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交叉相面的確認的因子分析法

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(1)

交叉相面的確認的因子分析法

その他のタイトル Cross‑modal confirmatory factor analysis with constrained oblique factor correlations

著者 清水 和秋, 辻岡 美延

雑誌名 関西大学社会学部紀要

12

2

ページ 129‑145

発行年 1981‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00022865

(2)

清 水 和 秋 ・ 辻 岡 美 延

〔 問 題 )

行動科学の研究において,二種以上の相面

( m o d a l i t i e s )

にわたる調査資料が同一の個体集団 (N心に関して獲得されているというケースはよくあることである。 ここでいう相面とは,た とえば,気質領域と動機領域,あるいは嗅覚と味覚,経済学的変量と社会学的変量というように 研究対象となる領域

( d o m a i n )

が異なる場合や, 同じ気質を研究対象としても,一方は自己診 断法, 他方は他者評定法というように調査方法または用具

( i n s t r u m e n t )

が異なる場合や, た,たとえ同一の用具を用いて同一の領域を調査するとしても状況

( s i t u a t i o n )

が異なる場合の ように,これらの異なる局面

( a s p e c t )

を総称して相面

( m o d a l i t y )

とよぶことにする。特異な ケースとして,所謂縦断的研究とよばれて,頷域,用具,状況の同一性が保持されていても時点

( o c c a s i o n )

のみが異なるという,所謂時系列上の内的外的状況変化も一般的には相面が異なる ものと考えることができる。また,ここでいう被験者(被調査個体)の同一性とは,被験者の質 的内容的な同一性を要求するものではなく,個体を同一化

( i d e n t i f y )

あるいは対応化

( o n et o   one c o r r e s p o n d e n c e )

しうるという形式的同一性を要求するものである。たとえば,精神的肉 体的疾病などによる生理的人格的変化によって,同一人が別人のように変化しても,あるいは児 童が成人に成長し,ついで老人となる場合でも,そこに個別化されうる形式的同一性が保持され れば,この方法の適用可能性は保たれていると考えてよい。さらに極端な場合として,この同一 性は親と子の対応関係や双生児,兄弟関係のようにそれぞれ個別化しうる対応関係に拡大される こともありうるのである。たとえば養育態度についての親と子の反応を

2

つの相面としてとらえ ることも可能である。

さて,ここで獲得されている調査結果は間隔尺度の水準のものであるとし,第

1

相面において は約個の変量が

N

人について,また第

2

相面においては

n 2

個の変量が同じ

N

人について得ら れているものとし,この粗データ行列をそれぞれ

F i g .1

のように

X i ,

ふとする。

ここで

( 1 )

1  lN'X1=m1',

N  ‑lN'X2=m2' 

であり, (1)式 の 叱 お よ び

m2

は,それぞれ

n 1

個,約個の要素からなる第 1' 第 2相面の測定 変量の平均列ベクトルである。

この平均ベクトルを用いて,

( 2 )

式のように平均偏差得点を算出し,その転置を前から掛けて個

(3)

関西大学『社会学部紀要」第

1 2

巻第

2

体数で割ると,

( 2 )

式のように

( 2 )  

{虎(X,-IN 町) '(X,-IN 叫~-E.,

‑(ふーlNm21Y(X2‑lN

叫)

=222 

あらわせ,それぞれ第

1

相面と第

2

相面内の変量間の共分散行列

: E n

2 2 2

とが得られる。

この共分散行列の対角項は,各変量の分散からなり,

( 3 )

式のよ うに

S1= { d i a gぶ}叉

求めると, Si,ふはそれぞれ妬次,約次の標準偏差を対角項に

( 3 )  

8 2  =  { d i a g  X 2 2

/ ‑ X1  Xz 

Fig.1 

交叉相面的粗データ 含む対角行列であり, これは標準偏差対角行列とよばれる。

したがって,第 1と第 2の相面内の変量間相関行列

Rn

R 2 2

はそれぞれ(4)式のように

R11=S1

i : E 1 1 S 1 ‑ 1 ,   R22=S2‑i : E 2 2 S 2 ‑ 1  

あらわすことができる。また第 1と第 2の相面間相関行列

R 1 2

, (5)式のように,

2 1 2

を求め,

( 6 )

式のようにあらわすことができる。

( 4 )  

その共分散行

( 5 )   ( 6 )  

2 1 2  =‑CX1  1  ‑IN

' ) ' ( X 2 ‑ l N

叱')

R12=S1‑1 2 1 2 S 2 ‑ 1  

また,

R , 2

( n 1x n 2 )

R 2 1

( n 2x n , )

次で,

R , 2 = R 2 1 '

となっている。

これを要約すると,二種の相面において, それぞれ 約個,乃個の測定変量が同一個体集団について得られ ているとき,

F i g . 2

のような超相関行列

R

が得られ,

交叉相面的確認的因子分析はこのような超行列が得ら れているときに可能となる方法であるといえよう。

さて,辻岡

( 1 9 7 9 )

がすでに指摘したように, この ような二相面にわたる超相関行列が得られていると

面 ︱ k 

2

2

j

第一

2  ー

12 ,1 11 ,. JI II I. nl 12 .,K ,' 庄

1

2

相面

Ru  R 1 2  

R 2 1   R 2 2  

F i g .  2 

交叉相面的超相関行列 , 次のような 3種 の 交 叉 相 面 的 確 認 的 因 子 分 析

( C r o s s ‑ m o d a l  c o n f i r m a t o r y  f a c t o r  a n a l y s i s )

が可能となる。

( 1 )  

汎相面的確認的因子分析

(Pan‑modalc o n f i r m a t o r y  f a c t o r  a n a l y s i s )  

これは相面を区別しないで, この超相関行列を一つの基準相関行列と見倣して行われる確認的 因子分析法である。その意味では従来の方法と異なるわけではない。しかし,元来相面が異なる ものを一つと見倣しているのであるから,得られた結果は全体的な構造を見とおすという点では 便利ではあるが,相面間の独立性が次第に高くなると二つの空間は別々のものとなり相面間の連

(4)

関を見きわめることができなくなるという欠点がある。そのような場合には,この方法の利点は ほとんどない。むしろ,交叉相面的研究の妙味は二つの相面間に中等程度の連関があり,そして 次にのぺるようなケースに該当する場合である。

(2)  転移相面的確認的因子分析

( T r a n s ‑ m o d a lc o n f i r m a t o r y  f a c t o r  a n a l y s i s )  

これは,一方の相面における交叉断面的確認的因子分析

( C r o s s ‑ s e c t i o n a lc o n f i r m a t o r y  f a c ‑ t o r  a n a l y s i s )  

(辻岡•清水・柴田

1 9 7 9 )

