弘 前 医 学
35:465‑471,1983血清抗 てんかん剤の 日内変動
‑その測定の臨床上の意義‑
本 間 博 彰
抄毎
入院治療 中のてんかん患者19名を対象に, 血清抗てんかん剤濃度 の 日内変動 を調べた. 血清抗 てんか ん剤 (Phenytoin (PHT),Carbamazepine (CBZ),Phenobarbital(PB))の 日内変動 のパ ターン と最 低 及び最高血清濃度 (Cmin,Cmax)を生 じる時間 と日内変動の大 きさを検討 した.ついで診療時間にお け る 外来患者の血清濃度 を入院患者の血清濃度 の 日内変動 と比較検討 した. 血清濃度 の測定には酵素免疫法 を用 いた.① 日内変動のパ ターンは PHT,PBでは変動の小 さな平坦 なパ ターンを示す.一方 CBZでは変動が 大 き く,個 々の症例で異な ったパ タ ーンを示す.(夢PHT,CBZでは血清濃度 は早朝第 1回 目服薬前にCmin を示 し, 6時間か ら8時間後 に Cmaxを示す.PBでは Cmin,Cmaxの出現時間はか な り変 動 す る.㊥外来患者では,診療時間における血清濃度 は Cmin,Cmaxの間にあ り,PHTの場合 は変動が小 さ い た め に Cminに近い値 を示す.
弘前医学 35:465‑4
7
1,1983 EEY WORDS :diurnalvariation antiepilepticdrugserum level
A STUDY ON DIURNALVARIATION OFSERUM LEVEL OFANTIEPILEPTICDRUGS
‑ClinicalSignijicanceofMeasurementOfDiur7ZalVariatzlon‑
HIROAKIHoMMA
Abstract Diurnalvariations ofserum levels ofan tiepileptic drugs(AED)were studied in 19 inpatientswithepilepsy. Thepattern ofdiurnalvariatoin ofAED 〔phenytoin (PHT),carbama‑ zepine (CBZ),phenobarbital(PB)〕and the appearance time ofminimum and maximum serum level(Cmin,Cmax)wereinvestigated,and thefollowingresultswereobtained.
①
Thepattern ofdiurnalvariation ofPHT andPB wasfoundtoberathersmalland 月.atwhile thatofCBZ waslargeandvariedfrom patienttopatient .
㊨ TheCminofPHT andCBZ wasobtainedjustbefore the morning dose and the Cmax was obtained6to8hoursafterthemorningdose. TheappearancetimeofCminandCmax ofPB variedfrom patienttopatien
t .
㊥ Theserum levelofCBZ and PB in the samplesobtained from outpatientsatabout10 am (consultation time)wasinbetween theCmin andtheCmax. Theserum levelofPHT wassimi・ lartothevalueofCmin,and thissimilaritycouldbedueto the smalldiurnalvariation ofthe drug.
HirosakiMed.∫.35:465‑4
7
1,1983 弘前大学医学部神経精神医学教室 (主任 佐藤時治郎教授)
昭和
58年
5月
28日受付
°ept.ofNeuropsychiatry,HirosakiUniv.Sc
bl .
ofMed.(Director:Prof.T.SATO),
Hirosaki,
JapanReceivedforpublication,May28,1983
466 本 間
Ⅰ . 序
言抗 て ん か ん 剤 ( 以 下
antiepilepticdrug:AED と略す) の体液 内濃度の測定が比較 的 容易 になされ るよ うにな って以来,てんかん 患者 の診療 には,体液 内濃度,特 に血清濃度 の測定 は不可欠の検査 とな り,すでに これ ら に関する多数 の報告がなされてい る. さらに 最近では有効治療濃度が具体的に位置づけ ら れて きてお り, こ うした知見が,てんかん患 3 , 5 , 1 0 , 1 3 ) 者 の治療場面で も次第 に生か されつつ ある.
