奈良教育大学学術リポジトリNEAR
概念的階層関係の理解における発達的変化
著者 杉村 健, 多喜 裕美
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 39
号 1
ページ 123‑136
発行年 1990‑11‑26
その他のタイトル Developmental Changes in the Appreciation of
Hierarchical Relations of Natural Concepts
URL http://hdl.handle.net/10105/1958
概念的階層関係の理解における発達的変化
杉 村 健・多 喜 裕 美*
(奈良教育大学心理学教室) (平成2年4月28日受理)
Rosch(1978)は、日常事物のカテゴリ‑について、水平的次元と垂直的次元を仮定した。水平 的次元とは、あるカテゴリーに属する事例のカテゴリーらしさ(典型性)に基づく族類似構造であ り、垂直的次元とは、上位水準、基礎水準、下位水準といったカテゴリーの階層構造である。後 者の階層構造に関する従来の研究は、次の2つの分野に分けることができる。
1つは、カテゴリー水準の獲得の順序に関する研究である。一般に、子どもが最初に獲得する 対象の名称は基礎水準であり(Anglin,1977)、概念学習課題や自由分類課題においても、基礎水 準の獲得が最も早いことが示されている(Horton & Markman,1980; Mervis,1987; Rosch,1978)。
しかし、基礎水準の次に上位水準が獲得されるのか、下位水準が獲得されるのかは、カテゴリー の種類によって異なることが示されている(Anglin,19V7)c
もう1つは、概念の階層関係の理解に関する研究であり、初期の研究ではInhelder &
Piaget(1964)の類包摂課題が用いられていた。その結果は、 7 、 8歳以下の子どもには類包摂(2 つの水準の階層関係)の理解は困難であることが示され、具体的操作期に移行することによって 概念が階層構造を持つようになり、類包摂の理解が可能になると解釈されてきた(Ahr &
Youniss,1970; Inhelder & Piaget,1964)c その後の研究では、前操作期の子どもでも類包摂を 理解しており、大人と同じような階層構造を所有していることが兄い出されている(Hodkin,1987;
Siegel, McCabe, Brand & Mathews,1978; Whiteny & Kunen,1983)。しかしWiner (1980)は、 Piagetの類包摂課題においては、数の操作(加法、減法)が必要であるので、類包摂 の理解を純粋に査定していないことを指摘している。
Harris(1975)が考案した推論課題は、数の操作を用いずに類包摂の理解を査定しているように 思える。例えば、 "A mibis a bird.という命題を示し、 "Does a mib have wings?と
"Does a mib eat food?という質問がなされたO この課題においては、無意味綴りで与えられ る事例名(mib)と概念(鳥)の頬包摂について推論し、事例がその特徴を所有しているかどうかを 判断しなければならない。その結果は、 5歳から7歳の子どもでも事例の特徴を推論できること を示したが、 "Is a mib a robin? という質問においても約半数の者がこれを肯定していた。
このことは、 Harris(1975)も指摘しているように、事例名(mib)を概念と同義語として受け取っ ていることを示唆するので、この課題では純粋に階層関係の理解を査定できないと考えられる。
Smith(1979)は、保育園児、幼児、小学1年生に対して、 2種類の推論課題を行った。特徴推 論課題では"All children have spleens in them.のように、特定の水準についての特徴を 含む命題を示し、 "Do all people have to have spleens in them?のように、命題で述べら れていない水準について、その特徴を所有しているかどうかを問う。この課題によって、概念の 階層構造の知識を査定することができるOクラス推論課麿では、 "A pawpaw is akindoffruit,
* 大学院研究科
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but not a banana.のように2つの水準の概念を同時に含む命題を示し、 "Is a pawpaw food?のように命題に述べられていない概念水準と事例との関係を問う。この課題によって、
類包摂の理解を査定することができる。特徴推論課題については10間中9間以上正答、クラス推 論課題については8間中7問以上正答した場合、成人と同じように概念の階層構造を理解してい ると仮定し、アダルトパターンと命名されたo このパターンを示した者は、特徴推論課題では保 育園児15%、幼児50%、小学1年生65%であり、クラス推論課題では同じ順に25%、 45%、 80
%であった。
国立国語研究所(1982)は、表1に示す14の質問文に"はい''又は"いいえ"で答えさせ、 "い いえ"の場合には理由を開いた。上位‑下位関係を問う質問文1から3では、幼児も小学生も
"いいえ"と答えた者が多く、その理由として、はとは"鳥" 、とんぼは"負" 、金魚は̀魚"
と答える者が多かった。これに対して、中位一下位関係を問う質問文4から11では、 ̀はい"と 答えた者が多かった。これらの結果から、中位一下位のように接近した関係の方が上位一下位関 係のように離れた関係よりも理解され易いことが示唆される。しかし、表1からわかるように、