がすでに幅広く行なわれており, 因子の確認化作業 がほぼ完成している場合に,この相面内で得られる因子を他の相面からの因子得点(あるいは因 子推定値)によってよりよく代表させようとする方法である。本稿の理論展開は主としてこの方 法論を中心に論究される。

( 3 )  

相互相面的確認的因子分析

( I n t e r ‑ m o d a lc o n f i m a t o r y  f a c t o r  a n a l y s i s )  

これは,双方の相面において固定された基準因子はなく,両相面の相互関係から同時に因子対 応を最大化させようという考え方であり,因子間の直交性を仮定すれば正準相関分析と同一方法 となる。しかし,実質科学での知見を重視する立場の因子分析では一般に因子間相関は斜交であ り,しかもその斜交基準を固定させる点が正準相関分析と異なっている。なお,この方法では,

いまだいずれの相面においても何らの確認的因子が固定されていないのに,しかも因子間相関行 列のみを固定するという要請はそれ自身ある意味では自己矛盾を含むので, (2)の転移相面的確認 的因子分析がある程度進まないとその利用価値は大きくはならないと考えられる。したがって,

この

( 3 )

の方法については実質科学的には多くの検討課題が残されており,この方法の数学的解法 については後日にゆずることとしたい。

〔 方 法 )

(1) 

解法の前提条件

さて,

F i g . 2

のような超相関行列が得られているとき,第

1

および第

2

の相面のもとでの粗デ ータ行列

Xi,

ふは,各変量が間隔尺度水準の測度であるとすると,

( 7 )

式のように標準得点行列

z ,  

と名に変換して考えと便利である。

( 7 )   Z,=(X1‑lN

' ) 8 1

l'

=(X2‑lN

' ) S 2 ‑

ここで,

m 1 ,

匹 と

S 1 1S 2

は先述のとおり,第

1 '

2

相面の平均ベクトルと標準偏差対角行 列である。

今,一般性を失わず,便宜上,第

1

相面においてはすでに確認的因子分析が完了し,因子の確 認化が行われているものとする。換言すれば,第

1

相面よりの因子得点(または因子推定値)の ための標準重み行列

w ,

は既知であり,因子得点行列尻は

( 8 )

式によって

( 8 )   F1=Z1 W1 

求められるものとし,またこの

W1

を用いて

( 9 )

式によって求められる因子間相関行列

c ,

も厳密 な意味で因子軸間相関に等しく,したがって既知で固定されているものとする。すなわち,

(5)

関西大学『社会学部紀要」第

1 2

巻第

2

( 9 )   C 1  =‑F1'F1  1 

である。

ここで

C 1

は (mxm) 次の因子間相関行列であり,また

( 8 )

式の

W1

は,因子得点(または推定 値)の平均は

O

(m次のゼロベクトル),分散も (mxm) 次の単位行列を与えるような標準重み 行列とする。すなわち,

( 1 0 )   ‑lN'F1 =0'  N 

( 1 1 )   d i a g (

i ' F 1 ) =I 

である。

ところで,このような

( 8 )

式から

U l l

式までの前提条件は普通,常に満されているとは限らない。

因子得点または因子推定値の計算式については,芝

( 1 9 7 2 )

はすぐれた定式化と整理を行い,こ れ ら を 尺 か ら

F 1 6

までに分類しているが,それらの定式化は,暗黙的には斜交因子分析の公式 をも含んでいるが明示的には直交因子分析を目処とした因子得点(または因子推定値)のための ものであり,その一部のみが斜交因子の場合にも適用しうるものにすぎない,これらのうち斜交 の場合に頻用される

F 1 a

Thurstone( 1 9 4 7 )

Harman( 1 9 6 7 )

のいう所謂重回帰法によ る推定値であり,これは真の因子得点とその推定値との誤差の最小二乗推定を与えるが,得られ た因子推定値間の相関行列は,それに先行する斜交因子分析における因子軸間相関行列

( C 1 )

は近似するが,厳密な相等性は保証されてはいない。すなわち

( 9 )

式によって,計算される

F 1 aの

共分散行列は,たとえ

F J 3

をその標準偏差によって規準化したのちでも

( 9 ' )   ‑F13'F

C 1

である。

したがって, 斜交因子分析において

( 9 )

式の前提を満たすためには本誌本号に掲載された清水

( 1 9 8 1 )

による「因子間相関行列を固定した斜交因子得点」(これを芝の

F 1 aに対して, F 2 4と仮

称した)を用いなければならない。

ただし以下の交叉相面的因子分析法の適用は,直交共通因子分析の場合においても適用できる 場合がある。なんとなれば,因子の直交性を仮定するということは広義には因子間相関行列を単 位行列として固定することを意味している。これが保証される場合は本法も可能となる。すなわ ち,芝のFuなどは求められた因子推定値間行列は単位行列であるし,また主成分分析によって 求められた成分得点間の相関は,直交,斜交を問わず,回転,非回転を問わず常に(9)式が成立す る。その意味で,清水の

F 2 4

は,斜交の共通因子分析における難点を克服したものとして大きな 意義がある。

(2) 

解法のための目的関数

さて,このような(9)式から

U l l

式までの前提条件が満されているとき,第2相面の標準得点行列

を用いて,第

1

相面からの因子数と同数の因子得点を求めることとして得られる因子得点行列を

 

(6)

F2 

(Nxm次)とすると,この

F2

は当然のこととして 0.2) 

F2=Z2W2 

である。ここで名は

(NXn2)次の第 2

相面の標準得点行列であり,

w2は求めんとする(約 X

m)次の標準重み行列とする。

次に,対応する因子得点間相関を最大化するかわりにまず手初めに,尻と名との差を最小 二乗法的に最小化することを考える(この基準はあとで因子得点間相関の最大化基準と同義にな

ることが判明する)。そこで,

0.3) 

E=F1‑F2 

として両者の対応する誤差を定義し, この誤差の平方和を最小とするための Vという関数を考 えると,

V=‑tr(E'E) N 

t r { ( F 1 ' F 2 ' )  ( F 1  ‑F2)} 

=噂

F1'F1)‑2

F 1 1 F 2 ) + t r (' F 2 )

となる。ところで先の0.2)式中の

W2

は最終的に求めるべき斜交の因子得点または因子推定値を与 えるための標準重み行列であり,これを0.5)式のように

0.5) 

W2=  W2T1 

と置換える。ここで町は下の(16)式を満たすような 0.6) 

W/R22

=I

直交の因子得点または因子推定値のための標準重み行列である。そこで,究極的に求めんとする

W2

のかわりに,直交の仲介的な重み行列町を求めれば,

0.7)