ところで,外来患者 は一般 に午前 中に診療 が行われ,多 くの場合,午前
9時頃 よ り
12時 頃の時間帯 に採血が行われてい るもの と考 え られ る. したが って, この時間帯の血清濃度 が, AED 服薬量 の指標, な らびに副作用防 止 の指標 とされ ることが多い. しか し, これ は,あ くまで も
1日の薬物動態の一断面 にす ぎず,効果的な発作抑制や副作用防止 を考 え るな らは
,24時間内におけ る薬物動態 を正確 に把握 してお く必要が あ る と思 わ れ る. ま た,てんかん患者が発作抑 制後 も比較的長期 にわた って規則的な服薬を続けなければな ら ない現状 を考える と,発病 ま もないてんかん 患者や,発作が未だ十分に抑制 されていない 患者 の場合 には,中枢神経 系の精査 と服薬量 の決定 のために短期入院を試み ることが望 ま しい と思 われ る. ところで,小児 と成人 とで は,薬剤 の吸収,代謝, 排 潜 に 差 が あ り, AED において も配 膚がなされ る必要性が あ り,以上 の観点か ら入院治療 を受け規則的に 服薬が なされた
13歳以上 の患者 を対象 として AED の 日内変動 を検討 した.
ⅠⅠ.
対 象 と 方 法
弘前大学医学部神経精神科お よび関連施設 に入 院中のてんかん患者
19名 ( 男
12名,女
7名) を対象 とした.平均年齢 は
26歳
(14‑76読) とな ってい る.なお,いずれ も肝 ・腎機 能に異常 を認めない症例であ り,採血 に協 力 の得 られた患者 を対象 としてい る.検討 した
September,1983 HirosakiMed.∫.35(3)
薬剤は
Phenytoin (PHT),
Carbamazepine( CBZ)
,Phenobarbital(PB)の
3剤 である.
処方内容は
PHT単独投与例
2名, CBZ 単 独投与例
4名,
PHT,PB併用例
4名,
PHT, CBZ 併用例 3名,
PHT,CB Z
,PB併用例 2 名,
PHT,CB 乙
Primidon併用例
6名 で ある.服薬回数は
1日
3回 ( 服薬時間は午前
7時
30分,午前
11 時
30分,午後
4時
30分)の症 例 に限定 した.
次 に検査方法であるが,処方変更後
2週間 を経 て検査 を施行 した.入院中の患者ではあ るが,検査 の 目的か ら服薬 の時刻は正確を期 した.採血は早朝第 1回 目服 薬 直 前 に 開 始 し,以後は
2時 間お きに採血 を した.
1日の 間に
12回採血 し
,24時間モニタ ーが可能であ った症例は
5例,
1日
8回採血 した症例は
14例である.検体総数 は
272検体 であった.血 清濃度 の 測 定 に は, 主 に 酵 素 免 疫 測 定 法
(Emit)を用いた.特 に酵素免疫測定法 で は 測定で きない範囲の検体 は, あらためて兼子 4 ) の方法 に よるガスクロマ 十グラフ イー法で測 定 した.
ⅠⅠⅠ.
結 果
年齢 に よ り薬剤の吸収 と排潜 には差異の存 l l )
在す ることが知 られてい るので,本報告 では
13歳以上 の患者 を対象に血清濃度 の 日内変動 を分析 した.
1 )
Phenytoin (PHT)Phenytoin (PHT)
を服用 してい る患者 は 単独服用例,多剤服用例 をあわせて
13例で あ る.表
1は
13例 の血清濃度の 日内変動 を示 し たが,体重,服薬量 の差異 に よ る 変 動 を 除 外す るため, 数値 はすべて, 濃 度 一用 量 比
(〝g/ml÷mg/kg/day;LDR)を用 い て 表 示 した. したが って 2時 間 ご との 血 清 濃 度 は
LDRに換算 して示 されている.なお
13例 中
4例は
12回採血,つ ま り
24時間モニタ
ーした 症例で,
9例 は
8回採血 した症例であ り,平 均服薬量 は,
3・33mg/kg(
1・76‑6.15nlg/kg)
であった.