①上位一中位関係を問う質問文が含まれていない、 ②上位概念は動物のみで、中位概念には果物 が多く用いられている、 ③質問文12から14は質問の意図が明確でないという不備な点が指摘され る。さらに、質問文1から11のように、 ̀Ⅹ(下位概念)はY(上位又は中位概念)ですか?"と質 問された時、子どもたちは上位‑下位又は中位‑下位という包摂関係ではなく、単にⅩとYの並 列関係としてとらえる可能性がある。
表1 国立国語研究所(1982)が用いた質問文の構成
質 問 文 上 位 中 位 下 位 はとは動物ですか
とんぼは動物ですか 金魚は動物ですか 金魚は魚ですか
どじょうは魚ですか ちょうちょうは虫ですか ふくろうは鳥ですか
レモンは果物ですか くりは果物ですか すいかは果物ですか
トマトは果物ですか たこは魚ですか 只は魚ですか とんぼは鳥ですか
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
ところで、 Markman & Callanan(1984)は、概念の階層関係に次の2つの基準があることを 指摘している。 1つは最小限の基準であり、例えば、ある対象が椅子であると同時に家具として 認識できるように、 1つの対象が同時に2つのカテゴリーの水準に属していると認識できること
である。つまり、同一対象に2つまたはそれ以上の名前を適用できることであるが、これは名前 を機械的に記憶していても可能であるので、真に階層関係を理解しているとは言えない。もう1 つは高次の基準であり、そこには非相称(asymmetry)と推移律(transitivity)の2つが含まれて いる。非相称とは、クラスACクラスBのとき、クラスB⊂クラスAは成立しないことである。
例えば、全ての秋田犬(A)は犬(B)であるが、全ての犬は秋田犬ではない。推移律とは、クラス A⊂クラスB、クラスB⊂クラスCならば、クラスA⊂クラスCが成立することである。全ての 秋田犬は犬であり、全ての犬は動物であるならば、全ての秋田犬は動物である。このように、非 相称は2つの水準の概念の関係を示すものであり、推移律は3つの水準の概念の関係を示すもの である。
本研究の目的は、概念の階層関係の理解が幼児から小学生の間でどのように変化するかを、質 問文を用いて検討することである。階層関係の理解をより組織的にとらえるために、概念の上位 一中位関係、中位一下位関係、上位一下位関係の3つの関係について、正しい包摂関係を表す質 問文(上位つ中位、中位つ下位、上位つ下位)と、誤った包摂関係を表す質問文(上位⊂中位、中 位⊂下位、上位⊂下位)を作成した。これによって、それぞれの包摂関係の理解とともに、両者 を一緒にした非相称(Markman & Callanan, 1984)の理解をとらえることができるO
従来の質問文を検討してみると、英文では"Is a A a kind ofB? (Smith,1979)のように、
事例A⊂クラスBといった関係で表現される質問文が用いられている。一方、日本文では"Ⅹは Yですか?" (国立国語研究所,1982)のように、包摂関係(Ⅹ⊂Y)よりも並列関係(X‑Y)とし てとらえられる質問文が用いられている。しかし、母親や保母達が、例えば動物と犬の階層関係 を幼児に教える場合には、一般に"犬は動物の仲間です"という表現が用いられている。これは 明らかに包摂関係を表しており、英文の"a kind or に相当するものである。本研究では、包 摂関係を暗示する言葉として"仲間"を用い、 "ⅩはYの仲間ですか?''という質問文を用いる ことにした。
先に述べたように、国立国語研究所(1982)が質問文に用いた概念は、上位概念は動物のみであ り、中位概念は果物に偏っていた。そこで本研究では、表1を参考にして、まず中位概念として 魚、鳥、果物、野菜を用いることにし、 3つの概念水準を作るために、下位概念としてコイ、ハ ト、バナナ、キャベツ、上位概念として生き物と食べ物を用いることにした(表2参照)。下位概 念の事例としては中位概念名からの連想頻度が高いものを国立国語研究所(1981)から選んだ。
方 法
実験計画 4(学年;幼児、小2、小4、小6)×3(階層関係;上位一中位、中位一下位、上 位一下位)×2(文の種類;其の文、偽の文)×2(概念の種類;生き物、食べ物)の4要因。学年
のみ被験者間要因である。
被験者 幼稚園年長児47名(男児20名、女児27名)、小学2年生85名(男子45名、女子40名)、小 学4年生99名(男子50名、女子49名)、小学6年生123名(男子67名、女子56名)である。
材料 先に述べたように、上位概念が生き物の場合には、中位概念として鳥と魚、下位概念と してハトとコイを用い、上位概念が食べ物の場合には、中位概念として果物と野菜、下位概念と してバナナとキャベツを用いた。
質問文は全て"ⅩはYの仲間ですか?"の形式であり、上位一中位関係、中位丁下位関係、上
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位一下位関係の各々について、 ⅩがYよりも下位の概念である頬包摂関係が其の文と、 ⅩがYよ りも上位の概念である頬包摂が偽の文を作成した。表2に示すように、全部で24の質問文がある。
上位一中位関係、中位‑下位関係、上位‑下位関係それぞれ8つの質問文からなり、そのうち4 つは其の文(Ⅹ⊂Y)であり、 4つは偽の文(Ⅹ⊃Y)である。また、 4つは生き物、 4つは食べ物 に関する質問文である。従って、 4 (下位概念事例)× 3(階層関係)× 2 (文の種類)‑24の質問文 になる。
表2 本研究で用いた質問文
質 問 文 上 位 中 位 下 位 鳥は生き物の仲間ですか?
