看護師および看護学生における看護知識の 体制化と問題解決
教育学研究科
教育心理学専攻 教育心理学分野 0 7 G P 1 0 4 會 津 桂 子
指 導 教 官 平 岡 恭 一
目次
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Ⅰ . 研 究 の 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 1. 問題を解く過程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2. 知識 構 造・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 2 3. 問題 解 決に 関す る 認知 心理 学 領域 にお け る先 行研 究 ・・ ・・ ・ ・ 3 4. あい ま いな 問題 に おけ る問 題 解決 ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 4 5. 看護 の 問題 解決 に おけ る認 知 心理 学的 研 究・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 4 6. 知識 構 造の 定量 的 指標 ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 5 1) 体制 化 ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ 6 2) 凝集 性 ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ 6
Ⅱ . 研 究 目 的 と 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8
Ⅲ . 対 象 と 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 1. 対象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
1) 看護師・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 2) 学生・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 2. 調査 期 間・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 9 3. 調査 内 容・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 9 4. 提示 用 語の 選出 ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 9 5. 手続き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 1) 看護用語の自由再生課題・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 2) 用語分類課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 3) 看護場面課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 6. 体制化の測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 1) カテゴリー体制化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 2) 主観的体制化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 7. 知識構造の図式化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
Ⅳ . 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・13 1. 知識構造の図式化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 2. カテゴリー分類の基準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 3. 体 制 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・18
1) ARCS得点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 2) SO得点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 3) 用語正再生数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
4. 看 護 場 面 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・22 5. 知 識 構 造 と 問 題 解 決 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・25 1) プ ロ ダ ク シ ョ ン の 導 出 と A R C S 得 点 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・25 2) 知 識 構 造 に お け る 中 心 概 念 の 有 無 と プ ロ ダ ク シ ョ ン の 導 出 ・ 25
Ⅴ . 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・27 1. 知 識 構 造 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・27 2. 問 題 解 決 と 知 識 構 造 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・27 1) 知 識 構 造 と 問 題 解 決 に お け る プ ロ ダ ク シ ョ ン 導 出 ・ ・ ・ ・ ・28 2) 熟 達 化 に 伴 う 変 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・29
Ⅵ . 今 後 の 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・30
Ⅶ . ま と め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・31 謝 辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・31
Ⅷ . 引 用 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・32
Ⅰ. 研 究の 背景
1. 問 題を 解く 過 程