12回採血群
4例 で,
1日の
昭和 58年
9月
弘前医学 35
巻
3号 血清抗 てんかん剤 の 日内変動 467Table 1 Diurnalvariation ofantlepilepticdrug
n
10
2 4 6 8 10 12 140.87
0.ll 0.89
1
.00 0.96 1.05 0.99 0.99 1.00 0.11 0.09 0.11 0.12 0.09 0.10 0.12・2 j 3:至言 7.20
1
.720.74 0.76 0.85 0.85 0.84 0.84 0.77 0.11 0.11 0.10 0.10 0.11 0.11 0.10 7.55 7.88 7.24 8.47 7.28 7.37 0.53 2.18 2.26 1.86 2.62 1.96 1.95 1.89 単位 はLevelDoseRatioに換算 し,上 段は平均値,下掛 ま標準誤差 を示 した.早朝第1回 目服薬直前 を"0〝 とし2時間毎 の採血時間を各 々2, 4‑‑・14と表 わ した.
T
f7
. 5a m l l . 5a m
0 2 4 6 8 10 12 14hr 図 1 Diurnalvariation ofphenytoin‑leve
l .
縦軸 には LevelDose Ratioを表 わ し,横軸 には早朝第1回 目服薬時か らの時 間経過 を 表 わ す. 図 中7.5
am
,ll.5am
, 4.5pmは服薬時刻 を表 わす.中で血清濃度が最 も低 い値 を示す時 間 (この 時 の血清濃度 を
Cminと表 わす) は, 早 朝 第
1回 目服薬前 となる.血 清 濃 度 の 最 高 値 (これ を
Cmaxと表わす) は,第 1回 目服 薬後
6時間か ら
10時 間を経 て出現 す る.それ 以後 の血清濃度 は徐 々に低下 して, 1
4時 間か ら1
6時間後 に再 び漸増す るが,Cmaxには到 らない.以上 の結果 を
8回採血群 でみ る と,
Cminは
2例 の場合, 第 1回 目服薬後
2時 間 後 に出現 し,
7例 で第
1回 目服薬前 に出現 す
る.Cmax は
4時間か ら1
2時 間 を 経 て 出 現 してい る
.次 に表
1の
13例 を採血時 間 ごとに
LDRの
平均値 と標準誤差 を用 いて, 日内変動 をパ タ
ーン化 したのが, 図 1で ある.横車由は早朝第
1回 目服薬直前 を
、、0′′とし,その後 の時間
経過 を示 してある.一 方 縦 軸 に は
LDRを
示 して ある. また
1日
3回の服薬時 間をそれ
ぞれ矢印で図示 した. 日内変動 のパ タ ーンは
本報告 での服薬条件下 では, 図の よ うなバ ク
468 本 間
September,1983 HirosakiMed.J.35(3) Table2 Variouspharmacokineticdataofantiepilepticdrugs
iC ‑ C n i maxmln
PHT i13 CBZ 12 pB 【4
Median Variation C 一 c c 一 c c 一 c c ‑ C max2hr max4hr 2hrmin 4hr mュn (〝g/ml) (%) (〝g/ml) (〃g/ml) (〝g/ml) (〝g/ml) 1.13 3.10 41.4 0.68 0.3 0.25 0.55 (0.512.0)(1.6‑ 5.0)(17.0‑1(泊 )(0.3‑1.4)(0 ‑1.3)(0 ‑1.1)(0 ‑2.0)
2.70 6.65 44.0 1.76 1.49 0.87 1.0 (0.6‑6.0)(2.8‑13.6)(18,8‑66.7)(0.4‑5.3)(0 ‑4.2)(0 ‑1.7)(0 ‑2.3)
3.80 15.18 22.3 2.5 1.6 1.33 2.23 (0.9‑7.7)(8.9‑23.5)(10.1‑32.8)(0.3‑6.3)(0 ‑4.2)(0.7‑2.5)(0.7‑3.5) PHT,CBZ,PB
の
3剤につき各 々
Cmax‑Cmin,Median,Variation,Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hr,
C2hr一cmin,
C4hr‑Cminの項 目について,上段には血中濃度
(FLg/ml)の平均値を示 し,下風 ・ よそ の変動域を示 した.