魚は生き物の仲間ですか?
果物は食べ物の仲間ですか?
野菜は食べ物の仲間ですか?
生き物は鳥の仲間ですか?
生き物は魚の仲間ですか?
食べ物は果物の仲間ですか?
食べ物は野菜の仲間ですか?
○ ⊃ ○
○ ⊃ ○
○ ⊃ ○
○ ⊃ ○
○ ⊂ ○
○ ⊂ ○
○ ⊂ ○
○ ⊂ ハトは鳥の仲間ですか?
コイは魚の仲間ですか?
バナナは果物の仲間ですか?
キャベツは野菜の仲間ですか?
鳥はハトの仲間ですか?
魚はコイの仲間ですか?
果物はバナナの仲間ですか?
野菜はキャベツの仲間ですか?
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
⊃
⊃
⊃
⊃ U U U U
O O O O O O O O ハトは生き物の仲間ですか?
コイは生き物の仲間ですか?
バナナは食べ物の仲間ですか?
キャベツは食べ物の仲間ですか?
生き物はハトの仲間ですか?
生き物はコイの仲間ですか?
食べ物はバナナの仲間ですか?
食べ物はキャベツですか?
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
〇
⊃
⊃
⊃
⊃ U U U U
〇
〇
〇
〇
〇
手続き 小学生については学級単位で行い、 1学級には実験者と実験補助者の2名が配置され た。 "これから、皆さんに生き物と食べ物について聞きます。"という教示に続いて、 1文につき 約10秒で番号と質問文を読み上げ、回答用紙に印刷してある質問番号の上に、その文の内容が正
しいときには○を、誤っているときには×を付けさせた。幼児については個別に実験し、実験者 が質問文を1つずっ読み上げ、子どもに"はい"または"いいえ"の答を求めた。
[j J^^^^^^^^^H^
関係理解度得点 真の文に対して、 ○又は"はい"で答えた場合に1点、偽の文に対して、 × 又は"いいえ"で答えた場合に1点を与え、関係理解度得点の平均を示したものが表3である。
この値について4 (学年)× 3 (階層関係)× 2 (文の種類)× 2 (概念の種類)の分散分析を行ったと ころ、階層関係の主効果を除く全ての主効果及び交互作用が有意であった(学年×階層関係の交 互作用のみ5%水準、その他は全て1%水準)0
表3 階層関係理解度得点(平均)
目 Hmm 湿 旧 R OMTWI 学年 階層関係 真 偽 平 均 生き物 食べ物 平 均 幼児 上位一中位 2.77 1.62 2.20
4>fe‑Tftz 3.21 1.04 2. 13 上位一下位 2.68 1.77 2.23
2.10 2.28 2.19 2.09 2.18 2.14 2.21 2.23 2.22
平 均 2.89 1.48 2.18 2.13 2.23 2.18 小2 上位一中位 2.45 2.12 2.29
中位一下位 3.65 0.78 2.22 上位一下位 2.40 2.02 2.21
2.20 2.36 2.28 2.36 2.07 2.21 2.08 2.35 2.21
平 均 2.83 1.64 2.24 2.21 2.26 2.24 小4 上位‑中位 2.49 3.00 2.75
中位一下位 3.78 1.30 2.54 上位一下位 2.30 2.89 2.60
2.53 2.97 2.75 2.45 2.63 2.54 2.20 2.99 2.60
平 均 2.86 2.40 2.63 2.39 2.86 2.63 小6 上位一中位 3.18 3.21 3.20
中位一下位 3.88 2.77 3.33 上位一下位 3.02 3.31 3.17
2.98 3.40 3.19 3.37 3.27 3.32 2.87 3.46 3.17
平 均 3.36 3.10 3.23 3.07 3.38 3.23
学年の主効果はF(3 ,350)‑61.06であり、幼児(平均2.18)≒小2 (平均2.24X小4 (平均 2.63X小6 (平均3.23)であった。文の種類の主効果はF( l ,350)‑93.90であり、真の文(平均 2.99)>偽の文(平均2.16)であった。概念の種類の主効果はF(l ,350)‑45.36であり、生き物 (平均2.45)<食べ物(平均2.68)であった。交互作用については、それが明確で本研究の関心に 合致するもののみを取り上げた。学年×文の種類の交互作用はF(3 ,350)‑10.64であり、幼児 と小2では其の文(平均2.89と2.83)>偽の文(平均1.48と1.64)であり、小4と小6では文の種 類による有意差はなかった。学年×概念の種類の交互作用はF(3 ,350)‑8.60であり、幼児と小
2では概念間の差はほとんどないが、小4と小6では生き物(平均2.39と3.07X食べ物(平均 2.86と3.38)であった。文の種類×概念の種類の交互作用はF( l ,350)‑729.56であり、其の文 では食べ物(平均1.84)>生き物(平均0.90)であったが、偽の文では生き物(平均1.31)>食べ 初(平均0.85)であった。なお、学年×文の種類×概念の種類の交互作用もF(3 ,350)‑35.98で
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あったが、学年による違いは顕著でなく、文の種類×概念の種類の交互作用に帰せられる。階層 関係×文の種類の交互作用はF(2 ,700)‑548.03であり、上位‑中位、上位‑下位関係では真の 文(平均2.72と2.60)≒偽の文(平均2.49と2.50)であったが、中位一下位関係で真の文(平均 3.63)>偽の文(平均1.47)であった。なお、学年×階層関係×文の種類の交互作用もF(6 ,700)