F

出 =

W 2 ' R 2 2  W2=  T/

閉 釦

W2T1

=T/1 T1=C1 

となり,新しく得られる因子得点または推定値間相関行列は第

1

相面における因子軸間相関

C 1

に等しくなる。また,

C 1

の対角項は当然

1

だから,

W2

も標準重み行列である。当然のことなが

, 0.6)式より

W2

も標準重みベクトルの条件を満たしている。

そこで,閥式に(8), 0.2)式と 0.5)式を代入し,この未知行列

W2

に関する 0.6)式の制約条件をこの 関数Vにそう入して,

0.8) 

/(W2) =tr(W1'R11 , W 1 )  ‑2 t r ( W 1 1  R 1 2  W2  T i )  +tr(T/  W :  

池 況T

i )

‑tr(A.(W/  R 2 2  W2‑J)) 

なる

W2

の関数

f(W2)

を考え, Aを (mxm)次のラグランジュの未定乗数行列として,この関

f(W2)

を町の各要素により偏微分して結果を 0とおくと,この解は

紆(W2)

aW2  =2R22 W 2 7 ' .

 

I‑

2 R 2 1  W1  T/  ‑2 R 2 2

L=O

(7)

関西大学「社会学部紀要』第

1 2

巻第

2

となる。ただし,

U 9 )

式第

3

項中の

L

L=

一(

1  A . + A . ' )

とする。これを整理すると

( 2 0 )   R 2 2

T1T/‑R21W

'‑R22

町L=O となる。

この両辺に左から

W/

をかけると,

( 2 U   W/R22

T1T/‑W2'

W1T/‑W2'R22

L=O

となり,

( 1 6 )

式の条件より

( 2 2 )   Ti T/  ‑W 2 '

W

'‑L=O

となる。ここで'

( 2 2 )

式の左辺第

1

項と第

3

項はともに対称であるから,第

2

項も対称で

( 2 3 )   W/R21W1T/=T,W1'R12W2 

である。

また,

( 2 0 )

式の両辺に右より

W/R

油をかけると

R 2 2

T1T/W/

‑R21W

' W 2 '

‑R22

LW2'

=0

となり,これも同様に左辺第

1

項と第

3

項は対称であるから,第

2

項も対称で

( 2 5 )   R 2 1  W1  T/  W 2 ' R 2 2  =R22

T 1 W 1 1 R 1 2

とあらわせる。そこで,この(23)式と(25}式の関係を用いて'未知行列

W2

を求めるため

i

乙 ま ず(25) 式の両辺に左より

T,W 1 ' R 1 2 R 2 2

→ を,右より

W2

をかけて整理すると

( 2 6 )   T, W 1 ' R 1 2 R 2 2 ‑ 1 R 2 1  W1T/=(T1W1'R12

( T 1 W 1 ' R 1 2

となる。ところで(23)式において

T1W11R12W2

は対称でぁったから

{ 2 7 )

式の計算が可能となる°

( 2 7 )   { T i  

W1'R12R22— 1R21W1T/戸=

Ti W 1 ' R 1 2  W2 

次に,未知行列

W2

をとり出すために, (25)式の両辺に左から

R 2 2 ‑ 1

を,右から

W2

をかけ ると

( 2 8 )   R 2 2  ‑

R 2 1

T/=W2

W1'R12W2 

をうる。ここで,

( 2 8 )

式の両辺│こ

( 2 7 )

式の逆行列を右からかけて整理すると次の(

2 9 )

(29} 

W2=R22‑1R21 W1T/  { T i  W i ' R 1 2 R 2 2 ‑1 R 2 1  W

. !.  

により第

2

相面の仲介的重み行列

W2

が得られる。

したがって,求めるべき究極的な重み行列

W2I ま U 5 l

式に

( 2 9 )

式を代入することにより

( 3 0 )   W2= W2

=R22‑1R21

T/{ T , W 1 ' R 1 2 R 2 2 ‑ 1 R 2 1  W1T/}

が得られる。

(3) 

解法の評価

さて,この方法によって求められた第

1

相 面 よ り の 尻 と 第

2

相面よりの

F2

との相関の大き さは,

F 1 ,F2

が共に平均

0 '

分散が

1

であることにより,

F ,

と凡との相関行列を

Cu

とす ると

( 3 1 )   C , 2  =  ‑F,  1  1  F2 

=  W11Zi'Z2/NW2T1  N 

=W1'R12

T1

‑134‑

(8)

であり,この

C 1 2

の対角項の値によって対応する因子得点間の相関が得られ,これによって評価 することができる。また,

( 1 4 )

式の目的関数は,以上の結果より,

( 3 2 )   V  = t r C 1  ‑2 t r C 1 2  + t r C 1  

とあらわせる。これはさらに

( 3 3 )   V=2(m‑trC12) 

=Zm(1 ̲  tr~12)

=2m(l  ‑k) 

となり,

V

を最小化する上述の展開と

t r C 1 2

を最大化することとは同義となる。ここで,この最 大化された基準値を

m a x { t r C 1 2 }

とすると

( 3 4 )   k=  m a x { t r C 1 2 }   m 

で,この K値は最大化の程度をあらわす指標となる。そこで,この K値を交叉相面的因子分析 における対応因子最大化比

( r a t i oo f  maximum f a c t o r i a l  c o r r e s p o n d e n c e )

とよぶことにす る。これは対応する因子の重決定係数の総和の,全分散 (m) に対する比率である。そして,こ の値が出来うれば

0 . 9

以上,少なくとも

0 .7

以上であるとき,この転移相面的因子分析は成功的 であると考えることにする。

4

2

相面変量群の第

1 •

2

相面基準空間における因子構造行列

ところで,次に,第

2

相面の変量

( Z 2 )

の第

1

相面の因子軸空間への射影すなわち因子構造行 列を

V 1 , , 2 1( n 2  x  m

次)とすると

( 3 5 )   V 1 , , 2 1  = ‑ N  Z 2 ' F 1  

=‑Z21Z1W1  N 

=R21W1 

とあらわせる。この関係を

( 3 0 )

式に代入すると

‑ . . ! .   ( 3 6 )   W2=R22‑1 v,  •. 2 1 T / { T 1 V , . ' . 2 1 R 2 2 ‑ 1  v,  •. 2 1 T / }   2T, 

となる。また,第

2

相面の変量

( Z 2 )

と第

2

相面よりの因子得点凡自身との相関行列を,

v, •. 2 2   (n2Xm

次)とすると

( 3 7 )   v,  •. 22=‑z;  N 

=―

N  Z 2 ' Z :  

T1 . . ! .  

=R22R22‑1 R 2 1  W1T/  {T1W1'R12R22‑1R21 W1T/}  2  T, 

‑ . . ! .  