問 題 を解 く過 程 とは 、「 現在 の 状 態と 目 標の 状態 の 間に ある 差 を無 くす た めに 、現 在 の状 態 を認 知的 に 変換 して い く過 程」 と 記述 され る 。
Newell&Simon(1972)は人 間 の問 題 解決 のモ デ ルと して「 プ ロ ダク シ ョン 」と 言 う 考 え 方 を 提 唱 し た 。 プ ロ ダ ク シ ョ ン と は 、 条 件 (If 節 で 導 か れ る ) と 行 為 (Then 節で 導 かれ る; 外 的な 行為 だ けで なく 、 情報 の内 部 表現 を変 換 する と言 っ た内 部 行 為 も含 む )か ら構 成 され る、 も し~ なら ば ~せ よ、 と 言う ルー ル であ る。 条 件は 現 在 の 状態 に 含ま れる 情 報の パタ ー ンを 特定 し 、パ ター ン が条 件に 一 致す れば 行 為が 喚 起 さ れる 。プ ロ ダク シ ョン は、人間 の 持っ て いる 知識 を 表現 する も の( 山,1992)であ り 、 知識 は 人間 の長 期 記憶 内に 保 存さ れて い ると 考え ら れて いる 。
前述 し た問 題解 決 の過 程に つ いて 、プ ロ ダク ショ ン の視 点か ら、「 人が 倒 れて い て 、 呼び か けに も反 応 しな い状 態 」で 「倒 れ てい る人 を 救命 する 」 と言 う問 題 解決 場 面 を 例に 述 べる(図 1)。こ こで「 現在 の状 態 」と は「 人 が倒 れて い て呼 びか け に反 応 し な い」、「 目標 状態 」 とは 「倒 れ てい る人 を 救命 する 」 とな る。 ま ず、 現在 の 状態 の 情 報 に適 合 する プロ ダ クシ ョン が 全て 検索 さ れる 。例 え ば、「 もし 意 識が 無け れ ば気 道 確 保 をす る 」や 、「 もし 呼 吸が 無 けれ ば人 工 呼吸 をす る 」等 の条 件 が検 索さ れ 、そ の中 か ら
図1 問題 解決 の 過程
条件照合
初 期 状 態 人 が倒 れていて、呼 び かけに反 応 しない。
目 標 状 態
倒 れている人 を救 命 する。
・循 環 が回 復 した。
プロダクション
を一 つ選 択 ・ もし意 識 が無 ければ、
気 道 確 保 をする。
気 道 確 保 をしたが呼 吸 が確 認 されない。
“現 在 の状 態 ”が変 わる。再 び、“現 在 の状 態 ”に適 合 するプロダクシ ョンを検 索 する。
実 行 “現 在 の状 態 ”に適 合 する
プロダクションを全 て検 索 する。
・もし意 識 が無 ければ、
気 道 確 保 をする。
・もし呼 吸 が無 ければ、
人 工 呼 吸 をする。
・もし脈 がなければ、
心 臓 マッサージをする。
特定 の 基準 に従 っ て最 も有 力 なル ール を 一つ 選択 す る。 この 段 階は 「条 件 照合 段 階 」 と言 わ れる 。
次に「 実行 段階 」では 、選 択 した ルー ル が実 行さ れ る。例え ば、「 もし 意 識が 無け れ ば気 道 確保 をす る 」と 言う プ ロダ クシ ョ ンが 選択 さ れ、 気道 確 保を 実施 し たと す る 。 ここ で 「現 在の 状 態」 が変 化 する 。そ し て再 び「 現 在の 状態 」 に適 合す る プロ ダ ク シ ョン が 検索 され 、 その 中か ら 一つ 選択 し て実 行す る 。
こ う して「条 件 照合 」と「 実行 」が 、「 現 在の 状 態」と「 目 標の 状態 」が一 致す る ま で繰 り 返さ れる 。
この よ うな 問題 解 決に おい て 、有 効な プ ロダ クシ ョ ンを 検出 す るこ とが で き る か 否 かが 、 解決 に到 達 する か否 か の鍵 を握 る 。
2. 知 識構 造
長 期 記憶 内の 知 識構 造に つ いて は、 ノ ード とリ ン クか ら構 成 され る意 味 ネッ ト ワ ー クで モ デル 化す る こと がで き る。図2は 知 識 構造 の モデ ルを 示 す。楕円 は 各ノ ード を 、 直線 は リン クを 示 す。 意味 ネ ット ワー ク 内で は、 意 味的 関連 性 のあ る概 念 同士 が リ ン クで 結 ばれ 、そ れ ぞれ の概 念 の関 連性 が 強い ほど 近 くに 表現 さ れる 。
既存 の 知識 構造 に おい て、 特 定の 知識 表 象が 、直 ち に利 用で き る状 態に な る こ と を
「活 性 化す る」と言 い 、ある 概 念を 処理 す ると 関係 の ある 概念 も 一時 的に 活 性化 さ れ 、 利用 し やす くな る と仮 定さ れ てい る。 そ のた め、 概 念間 の関 連 性が 強く 知 識が 高 度 に 構造 化 され てい る と、 長期 記 憶か らの 知 識の 検索 が 容易 にな る と考 えら れ る。
図 2 知 識構 造 のモ デル 体調不良
脳血管障害
事故
自殺 授業場面
酔っ払い
糖尿病
心疾患
呼吸
精神神経障害
疾病 人を呼ぶ
救急・重篤
意識
知識 構 造の モデ ル に前 述の 問 題解 決の 過 程を 当て は める と、 ノ ード は各 プ ロ ダ ク シ ョン に 相当 する 。 条件 照合 段 階に おい て プロ ダク シ ョン を検 索 する 際、 知 識構 造は プ ロダ ク ショ ンの 検 索に 影響 を 及ぼ すと 考 えら れる 。
3. 問 題解 決に 関 する 認知 心 理学 領域 に おけ る先 行 研究
Simon&Simon(1978)は 、 初 等 力 学 の 熟 達 者 と 初 心 者 の 問 題 の 解 き 方 に つ い て 調 べ るこ と で、 知識 の 相違 を明 ら かに した 。
専門 家 と初 心者 を 比較 する と 言う 方法 は 、認 知心 理 学で はよ く 用い られ る ( 村 山 , 1994)。 そ の 理 由 と し て 、 物 理 学 の 問 題 を 解 く 等 の 人 間 の 行 為 が 、 そ の 人 の 持 っ て い る知 識 によ って 説 明で きる と 考え られ て おり 、効 果 的な 問題 解 決方 法を 知 るた め に は 、 効果 的 に問 題を 解 ける 人と そ うで はな い 人を 比較 し 、両 者の 知 識に どの よ うな 違 い が ある の かを 明ら か にす るの が 有効 であ る と言 うこ と が挙 げら れ る( 村山 ,1994)。
Simonら は 、初 等 力学 の教 科 書の 一節 か ら 9ペー ジ 分を 選択 し 熟達 者と 初 心者 に 読 ませ た 。そ の後 に 、教 科書 に 掲載 され て いる 練習 問 題 を 25 問 解 かせ た 。こ れを 、 問 題 を 解 い て い る 最 中 に 頭 に 浮 か ん だ こ と を す べ て 口 頭 で 言 っ て も ら う と 言 う 、 Thinking aloud 法 に よっ て 行い 、被 験者 の 発話 を 録音 して 分 析し た。25 問 の 問題 に つい て の熟 達者 と 初心 者の 回 答の 比較 で は、熟達 者 は初 心者 の 4分 の 1の 時間 で 問 題 を解 き 、し かも 誤 答は 少な か った 。Simonら の研 究 で注 目す べ き点 は 、両 者 の 解き 方 の相 違 であ った 。
