「部活動指導員」の制度化に関する研究 - 学校における顧問教員との連携に焦点を当てて -
The study of institutionalization of “Professional sports directors“(PSD) -The relationship between PSD and Teachers for extracurricular sport activities-
岡田 拓真 ( スポーツ学研究科 生涯スポーツ系 学校スポーツ分野 ) 主査:柴田 俊和 指導教員:黒澤 寛己 副査:石井 智
キーワード:部活動顧問,教員の負担増,「部活動指導員」導入
Keywords:Extracurricular sport activity teaches
,
Increase of teacher`s load,
Introduction of PSD1.はじめに
近年,教員の多忙化が社会問題となっている.
特に中学校,高等学校教員は,生徒指導や進路指 導に加えて部活動顧問を担当しており, 「課外活動」
と位置づけられる部活動を,休日などの勤務時間 外に行っている現状がある.また,運動部では,
専門外競技の顧問を持つ教員の負担は非常に大き い.こうした状況の中,平成
29年
4月
1日に「学 校教育法施行規則の一部を改正する省令」 (以下,
学校教育法)が施行された.これは,新たに「部 活動指導員」を設置して,その名称及び職務等を 明らかにし,指導体制の充実が図られるものであ る.しかし,その各学校への具体的な導入方法に ついては,まだ整備されていない.
そこで本研究では,滋賀県内高等学校教員の勤 務状況を明らかにし,学校における顧問教員との 連携に焦点を当てて, 「部活動指導員」の望ましい 導入方法について提案する.
2.研究方法
まず,先行研究や関係資料を整理する.次に,
県・市町の教育委員会にインタビュー調査を行い,
滋賀県下の「部活動指導員」の導入状況について 調査を行う.さらに,滋賀県内高等学校を対象(7 市の代表校)とし,運動部活動を担当している教 員に,半構造化法によるインタビュー調査を実施 する.最終的なデータの分析については,中澤・
松本
(2017)のコーディング法を用い,それをもと
に理論化を行う.
3.調査結果
図1:
A教員インタビュー概念図
7校の教員に行ったインタビュー調査の結果を もとに,コーディングを行った.そして,教員の 方々が求める「部活動指導員」のタイプを3つに 分類することができた.
図2:教員が求める「部活動指導員」3つのパターン
ここから,教員の校務分掌や競技経験の有無に より,求める「部活動指導員」が異なり,より学 校のニーズに合った人材確保が重要視されること が理解できた.
次に,
1つの高等学校を対象として,教員の部 活動への参加頻度,また,教科指導・校務分掌と いった他業務との関連性を明らかにするために,
H
高等学校を事例に調査を行った.内容は,放課 後に運動部(計
18部)の活動を観察し,その現 状把握に努めた.そして,最終的に部活動顧問を 総轄する体育科主任へのインタビューを行い,分 析を行った.
その結果,中澤(
2014)を参考に図3のように,
積極的教師群・消極的教師群への分類を行った.
図3:
H校教員の積極的教師群・消極的教師群
分類の結果から,
H学校においては,他業務との 関連が大きいために参加が難しいという教員が多 い結果となった.また,一概に教員の多忙化と言
求める「部活動指導員」
像 C教員(E教 員・G教員)
自分が監督で指導理念 を一緒にやっていきた い。
D教員
監督をやっていただいて もいい。技術指導のみを してもらったらありがたい F教員(A教
員・B教員)
教育的な視点を持って 指導ができる人
指導補助型
技術特化型 教育重視型
われているが,部活動への負担感は個人差が大き いことが明らかとなった.
4.提案
部活動指導員の①「人材確保・育成」②「校内 組織・業務」③「部活動の評価」の
3点に着目し,
望ましい導入方法の提案を行う.
① 「人材確保・育成」
京都教育大学(
2018)では,優れた運動部活動 指導者としての実践的指導力・マネジメント力養 成をねらいとし「スポーツリーダー養成講習会」
が行われている.このような取り組みをもとに,
スポーツマネジメントに関する内容を加えた指導 者の育成が必要となろう.なぜなら,高等学校の 部活動において, 「部活動指導員」は,特定の部活 動のみに関与するのではなく,学校全体の部活動 運営に携わることにより,部活動の中核的存在と して学校現場に貢献すべきだと考えるからである.
A