=R21 W1T/  { T ,  W 1 ' R 1 2 R 2 2 ‑1 R 2 1  W1T/}  2  T, 

となり,これに

( 3 5 )

式を代入すると

< 3 7 ' )   v,  •. 2 2 =  v , .  

2 1

' { T , v , , . ' 2 1 R 2 2 ‑ 1v,  •. 2 1 乃 } 方 T1

となる。この

( 3 5 )

式と

( 3 7 ' )

式との差は

(9)

関西大学「社会学部紀要」第

1 2

巻第

2

( 3 8 )

N  Zi'F1‑‑Z:  N 

出 = ーZi'E

= 

N  Z21(F1‑F2) 

=  Y 1 , . 2 1  ‑V 1 , . 2 1  T/  {  T1  V 1 , . ' 2 1 R 2 2 ‑1  Y 1 , . 2 1  T/}

=  V t , . 2 1  { I m  ‑T/  (T1  V :  

' 2 1 R 2 2 ‑1 

V1,.21町)―½T1}

となる。ここでもし,

F1

F2

との差が 0のときは

( 3 9 )   lm=T/(T1V1,.'21R22‑1 V 1 , . 2 1 T / )

となり,両辺に左から

(T/)

1

を右から

T1 ― 1

をかけて整理すると

( 4 0 )   (T1T/)

i= ( T 1 V 1 , . ' 2 1 R 2 2 ‑ 1  V 1 s . 2 1 T / )

―ア

故に,この両辺の逆行列は

( 4 1 )   T1T/  =  (T1 V 1 , . ' 2 1 R 2 2 ‑ 1  V 1 , . 2 1  T/)

となる。この両辺は対称行列であるから

( 4 2 )   (T1T/) (T1

')=T1V, . . ' 2 1 R 2 2 ‑ 1  V 1 , ‑ 2 1 T /  

となる。この両辺に左から

T/

を,右から乃をかけると

( 4 3 )   T/T1T/T1T/T1= T/T1  V1  . . ' 2 1 R 2 2 ‑ 1  V1,.21T/T1 

となる。ここで,

C1=T/T1

であるから,これを(

4 3 )

式に代し整理すると

( 4 4 )   C 1  =  V 1 s . ' 2 1 R 2 2 ‑ 1  Y 1 s ‑ 2 1  

を得る。ところで,

( 4 4 )

式の右辺は次のように展開できる。

( 4 5 )   Y 1 , . ' 2 1 R 2 2 ‑ 1  V1  •. 21=(‑Zi'F1)'(‑Z: 

出)一

1 (

Z 2 ' F 1 )

N  N  N 

=‑Ft'

名C

Z :

名)一

i z 2 ' F 1 N 

=‑F1'1I

ここで,

I I 2

(NxN)

次の第

2

相面変量の射影子行列(竹内・柳井

1 9 7 2 )

である。この結果

( 4 5 )

式の右辺が一尻

' I I 2 F 1=C1

となった場合にのみ尻と

F2

との差が 0となることがわかる。

これは,換言すれば,

II2F1=F1

すなわち第

2

相面変量空間から尻が構成されうる場合に限り,

F1

と名とは同一となり,逆にその差が大きくなれば,

V 1 , . 2 1

V 1 , . 2 2

との各要素の差は当 然大きくなると言える。

(5

〕 第

2

相面変量群の第

1 •

2

相面の基準空間における因子パターン,準拠構造行列 これらの

V 1 s . 2 1 , V 1 s . 2 2

は第

1• 第 2

両相面に共通の因子軸体系と同一の軸間相関をもつこと により,第

1

相面の斜交解のための因子軸及び準拠軸変換行列によって第

2

相面の変量群

( n 2

の因子パターン行列,準拠構造行列を次式により求めることができる。

( 4 6 )   V I P ‑ 2 1  =  V 1 s . 2 1 C , ‑ 1  

(47) 

V 1 p ‑ 2 2 =  V 1 , ‑ 2 2 C 1 ‑ 1  

‑136‑

(10)

( 4 8 )   Y r s . 2 1  =  V f s . 2 1 C 1 ‑ 1 K =  V f p . i 1 K   ( 4 9 l   v , . . 2 2 =  v f , . 2 2 C 1 ‑1K=  V f p . 2 2 K  

ここで,

K

C 1

の逆行列の対角項の平方根の逆数からなる (mxm)次の対角行列であり,ま た準拠軸変換行列 (mxm次)を

T ,

とあらわすと

( 5 0 )

式にょっても算出できる(清水 囚花)〇

( 5 0 )   K=T/T, 

=T/Tf 

ところで,

v ル 2 2

V , . . 2 2

( 3 7 ' )

式を用いて次のようにあらわすこともできる。まず,

( 4

り式より

! 5 1 l   v f P . 2 2 =  v f s . 2 2 C 1 ‑ 1  

=  v f , . 2 1

{ r 凡 , . 2 1 ' R 2 2 ‑ 1V f s . 2 1

町}_柘

C 1 ‑ 1

̲ ̲! 

=  v f , . 2 1 T /  { T f  v f , . 2 1 ' R 2 2 ‑ 1  v f s . 2 1 T / }   2  CT/)

1

となる。また,

v , .

2 2

( 4 9 )

式より

( 5 2 )   V , . . 2 2 =  V f p . 2 2 K  

̲ ̲! 

=  v f , . 2 1

{ T f V :

' 2 1 R 2 2 ‑ 1V f , . 2 1

町}

2  (T/)‑lK 

=  v f s . 2 1

{ T fv f , ‑ 2 1 ' R 2 2 ‑ 1  v f , . 2 1

町}―

° " i T ,

とあらわせる。

( 本 法 の 適 用 〕

行動学の研究においては,二つの相面にわたる測定変量が同時に求められるというケースはか なり多い。なんとなれば,われわれ研究者は常に二つの領域や二つの用具あるいは二つの状況な どにおける異種または同種の変量群の連関関係に強い興味や関心をいだくことが多いからであ る。しかし,このような研究課題は,多変量解析的な解法に訴えない限り,しかもここでのぺたよ うな課題の本質に最も適切なアルゴリズムを適用しない限り,研究者が満足するような解答は 得べくもない。いわんや,このように複雑な問題解決に古風な一変量解析的解法にたよらんとす

るが如きはもはや時代おくれといわざるを得ないのである。

さて,はじめの節で少しくのべたように本法の適用領域はきわめて広い。たとえば,心理学に おいて,従来,人格心理学者たちは,っとに,気質特性と動機特性との連関について強い関心を 寄せながらも,この二つの相面にわたる対象領域を,分析的かつ総合的に研究する方法論を持ち合 わせていたとはいいがたい。従来の研究者たちが人格を寄せ木細工的に取扱うのではなく,すべ からくこれを総合的に取扱うべしとは揚言しつつも,彼等自身からは,具体的にそれを如何に総 合的に取扱うべきかの「操作そのもの」についての提言は皆無であったというも過言ではない。