初心 者 の解 き方 は 、ま ず初 め に求 める 変 数が 含ま れ る公 式を 選 択し 、そ の 公 式 に 、 現在 分 かっ てい る 変数 を代 入 し、 求め る べき 変数 を 求め ると 言 う方 法で 解 いて い た 。 この よ うな 解き 方 は、「後 ろ 向き 推論 」と言 われ る 。一 方熟 達 者で は、与 えら れた 数 値 に対 し 適用 でき る 公式 を選 択 し、解に 近 づい てい く 。こ のよ う な方 法は「 前向 き 推 論 」 と言 わ れる 。さ ら に熟 達者 で は、 公式 を 選択 する 際 に、 初心 者 のよ うに 公 式を 思 い 出 して か ら数 値を 代 入す るの で はな く、 解 ける よう に 初め から 分 かっ てい る 数値 を 代 入 した 形 で選 択し て いた 。
初 心 者か ら熟 達 者へ のこ の よう な変 化 は、「知 識 の手 続き 化 」と 呼ば れ る。知識 は 一 般に 「 ~で ある 」 とい う命 題 で表 すこ と がで きる 宣 言的 知識 と 、自 転車 の 乗り 方 の よ うな 、知っ ては い るけ れど 口 に出 して 説 明す るこ と はで きな い よう な「 手 続き 的 知 識 」 とに 区 別さ れる 。 知識 の手 続 き化 とは 、 宣言 的知 識 を繰 り返 し 利用 して い るう ち に 、 それ を どの よう な 状況 でど の よう に適 用 する かと 言 うこ とま で 含め た形 で 手続 き 的 知 識に 変 わっ てい く こと を指 し てい る( 村 山,1994)。
初 心 者と 熟達 者 には 、以 上 のよ うな 知 識の 内容 の 相違 のみ な らず 、知 識 構造 に も 違 いが 見 られ るこ と が、Chi,Feltovich&Glaser(1981)の 研究 で 明ら かに な って い る 。 Chi ら は 、物 理 学の 専門 家 と初 心者 に 、物 理学 の 問題 に関 す るキ ーワ ー ドを 挙 げ 、 それ に 関し て知 っ てい るこ と 全て を、 ま たそ の解 き 方を 言わ せ ると いう 手 続き に よ っ て、 熟 達者 ・初 心 者が 持つ 物 理学 の問 題 に関 する 知 識を 比較 し た。
Chi ら は 、物 理 学の 問題 に 関す るキ ー ワー ドに 対 して 初心 者 と熟 達者 が 発言 し た 内
容か ら、言 及さ れ た概 念を 抜 き出 して 図 示し 、こ れを 被 験者 の 有す る知 識 構造 とし た 。 この 知 識構 造を 熟 達者 と初 心 者で 比較 す ると 、言 及 した 概念 に それ ほど 差 は無 く 、 初 心者 も 専門 家同 様 、表 面的 な 特徴 のみ な らず 、物 理 学上 の概 念 や原 理に も 言及 し て い た。 し かし 大き く 異な った の は、 熟達 者 は、 方程 式 をど のよ う な場 面で ど のよ う に 適 用す る かと 言う 適 用条 件に も 言及 して い たと 言う 点 であ った 。 さら に、 概 念間 の 関 係 には 、 初心 者と 熟 達者 で明 ら かな 違い が 見ら れた 。 例え ば斜 面 の問 題で あ れば 、 初 心 者は 、 問題 を解 く ため に必 要 な要 素は 全 て挙 げら れ てい るが 、 色々 な要 素 が思 い つ く まま に 挙げ られ て いた のに 対 し、 熟達 者 では 第一 に 力学 の原 理 に言 及し 、 その 上 で 斜 面の 問 題に 固有 の 条件 につ い て言 及し て いた 。さ らに 熟 達者 は、先 にも 述 べた よう に 、 適用 条 件に つい て も言 及し て いた 。こ の よう に、 初 心者 が多 分 に連 想的 で まと ま り が 感じ ら れな いの に 対し 、専 門 家は 概念 間 の関 係付 け が明 確に な って おり 、 何が 重 要 で ある か とい う認 識 も明 快で あ った 。Chi ら は 、こ の 、概 念間 の 関係 付け の 仕方 の 相 違 を「 知 識構 造」 の 違い と呼 ん だ(Chi et al.,1981)。
ま た 、ば らば ら に覚 えた 知 識を 、熟 達 者の よう に まと まり の よい 知識 に して い く こ とを「 知 識 の構 造 化 」と言 う 。村 山(1994)は 、知 識 の 構造 化 とい う概 念 は 、初心 者 から 熟 達者 への 変 化を 記述 す る重 要な 概 念で ある と 述べ てい る 。
4. あ いま いな 問 題に おけ る 問題 解決
以 上 述べ てき た 初心 者と 熟 達者 の違 い は、 数学 や 物理 学な ど 、問 題の 解 や問 題 を 解 くた め に必 要な 知 識の 範囲 が 明確 であ る 、良 定義 問 題に つい て 主に 研究 さ れて き た 。 しか し 、人 間の 活 動で は、 解 や、 どの よ うな 知識 が 必要 かと い うこ とが 明 確で は な い
「 あ い ま い な 問 題 」 が 多 く 存 在 す る 。 安 西 (1987) は 、「 あ い ま い な 問 題 」 の 問 題 解 決に つ いて 、こ れ まで の良 定 義問 題の 問 題解 決に お ける 研究 成 果を 完全 に 当て は ま る こと は 困難 であ り 、あ いま い な問 題に つ いて の問 題 解決 につ い ては 、多 く のこ と が わ かっ て いな いと 述 べて いる 。 しか しま た 、こ れま で の良 定義 問 題に 関し て 得ら れ て い る結 果 は、 あい ま いな 問題 へ の橋 渡し と なっ てい る とも 述べ て いる 。
「あ い まい な問 題 」の 問題 解 決に 関す る 研究 は、 問 題解 決に つ いて 概観 し た 専 門 書 にお い ては 殆ど 取 り上 げら れ てお らず 、安 西(1987)が 述べ る 、医 者の 医 療診 断場 面 に お け る 思 考 を 調 べ た も の が わ ず か に 見 ら れ た 。 最 近 で は 、 知 識 構 造 に 関 し て 古 賀
(2005)が 、看 護 の熟 達者 と 初心 者で あ る看 護学 生 の比 較を し た研 究が あ る。しか し 、
「あ い まい な問 題 」の 解決 に 用い られ る 知識 の内 容 や知 識構 造 につ いて は 、明 ら か と は言 え ない のが 現 状で ある 。
5. 看 護の 問題 解 決に おけ る 認知 心理 学 的研 究
古 賀 (2005) は 、「 生 命 の 危 機 状 態 」 の 問 題 解 決 場 面 に お け る 、 看 護 熟 達 者 で あ る 看護 師 と、 看護 初 学者 であ る 看護 学生 の 思考 につ い て、 プロ ダ クシ ョン の 側面 か ら 比 較し た 。