‑30.27であったが、学年による違いは顕著でなく、階層関係×文の交互作用に帰せられる。
関係理解のパターン 次に、 3つの階層関係について、理解できた関係(正答)を○で表し、理 解できなかった関係(誤答)を×で表すと、表4に示す8つの関係理解のパターンがある。例えば、
〇〇〇パターンは3つの関係を全て理解している事を示す。 ○○×パターンは上位‑中位関係と 中位‑下位関係を理解しており、上位一下位関係を理解していない事を示す。 ○×○パターンは 上位一中位関係と上位一下位関係を理解しており、中位一下位関係を理解していないことを示す。
各々の下位概念ごとにこのパターンを算出し、上位概念に基づいてハトとコイ、キャベツとバナ ナの同一パターン同士をそれぞれ加えて、生き物と食べ物の理解パターンとした。
表4‑1に示した其の文のパターンの平均値をみると、生き物では、 ×○×パターンが最も多 く、次に〇〇〇パターンがあり、それ以外のパターンは10%以下であった。食べ物では、 〇〇〇 パターンが著しく多く、これ以外のパターンは極端に少なかった。概念間で比較すると、 〇〇〇 パターンは食べ物(84.5%)が生き物(32.0%‑)よりも著しく多く、 ×○×パターンは生き物(42.9 形)が食べ物(3.0%)よりも著しく多かった。発達的な変化をみると、生き物の000パターンは 小2と小4でいったん減少し小6で再び増加するが、 ○×○パターンは小2と小4で増加し小6 で減少した。食べ物の〇〇〇パターンは幼児からかなり多く、小2と小4では停滞するが、小6 では94.3%にも達していた。
表4‑2に示した偽の文のパターンの平均値をみると、生き物では、 〇〇〇パターンと○×○
パターンが多く、食べ物では× × ×パターーンに次いで〇〇〇パターンが多かった。概念間で比較 すると、 〇〇〇パターンは生き物(35.2%)が食べ物(24.7%)よりも多く、 ○×○パターンも生き 初(35.3%)が食べ物(13.8%)よりも多かったD X X Xパターンは逆に食べ物(40,5%)が生き物 (13.3%)よりも多かった。発達的な変化をみると、生き物の〇〇〇パターンは幼児から小4まで あまり増加しないが、小6で著しく増加したo xxxパターンは幼児から小2にかけて著しく減 少し、小2から小6では僅かに減少した。 ○×○パターンは小2と小4で増加し小6で減少した。
食べ物の〇〇〇パターンは幼児と小2ではあまり変化しないが、小2から小6にかけて著しく増 加し、 ×××パターンは幼児から小2で増加するが、その後は小6にかけて著しく減少した。
表4‑1と表4‑2を比較すると、生き物の〇〇〇パターンは平均値ではあまり差がないが、
幼児では其の文が多く、小2、小4、小6では偽の文が其の文よりも多かった。 ×○×パターン は全学年を通して其の文(平均42.9%)の方が偽の文(平均3.1%)よりも多かった。食べ物の〇
〇〇パターンは文の種類に関わらず学年と共に増加しているが、偽の文の方が著しく増加してお り、それにともなって文の種類による差も学年と共に縮まった。 ×××パターンは偽の文で著し く多かった。
表4‑1 真の文の回答パターン分析(%) 概 念
回答パターン 生 き 物 食 べ 物
上・中 中・下 上・下 幼児 小2 小4 小6 平均 幼児 小2 小4 小6 平均
〇 〇 〇
〇 〇 ×
○ × ○
× ○ ○
○ × ×
× ○ ×
× × ○
39.4 17.7 21.2 49.6 32.0 3.2 7.7 10.1 10.6 7.9 ll.7 4.7 0.5 1.2 4.5 3.2 4.1 2.0 4.1 3.4 2.2 1.2 1.5 0.4 1.3 24.5 55.3 59.1 32.5 42.9 1.1 0.0 0.5 0.4 0.5
× × × 14.9 8.2 5.1 1.2 7.4
71.3 88.9 83.4 94.3 84.5 7.5 2.4 5.6 1.2 4.2 3.2 2.4 2.5 0.8 2.2 3.2 3.0 5.1 1.2 3.1 0.0 0.6 0.0 1.2 0.5 1.5 0.6 2.6 0.4 3.0 0.0 0.0 0.0 0.4 0.1 6.4 2.4 1.0 0.4 2.6
表4‑2 偽の文の回答パターン分析(%) 概 念
回答パターン 生 き 物 食 べ 物
上・中 中・下 上・下 幼児 小2 小4 小6 平均 幼児 小2 小4 小6 平均
〇 〇 〇
〇 〇 ×
○ × ○
× 〇 〇
〇 × ×
× ○ ×
× × ○
20.2 24.8 29.3 1.1 2.4 0.5 21.3 48.3 54.0 5.3 1.2 0.5 6.4 6.5 9.1 7.5 3.2 0.0
66.3 35.2 2.0 1.5 17.5 35.3 2.9 2.5 1.6 5.9 1.7 3.1 7.5 4.1 2.0 1.6 3.t
× × × 30.9 11.2 4.6 6.5 13.3
9.6 5.3 26.8 56.9 24.7 0.0 1.2 1.0 1.6 1.0 16.0 7.7 19.7 11.7 13.I 2.2 1.2 5.1 5.3 3.5 5.4 10.0 9.6 4.1 7.3 6.4 1.2 2.0 2.4 3.0 6.4 8.9 7.1 4.5 6.7 53.2 64.7 28.8 15.1 40.5
非相称理解度得点 真の文に対して○又は"はい"と答え、同時に、その文に対応する偽の文 に対して×又は"いいえ''と答えた場合に1点を与え、非相称理解度得点とした。表5はこの得 点の平均を示したものである。この値について、 4(学年)× 3(階層関係)× 2(概念の種類)の分 散分析を行った。その結果、全ての主効果及び交互作用が有意であったが(但し、階層関係の主 効果のみ♪‑.065)、交互作用については、本研究の関心に合致するものだけを取り上げた。