また知覚心理学の領域では,個々の視覚,聴覚,嗅覚,味覚などの単一相面についての研究は かなり進んではいるが,いわゆる知覚相制という言葉を用いながらもクロス・モーダルな研究を 展開したものはきわめて数少ない。

一方,発達心理学では,所謂縦断的研究

( l o n g i t u d i n a ls t u d y )

の必要性がさけばれているが,

(11)

関西大学「社会学部紀要」第

1 2

巻第

2

ここでは成長度の速い個体に同一の測定を施行するということはほとんど不可能である。たとえ ば,たとえ形式的な名称は同ーであっても, 3オ児のビネー・テストと 7オ児のビネー・テスト とにおいては,実質的に弁別に用いられているテスト項目は別の項目にすぎない。

このような発達研究にともなう方法論的難点を超克する道は,この交叉相面的因子分析法を除 いてほかに解決法はあり得ないと考えられる。すなわち,用具,時点を異にしつつも,しかもな お共通の(対応共分散を最大化された)因子得点によってのみ,真の連続性が保証された縦断的 研究が可能となるのである。

その意味で,本法がさらに拡大された

C r o s s ‑ s e c t i o n a l ‑ m o d a lf a c t o r  a n a l y s i s  

(交叉断面・

相面的因子分析)こそが,発達諸相の所謂横断的研究と縦断的研究とを連結しうる唯一の方法論 として将来の完成が期待されるのである。この連結はさきの(

3 0 )

式中のR12の代りにその推定値相 関行列R12が用いられるという点にある。

したがってこのような場合には

R 1 2

は,現前のサンプルからではなく,他のサンプルにおいて すでに確認されている相関行列を借用するものとする。そのためには,すでにかなり広汎にいく つかのサンプルを用いて安定したR12が求めらている必要がある。もっともこの要請はさほど過 大な要求とは考えられない。なんとなれば必要とあれば,場合によっては,ごく一部の個体に対 してでも第

1

相面について現前の資料を追加して実査し R12R12の相異を検討することも不 可能ではないからである。たとえば親と子の性格を

Y G

性格検査によって調査し,親と子の同一 尺度についてR12を調査し,一方他のある集団に関しては,親側のみ,あるいは子の側のみの結 果から他方の性格因子得点を予測する予測式を設立し,後に実際にそれを調査して予測の成否を たしかめるというような研究も可能となるわけである。

このように,本法での相関関係を求めるための個体の同一性は,個人の個別性にとどまらず,

研究者の目的にしたがった対応関係に拡大することも可能である。このことは今後,本法の適用 領域を多くの社会心理学的な人間関係の研究に広汎な利用をよびおこすこととなろう。そしてこ のような広汎な適用可能性のための要としてR12の検定作業があり,このためのより適切な多変 量解析的検定論,推定論が必要となるのである。

問題を人格測定の問題にもどして考えるに,人格の総合的評価のためには,普通いくつかの複 数個のパーソナリティテストが同一集団に対して用いられることが多い。たとえば同じ二種類の 質問紙法が用いられることもあれば,質問紙法と客観検査法というように形式が異なるものが用 いられることもある。この場合 R12(または R21)すなわち異種の変量バッテリー間相関行列に 適当な中程度の相関関係が認められる場合には,一方の形式のみのテストから当該テストバッ テリーに関する情報のみならず他のテストの因子得点をも推定することが可能となる。例えば

MMPI

のみを実施して,

MMPI

に関する情報を得ることはいうに及ばず,

Y G

性格検査の気質 因子得点の推定値を得ることも出来れば,その逆に

Y G

性格検査のみを実施して,

Y G

に関する 尺度水準での情報や因子得点を得ると同時に,

Y G

によって

MMPI

に関する情報をも手に入

‑138‑

(12)

れることができることとなる。

このようなことが可能となるためには,双方の相面における因子の確認的作業がかなりの程度 に進行している必要がある。しかし,ここで観点を変えて両者を合した汎相面的因子分析によって,

双方の相面から相互に一次独立な情報が獲得されるようになれば,やがては冗長性を廃除したよ り単純でより有効な総合的評価の可能な新規のパーソナリティテストが実現することになろう。

しかしながら,過去の研究においては,

MMPI

にしろ

YGI

こしろ,すでに非常に多くの研究成果 が蓄積されており,これらの過去の業績同士あるいは過去と将来の新しい総合評価法とを比較す るためには,方法論的にはやはりこの交叉相面的因子分析法の効用や価値はなくならないのであ る。この新旧交替のありさまは,丁度交通体系における在来線と新しいシステムの交通体系との相 互乗入れの計画と同様である。そこでは常にその一部しか新しいシステムが開通せず,在来の体系 はやはりその機能を有しつつ漸次新体系が導入されるというような改変が行われるからである。

最後に,本法の行動科学一般についての適用について考察しておきたい。本法は心理学のみな らず,社会学,政治学,経済学,経営学,生物学,人類学など広く行動学一般にこれを活用する ことができる。たとえば,ある政治的行動を第

1

相面とし,これについては,個人のいくつかの 政治的行動たとえば投票行動や,政治的決定に対する肯定・反対意見の表明などいくつかの政治 学的変量群をとりあげ,一方第 2相面においては,それら個人の社会・経済学的変量をとりあげ る。そして,この二種の相面にわたる全体の超相関行列から,交叉相面的因子分析を施こすこと ができよう。このようにして,生理・心理・社会・経済・政治等の複数相面にわたる行動の一般 的法則性を追求する道が拓かれることとなるであろう。そして,このような方法論の適用を可能 とするためには,第一作から第四作(辻岡ほか

1 9 7 5 8 , 1 9 7 5 b ,   1 9 7 7 ,   1 9 7 9 )

にわたって,われわ れ共同研究者が展開して来たような因子尺度構成のための方法論の確立やまたその因子構造の確 認化の作業が相互循環的に行われなければならないのである。そのためにも,清水

( 1 9 8 1 )

によ る確認的因子分析によって確定された一次因子間相関行列を固定した因子得点(または因子推定 値)をうるための方法論が必要であり,その成果は本稿での交叉相面的因子分析に大きな貢献を もたらしているのである。従来の因子推定値を求める方法では,求められた因子推定値間相関行 列は因子軸間相関行列