古 賀 の実 験手 続 きは 以下 の 通り であ る。先 ず始 め に、「 目の 前 の人 が生 命 の危 機状 態 」
であ る こと を示 す 7秒 間の ビ デオ を被 験 者に 提示 し た。被験 者 はビ デオ を 見て「解 釈・
判断・推理 した こ と」「自 分 が看 護師 と して その 場 にい たら と るで あろ う 行動 」に つ い て記 述 を求 めら れ た。
結 果 は、 正し い プロ ダク シ ョン に関 す る単 語へ の 言及 と、 用 いら れた 知 識の 構 造 の 側面 か ら分 析さ れ た。
プロ ダ クシ ョン に 関す る言 及 では 、生 命 の危 機状 態 にお ける 救 急蘇 生法 を 、 気 道 確 保、人 工呼 吸、心 臓マ ッサ ー ジ の 3項 目と し て、正 しい プロ ダ クシ ョン に 関す る単 語 につ い て記 述し た 人数 の割 合 を看 護師 と 学生 とで 比 較し た。 そ の結 果、 気 道確 保 、 人 工呼 吸 、心 臓マ ッ サー ジ全 て にお いて 、 初心 者よ り 熟達 者の 方 が正 答し た 者は 多 か っ た 。 ま た 、 プ ロ ダ ク シ ョ ン を 「If( 条 件 )」 部 分 と 「Then( 行 為 )」 部 分 に 分 け る と 、 各 項 目 の 「If」 部 分 に つ い て は 初 心 者 も 言 及 し て お り 、 熟 達 者 と の 間 に 有 意 差 の 見 ら れな い 項目 も認 め られ た。し かし「Then」部 分に つ いて は、全 ての 項目 に おい て 熟 達 者の 方 が記 述し た 割合 は有 意 に多 かっ た 。
さら に、知 識構 造 に関 して 古 賀は 、各 概念 に つい て その 概念 に 言及 した も の に1を 、 言及 し なか った も のに 2を 与 え、 単語 間 の相 関係 数 を算 出し 、 相関 係数 0.1 以 上 の 単 語を 線 で結 ぶと 言 う手 続き で 、熟 達者 全 体お よび 学 生全 体で の 知識 構造 を 図式 化 し た 。 熟達 者 の知 識構 造 は、2 つの 概 念 を中 心 に各 概念 が 網の 目の よ うに 関連 し あっ て い た が、 学 生で は中 心 概念 が見 ら れず 、概 念 同士 の関 連 も看 護師 に 比べ 少な か った 。 以 上 のこ と から 古賀 は 、看 護師 の 方が 、学 生 に比 べ知 識 がよ り構 造 化さ れて い ると 述 べ て いる 。
熟達 者 では 、構 造 化さ れた 知 識を 持つ こ とに より 、 中心 とな る 概念 が活 性 化 さ れ る と、 関 連の ある 他 の概 念も 活 性化 され 、 解決 に繋 が るプ ロダ ク ショ ンが 導 出で き た と 考え ら れる 。
しか し 古賀 の研 究 では 、熟 達 者全 体お よ び学 生全 体 での 知識 構 造を 扱っ て い る が 、 個人 内 部で の知 識 構造 につ い ては 言及 し てい ない 。 また 、両 者 の比 較は 質 的な 比 較 に 止ま っ てい る。
個人 内 部で の知 識 構造 を調 べ 数量 化す る こと で、 熟 達者 と初 心 者の 知識 構 造 の 定 量 的な 比 較が 可能 と なる であ ろ う。 さら に 、個 人の 知 識構 造と プ ロダ クシ ョ ンの 導 出 の 関連 に つい ても 定 量的 な分 析 が可 能と な ると 考え ら れる 。
6. 知 識構 造の 定 量的 指標
認 知 心理 学領 域 にお いて は これ まで 、 知識 構造 の 比較 につ い ては 、熟 達 者と 初 心 者 の知 識 構造 を質 的 に比 較し た もの が殆 ど であ り、 定 量的 な指 標 は明 確で あ ると は 言 え ない 。
し か し、「体 制 化」の程 度 を測 定す る 測度 は、被 験者 が、既 有の 知識 に 基づ いて 単 語 を記 憶 ・再 生す る 傾向 を測 定 する もの で ある こと か ら、 被験 者 の知 識の 構 造の 指 標 に なる と 考え られ る 。こ こで は 、知 識の 構 造化 の一 指 標に なる と 考え られ カ テゴ リ ー 体 制化 に 着目 する 。
ま た 、図 式化 し た知 識構 造 の比 較の た めの 定量 的 指標 とし て 、本 研究 で は、 集 団 構 造の 測 定に 用い ら れる ソシ オ メト リッ ク テス トの 手 法に 着目 し た。
1) 体 制化
いく つ かの カテ ゴ リー に属 す る単 語を 、 カテ ゴリ ー に関 係な く ラン ダム に 提 示 し て 覚え さ せ、 その 後 でそ れら の 用語 を自 由 な順 番で 再 生す る自 由 再生 をさ せ ると 、 同 じ カテ ゴ リー の単 語 が連 続し て 再生 され る 現象 が見 ら れる 。こ れ を「 カテ ゴ リー 体 制 化 」 と言 う 。ま た、 明 確な カテ ゴ リー 構造 を 持た ない ラ ンダ ムな リ スト でも 、 学習 者 が 独 自に ( 主観 的に ) 複数 の項 目 を関 連付 け 再生 する こ とを 主観 的 体制 化と 言 う。 カ テ ゴ リー 体 制化 は、 学 習後 に自 由 再生 を行 う 実験 にお い て被 験者 が 、概 念カ テ ゴリ ー 、 連 想、 音 韻等 の特 徴 にリ スト 内 の項 目を 関 係付 け、 学 習後 の自 由 再生 でそ れ らの 関 係 を 使 っ て 再 生 し た と き に 出 現 す る ( 菊 野 ,1990)。 自 由 再 生 に お け る 被 験 者 の 再 生 は 、 被験 者 の意 味記 憶 構造 での 、 概念 や属 性 相互 間の 関 係性 や意 味 的距 離を 反 映し て い る と考 え られ てい る (桐 村,1985)。
猪木(1989)は ま た、カテ ゴ リー 体制 化 の現 象を 利 用し て人 間 の概 念発 達 を検 討 す るこ と も可 能で あ ると 述べ て いる 。
以上 よ り、 カテ ゴ リー 体制 化 を測 定す る こと によ り 、知 識構 造 の発 達の 検 討 が 可 能 であ る と考 えた 。
さら に 、主 観的 体 制化 とカ テ ゴリ ー体 制 化を 同時 に 測定 する こ とで 、知 識 構 造 が 学 問的 体 系に 基づ い て構 造化 さ れて いる 程 度、 個人 的 主観 によ っ て構 造化 さ れて い る 程 度の 両 面の 検討 が 可能 とな る と考 えら れ る。
カテ ゴ リー 体制 化 の指 標に は 、従 来数 多 くの 測度 が 開発 され て いる(菊 野 ,1999)。
中で も 猪木(1989)の ARCS は 、再生 数 の影 響を 受 けず 、実 験者 が 設定 し たカ テゴ リ ー設 定 では なく 、 被験 者自 身 が分 類し た カテ ゴリ ー をも とに し た算 出が 可 能で ある 。