‑ンを とる.表
2は表
1に示 した
13例 を各 々
Cmax‑Cmin Median[(Cmax+Cmin)/2],
Variatin [100×(Cmax‑Cmin)/Median]Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hr
,
C2hr一
cmin,
C4hr‑Cminの項 目につ いて示 し た も の で ある.
Cmax‑Cminは 日内変動差 で あ り,
Medianは
Cmax,Cminの 中間値 で ある.
Variation
は 日内変動差 を 中 間 値 で 除 し, 百分率 で表 わ し, 日内変 動 の 指 標 と な る.
C2hr,C4hr
は,第
1回 目服薬後
2時 間 後 ,
4時 間後 の 血 清 濃 度 を あ ら わ し,
Cmax‑C2hr
は 日内変動 の最 高 値 と服 薬 後
2時 間 ( 本報 告 の場合 で は午前
9時
30分 に あた る) の血清 濃度 との差 で あ り,
C2hr‑Cminは, 服 薬後
2時 間の血清濃度 と最 低 値 の 差 で あ る.
C4hrの場合 は
11時
30分 に あた り, 上 記 と同 じ趣 旨で ある
.PHT服 薬 の場 合
,Cmax‑Cmin
は平均 で
1.13〝g′/ml(0.5‑2.0〝g/ml)
,
Medianは平 均 で
3.l〟g/ml(
1.6‑5.0 FLg/ml)で あ った. また
Ⅴariationは
41%(10‑100%),Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hr
は各 々
0.68〝g/ml(0.3‑
1.4〝g/ml),0.3〝g/ml (0‑
1.3〝g/ml ) で あ っ た.
C2hr‑Cmin,
C4hr一
cminは各 々
0.25FLg/ml(0‑1.1FLg/m
l )
,0.55FLg/ml(0‑2.OFLg/ml)で あ った.
2)Carbamazepine (CBZ)
Carbamazepine (CBZ)
を服用 してい る患 者 は
12例 で,単独服用例 5 例, 多剤併用例 7
例 で ある.
24時 間モ ニタ ーした症 例 は
3例 で ある
.PHTと同様 に
LDHに換算 し,表
2に表 わ した.
3例 の 日内変動 か ら,
Cminは 早朝第
1回 目服薬前 に出現 し,
Cmaxは
12時 間か ら
14時 間後 に出現 してい る. それ以後 は 漸減 して ゆ くのがわか る. これ を
8回採血群 でみ る と,
Cminは早朝第
1回 目服薬前 に出 現 し,
Cmaxは
6時 間か ら
12時 間 後 に 出 現 してい る. また
12例 の 平 均 服 薬 量 は,
10.4 mg/kg (2.1‑16.0mg/kg)で あ った.次 に
12例 の 日内変動 を
PHTと同様 に パ タ ー ン に表 わ したのが, 図
2で あ る.
次 に
PHTの場合 と同様 ,表
1の
12例 を 各 々蓑 に示 され た項 目につ い て 結 果 を し る す.
Cmax一
cminは平均 で
2.7FLg/ml(0.6‑6.0〝g/ml),Median
は
6.7〝g′′ノml(2.8‑13.6FLg/ml,Variation
は
44.0%(18.8‑66.7, 0 / o ' ) で あ った.
Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hrは各 々
1.76.ug/ml(0.