( C 1 )に近似ではあったが厳密にはそれに等しいものではなかった。これ

に対して清水の解法は,厳密にもとの

C i

に相等な斜交の因子推定値間相関行列が得られる。こ の方法はまた,さらに因子的真実性の原理による項目分析(辻岡

1 9 6 4 ,

辻岡•清水 1975) を一 段と厳密なものとし,したがってさらに

T r a n s f e r a b i l i t y

の高いイーテックな尺度も構成され,

さらに一段と鮮明な交叉断面的確認的因子分析や,ここで述べた厳密な交叉相面的確認的因子分 析をも可能とするのである。

〔 考 察 〕

本稿で展開した交叉相面的確認的因子分析法には,因子分析論の理論的発展の上で,もう一つ

(13)

関西大学『社会学部紀要』第

1 2

巻第

2

の重要な意義が秘められている。

T h u r s t o n e( 1 9 4 7 )

の提案以来,因子分析における因子の不変

( f a c t o r i a li n v a r i a n c e )

の問題は,今日なお未解決の重要課題である。 ここでいう因子的不 変性には,因子分析によって見出された因子が,①被験者集団が異なることによっても不変であ るかという問題と,③用いられたテスト・バッテリーによっても不変であるかという二つの側面 がある。①の問題解決に応えようとしたのが先の辻岡•清水・柴田 (1979) による交叉断面的確 認的因子分析であり,Rの問題解決の一つの道が,本稿での交叉相面的確認的因子分析法である

ということができる。

この交叉相面的確認的因子分析法は,元来,第

1

相面と第

2

相面における変量群が,全く相面 を異にした異種の変量であることを前提とした一般理論である。しかし,これらの両相面内にお ける変量は,必らずしも異なる必要もない。異なった変量に適用しうる数学理論を同一の変量に 適用することはいくらでも可能なわけである。したがって,実質科学的にはこの異同性にも,ぃ くつかの段階の異同性を措定することが可能となる。具体的には,第

2

相面の変量として,第

1

相面の変量の部分集団を当てることも出来るし,第

1

相面の変量をそのまま用いて,その上いく つかの新しい変量を追加することも出来るし,あるいは一部を削除して新規に一部を追加するこ とも可能である。この場合,第

1

相面と第

2

相面に共通な変量に関する部分は,相関行列の当該 部分が,第

1

および第

2

相面の部分で重複するような超相関行列を想像すればよい。

換言すれば,変量の母集団から,一部共通に選択された変量のサンプルにおける因子の不変性 を求めるという問題へ,この交叉相面的因子分析法を拡大解釈することが可能となるのである。

このように発想を転換すると,この交叉相面的因子分析は,所謂拡張因子分析法

( E x t e n s i o n f a c t o r  a n a l y s i s )

における確認的因子分析にもなり,またその変法である削減因子分析

( A b b r e ‑ v i a t i o n  f a c t o r  a n a l y s i s )

とも解釈することもできる。 このように解釈すると,この交叉相面 的分析は,いずれの場合においても,確認された基準因子軸体系を指定し,この基準体系に対し て,全く異なるか,一部共通一部異種か,一部削減されたテスト・バッテリーの射影を求め,こ の変量によって基準因子得点を最大に代表するような因子得点を求める方法と見倣すことができ

第二に,この交叉相面的確認的因子分析は,従来の重相関分析や正準相関分析をも包含する上 位概念的一般理論でありうるという点である。この交叉相面的確認的因子分析では,第

1

領域お

よび第

2

領域から得られる因子得点間の相関行列を超行列

c ,

であらわすと

( 5 3 )   C,= 

C C 2 1 1   C   C 1 1 2  

の形であらわすことができる。

一方,正準相関分析での正準変量の相関行列は関式の形であり,この

c ,

c , =

A.   , A . ;  

主対角行列はともに単位行列であり,

A .

は対角行列で,この対角行列のトレースの最大化がはか

‑140‑

(14)

られる。交叉相面的確認的因子分析では,これが単位行列であるという制約条件が緩和され, C 1 となるが,しかもそれが厳密に C 1 であるという固定条件が要求され, C 1 2 のトレースの最大化 がはかられる。この点については辻岡 ( 1 9 8 1 ) がさらに次の論文で詳述する予定である。

また重相関分析は唯一個の基準因子が求められる正準相関分析であり,重みベクトルはスカラ ーの 1 となり, Ru もスカラーの 1 となることにより,

( 5 5 )   Ci= 

,

t  ,t

1

 

となる。ここで, ( 5 5 ) 式の Ci は (2 X  2) 次で非対角項は重相関係数 A となるにすぎないことは 容易に理解できる。そして,本稿の定式化がいずれもその特殊適用例として理解できることは,

はなはだ興味深いところである。

〔 本 法 の 算 法 )

交叉相面的確認的因子分析の実際の計算において必要となるデークとしては,第 1 相面では,

変量間相関行列 (Ru), 因子構造行列 ( V 1 s

1 1 ) , 因子軸変換行列 ( T 1 ) , 準拠軸変換行列 ( T , ) , 標 準重み行列 (W,) であり,第 2 相面では変量間相関行列 C R 2 2 ) であり,また第 1 相面と第 2 相面

との変量間相関行列 C R 1 2 ) である。こ のうち,第 1 相面の標準重み行列 C W 1 )

は,この計算の前提条件として必要と なる行列であるから,第 1 相面の確認 的因子分析の最終斜交解を用いて算出 しなければならない。ところで,清水 ( 1 9 8 1 ) によれば,斜交因子得点のた めの標準重み行列の計算において使用 される行列は,本稿の表記では, Ru, Y 1 s ‑ n ,   T ,   である。その結果, T a b l e1 

のデータを準備すれば,交叉相面的確 認的因子分析の解は,次のアルゴリズ ムによって算出されることとなる。ま

Table1  交叉相面的確認的因子分析の入カデータ

数式の記号

1

フログラムの 変数名

内 容

!TTL 

研究タイトル

Nl  第 1 相面の変量数 n 2   N  2  第 2 相面の変量数

m  NF  因子数

NAMl  第 1 相面の変数の略号 NAM2  第 2 相面の変数の略号

  ・  ・ 

Rn  Rll  第 1 相面の相関行列 R 1 2   R12  第 1• 第 2 相面間相関行列 R 2 2   R22  第 2 相面の相関行列

V11•ll VFSll  第 1 相面の因子構造行列

T1  TF  因子軸変換行列 Tr  T R   準拠軸変換行列

( 注 Rn,  R 1 2 ,   R 2 2 は超行列 R として入力する)

たプログラム・リストは,本稿 p .144p. 1 4 5 に掲載されている。

① 

パラメータの入力を行う。

デークの入力を行う

(GETR)