学年の主効果はF(3 ,350)‑60.76であり、幼児(平均0.26)≒小2 (平均0.29X小4 (平均 0.71X小6 (平均1.25)であった.階層関係の主効果はF(2 ,700)‑2.71であり、上位‑中位 (平均0.65)>中位一下位(平均0.59)‑上位一下位(平均0.59)であった。概念の主効果は F(l ,350)‑51.22であり、生き物(平均0.52)<食べ物(平均0.72)であった。学年と概念の種 類の交互作用はF(3 ,350)‑16.00であり、幼児と小2では生き物(平均0.26と0.27)≒食べ物 (平均0.26と0.31)であったが、小4と小6では、生き物(平均0.44と1.10X食べ物(平均0.98 と1.40)であった。
130 杉 村 健・多 幸 裕 美 表5 非相称理解度得点(平均)
概 念 の 種 類 学年 階層関係 生き物 食べ物 平 均 幼児 上位一中位 0.23 0.30 0.27
中位一下位 0.26 0.19 0.23 上位一下位 0.30 0.28 0.29 平 均 0.26 0.26 0.26 小2 上位一中位 0.29 0.42 0.36 中位一下位 0.37 0.13 0.25 上位一下位 0.15 0.38 0.27 平 均 0.27 .31 0.29 小4 上位一中位 0.56 1.03 0.80 中位一下位 0.51 0.90 0.71 上位一下位 0.25 1.01 0.63 平 均 0.44 0.98 0.71 小6 上位一中位 1.02 1.42 1.22 中位一下位 1.38 1.32 1.35 上位一下位 0.90 1.46 1.18 平 均 1.10 1.40 1.25
其の文の関係理解パターンと偽の文の関係理解パターンを組み合わせてみると、両方の文で〇
〇〇パターンを示した者は、生き物では幼児から順に0.0%、 5.9%、 5.6%、 35.0%であり、小 4から小6にかけて著しく増加した。食べ物では幼児から順に3.2%、 2.4%、 22.2%、 54.5%
であり、小2から小6年にかけて著しく増加した。しかし、生き物と食べ物を平均すると小6で も44.7%にしか達しなかった。 〇〇〇パターン以外のパターンでは、真の文と偽の文で同じパ ターンを示す者は1人もいなかった。
考 察
本研究の目的は、概念の階層関係の理解が文の種類と概念の種類との関わりにおいて、発達的 にどの様に変化するかを検討することであった。先に述べたように、質問文を用いた従来の研究 (Harris,1975;国立国語研究所,1982; Smith,1979)は、純粋な階層(包摂)関係が査定できない、
3つの関係及び偽の包摂関係を表す質問文が用意されていない、結果の分析が不十分であるといっ た点で、階層関係の理解を包括的に検討していない。本研究においては、生き物と食べ物の上位 一中位関係、中位丁下位関係、上位一下位関係の3つの関係について、正しい包摂関係を表す質 問文と誤った包摂関係を表す質問文を、 "ⅩはYの仲間ですか?"の形式で作成した。これを幼 児、小学2年生、 4年生、 6年生に与え、その内容の真偽を判断させ、その結果について理解度 得点と反応パターンによる分析を行った。
幼稚園児が小学校に入学して学校教育を受けることにより、一般的な認知能力が著しく発達す
ると考えられるので、本研究の主題である概念的階層関係の理解においても、幼児から小2にか けて著しい変化があると予想した。しかし、関係理解度得点(表3)においても非相称理解度得点 (表5)においても、そのような変化はなく、幼児と小2はほとんど同じ成績であった。これに対 して、 Smith(1979)によるクラス推論課題では、先に述べたように、アダルトパターンを示した 者の割合が幼児から小1にかけてかなり増加した。彼女の課題は異なる水準の概念を含む命題を 示し、そこから関係を推論させるものであり、本研究の課題とは異なっているので直接比較する ことができない。しかし、本研究のように、真の文と偽の文によって3つの関係を総合的にとら えた場合には、階層関係を理解する能力は小2まではあまり発達しないといえる。
この点に関して、学年×文の種類の有意な交互作用があったことは興味深い。全体的に偽の文 よりも其の文が理解し易いのは当然のことであるが、 2つの文の理解度の差は幼児と小2では著 しく大きく、小6では僅かであった。このことから、幼児と小2では真の包摂関係と偽の包摂関 係を理解する能力が分離しているが、小6になると2つの能力が統合されることが示唆される。
この有意な交互作用はまた、真の文の理解度得点は幼児からかなり高く、小4までは全く変化し ないが小6でやや増加するのに対して、偽の文の理解度得点は幼児から小6まではぼ直線的に増 加することを示している。このように、真の包摂関係を理解する能力は幼児でもすでに習得され ており、小学校の間はほとんど変化しないといえる。これは天井効果によるとも考えられるが、
大学生では満点を示すという資料(未発表)があるので、天井効果とはいえない。本研究の結果か ら、小学校教育によって発達するのは偽の包摂関係を理解する能力であるといえる。偽の包摂関 係を理解するのには、真の包摂関係が確実に理解され、なおその上に、変換し推論する能力が必 要とされる。例えば、 "生き物は魚の仲間ですか?"と問われたとき、即座に応答するのではな
く、その質問をまず̀魚は生き物の仲間ですか?"に変換し、その変換した質問が真であること を確認し、そして、変換文が真であるならば元の文は偽であることを推論しなくてはならない。