4‑5.3FLg/ml),
1.49FLg/ml(0‑4.2FLg/m
l )で あ り
C2hr‑Cmin,C4hr‑Cmin
は各 々
0.87/唱/ml(0‑
1.7〃g/ml),
1.1FLg/ml(0‑2.3FLg/ml)で あ った.
3)Phenobarbital(PB)
Phenobarbital(PB)
を服 薬 してい る 患 者
は 4例 で,いずれ も多剤併用 例 で ある. 3例
が
24時 間 モニタ ーした症例 で ある.
Cminは
各 々,早朝第
1回 目服 薬前 や,
2時 間後 や,
あ るい は
20時 間後 とさま ざまな時 間帯 に出現
昭和 58年9月
弘前医学 35巻 3号 血清 抗 てんかん剤 の 日内変動 469
+ 4
7.5am
l
l.Sam0 2 4 6 8 10 12 14 hr 図 2 Diurnalvariationofcarbamazepine‑leve
l .
図 1を参照,
していた.
Cmax は,
Cminと同様でかな り バ ラつ き,
2時間後,
6時間後
,14時間後 に 出現 していた. 次 に
PHT,
CBZと同 様, 表
1の
4症例 を各 々前述 の項 目について分析 してみる と,表
4に示 した よ うに,
Cmax‑
Cmin
は
3.8Flg/ml(0.9‑7.7Flg/ml)とや や パラつ きが あ るが,
Medianが
15.18,ug/ml(8.9‑23.5,,jg/ml)
で,結局
Variationが
22.3% (10.1‑32.8%)と比較的小 さな数値 を示 して い る.
Cmax‑C2hr,Cmax‑C4hrは各 々
,2.50Flg/ml(0.3‑6.3Flg/ml),
1.60〃g/ml(0‑4.2〃g/ml)
で,
C2hr‑Cmin,
C4hr‑Cminは各 々
,1.33Flg/ml(0.7‑2,5 Flg/ml),2.23jLg/ml(0.7‑3,5。Leg′/ml)とな
っ た .
ⅠⅤ.
考 察
これ までに
AEDの 日内変 動 を 扱 った 論 2 . 6 ‑9 . 1 4 . 1 5 )
文は少な く, 日内変動の採血時間やその間隔 につ いての見解 も報告者 に よって種 々異な っ ている.臨床的 には
Cmax,Cminが出現す
る時間が問題で あるが,
Cmaxつ ま りピーク の出現す るまでの時 間は,服薬後短時間で変 動す るので,著者 は第
1回 目服薬直前か ら
2時間の間隔で採血 を行 い 日内変動 を詳 し く調 べ た.
Cmax,Cminの出現す る 時 間 帯 は, 本報告の ごとき服薬時間
(7:30am,
ll:30 am,4:30pm)の方法では,
PHT,CBZの 二剤に関 しては
,12回採 血 した 症 例 か ら,
Cminは第
1回 目服薬の前後に,
Cmaxはそ れか ら遅 くとも
14時間後 までに出現す ること が 明 らかにな った. この事実か ら 日内変動は
8回採血 に よって も十分 に把握で きる といえ る.なお
PBに関 しては今回の報告では
4例 のみの検討を したが,
Cmax,Cminの出現す る時間帯 にかな りの差違 が あ り
,PHT,CBZでみ られた結果はあてはま ら な い よ うで あ る.
次 に各
AEDの 日内変動 につ い て 検 討 す る
.PHT
では,
Cminの出現す る時間は, 第
1回 目服薬前後 に,
Cmaxは
8時間前後にそ
470 本 間
れ ぞれ 出現す る.