⑧ 

第 1 相面の標準重み行列を求める (F24) 。

④ 

デーク及び標準重み行列を出力する

(PUTR)

⑥ 

第 2 相面の標準重み行列を算出し,出力する。

(15)

関西大学『社会学部紀要」第

1 2

巻第

2

⑥ 

最大化された第

1

相面と第

2

相面との因子得点間の相関行列を算出し,出力する。

⑦ 

対応因子最大化比を算出し,出力する。

⑧ 

1

相面因子空間への第

2

相面変量群の射影を求め,斜交解を算出し,出力する

(OBLIQ)

⑨ 

2

相面因子空間への第

2

相面変量群の射影を求め,斜交解を算出し,出力する

(OBLIQ)

なお,カッコ内は計算,出力で使用されるサプルーチン名である。プログラム・リストに掲載 しなかったサブルーチンの内

F24

は斜交因子得点のための重み行列を算出するものであり,清水

( 1 9 8 1 )

に掲載している。そして,われわれの研究室においては,下記のような機能を有するサ プルーチンがすでに相対形式プログラムファイルに準備されており,この分析のプログラムはそ のようなサプルーチンの存在を前提として書かれている。一般に,コンビュータ・メーカーより のサービスプログラム内に,そのような機能のサプルーチンが組み込まれていると考えられるの で,その機能のみを記し,プログラム・リストは掲載しないことにした。

①  PFORM: 

改ページ,研究クイトル,日付の出力。

R  MOUT: 

行列の出力。

⑧  MATINV: 

逆行列の算出。

④  HOUS8S: 

ハウスホルダー法による固有値,固有ベクトルの算出。

また,ここで掲載したプログラム・リストは,第

1

相面,第

2

相面共に変量数を3

0

に,因子数 を1

0

と想定して作成してある。これを実際に利用する際には,研究データに合わせてメインプロ グラムの配列の大きさを変更して戴きたい。

〔 要 約 )

1.  行動科学における交叉相面的確認的因子分析の必要性が論じられた。

2 .  

超相関行列によって交叉相面的デークが定義された。

3 .  

交叉相面的確認的因子分析として次の

3

種の方法が提案された。それらの方法とは,汎相 面的確認的因子分析,転移相面的確認的因子分析,相互相面的確認的因子分析の3種類である。

4 .  

それらの方法の内,転移相面的確認的因子分析の理論が展開された。その理論とは,第

1

相面の確認的因子分析の結果より得られる第

1

相面因子得点に,第

2

相面の因子得点を最大限に 一致させるように,最小二乗法的に,第

2

相面の標準得点行列への標準重み行列を,第

1

相面の 因子間相関行列を固定しながら求めるものであるといえる。

5 .  

分析結果の評価として第

1

相面と第

2

相面の因子得点間相関行列と対応因子最大化比とが 提案された。

6 .  

2

相面変量群を第

1

及び第

2

相面因子得点空間へ射影することによって得られる因子構 造行列,因子パターン行列,準拠構造行列の計算法が提案された。

7 .  

この方法は,縦断的発達研究や,心理諸テスト相互間の関連性などを検討する方法論とな り得ることが,また行動科学一般にも活用され得ることが考察された。

‑142‑

(16)

8 .  

こ の 理 論 は 因 子 の 不 変 性 を 測 定 変 量 の 観 点 か ら 検 討 す る た め の 方 法 と な り 得 る こ と が 考 察 された。

9 .  

こ の 方 法 と 重 相 関 分 析 , 正 準 相 関 分 析 と の 関 連 性 に つ い て 言 及 さ れ た 。

1 0 .  

こ の 方 法 の ア ル ゴ リ ズ ム と そ の フ ォ ー ト ラ ン ・ プ ロ グ ラ ム ・ リ ス ト が 提 示 さ れ た 。

〔 参 考 文 献 〕

1 .   Harman, H .  H .   1 9 6 7   Modern f a c t o r  a n a l y s i s .   ( 2 n d  e d . )   U n i v e r s i t y  o f  C h i c a g o  P r e s s .   2 .   芝 祐 順 1 9 7 2

因子スコアの推定式。(高木貞二編現代心理学と数量化)東京大学出版。

3 .  

清水和秋

1 9 7 8  

斜交因子分析について。関西大学大学院人間科学,

1 1 , 3 9 ‑ 5 6 .  

4 .  

清水和秋

1 9 8 0  

因子間相関を固定した斜交因子得点。関西大学社会学部紀要,

1 2 ( 2 ) ,1 1 3 ‑ 1 2 8 .   5 .   竹内

啓・柳井晴夫

1 9 7 2  

多変量解析の基礎。東洋経済新報社。

6 .   T h u r s t o n e ,   L .  L .   1 9 4 7   M u l t i p l e ‑ f a c t o r  a n a l y s i s .  U n i v e r s i t y  o f  C h i c a g o  P r e s s .  

7 .  

辻岡美延

1 9 6 4  

テスト尺度構成における新しい原理一因子的真実性ー。心理学評論,

8 , 8 2 ‑ 9 0 .   8 .  

辻岡美延

1 9 7 9

特性論と類型論。日本行動計量学会第

7

回総会発論文抄録集,

2 8 ‑ 3 1 .

9 .  

辻岡美延

1 9 8 1  

交叉相面的多変量解析における直交化寄与率ベクトルー重相関分析,正準相関分析,

交叉相面的因子分析の一般理論ー。関西大学社会学部紀要,

1 2 ( 2 ) , 1 6 3 ‑ 1 7 9 .  

1 0 .  

辻岡美延ほか

1 9 7 5  

確認的因子分析における検査尺度構成。関西大学社会学部紀要,

6 ( 1 ) , 1 ‑ 8 9 .   1 1 .  

辻岡美延ほか

1 9 7 5  

確認的因子分析による行動予測の研究。関西大学社会学部紀要,

7 ( 1 ) ,9 5 ‑ 2 1 1 .   1 2 .  

辻岡美延・清水和秋

1 9 7 5

項目分析における項目統計量と構成尺度の統計量一因子的真実性係数と

因子的妥当性ー。関西大学社会学部紀要,

7 ( 1 ) , 1 0 7 ‑ 1 2 0 .  

1 3 .  

辻岡美延ほか

1 9 7 7  

確認的因子分析に基づく因子得点の利用。関西大学社会学部紀要,

8 ( 1 ) ,7 5 ‑ 1 5 6 .   1 4 .  

辻岡美延•清水和秋•柴田

満 1 9 7 9

確認的因子分析による構成概念の不変性と普遍性ー一般

Factormax

法による比較構造計質学への提案ー。関西大学社会学部紀要,

1 0 ( 2 ) , 1 0 1 ‑ 1 4 6 .  