2) 凝 集性 (cohesiveness: 以 下 Co)
次に 、 ソ シ オメ ト リ ッ クテ ス ト の 手法 に お け る、 集 団 の 特性 の 指 標 であ る 凝 集 性に つい て 述べ る。
ソシ オ メ ト リッ ク テ ス トは 通 常 、 学級 集 団 や 学校 集 団 な どの 集 団 構 造の 測 定 に 用い られ る 、成 員間 の 対人 感情 を 測定 の次 元 とす る手 法 であ る。 ソ シオ メト リ ック テ ス ト では 、 成員 全員 に 対し て所 属 集団 にお い て好 意を 感 じる 者と 嫌 悪を 感じ る もの を 挙 げ させ る 調査 を行 う 。好 意を 感 じる もの を「 選 択」、嫌悪 を「排 斥 」とし 、選 択 、排斥 の 状態 か ら集 団特 性 を分 析す る 。集 団特 性 の中 でも 凝 集性 の指 標 とし ては 、 相互 選 択 の 比率 を 用い るこ と が多 い( 杉 下,1982)。
ソシ オ メ ト リッ ク テ ス トに お い て は、 集 団 の 構造 を 成 員 の選 択 ・ 排 斥の 状 態 か らソ シオ グ ラム とい う 図に よっ て モデ ル化 す る。 本研 究 にお ける 知 識構 造を ソ シオ グ ラ ム に見 立 て、 相互 に 関連 付け ら れて いる 概 念を 「相 互 選択 」と 見 做す こと で 、ソ シ オ メ トリ ッ クテ スト の 手法 を応 用 し知 識構 造 の凝 集性 を 測定 する こ とが 可能 で ある と 考 え
られ る 。
ソ シ オメ ト リ ッ クテ ス ト に おい て 、 集 団凝 集 性 (Group cohesiveness: 以下 Co)
は、 相 互選 択の 比 率か らラ ン ドバ ーク の 公式 を用 い て算 出す る こと が可 能 であ る ( 杉 下,1982)。
しか し 、 ソ シオ メ ト リ ック テ ス ト で用 い ら れ る凝 集 性 の 指数 は 、 相 互選 択 の 数 に依 存し て いる ため 、 例え ば、 集 団内 にい く つか の下 位 集団 があ り 、下 位集 団 内に 相 互 選 択が 集 中し 下位 集 団間 は排 斥 のみ とい う よう な場 合 でも 、相 互 選択 数が 多 いた め 集 団 全体 と し て Co 値が 高 くな る と言 うこ と も在 り得 る (杉 下,1982) とさ れ てい る。 そ のた め 、本 研究 に 当て はめ る と、 知識 構 造に おい て 概念 がい く つか のカ テ ゴリ ー に ま とま っ てお り、 カ テゴ リー 間 の関 連は 見 られ なく て も、 カテ ゴ リー 内の 用 語数 が 多 け れば そ の分 「相 互 選択 」の 数 が増 え、Co 値 は高 く なる 。そ の ため 、Co を 凝 集性 の 完 全な 指 標と する こ とは 困難 で あり 、あ く まで もひ と つの 指標 と して 参考 と する 。
Ⅱ. 研 究目 的と 意 義
上 記 より 本研 究 では 、「 あい ま いな 問 題」の中 で も、これ ま で取 り扱 わ れる こと の 多 かっ た 医療 場面 に 着目 し、 看 護熟 達者 と 看護 初心 者 であ る学 生 の、 看護 に 関す る 知 識 の構 造 につ いて 検 討す る。
本研 究 の目 的は ① 看護 熟達 者 と看 護初 心 者の 知識 構 造を 、個 人 内部 の視 点 か ら 調 べ 相違 を 明ら かに す る。 ②看 護 熟達 者と 看 護初 心者 の 、問 題解 決 にお ける プ ロダ ク シ ョ ン導 出 につ いて 調 べ、 知識 構 造と の関 連 を明 らか に する 。 の 2点で ある 。
人間 の 活動 には 、 明確 な解 や どの よう な 知識 を有 し てい れば そ の問 題を 解 決 す る こ とが で きる とい う こと が明 確 では ない 「 あい まい な 問題 」が 多 く存 在す る 。
しか し その 解決 の ため の過 程 や、 用い ら れる 知識 の 構造 につ い ては 未だ 明 ら か と は 言え な い。 人間 の 問題 解決 に は、 解決 者 の持 つ知 識 が大 きく 関 与し てい る こと か ら 、 その 解 決に 用い ら れる 知識 の 質や 知識 構 造に つい て 明ら かに す るこ とは 、「 あ い ま い な 問題 」 の解 決に お ける 過程 を 理解 する 上 で有 効で あ る。
従来 、熟 達 者は 速 く正 確な 処 理を する( 大 浦 ,1996)と され て いる が 、熟 達 化 に伴 う知 識 の構 造化 の 過程 を明 ら かに し、そ れと 問題 解 決と の関 連 を検 討す る こと に よ り 、 高度 な 問題 解決 能 力獲 得へ 向 けた 示唆 を 得る こと が でき ると 考 える 。
Ⅲ. 対 象・ 方法
1. 対 象 1) 看護 師
対象 は A県 内 B大 学 医 学部 附 属病 院に 勤 務す る看 護 師 15 名 で ある 。依 頼 は副 看 護 部長 を 通し て各 病 棟に 依頼 し 、対 象の 選 出は 副看 護 部長 に一 任 した 。
対象 者 の勤 務す る 病棟 は内 分 泌・ 神経 内 科(1 名 )、 循 環器 ・ 呼吸 器・ 腎 臓内 科 (1 名)、心 臓 血管 外 科(1 名 )、 小 児科 (1 名 )、 眼科 (1 名 ) 泌尿 器・ 歯 科口 腔外 科 (1 名 )、集 中 治 療 部(1名 )周 産 母 子 セ ン タ ー(1名 )、整 形 外 科(1名 )消 化 器・乳 腺 ・ 甲状 腺 外科(1名)、産 婦人 科(1名)、消化 器・血 液・膠原 病 内科(1名)、皮 膚科(1 名)、耳 鼻 科(1 名 )、手 術 部(1 名 ) であ った 。 平均 年齢 は 29.40 歳 で あり 、看 護 師 勤務 年 数の 平均 は 7.73年 であ っ た。
2) 学生
A県 内 B大 学看 護 学専 攻 3年 次学 生、4年 次 学生 の うち 、協 力の 得 られ た 3年 次 学 生16 名、4年 次学 生 15名 と し た。 選出 の 方法 は、 実 習グ ル ープ の中 か ら無 作為 に 選 出し た グル ープ の メン バー お よび 、教 職 選択 の学 生 に依 頼し 、 同意 の得 ら れた 学 生 を 対象 と した 。
なお 、調 査 期間 中 に 3年次 学 生の 看護 臨 床実 習が 開 始さ れた 。臨 床 実習 に おい て 学 生は 看 護問 題解 決 の訓 練を 行 うが 、そ こ で知 識構 造 にも 変化 が 見ら れる こ とも 考 え ら れる た め、3 年 次 学 生 につ い ては 臨床 実 習開 始前 に 調査 した も のを 「3 年 生 前 半群 」、
臨床 実 習開 始後 に 調査 した も のを 「3年生 後 半群 」 とし て分 析 した 。
2. 調 査期 間
2008年 7月 ~10月
3. 調 査内 容