Cmaxと
Cminの 差, つ ま り日内変動差 は平均で
1.1FLg/mlと小 さな 値 を示 したが,
Variationか ら見 る と
41%の 変動 を示 してい る
,Variationは
10%か ら
10006
/ まで,幅広 いバ ラつ きを有す るが,高値 を 示す ものは血清濃度 の低い症例 で あ った.個 々の症例 を各 々,比較検討 してみ る と,全体 に平坦 なパ タ ーンを示 す の が
PHTの 特 徴 である と思 われ る.本論文 の対象患者 は一般 に
PHTの服薬が 少ないので, か くの ごと く 日内変動が小 さ くな ったのか もしれ ない. こ 9 ) の点 につ い て 酒 井 ら は
Dyphenylhydantoin (phenytoin)の血清濃度 は 日内変動差が′ J \さ
く,ほほ一定 の値 を とるが,通常 の治療量 で は半数以上が有効血清濃度 に達 していない と 報告 してい るが,著者 と同様 の見解 と考 え ら
1 壬 ) れ る.外 国においては, STRANDJORD らは
PHTの
1日
1回服 薬 法 に 触 れ, そ の 中 で
PHTの変動が最 も少 ない と指摘 して い る.
1 )
他 の報告者 も
PHTに関 して同 様 の 報 告 を してい る.
Cmax,
Cminに関 して は , STR‑
1
4)
ANDJORD は
1日
1回投与例 と
2回投与例 を 試みて,
1回投 与 例 で は
Peak (Cmax)は 服薬後
4時 間後 に出現 し,
2回 投 与 例 で は
Lowestlevel(Cmin)は
19例 中
13例 に 早 朝 8時 に出現 し, 6例 に夕方 5時に出現 した と 述べ てい る.著者 の観察 した症例 では
,Peakは
2つ あ り,最初 の
Peakは第
1回 目服 薬 後
4時 間 後 に 出 現 し て い る. 図 の 最 初 の
Peakは,おそ ら く第
1回 目服薬 に よる
Peakであ り,
Cmaxは
2回 目の服薬 に よる効果が 加 わ って出現 した もの と思 われ る.
7 . 8 , 1 5 )
CBZ
につ いての 日内変動の報告 は 現 在 の 所
2,
3の 報 告 に 限 られ て い る.
CBZも
PHTと同様
Cminの出現時 間は第
1回 目服 薬前後 にみ られ,
Cmaxは
6時 間か ら
12時 間 後 にかけて比較的異 な った 時 間 帯 に 出 現 す る. 日内変動 差 は 平 均 で
2.7FLg/ml(0.6‑ 6.0一〃g/ml)とな り,
CBZの有効治療 濃 度 か らみ る と変動 も大 き く,かつ バ ラつ き も大 き い.個 々の症例 につ いて検討 してみ る と症例
September,1983 HirosakiMed.∫.35(3)
に よっては,その変動パ タ ーンに差 が認 め ら れ,かつ
Cmaxの出現時 間に差が あ り, こ の傾向は
PHTとは異 な る所 で あ る.
CBZ7 )
の 日内変動 に関 して,小倉 の報告 では,
1日
4回採血 して 日内変動 を調べ, 日内変動 はほ とん ど認 めなか った としてい るが,著者 と結
8 )
果 を異 にす る. また久郷 らは,早朝空腹時血 清濃度
(Cs)と服薬後
3時 間 後 の 血 清 濃 度
(Cr)を比較 し,
Cr/CsRatioが
CBZでは
159.3%とな り,他 の
AEDと比べ て,
3時 間後 の血清濃度が変動す る と指摘 してい る.
この ことは,
CBZでは 日内変動が 大 き くな る もの と解釈 で きる.