(17)

交叉相面的確認的因子分析法 C脅脅忙骨怜曇*******骨***骨*骨骨心******衿********心**骨骨*********曇*****怜***怜*骨や井怜怜谷ヤ骨骨怜や***甚や

C  C  C  C  '*****曇******骨****谷**鋳°"*僭谷*怜怜髯**谷費心骨骨曇*****骨骨曇***褐**骨**骨錫怜怜*僻**骨怜

4骨骨骨怜骨骨骨骨骨怜骨**

DIMENSION  l  Rll  C30,  30),  R22  00,  30),  Rl2  (30  ,30),  Wl  C  30,  lOl,  W2  C30,  10),  2  VFS11C30,10),  CFCl0,10>.TFClO•lO)• 3  VFS21C30,  10),  VFP21  C  30,  10),  VFS22  C  30• 10)• VFP22 

C30•

10),  4  VRS21C30,  10)  ,VRS22  (30,  10)  ,W2HC30,  10)  ,RR  I NV(30,  30),  5  AC30)  ,BC30)  ,D00,10>  ,DDC30,10)  ,E(lO)  ,CCl0,10)  ,PCl0,10),  6  TRC  10  ,10)  ,NAMl  C30)  ,NAM2  (30),  ITTLC40)  ,Cl2Cl0,  10),  7  CFINVCl0,10),AKClO)  DATA  NR1,NR2,NR3/30,30,10/  READC5,200)  C  ITTLC 

I> d•l,40)

200  FORMATC40A2)  READC5,210)  Nl,N2,NF  210  FORMATC315l  READCS,200)  (NAMlCl),l•l,Nl) READ(5,200)  (NAM2Cll,l•l,N2) CALL 

GETRCNR1,NR2,NR3,Nl,N2,NF,R11,R22,R12,VFS11,CF,TF,TR) 

CALL 

F24(NR1,NR3,Nl,NF,Rll,VFSll,TF,RRINV,D,wl,DD,A,B,C,P, 

C  NAMl  ,I  TTL)  CALL  PUTR  C  (NRl  ,NR2  ,NR3  ,Nl  ,N2  ,NF,  Rll  ,R22  ,R12  ,Wl  ,VFSll  ,CF,  TF,  TR,  C  NAMl,  NAM2  ,I  TTL>  DO  10  .l•l,N2 DO  10  J•l,NF DCl,Jl=O,  DO  10  K•l,Nl 10 

DCl,J>•DCl,J)+Rl2CK,I)Wl(K,J)

DO  20  l=l,N2  DO  20  J•l,NF DDCl,J)•O, DO  20  K•l,NF 20  DDCl,Jl=DDCl,J)+DCl,K)

TFCJ,K> DO  25  l•l,N2 DO  25  J•l,N2 25  RRINVCl,J)•R22Cl,J) CALL  MATINVCNR2,N2,RRINV,A,B)  DO  30  I

l,N2 DO  30  J•l,NF DCI.J)•O, DO  30  K=l,N2  30  DC  I  ,J)•DC I  ,J)+RRINVC  I  ,K>*DDCK  ,J)  DO  40  l•l,NF DO  40  J=l,NF  CCl,J)=O,  DO  40  K•ltN2 40  CC  I  ,J)•C(J.J)+DDCK,

I>

DCK,J) CALL  HOUSBSCNR3,NF,NF,NF,C,E,P)  DO  45  l•l,NF 45  EC  I)=l  ,0/ScRT<EC  I))  DO  50  l•l,NF DO  50  J•loNF CCI  ,J)

o, DO  50  K•l,NF CROSS‑MODAL  CONFIRMATORY  FACTOR  ANALYSIS  WITH  CONSTRAINED  FACTOR  CORRELATIONS 

144 │ 

50  CC  I  ,J)•C(J ,J)+P(J  ,K)*ECK)

PCJ,K) DO  60  I

1,N2 DO  60  J•l,NF W2Cl,J>•O, DO  60  K•l,NF 60  W2C  I 

,J>•W2C

I  ,J>+D(I  ,Kl

CCK,J) CALL  PF  ORM  Cl  TTL)  WRITEC6,360)  360  FORMAT  Cl  lOX, 

•WEIGHT

MATRIX  (W2)  : 

ORTHOGONAL•)

CALL  MOUTCNR2,N2,NF,W2,NAM2,0,1,0)  DO  65 

l•l,N2

DO  65  J•l,NF W2H(J 

,Jl•O,

D0.65  K•l,NF 65  W2HCJ,J)•W2HCJ,J)+W2CJ,K)*TF(K,J) WRITEC6,365)  365  FORMAT<///lOX,'WEIGHT  MATRIX  (W2H)  :  OBLJlilUE

・>

CALL  MOUT<NR2,N2,Nf,W2H,NAM2,0,1,0)  DO  70 

l•l,Nl

・DO  70 

J•l

,Nf  DDCl,Jl•O, DO  70  Kml,N2  70 

DDCl,Jl•DDCJ,Jl+R12CJ,K)W2HCK,J)

DO  75  I

1,NF DO  75  J•l,NF C12C  J  ,J)=O,  DO  75  K•l,Nl 75 

C12CJ,Jl•Cl2Cl,Jl+Wl(K,I)DDCK,J)

WRITEC6,375)  375  FORMATC///lOX,'CORRELATIONS  BETWEEN  Fl<ROW)  AND  F2CCOLUMNl')  CALL  MOUTCNRJ,NF,NF,C12,0,o,o,O>  V•O, DO  78  l•l,NF 78  V=V+C12CJ,J>  V=V/FLOATCNF>  WR  !TE  (6,378)  V  378  FORMATC///5X, 

•RATIO

Of  MAXIMUM  FACTORIAL  CORRESPONDENCE ・ F  /lOX,'K 

=•,Fl0,3)

DO  80  l=l,NF  DO  80  J

1,NF 80  CFINVC  1,Jl

CFCl,J) CALL  MATJNVCNRJ,NF,CFINV,A,B)  DO  85  l•l,NF AK(J)aQ,  DO  85  J•l,NF 85  AKCI)

AK(I l+TFCJ,  I)*TRCJ,  I)  CALL  OBLllil(NR1,NR1,NR2,NR3,N2,Nl,NF,R12,W1,VFS21,VFP21,VRS21

・ C  .  CFINV,AK,NAM2.JTTL,ll  CALL  OBLI  lil(NR2‑,NR2  ,NR2  ,NR3,N2  ,N2  ,NF  ,R22  ,W2H,VFS22  ,VFP22  ,VRS22,  C  CFINV,AK,NAM2,ITTL,2>  STOP  END 

湮固汁将『芹鼎柿器裕源」渫

12~m

参照

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