調 査 は、最初 に 勤務 年数 や 年齢 等の フ ェイ スシ ー トの 記入( 看護 師の み)、看護 用 語 の自 由 再生 課題 、 自由 再生 課 題で 用い た 用語 の分 類 課題 、看 護 場面 課題 で 構成 し 、 一 人当 た りの 調査 時 間は 約 60分 か ら 90 分 で あっ た 。た だし 、学 生 に対 し ては 看護 場 面 課題 は その 他の 課 題を 実施 し た後 日に 配 布し 、各 自 記述 して も らい 回収 し た。
4. 提 示用 語の 選 出
提示 用 語は 、学 生 が使 用し て いる 看護 学 テキ スト か ら、 学生 ・ 看護 師と も に よ く 知 って お り、 看護 場 面や 学生 の 看護 にお け る学 習場 面 での 使用 頻 度の 高い 用 語を 選 出 し た。 選 出は 、対 に なる 用語 や 、相 補的 に 用い られ る 物品 名等 を 抽出 し、2 用 語 ず つ の ペア で 15ペ ア 30用 語を 選 出た 。提 示 し た 15ペ ア 30 用語 を 表 1に示 す 。
選 出は 、 看 護 学教 育 に 携わ って い る教 員 2名 で協 議し て 行っ た 。教 員の う ち1名は 看 護師 勤 務経 験を 有 して いる 。
5. 手 続き
1) 看 護用 語の 自 由再 生課 題
(以 下 、自 由再 生 課題 ) 調査 の 前 に 対象 者 に 方 法を 教示 し た。
用 語の 提 示 方 法は 文 字 を用 い た視 覚 に よ る提 示 で 、 パソ コ ン画 面 を 用 いて 提 示 し た。
各用 語 の提 示時 間は 3秒間 と した 。
用語 の 提示 後、 最 後に 提示 し た用 語は 記 憶に 残り や すい と言 う 新近 性効 果 の 影 響 を 防ぐ た めに 、30 秒 間 計算 作 業を させ た 。計 算内 容 は、10 個の 数 字を 並 べ、 隣接 す る 数字 を 足し てい く 計算 であ る 。
計算 後 、記 憶し た 用語 を、 提 示順 に関 係 なく 自由 な 順番 で再 生 する 自由 再 生 を 求 め た。 自 由再 生は 口 頭で 行っ た 。再 生時 間 は 120 秒 間 と し、 対 象者 の再 生 を ICレ コ ー ダー で 録音 した 。
用語 の 提示 、計 算 作業 、自 由 再生 を1 試 行と し、6試 行 実施 し た。
最初 の 教示 では 「 これ から パ ソコ ンの 画 面に 看護 に 関す る用 語 が 3 秒間 隔 で 30 個 出て く るの でま ず は見 て覚 え て下 さい 。そ の 後 、30秒後 に覚 え た単 語を 口 頭で 言 っ て くだ さ い。言う 時 間 は2分 間で 、言う 順 番は 、出 てき た 順番 に 関係 なく 、言 い やす い 順番 で 構い ませ ん 。そ れを 録 音さ せて く ださ い。 先 ほど 、30 秒後 にと 言 いま し た が 、 最後 に 見た 単語 は 記憶 に残 り やす いの で 、そ の影 響 を無 くす た め に 30 秒 間 は簡 単 な 計算 作 業を して も らい ます 。 計算 方法 は 、こ の用 紙 の、 隣同 士 の数 字を 足 して 下 に 書 いて い く方 法で す 。進 め方 は こち らで 指 示し てい き ます 。」 と教 示 した 。
2) 用 語分 類課 題
縦15mm横60mmの マグ ネ ット シー ト に用 語 を1用 語 ずつ 記 載し たも の と 縦43cm 横58cmの ホワ イ トボ ード を 用い て実 施 した 。
被 験 者に 、30用 語 を「 普 段の 自 身の 考 えに おい て 同じ グル ー プに 属す る 用語 」の マ グネ ッ トを ホワ イ トボ ード 上 にま とめ て 貼る よう 求 めた 。ま た 、複 数の グ ルー プ に 関 連す る 用語 は、 マ グネ ット を 複数 用い 関 連す る全 て のグ ルー プ にそ の用 語 のマ グ ネ ッ トを 貼 るよ うに 求 めた 。
表 1 実 験 で 提 示 し た30用 語
用 語 用 語
1 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 2 インフォームドコンセント
3 情 報 収 集 4 看 護 過 程
5 ア セ ス メ ン ト 6 ADL
7 ボ デ ィ メ カ ニ ク ス 8 体 位 変 換 9 ベ ッ ド メ ー キ ン グ 10 枕
11 洗 髪 12 ケ ー プ
13 全 身 清 拭 14 ウ ォ ッ シ ュ ク ロ ス
15 清 潔 区 域 16 無 菌 操 作
17 綿 球 18 セ ッ シ
19 ガ ー ゼ 20 絆 創 膏
21 駆 血 帯 22 注 射 器
23 聴 診 器 24 水 銀 血 圧 計
25 カ テ ー テ ル 26 導 尿
27 便 器 28 浣 腸
29 車 椅 子 30 ス ト レ ッ チ ャ ー
3) 看 護場 面課 題
質 問 紙法 によ り 実施 した 。
「 床 に人 がう つ ぶせ に倒 れ てい る。 も う一 人の 人 が駆 け寄 っ てき て、 倒 れて い る 人 の体 を 上に 向け た が、 倒れ て いる 人は 全 く反 応を 示 さな い」 と いう 場面 を 文章 で 提 示 し、 質問 1:上 記 から 分析 ・ 判断 した こ と、 質問 2: あ なた が 看護 師と し てそ の場 に いた ら 、ど のよ う な行 動を と るか 、に つ いて 、自 由 記述 を求 め た。
6. 体 制化 の測 定 1) カ テゴ リー 体 制化
1回の 自 由再 生 にお いて 、同 じ カテ ゴ リー の単 語 を連 続再 生 した 回数 よ り算 出す る 。 どの 用 語を 同じ カ テゴ リー と する かは 、 被験 者自 身 の分 類に 従 う。 例え ば 被験 者が 、
「コ ミ ュニ ケー シ ョン 」「 イン フ ォー ム ドコ ンセ ン ト」「看 護 過程 」「 情報 収 集」を 同 一 カテ ゴ リー に分 類 し、 自由 再 生の 際に コ ミュ ニケ ー ショ ン、 イ ンフ ォー ム ドコ ンセ ン ト、看 護過 程、情 報収 集、の 順に 再生 し たと する と 、同 一カ テ ゴリ ーの 用 語を「3 回 」 連続 再 生し たと 言 うこ とに な る。 同様 に 30用語 に つい て、 同 一カ テゴ リ ーの 用語 を 連続 再 生し た回 数 を求 め、各施 行 毎に A RC S得 点 を算 出す る。A RC S 得点 は通 常 、 0~ 1 の数 値で 表 され 、体 制 化が 強く 現 れる 程1 に 近い 値を 示 す。
2) 主 観的 体制 化