次に、関係理解度得点及び非相称理解度得点は生き物よりも食べ物の方が高く、その差は小4 と小6において大きかった。 Anglin(1977)によれば、自然概念の獲得は日常生活における事物 の機能に関係がある。例えば、食べられるものか食べられないものか、空を飛ぶものか、あるい は水の中を泳ぐものかといった棟能的特徴に基づいて概念が形成される。本研究で用いた食べ物 の事例と生き物の事例の幾能的特徴は、次の点で異なっている。食べ物の事例(野菜と果物)は全 て"リンゴを食べる"というように、人が動作的に関わっているが、生き物の事例(魚と鳥)はそ のような関わりはほとんどない。また、食べ物の事例は全て"食べることができる"という1つ の機能的特徴にまとめることができるが、生き物の事例は"空を飛ぶことができる(鳥)"と"水 の中を泳ぐことができる(負)"という2つの機能的特徴をもっている。棟能の影響は国立国語研 究所(1982)でも得られている。幼児から小3までの子どもにカードの自由分類を行わせ、その理 由づけをさせたところ、低年齢の子どもはどそのカテゴリーの持つ機能に言及しやすかったとい う結果を得ている。従って、このような機能的特徴の違いが階層関係の理解に影響を及ぼしてい ると考えられる。先に述べたように、幼児と小2は階層関係を理解する能力がまだ未発達なため に、機能的特徴の違いによる影響がほとんどなかったが、小4と小6は、特に偽の文において、
階層関係を理解する能力が発達する途上にあるために、動作的関わりと1つの特徴ということで、
食べ物の階層関係の理解が促されたものと考えられる。
本研究の主な関心は、上位一中位、中位‑下位、上位一下位といった3つの階層関係のうち、
どの階層関係が理解され易いか、そしてそれが学年、文の種類、概念の種類によってどのように
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異なるかという点にあった。従って、階層関係の有意な主効果および階層関係を含む有意な交互 作用が得られるものと期待した。階層関係理解度得点では主効果は有意でなかったが、非相称理 解度得点では上位一中位関係が他の2つの関係と比べて有意に高かった。生き物を例にとると、
鳥と魚が生き物に含まれ、同時に生き物は鳥と魚に含まれないという上位一中位関係の理解の方 が、ハトは鳥に、コイは魚に含まれ、同時に鳥はハトに、魚はコイに含まれないという中位一下 位関係およびハトとコイは生き物に含まれ、同時に生き物はハトとコイに含まれないという上位
‑下位関係の理解よりも容易であった。この結果は、階層関係の理解はより下位の関係よりもよ り上位の関係から始まることを示唆するが、生き物や食べ物といった上位概念が十分に獲得され ていないと考えられる年少の幼児まで、そのことが当てはまるかどうかはわからない。
関係理解度得点でも非相称理解度得点でも階層関係を含む有意な交互作用があったが、それら を図示した結果、明確なものは関係理解度得点における階層関係×文の種類の交互作用だけであっ た。先に述べたように、上位一中位関係と上位一下位関係においては其の文と偽の文の理解度得 点はほぼ同じであり、中位‑下位関係のみで其の文が偽の文よりも有意に得点が高かった.すな わち、中位一下位関係ではバナナが果物に、キャベツが野菜に含まれるという包摂関係ははとん ど完全に理解できるが、果物がバナナに含まれず、野菜がキャベツに含まれないという非包摂関 係はあまり理解できない。一方、上位概念を含む2つの関係では包摂関係と非包摂関係が同じ程 度に理解できるので、文の種類の有意な主効果(真の文>偽の文)は、主として中位丁下位関係の 差に帰せられる。この交互作用については、後に示すパターン分析と関係づけて解釈するO
階層関係の間の関係をみるために、文の種類と概念の種類をこみにした関係理解度得点につい て、階層関係間の相関係数を算出した。幼児では上位‑中位と中位一下位の相関はr‑‑.07、上 位一中位と上位一下位の相関はr‑.48OK.01)、中位‑下位と上位‑下位の相関はγ‑.11であっ た。小2では同じ順に.49、 .46、 .53(いずれも♪<.Ol)、小4では.32、 .55、 .52(いずれも♪<
.01)、小6では.68、 .79、 .71(いずれもK.Ol)であったo幼児の場合は、ともに上位概念を含 む関係の間に有意な相関があることから、幼児は生き物や食べ物といった上位概念を中心にして 上位一中位、上位‑下位の2つの関係が理解されるものと考えられる。一方、中位一下位関係は 他の2つの関係との相関が低いので、中位一下位関係を理解する能力は他の関係を理解する能力 と同じものかどうかわからない。幼児以外は全ての相関が有意であるので、 3つの関係に共通す る一般的な関係理解能力があると考えられる。ちなみに3つの相関係数の平均は幼児から順に
.23、 .49、 .46、 .73であり、関係理解の一般的能力は幼児から小2にかけて発達し、小6ではか なり高くなるといえる。
次に、表411と表412に示した回答パターンをみると、 3つの関係が理解できた〇〇〇パ ターンの者は真の文では生き物よりも食べ物で多く、偽の文では逆に食べ物よりも生き物で多かっ た。この結果は、関係理解度得点において得られた文の種類×概念の種類の交互作用と同じであ る。真の文で食べ物の成簾が良いことは、先に述べた食べ物の機能的特徴によって説明できるが、
