Cmax,Cmin

の出現す る時 間 が かな りバ ラつ く結 果 とな ったが, この点 につ いては今後症例 を増や して検討 してみ る必要 が ある. ところで

Cmax

と

Cmin

の差 は平 均で

3.8一〃g/′ml

であるが, その範 囲は

0.9‑

7.7〃g/ml

と比較 的バ ラつ きがみ られ た. し か し

Variation

をみ る と

22.3% (10.1.‑32.8

%) と,

PHT,CBZ

に比べ て小 さな 値 で あ り, また

PB

の有効治療濃 度 を 考 え る と,

PB

は比較 的 日内変動の 小 さ な 薬 剤 とい え

9 )

る.酒 井 らの報告 に よ る と

PB

は, 血 清 濃 度が早朝,夜 間にかけて高 く,展 間は低い, いわ ゆ る谷型 を示すが, 日内変動は

60‑80%

6 ) で著 明で ある と報告 してい る. また,風祭 ら の報告 では,採血時 間の如何 にかかわ らず, きわめて恒常的で ある とされ てい る.報告者 に よってか な り違 いが あるが,著者 の結果 で は,

PB

は 日内変動 は小 さいが, 併用薬剤 の 影響 を受けやすい もの と推定 された.又採血 時 間の間隔 の違 い も結果 に影響 を与 える可能 性 はある.

ところで午前

9

時頃 よ り

12

時頃 までの時 間

帯 は,てんかん 患者 の外来診療 を行 う上 で重

要 な時 間帯 で あ り, この時 間 に 採 血 され た

AED

の血清濃度 を発作抑制 な らびに副作用

防止 の指標 として取 りあげ る ことは きわめて

妥当で ある と考 え られ る. このため著者 は服

薬後 2時 闇値 ( 著者 の症例 では午前 9時

30

分

(7)

昭和

58

年

9

月 弘 前医学

35巻 3号

値 とな る) と4時 間値 (同 じ く午 前11時30

分

値 ) を Cmax,Cminと比 較 検 討 して み た .

PHTで は2時 間値 との比 較 , つ ま り Cmax

‑C2hr,C2hr‑Cminは各 々平 均 で0.68FLg/

ml,0.25〃g/mlで あ った .4時 闇 値 と の 比 較 ,Cmax‑C4hr,C4hr‑Cminは各 々平 均 で 0.3〃g/′ml,0.55一日g/mlで あ っ た . 日 内 変 動 差 が小 さい た め , これ らの値 も小 さ くな って い る,CBZで は2時 間値 との 比 較 は 各 々1.76〃g/ml,0.87.〔′g/mlで あ り, 4時 間 僅 と は, 1.49.日g/m

l

,1.10.〃g/'mlと な り,

PHT と比 して か な り大 き くな る.PBで は 2時 間 値 と の 比 較 は2.50.L,g/ml,1.33.Elg/

mlとな り, 4時 間値 とは 1.60/唱/ml,2.23

〃g/mlとな る. 以 上 の数 値 で 明 ら か な よ う に, 日常 の外 来 診 療 で使 用 す る時 間 帯 の血 清 濃 度 は , 薬 剤 に よ って は か な り の 幅 を 有 し て ,Cmax,Cminの 中 間 に位 置 し て い る.

よ って , 血 清 濃 度 を発 作 抑 制 , 副 作 用 防 止 の モ ニ タ ー と して使 用 す る場 合 は , 上 述 の よ う な濃 度 値 の幅 を考 慮 に入 れ て 判 断 す る必 要 が あ る.

序 言 で触 れ た が , 小 児 と成 人 で は薬 剤 の 吸 収 , 代 謝 ・排 他 に差 が あ るた め , 今 回 は成 人 に限 って 日内変 動 を調 べ 報 告 した . 小 児 につ い て は別 の機 会 に報 告 す る こ と と した い . な お , 日内変 動 は 成人 に お い て もか な り個 人 差 が あ り, そ の 服 薬 条 件 もそ れ ぞ れ 異 な って い る の で ,各 患 者 につ い て , で きれ ば 一 度 は 日 内変 動 を検 査 し, そ の 個人 の 変 動 パ タ ー ンを つ か ん で お くこ とが 治 療 上 有 益 と考 え る.

稿 を終えるにあた り,御指導いただいた佐藤時治 郎教授,兼子直博士に厚 く感謝いた します.

なお本論文の要旨は第21回 日本神経 学 会 総 会 で 発表 した.

文 献

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図

Tabl e 1 Di ur na lvar i at i on ofa nt l e pi l e pt i cdr ug

参照

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