連 続 し た 2試 行(1試行 と 2試 行、2試 行 と 3試 行、3試 行 と 4試行 、4試 行 と 5 試行 、5試 行 と 6試行 )の 自 由再 生に お いて 、カ テ ゴリ ーに 関 係な く、 同 じ単 語を 連 続し て 再生 した 回 数か ら算 出 され る。 例 えば 、1試行 目 の自 由 再生 にお い て、 コミ ュ ニケ ー ショ ン、 イ ンフ ォー ム ドコ ンセ ン ト、 看護 過 程、 情報 収 集、 の順 に 再生 し、2 試行 目 の再 生に お いて はコ ミ ュニ ケー シ ョン 、イ ンフ ォ ーム ド コン セン ト、情 報収 集 、 看護 過 程、 の順 に 再生 した と する と、 コ ミュ ニケ ー ショ ン、 イ ンフ ォー ム ドコ ンセ ン トを 連 続再 生し た の は2回 、イン フォ ー ムド コン セ ント 、看護 過 程 は 1回 、看 護過 程 、 情報 収 集 は 1回 、イン フォ ー ムド コン セ ント 、情報 収 集 は 1回 、情 報収 集 、看 護過 程 は1回 、と 言う こ とに なる 。 同様 に 30 用 語 につ い て、 各用 語 を連 続再 生 した 回数 よ り、それ ぞ れ の2試 行 にお け る連 続再 生 数か らS O 得点 を算 出 する 。S O得 点 も通 常 、 0~ 1 の数 値で 表 され 、完 全 に同 一の 順 番で 再生 し た際 には 1 を示 す。
7. 知 識構 造の 図 式化
分 類 課題 にお け る被 験者 の 分類 から 、 各被 験者 の 知識 構造 を 図式 化し 、 群間 で の 比 較を 行 った 。図 式 化の 方法 を 以下 に示 す 。
分類 課 題に おい て 、同 一グ ル ープ に分 類 され た用 語 は相 互に 関 連付 けら れ て い る と 見做 し た。 まず 始 めに 、最 も 多く の用 語 と関 連付 け られ てい た 用語 を図 の 中心 に 配 置 した 。 そし て中 心 の用 語と 関 連付 けら れ てい た用 語 をそ の周 辺 に配 置し 、 関連 の あ る 用語 同 士を 線で 結 んだ 。こ の 線を 、以 下 「リ ンク 」 とす る。 さ らに 、周 辺 の用 語と 関
連付 け られ てい た 用語 をさ ら にそ の付 近 に配 置し 、 リン クで 結 んだ 。関 連 付け ら れ る 用語 が 無く なっ た ら、 周辺 に 残り の用 語 を記 載し 関 連の ある 用 語同 士を リ ンク で 結 ぶ と言 う 方法 で各 被 験者 の知 識 構造 を図 式 化し た。
Ⅳ. 結 果
1. 知 識構 造の 図 式化
分類 課 題 に おい て 各 被 験者 が 分 類し た カ テ ゴリ ー の 数 は、 平 均 で 7.61カ テゴ リー で あり 、群 間で の 有意 な 差は 認め ら れな かっ た
(F(4,45)=1.04,n.s.)。各 群 の 平 均カ テ ゴリ ー数 を 表 2に示 す。ま た、 各 カ テ ゴリ ー に 含 まれ る 用 語 の数 は、平 均 で4.75 個で あ り、カ テゴ リ ー 数 同様 群 間 で の有 意 な 差 は認 め られ なか っ た
(F(4,351)=1.56, n.s.)。各 群 の カテ ゴ リ ー 内の 用 語 数 の平 均 値 を 表3に 示す 。
次に 、 分類 課題 に おけ る被 験者 の 分 類 から 、 各 被 験者 の 知 識構 造 をモ デル 化 した 。
知 識構 造 に お ける リ ン ク 数及 び凝 集 性 に つい て 、 群 間で の 比 較を 行 った 。
各 群の 一 人 当 たり の リ ン ク数 の平 均 値を 表 4に 示す 。全 体 で の平 均 リン ク数 は 89.87本 で あ り、 分 散 分 析の 結 果 、 群間 の 有 意な 差 は認 めら れ なか った
(F(4,45)=0.34,n.s)。
知識 構 造 の 凝集 性 を 測 定す る ため に、Co( 集 団凝 集 性 )を測 定 する 際 に用 い ら れ るソ シ オ メ トリ ッ ク の手 法に 倣 って 、知 識 構造 の Co を 算 出 した 。
各群 の 平 均 Co 値 を 表 5 に 示す 。 Co値の 平 均は 全 体 で 0.25 で あ り 、 群間 に 有意 な差 は 認め られ な かっ た
(F(4,45)=0.57,n.s.)。
表 2 平 均 カ テ ゴ リ ー 数
熟 達 化 段 階 平 均 値
±標 準 偏 差
最 小 値
最 大 値
3 年 生 前 半 7.29 ±1.38 5 9
3 年 生 後 半 8.33 ±1.66 5 10
4 年 生 7.47 ±1.64 5 11
看 護 師 5 年 未 満 8.40 ±1.52 6 10 看 護 師 5 年 以 上 7.00 ±2.21 3 10
全 体 7.61 ±1.75 3 11
表 3 一 つ の カ テ ゴ リ ー に 含 ま れ る 平 均 用 語 数
群 平 均 値
±標 準 偏 差
最 小 値
最 大 値 3 年 生 前 半 4.92 ±2.59 2 15 3 年 生 後 半 4.38 ±2.03 1 10
4 年 生 5.04 ±2.25 1 14
看 護 師 5 年 未 満 4.19 ±2.29 1 15 看 護 師 5 年 以 上 4.90 ±2.99 1 15
全 体 4.75 ±2.43 1 15
表 4 一 人 当 た り の 平 均 リ ン ク 数
群 平 均 値
±標 準 偏 差
最 小 値
最 大 値 3 年 生 前 半 86.57 ±24.82 52 116 3 年 生 後 半 79.67 ±28.02 47 128
4 年 生 94.87 ±48.03 52 198
看 護 師 5 年 未 満 79.40 ±63.69 44 193 看 護 師 5 年 以 上 99.10 ±53.70 50 210
全 体 89.87 ±44.03 44 210
表 5 平 均 Co 値
群 平 均 値
±標 準 偏 差
最 小 値
最 大 値 3 年 生 前 半 .21 ±.08 .12 .36 3 年 生 後 半 .18 ±.06 .11 .29
4 年 生 .34 ±.47 .12 .46
看 護 師 5 年 未 満 .18 ±.15 .10 .44 看 護 師 5 年 以 上 .23 ±.12 .11 .48
全 体 .25 ±.28 .10 .48
各群 か ら、Co値 の 近 い被 験 者を 選択 し 図式 化し た 知識 構造 を 比較 した 。
Coの 比 較 的高 か った 被験 者 のう ち、3年 生 前半 の 1名(Co値.36)、3年 生 後 半 の 1 名(Co値.29)、4年 生 の 1名(Co値.35)、 看護 師5年 未満 の 1名 (Co値.44)、看 護 師5年 以上 の 1名 (Co 値.48)の 知識 構 造を 、そ れ ぞれ 図 3~ 図 7に示 す 。
図中 の 楕円 内の 単 語は 提示 し た用 語を 、 直線 はリ ン クを 示す 。
図式 化 した 知識 構 造を 質的 に 比較 する と 、3 年生 前 半・3 年生 後 半 の例 で は、 用 語 は い く つ か の カ テ ゴ リ ー に 分 か れ ま と ま っ て お り 、 カ テ ゴ リ ー 間 の 関 連 は 少 な い 。4 年 生 の 例 で は 、 用 語 は い く つ か の カ テ ゴ リ ー に 分 か れ て ま と ま っ て い る こ と に 加 え 、