偽の文で生き物の成績が良かったことについては、現在のところ適切な説明はできない。いずれ にしても、用いる概念(そして事例)によって、そして包摂関係と非包摂関係によって、著しく異 なる結果が得られたことは、少なくとも本研究で用いた年齢範囲の子どもによる階層関係の理解 は文脈依存的であるといえる。階層関係を理解する能力があったとしても、それはあらゆる文脈 に適用できる一般的なものではないことが示唆されるo
OOOパターン以外で特に目立っのは、其の文では×○×パタ‑ンである。平均でみると生き
物は43%もあるのに、食べ物では僅かに3%であった。生き物で×○×パターンが多いことは、
上位概念を含む関係の理解が困難であったことを示す。一方、偽の文で目立っのは生き物の○×
○パターンである。このパターンは真の文の×○×パターンと逆の関係にあり、上位概念を含む 関係の理解が容易であったことを示す。このように、生き物については包摂関係を表す文では中 位一下位が理解でき、上位概念を含む関係が理解できない者が多く、非包摂関係を表す文では上 位概念を含む関係が理解でき、中位一下位関係が理解できない者が多い。
本研究で用いた生き物の事例(下位概念)はハトとコイであり、中位概念は鳥と魚である。しか し、幼児はもとより大人でもハトに対しては"鳥" 、コイに対しては̀魚"と命名しがちである。
すなわち、階層構造では鳥と魚は中位水準に位置づけされるにもかかわらず、実際にはハトやコ イと同様に、下位水準として受け取られがちである。そのために、ハトと鳥、コイと魚がそれぞ れ包摂関係を持つということが認識されず、 "ハトが鳥の仲間(其の文)"であっても、 "鳥がハ
トの仲間(偽の文)"であっても、 "はい"と答えがちである。その結果、其の文では中位一下位 関係の理解度得点が高く、 ×○×パターンを示す者が多く、偽の文では同じ関係の理解度得点が 低く、 ○×○パターンを示す者が多くなったと考えられる。一方、食べ物の事例はバナナとキャ ベツであり、中位概念は果物と野菜であるが、バナナと果物、キャベツと野菜が同じ水準として 受け取られる可能性は少ないので、其の文と偽の文に対して弁別的に応答する傾向がある。しか し、偽の文で平均13.8%の者が○×○パターンを示しており、これは弁別的応答ができなかった ことによるものとみなされる。以上の説明を一般化すれば、真の文と偽の文に対する階層関係の 理解は、関係する2つの概念水準の弁別可能性に依存するといえる。すなわち、上位一中位関係
と上位一下位関係のように、 2つの概念水準の弁別がし易い場合には其の文と偽の文の理解度得 点はほぼ同じ程度になるが、中位丁下位関係のように弁別しにくい場合には、真の文の理解度得 点は高くなり、偽の文は低くなる。
其の文と偽の文で共に〇〇〇パターンを示した場合は、 3つの関係において非相称を完全に理 解していると判定することができるO このパターンを示した者の割合は、生き物では小4までは ほんの僅かで小6でも35.0%にすぎず、また、食べ物でも幼児と小2はほんの僅かであり、小4 から小6にかけて増加しているものの、小6でも44.7%であった。このように、 Markman &
Callanan(1984)によって階層関係理解の厳しい基準としてあげられている非相称が、 3つの階 層関係について完全に理解できた者は小学6年生でも40%前後であり、幼児や小2ではほとんど 理解できなかった。小学生にとっては、質問文による非相称の理解はかなり困難であるが、大学 坐(未発表)でははぼ完全に理解できることが示されている。従って、小学6年生以降に40%から 100%に近づく発達段階があると考えられる。本研究では真の文と偽の文をばらばらに呈示した が、対応する2つの文を対にして呈示すれば、 2つの文を比べることができるので、非相称の理 解が高まることが期待される。
要 約
本研究の目的は、自然概念の階層関係の理解における発達的な変化を組織的に検討することで あった。そのために、生き物と食べ物の概念における上位一中位関係、中位一下位関係、上位丁 下位関係について、包摂関係が真の文と偽の文について"ⅩはYの仲間ですか?"の形式で質問 文を作成し、幼児、小学2、 4、 6年生に実施した。真の文を肯定した場合と偽の文を否定した
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場合に、階層関係が理解できていたとみなし、理解度得点と反応パタ‑ンによる分析を行った。
関係理鍛度得点(1)幼児と小2はほとんど同じ得点であり、小4から小6にかけて増加した。
(2)全体として、偽の文よりも其の文の方が高いが、 2つの文の得点差は幼児と小2で著しく 大きく、小6では僅かであった。真の文の得点は幼児から高く、小4までは全く変化しないのに 対して、偽の文の得点は幼児と小2では低く、小4から小6にかけて増加した。
(3)生き物よりも食べ物の得点が高く、 2つの概念の得点差は幼児と小2で小さく、小4と小 6で大きかった。
(4)上位一中位関係と上位‑下位関係においては真の文と偽の文の得点がほぼ同じであり、中 位一下位関係のみで其の文が偽の文よりも有意に高かった。
(5) 3つの関係の間の相関は、平均すると幼児から順に、 .23、 .49、 .46、 .73であり、小6 ではかなり高かった。
回答パターン(1) 3つの関係で正答を示した〇〇〇パターンの者は、其の文では生き物より も食べ物で多く、偽の文では逆に食べ物よりも生き物で多かった。
(2)生き物では、其の文の○(上位一中位)×(中位一下位)○(上位一下位)パターンが多く、偽 の文では×○×パターンが多かった。
(3)真の文と偽の文で共に〇〇〇パターンを示した者の割合は、生き物では小4まではほんの 僅かであり、小6でも35.0%にすぎず、また、食べ物でも幼児と小2はほんの僅かであり、小4 から小6にかけて増加しているものの、小6でも44.7%であった。