PB
では
Cmax,Cminの出現す る時 間 が かな りバ ラつ く結 果 とな ったが, この点 につ いては今後症例 を増や して検討 してみ る必要 が ある. ところで
Cmaxと
Cminの差 は平 均で
3.8一〃g/′mlであるが, その範 囲は
0.9‑7.7〃g/ml
と比較 的バ ラつ きがみ られ た. し か し
Variationをみ る と
22.3% (10.1.‑32.8%) と,
PHT,CBZに比べ て小 さな 値 で あ り, また
PBの有効治療濃 度 を 考 え る と,
PBは比較 的 日内変動の 小 さ な 薬 剤 とい え
9 )
る.酒 井 らの報告 に よ る と
PBは, 血 清 濃 度が早朝,夜 間にかけて高 く,展 間は低い, いわ ゆ る谷型 を示すが, 日内変動は
60‑80%6 ) で著 明で ある と報告 してい る. また,風祭 ら の報告 では,採血時 間の如何 にかかわ らず, きわめて恒常的で ある とされ てい る.報告者 に よってか な り違 いが あるが,著者 の結果 で は,
PBは 日内変動 は小 さいが, 併用薬剤 の 影響 を受けやすい もの と推定 された.又採血 時 間の間隔 の違 い も結果 に影響 を与 える可能 性 はある.
ところで午前
9時頃 よ り
12時頃 までの時 間
帯 は,てんかん 患者 の外来診療 を行 う上 で重
要 な時 間帯 で あ り, この時 間 に 採 血 され た
AEDの血清濃度 を発作抑制 な らびに副作用
防止 の指標 として取 りあげ る ことは きわめて
妥当で ある と考 え られ る. このため著者 は服
薬後 2時 闇値 ( 著者 の症例 では午前 9時
30分
昭和
58年
9月 弘 前医学
35巻 3号値 とな る) と4時 間値 (同 じ く午 前11時30
分
値 ) を Cmax,Cminと比 較 検 討 して み た .PHTで は2時 間値 との比 較 , つ ま り Cmax
‑C2hr,C2hr‑Cminは各 々平 均 で0.68FLg/
ml,0.25〃g/mlで あ った .4時 闇 値 と の 比 較 ,Cmax‑C4hr,C4hr‑Cminは各 々平 均 で 0.3〃g/′ml,0.55一日g/mlで あ っ た . 日 内 変 動 差 が小 さい た め , これ らの値 も小 さ くな って い る,CBZで は2時 間値 との 比 較 は 各 々1.76〃g/ml,0.87.〔′g/mlで あ り, 4時 間 僅 と は, 1.49.日g/m
l
,1.10.〃g/'mlと な り,PHT と比 して か な り大 き くな る.PBで は 2時 間 値 と の 比 較 は2.50.L,g/ml,1.33.Elg/
mlとな り, 4時 間値 とは 1.60/唱/ml,2.23
〃g/mlとな る. 以 上 の数 値 で 明 ら か な よ う に, 日常 の外 来 診 療 で使 用 す る時 間 帯 の血 清 濃 度 は , 薬 剤 に よ って は か な り の 幅 を 有 し て ,Cmax,Cminの 中 間 に位 置 し て い る.
よ って , 血 清 濃 度 を発 作 抑 制 , 副 作 用 防 止 の モ ニ タ ー と して使 用 す る場 合 は , 上 述 の よ う な濃 度 値 の幅 を考 慮 に入 れ て 判 断 す る必 要 が あ る.
序 言 で触 れ た が , 小 児 と成 人 で は薬 剤 の 吸 収 , 代 謝 ・排 他 に差 が あ るた め , 今 回 は成 人 に限 って 日内変 動 を調 べ 報 告 した . 小 児 につ い て は別 の機 会 に報 告 す る こ と と した い . な お , 日内変 動 は 成人 に お い て もか な り個 人 差 が あ り, そ の 服 薬 条 件 もそ れ ぞ れ 異 な って い る の で ,各 患 者 につ い て , で きれ ば 一 度 は 日 内変 動 を検 査 し, そ の 個人 の 変 動 パ タ ー ンを つ か ん で お くこ とが 治 療 上 有 益 と考 え る.
稿 を終えるにあた り,御指導いただいた佐藤時治 郎教授,兼子直博士に厚 く感謝いた します.
なお本論文の要旨は第21回 日本神経 学 会 総 会 で 発表 した.
文 献
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