「情 報 収集 」「 アセ ス メン ト」「 コミ ュ ニケ ーシ ョ ン」 と言 う 概念 を中 心 に、 カテ ゴ リ ー間 が 関連 付け ら れて いた 。看 護 師 5年 未満 の例 で は 、知識 は いく つか の カテ ゴリ ー に分 か れま とま っ てお り、 明 確な 中心 概 念は 認め ら れな かっ た が、 カテ ゴ リー 間 は 学 生に 比 べ密 接に 関 連付 けら れ てい た 。看護 師 5年 以上 の 例で は 、4年生 の 例同 様、「 情 報収 集」「 アセ ス メン ト」「看 護 過程 」 と言 う概 念 を中 心に カ テゴ リー 間 が関 連付 け ら れ、 さ らに 、カ テ ゴリ ー間 の 直接 的な 関 連も 密に 見 られ た。
図 3 3年生 前 半 1名の 知 識構 造
便 器
車 椅 子
枕
聴 診 器
水 銀 血 圧 計
注 射
絆 創 膏
カテーテル 綿 球
ガーゼ ストレッチャー コミュニケーション ボディメカニクス
ベッドメーキング
インフォームドコ ンセント
ADL
アセスメント
情 報 収 集 看 護 過 程
清 潔 区 域
全 身 清 拭 導 尿
浣 腸
洗 髪 体 位
無 菌 操 作 ウォッシュクロス
駆 血 帯
ケ ー プ
セッシ
図 4 3年生 後 半 1名の 知 識構 造
図 5 4年 生 1名 の知 識構 造
綿 球 インフォームドコンセント
コミュニケーション
看 護 過 程 アセスメント 情 報 収 集
聴 診 器
水 銀 血 圧 計
ベッドメーキング
枕 ボディメカニクス
体 位 変 換
ストレッチャー
ADL 車 椅 子
絆 創 膏 注 射 器
駆 血 帯
ガ ー ゼ
セ ッ シ
全 身 清 拭
洗 髪
導 尿 浣 腸
便 器 カテーテル ケ ー プ ウォッシュクロス 清 潔 区 域
無 菌 操 作
カテーテル ケープ
ベッドメーキング
清 潔 区 域
注 射 器
駆 血 帯
導 尿 無 菌 操
綿 球
ガーゼ セッシ
絆 創 膏 体 位 変
車 椅 子
ストレッチャー
ボディメカニクス
洗 髪
全 身 清
枕
看 護 過
インフォームドコンセント
水 銀 血 圧 計 浣 腸 便 器 聴 診 器
ADL
コミュニケーション アセスメント
情 報 収 ウォッシュクロス
楕 円 ( ) は 、 図 の 繁 雑 化 を 防 ぐ た め に 、 便 宜 上 ま と め た も の で あ る 。 楕 円 内 の 用 語 は 全 て 、相 互 に 関 連 が あ る 。
図 6 看 護 師 5年未 満 1名 の知 識構 造
図 7 看 護 師 5年 以上 1名 の知 識 構造
ストレッチャー ベッドメーキング
体 位 変 換 ボディメカニクス
ADL 枕
便 器 洗 髪
全 身 清 拭
浣 腸
導 尿 ウォッシュクロス
ケープ
水 銀 血 圧 計 看 護 過 程
インフォームド
コンセント 情 報 収 集
アセスメント コミュニケーション
清 潔 区 域
無 菌 操 作 駆 血 帯 車 椅 子
聴 診 器
綿 球
絆 創 膏 セッシ
カテーテル
ガーゼ
注 射 器
駆 血 帯
聴 診 器
インフォームドコンセント
コミュニケーション
ベッドメーキング 車 椅 子
ストレッチャー
ADL
ボディメカニクス
ケープ
洗 髪 体 位 変 換 ウォッシュクロス 全 身 清 拭
枕 情 報 収 集
アセスメント 看 護 過 程 導 尿
浣 腸
便 器
無 菌 操 作
ガーゼ 清 潔 区 域 カテーテル
絆 創 膏
綿 球 注 射 器
水 銀 血 圧 計
セッシ 楕 円( )は 、図 の 繁 雑 化 を 防 ぐ た め に 、便 宜 上 ま と め た も の で あ る 。楕 円 内 の 用 語 は 全 て 、 相 互 に 関 連 が あ る 。
楕 円 ( ) は 、 図 の 繁 雑 化 を 防 ぐ た め に 、便 宜 上 ま と め た も の で あ る 。 楕 円 内 の 用 語 は 全 て 、 相 互 に 関 連 が
各 群 にお ける 、 中心 概念 の ある 人の 割 合を 表 6 に 示 す。χ2検 定の 結 果、 有意 な 比 率の 偏 りは 見ら れ なか った (χ2(4)=1.69,n.s.)。
表6 中 心 概 念 の あ る 人 の 割 合
群 3 年 生 前半
3 年 生
後半 4 年 生 看護 師 5 年 未 満
看護 師 5 年 以 上
中 心 概 念 の あ る 人 数 2 2 6 1 2
中 心 概 念 の あ る 人 数 の 割
合 ( % ) 28.6 22.2 40.0 20.0 20.0
2. カ テゴ リー 分 類の 基準
知 識 構造 につ い て、 被験 者 間で の共 通 性を 調べ る こと を目 的 とし 、分 類 課題 に お け る被 験 者の 分類 の 類似 性を 調 べた 。
被験 者 が同 一カ テ ゴリ ーに 分 類し た用 語 を 2語ご と ペア とし 、各 ペ アに つ いて そ の ペア を 同一 カテ ゴ リー に分 類 した 人数 を 割り 出し た 。例 えば 「 コミ ュニ ケ ーシ ョ ン 」 と「 イン フ ォー ム ドコ ンセ ン ト」を同 一 カテ ゴリ ー に分 類し た 被験 者が い たと する と 、 そ の 2用語 をペ ア とし 、その ペ ア を同 一 カテ ゴリ ー に分 類し た 被験 者が 何 人で あ っ た かを 割 り出 した 。 同様 に産 出 され た全 て のペ アに つ いて 、そ の ペア を同 一 カテ ゴ リ ー に分 類 した 人数 を 割り 出し た 。次 に被 験 者 の 20% 以下 の 者が 同 一カ テゴ リ ーに 分類 し た用 語 ペア 数を 求 め、 産出 さ れた 全ペ ア 数に 占め る 割合 を算 出 した 。同 様 に、 被 験 者 の 21~40%、41~60%、61~80%、81% 以 上が 同 一グ ルー プ に分 類し た ペア 数を そ れぞ れ 求め 、産 出 され た全 ペ ア数 に占 め る割 合を 算 出し た。 算 出は 各群 に つい て 行 っ た。 結 果を 図 8 に 示 す。 各 群に つい てχ2検定 を 行っ た結 果 、全 ての 群 で、 有意 な 比 率 の 偏 り が 見 ら れ た ( そ れ ぞ れχ2(4)=17.61,p<0.01、χ2(4)=25.93,p<0.01、χ2 (4)=76.55,p<0.01、χ2(4)=24.63,p<0.01、χ2(4)=136.90,p<0.01)。 ど の 群 も 、20%
未満 が 同一 グル ー プに 分類 し た用 語ペ ア の割 合が 最 も高 く、41~60%、61~80%が 同 一グ ル ープ に分 類 した 用語 ペ アの 割合 は 低い 傾向 が 見ら れた 。 これ らは 、 どの 群 も 、 カテ ゴ リー 分類 の 仕方 には 個 人差 があ り 、熟 達化 に つれ てカ テ ゴリ ー分 類 の基 準 が 統 一さ れ る訳 では な く、 個々 に 独自 の基 準 で分 類す る 傾向 のあ る こと を示 し てい る。
0 10 20 30 40 50 60
~20 21~40% 41~60 61~80 81~
人数の割合 ペ
ア 数 の 割 合
3年生前半 3年生後半 4年生
看護師5年未満 看護師5年以上
図8 同 一 グ ル ー プ に 分 類 し た 人 数 ご と の 用 語 ペ ア 数 の 割 合