引 用 文 献
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<付記>本研究を行うに当たり、磯城郡川西町立川西幼稚園と結埼小学校の先生方、児童の皆さんのご 協力を待ました。記して感謝いたします。
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Developmental Changes in the Appreciation of Hierarchical Relations of Natural Concepts
Takeshi Sugimura and Hiromi Taki
(De如rtmerit of Psychology, Nara University of Education, Nora 630, Ja坪n) (Received April 28, 1990)
The purpose of this study was to examine developmental changes in the hierarchical relations of natural concepts. A total of 24 questions such as "Is a X a kind of Ys?
were provided for the higher‑middle, the middle‑lower, and the higher‑lower relations in the two natural concepts: living thing/fish and bird/gold fish and pigeon, and food/fruit and vegetable/banana and cabbage. Half the questions represented correct inclusion relations such as "Is a bird a kind of living things? and the remaining ones represented incorrect inclusion relations such as "Is a living thing a kind of birds?
Forty‑seven kindergartners, 85 second‑, 99 forth‑ and 123 sixth‑graders were required to answer the 24 questions by "Yes or "No".
COrrect scores. (1) The scores were about the same for the kindergartners and the second graders, and increased from the forth to sixth graders.
(2) The scores of correct questions were high even in the kindergartners and did not change with grades by the forth graders, whereas those of incorrect questions were low in the kindergartners and increased with grades.
(3) The scores of foods were higher than those of living things for the forth and the sixth graders but for the kindergartners and the second graders the two scores did not significantly differ.
(4) The scores of correct questions were significantly higher than those of incorrect questions in the middle‑lower relations, but the two scores were about the
same in the higher一middle and the higher‑lower relations.
Response patterns. (1) For the correct questions the percentages of the subjects
who showed the correct answers in the three relations (〇〇〇 pattern) were larger
for the foods than for the living things, whereas the reverse was true for the incorrect questions.
(2) The percentages of the subjects who showed the OOO pattern both in the
correct and incorrect questions were very small in the kindergartners and the lower graders. Even for the sixth garders the percentages were 44.7 for the foods and 35.0 for the living things.